JP3916738B2 - 調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、調理食品を加熱して調理する際に使用される調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年において、炭焼きにより調理すると、遠赤外線の作用により調理食品の深部にまで熱が通って調理食品の味が良くなることから、このような遠赤外線を放出する炭素や黒鉛を用いた調理器が注目されている。
【0003】
上記の調理器は、一般に、炭素や黒鉛が多数の孔隙を有した多孔質体である場合、良好な均熱性により調理食品を均等に加熱することができるため、黒鉛の多孔質体を調理用の所定形状に形成した黒鉛基体を使用している。ところが、黒鉛基体を調理食品に直接接触させる構成では、黒鉛基体の調理面に露出した孔隙に調理食品や煮汁等が進入して焦げ付いたり、黒鉛基体の露出した調理面から炭素粉末が飛散するという不具合が生じ易くなる。
【0004】
そこで、このような不具合を防止するため、調理食品を黒鉛基体に間接的に接触させながら調理可能な調理器が提案されている。例えば特開平2−84910号公報には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなるフッ素樹脂層を黒鉛基体の調理面に形成した構成の調理器が開示されている。また、特開平8−299191号公報や特開平8−299192号公報には、上述の不具合を長期間に亘って防止することができるように、黒鉛基体の調理面とフッ素樹脂層との間にセラミック溶射層や金属含有有機重合体の熱分解生成物層を介装した構成が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のように、PTFEからなるフッ素樹脂層を黒鉛基体の調理面に形成した構成では、PTFEが一般に調理面に露出した孔隙よりも大きなサイズの高分子量のフッ素樹脂であるため、フッ素樹脂層が黒鉛基体の調理面に面状に当接した状態で接合される。従って、フッ素樹脂層と黒鉛基体との接合力が弱いため、調理食品を加熱して調理する際に、加熱によりフッ素樹脂層と黒鉛基体とに大きな熱膨張差が生じたり、調理用具等の接触によりフッ素樹脂層に荷重が付与された場合に、フッ素樹脂層が黒鉛基体から剥離して破損し易いという問題がある。また、このような問題は、フッ素樹脂層と黒鉛基体との間にセラミック溶射層や金属含有有機重合体の熱分解生成物層を介装した構成の場合でも、フッ素樹脂層が高分子量のPTFEからなっていると、フッ素樹脂層が各層に面状に当接して弱い接合力で接合されるため、同様に剥離が生じることになる。
【0006】
そこで、本発明は、調理時の加熱により大きな熱膨張差が生じたり、調理用具等の接触により荷重が付与された場合でも、フッ素樹脂層を大きな接合力で接合させておくことにより容易に破損しない調理器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の調理器は、調理食品を加熱して調理する際に使用されるものであって、下記の特徴を有している。
【0008】
即ち、本発明の調理器は、図1に示すように、調理食品1を保持するように所定形状に形成された多孔質体からなる黒鉛基体2と、黒鉛基体2の調理食品1に接触する調理面9側に形成され、調理面9に露出した孔隙10に進入する低分子量のフッ素樹脂からなる接合層3とを有している。
【0009】
上記の構成によれば、フッ素樹脂からなる接合層3を調理面9側に形成しているため、調理食品1を接合層3に接触させながら加熱して調理した場合でも、接合層3を形成するフッ素樹脂の高い非粘着性により調理食品1の付着を防止することができる。また、接合層3を形成する際に、加熱された低分子量のフッ素樹脂が流動状態となって黒鉛基体2の孔隙10に深く進入するため、アンカー効果により黒鉛基体2と接合層3との接合力が増大する。これにより、調理時の加熱により黒鉛基体2と接合層3とに大きな熱膨張差が生じた場合や調理用具等の接触により接合層3に荷重が付与された場合でも、接合層3を黒鉛基体2から剥離し難くして破損を防止することができる。
【0010】
尚、接合層3は、低分子量および高分子量のフッ素樹脂からなっていても良い。この場合には、低分子量のフッ素樹脂と高分子量のフッ素樹脂との混合であるため、上記のアンカー効果を生じさせる低分子量のフッ素樹脂の使用量を必要最小限に抑制しても、高分子量のフッ素樹脂により所望の性能を所定期間にわたって発揮させることができる。従って、設計仕様を維持しつつ、一般的な高分子量のフッ素樹脂を含むことによって、コストダウンを図ることができる。
【0011】
上記の黒鉛基体2は、実質的に炭素のみからなる材料または炭素を主成分とする材料からなり、ピッチ含浸品や樹脂含浸品、金属含浸品等の含浸品を包含する所謂黒鉛化品等の各種黒鉛材料を包含する。尚、黒鉛化品は、通常、コークス等の骨材にピッチ等のバインダーを加えて混練する工程を経た後、成形、焼成、黒鉛化の工程を経て作成されている。また、黒鉛化品は、必要に応じてピッチ含浸や再焼成、樹脂含浸、金属含浸、高純度化等の各種の工程を経て作成されている。そして、このような各種の工程を経て作成される具体的な黒鉛材料としては、冷間等方圧加圧成形工程を経た高密度等方性黒鉛や熱間加圧法を用いた高密度黒鉛等の黒鉛材料等がある。その他の黒鉛材料としては、加圧焼成法により製造される炭化ホウ素(B4 C)を含む黒鉛材料、ピッチバインダー法により製造される各種セラミックを含む黒鉛材料および黒鉛化した炭素繊維強化炭素複合材料等がある。
【0012】
また、本発明の黒鉛基体2には、熱伝導性の均一性を確保するように、異方比が1.2以下の等方性の高い黒鉛材料を用いることが好ましい。ここで、異方比が1.2以下であるとは、黒鉛材料における任意に直角をなす方向に測った固有電気抵抗の比の平均値が1.2以下であることを意味する。また、黒鉛材料の属性としては、上記の熱伝導率以外に特に制限はないが、開気孔率が1〜30%の範囲であることが望ましい。この理由は、開気孔率が1%未満であると、接合層3のフッ素樹脂が黒鉛基体2の孔隙10に進入することによるアンカー効果が不十分となり、接合層3と黒鉛基体2との接合力(密着性)が低下するからである。一方、30%を越えると、黒鉛基体2の機械的強度が低下して調理器の用途に好ましくないからである。また、平均気孔半径は、0.1〜5.0μmの範囲であることが望ましい。この理由は、平均気孔半径が0.1μm未満であると、アンカー効果が不十分となり、5.0μmを越えると、調理面9での均熱性に悪影響を与えるからである。
【0013】
尚、上記の平均気孔半径は、例えば水銀圧入法により測定される累積気孔容積(cm3 /g)の1/2に相当する半径値(μm)として決定されるものである。また、開気孔率は、圧力が予め定めた最高圧力(例えば98MPa)まで到達したときの累積気孔容積を全気孔容積(cm3 /g)としたとき、(かさ密度)×(全気孔容積)×100を用いて算出されるものである。
【0014】
上記の黒鉛基体2に形成された接合層3は、1〜50μmの層厚であることが望ましい。この理由は、層厚が1μm未満であると、黒鉛基体2と中間層7の界面での接着力が発揮されず、50μmを越えると、逆に厚すぎて剥離しやすくなるからである。また、接合層3は、黒鉛基体2の孔隙10に進入する低分子量のフッ素樹脂からなっている。低分子量のフッ素樹脂は、高分子量のPTFE( CF3-[CF2-CF2]n -CF3 , n=104〜105)をF2 およびNF3 の存在下において400〜500℃に加熱して主鎖を切断することによって、低分子量のPTFE( CF3-[CF2-CF2]n -CF3 , n=85 〜150)としたものである。そして、この低分子量のフッ素樹脂は、末端までCF3 化されているため、通常の高分子量のPTFEと同様に熱的および化学的安定性等に優れていると共に、低分子量であるため、融点以上で流動性のある溶融物になるという性質を有している。
【0015】
また、本発明の調理器は、衝撃を吸収する緩衝部材4が分散されたフッ素樹脂からなる緩衝層5と、緩衝層5の表面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層6とを接合層3の表面側にさらに有している。そして、この構成によれば、緩衝部材4が表面層6に付与された荷重を吸収するため、表面層6や接合層3等を一層剥離し難くして破損を防止することができる。
【0016】
上記の緩衝層5は、1〜100μmの層厚であることが望ましい。この理由は、1μm未満であると、外部からの機械的な衝撃に対する緩衝作用が著しく低下し、100μmを越えると、中間層7と表面層6との間の接着力が低下するからである。一方、表面層6は、1〜50μmの層厚であることが望ましい。この理由は、1μm未満であると、緩衝層5の保護作用が著しく低下するからであり、50μmを越えると、多くのpine Tubeが生じる上に食材や油脂分が入り込み熱サイクルにて炭化し、それが剥離の原因となるからである。
【0017】
上記の緩衝層5に含まれる緩衝部材4は、雲母やアルミ粉等からなっている。また、緩衝部材4が分散されたフッ素樹脂は、高分子量のフッ素樹脂からなっている。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−バーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(E/TFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等のフッ素樹脂からなっている。尚、緩衝層5には、低分子量のフッ素樹脂が用いられていても良いし、低分子量のフッ素樹脂と高分子量のフッ素樹脂との混合物が用いられていても良い。
【0018】
また、本発明の調理器は、表面層6が低分子量および高分子量のフッ素樹脂からなっている。この構成によれば、緩衝部材4をフッ素樹脂に分散することにより緩衝層5の表面にピンホールが生じた場合でも、低分子量および高分子量のフッ素樹脂を加熱して表面層6を形成するときに、加熱により溶融した低分子量のフッ素樹脂がピンホールに流入することによって、各ピンホールを封孔することができる。さらに、このピンホールへのフッ素樹脂の流入によりアンカー効果が生じることによって、緩衝層5と表面層6との接合力を高めて破損を防止することができる。
【0019】
上記の表面層6には、上述の各種の高分子量のフッ素樹脂を用いることができるが、PFAのフッ素樹脂を用いることが望ましい。これは、PFAの機械的性質(硬さや伸び、引張降伏点、曲げ弾性率等)がPTFEの機械的性質よりも優れているため、調理中や調理後に表面層6を洗浄および拭き取りした場合における表面層6の消耗を最小限に抑制することができるからである。
【0020】
また、本発明の調理器は、接合層3と緩衝層5との間に、緩衝層5に用いたフッ素樹脂と同一種類のフッ素樹脂からなる中間層7をさらに有している。この構成によれば、中間層7と緩衝層5とが同一種類のフッ素樹脂で形成されているため、緩衝層5中に異物となる緩衝部材4が混入されていても、中間層7と緩衝層5との物性の相違を最小限に抑制できることから、緩衝層5を剥離し難くして破損を防止することができる。尚、中間層7は、10〜100μmの層厚であることが望ましい。この理由は、10μm未満であると、緩衝層5と基材との接着力が低下するからであり、100μmを越えると、緩衝層5と中間層7との接着力が低下するからである。
【0021】
また、本発明の調理器は、接合層3の表面を凹凸状に形成している。この構成によれば、接合層3の表面が凹凸状に形成されることにより面積を拡大させるため、この接合層3の表面に接合された中間層7との接合力を高めて破損を防止することができる。尚、接合層3の表面に緩衝層5が直接形成されている場合でも、接合層3の表面を凹凸状に形成することによって、接合面積の拡大により接合層3と緩衝層5との接合力を高めることができる。
【0022】
また、本発明の調理器は、黒鉛基体2の調理面9以外の例えば裏面や外周面にセラミック層8をさらに有している。この構成によれば、黒鉛基体の調理面以外の部分をセラミック層8で保護することにより調理時や保管時における傷の発生による破損を防止することができると共に、空気中で約800℃の加熱にも耐える調理器とすることができる。上記のセラミック層8は、1〜200μmの層厚であることが望ましい。この理由は、1μm未満であると、黒鉛基体2に耐熱性を付与できず、200μmを越えると、セラミック層8と黒鉛基体2の剥離(熱膨張率の差異による)を生じるからである。また、セラミック層8は、SiO2 /SiC、Al2 O3 、TiO2 含有Al2 O3 等の酸化物をコーティングすることにより形成される。
【0023】
尚、本発明の調理器は、形状に特に制限はなく、例えば家庭用や業務用の加熱板(ホットプレート、焼肉プレート等)、フライパン、すき焼き鍋、天ぷら鍋、フライヤー等として所望する形状に形成することができる。
【0024】
【実施例】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明の実施態様は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0025】
全気孔容積が7.7〜9.3(cm3 /g)、平均気孔半径が1.2〜1.7μm、開気孔率が15.3%の黒鉛材料と、全気孔容積が5.8〜7.5(cm3 /g)、平均気孔半径が1.4〜2.0μm、開気孔率が12.0%の黒鉛材料とを調整することによって、平均気孔半径が1.5μmの黒鉛材料を作成した。そして、この黒鉛材料を用いて直径が285mm、鍋深さが78mmの深鍋形状となるように黒鉛基体2を形成した。
【0026】
次に、黒鉛基体2の調理面9以外の外周面や底面にSiO2 /SiCからなるダンフォースセラミック(OTTI TECHNOPOLIS INC製)を用いてセラミック層8を10〜200μmの層厚で形成した。この後、黒鉛基体2の調理面9に低分子量のPTFEであるセフラルルーブ−I(セントラル硝子株式会社製)を用いて接合層3を10〜50μmの層厚で形成した。この際、接合層3の表面を凹凸状に形成しておいた。
【0027】
次に、接合層3の表面に高分子量のPTFEを用いて中間層7を10〜100μmの層厚で形成した。さらに、高分子量のPTFE中に雲母を混入させて分散させた後、このPTFEを用いて中間層7の表面に緩衝部材4を10〜100μmの層厚で形成した。この後、高分子量のPTAと低分子量のPTFEとを混合したものを用いて緩衝部材4の表面に表面層6を10〜50μmの層厚で形成した。そして、このようにして作成した調理器を用いて実際に調理したところ、表面層6への調理食品1の付着が発生せずに、長期間にわたって接合層3等の剥離が生じない調理器が得られることが確認された。
【0029】
請求項1の発明は、フッ素樹脂からなる接合層を調理面側に形成しているため、接合層を形成するフッ素樹脂の高い非粘着性により調理食品の付着を防止しながら、調理食品を加熱して調理することができる。また、接合層を形成する際に、加熱された低分子量のフッ素樹脂が流動状態となって黒鉛基体の孔隙に進入するため、アンカー効果により黒鉛基体と接合層との接合力が増大する。これにより、調理時の加熱により黒鉛基体と接合層とに大きな熱膨張差が生じた場合や調理用具等の接触により接合層に荷重が付与された場合でも、接合層を黒鉛基体から剥離し難くして破損を防止することができるという効果を奏する。また、衝撃を吸収する緩衝部材が分散されたフッ素樹脂からなる緩衝層と、前記緩衝層の表面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とを前記接合層の表面側にさらに有した構成であるので、緩衝部材が表面層に付与された荷重を吸収するため、各層を一層剥離し難くして破損を防止することができるという効果を奏する。
【0030】
請求項2の発明は、請求項1記載の調理器であって、前記表面層は、低分子量および高分子量のフッ素樹脂からなる構成である。これにより、緩衝部材をフッ素樹脂に分散することにより緩衝層の表面にピンホールが生じた場合でも、低分子量および高分子量のフッ素樹脂を加熱して表面層を形成するときに、加熱により溶融した低分子量のフッ素樹脂がピンホールに流入することによって、各ピンホールを封孔することができる。さらに、このピンホールへのフッ素樹脂の流入によりアンカー効果が生じることによって、緩衝層と表面層との接合力を高めて破損を防止することができるという効果を奏する。
【0031】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の調理器であって、前記接合層と前記緩衝層との間に、該緩衝層に用いたフッ素樹脂と同一種類のフッ素樹脂からなる中間層をさらに有した構成である。これにより、中間層と緩衝層とが同一種類のフッ素樹脂で形成されているため、緩衝層中に異物となる緩衝部材が混入されていても、中間層と緩衝層との物性の相違を最小限に抑制できることから、緩衝層を剥離し難くして破損を防止することができるという効果を奏する。
【0032】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の調理器であって、前記接合層の表面を凹凸状に形成した構成である。これにより、接合層の表面が凹凸状に形成されることにより面積を拡大させるため、この接合層の表面に接合された層との接合力を高めて破損を防止することができるという効果を奏する。
【0033】
請求項5の発明は、調理食品を加熱して調理する際に使用される調理器であって、前記調理食品を保持するように所定形状に形成された多孔質体からなる黒鉛基体と、前記黒鉛基体の前記調理食品に接触する調理面側に形成され、該調理面に露出した孔隙に進入する低分子量のフッ素樹脂および高分子量のフッ素樹脂からなる接合層とを有した構成である。これにより、フッ素樹脂からなる接合層を調理面側に形成しているため、接合層を形成するフッ素樹脂の高い非粘着性により調理食品の付着を防止しながら、調理食品を加熱して調理することができる。また、接合層を形成する際に、加熱された低分子量のフッ素樹脂が流動状態となって黒鉛基体の孔隙に進入するため、アンカー効果により黒鉛基体と接合層との接合力が増大する。これにより、調理時の加熱により黒鉛基体と接合層との熱膨張に大きな差が生じた場合や調理用具等の接触により接合層に荷重が付与された場合でも、接合層を黒鉛基体から剥離し難くして破損を防止することができる。さらに、低分子量のフッ素樹脂と高分子量のフッ素樹脂との混合であれば、上記のアンカー効果を生じさせる低分子量のフッ素樹脂の使用量を必要最小限に抑制しても、高分子量のフッ素樹脂により所望の性能を所定期間にわたって発揮させることができる。従って、設計仕様を維持しつつ、一般的な高分子量のフッ素樹脂を含むことによって、コストダウンを図ることができるという効果を奏する。
【0034】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の調理器であって、前記黒鉛基体の調理面以外にセラミック層をさらに有した構成である。これにより、黒鉛基体の調理面以外の部分をセラミック層で保護することにより調理時や保管時における傷の発生による破損を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】調理器を構成する各層の接合状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 調理食品
2 多孔質体
3 接合層
4 緩衝部材
5 緩衝層
6 表面層
7 中間層
8 セラミック層
9 調理面
10 孔隙
Claims (6)
- 調理食品を加熱して調理する際に使用される調理器であって、
前記調理食品を保持するように所定形状に形成された多孔質体からなる黒鉛基体と、前記黒鉛基体の前記調理食品に接触する調理面側に形成され、該調理面に露出した孔隙に進入する低分子量のフッ素樹脂からなる接合層とを有しており、
衝撃を吸収する緩衝部材が分散されたフッ素樹脂からなる緩衝層と、前記緩衝層の表面に形成されたフッ素樹脂からなる表面層とを前記接合層の表面側にさらに有したことを特徴とする調理器。 - 前記表面層は、低分子量および高分子量のフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の調理器。
- 前記接合層と前記緩衝層との間に、該緩衝層に用いたフッ素樹脂と同一種類のフッ素樹脂からなる中間層をさらに有したことを特徴とする請求項1または2記載の調理器。
- 前記接合層の表面を凹凸状に形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の調理器。
- 調理食品を加熱して調理する際に使用される調理器であって、前記調理食品を保持するように所定形状に形成された多孔質体からなる黒鉛基体と、前記黒鉛基体の前記調理食品に接触する調理面側に形成され、該調理面に露出した孔隙に進入する低分子量のフッ素樹脂および高分子量のフッ素樹脂からなる接合層とを有したことを特徴とする調理器。
- 前記黒鉛基体の調理面以外にセラミック層をさらに有したことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の調理器。
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