JP2000189315A - 電磁加熱調理容器およびその製造方法 - Google Patents

電磁加熱調理容器およびその製造方法

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JP2000189315A JP10369315A JP36931598A JP2000189315A JP 2000189315 A JP2000189315 A JP 2000189315A JP 10369315 A JP10369315 A JP 10369315A JP 36931598 A JP36931598 A JP 36931598A JP 2000189315 A JP2000189315 A JP 2000189315A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高出力の電磁加熱調理器で長時間の使用が可能
で、かつ高価で資源の少ない銀を使用しない安価な電磁
加熱調理容器およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 カオリン、ペタライト等の陶磁器原料生
地を材料厚さ8mm、平らな面の底面が直径25cmの
容器に成形し、1190℃で焼成した。次に、この底部
外面上に外径20cm、内径10cmの環状パターン
で、ニッケル粉末80重量%、ガラス粉末20重量%の
ペーストを作成して塗布厚50ミクロンの金属質層を形
成し、その上にガラス粉末のペーストを塗布厚100ミ
クロンにスクリーン印刷して保護層で被覆した。次に、
30℃の水中を通過した水素25%と窒素75%の混合
ガス中で、最高温度1000℃で2時間焼成して、発熱
層を設けた電磁加熱調理容器を製作した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高出力の電磁加熱
調理器に対応できる陶磁器またはガラス製の電磁加熱調
理容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁発熱用に利用される鍋やフラ
イパン等の調理容器としては、低熱膨張のリチウム珪酸
塩を含むリチアセララミックスや結晶化ガラス製の鍋や
フライパンの底部外側面に、金属銀粉末を主成分とした
ペーストを塗布し、さらにその上に保護のためのガラス
粉末を主成分としたペーストを塗布し、800℃前後の
温度で焼成して製作されるものが知られている。しかし
ながら、このような電磁調理容器は、長時間使用すると
底部の銀を含む発熱層が変色したり、さらには剥離する
こともあり、耐久性に問題を有するため家庭用、業務用
として普及しにくい面があった。
【0003】また、この欠点は電磁加熱調理器の出力が
高出力でなる程顕著であり、近年我が国でも電力の20
0V化が進む中、200V対応の高出力タイプ調理器へ
の適応は不可能であり、また住宅の高層化が進み電磁調
理容器の需要が高まるにもかかわらず、無害で美しい陶
磁器質の調理容器への応用が制限されるという好ましく
ない事情があった。
【0004】この原因には、使用する銀の融点が960
℃と比較的低いのにもかかわらず、調理加熱時に発熱層
が300℃以上の温度になり、銀の燒結が進みすぎて容
器母体やコートとの接触面積が減少し、かつ銀の熱膨張
率が大きいため熱膨張歪も大きく、銀と容器母体あるい
はコートとに剥離が起こりやすいものと考えられる。ま
た、銀自体は、材料費が高くコストアップになり、資源
的にも豊富ではなく、大量に消費される民生用調理容器
への使用は、資源保護の点からも好ましくなかった。
【0005】また、近年、住宅や食堂の高層化が進みガ
スや石油による加熱調理が安全上好ましくなく、電気エ
ネネルギーによる効率の良い電磁加熱調理容器が歓迎さ
れつつある状況から、高出力の電磁加熱調理容器に適応
する陶磁器あるいはガラス製の調理容器の開発が要請さ
れるに至っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、こような背
景のもと、上記の問題点を解決するためになされたもの
であり、高出力の電磁加熱調理器で長時間の使用が可能
で、かつ高価で資源の少ない銀を使用しない安価な電磁
加熱調理容器およびその製造方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決した本発
明の第1の電磁加熱調理容器は、セラミック質調理容器
の底部外面に、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、
タングステン、およびこれら金属の合金のうちより選ば
れた1種以上の金属粒子により導電性を有する発熱層
と、その発熱層の外面を被覆するセラミック質保護層と
を一体に具備していることを特徴とするものである。
【0008】さらに、上記問題を解決した本発明の第2
の電磁加熱調理容器は、セラミック質調理容器の底部外
面に、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングス
テン、およびこれら金属の合金のうちより選ばれた1種
以上の金属粒子により導電性を有する発熱層が形成され
たセラミック質プレートと、そのセラミック質プレート
の外面を被覆するガラス質を含むセラミック質保護層と
を一体に具備していることを特徴とするものである。
【0009】また、上記問題を解決した本発明の第1の
電磁加熱調理容器の製造方法は、セラミック質調理容器
の底部外面に、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、
タングステン、およびこれら金属の合金のうちより選ば
れた1種以上の金属粒子と無機質バインダを主成分とす
る金属・無機質組成物からなる金属質層を付着させる金
属質層形成工程、その外面をセラミック質組成物を主成
分とする保護層で被覆する保護層形成工程、および非酸
化性雰囲気中において1000℃〜1400℃の範囲の
最高温度で前記金属粒子含有層と保護層とを前記調理容
器の底部外面に一体に焼結させる焼成工程を含むことを
特徴とするものである。
【0010】また、上記問題を解決した本発明の第2の
電磁加熱調理容器の製造方法は、セラミック質調理容器
の底部外面に、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデンお
よびこれら金属の合金のうちより選ばれた1種以上の金
属粒子と無機質バインダを主成分とする金属・無機質組
成物からなる金属質層を付着させる金属質層形成工程、
その外面をガラス粉末を主成分とする保護層で被覆する
保護層形成工程、および非酸化性雰囲気中において80
0℃〜1200℃の範囲の最高温度で前記金属質層と保
護層とを前記調理容器の底部外面に一体に焼結させる焼
成工程を含むことを特徴とするものである。
【0011】さらに、上記問題を解決した本発明の第3
の電磁加熱調理容器の製造方法は、予めセラミック質調
理容器の底部外面形状に対応させてセラミック質プレー
トを準備するプレート製作工程、これに鉄、ニッケル、
コバルト、モリブデン、タングステン、およびこれら金
属の合金のうちより選ばれた1種以上の金属粒子と無機
質バインダを主成分とする金属・無機質組成物からなる
金属質層を付着させる金属質層形成工程、その外面をセ
ラミック質組成物を主成分とする保護層で被覆する保護
層形成工程、非酸化性雰囲気中において1000℃〜1
400℃に範囲の最高温度で前記金属質層と保護層とを
前記セラミック質プレートに一体に焼結させる焼成工
程、および得られたセラミック質プレートを前記セラミ
ック質調理容器の底部外面に接合する接合工程を含むこ
とを特徴とするものである。
【0012】さらに、上記問題を解決した本発明の第4
の電磁加熱調理容器の製造方法は、予めセラミック質調
理容器の底部外面形状に対応させてセラミック質プレー
トを準備するプレート製作工程、これに鉄、ニッケル、
コバルト、モリブデンおよびこれら金属の合金のうちよ
り選ばれた1種以上の金属粒子と無機質バインダを主成
分とする金属・無機質組成物からなる金属質層を付着さ
せる金属質層形成工程、その外面をガラス粉末を主成分
とする保護層で被覆する保護層形成工程、非酸化性雰囲
気中において800℃〜1200℃の範囲の最高温度で
前記金属質層と保護層とを前記セラミック質プレートに
一体に焼結させる焼成工程、および得られたセラミック
質プレートを前記セラミック質調理容器の底部外面に接
合する接合工程を含むことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の、第1発明の電磁加熱調
理容器の実施形態について、第1、第2発明であるその
製造方法の実施形態とともに説明する。第1発明の電磁
加熱調理容器の要点は、セラミック質調理容器と、その
加熱面である底部外面に焼き付けられた、鉄、ニッケ
ル、コバルト、モリブデン、タングステン、およびこれ
ら金属の合金のうちより選ばれた1種以上の金属粒子か
ら実質的に構成され導電性を有する発熱層と、それを被
覆するセラミック質保護層との組合せからなる。
【0014】そして、本発明の第1、第2の電磁加熱調
理容器の製造方法は、次の工程を含むものである。 金属質層形成工程:セラミック質調理容器の底部外面
に、鉄、ニッケル、コバルト、、モリブデン、タングス
テン、およびこれら金属の合金のうちより選ばれた1種
以上の金属粒子と無機質バインダを主成分とする金属・
無機質組成物からなる金属質層を付着させる工程。(第
2の製造方法ではタングステンを含まない。) 保護層形成工程:その外面をセラミック質組成物を主
成分とする保護層で被覆する工程。(第2の製造方法で
はガラス質を用いる。) 焼成工程:非酸化性雰囲気中において1000℃〜1
400℃の範囲の最高温度で前記金属粒子含有層と保護
層とを前記調理容器の底部外面に一体に焼結させる焼成
工程。(第2の製造方法では800〜1200℃)
【0015】まず、セラミック質調理容器に使用され得
る材質としては、一般の陶磁器または結晶化ガラスが応
用可能であるが、特に電磁加熱調理容器では、調理時に
は底部に焼き付けられた発熱層の急激な温度上昇に伴
い、調理容器の部位によっては急激な温度差が生じるの
で、熱膨張係数が大きいと割れてしまう。このため、本
発明に使用する調理容器は、熱膨張係数が4×10-6
℃以下であることが好ましい。
【0016】また、同時に調理容器の材質としては安価
で緻密であることが重要であり、このためにペタライト
等のリチウム珪酸塩とコージライトの少なくともどちら
かを主成分とするセラミック質が最も適しており、特に
ペタライト等のリチウム珪酸塩とコージライトの両方を
含むセラミック質としては、本発明者が先に出願した特
願平8−206066号、特願平8−238844号、
特願平9−4825号に提案したセラミック質を利用す
るのが好適である。
【0017】次に発熱層について説明する。発熱層は、
次に述べるような金属粒子によって実質的に構成するこ
とにより導電性を有する層として前記調理容器の底部外
面に焼き付けられ密着している。そして、この発熱層に
含有させる金属としては、銀よりも高い融点の金属であ
って、上記調理容器のセラミック質の焼成温度として想
定される最高温度1400℃以下で適度に燒結し、かつ
水素ガスあるいは窒素ガスからなる非酸化性雰囲気中に
おいて金属の状態で存在しうることが重要であり、発熱
金属材料として鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、
タングステンまたはこれらの合金から選ばれる1種また
は2種以上の金属の組合せが適当である。
【0018】この発熱層は、金属質層形成工程において
前記調理容器本体に形成され後記の焼成工程を経て完成
する。そして、製作時および電磁調理器として使用時
に、発熱層とこれらが焼き付けられる容器本体との熱膨
張歪による発熱層の剥離現象を防ぐことが大切であり、
そのためにはこれら金属の粉末に、上記容器本体と同材
質のセラミック質生地または熱膨張率の小さいセラミッ
ク質を形成する陶磁器生地またはガラスなどの無機質バ
インダ粉末を添加した金属・無機質組成物を適用するの
が好ましい。従って、容器本体にペタライト等のリチウ
ム珪酸塩とコージライトの少なくともどちらかを主成分
とするセラミック質が用いられる場合には、この無機質
バインダとしてもこれに同一かまたは類似したセラミッ
ク質を適用するのが最適である。
【0019】なお、金属粉末に対する前記無機質バイン
ダの添加量は、金属粒子100重量部に対して10〜5
0重量部が適当であり、無機質バインダが少ないと上記
の剥離が生じるおそれがあり、多すぎると電気抵抗が大
きくなり発熱効率が著しく低下する。
【0020】これら金属と無機質バインダとは、電気抵
抗、塗布厚さ、焼成温度、焼成雰囲気、熱膨張率、陶磁
器あるいはガラスとの濡れ性などを考慮してブレンドす
る。塗布の方法としては、金属・無機質組成物をペース
トにしてスクリーン印刷、および転写手法が応用でき、
あるいはスラリーとなしこれをシート成形して貼り合わ
せるなどの方法が、適宜応用可能である。そして、電気
抵抗とコストを考慮し最終的に得られる発熱層の厚さは
0.03〜0.5mmの範囲に設定するのが適当であ
る。また,その形状パターンは、調理容器底部の形状の
対応させればよく、円形底面に対しては通常、円形パタ
ーンまたは中心を空白に抜いた幅広い環状パターンに塗
布形成する。
【0021】また、前記金属質層を形成するためのペー
ストやスラリー状の金属・無機質組成物には適量の有機
バインダーを加えることは有効であり、焼成前の金属質
層の強度を高め密度を上げる他、焼成中に金属粉末の酸
化を防ぐ効果があり、焼成雰囲気ガスの使用量を節約で
きる利点も期待できる。
【0022】この金属質層は、電磁調理容器の加熱面と
なる底部外側面に形成され、後記の焼成工程を経て発熱
層となるのであるが、調理容器本体が陶磁器製の場合に
は、本体の調理容器自体は、焼成済であっても未焼成で
あっても構わないが、未焼成の調理容器本体を対象に金
属質層を形成して、金属質層と調理容器本体とを同時に
焼成するようにすると、コストにおいて有利となる。
【0023】また、金属材料としては、発熱への影響が
少なければ後記の焼結後に金属に変化する金属化合物の
使用も可能であり、炭化物とか、水素雰囲気中で還元さ
れる場合はこれらの酸化物に置き換えても適用すること
もできる。特に、本発明の電磁加熱調理容器の製造方法
においては、金属・無機質組成物に使用する金属の一部
または全部を金属酸化物の形態で、例えばニッケルにつ
いては酸化ニッケルの形態で供給するとともに、焼成工
程を還元性雰囲気中、例えば水素ガスを利用した雰囲気
中、で行うものとした方法に好ましく具体化することが
できる。
【0024】さらに、金属材料の種類は、最終的な焼結
温度に応じて選択するが、焼成済の陶磁器あるいは結晶
化ガラスからなる調理容器本体を用い、後記保護層とし
てガラス質を同時に焼きつける場合には、鉄、ニッケ
ル、コバルト、モリブデンおよびそれら金属の合金から
選択した1種またはそれ以上を主成分にするのが良く、
適度な金属の燒結性とガラスの反応などを考慮し、焼結
温度を最高温度800〜1200℃として焼結する、本
発明の第2の製造法が適用できる。
【0025】また、後記の保護層として、先のガラス質
に代えて、陶磁器質の保護層とする場合には、金属材料
として鉄、ニッケル、コバルト、モリブテンの他、タン
グステンなどが適用可能となり、また焼結温度は、陶磁
器質保護層の適正な焼結温度に合わせて、1000〜1
400℃の範囲とするのがよい。
【0026】次に、前記発熱層を被覆する保護層につい
て説明する。本発明に使用する発熱金属は、卑金属であ
るため空気に触れた状態では、空気中の酸素と反応して
ある程度酸化するのは避けられない。本発明では、この
酸化を防止でき、調理容器の寿命を大幅に伸ばすことを
可能とする保護層は必須とするものである。
【0027】その材質は、空気を遮断し剥離しにくい点
を考慮すると、容器本体との熱膨張差が小さく熱歪みの
小さいこと、前記発熱層の焼付け温度で緻密な構造が得
られるものであることが必要であり、陶磁器質またはガ
ラス質が適宜適用可能である。しかし、焼成中の発熱層
や調理容器との好ましい反応を考慮すると、容器本体の
セラミック質と同一、または類似の材質が好ましい。な
お、陶磁器質保護層としては、ペタライトなどのリチウ
ム珪酸塩およびまたはコージライトを主成分とし、熱膨
張係数が4×10-6/℃以下の低熱膨張性セラミックス
であるか、またはそれら低熱膨張性セラミックスを形成
する組成物から形成するのが特に好適である。
【0028】この保護層を形成するには、前記材料をペ
ーストやスラリー状にして前記発熱層を被覆した状態に
スクリーン印刷する、あるいはシート状に成形してか
ら、それを貼り付ける方法が利用できる。またその厚さ
も特に限定されることがないが、少なくとも0.05m
m以上に設定すれば目的を達することができる。
【0029】次に、前記金属質層と保護層とを調理容器
本体に焼結して一体化する焼成工程について説明する。
この焼成工程は、前記金属質層と保護層のそれぞれを調
理容器本体とともに加熱して、強固な組織に変化させる
とともにそれぞれを調理容器本体に結合させて一体化さ
せる他、その金属質層を所定の導電性を備えた発熱層に
形成するにある。
【0030】従って、この焼成工程では、焼成中に金属
質層内の金属粒子が酸化されない配慮が不可欠である。
このため、加熱装置内の雰囲気が重要な要素であり、雰
囲気としては水素を含む還元性ガス雰囲気、または窒素
等の不活性ガス等からなる非酸化性雰囲気が必要とな
る。なお、本発明では、非酸化性雰囲気には、水素を含
む還元性ガス雰囲気をも含む用語として用いている。
【0031】ここで、不活性ガスの場合には、少量の酸
素が混入しても金属が酸化し易くなるため、酸素濃度を
ごく微量に抑えなければならず、結果高価な不活性ガス
を多く必要とするので、コスト面においては水素を含む
還元性ガスが優れている。特に、金属粒子が、ニッケ
ル、コバルト、モリブテン、タングステンの場合には、
焼結以前に酸化された部分があっても、水素ガスにより
容易に還元されて金属状態に復帰する性質があるので、
品質に大きく影響しない程度の酸素の混入許容量が認め
られるという利点がある。
【0032】また,この焼成工程の最高温度は、金属・
無機質組成物の構成金属に鉄、ニッケル、コバルト、モ
リブデン、タングステン、およびこれら金属の合金のう
ちより選ばれた1種以上としたときには、保護層を構成
するセラミック質組成物の好適な焼成温度に合わせて1
000℃〜1400℃の広い範囲から選ぶことができ
る。そして、使用金属を鉄、ニッケル、コバルト、モリ
ブデンおよびこれら金属の合金のうちより選ばれた1種
以上とし、保護層をガラス粉末から構成するときには、
その温度を比較的低温域の800℃〜1200℃の範囲
にすることもできる。
【0033】このようにして、第1および第2の発明の
電磁加熱調理容器の製造方法に記載の金属質層形成工
程、保護層形成工程、および焼成工程を経て、第1の発
明の電磁加熱調理容器を得ることができる。かくして得
られた本発明の電磁加熱調理容器は、発熱層の金属が高
温度耐久性に優れているので、従来の銀を使用した場合
に比較して、電磁加熱調理器の高出力の電磁加熱を受け
ても品質の劣化が少なく長期の使用に耐えるものとな
る。
【0034】しかし、前記の第1および第2の発明によ
って得られる電磁加熱調理容器の場合、発熱層の金属材
料が銀と比較してその材料費が安価になるものの、一方
では、水素や窒素等の焼結操作時の雰囲気ガスにかかる
コストが増加し、体積の大きい鍋等の品物の場合にはそ
のコストが全体のコストを押し上げるという問題が予測
される。このような問題は、次に説明する第2の発明の
電磁加熱調理容器、ならびに第3および第4の発明の電
磁加熱調理容器の製造方法により解決することができる
のである。
【0035】本発明の第3、第4の電磁加熱調理容器の
製造方法は、次の工程を含む。 プレート製作工程:予めセラミック質調理容器の底部
外面形状に対応させてセラミック質プレートを準備する
工程。 金属質層形成工程:これに鉄、ニッケル、コバル
ト、、モリブデン、タングステン、およびこれら金属の
合金のうちより選ばれた1種以上の金属粒子と無機質バ
インダを主成分とする金属・無機質組成物からなる金属
質層を付着させる工程。(第4の製造方法はタングステ
ンを含まない。) 保護層形成工程:その外面をセラミック質組成物を主
成分とする保護層で被覆する工程。(第4の製造方法は
ガラス質保護層とする) 焼成工程:非酸化性雰囲気中において1000℃〜1
400℃に範囲の最高温度で前記金属質層と保護層とを
前記セラミック質プレートに一体に焼結させる焼成工
程。(第4の製造方法は800〜1200℃) 接合工程:得られたセラミック質プレートを前記セラ
ミック質調理容器の底部外面に接合する工程。
【0036】まず、熱膨張率の低い耐熱性陶磁器或いは
結晶化ガラス等を用いて、鍋等のセラミック質調理容器
の本体を製作する。陶磁器質の場合は予め焼成してお
く。次に、上記本体とほぼ熱膨張率が等しい耐熱性陶磁
器質または結晶化ガラス質の薄いセラミック質プレート
を作る。耐熱性陶磁器質の場合は焼成前の段階でも良
い。プレートの厚さは特に指定しないが、作業性や焼成
時の反り歪みを考慮し1.0mm以上が好ましい。その
外形形状は、セラミック質調理容器の底部外面形状に対
応させておけばよく、容器底形状が円形であれば円形の
プレートとすればよい。
【0037】次に、このセラミック質プレートの表面に
金属質層と保護層を形成するのであるが、ここに採用す
る方法は、先に第1または第2の発明として説明した金
属質層形成工程、保護層形成工程の方法における調理容
器本体に代えてこのセラミック質プレートを対象とする
方法がそのまま適用可能である。
【0038】さらに、第1または第2の発明における焼
成工程を、同様に調理容器本体に代えてこのセラミック
質プレートを対象として適用すれば、セラミック質プレ
ートの表面に発熱層とそれを被覆する保護層を一体化し
た発熱層付セラミック質プレートを得ることができる。
この場合、プレートの材質が耐熱性陶磁器質の場合、プ
レート自体の焼成と発熱体を得るための焼成とを同時に
行うようにすれば、焼成工程が1回で済むので焼成コス
トは極めて有利となるが、反面、焼成時に大きな反り変
形が生じることもあるので、そのような場合には、個別
の焼成を行うのが適当となる。
【0039】また、セラミック質プレートを予め個別に
焼成しておくと、プレートの焼成温度をより高く、発熱
層や保護層の焼成温度をより低くするように差を設ける
ことができ、この差が大きい程発熱層や保護層の焼成時
の反り変形が小さくなる傾向にある。そこで、反り変形
を少なく止めるためには、本発明の第4の発明である電
磁加熱調理容器の製造方法にあるような金属質層形成工
程と保護層形成工程に従って、予め焼成したセラミック
質プレートに所定の金属粒子を含有する金属・無機質組
成物で金属質層を形成し、その上にガラス質の保護層で
被覆してから、最高温度800〜1200℃の範囲で比
較的低い温度で焼成する方法が良い。
【0040】しかし、熱膨張の調整やコートの厚さを重
要に考える場合は、保護層は陶磁器質、例えばペタライ
トなどを用いたリチウム磁器質生地を用いた方が好まし
い。その場合には、発熱層と保護層に対する焼成工程の
最高焼成温度は、セラミック質プレートの焼成温度より
100℃程度低い温度に設定し、それに合わせた材料構
成を採用することで、反り変形を低減させることができ
る。
【0041】この第3、第4の発明の焼成工程では、雰
囲気ガスのコストが高い非酸化性雰囲気での焼成ではあ
るものの、被焼成物は、単なる板状プレートに過ぎない
で体積が小さく、一度に大量に焼成でき、雰囲気ガスコ
ストの占める割合は小さいものとなり、第1または第2
の発明の製造方法に比べて大幅なコストダウンが可能と
なる。
【0042】更に、耐熱性陶磁器質で保護層を構成した
場合には、仮に反りが大きくても平滑なセラミック板で
この発熱層付プレートを挟み、荷重を載せ、好ましくは
非酸化性雰囲気中で先の焼成温度よりも低いが荷重で反
りが直る程度に軟化するものの相互のプレートが融着し
ない適度な温度で焼成すれば、反り変形を修正すること
ができる。この場合でも、プレート板を複数枚重ね合わ
せればよいので、体積が小さく、雰囲気ガスコストは低
いものとなる。
【0043】つぎに、接合工程について述べると、先
ず、容器本体の発熱面となる底部外面または得られた発
熱層付プレートの接合面に耐熱性の無機接着材を塗布す
る。この無機接着材は、熱膨張係数が容器本体と同様に
小さいことが重要で、その構成成分である骨材成分と接
着成分のうち、骨材成分としては、ペタライト等のリチ
ウム珪酸塩粉末かコージライト等の熱膨張率の小さい結
晶粉末が好ましい。
【0044】また、熱膨張率はこれらよりもやや大きい
が炭化珪素や窒化珪素や窒化アルミ等の粉末も使用も可
能であり、これらの方が熱伝導も良く応力歪に対しても
抵抗力が強いが、接合工程の高温での熱処理や調理時の
ヒータの過熱時などに徐々に酸化する可能性があるので
配合量などを考慮する必要がある。
【0045】また、接着成分は、珪酸と酸化ナトリウム
を主成分とする水ガラス、あるいはコロイダルシリカな
どの水溶液のいずれも適用できる。これらは、セメント
のように高温で脆くならず、少量でも接着力が強く、接
着部分が高密度に構成され、低温で接着できるため安価
で熱歪を小さくできる等の特長が多い。特に水ガラスは
接着力が強力で強固な接着に適しており、無機接着材と
して保存性に優れていて、コロイダルシリカより実用的
である。また、低融点ガラスも利用できなくはないが、
酸化鉛を含む場合が多いので本発明のような食器として
も用途には適当ではない。
【0046】次に、この接着材を介して容器本体と発熱
層付プレートを貼り合わせる。このとき、接着材の内部
に大きな気泡を巻き込むと熱伝導率が低下し加熱エネル
ギー伝達の効率が悪くなるうえ、水分が滲み込んだよう
なときには加熱時に沸騰して破損のおそれもあるため、
大きな気泡を巻き込まないように接着することが重要で
あり、このために、プレートを押圧しながら緩やかに回
転させたり、あるいは対象物を真空下に配置して接合す
るなどの操作を行うのが好ましい。
【0047】次に、この接合強度を強固なものにするた
め、接着した対象物を加熱し接着剤を硬化、あるいは溶
融、固化させる。水ガラスまたはコロイダルシリカを用
いた場合の最高加熱温度は、その種類によって200〜
800℃の範囲で選択できるが、温度が低く硬化が不充
分であると、強度不足となったり気孔が多くなったり
し、水ガラスの場合には水に溶けやすくなるなどの不都
合が生ずる。また、温度が高すぎると骨材との反応が進
みすぎ、接着剤の熱膨張率が大きくなり、剥離などの原
因になる。
【0048】かくして、本発明の第2の発明の電磁加熱
調理容器である、セラミック質調理容器の底部外面に、
鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、
およびこれら金属の合金のうちより選ばれた1種以上の
金属粒子により導電性を有する発熱層が形成されたセラ
ミック質プレートと、そのセラミック質プレートの外面
を被覆するセラミック質保護層とを一体に具備している
電磁加熱調理容器を得ることができるのである。
【0049】
【実施例】(実施例1)カオリン、ペタライト等を主原
料とする耐熱陶磁器原料生地を準備する。この生地は、
特願平9−4825号出願の明細書記載のものに準拠す
るもので、1150℃で吸水率がほぼ0となり、熱膨張
係数は2.5×10-6である。この生地を材料厚さ8m
m、平らな面の底面が直径25cmの鍋の形状に成形
し、1190℃で焼成した。
【0050】次に、この底部外面上に外径20cm、内
径10cmの環状パターンで、ニッケル粉末80重量
%、ガラス粉末20重量%のペーストを作成して塗布厚
70ミクロンになるようにスクリーン印刷して金属質層
を形成し、その上にガラス粉末のペーストを塗布厚10
0ミクロンになるようにスクリーン印刷して保護層で被
覆した。次に、窒素100%のガス中で、最高温度10
00℃で2時間焼成して、発熱層を設けた電磁加熱調理
容器を製作した。この調理容器に一定量の水を入れ、2
00v、2kwの電磁調理容器で加熱して昇温速度を調
べ、かつ1時間加熱と1時間冷却を20回繰り返して外
観変化(破損と色調の変化)を調べたところいずれも問
題がなかった。
【0051】(実施例2)カオリン、ペタライト等を主
原料とする耐熱陶磁器原料生地を準備する。この生地
は、特願平8−206066号出願の明細書記載のもの
に準拠するもので、1260℃で吸水率がほぼ0とな
り、熱膨張係数は1.2×10-6である。この生地を、
厚さ8mm、平らな面の底部が直径25cmの鍋の形に
成形した。
【0052】次に、この調理容器の底部外面に、表1に
示す金属・無機質組成物のペーストを、外径23cm内
径12cmの環状形状にスクリーン印刷して、表1に示
す塗布厚の金属質層を形成した。次に、この金属質層を
覆うように上記耐熱陶磁器原料をペースト化したものを
スクリーン印刷と乾燥を繰り返し被覆し、厚さ0.3m
mの保護層を形成した。次に、30℃の水中を通過させ
た水素25%と窒素75%の混合ガス中で、最高温度1
290℃で2時間焼成し、発熱層を設けた電磁加熱調理
容器を製作した。
【0053】次に、この調理容器の中に一定量の水を入
れ、200v、2kwの電磁調理器で加熱して昇温速度
を調べ、かつ1時間加熱と1時間冷却を20回繰り返し
て外観変化(破損と色調の変化)を調べたところ、表1
に示す結果を得た。この結果によれば、試料 NO.1-1 、
NO.1-5に若干の不具合が認められたが、実用上支障が生
じるものではなかった。
【0054】
【表1】 Mo W NiO 欄:各金属 (NiO は酸化物)の粉末の重量%
を示す。 BID.欄:無機質バインダの重量%を示す。この実施例で
は、容器に用いたリチウム磁器生地と同じ生地の乾燥物
を用いた。 ATM 欄:混合は、水素25%と窒素75%の混合ガスを
示す。 昇温速度、外観変化の欄:○は異常なし、△はやや遅
い、またはやや変色ありを意味する。
【0055】(実施例3)カオリン、ペタライト等を主
原料とする耐熱陶磁器原料生地を準備する。この生地
は、特願平9−4825号出願の明細書記載のものに準
拠するもので、1150℃で吸水率がほぼ0となり、熱
膨張係数は2.3×10-6である。この生地を用いて、
厚さ8mmで底面が直径25cmの平らな面の調理容器
を成形した。次に、この容器の底部外面に、表2に示す
金属・無機質組成物のペーストを外径23cm、内径1
2cmの環状形状にスクリーン印刷して、塗布厚100
μmの金属質層を形成した。
【0056】次に、この金属質層を覆うように上記耐熱
陶磁器原料生地をペースト化したものをスクリーン印刷
と乾燥とを繰り返し行い、厚さ0.3mmの保護層を形
成した。次いでこれらを、30℃の水中を通過させた水
素25%と窒素75%の混合ガス、または窒素100%
のガスのいずれかの雰囲気中で、最高温度1190℃で
2時間焼成し、発熱層を設けた電磁加熱調理容器を製作
した。
【0057】このようにして得た調理容器の中に一定量
の水を入れ、200v、2kwの電磁調理器で加熱して
昇温速度を調べ、かつ1時間加熱と1時間冷却を20回
繰り返して外観変化(破損と色調の変化)を調べたとこ
ろ、表2に示すように、すべての試料において何等の不
具合も生じるものではなかった。
【0058】
【表2】 Ni Fe Co Mo の欄:各金属の粉末の重量%を示す。 BID.欄:無機質バインダの重量%を示す。この実施例で
は、容器に用いたリチウム磁器生地と同じ生地の乾燥物
を用いた。 ATM 欄:窒素は、窒素100%の雰囲気ガスを示す。 昇温速度、外観変化の欄:○は異常なしを意味する。
【0059】(実施例4)カオリン、ペタライト等を主
原料とする耐熱陶磁器原料生地を準備する。この生地
は、1150℃で吸水率がほぼ0となり、熱膨張係数は
2.5×10-6である。この生地を成形して厚さ2.4
mmのセラミック質シートを作成し、外径を直径24c
m、内径を直径10cmの環状に切り取り、これを空気
中1180℃で2時間焼成し、更に、平らなアルミナ板
で挟みつけながら1100℃で1時間焼成して反り変形
を小さく修正した焼成済みセラミック質シートを得た。
【0060】次にこのセラミック質シート上に外径20
cm、内径10cmのパターンで、ニッケル粉末80重
量%、ガラス粉末20重量%のペーストを作成して、塗
布厚70μmになるようにスクリーン印刷して金属質層
を形成した。そして、その上にガラス粉末のペーストを
塗布厚100μmになるようにスクリーン印刷して金属
質層を被覆してから、次に、窒素100%の雰囲気中
で、最高温度1000℃で2時間焼成して発熱層付きの
セラミック質シートを製作した。
【0061】そして、このセラミック質シートと同じ原
料生地を用いて成形、焼成して実施例3の場合に同形状
の容器を予め用意しておき、この底部外面に、骨材成分
としてペタライトとコージライトあるいは窒化珪素など
の粉末を、接着成分として珪酸ナトリウム30%水溶液
である水ガラス3号とコロイダルシリカを40%含むシ
リカゾルとを、表3に示す比率で混合して得た無機接着
材を塗布した。次いで、先に製作した発熱層付きのセラ
ミック質シートを、シート面を接着材側にして重ね合わ
せ、真空中でシート部分を緩やかに回転させ空気を抜き
取り、乾燥後、400℃の温度で1時間加熱して、接着
材を十分に硬化させた。
【0062】このようにして得た調理容器の中に一定量
の水を入れ、200v、2kwの電磁調理器で加熱して
昇温速度を調べ、かつ1時間加熱と1時間冷却を20回
繰り返して外観変化(破損と色調の変化)を調べたとこ
ろ、表2に示すように、すべての試料において何等の不
具合も生じるものではなかった。
【0063】
【表3】
【0064】(実施例5)カオリン、ペタライト等を主
原料とする耐熱陶磁器原料生地を準備する。この生地
は、1150℃で吸水率がほぼ0となり、熱膨張係数は
2.5×10-6である。この生地を、平らな面の底部が
直径25cmで厚さ8mmの鍋状容器に成形した後、空
気中1180℃で2時間焼成し陶磁器質調理容器を製作
した。次に、1250℃で吸水率がほぼ0となり、熱膨
張係数は2.2×10-6となる生地を成形して厚さ2.
4mmのシートを作成し、空気中1280℃で2時間焼
成し、更に平らなアルミナ板に挟みつけながら1180
℃で1時間焼成して反りを小さく修正した焼成済みセラ
ミック質シートを得た。
【0065】このシート上に、表−2、NO.2-6の粉末組
成のペーストを外径20cm、内径10cmの形状でス
クリーン印刷して厚さ80μmの金属質層を形成した。
次に、この金属質層上に、この容器生地と同じ成分の陶
磁器原料生地のペーストを0.3mmの厚さに塗布し保
護層とした。次に、30℃の水中を通過した水素25%
と窒素75%の混合ガス中で、最高温度1190℃で2
時間焼成した後、更にこれを平らなアルミナ磁器板で挟
みながら、窒素ガス中で荷重をかけて1120℃で1時
間焼成し、反りを小さく修正して、発熱層付きセラミッ
ク質シートを得た。
【0066】次に、先に製作した容器の底部外面に、表
3のNO.3-1の成分の無機接着材を塗布し、その上に先の
発熱層付きセラミック質シートを重ね合わせ、真空中で
回転して挟みこまれた空気を抜き取った後、乾燥し、4
00℃の温度で1時間加熱して、接着材を十分に硬化さ
せて、電磁加熱調理容器を得た。
【0067】このようにして得た調理容器の中に一定量
の水を入れ、200v、2kwの電磁調理器で加熱して
昇温速度を調べ、かつ1時間加熱と1時間冷却を20回
繰り返して外観変化(破損と色調の変化)を調べたとこ
ろ、表2に示すように、すべての試料において何等の不
具合も生じるものではなかった。
【0068】(実施例6)カオリン、ペタライト等を主
原料とする耐熱陶磁器原料生地を準備する。この生地
は、1260℃で吸水率がほぼ0となり、熱膨張係数は
1.2×10 -6である。この生地を成形し、平らな面の
底面が直径25cm、厚さ8mmの鍋形状の容器を形成
し、空気中1290℃で2時間焼成し陶磁器質容器を製
作した。次に、この生地に成形助剤バインダー加えたも
のを押し出して平板に成形し、更にロールで引き伸ばし
て厚さ2.0mm、0.6mmのシートを作成した。
【0069】そして、モリブテン粉末85重量%、上記
生地を乾燥したものを15重量%の割合で混合したペー
ストを準備し、これを、先の厚さが2.0mmのシート
に外径23cm、内径12cmの環状形状でスクリーン
印刷して塗布厚80μmの金属質層を形成した。次に、
この金属質層を覆うように上記耐熱陶磁器原料生地をペ
ースト化したものをスクリーン印刷して被覆した後、こ
の上に先に準備した他の厚さ0.6mmのシートを重ね
合わせて一体化して金属質層を内在した複合シートを作
成した。
【0070】次に、これらを、30℃の水中を通過した
水素25%と窒素75%の混合ガス中で、最高温度12
90℃で2時間焼成し、更にこれを平らなアルミナ磁器
板で挟みながら、荷重をかけて前記に同じ混合ガス中で
1180℃で1時間焼成し、反りを小さく修正して、発
熱層付きセラミック質シートを製作した。
【0071】次に、先に準備した鍋状容器の底部外面上
に表3、NO.3-3の成分の無機接着材を塗布し、その上に
先の発熱層付きセラミック質シートを重ね合わせ、真空
中で回転して挟みこまれた空気を抜き取った後、乾燥し
てから500℃で1時間加熱して接着材を十分に硬化さ
せ、電磁加熱調理容器を製作した。
【0072】このようにして得た調理容器の中に一定量
の水を入れ、200v、2kwの電磁調理器で加熱して
昇温速度を調べ、かつ1時間加熱と1時間冷却を20回
繰り返して外観変化(破損と色調の変化)を調べたとこ
ろ、表2に示すように、すべての試料において何等の不
具合も生じるものではなかった。
【0073】
【発明の効果】本発明の陶磁器質またはガラス質の電磁
加熱調理容器およびその製造方法は、詳記したように、
発熱金属体に融点が低く高価な銀を使用しないでニッケ
ル等の比較的融点が高く、かつ安価な卑金属を使用する
ので、銀の場合よりも高出力の電磁調理器に適合可能で
安価なものとなる。本発明により従来の陶磁器やガラス
製の電磁調理容器の高出力化が可能になりかつ耐久性も
向上し、高層ビル内の厨房用に限らず一般業務用あるい
は家庭用としても普及させ得るセラミック質電磁加熱調
理容器を提供するもにとして、本発明はその技術的価値
は大なるものがある。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック質調理容器の底部外面に、
    鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、
    およびこれら金属の合金のうちより選ばれた1種以上の
    金属粒子により導電性を有する発熱層と、その発熱層の
    外面を被覆するセラミック質保護層とを一体に具備して
    いることを特徴とする電磁加熱調理容器。
  2. 【請求項2】 セラミック質調理容器の底部外面に、
    鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、
    およびこれら金属の合金のうちより選ばれた1種以上の
    金属粒子と無機質バインダを主成分とする金属・無機質
    組成物からなる金属質層を付着させる金属質層形成工
    程、その外面をセラミック質組成物を主成分とする保護
    層で被覆する保護層形成工程、および非酸化性雰囲気中
    において1000℃〜1400℃の範囲の最高温度で前
    記金属質層と保護層とを前記調理容器の底部外面に一体
    に焼結させる焼成工程を含むことを特徴とする電磁加熱
    調理容器の製造方法。
  3. 【請求項3】 セラミック質調理容器の底部外面に、
    鉄、ニッケル、コバルト、モリブデンおよびこれら金属
    の合金のうちより選ばれた1種以上の金属粒子と無機質
    バインダを主成分とする金属・無機質組成物からなる金
    属質層を付着させる金属質層形成工程、その外面をガラ
    ス粉末を主成分とする保護層で被覆する保護層形成工
    程、および非酸化性雰囲気中において800℃〜120
    0℃の範囲の最高温度で前記金属質層と保護層とを前記
    調理容器の底部外面に一体に焼結させる焼成工程を含む
    ことを特徴とする電磁加熱調理容器の製造方法。
  4. 【請求項4】 セラミック質調理容器の底部外面に、
    鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、
    およびこれら金属の合金のうちより選ばれた1種以上の
    金属粒子により導電性を有する発熱層が形成されたセラ
    ミック質プレートと、そのセラミック質プレートの外面
    を被覆するセラミック質保護層とを一体に具備している
    ことを特徴とする電磁加熱調理容器。
  5. 【請求項5】 予めセラミック質調理容器の底部外面形
    状に対応させてセラミック質プレートを準備するプレー
    ト製作工程、このセラミック質プレートの表面に、鉄、
    ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、およ
    びこれら金属の合金のうちより選ばれた1種以上の金属
    粒子と無機質バインダを主成分とする金属・無機質組成
    物からなる金属質層を付着させる金属質層形成工程、そ
    の外面をセラミック質組成物を主成分とする保護層で被
    覆する保護層形成工程、非酸化性雰囲気中において10
    00℃〜1400℃の範囲の最高温度で前記金属質層と
    保護層とを前記セラミック質プレートに一体に焼結させ
    る焼成工程、および得られたセラミック質プレートを前
    記セラミック質調理容器の底部外面に接合する接合工程
    を含むことを特徴とする電磁加熱調理容器の製造方法。
  6. 【請求項6】 予めセラミック質調理容器の底部外面形
    状に対応させてセラミック質プレートを準備するプレー
    ト製作工程、このセラミック質プレートの表面に、鉄、
    ニッケル、コバルト、モリブデンおよびこれら金属の合
    金のうちより選ばれた1種以上の金属粒子と無機質バイ
    ンダを主成分とする金属・無機質組成物からなる金属質
    層を付着させる金属質層形成工程、その外面をガラス粉
    末を主成分とする保護層で被覆する保護層形成工程、非
    酸化性雰囲気中において800℃〜1200℃の範囲の
    最高温度で前記金属質層と保護層とを前記セラミック質
    プレートに一体に焼結させる焼成工程、および得られた
    セラミック質プレートを前記セラミック質調理容器の底
    部外面に接合する接合工程を含むことを特徴とする電磁
    加熱調理容器の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のセラミ
    ック質調理容器、セラミック質保護層、セラミック質組
    成物、およびセラミック質プレートが、ペタライトなど
    のリチウム珪酸塩およびまたはコージライトを主成分と
    し、熱膨張係数が4×10-6/℃以下の低熱膨張性セラ
    ミックスであるか、またはそれら低熱膨張性セラミック
    スを形成する組成物である電磁加熱調理容器またはその
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1および4に記載の発熱層が、前
    記金属粒子分100重量部に対して、10〜50重量部
    のリチウム珪酸塩およびまたはコージライトを主成分と
    するセラミックス質、またはガラス質を含むものである
    電磁加熱調理容器。
  9. 【請求項9】 請求項2、3および5、6に記載の金属
    ・無機質組成物が、前記金属粒子分100重量部に対し
    て、10〜50重量部のリチウム珪酸塩およびまたはコ
    ージライトを主成分とするセラミックス質バインダ、ま
    たはガラス質バインダを含むものである電磁加熱調理容
    器の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項5、6に記載のセラミック質プ
    レートの接合工程において、ペタライトなどのリチウム
    珪酸塩、コージライトおよび窒化珪素の1種以上の低熱
    膨張質粉末と珪酸ナトリウムおよびまたはコロイダルシ
    リカとを主成分とする無機質接着材を介在させて接合す
    る電磁加熱調理容器の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項2、3、5、6、7、9、10
    のいずれかに記載の電磁加熱調理容器の製造方法におい
    て、金属・無機質組成物に使用する金属の一部または全
    部を金属酸化物の形態で供給するとともに、焼成工程を
    還元性雰囲気中で行うものとした電磁加熱調理容器の製
    造方法。
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