JP2016081608A - セラミックヒーターの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁層の剥離等が発生することなく、絶縁層が芯材にしっかりと密着したセラミックヒーターの製造方法を提供する。
【解決手段】円柱形状又は円筒形状の芯材と、該芯材の側面に形成された絶縁層と、上記芯材と上記絶縁層との間に介在された所定パターンのヒーター部及び給電部とからなるセラミックヒーターの製造方法であって、芯材用成形体作製工程と、配線パターン形成工程と、絶縁材料層を形成する絶縁材料層形成工程と、上記配線パターン及び上記絶縁材料層が形成された芯材用成形体の脱脂脱炭を行う脱脂脱炭工程と焼成工程とを含み、上記脱脂脱炭工程を終了した絶縁材料層中の炭素の含有率をX重量%、芯材用成形体中の炭素の含有率をY重量%とすると、X及びYが下記の(1)式の関係を満たすことを特徴とするセラミックヒーターの製造方法。Y/X≧2・・・(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックヒーターの製造方法に関する。
芯材とこの芯材を被覆する絶縁層との間に、高融点金属からなる抵抗発熱体が埋設されたセラミックヒーターは、自動車用の酸素センサーやグローシステム等における発熱源として、また、半導体加熱用ヒーター及び石油ファンヒーター等の石油気化器用熱源等として、広範囲に使用されている。
特許文献1には、このような用途に使用されるセラミックヒーターの製造方法が記載されており、具体的には、ヒーター部及び給電部となる配線パターンが形成された絶縁材料層を、円柱状等からなるセラミック基体に巻き付け、脱脂、焼成を行うことによりセラミックヒーターを製造する方法が開示されている。
特開平10−247581号公報
しかしながら、上記した特許文献1の方法によりセラミックヒーターを製造しようとする際、ヒーター部となる部分には、W、Mo等の金属を使用するため、焼成工程を酸化性雰囲気で行うと、金属が酸化してしまうおそれがある。そこで、通常は、不活性雰囲気又は還元雰囲気で焼成工程を行っていた。
しかしながら、上記した不活性雰囲気又は還元雰囲気で焼成を行うと、絶縁材料層中に含まれる有機バインダー等の有機分が分解し、わずかに炭素が残留することとなる。残留した炭素は、芯材や絶縁層の焼結阻害となるため除去し、芯材や絶縁層の焼結を行う。この焼結時、絶縁層に残留した炭素が芯材と同等または同等よりも多いと、同時又は先に芯材が収縮し、絶縁層と芯材の間に空間ができやすくなり、絶縁層がセラミック基材から剥離し易いという問題があった。
本発明は、上記課題に鑑み、製造工程において、絶縁層の剥離等が発生することなく、絶縁層が芯材にしっかりと密着したセラミックヒーターを製造することのできるセラミックヒーターの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明のセラミックヒーターの製造方法は、円柱形状又は円筒形状の芯材と、該芯材の側面に形成された絶縁層と、上記芯材と上記絶縁層との間に介在された所定パターンのヒーター部及び給電部とからなるセラミックヒーターの製造方法であって、芯材となる有機バインダーを含む芯材用成形体を作製する芯材用成形体作製工程と、芯材用成形体の側面にヒーター部及び給電部となる配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、上記ヒーター部となる部分が絶縁層に覆われ、上記給電部となる部分の一部が絶縁層から露出するように、上記芯材用成形体の側面に絶縁層となる有機バインダーを含む絶縁材料層を形成する絶縁材料層形成工程と、上記配線パターン及び上記絶縁材料層が形成された芯材用成形体の脱脂脱炭を行う脱脂脱炭工程と、脱脂脱炭工程を終了した上記配線パターン及び上記絶縁材料層を有する芯材用成形体の焼成を行う焼成工程とを含み、上記脱脂脱炭工程を終了した絶縁材料層中の炭素の含有率をX重量%、芯材用成形体中の炭素の含有率をY重量%とすると、X及びYが下記の(1)式の関係を満たすことを特徴とする。
Y/X≧2・・・(1)
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、上記脱脂脱炭工程を終了した絶縁材料層中の炭素の含有率をX重量%、芯材用成形体中の炭素の含有率をY重量%としたとき、Y/X≧2に設定していることから、焼成時において、絶縁層の焼結による緻密化が芯材の焼結による緻密化よりも早く進行する。その結果、絶縁層が芯材を外側から押さえつけながら焼結し、芯材に密着するため、絶縁層の芯材からの剥離が発生せず、耐久性に優れたセラミックヒーターを製造することができる。
(1)式のY/Xが2未満であると、焼成工程において、絶縁層中の炭素の含有率と芯材中の炭素の含有率との比が逆転し、縁層中の炭素の含有率よりも芯材中の炭素の含有率が低くなり、絶縁層の焼結による緻密化が芯材の焼結による緻密化よりも遅くなり、絶縁層が芯材に密着しにくくなるため、絶縁層の芯材からの剥離が発生しやすくなる。
(1)式のY/Xは、2以上であることが好ましいが、5以上であるがより好ましい。(1)式のY/Xは、5以上であると、絶縁層がよりしっかりと芯材に密着しながら焼結する。(1)式のY/Xは、5〜10であることがさらに好ましい。
上記セラミックヒーターの製造方法において、上記脱脂脱炭工程を終了した絶縁材料層中の炭素の含有率は、0〜2重量%であることが好ましく、0〜1重量%であることがより好ましい。一方、上記脱脂脱炭工程を終了した芯材用成形体中の炭素の含有率は、3〜10重量%であることが好ましく、4〜6重量%であることがより好ましい。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、上記脱脂脱炭工程において、加湿環元雰囲気下、80〜800℃で脱脂脱炭を行い、上記焼成工程において、加湿環元雰囲気下、1000〜1600℃で焼成を行うことが好ましい。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、脱脂脱炭工程及び焼成工程を、水蒸気を含む水素雰囲気等の加湿環元雰囲気下において行っているため、W、Mo等の金属の酸化を抑えながら、水蒸気により絶縁層中及び芯材中の有機バインダーを分解させ、絶縁層中及び芯材中の炭素を酸化脱炭させることができる。さらに、有機バインダーの種類及び量を選択する等により、絶縁層中及び芯材中のそれぞれの有機バインダー起因または材料中の炭素化合物起因による炭素の含有率をコントロールすることができ、脱脂脱炭工程終了後の絶縁層中の有機バインダー起因または材料中の炭素化合物起因等による炭素の含有率を、芯材中の有機バインダー起因または材料中の炭素化合物起因等による炭素の含有率の1/2以下とすることができる。
その結果、焼成工程を経ることにより、絶縁層が芯材に密着した耐久性に優れたセラミックヒーターを製造することができる。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、上記加湿環元雰囲気は、加湿水素雰囲気であることが好ましい。
加湿水素雰囲気とは、具体的には、窒素や水素をキャリアーとして、温度調整された水中でバブリングさせた水蒸気混合ガス雰囲気であり、露点以下でコントロールされる。
上記加湿水素雰囲気であれば、脱脂脱炭工程及び焼成工程において、絶縁層中及び芯材中の有機バインダー起因または材料中の炭素化合物起因による炭素の酸化を一定速度で行うことができ、絶縁層が芯材に密着したより耐久性に優れたセラミックヒーターを製造することができる。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、上記配線パターン形成工程において、弾性体からなる平板状の転写用部材の表面に、導体ペーストを用い、スクリーン印刷によりヒーター部及び給電部となる配線パターンを印刷する配線パターン印刷工程と、上記配線パターンが印刷された上記転写用部材の表面に芯材用成形体を転動させることにより、上記配線パターンを上記芯材用成形体の側面に転写する転写工程とを行う方法を採用することができる。
上記方法によれば、上記配線パターン印刷工程と上記転写工程とを採用することにより、比較的簡単に芯材用成形体の側面に、ヒーター部及び給電部となる配線パターンを形成することができ、上記セラミックヒーターを比較的簡単に製造することができる。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、上記配線パターン形成工程において、スクリーン印刷法を用い、上記芯材用成形体の側面に、直接、上記配線パターンを形成する方法も採用することができる。
上記方法によれば、配線パターンが形成されたマスクを芯材用成形体に当て、芯材用成形体を回転させながらスクリーン印刷を行う等の方法を採用することにより、比較的簡単に芯材用成形体の側面に、ヒーター部及び給電部となる配線パターンを形成することができ、上記セラミックヒーターを比較的簡単に製造することができる。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、上記配線パターン形成工程及び上記絶縁材料層形成工程において、絶縁層となる絶縁材料層表面にヒーター部及び給電部となる配線パターンをスクリーン印刷法により形成し、配線パターンが形成された絶縁材料層を上記芯材用成形体に巻きつけることにより、上記配線パターン形成工程及び上記絶縁材料層形成工程とを行う方法を採用することができる。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、上記絶縁材料層形成工程において、印刷により平板上に上記絶縁層となる絶縁材料層を形成した後、上記芯材用成形体の側面に上記絶縁材料層を巻き付けることが好ましい。
上記方法によれば、絶縁材料層を形成した後、上記絶縁層上を転動させることにより、簡単に絶縁材料層を芯材用成形体の側面に巻き付けることができる。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、上記露出した給電部の表面に導体層を形成する導体層形成工程をさらに行うことが望ましい。
導体層形成を形成することによって、露出した給電部の腐食が防止され、長期間の使用に適したセラミックヒーターとすることができる。
図1(a)は、本発明のセラミックヒーターを模式的に示した斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示した上記セラミックヒーターのA−A線断面図である。 図2は、本発明のセラミックヒーターの別の一例を模式的に示す斜視図である。 図3(a)は、第1の配線パターン形成方法における配線パターン印刷工程を模式的に示す側面図であり、図3(b)は、上記工程を模式的に示す平面図である。 図4(a)は、第1の配線パターン形成方法における転写工程を模式的に示す側面図であり、図4(b)は、上記工程を模式的に示す平面図である。 図5(a)は、第2の配線パターン形成方法における配線パターン形成工程の様子を模式的に示す上面図であり、図5(b)〜(d)は上記配線パターン形成工程を模式的に示すB−B線断面図である。 第1の配線パターン形成方法及び第2の配線パターンの形成方法を経て側面に配線パターンが転写された芯材用成形体を示す斜視図である。 図7(a)は、転写用部材の表面に形成された絶縁材料層を芯材用成形体に巻き付ける巻付工程を模式的に示す側面図であり、図7(b)は、上記工程を模式的に示す平面図である。
(発明の詳細な説明)
本発明のセラミックヒーターは、円柱形状又は円筒形状の芯材と、該芯材の側面に形成された絶縁層と、上記芯材と上記絶縁層との間に介在された所定パターンのヒーター部及び給電部とからなるセラミックヒーターである。
図1(a)は、本発明のセラミックヒーターを模式的に示した斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示した上記セラミックヒーターのA−A線断面図である。
図1に示したように、本発明のセラミックヒーター10においては、円筒形状の芯材11の側面にヒーター部13及び給電部14が設けられ、ヒーター部13の全部及び給電部14の一部以外の部分を被覆するように絶縁層12が形成されている。すなわち、ヒーター部13及び給電部14は、給電部14の一部を残して芯材11と絶縁層12との間に介在されている。
給電部14は、図1(a)において一番右側の部分が外部に露出した給電部14の一部である接続端子部15を有しており、この露出した接続端子部15を電源に接続することにより、ヒーター部13が発熱し、ヒーターとして機能する。図2は、本発明のセラミックヒーターの別の一例を模式的に示す斜視図であるが、図2に示すように、露出した接続端子部15にろう材を介してリード端子16が接続、固定されていてもよい。
絶縁層12は、焼成後の厚さが100〜500μmとなる厚さであり、絶縁層12の組成は特に限定されないが、Al を88〜95重量%、焼結助剤として、SiOを3〜10重量%、MgOを0.4〜1.0重量%、CaOを1.0〜2.5重量%を含有するアルミナセラミックからなることが好ましい。ただし、絶縁層12中には、絶縁層12を形成するための原料中に配合した有機バインダーに起因する炭素が残留している。
絶縁層12中に焼結助剤として、上記SiO等が含有されているのは、アルミナセラミックの焼結温度を余り上げずに緻密な焼結体を形成するために、上記した量のSiO、MgO等の焼結助剤が必要となるからである。
芯材11を構成する材料は、酸化物セラミックが挙げられ、そのなかでも、絶縁層の材料と同じアルミナを含むセラミックであることが好ましい。
アルミナを含むセラミックであると、絶縁層と熱膨張率が同じになるので、温度が変化してもクラック等が発生しにくい。
図1では、芯材11の形状は、中心部分に開口19が形成された円筒形状であるが、芯材11の形状は、円柱形状、円筒形状のいずれでもよい。芯材の直径は、2.5〜4mmであることが好ましい。また、円筒形状の中心に形成される開口19は、直径0.5〜1.5mmの間であることが好ましい。
ヒーター部13の抵抗発熱体を構成する高融点金属としては、例えば、W、Mo、Ta、Nb、Ti、Re、Ni、Cr等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、W、Reが好ましい。さらに、上記以外の成分として、Al 等のセラミックが少量含まれていてもよい。
給電部14を構成する部材もヒーター部13を構成する部材と同じ組成となっており、給電部14では、線幅を広げるか、複数本の線を並列で接続することにより、抵抗を低くしているため、発熱量は低い。
次に、本発明のセラミックヒーターの製造方法について説明する。
本発明のセラミックヒーターの製造方法は、円柱形状又は円筒形状の芯材と、該芯材の側面に形成された絶縁層と、上記芯材と上記絶縁層との間に介在された所定パターンのヒーター部及び給電部とからなるセラミックヒーターの製造方法であって、芯材となる有機バインダーを含む芯材用成形体を作製する芯材用成形体作製工程と、芯材用成形体の側面にヒーター部及び給電部となる配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、上記ヒーター部が絶縁層に覆われ、上記給電部となる部分の一部が絶縁層から露出するように、上記芯材用成形体の側面に絶縁層となる有機バインダーを含む絶縁材料層を形成する絶縁材料層形成工程と、上記配線パターン及び上記絶縁材料層が形成された芯材用成形体の脱脂脱炭を行う脱脂脱炭工程と、上記脱脂脱炭工程を終了した上記配線パターン及び上記絶縁材料層を有する芯材用成形体の焼成を行う焼成工程とを含み、上記脱脂脱炭工程を終了した絶縁材料層中の炭素の含有率をX重量%、芯材用成形体中の炭素の含有率をY重量%とすると、X及びYが下記の(1)式の関係を満たすことを特徴とする。
Y/X≧2・・・(1)
(1)芯材用成形体作製工程
芯材用成形体作製工程では、芯材となる有機バインダーを含む芯材用成形体を作製する。
芯材用成形体を形成するための原料組成物としては、Al 粒子を88〜95重量%、焼結助剤として、SiO 粒子を3〜10重量%、MgO粒子を0.4〜1.0重量%、CaO粒子を1.0〜2.5重量%を含有し、さらにバインダー樹脂と溶剤とを含有する粘土状のものを用いることができる。バインダー樹脂としては、絶縁層を形成するための原料組成物に添加するバインダー樹脂と比べて、焼成工程における残炭率が高いものが望ましく、例えば、メチルセルロース、PVA(ポリビニルアルコール)等が挙げられる。溶剤としては、水、アセトン、エタノール等が挙げられる。
芯材の材料としては、上記したセラミックヒーターの説明で例示した酸化物セラミック、窒化物セラミック、炭化物セラミック等が挙げられるので、芯材用成形体を形成するための原料組成物は、アルミナに代わり、上記材料を主成分とし、これらの材料にバインダー樹脂と溶剤とを適宜加えて調製する。
円柱形状又は円筒形状の芯材用成形体は、これらの原料組成物をニーダー等でよく混合した後、金型を用いて押出成形を行い、得られた連続体を所定の寸法に切断した後、乾燥させることにより作製することができる。
(2) 配線パターン形成工程
配線パターン形成工程では、芯材用成形体の側面にヒーター部及び給電部となる配線パターンを形成する。この配線パターン形成方法の例としては、以下に示す二つの方法が挙げられる。
第1の方法は、転写用部材の表面に、一旦、配線パターンを印刷した後、印刷した配線パターンを芯材用成形体表面に転写する方法であり、第2の方法は、芯材用成形体の側面に、直接、上記配線パターンを形成する方法である。
なお、芯材用成形体の側面にヒーター部及び給電部となる配線パターンを形成することができる方法であれば、配線パターン形成工程はこれら二つの方法に限定されるものではなく、他の方法を用いてもよい。
(2−1)第1の配線パターン形成方法
第1の配線パターン形成方法は、弾性体からなる平板状の転写用部材の表面に、導体ペーストを用い、スクリーン印刷によりヒーター部及び給電部となる配線パターンを印刷する配線パターン印刷工程と、上記配線パターンが印刷された上記転写用部材の表面に芯材用成形体を転動させることにより、上記配線パターンを上記芯材用成形体の側面に転写する転写工程とからなる。
まず、配線パターン印刷工程について説明する。
図3(a)は、第1の配線パターン形成方法における配線パターン印刷工程を模式的に示す側面図であり、図3(b)は、上記工程を模式的に示す平面図である。
本発明のセラミックヒーターの製造方法では、図3に示すように、まず、配線パターン印刷工程として、弾性体からなる平板状の転写用部材21の表面に、導体ペーストを用い、スクリーン印刷によりヒーター部となる配線パターン23及び給電部となる配線パターン24(以下、配線パターン23、24という)を印刷する。
導体ペーストは、上記したように、W、Mo、Ta、Nb、Ti、Re、Ni、及び、Crの高融点金属からなる群から選ばれた少なくとも1種と、Al 等のセラミック成分とバインダー樹脂と溶剤とを含んでいる。バインダー樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、溶剤としては、アセトン、エタノール等が挙げられる。
導体ペーストに含まれるWの平均粒径は、0.5〜10μmが好ましく、導体ペーストの粘度は、10〜200Pa・sが望ましい。
この配線パターン印刷工程では、スクリーンメッシュを備えたマスクであって、所定の配線パターン状の孔が形成されたものを用い、スクレーパーで上記孔に導体ペーストを充填した後、弾性体からなる平板状の転写用部材21の上に、マスクをセットし、スキージを用いて転写用部材21の表面に配線パターン23、24を印刷する。印刷した導体ペースト層の厚さは、10〜50μmが好ましい。
続いて、転写工程について説明する。
図4(a)は、第1の配線パターン形成方法における転写工程を模式的に示す側面図であり、図4(b)は、上記工程を模式的に示す平面図である。
この転写工程では、配線パターンが印刷された転写用部材21の表面に芯材用成形体110を転動させることにより、配線パターン23、24を芯材用成形体110の表面に転写する。
転写用部材21は、導体ペースト等を良好に印刷することが可能であるとともに、後の転写工程で転写を良好に行うことができるように、適当な濡れ性を有するとともに、弾性を有するものが好ましく、その材料としては、ゴム等のエラストマーが好ましく、さらにはシリコンゴムが好ましい。
この配線パターン印刷工程により、転写用部材21の表面に、配線パターン23、24が形成されるので、直ちに、図4に示すように、転写用部材21の表面に用成形体110を転動させ、円筒形状の芯材用成形体110の側面に配線パターン23、24を転写する。
具体的には、芯材用成形体110の両端面に、芯材用成形体110を軸支し、回転させることが可能な軸支部材(図示せず)を当接させて軸支し、転写用部材21の表面に芯材用成形体110の側面を接触させた後、転写用部材21の表面上を芯材用成形体110を転動させる。この際、芯材用成形体110が自由に回転できる状態で軸支し、転写部材21の表面に平行な方向に移動させ、転写用部材21の表面上を芯材用成形体110を回転させて配線パターン23、24を転写するか、又は、軸支部材を表面に平行な方向に移動させる際、芯材用成形体110の円周の長さとなる距離を移動するように、回転速度と移動速度を同期させて芯材用成形体110を回転させ、配線パターン23、24の転写を行う。芯材用成形体110は円柱形状であってもよい。
この後、芯材用成形体の側面に転写された配線パターン23、24を構成する導体ペーストを乾燥させる。
乾燥条件は、乾燥温度40〜180℃、乾燥時間1〜30分が好ましく、乾燥温度60〜100℃、乾燥時間1〜5分がより好ましい。
(2−2)第2の配線パターン形成方法
第2の配線パターン形成方法では、芯材用成形体の側面に、直接、上記配線パターンを形成する。
具体的には、芯材用成形体の側面上に、スクリーン印刷用の配線パターンが描画された平板状のマスクを載置して固定した後、マスクに接触した状態で、芯材用成形体の長手方向の軸を回転軸として回転させながら移動させるか、又は、
回転自在に固定された芯材用成形体の側面上に、スクリーン印刷用の配線パターンが描画された平板状のマスクを載置し、芯材用成形体に接触した状態で、マスクを移動させ、
スキージを用いて芯材用成形体の側面に導体ペーストをスクリーン印刷し、ヒーター部及び給電部となる配線パターンを成形する。
図5(a)は、第2の配線パターン形成方法における配線パターン形成工程の様子を模式的に示す上面図であり、図5(b)〜(d)は上記配線パターン形成工程を模式的に示すB−B線断面図である。
この配線パターン形成工程では、スクリーンメッシュを備えたマスクであって、所定の配線パターン状の孔が形成されたものを用いる。
図5(a)には、スクリーン印刷用の配線パターンが描画された平板上のマスクが示されている。
マスク30には、導体ペーストが通過しない部分であるマスク部31と、導体ペーストが通過する部分であり、配線パターン状の孔が形成された配線パターン部32が設けられている。
配線パターン部32は、ヒーター部となる配線パターンが描画されたヒーター部パターン33及び給電部となる配線パターンが描画された給電部パターン34からなる。
配線パターン形成工程では、円筒形状の芯材用成形体の側面17上に、マスク30を載置する。
芯材用成形体110は、芯材用成形体110の長手方向(図5(a)中、両矢印aで示す方向)と、配線パターン部32の長手方向(図5(a)中、両矢印bで示す方向)が同じ向きになるように配置する。
配線パターン部32の長手方向は、ヒーター部パターン33から給電部パターン34に向かう方向(及びその反対方向)である。
図5(a)には、マスクの一部を透過させて図示することによって、マスク30の下に配置された芯材用成形体110を点線で示している。また、芯材用成形体110の長手方向の端部18a、18bを示している。
図5(b)には配線パターン形成工程の初期配置を示している。
マスク30の上に導体ペースト35を塗布し、導体ペースト35の脇にスキージ36をセットする。
芯材用成形体110は、その端部18a、18bにおいて、芯材用成形体110を軸支し、回転させることが可能な軸支部材(図示せず)を当接させて軸支しておく。軸支部材は、芯材用成形体110をその長手方向の軸を回転軸として回転させることのできる治具であり、その機能を発揮することができる治具であればその軸支形式、回転形式は特に限定されない。
続いて、芯材用成形体110を長手方向の軸を回転軸として回転させる。なお、このとき、芯材用成形体110は、回転自在に固定されている。
図5(c)及び図5(d)には配線パターン形成工程を模式的に示しており、図5(c)及び図5(d)では芯材用成形体110を反時計回りに回転させている。
この芯材用成形体の回転速度に合わせてマスク30を移動させる。図5(c)及び図5(d)におけるマスク30の移動方向は左向きである。
マスク30の移動は、芯材用成形体110が1回転する際のマスク30の移動距離が芯材用成形体110の円周の長さと同じになるように移動速度を同期して行う。
芯材用成形体110が1回転する際のマスク30の移動距離は、マスク30に描画された配線パターン部32の幅(図5(a)に両矢印cで示す幅)より大きくなるように定めることが望ましく、このように定めることで配線パターンが芯材用成形体の側面で重なることなく印刷される。
スキージ36はマスク30の上部で固定しておいて、導体ペースト35を配線パターン部32に充填していく。
図5(b)〜(d)に示す配線パターン部32は給電部パターン34である。
上記説明では、芯材用成形体110は、回転自在に固定されており、マスクが移動していたが、マスク30が固定され、芯材用成形体110が回転しながら移動(転動)してもよい。
芯材用成形体が回転しながら移動し、マスクが固定されている場合、スキージも芯材用成形体に同期して移動し、一方、マスクが移動し、芯材用成形体が固定されている場合には、スキージは移動しない。しかしながら、マスクに着目し、マスクを中心に考えると、マスクに対してスキージは、所定の速度で移動し、導体ペーストを配線パターン部32を介して芯材用成形体110の側面方向に押し出し、この操作により芯材用成形体110の側面にスクリーン印刷を行う。
マスクを移動させる場合、マスクの移動速度は、0.5〜200mm/秒であることが望ましい。
マスク、芯材用成形体、スキージの移動に関する好ましい形態としては、マスクのみが移動し、芯材用成形体及びスキージが移動しない形態が挙げられる。操作が比較的容易だからである。
スキージは、マスクに対して上下に動くことができ、マスクが芯材用成形体と接する位置又はマスクと上記芯材用成形体と間の距離が最も近くなる位置において、マスクに対して最も上側に位置するようにセットされていることが望ましい。
このようにすると、スクリーン印刷の間においてスキージからマスクに伝わる圧力の変動が小さくなるので、配線の厚さの均一性をより向上させることができる。
上述した動作により配線パターン部32に充填された導体ペースト35が芯材用成形体の側面17に印刷される。芯材用成形体110は回転しているので、印刷された導体ペースト35は印刷後すぐにマスク30から離れていく。印刷された導体ペーストはヒーター部となる配線パターン及び給電部となる配線パターンになる。
図5(c)及び図5(d)には、芯材用成形体の側面17に印刷された、給電部となる配線パターン24を示している。
図6は、上記した第1の配線パターン形成方法及び第2の配線パターンの形成方法を経て側面に配線パターンが転写された芯材用成形体を示す斜視図であるが、配線パターンが形成された芯材用成形体の乾燥を行うことにより、配線パターン23、24が芯材用成形体110の表面に密着され、芯材用成形体110の表面から剥れることはない。
(3)絶縁材料層形成工程
この絶縁材料層形成工程では、上記ヒーター部となる部分が絶縁層に覆われ、上記給電部となる部分の一部が絶縁層から露出するように、上記芯材用成形体の側面に絶縁層となる有機バインダーを含む絶縁材料層を形成する。
絶縁材料層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、印刷により平板上に上記絶縁層となる絶縁材料層を形成した後、上記芯材用成形体の側面に上記絶縁材料層を巻き付ける方法(以下、巻き付け法という)を採用することができる。
図7(a)は、転写用部材の表面に形成された絶縁材料層を芯材用成形体に巻き付ける巻付工程を模式的に示す側面図であり、図7(b)は、上記工程を模式的に示す平面図である。
図7に示すように、上記巻き付け法を採用した場合には、転写用部材21の表面に絶縁材料層25を形成し、形成した絶縁材料層25の上に芯材用成形体110を転動させることにより、絶縁材料層25を芯材用成形体110に巻き付ける。
絶縁材料層25を転写用部材21の表面に形成する際には、配線パターン23、24を形成する際に用いたのと同様のスクリーン印刷法を用いることができ、具体的には、メッシュを有し、絶縁材料層25の形に孔が形成されたマスクを用い、ベタのパターンである絶縁材料層25を形成する。
絶縁材料層を形成するための原料組成物としては、Al 粒子を88〜95重量%、焼結助剤として、SiO 粒子を3〜10重量%、MgO粒子を0.4〜1.0重量%、CaO粒子を1.0〜2.5重量%を含有し、さらにバインダー樹脂と溶剤とを含有する粘度状のものを用いることができる。バインダー樹脂としては、芯材用成形体を形成するための原料組成物に添加するバインダー樹脂と比べて、脱脂脱炭工程、及び、焼成工程における残炭率が低いものが望ましく、例えば、アクリル系バインダー、オレフィン系バインダー、ポリ塩化ビニル系バインダー等が挙げられる。溶剤は、芯材用成形体の場合と同様に、アセトン、エタノール等が挙げられる。なお、残炭率とは、絶縁材料層や芯材用成形体に含まれる有機バインダ等の有機物が脱脂脱炭工程、及び、焼成工程において、熱分解した際、炭素として、絶縁材料層や芯材用成形体中に残存する割合をいい、添加した有機物の重量に対し、残存した炭素の重量割合(重量%)を残炭率として定義する。芯材用成形体中のバインダー樹脂と比べて、絶縁材料層中のバインダー樹脂の残炭率が低いとは、絶縁材料層中のバインダー樹脂の方が、脱脂脱炭工程や焼成工程で有機物が熱分解した際、ガス等として飛散し易く、芯材用成形体中のバインダー樹脂と比べて炭素として残留する割合が少ないことを意味する。
絶縁材料層25の厚さは、焼成後に100〜500μmとなる厚さが好ましい。
絶縁材料層25が芯材用成形体110に良好に密着されるよう、転写用部材21の表面に絶縁材料層25を形成した後、溶剤が飛散する前に転写工程を行うことが好ましい。
図7に示したように、給電部となる配線パターンの一部が外部に露出するように絶縁材料層を芯材用成形体110に巻き付ける。この際、軸支部材で芯材用成形体110の両端面を軸支し、絶縁材料層25の表面を転動させることにより絶縁材料層25を芯材用成形体110の側面に巻き付ける方法を用いることができる。
大面積の絶縁材料層を形成し、所定の形状にカットした後、表面に接着剤等を塗布し、芯材用成形体110の側面に巻き付けてもよい。この後、必要により絶縁材料層を乾燥させる。
なお、絶縁材料層を形成する際、Al 粒子を88〜95重量%、焼結助剤として、SiO 粒子を3〜10重量%、MgO粒子を0.4〜1.0重量%、CaO粒子を1.0〜2.5重量%を含有し、さらにバインダー樹脂と溶剤とを含有するスラリー状のもので粘度が調整されたものを用い、配線パターンが形成された芯材用成形体110をスラリー状のものにディップし、乾燥させることにより絶縁材料層を形成してもよい。
また、(2)配線パターン形成工程及び(3)絶縁材料層形成工程において、絶縁層となる絶縁材料層表面にヒーター部及び給電部となる配線パターンをスクリーン印刷法により形成し、配線パターンが形成された絶縁材料層を上記芯材用成形体に巻きつけることにより、上記配線パターン形成工程及び上記絶縁材料層形成工程とを行う方法を採用してもよい。
(4)脱脂脱炭工程
芯材用成形体110の側面に形成された配線パターン23、24及び芯材用成形体110に巻き付けられた絶縁材料層25の脱脂脱炭を行うことにより、芯材用成形体110及び絶縁材料層25に存在する有機バインダーやその他の炭素化合物を熱分解させ、所定量の炭素が残留するようにする。
セラミックヒーターを構成する絶縁材料層25中の有機バインダー起因または材料中の炭素化合物起因による炭素の含有率は、芯材用成形体110中の有機バインダー起因または材料中の炭素化合物起因による炭素の含有率の1/2以下であるが、具体的には、絶縁材料層25中の炭素の含有率は、0〜2重量%であることが好ましく、0〜1重量%であることがより好ましい。一方、芯材用成形体110中の炭素の含有率は、3〜10重量%であることが好ましく、4〜6重量%であることがより好ましい。
上記脱脂脱炭条件としては、80〜1000℃、1〜15時間が挙げられる。
上記脱脂脱炭工程は、焼成炉発熱体、炉材を損傷しない程度の湿度の加湿雰囲気で行うことが好ましく、さらに水素を含む加湿雰囲気がより好ましい。また、露点温度以下で行うのが好ましい。具体的には、脱脂脱炭雰囲気として、窒素65%、水素30%、水蒸気5%を採用することができる。
芯材用成形体110中及び絶縁材料層25中の炭素の含有率は、上記した条件で脱脂脱炭を行った後の芯材用成形体110中及び絶縁材料層25中の有機バインダー起因または炭素化合物起因等による炭素の含有率であり、芯材用成形体110や絶縁材料層25の重量に対する炭素の重量割合を百分率で示している。
芯材用成形体110中及び絶縁材料層25中の炭素の含有率は、上述したように、有機バインダーの種類を選ぶことにより、制御することができるが、芯材用成形体110中及び絶縁材料層25中の有機バインダー含有量をコントロールすることによっても制御することができる。
(5)焼成工程
上記脱脂脱炭工程を終了した上記配線パターン及び上記絶縁材料層を有する芯材用成形体の焼成を行うことにより、芯材11と、芯材11の側面に形成された絶縁層12と、芯材11と絶縁層12との間に介在された所定パターンのヒーター部13及び給電部14とを形成することができ、この後、後述する導体層形成工程を実施することにより、セラミックヒーター10となる。
焼成条件としては、1000〜1600℃、1〜40時間が挙げられる。上記焼成工程は、脱脂脱炭工程と同様に、湿度の高い加湿雰囲気で行うことが好ましく、さらに水素を含む湿度の高い加湿雰囲気がより好ましい。具体的には、焼成炉発熱体、炉材を損傷しない程度の湿度の加湿雰囲気で行うことが好ましく、さらに水素を含む加湿雰囲気がより好ましい。また、露点温度以下で行うのが好ましい。また、焼成雰囲気として、窒素65%、水素30%、水蒸気5%を採用することができる。
上記焼成工程により、絶縁層12中及び芯材11中の炭素の含有量は、さらに低下する。
絶縁材料層、絶縁層、芯材用成形体及び芯材中の炭素の含有率は、JIS R 1616の全炭素量分析法を用いることにより測定することができる。
具体的には、絶縁材料層又は絶縁層のみを削り出して粉砕し、粉末化したものと、芯材用成形体又は芯材のみが残るように、絶縁材料層又は絶縁層に該当する部分を削った後、芯材用成形体又は芯材を粉砕、粉末化したものをサンプルとし、JIS R 1616の全炭素量分析法により測定し、求めることができる。
脱脂脱炭工程及び焼成工程において残留した炭素が焼結の進行に影響を与え、炭素の量が多いと、焼結による緻密化が充分に進行しない。
本発明では、脱脂脱炭工程を終了した絶縁材料層中の炭素の含有率を芯材用成形体中の炭素の含有率の1/2以下としているので、焼成時において、絶縁層の焼結による緻密化が芯材の焼結による緻密化よりも早く進行する。その結果、絶縁層が芯材を外側から押さえつけながら焼結し、芯材に密着するため、絶縁層の芯材からの剥離が発生せず、耐久性に優れたセラミックヒーターを製造することができる。
(6)導体層形成工程
この後、絶縁層から露出した給電部に、給電部を構成する電極の劣化を防止するために、めっき法等の方法を用い、Ni、Cr、Au、Ag、Pd等からなる導体層を形成し、図1又は2に示すセラミックヒーターの製造を終了する。
これらの導体層は、複数層で形成してもよい。複数層の導体層の一例として、例えば、Ni、Crの順で無電開めっきにより形成したものが挙げられる。形成されるNi層の厚みは、ストライクNi <0.2μm、Niめっき:2〜20μm Cr層の厚み:0.1〜5μmが好ましい。
製造されたセラミックヒーターは、通電することにより、ヒーター部を構成する抵抗発熱体が発熱し、目的の温度になるように対象となる部材を加熱することができる。
上記の場合には、スクリーン印刷により平板上に上記絶縁層となる絶縁材料層を形成した後、上記芯材用成形体の側面に上記絶縁材料層を巻き付ける巻き付け法を採用したが、芯材用成形体の側面に上記絶縁層となるセラミック粉末を含むペースト状原料組成物を塗布することによっても、芯材用成形体の側面に絶縁材料層を形成する方法(以下、塗布法ともいう)を採用してもよい。
塗布法を採用した場合には、スクリーン印刷により絶縁材料層を形成する場合よりも粘度の低いペースト状原料組成物を用い、スプレー用ノズルから上記ペースト状原料組成物を芯材用成形体の側面に向けて噴射させ、絶縁材料層を形成する。この際、芯材用成形体は所定の速度で回転させるとともに、上下に移動させることにより均一な厚さの絶縁材料層を形成することができる。絶縁材料層の厚さは、巻き付け法により形成した絶縁材料層と同様の厚さが好ましい。
ディッピング法を採用した場合には、配線パターンが印刷された芯材用成形体をペースト状原料組成物に浸漬することにより、絶縁材料層を形成する。
その後、絶縁材料層を巻き付ける場合と同様に、必要により絶縁材料層を乾燥させ、その後、脱脂脱炭工程、焼成工程及び導体層形成工程を行うことによりセラミックヒーターを製造することができる。
(実施例)
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)芯材用成形体作製工程
(1−1)芯材用成形体用の原料組成物の調製
アルミナ粉末(昭和電工製 低ソーダアルミナ AL―47―H)100重量部、焼成タルク(中国産 3重量部)、カオリン(BASF社製 ASP900)5重量部、炭酸カルシウム(上田石灰製 3重量部)、及び、水200重量部をそれぞれ秤量して配合し、10Lアルミナ製ポットと直径15mmのアルミナボール5Lを用いて、回転数:75rpmにて3時間混合し、スラリー化を行った。得られた混合スラリー中のアルミナ混合粉末の平均粒径は、2.3μmであり、メジアン径d90:8.8μmとなった。このスラリーをスプレードライヤーにより乾燥し、アルミナ混合粉末1Aを得た。
次に、得られたアルミナ混合粉末1A100重量部とメチルセルロース(信越化学メトローズ製 60SH−4000)10重量部とをそれぞれ秤量して配合し、混合機(株式会社宝工機製 50Lタイプ)により3分間混合を行い、アルミナ混合粉末とメチルセルロースからなるアルミナ混合粉末2Aを得た。
さらに、得られたアルミナ混合粉末2A100重量部と界面活性剤1重量部と水15重量部とをそれぞれ秤量して配合し、上記混合機を用いて、10分間低速混合することにより芯材用成形体用の原料組成物を得た。
(1−2)押出成形工程
この芯材用成形体用の原料組成物を用い、直径3.2mm、内径1.0mmの円筒からなる金型を用いて、成形圧10Mpaにより押出成形を行い、芯材用成形体の連続体を作製し、連続体を90mmの長さになるように切断した。乾燥前の芯材用成形体の含水率は、10.1重量%であった。この芯材用成形体に対し、熱風乾燥機 (ヤマト科学社製)を用い、120℃で2時間乾燥を行った。得られた芯材用成形体は、直径3.2mm、長さ90mmで、中心に直径が1.0mmの開口を有する円筒形状のものであり、水分は、1重量%以下であった。
(2) 配線パターン形成工程
(2−1)配線パターン印刷工程
Wを78重量部、Reを19重量部、Alを3重量部、これら導電体成分100重量部に対して、バインダー樹脂としてアクリル樹脂を6重量部、溶剤としてアセトンを7重量部含有する導体ペーストを用い、図3に示すように、スクリーン印刷法を使用して、ゴムからなる板状の転写用部材21の表面に、ヒーター部となる配線パターン23及び給電部となる配線パターン24を印刷した。印刷された導体ペースト層の厚さは、25μmであった。
(2−2)転写工程
(1−2)押出成形工程で得られた芯材用成形体を用い、図4に示すように、ヒーター部となる配線パターン23及び給電部となる配線パターン24が印刷された転写用部材21の表面で芯材用成形体110を転動させ、配線パターン23、24を芯材用成形体110の側面に転写した。
その際、芯材用成形体110の両端面に軸支部材を当接させ、軸支部材及び軸支した芯材用成形体110が自由に回転できる状態で軸支し、転写用部材21の表面に接触させた後、軸支部材及び軸支した芯材用成形体110を転写部材21の表面に平行な方向に移動させ、転写用部材21の表面上で芯材用成形体110を回転させて配線パターン23、24を転写した。この後、配線パターン23、24を温度120℃で10分間乾燥させた。
(3)絶縁材料層形成工程
芯材用成形体と同様にアルミナ混合粉末1A100重量部、アクリル系バインダー10重量部、酢酸ブチル30重量部、界面活性剤0.5重量部を、それぞれ秤量して配合し、3本ロール混練で、3分間混合させることで絶縁材料層用の原料組成物を調製した。
上記方法により得た絶縁材料層用の原料組成物を用い、絶縁材料層を形成した後、導体層が転写された芯材用成形体上に絶縁材料層を形成した。
すなわち、まず、図7に示すように、スクリーン印刷により、焼成後の厚さが250μmとなるように絶縁材料層25を形成し、続いて、導体層が転写された芯材用成形体110を絶縁材料層25の上を転動させることにより、絶縁材料層25を配線パターン23、24が形成された芯材用成形体110の側面に巻き付け、120℃で30分間乾燥させた。
(4)脱脂脱炭工程及び焼成工程
芯材用成形体110の側面に配線パターン23、24及び絶縁材料層25が形成されたものを、窒素濃度:65%、水素濃度:30%、水蒸気:5%の条件下、450℃で1時間加熱して脱脂脱炭し、同様の雰囲気中、1600℃で1時間焼成し、厚さが20μm、その幅が0.25mmのヒーター部13及びその幅が3.0mmの給電部14を形成するとともに、厚さが250μmの絶縁層12を形成した。
(5)導体層形成工程
この後、外部に露出した給電部を構成する接続端子部に対し、無電解Niめっき及び無電解Crめっきを施し、導体層を形成し、セラミックヒーターの製造を終了した。
(比較例1)
(3)絶縁材料層形成工程において、アクリル系バインダー10重量部の代わりにポリビニル系バインダー10重量部を用いたほかは、実施例1と同様にしてセラミックヒーターを製造した。
(評価)
(1)炭素含有率の測定
JIS R 1616の全炭素量分析法に準じて脱脂脱炭工程後の絶縁材料層中及び芯材用成形体中の炭素含有率を測定した。
その結果、実施例1に係る脱脂脱炭工程後の絶縁材料層中の炭素の含有率X1は、0.6重量%であり、脱脂脱炭工程後の芯材用成形体中の炭素の含有率Y1は、5.1重量%であった。よって、Y1/X1=9.0となった。
一方、比較例1に係る脱脂脱炭工程後の絶縁材料層中の炭素の含有率X2は、5.1重量%であり、脱脂脱炭工程後の芯材用成形体中の炭素の含有率Y2は、5.4重量%であった。よって、Y2/X2=1.1となった。
(2)3点曲げ強度の測定
オートグラフ(島津製作所社製)を用い、それぞれ実施例1及び比較例1で得られたヒーター25本に対し、3点曲げ強度を測定した。測定条件は、スパン40mm、クロスヘッドスピード5mm/minであった。
また、実施例1に係るセラミックヒーターの平均3点曲げ強度は、470MPaであった。一方、比較例1に係るセラミックヒーターの平均3点曲げ強度は、320MPaであり、25本中4本が絶縁層で剥離していた。また、実施例1で得られたセラミックヒーターは、破断後の断面を観察すると、いずれも、芯材、絶縁層が一体化して焼結した破断面であった。
(3)ヒートサイクル試験
それぞれ実施例1及び比較例1で得られた各3本ずつのセラミックヒーターそれぞれにDC12Vを間欠的に印加し、1000℃に発熱させる工程と常温まで冷却する工程を3000回繰り返し、カラーチェックによるクラックを観察した。実施例1のセラミックヒーターには、クラックは認められなかったが、比較例1のセラミックヒーターには、3本中2本にクラックが見られ、その内の1本は、256回目に断線した。
10 セラミックヒーター
11 芯材
12 絶縁層
13 ヒーター部
14 給電部
15 接続端子部
16 リード端子
21 転写用部材
23、24 配線パターン
25 絶縁材料層
110 芯材用成形体

Claims (8)

  1. 円柱形状又は円筒形状の芯材と、該芯材の側面に形成された絶縁層と、前記芯材と前記絶縁層との間に介在された所定パターンのヒーター部及び給電部とからなるセラミックヒーターの製造方法であって、
    芯材となる有機バインダーを含む芯材用成形体を作製する芯材用成形体作製工程と、
    芯材用成形体の側面にヒーター部及び給電部となる配線パターンを形成する配線パターン形成工程と、
    前記ヒーター部となる部分が絶縁層に覆われ、前記給電部となる部分の一部が絶縁層から露出するように、前記芯材用成形体の側面に絶縁層となる有機バインダーを含む絶縁材料層を形成する絶縁材料層形成工程と、
    前記配線パターン及び前記絶縁材料層が形成された芯材用成形体の脱脂脱炭を行う脱脂脱炭工程と、
    前記脱脂脱炭工程を終了した前記配線パターン及び前記絶縁材料層を有する芯材用成形体の焼成を行う焼成工程とを含み、
    前記脱脂脱炭工程を終了した絶縁材料層中の炭素の含有率をX重量%、芯材用成形体中の炭素の含有率をY重量%とすると、X及びYが下記の(1)式の関係を満たすことを特徴とするセラミックヒーターの製造方法。
    Y/X≧2・・・(1)
  2. 前記脱脂脱炭工程において、加湿環元雰囲気下、80〜800℃で脱脂脱炭を行い、前記焼成工程において、加湿環元雰囲気下、1000〜1600℃で焼成を行う請求項1に記載のセラミックヒーターの製造方法。
  3. 前記加湿環元雰囲気は、加湿水素雰囲気である請求項2に記載のセラミックヒーターの製造方法。
  4. 前記配線パターン形成工程において、
    弾性体からなる平板状の転写用部材の表面に、導体ペーストを用い、スクリーン印刷によりヒーター部及び給電部となる配線パターンを印刷する配線パターン印刷工程と、
    前記配線パターンが印刷された前記転写用部材の表面に芯材用成形体を転動させることにより、前記配線パターンを前記芯材用成形体の側面に転写する転写工程とを行う請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックヒーターの製造方法。
  5. 前記配線パターン形成工程において、
    スクリーン印刷法を用い、前記芯材用成形体の側面に、直接、前記配線パターンを形成する請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックヒーターの製造方法。
  6. 前記配線パターン形成工程及び前記絶縁材料層形成工程において、
    絶縁層となる絶縁材料層表面にヒーター部及び給電部となる配線パターンをスクリーン印刷法により形成し、配線パターンが形成された絶縁材料層を前記芯材用成形体に巻きつけることにより、前記配線パターン形成工程と前記絶縁材料層形成工程とを行う請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックヒーターの製造方法。
  7. 前記絶縁材料層形成工程において、印刷により平板上に前記絶縁層となる絶縁材料層を形成した後、前記芯材用成形体の側面に前記絶縁材料層を巻き付ける請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックヒーターの製造方法。
  8. 前記露出した給電部の表面に導体層を形成する導体層形成工程をさらに行う請求項1〜7のいずれかに記載のセラミックヒーターの製造方法。
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