JP2007261842A - Niセラミック複合体及びその製造方法 - Google Patents

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哲也 大谷
Ryuzo Takai
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Abstract

【課題】高電導かつ低熱膨張の材料を提供しようとし、また、従来の陶磁器材と一体的に複合が可能な高電導かつ低熱膨張の材料を提供しようとする。
【解決手段】βユークリプタイト、焼成によりβユークリプタイトとなる組成物、から選択される被焼成成分、融材およびNiを主成分とする焼成前駆体が焼成されてなり、焼成された焼成物中の、塩基性成分とAl2O3とのモル比が3:7〜3:1であるNiセラミック複合体である。また、焼成されて陶磁器材となる陶磁器焼成用前駆体と、前記Niセラミック複合体の焼成に用いられる前記焼成前駆体とが複合された被焼成物を焼成してなり、陶磁器材と前記Niセラミック複合体とが、互いの境界面で焼結状態で結合して複合されてなる複合陶磁器である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、Niセラミック複合体に関する。とくには、電磁調理用の容器に好適に用いられるNiセラミック複合体とその製造方法に関する。
通常、陶磁器は導電性がなく誘導加熱によって加熱されることはないので、電磁調理用の容器としては一時期金属製のものに限られていたが、電磁調理可能な陶磁器製の容器が開発されてきた。一例としては、陶磁器製の容器の外底面に金属板をはめ込んだもの(例えば、特許文献1参照)や、Ag、Al、Ni、Cu、等の金属粉末入りペーストを塗布して薄膜導電層を被着形成したもの(例えば、特許文献2、3参照)がある。さらには、ZrB等の導電性セラミックを低膨張セラミックに混ぜたもの(例えば、特許文献4参照)が知られている。
Ag、Al、Cu等の金属粉末入りペーストを塗布して薄膜導電層を被着形成したものはその融点が低いので熔融断線のおそれがあり、耐久性に問題がある。また、焼成品に再加工して導電層を形成するので製造コストがかかる。
金属板や炭素板などの導電板を容器の外底にはめこむ態様は、陶磁器部分との接合の部分に熱膨張差や接着強度に関する問題がある。
ZrB等の導電性セラミックを低膨張セラミックに分散させる手法も最終的な製品は外底部にはめ込みとなり、上記と同じ問題を抱える。また、焼成雰囲気が制限されるので製造コストがかかる。
さらに、これらはいずれも外底部に金属板や炭素板が露出しているため、見た目が通常の陶磁器製のいわゆる土鍋とは異なる。また、底部の発熱体が露出もしくは耐熱塗料等で塗装されているため、直火での使用ができない。
また、電子機器に用いる素子として集積度の増大にともない低熱膨張のものが求められており、そのための高電導かつ低熱膨張の材料が求められている。とくに集積度の増大のため、セラミック基板と一体化が可能な高電導かつ低熱膨張の材料が求められている。
特開平1−89496号公報 実開昭55−31220号公報 特開平1−157088号公報 特開2002−167266号公報
本発明の目的は、高電導かつ低熱膨張の材料を提供しようとすることである。
また、本発明の目的は、従来の陶磁器材と一体的に複合が可能な高電導かつ低熱膨張の材料を提供しようとすることである。
本発明の要旨とするところは、
βユークリプタイト、焼成によりβユークリプタイトとなる組成物、から選択される被焼成成分、
融材、
およびNi
を主成分とする焼成前駆体が焼成されてなり、
焼成された焼成物中の、塩基性成分とAl2O3とのモル比が3:7〜3:1である
Niセラミック複合体であることにある。
前記塩基性成分は、CaO、MgO、BaO、SrO、Li2O、Na2O、K2O、ZnO、PbO、B2O5、Bi2O3の群から選択される1または複数であり得る。
前記被焼成成分及び融材、と前記Niとの重量比は、1:10〜4:1であり得る。
また、本発明の要旨とするところは、焼成されて陶磁器材となる陶磁器焼成用前駆体と、前記Niセラミック複合体の焼成に用いられる前記焼成前駆体とが複合された被焼成物を焼成してなり、陶磁器材と前記Niセラミック複合体とが、互いの境界面で焼結状態で結合して複合されてなる複合陶磁器であることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、陶磁器製の加熱調理用容器であって、該加熱調理用容器の底壁に前記Niセラミック複合体が層状に複合されてなる誘導加熱調理用容器であることにある。
前記誘導加熱調理用容器においては、前記底壁が内がわ表面にセラミックからなる保護層を備え得、外がわ表面にセラミックからなる最外層を備え得、前記Niセラミック複合体の層が前記保護層と前記最外層のあいだに位置し得る。
また、本発明の要旨とするところは、
前記Niセラミック複合体の焼成に用いられる前記焼成前駆体を含む焼成用前駆体を準備する工程、
還元性物質を主成分とする焼成用補助物体を準備する工程、
該焼成用補助物体の近傍に前記焼成用前駆体を位置させる工程、
該焼成用補助物体と、該焼成用補助物質体の近傍に位置させた前記焼成用前駆体とを加熱して該焼成用前駆体を焼成する工程
を含むNiセラミック複合体の焼成方法であることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、
前記Niセラミック複合体の焼成に用いられる前記焼成前駆体を準備する工程、
該被焼成物を焼成する工程
を含み、
前記焼成前駆体が還元性物質を含有することを特徴とするNiセラミック複合体の焼成方法であることにある。
前記還元性物質は炭素であり得る。
さらにまた、本発明の要旨とするところは、
前記複合陶磁器の焼成に用いられる前記被焼成物を準備する工程、
該被焼成物を焼成する工程
を含み、
前記被焼成物が還元性物質を含有することを特徴とする複合陶磁器の焼成方法であることにある。
前記複合陶磁器の焼成方法においては、前記還元性物質が炭素であり得る。
本発明によると、高電導かつ低熱膨張のNiセラミック複合体が提供される。
本発明によると、従来の陶磁器材と一体的に複合が可能な高電導かつ低熱膨張のNiセラミック複合体が提供される。
本発明によると、誘導加熱素子をはめ込むことや接着剤により接着することを必要とせず、また、誘導加熱素子との熱膨張差による耐久性の不良の問題がない、誘導加熱調理用容器が提供される。
本発明によると、直火での使用もできる誘導加熱調理用容器が提供される。
本発明によると、見た目が通常の陶磁器製のいわゆる土鍋と同じ誘導加熱調理用容器が提供される。
本願発明者は、高電導かつ低熱膨張の材料開発を目指し、また、従来の誘導加熱調理用容器における前記の問題点を解決するために、陶磁器と一体的に複合が可能なNiセラミック複合体の開発を目指し、導電性の高い遷移金属、遷移金属炭化物、遷移金属チッ化物及びそれらの合金からなる群から選択される導電性物質と低膨張セラミック及びCa化合物等のアルカリ土類金属化合物、アルカリ金属化合物、Mg化合物、及びZn化合物からなる群から選択される物質とを混合し、1200℃前後で焼成して、高性能なNiセラミック複合体の開発に成功した。
本発明のNiセラミック複合体の製造に用いられる前記導電性物質としてはNiが最も好ましい。
Niは、低電気抵抗、耐酸化性、耐炭化性、融点、熱膨張などの点から総合的に好ましいが、単体の線熱膨張率が13.3×10−6/Kであり、電磁調理器で使用できる陶磁器の線熱膨張率である−1×10−6/K〜3×10−6/Kと大きく異なるため、単にNiを素地に混合して焼成したのでは熱膨張の差により焼成時あるいは使用時に破損してしまう。また、Niを板状にした場合は、陶磁器との接着性が悪い。
この点に鑑みて本発明においては、低膨張セラミックあるいはその組成物とNiとの混合物を焼成してなる混合複合体が用いられる。低膨張セラミックとしては500℃における線熱膨張率が2.0×10−6/K以下のセラミックでなければならない。セラミックの500℃における熱膨張率が2.0×10−6/Kをこえると、混合複合体を電磁調理器で使用できる陶磁器の線熱膨張率2.0×10−6/Kに近づけることが不可能であるからである。
これらの点に鑑みて、低膨張セラミックのなかでも、βユークリプタイトは線熱膨張率が−7.0×10−6/Kと負の値を有し、Niとの混合複合体の線熱膨張率を従来の土鍋用に用いられる陶磁器にきわめて近づけることができ好ましいことがわかった。
さらに、本発明においては、βユークリプタイトもしくは焼成によりβユークリプタイトとなる組成物とNiとのみからなる混合物を焼成して得た焼成物は、Niセラミック複合体としての充分な導電性を有さないことがわかった。本発明においては、混合物に、βユークリプタイトもしくは焼成によりβユークリプタイトとなる組成物とNiに加えて融材が添加される。βユークリプタイトまたはその組成物と、Niと、融材とを含む混合物を焼成することにより、充分な高導電性と低熱膨張性を備えた本発明のNiセラミック複合体が得られることが見出された。
融材は融点の低いセラミックである。あるいは、焼成すべきセラミックに添加することにより焼成物の溶融を促す塩基性成分である。融材としては天然のセラミックであってもよい。合成物であってもよい。例示するならば、アルカリ土類金属化合物、アルカリ金属化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、硼素化合物、鉛化合物、ビスマス化合物から選択される1または複数種の化合物が挙げられる。あるいはこれらのいずれかを所定量含む岩石、例えば、ペタライト、長珪石が挙げられる。融材は釉薬の成分として用いられるその他の岩石や化合物であってもよい。これらの成分は単独であるいは上記のうちの複数種が用いられる。アルカリ土類金属化合物あるいはアルカリ金属化合物を含む岩石としては特に限定されないが、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムあるいはドロマイトがコストや入手のしやすさから好適に用いられる。
本発明のNiセラミック複合体は、これらの諸物質が所定の割合で混合された焼成前駆体を焼成して得られる。即ち、具体的には、本発明のNiセラミック複合体は、
βユークリプタイト、焼成によりβユークリプタイトとなる組成物、から選択される被焼成成分、
融材、
およびNi
を主成分とする焼成前駆体が焼成されてなる。
焼成された焼成物中の、塩基性成分とAl2O3とのモル比は3:7〜3:1である。
焼成前駆体にはCMC(カルボキシルメチルセルロース)等の糊剤やその他の一般の陶磁器の用の生地に用いられる各種の助剤が含まれていてもよい。
前記被焼成成分及び融材(両者の総重量)、と前記Niとの重量比は1:10〜4:1であることが好ましい。この重量比は容積比に換算すると大略1:3〜15:1となり、この容積比は、Niセラミック複合体中における低膨張セラミック相とNiとの占有体積の比率にほぼ等しい。この低膨張セラミック相は前記被焼成成分及び融材の焼成により生成された相である。
塩基性成分とは、一般のガラスに含有されたときにガラス構成成分となり得る成分であって、ガラス構成成分となったときに、他の成分に電子を与えるルイス塩基として作用する成分である。具体的には、CaO、MgO、BaO、SrO、Li2O、Na2O、K2O、ZnO、PbO、B2O5、Bi2O3の群から選択される1または複数が例示される。
前記被焼成成分のLi2O、Al2O3、SiO2のモル比が略1:0.5〜1:0.5〜3であることにより、焼成後のNiセラミック複合体中にはβユークリプタイトと塩基性成分との固溶体が形成されていると推定され、これにより、Niセラミック複合体の低熱膨張と、緻密な構造による高電導性が実現できた。ちなみに、βユークリプタイトのLi2O、Al2O3、SiO2のモル比は1:1:2である。
前記組成物としては、例えばβユークリプタイトそのものの粉末を用いてもよい。あるいは、例えばカオリナイト粉末(Al2Si2O5(OH)4)と炭酸リチウム粉末(Li2O)の混合粉末であってもよい。この場合、組成物中のLi2O、Al2O3、SiO2のモル比が略1:1:2になるようにカオリナイト粉末と炭酸リチウム粉末とが混合される。
また、前記組成物中のLi2OにかえてこのLi2Oと同当量のLi塩やLi塩基が用いられてもよい。
焼成後のNiセラミック複合体中の、塩基性成分とAl2O3とのモル比が3:7〜3:1の範囲を超えて、塩基性成分の比率が小さくなると、焼成体の構造の溶融緻密化が不十分で、Niセラミック複合体の高電導性が実現できない。焼成後のNiセラミック複合体中の、塩基性成分とAl2O3とのモル比が3:7〜3:1の範囲を超えて、塩基性成分の比率が大きくなると、焼成体の構造の溶融緻密化が不十分で、Niセラミック複合体の高電導性が実現できない。また、焼成後にひびわれが生ずる。あるいは焼成体を誘導加熱体として使用したときにひびわれが生ずる。
本発明のNiセラミック複合体は、低熱膨張、高電導性を要求される電子機器に広く適用することができる。例えばコンデンサ素子用の材料や抵抗素子用の材料として用いることができる。本発明のNiセラミック複合体によるこれらの材料は、従来のセラミック絶縁基板と一体に焼き付け成形が可能であり、電子機器の高集積化に大きく寄与する。
前記被焼成成分及び融材、とNiとの重量比は、1:10〜4:1の範囲をはずれてNiの比率が大きくなると、得られたNiセラミック複合体は、一般のセラミックと複合させた場合には熱膨張率が過大であり好ましくない。この重量比が1:10〜4:1の範囲をはずれてNiの比率が小さくなると、得られたNiセラミック複合体は導電率の値が不安定になる場合がある。
また、本発明のNiセラミック複合体は、誘導加熱発熱体として好適に用いることができる。この場合、前記被焼成成分及び融材、とNiとの重量比は1:10〜2:1であることが好ましい。この重量比がこの範囲をはずれてNiの比率が大きくなると、得られたNiセラミック複合体は熱膨張率が過大となり誘導加熱発熱体としては好ましくない。この重量比がこの範囲をはずれてNiの比率が小さくなると、得られたNiセラミック複合体は発熱量が誘電加熱体としては不充分である。
とくに、βユークリプタイトもしくは焼成によりβユークリプタイトとなる組成物100重量部に対して炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムあるいはドロマイトを20〜50重量部配合された混合物と、この混合物20〜60重量部に対してNiを40〜60重量部配合して得た焼成前駆体を1200℃で焼成して得たNiセラミック複合体は、陶磁器製土鍋に要求される−1×10−6〜3×10−6程度の線熱膨張率の焼成物であり、発熱量が誘電加熱調理用容器として充分であり、さらに好ましい。
土鍋に用いられるNiセラミック複合体としては、焼成後のNiセラミック複合体中の、塩基性成分とAl2O3とのモル比が2:1〜5:4であり、前記被焼成成分及び融材、とNiとの重量比が3:5〜6:5であることが好ましい。
本発明のNiセラミック複合体は所定の形状に成形された焼成前駆体を焼成用前駆体として焼成して焼成体となし、所定の装置における所定の位置に配してNiセラミック複合体として用いることができる。あるいは図1に示すように、従来の陶磁器材20とNiセラミック複合体2とが互いの境界面で焼結状態で結合して複合された複合陶磁器4として用いることができる。複合陶磁器4は、陶磁器20が焼成される前の陶磁器焼成用前駆体と、Niセラミック複合体2が焼成される前の焼成前駆体とが合体されて複合された被焼成物を焼成用前駆体として焼成して得ることができる。この陶磁器焼成用前駆体は、未焼成の素地であってもよい。あるいは素焼きされたものであってもよい。あるいは既に一度焼成された焼き物であってもよい。
複合陶磁器4は、少量のNiセラミック複合体2が例えば層状あるいは塊状で従来の陶磁器材20に複合することができる。これにより、機械的な強度を保つためにNiセラミック複合体2を必要以上に大きくする必要がなく、従来の陶磁器材20の部分で機械的な強度を保ちつつ必要充分な誘導加熱量を得ることができる。また、従来の陶磁器材20は任意の形状に成形することができるので、Niセラミック複合体2の形状にかかわらず、従来の陶磁器材20の部分で複合陶磁器4を用途に合わせた形状に成形することができる。
Niセラミック複合体2は従来の陶磁器材20の表面に複合されてもよいが、図2に示すように、従来の陶磁器材20の内部に埋め込まれた状態で複合されてもよい。
Niセラミック複合体2は図3に示すよう従来の陶磁器材20、21の層の間にサンドイッチ状に挟まれて複合されてもよい。従来の陶磁器材20と従来の陶磁器材21とは同質であってもよい。互いに異質であってもよい。
本発明においては、従来の土鍋用陶磁器が焼成される前の陶磁器焼成用前駆体の内底壁にNiセラミック複合体用の前記の焼成前駆体をスラリー状あるいはペースト状にして塗布、乾燥して被焼成物となし、この被焼成物を焼成することにより、図4に示すように、従来のセラミックからなる基体22の底壁の内表面に本発明のNiセラミック複合体の層6が複合されてなる誘導加熱調理用容器44が得られる。
Niセラミック複合体の層6の厚さは焼成前駆体の塗布量により調整することができる。誘導加熱調理用容器44として好ましいNiセラミック複合体の層6の厚さは10〜2000μmである。300〜1000μmであることが調理に充分な発熱量を確保しかつ、Niの使用量が必要以上とならない点でさらに好ましい。
このNiセラミック複合体の層6の表面には保護層14としてセラミックの層8が形成されていることが好ましい。セラミックの層8は、従来の土鍋用陶磁器が焼成される前の陶磁器焼成用前駆体の内底壁に前記の焼成前駆体をスラリー状あるいはペースト状にして塗布、乾燥したのち、さらに、その上にセラミックの素地を泥状にしたものあるいは通常の釉薬を塗布してなる被焼成物を焼成することにより形成することができる。セラミックの層8が釉そのものの層でない場合は、セラミックの層8に施釉することが好ましい。
これにより、図4に示すように、底壁が、Niセラミック複合体の層6が従来の陶磁器材層10と他の従来の陶磁器材層(保護層14)とで挟まれたサンドイッチ構造をなす、複合陶磁器44を得ることができる。
すなわち、図4に示す誘導加熱調理用容器44は、前記底壁が内がわ表面にセラミックからなる保護層14を備え、外がわ表面にセラミックからなる最外層15(セラミックの層8)を備え、前記Niセラミック複合体の層6が保護層14と最外層15のあいだに位置する。
このようにして得られた誘導加熱調理用容器44は、外底面にNiセラミック複合体の層6が露出していないので、外観上は従来の土鍋とかわらない。また、Niセラミック複合体の層6は従来の陶磁器材の部分と焼結状態で結合しており、従来の誘導加熱調理用容器のように本体とNiセラミック複合体との接着や機械的接合の耐久性が問題になることはない。さらに、直火で容器の底を加熱することもできる。
誘導加熱調理用容器は外底面にNiセラミック複合体が配されても使用可能であるが、内底面あるいは底壁の肉の内部に配されることが耐久性のうえで好ましい。底壁の肉の内部に配されることが耐久性や外観のうえでさらに好ましい。
また、誘導加熱調理用容器44は、内底の最外層として従来の陶磁器材あるいは釉からなる保護層を形成することができるので、内面がわも従来の土鍋とかわらないものにすることができる。
本発明の誘導加熱調理用容器は製造上も、従来の銀転写方式におけるように土鍋焼成後に低温で再焼成する必要もなく、1工程での焼成で済むこともできるので、製造工程の短縮が可能である。さらに、焼成は、アルゴンガスや窒素ガスのような特殊な雰囲気を必要とせず、大気の雰囲気で行うことができるので、従来の一般の陶磁器用の焼成設備をそのまま用いることができ、焼成のための設備投資を必要としない。
また、本発明の誘導加熱調理用容器は、Niセラミック複合体が薄い保護層を間にするだけで内底面に配されているので、外底面に発熱体を配した従来の誘導加熱調理用容器にくらべて加熱効率がよい。この保護層の厚さは0.01mm以上とすることができる。さらに、保護層が薄いので、調理加熱時に水などの内容物でNiセラミック複合体が冷却されやすいので、加熱時のNiセラミック複合体の温度上昇が従来の誘導加熱調理用容器にくらべて少ないので、Niセラミック複合体の耐用期間が長い。
またさらに、本発明の誘導加熱調理用容器は、外底面に発熱体がないので、過加熱センサーの過剰反応による誤作動が少ない。かつ、底部が異常発熱を起こさないので誘導加熱調理用容器における陶磁器本体の損傷も少ない。
本発明の誘導加熱調理用容器は、原材料に関して、従来のAg使いのものにくらべて安価である。
本発明のNiセラミック複合体あるいはこのNiセラミック複合体を用いた複合陶磁器の焼成は還元焼成の雰囲気で行われることが好ましい。この焼成の態様の一例を図5に示す。図5において、Niセラミック複合体の焼成前駆体、あるいは複合陶磁器の焼成用前駆体即ちNiセラミック複合体の焼成前駆体48と陶磁器の陶磁器焼成用前駆体49との複合体からなる、焼成用前駆体50を準備する。一方、上方が開口された容器62の内底面に炭素等の還元性物質を主成分とする還元材52を焼成用補助物体として層状に敷き詰める。次いで、焼成用前駆体50の底部を容器62の上縁に渡すように載置して焼成用前駆体50を還元材52の上方に位置させる。焼成用前駆体50は還元材52の層に密着させて載置されることが好ましい。容器62の上縁にめざらをわたして焼成用前駆体50をそのめざらに載置してもよい。この状態で焼成用補助物体としての還元材52と焼成用前駆体50とを加熱し、焼成用前駆体50を焼成する。加熱は、焼成炉54の中でバーナーや電気ヒータのような不図示の加熱源を用いて行われる。
かかる態様の焼成により、Niセラミック複合体が炭素等の還元性物質の作用で還元雰囲気で焼成される。
還元材52は粉末状であることが敷き詰めの容易さのうえでは好ましい。還元材52としてはコークスや木炭の粉が挙げられる。還元材52の構成物質としては炭素を主成分とする物質が好ましい。この点で還元材52としてはコークス粉末が好ましい。焼成用補助物体としては板状や塊状の炭素等の還元性物質であってもよい。
還元性物質は、前記焼成前駆体や前記陶磁器焼成用前駆体中や前記保護層に含有されていてもよい。例えば、陶磁器焼成用前駆体49を構成する素地、保護層14の素地、あるいはNiセラミック複合体6の素地に含有されていてもよい。さらに具体的には、炭素を主成分とする粉末状の還元性物質がその素地に予め練り込まれていてもよい。あるいは、墨汁等の炭素微粒の分散液をその素地にしみこませることにより炭素微粒を素地に含有させてもよい。
還元性物質は、焼成前駆体や陶磁器焼成用前駆体よりも酸化し易い物質であり、炭素のほかにアルミニウム、シリコン等の還元性金属や原子が例示される。また、還元性物質は、その物質を構成する元素を分子構造の要素として含む有機物として、被焼成物や焼成前駆体や陶磁器焼成用前駆体に含有されていてもよい。さらに、還元性物質が還元性金属である場合は、イオン状態や、分子状態で前記被焼成物や前記焼成前駆体や前記陶磁器焼成用前駆体中に含有されていてもよい。
200メッシュのNi粉末50g、200メッシュのβユークリプタイト30g、ドロマイト粉末8g、炭酸バリウム2g、CMC 0.27gを乾式混合したのち水22gを加え遊星ミルで300rpm×30min混合粉砕したものを発熱体用ペーストとした。このペーストを従来の土鍋の素焼品の内底面に均一に塗布して乾燥させた。一方、200メッシュのペタライト、金剛カオリン粉末20g、CMC 0.2gを乾式混合したのち水25gを加え遊星ミルで300rpm×30min混合粉砕したものを保護層用ペーストとして、発熱体用ペーストを塗布乾燥した土鍋の素焼品の内底面に塗布し、充分乾燥させた。さらに、この保護層用ペーストの乾燥した層の上に通常の土鍋用の釉薬を塗布し乾燥させた。
上記工程後この土鍋の素焼品を図3に示す態様でコークス粉末の層の上方に位置させ、大気中で1200℃まで8時間、その後1200℃で30min維持したのち自然冷却して誘導加熱調理用容器を得た。
得られた誘導加熱調理用容器に形成されたNiセラミック複合体の層の厚さは500μmであった。
この誘導加熱調理用容器の外観は内底面、外底面を含めて従来の土鍋とかわらなかった。この誘導加熱調理用容器に500ccの水を入れて200V、2.5kwの業務用電磁調理器にかけたところ室温状態から3分間で沸騰した。また、この誘導加熱調理用容器は、直火で調理する容器として使用することができた。
200メッシュのNi粉末50g、金剛カオリン粉末26g、炭酸リチウム粉末7.5g、石灰石粉末6.5g、CMC 0.27gを乾式混合したのち水22gを加え遊星ミルで300rpm×30min混合粉砕したものを発熱体用ペーストとしたほかは実施例1と同様にして誘導加熱調理用容器を得た。
この誘導加熱調理用容器の外観は内底面、外底面を含めて従来の土鍋とかわらなかった。この誘導加熱調理用容器に500ccの水を入れて200V、2.5kwの業務用電磁調理器にかけたところ室温状態から3分間で沸騰した。また、この誘導加熱調理用容器は、直火で調理する容器として使用することができた。
コークス粉末のかわりに木炭の粉を使用したほかは実施例1と同様にして誘導加熱調理用容器を得た。
この誘導加熱調理用容器の外観は内底面、外底面を含めて従来の土鍋とかわらなかった。この誘導加熱調理用容器に500ccの水を入れて200V、2.5kwの業務用電磁調理器にかけたところ室温状態から3分間で沸騰した。また、この誘導加熱調理用容器は、直火で調理する容器として使用することができた。
本願発明は上記実施例の態様に限定されるものではなく、また、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
本発明のNiセラミック複合体を用いた複合陶磁器の構成の態様の一例を示す断面模式図である。 本発明のNiセラミック複合体が複合された複合陶磁器の構成の態様の他の一例を示す断面模式図である。 本発明のNiセラミック複合体が複合された複合陶磁器の構成の態様のさらに他の一例を示す断面模式図である。 本発明のNiセラミック複合体が複合された誘導加熱調理用容器の構成の態様の一例を示す断面模式図である。 本発明のNiセラミック複合体を用いた複合陶磁器の焼成の態様を説明する説明図である。
符号の説明
2:Niセラミック複合体
4:複合陶磁器
8:セラミックの層
20、21:陶磁器材
14:保護層
15:最外層
44:誘導加熱調理用容器
48:焼成前駆体
49:陶磁器焼成用前駆体
50:焼成用前駆体
52:粒状体
54:焼成炉
62:容器

Claims (11)

  1. βユークリプタイト、焼成によりβユークリプタイトとなる組成物、から選択される被焼成成分、
    融材、
    およびNi
    を主成分とする焼成前駆体が焼成されてなり、
    焼成された焼成物中の、塩基性成分とAl2O3とのモル比が3:7〜3:1である
    Niセラミック複合体。
  2. 前記塩基性成分がCaO、MgO、BaO、SrO、Li2O、Na2O、K2O、ZnO、PbO、B2O5、Bi2O3の群から選択される1または複数である請求項1に記載のNiセラミック複合体。
  3. 前記被焼成成分及び融材、と前記Niとの重量比が1:10〜4:1である。請求項1又は2に記載のNiセラミック複合体。
  4. 焼成されて陶磁器材となる陶磁器焼成用前駆体と、請求項1乃至3のいずれかに記載のNiセラミック複合体の焼成に用いられる前記焼成前駆体とが複合された被焼成物を焼成してなり、陶磁器材と前記Niセラミック複合体とが、互いの境界面で焼結状態で結合して複合されてなる複合陶磁器。
  5. 陶磁器製の加熱調理用容器であって、該加熱調理用容器の底壁に請求項3に記載のNiセラミック複合体が層状に複合されてなる誘導加熱調理用容器。
  6. 前記底壁が内がわ表面にセラミックからなる保護層を備え、外がわ表面にセラミックからなる最外層を備え、前記Niセラミック複合体の層が前記保護層と前記最外層のあいだに位置する請求項5に記載の誘導加熱調理用容器。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載のNiセラミック複合体の焼成に用いられる前記焼成前駆体を含む焼成用前駆体を準備する工程、
    還元性物質を主成分とする焼成用補助物体を準備する工程、
    該焼成用補助物体の近傍に前記焼成用前駆体を位置させる工程、
    該焼成用補助物体と、該焼成用補助物質体の近傍に位置させた前記焼成用前駆体とを加熱して該焼成用前駆体を焼成する工程
    を含むNiセラミック複合体の焼成方法。
  8. 請求項1乃至3のいずれかに記載のNiセラミック複合体の焼成に用いられる前記焼成前駆体を準備する工程、
    該被焼成物を焼成する工程
    を含み、
    前記焼成前駆体が還元性物質を含有することを特徴とするNiセラミック複合体の焼成方法。
  9. 前記還元性物質が炭素である請求項7又は8に記載のNiセラミック複合体の焼成方法。
  10. 請求項4に記載の複合陶磁器の焼成に用いられる前記被焼成物を準備する工程、
    該被焼成物を焼成する工程
    を含み、
    前記被焼成物が還元性物質を含有することを特徴とする複合陶磁器の焼成方法。
  11. 前記還元性物質が炭素である請求項10に記載の複合陶磁器の焼成方法。

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