JP4252380B2 - タイヤ金型の設計方法、タイヤ金型およびタイヤの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤを成形するタイヤ金型の設計方法、タイヤ金型およびタイヤの製造方法に関し、さらに詳しくは、成形されたタイヤが装着される標準リムに対するこのタイヤのタイヤビードの接触圧を均一化することができるタイヤ金型の設計方法、タイヤ金型およびタイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、タイヤを成形するタイヤ金型において、このタイヤのタイヤビードを成形するタイヤビード成形部の間隔は、タイヤが装着される標準リムのリム幅よりも広く設計されるものである。ここで、タイヤ金型により成形されたタイヤを標準リムに装着すると、タイヤのタイヤビードと標準リムのリムフランジとの間に隙間が生じることがある。この隙間は、タイヤビードとリムフランジとの嵌合状態を悪化させ、タイヤがリムから外れてしまうリムはずれに対する抗力が悪化するという問題があった。また、上記隙間は、タイヤ周方向においてばらつきがあるため、リムに対してタイヤを真円に装着することができず、RFV(ラジアル フォース バリエーション:タイヤ半径方向の力の変動)が悪化するという問題もあった。そこで、従来においては、タイヤビードとリムフランジとのタイヤ周方向の隙間の発生を回避する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
この従来のタイヤは、タイヤのタイヤビードのビードヒール部を膨張させるものである。ここで、タイヤビードと標準リムのリムフランジとの接触部分には、タイヤおよびリムが装着される車両におけるサスペンションのバネより上の質量がすべてかかる。従って、車両が走行、制動、旋回することでタイヤビードに部分的な摩滅が発生する。上記従来の空気入りタイヤでは、ビードヒール部が膨張しているため、タイヤビードとリムフランジとの間で接触圧の高い部分と低い部分が発生する。つまり、接触圧の高い部分であるタイヤビードのビードヒール部およびこのタイヤビードのリムフランジの上部を構成する湾曲フランジと接触する部分の摩滅が発生しやすくなっている。タイヤビードにおいて部分的な摩滅が発生すると、RFVが悪化することとなる。つまり、タイヤが磨耗するにつれて、RFVが悪化することとなる。
【0004】
さらに、この従来のタイヤは、RFVおよびRRO(ラジアル ランナウト:タイヤ半径方向の振れ)の悪化を抑制するため、タイヤビードのビードヒール部およびビードトゥ部を形成するゴムの硬度を65〜100Hs JIS A(JIS K 6301規格)としている。しかしながら、タイヤビードの部分的な摩滅を最小限とし、タイヤの使用末期までRFVおよびRROの悪化を抑制するためには、実際にはビードヒール部およびビードトゥ部を形成するゴムの硬度を80Hs JIS A以上とする必要がある。つまり、タイヤを製造するために、硬度の高いゴムを用いることとなり、タイヤの生産時間が長くなるという問題がある。さらに、タイヤ金型からタイヤを引き抜く際に、硬度の高いゴムが用いられているタイヤビードが破損する、つまりタイヤの故障の原因となるという問題もあった。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−255324号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、成形されたタイヤが装着される標準リムに対するこのタイヤのタイヤビードの接触圧を均一化することができるタイヤ金型の設計方法、タイヤ金型およびタイヤ製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明では、タイヤを成形するタイヤ金型の設計方法であって、タイヤが装着される標準リムのリム幅端部において当該リム幅と直交する直線L1を得る手順と、直線L1と、タイヤが標準リムに装着された状態においてトレッド面の子午面断面における外周を構成する曲線あるいは当該トレッド面の最もショルダー側の面の子午面断面における外周を構成する曲線を当該ショルダー側に延長した曲線L2との交点Aを得る手順と、標準リムのリム径端部において当該リム径と直交する直線L3を得る手順と、タイヤ金型のタイヤビード成形部間隔端部において当該タイヤビード成形部間隔と直交する直線L4を得る手順と、直線L3と直線L4との交点P1を得る手順と、交点Aと交点P1とを結ぶ直線L5を得る手順と、交点P1から直線L4とのなす角度βが、直線L1と直線L5とのなす角度αに対して、β=α±2°となる直線L6を得る手順と、標準リムの子午面断面におけるリムフランジの内周と直線L1とが重なる部分の交点A側の端部あるいは標準リムの子午面断面におけるリムフランジの内周と直線L1との交点である点B1を得る手順と、直線L1と前記直線L3との交点P2を得る手順と、直線L6上に、交点P1から距離が交点P2から点B1までの距離である点B2を得る手順と、点B2から直線L6上に交点P1側に向かって直線部Mを得る手順と、タイヤ金型の子午面断面において、当該タイヤ金型のタイヤビード成形部に直線部Mを形成する手順とを含むことを特徴とする。
【0008】
また、この発明では、タイヤを成形するタイヤ金型において、タイヤのタイヤビードを成形するタイヤビード成形部は、当該タイヤビード成形部の子午面断面において直線部Mを有し、直線部Mは、標準リムのリム径端部において当該リム径と直交する直線L3と、タイヤ金型のタイヤビード成形部間隔端部において当該タイヤビード成形部間隔と直交する直線L4との交点P1から当該直線L4とのなす角度βが、タイヤが装着される標準リムのリム幅端部において当該リム幅と直交する直線L1と、当該タイヤが当該標準リムに装着された状態においてトレッド面の子午面断面における外周を構成する曲線あるいは当該トレッド面の最もショルダー側の面の子午面断面における外周を構成する曲線を当該ショルダー側に延長した曲線L2との交点Aから前記交点P1とを結ぶ直線L5とのなす角度αに対して、β=α±2°となる直線L6上に形成され、且つ、直線L6上の交点P1からの距離が、標準リムの子午面断面におけるリムフランジの内周と直線L1とが重なる部分の交点A側の端部あるいは前記標準リムの子午面断面におけるリムフランジの内周と直線L1との交点である点B1から当該直線L1と直線L3との交点P2までの距離と同一である点B2から交点P1側に向かう直線であることを特徴とする。
【0009】
また、この発明では、グリーンタイヤを成型する工程と、請求項2に記載のタイヤ金型にグリーンタイヤを装填する工程と、グリーンタイヤを径方向外方に拡張させタイヤ金型のタイヤ成形部に当接させる工程と、グリーンタイヤを加熱し、加硫する工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
これらの発明によれば、成形されたタイヤのタイヤビードには、標準リムのリムフランジ、特に標準リムの子午面断面において、リムフランジを構成する直線形状の張り出し部に対応した直線部Mが成形される。従って、従来のタイヤのように、タイヤビードのビードヒール部を膨張させずに、このタイヤビードとリムフランジとの隙間の発生を抑制することができる。また、成形されたタイヤが装着される標準リムに対するこのタイヤのタイヤビードの接触圧を均一化することができる。ここで、標準リムとは、JATMA等の規格で定められたリムのことをいう(以下同様)。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
図1は、標準リムに装着されるタイヤをその回転軸を含む子午面で切った断面の一部断面図である。同図に示すように、タイヤ10は、キャップトレッド11と、アンダトレッド12と、サイドトレッド13と、ベルト14と、カーカス15と、ビードワイヤ16とにより構成されている。キャップトレッド11は、タイヤ10の路面接地部に配置されており、その外周面にトレッド面18が形成されており、カーカス15、ベルト14またはブレーカの外側を覆うゴム層である。キャップトレッド11は、カット衝撃に対してカーカス15やベルト14を保護する役目を持っている。
【0013】
アンダトレッド12は、キャップトレッド11とベルト14との間に配置されるゴム層で、発熱性、接着性等を向上させる目的で用いられる。サイドトレッド13は、サイドウォール部の最も外側に配置されて外からの傷がカーカス15に達するのを防止するとともに、ラジアルタイヤの場合には、車軸からの駆動力を路面に伝える補助的役割も担っている。
【0014】
ベルト14は、キャップトレッド11とカーカス15との間に配置されたゴム引きコード層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト14は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。カーカス15はタイヤ10の骨格をなすゴム引きコード層である。カーカス15は、タイヤ10に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐える構造を持っている。
【0015】
ビードワイヤ16は、内圧によって発生するカーカス15のコード張力を支えているスチールワイヤの束を、硬質ゴムで固めたリングである。タイヤ10をホイールのリムに固定させる役割を果たす他、カーカス15、ベルト14及ビードレッドとともに、タイヤ10の強度部材となる。ビードフィラ17は、カーカス15をビードワイヤの周囲に巻き込む際に生ずる空間へ充填するゴムである。カーカス15をビード16に固定するとともに、その部分の形状を整え、ビード部全体の剛性を高める。なお、タイヤビード19は、ビードワイヤ16と、ビードフィラ17と、このビードワイヤ16近傍のゴムにより構成されている。ここで、19aはビードヒール部、19bはビードトゥ部である。
【0016】
図2は、標準リムに装着されるタイヤをその回転軸を含む子午面で切った断面の一部断面図である。同図に示すように、標準リム20は、リムフランジ21と、ビードシート面22とを備えている。リムフランジ21は、このビートシート面22からフィレット部23を介して、図示しない回転軸に直交する方向に形成される直線形状の張り出し部24と、この張り出し部24から標準リム20の外側に突出する湾曲形状の湾曲フランジ25とにより構成されている。ここで、標準リムのリム径Hは、上記張り出し部24からの延長線H1とヒールシート面22からの延長線H2とが交差する交点C(図3においてP2)と図示しない回転軸に対して点対称である反対側のリムフランジ21における交点Cまでの距離をいう。また、標準リム20のリム幅Wは、上記交点Cと図示しない回転軸のリム中心において直交するリム中心線と線対称である反対側のリムフランジにおける交点Cまでの距離をいう。なお、張り出し部24は、図示しない回転軸に直交する場合だけでなく、この回転軸に対して所定角度傾斜する場合もある。
【0017】
次に、本発明に係るタイヤ金型の設計方法について説明する。図3は、本発明に係るタイヤ金型の設計方法の説明図である。同図に示すように、タイヤ金型30を設計する際には、まずタイヤ10が装着される標準リム20のリム幅W端部41においてこのリム幅Wと直交する直線L1を引く。次に、タイヤ10が標準リム20に装着された状態においてトレッド面18の最もショルダーS側の面の子午面断面における外周を構成する曲線18aを当該ショルダーS側に延長した曲線L2を引く。そして、直線L1と曲線L2とが交差する点を交点Aとする。なお、直線L1がトレッド面18の子午面断面における外周を構成する曲線18bと交差する場合は、この交差する点を交点Aとしても良い。
【0018】
次に、標準リムのリム径H端部42においてこのリム径Hと直交する直線L3を引く。次に、タイヤ金型30に形成されるタイヤビード成形部31どうしの子午面断面における距離であるタイヤビード成形部間隔W´の端部43においてこのタイヤビード成形部間隔W´と直交する直線L4を引く。そして、直線L3と直線L4とが交差する点を交点P1とする。
【0019】
次に、交点Aと交点P1とを結ぶ直線L5を引く。次に、交点P1から直線L4とのなす角度βが、直線L1と直線L5とのなす角度αに対して、β=α±2°となる直線L6を引く。次に、標準リム20の子午面断面におけるリムフランジ21の内周と直線L1とが重なる部分の交点A側の端部を点B1とする。つまり、リムフランジ21の張り出し部24と湾曲フランジ25と接続点をB1とする。なお、張り出し部24が、上述のように、標準リム20の図示しない回転軸に対して所定角度傾斜する場合は、リムフランジ21の内周と直線L1とが交差する点を点B1とする。
【0020】
次に、直線L1と直線L3とが交差する点を交点P2とする。次に、上記直線L6上に、交点P1から距離が交点P2から点B1までの距離である点を点B2とする。ここで、標準リム20がJATMAの規格で設計されている場合は、交点P2から点B1までの距離、すなわちリム径Hの端部42からリムフランジ21の張り出し部24と湾曲フランジ25と接続点までの距離は、9mmと決定されている。従って、直線L6上に、交点P1から距離が9mmである点を点B2としても良い。
【0021】
次に、点B2から直線L6上に交点P1側に向かって直線部Mを形成する。つまり、タイヤ金型30のタイヤビード成形部31に直線部Mを形成する。この直線部Mは、上記標準リム20のリムフランジ21の張り出し部24に対応したものである。以上により、少なくともタイヤビード成形部31に直線部Mを有するタイヤ金型30を製作する。
【0022】
次に、上記タイヤ金型30用いてタイヤを製造する方法について説明する。まず、前工程で製造されたベルト14、カーカス15、トレッド(キャップトレッド11、アンダトレッド12、サイドトレッド13)、ビードワイヤ16などの各部材を用いて図示しない成型機によりグリーンタイヤ(生タイヤ)を成型する。次に、このグリーンタイヤをタイヤ金型30に装填する。次に、グリーンタイヤが装填されたタイヤ金型30を加熱すると共に、図示しない加圧装置により、グリーンタイヤをその径方向外方に拡張させ、タイヤ金型30の内周面に当接させる。
【0023】
次に、グリーンタイヤを加熱し、グリーンタイヤのトレッドを構成するゴムの分子と硫黄の分子を結合させることで加硫する。このとき、タイヤ金型30のタイヤビート成形部31の形状がグリーンタイヤのトレッドに転写される。すなわち、成形されるタイヤ10は、タイヤビート形成部31の直線部Mがタイヤビート19に成形される。そして、成形されたタイヤ10をタイヤ金型30より引き抜き、必要に応じて、成形されたタイヤの検査を行ない、タイヤの製造を終了する。
【0024】
以上のように、タイヤ金型30により成形されたタイヤ10のタイヤビード19には、標準リム20のリムフランジ21の直線形状の張り出し部24に対応した直線部Mが成形される。従って、従来のタイヤのように、タイヤビードのビードヒール部を膨張させずに、このタイヤビードとリムフランジとの隙間の発生を抑制することができる。また、成形されたタイヤが装着される標準リムに対するこのタイヤのタイヤビードの接触圧を均一化することができる。
【0025】
〔実施例1〕
以下に、従来例のタイヤとこの発明にかかるタイヤ金型30により成形されたタイヤとの接地圧分布結果について説明する。図4は、タイヤビードとリムフランジとの接地圧分布を示す図である。なお、同図において、Bは図3に示す交点P1と点B2との距離であり、Mは直線部Mの長さであり、Dは接地圧分布である。また、ここで用いられる標準リム20の交点P2から点B1までの距離は9mmである。
【0026】
まず、同図(a)に示す本発明においては、タイヤビード19とリムフランジ21との間の隙間がなく、さらに接触圧分布は均一となっていることがわかる。一方、同図(b)に示す比較例1においては、Mの長さを本発明よりも短くしたものであるが、タイヤビード19とリムフランジ21との間の隙間がなく、さらに接触圧分布は略均一となっていることがわかる。また、同図(c)に示す比較例2においては、Bの長さを本発明よりも長く、つまり標準リム20の交点P2から点B1までの距離よりも長くしたものであるが、タイヤビード19とリムフランジ21との間の隙間がなく、さらに接触圧分布は略均一となっていることがわかる。また、同図(d)に示す比較例3においては、Bの長さを本発明よりも短く、つまり標準リム20の交点P2から点B1までの距離よりも短くしたものであるが、タイヤビード19とリムフランジ21との間の隙間がなく、さらに接触圧分布は略均一となっていることがわかる。
【0027】
一方、同図(e)に示す従来例1においては、タイヤビード19のビードヒール部19aを膨張させたものであるが、タイヤビード19のビードヒール部19aとの間の隙間はないが、接地圧の高い部分と低い部分が発生していることがわかる。また、同図(f)に示す従来例2においては、タイヤビード19のビードヒール部19aを膨張させず、従来の設計方法で設計されたタイヤ金型により形成されたタイヤであるが、タイヤビード19のビードヒール部19aとの間に隙間Eが発生しており、さらに接地圧の高い部分と低い部分が発生していることがわかる。
【0028】
以上のことから、同図(a)〜(d)に示すような、本発明に係るタイヤ金型の設計方法で設計されたタイヤ金型30により成形されたタイヤは、同図(f)に示すような、従来のタイヤと比較して、タイヤビード19とリムフランジ21との隙間の発生を抑制することができる。さらに、同図(e)および(f)に示すような、従来のタイヤと比較して、成形されたタイヤ10が装着される標準リム20(リムフランジ21)に対するこのタイヤ10のタイヤビード19の接触圧を均一化することができる。
【0029】
〔実施例2〕
以下に、従来例のタイヤとこの発明に係るタイヤ金型の設計方法で設計されたタイヤ金型30により成形されたタイヤとの比較試験の実施結果について説明する。ここで、この走行試験に用いる各タイヤのタイヤサイズは、215/45 ZR17で共通である。各項目は以下のとおりである。
【0030】
▲1▼ β(°):図3に示す直線L4と直線部Mが形成される直線L6とのなす角度を示すものである。ここで、αは、同図に示す直線L1と直線L5とのなす角度である。
▲2▼ ビードヒール部の膨張有無:タイヤのタイヤビードのビートヒール部が膨張している否かを示すものである。なお、カッコは、ビードヒール部が膨張している場合における膨張量(mm)を示すものである。
▲3▼ タイヤビードゴム硬度:タイヤビードのビードヒール部およびビードトゥ部を形成するゴムの硬度を示すものである。ここで、ゴムの硬度は、例えば、40Hs JIS A(JIS K 6301規格)で表現され、数値が高いほどゴムの硬度が高いものとする。
▲4▼ リムはずれ性(kN):ビードアンシーティング試験(JIS D 4230規格)により求められるものである。ここで、リムはずれ性は、数値が高いほど、タイヤビードが標準リムのリムフランジからはずれ難いものとする。
▲5▼ 部分的な摩滅の有無:タイヤのトレッド面が新品時から80%磨耗した時点におけるタイヤビードの部分的な摩滅があるか否かを示すものである。なお、カッコは、部分的な摩滅がある場合におけるその程度を示すものである。
▲6▼ RFV:JASO条件にて試験を行った結果を指数化したものである。ここで、RFVは、数値が低いほど優れているものとする。
▲7▼ 部材生産時間:タイヤを成形する際に使用する各部材の生産時間の合計、指数化したものである。なお、「従来1」の部材生産時間を100とする。
▲8▼ 故障発生率:タイヤ金型により成形されたタイヤのタイヤビート付近の破損、つまりタイヤの故障の発生率を指数化したものである。ここで、故障発生率は、数値が低いほどタイヤの故障の発生率が低いものとする。
以下に、上記比較試験の実施結果を表示する。
【0031】
【表1】
【0032】
この表1から明らかなように、本発明は、タイヤビード19とリムフランジ21との接地圧の均一化が図れるので、従来例1〜3のように部分的な摩滅がなく、磨耗時のRFVの悪化を抑制することができる。また、タイヤビード19のビードヒール部19aが膨張している従来例1および従来例2と同様なリムはずれ性を維持することができるので、従来例1のようにタイヤビードゴム硬度を高くする必要がなく、部分的な摩滅を抑制、部材生産時間および故障発生率を低減することができる。
【0033】
なお、比較例のようにβ=α−4°、β=α+4°とすると、リムはずれ性が低減し、部分的な摩滅が発生し、RFVの悪化が抑制されない。従って、βはα±2°が良く、好ましくはβ=α+1°〜α−2°の範囲内が良い。
【0034】
なお、タイヤ金型30で成形されたタイヤ10のビードワイヤ16は、タイヤ10の図示しない回転軸を子午面で切った断面が円形状のビードワイヤ、例えばケーブルビード等を用いることで、タイヤビード19とリムフランジ21との嵌合性を高めることができる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、成形されたタイヤが装着される標準リムに対するこのタイヤのタイヤビードの接触圧を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】標準リムに装着されるタイヤをその回転軸を含む子午面で切った断面の一部断面図である。
【図2】標準リムをその回転軸を含む子午面で切った断面の一部断面図である。
【図3】本発明に係るタイヤ金型の設計方法の説明図である。
【図4】タイヤビードとリムフランジとの接地圧分布を示す図である。
【符号の説明】
10 タイヤ
19 タイヤビード
20 標準リム
21 リムフランジ
22 ビードシート面
23 フィレット部
24 張り出し部
25 湾曲フランジ
30 タイヤ金型
Claims (3)
- タイヤを成形するタイヤ金型の設計方法であって、
前記タイヤが装着される標準リムのリム幅端部において当該リム幅と直交する直線L1を得る手順と、
前記直線L1と、前記タイヤが前記標準リムに装着された状態においてトレッド面の子午面断面における外周を構成する曲線あるいは当該トレッド面の最もショルダー側の面の子午面断面における外周を構成する曲線を当該ショルダー側に延長した曲線L2との交点Aを得る手順と、
前記標準リムのリム径端部において当該リム径と直交する直線L3を得る手順と、
前記タイヤ金型のタイヤビード成形部間隔端部において当該タイヤビード成形部間隔と直交する直線L4を得る手順と、
前記直線L3と直線L4との交点P1を得る手順と、
前記交点Aと前記交点P1とを結ぶ直線L5を得る手順と、
前記交点P1から前記直線L4とのなす角度βが、前記直線L1と前記直線L5とのなす角度αに対して、β=α±2°となる直線L6を得る手順と、
前記標準リムの子午面断面におけるリムフランジの内周と前記直線L1とが重なる部分の交点A側の端部あるいは前記標準リムの子午面断面におけるリムフランジの内周と前記直線L1との交点である点B1を得る手順と、
前記直線L1と前記直線L3との交点P2を得る手順と、
前記直線L6上に、前記交点P1から距離が前記交点P2から点B1までの距離である点B2を得る手順と、
前記点B2から前記直線L6上に交点P1側に向かって直線部Mを得る手順と、
前記タイヤ金型の子午面断面において、当該タイヤ金型のタイヤビード成形部に前記直線部Mを形成する手順と、
を含むことを特徴とするタイヤ金型の設計方法。 - タイヤを成形するタイヤ金型において、
前記タイヤのタイヤビードを成形するタイヤビード成形部は、当該タイヤビード成形部の子午面断面において直線部Mを有し、
前記直線部Mは、
標準リムのリム径端部において当該リム径と直交する直線L3と、前記タイヤ金型のタイヤビード成形部間隔端部において当該タイヤビード成形部間隔と直交する直線L4との交点P1から当該直線L4とのなす角度βが、
前記タイヤが装着される前記標準リムのリム幅端部において当該リム幅と直交する直線L1と、当該タイヤが当該標準リムに装着された状態においてトレッド面の子午面断面における外周を構成する曲線あるいは当該トレッド面の最もショルダー側の面の子午面断面における外周を構成する曲線を当該ショルダー側に延長した曲線L2との交点Aから前記交点P1とを結ぶ直線L5とのなす角度αに対して、
β=α±2°となる直線L6上に形成され、
且つ、前記直線L6上の交点P1からの距離が、前記標準リムの子午面断面におけるリムフランジの内周と前記直線L1とが重なる部分の交点A側の端部あるいは前記標準リムの子午面断面におけるリムフランジの内周と前記直線L1との交点である点B1から当該直線L1と前記直線L3との交点P2までの距離と同一である点B2から交点P1側に向かう直線であることを特徴とするタイヤ金型。 - グリーンタイヤを成型する工程と、
前記請求項2に記載のタイヤ金型にグリーンタイヤを装填する工程と、
前記グリーンタイヤを径方向外方に拡張させ前記タイヤ金型のタイヤ成形部に当接させる工程と、
前記グリーンタイヤを加熱し、加硫する工程と、
を含むことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
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