JPH11251051A - 電磁誘導加熱調理器用セラミック容器 - Google Patents
電磁誘導加熱調理器用セラミック容器Info
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- JPH11251051A JPH11251051A JP5073498A JP5073498A JPH11251051A JP H11251051 A JPH11251051 A JP H11251051A JP 5073498 A JP5073498 A JP 5073498A JP 5073498 A JP5073498 A JP 5073498A JP H11251051 A JPH11251051 A JP H11251051A
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- Japan
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- glaze
- induction heating
- container
- electromagnetic induction
- porosity
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Abstract
(57)【要約】
【課題】気孔率を5%以下にすることを可能にして、熱
伝導の向上を図り、従来品に比べて調理時間を短縮し得
る電磁誘導加熱調理器用セラミック容器を提供する。 【解決手段】容器本体をペタライト70%、粘土30%から
なる素地で構成し、その表面にペタライト65%〜75%、
粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸化亜鉛0〜5
%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5%、珪酸ジル
コニウム0〜5%からなる釉薬を施すことにより、容器
本体の気孔率を5%以下にすることを可能にする。
伝導の向上を図り、従来品に比べて調理時間を短縮し得
る電磁誘導加熱調理器用セラミック容器を提供する。 【解決手段】容器本体をペタライト70%、粘土30%から
なる素地で構成し、その表面にペタライト65%〜75%、
粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸化亜鉛0〜5
%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5%、珪酸ジル
コニウム0〜5%からなる釉薬を施すことにより、容器
本体の気孔率を5%以下にすることを可能にする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導加熱調理
器に使用する土鍋などのセラミック容器、特に容器本体
の底面に薄膜導電層を被着してなる容器に関する。
器に使用する土鍋などのセラミック容器、特に容器本体
の底面に薄膜導電層を被着してなる容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種電磁誘導加熱調理器用セラ
ミック容器としては、例えば特開平7-6870号公報のもの
が知られている。この公報に開示されているものは、容
器本体にユークリプタイトまたは低膨張性ペタライトを
用いるもので、容器本体の線膨張率を0.2%〜−0.6%と
することにより、空炊き状態の際の急激な熱膨張差によ
る熱膨張に起因して亀裂が生じて容器自体が破壊に至る
のを防止すると共に、見掛気孔率を5%〜8%に設定す
ることにより、容器本体の熱伝導率を上げて、土鍋本体
の低部に被着された薄膜導電層の温度上昇を抑制したも
のである。
ミック容器としては、例えば特開平7-6870号公報のもの
が知られている。この公報に開示されているものは、容
器本体にユークリプタイトまたは低膨張性ペタライトを
用いるもので、容器本体の線膨張率を0.2%〜−0.6%と
することにより、空炊き状態の際の急激な熱膨張差によ
る熱膨張に起因して亀裂が生じて容器自体が破壊に至る
のを防止すると共に、見掛気孔率を5%〜8%に設定す
ることにより、容器本体の熱伝導率を上げて、土鍋本体
の低部に被着された薄膜導電層の温度上昇を抑制したも
のである。
【0003】このものにおいて、見かけ気孔率の上限を
8%とするのは、8%より大きいと吸水量が多くなり、
薄膜導電層の酸化が促進され、導電層の損傷の原因にな
ったり、煮汁の染み込みにより臭いが発生する恐れがあ
るからである。一方、気孔率の下限を5%とするのは、
5%より小さいと調理中に空炊き状態になった場合、容
器表面の釉薬が剥離し易くなるからであるとしている。
8%とするのは、8%より大きいと吸水量が多くなり、
薄膜導電層の酸化が促進され、導電層の損傷の原因にな
ったり、煮汁の染み込みにより臭いが発生する恐れがあ
るからである。一方、気孔率の下限を5%とするのは、
5%より小さいと調理中に空炊き状態になった場合、容
器表面の釉薬が剥離し易くなるからであるとしている。
【0004】見かけ気孔率は、これを低くすることによ
り、容器の熱伝導率を増大させることが出来るため、調
理時間の短縮を図ることが可能になる。また、組織を緻
密にして曲げ強度を増大させることが出来るため、容器
本体の底を薄くすることが可能になり、その結果、容器
本体内部の調理水の冷却によって薄膜導電層の温度上昇
を抑制することが出来る。以上のように、この種の電磁
誘導加熱調理器用容器においては、気孔率は出来るだけ
小さくすることが望ましく、前記公報のものが気孔率の
下限として設定する5%より更に低いものとすることが
出来れば、更に熱伝導率があがるため、湯の沸き上げ時
間、調理時間の一層の短縮を図ることが出来、強度も向
上させることが出来るはずである。
り、容器の熱伝導率を増大させることが出来るため、調
理時間の短縮を図ることが可能になる。また、組織を緻
密にして曲げ強度を増大させることが出来るため、容器
本体の底を薄くすることが可能になり、その結果、容器
本体内部の調理水の冷却によって薄膜導電層の温度上昇
を抑制することが出来る。以上のように、この種の電磁
誘導加熱調理器用容器においては、気孔率は出来るだけ
小さくすることが望ましく、前記公報のものが気孔率の
下限として設定する5%より更に低いものとすることが
出来れば、更に熱伝導率があがるため、湯の沸き上げ時
間、調理時間の一層の短縮を図ることが出来、強度も向
上させることが出来るはずである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところ
は、気孔率が5%以下であっても、釉薬の剥離が生じな
い、電磁誘導加熱調理器用セラミック容器を提供するこ
とにある。また、本発明は、熱伝導がよく、水の沸き立
ち時間が短く、従来の電磁誘導加熱調理器用セラミック
容器に比べて調理時間を短くすることが出来、強度的に
も優れた電磁誘導加熱調理器用セラミック容器を提供す
ることを目的とする。
な状況に鑑みてなされたもので、その目的とするところ
は、気孔率が5%以下であっても、釉薬の剥離が生じな
い、電磁誘導加熱調理器用セラミック容器を提供するこ
とにある。また、本発明は、熱伝導がよく、水の沸き立
ち時間が短く、従来の電磁誘導加熱調理器用セラミック
容器に比べて調理時間を短くすることが出来、強度的に
も優れた電磁誘導加熱調理器用セラミック容器を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の発明者等は、一
般に釉の嵌入発生や剥離が、釉薬と素地の熱膨張率の不
適合に起因することに着目し、低膨張ペタライト系素地
と熱膨張が適合する釉薬を種々研究した結果、ペタライ
ト65%〜75%、粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸
化亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5
%、珪酸ジルコニウム0〜5%で構成した釉薬が、ペタ
ライト70%、粘土30%からなる素地と熱膨張の適合が良
く、素地の気孔率を5%以下にしても剥離が発生しない
ことを見出して、本発明を完成した。
般に釉の嵌入発生や剥離が、釉薬と素地の熱膨張率の不
適合に起因することに着目し、低膨張ペタライト系素地
と熱膨張が適合する釉薬を種々研究した結果、ペタライ
ト65%〜75%、粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸
化亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5
%、珪酸ジルコニウム0〜5%で構成した釉薬が、ペタ
ライト70%、粘土30%からなる素地と熱膨張の適合が良
く、素地の気孔率を5%以下にしても剥離が発生しない
ことを見出して、本発明を完成した。
【0007】即ち、本発明の電磁誘導加熱調理器用セラ
ミック容器では、上記目的を達成するために、請求項1
記載のように、低膨張性セラミック製容器本体の底面
に、薄膜導電層を被着形成した電磁誘導加熱調理器用容
器において、上記容器本体の素地がペタライト70%、粘
土30%からなり、その表面に施釉する釉薬が、ペタライ
ト65%〜75%、粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸
化亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5
%、珪酸ジルコニウム0〜5%からなることを特徴とし
ている。
ミック容器では、上記目的を達成するために、請求項1
記載のように、低膨張性セラミック製容器本体の底面
に、薄膜導電層を被着形成した電磁誘導加熱調理器用容
器において、上記容器本体の素地がペタライト70%、粘
土30%からなり、その表面に施釉する釉薬が、ペタライ
ト65%〜75%、粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸
化亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5
%、珪酸ジルコニウム0〜5%からなることを特徴とし
ている。
【0008】また、本発明は、請求項2記載のように、
上記電磁誘導加熱調理器用セラミック容器において、容
器本体の気孔率が5%以下であることを特徴とする。
上記電磁誘導加熱調理器用セラミック容器において、容
器本体の気孔率が5%以下であることを特徴とする。
【0009】
【実施の形態】以下実施の形態に基づいて、本発明を更
に詳細に説明する。図において符号Aで示される電磁誘
導加熱調理器用のセラミック容器は、セラミック製の容
器本体1とその底面に被着形成された薄膜導電層2とか
らなっており、容器本体1の表面には釉薬1bが施してあ
る。薄膜導電層2は、釉薬1bの上から容器本体1底面
に、転写紙により銀ペーストを約20μm〜40μmの厚さ
に転写して形成され、更にその外側に非導電性で耐熱性
のあるガラスコート層3を被着形成してある。
に詳細に説明する。図において符号Aで示される電磁誘
導加熱調理器用のセラミック容器は、セラミック製の容
器本体1とその底面に被着形成された薄膜導電層2とか
らなっており、容器本体1の表面には釉薬1bが施してあ
る。薄膜導電層2は、釉薬1bの上から容器本体1底面
に、転写紙により銀ペーストを約20μm〜40μmの厚さ
に転写して形成され、更にその外側に非導電性で耐熱性
のあるガラスコート層3を被着形成してある。
【0010】上記容器本体1は、言うまでもなく、耐熱
衝撃性に優れている必要があり、本発明では容器本体1
を耐熱衝撃性に優れる低膨張ペタライト系のセラミック
材料、具体的にはペタライト70%、粘土30%からなる素
地1aで構成している。この素地1aの化学組成は、SiO2
72〜74%,Al2O3 21〜22%,Li2O 2.8〜3.0%,K2O
0.7〜0.9%,Na2O 0.2〜0.6%,その他 1.1〜1.2%
(いずれもwt%)である。
衝撃性に優れている必要があり、本発明では容器本体1
を耐熱衝撃性に優れる低膨張ペタライト系のセラミック
材料、具体的にはペタライト70%、粘土30%からなる素
地1aで構成している。この素地1aの化学組成は、SiO2
72〜74%,Al2O3 21〜22%,Li2O 2.8〜3.0%,K2O
0.7〜0.9%,Na2O 0.2〜0.6%,その他 1.1〜1.2%
(いずれもwt%)である。
【0011】容器本体1は、熱膨張率が−0.6%〜0.2%
であることが望ましい。即ち、特開平7-6870号公報にも
開示されているように、熱膨張率が−0.6%より小さい
と、薄膜導電層2と容器本体1との膨張差が大きくなり
過ぎて、薄膜導電層2の剥離が起こり易く、0.2%を超
えると、急熱・急冷により容器本体1の破壊が起こり易
い。また、容器本体1の気孔率は、前記特開平7-6870号
公報にも開示されているように、8%より大きいと吸水
量が多くなり、薄膜導電層2の酸化が促進され、薄膜導
電層2の損傷の原因になるばかりでなく、煮汁の染み込
みにより臭いが発生したり、非衛生になる。また、気孔
率が大きいと熱伝導率が低下して、調理水が沸騰するの
に時間がかかる。容器本体1の底面に薄膜導電層2とし
て銀を転写した電磁誘導加熱調理器用容器の場合、本発
明の発明者等の試験によれば、鍋底の厚さが5mm以上の
鍋では、気孔率を12%以上にすると調理水が沸騰しない
ことが確認されている。従って、本発明では、容器本体
1の素地1bの気孔率を8%以下、好ましくは5%以下に
する。
であることが望ましい。即ち、特開平7-6870号公報にも
開示されているように、熱膨張率が−0.6%より小さい
と、薄膜導電層2と容器本体1との膨張差が大きくなり
過ぎて、薄膜導電層2の剥離が起こり易く、0.2%を超
えると、急熱・急冷により容器本体1の破壊が起こり易
い。また、容器本体1の気孔率は、前記特開平7-6870号
公報にも開示されているように、8%より大きいと吸水
量が多くなり、薄膜導電層2の酸化が促進され、薄膜導
電層2の損傷の原因になるばかりでなく、煮汁の染み込
みにより臭いが発生したり、非衛生になる。また、気孔
率が大きいと熱伝導率が低下して、調理水が沸騰するの
に時間がかかる。容器本体1の底面に薄膜導電層2とし
て銀を転写した電磁誘導加熱調理器用容器の場合、本発
明の発明者等の試験によれば、鍋底の厚さが5mm以上の
鍋では、気孔率を12%以上にすると調理水が沸騰しない
ことが確認されている。従って、本発明では、容器本体
1の素地1bの気孔率を8%以下、好ましくは5%以下に
する。
【0012】一方、釉薬1aはその熱膨張率が素地1aのそ
れより大きいと、素地1aとの適合が悪く、釉薬1bに嵌
入、剥離が発生するが、釉薬1bの熱膨張率を素地1aの熱
膨張率より小さくすれば釉薬1bの嵌入も剥離も発生しな
いことが知られており、本願発明者等の研究によれば、
これは素地1aの気孔率に関わりが無いことが確認され
た。一般には、釉薬1bの熱膨張率は素地1aの熱膨張率の
85〜90%が良いとされている。即ち、低膨張磁器素地1a
に、熱膨張率がその素地1aの熱膨張率の85〜90%になる
釉薬1bを施釉すれば素地1aの気孔率が5%以下であって
も、釉薬1bの剥離等は発生しないことになる。
れより大きいと、素地1aとの適合が悪く、釉薬1bに嵌
入、剥離が発生するが、釉薬1bの熱膨張率を素地1aの熱
膨張率より小さくすれば釉薬1bの嵌入も剥離も発生しな
いことが知られており、本願発明者等の研究によれば、
これは素地1aの気孔率に関わりが無いことが確認され
た。一般には、釉薬1bの熱膨張率は素地1aの熱膨張率の
85〜90%が良いとされている。即ち、低膨張磁器素地1a
に、熱膨張率がその素地1aの熱膨張率の85〜90%になる
釉薬1bを施釉すれば素地1aの気孔率が5%以下であって
も、釉薬1bの剥離等は発生しないことになる。
【0013】そこで、本発明において使用する釉薬1b
は、その熱膨張率が素地1aに求められる熱膨張率より小
さく、好ましくはその85〜90%であることが必要であ
る。即ち、前述のように素地1aに求められる熱膨張率が
−0.6%〜0.2%であるから、釉薬1bは熱膨張率が−0.51
〜0.18%の範囲にあることが望ましい。
は、その熱膨張率が素地1aに求められる熱膨張率より小
さく、好ましくはその85〜90%であることが必要であ
る。即ち、前述のように素地1aに求められる熱膨張率が
−0.6%〜0.2%であるから、釉薬1bは熱膨張率が−0.51
〜0.18%の範囲にあることが望ましい。
【0014】そして、本発明では上記条件を満たす釉薬
1bとして、ペタライト65%〜75%、粘土10〜17%、焼き
タルク0〜8%、酸化亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、
炭酸バリウム0〜5%、珪酸ジルコニウム0〜5%の配
合割合からなる釉薬1bを新規に開発して用いている。こ
の釉薬1bの化学組成は、SiO2 60〜70%、Al2O3 15〜2
0%、LiO2 2.5〜3.5%、MgO 0〜3%、ZnO 0〜5%、C
aO 0〜3%、BaO 0〜4%、ZrO2 0〜4%であり、その
熱膨張率は0.09%である。この熱膨張率0.09%という値
は既存の低膨張釉の熱膨張率に比較してもかなり低く、
現状では釉薬の熱膨張率としては最低レベルにある。
1bとして、ペタライト65%〜75%、粘土10〜17%、焼き
タルク0〜8%、酸化亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、
炭酸バリウム0〜5%、珪酸ジルコニウム0〜5%の配
合割合からなる釉薬1bを新規に開発して用いている。こ
の釉薬1bの化学組成は、SiO2 60〜70%、Al2O3 15〜2
0%、LiO2 2.5〜3.5%、MgO 0〜3%、ZnO 0〜5%、C
aO 0〜3%、BaO 0〜4%、ZrO2 0〜4%であり、その
熱膨張率は0.09%である。この熱膨張率0.09%という値
は既存の低膨張釉の熱膨張率に比較してもかなり低く、
現状では釉薬の熱膨張率としては最低レベルにある。
【0015】ところで、前記素地1aは、熱膨張率が上記
釉薬1bのそれより必要最小限高く、且つ気孔率が8%以
下である必要がある。そこで、本発明では、素地1aの熱
膨張率及び気孔率は、ペタライトの粒径を変えることに
より調整することが出来て、ペタライトの粒径を小さく
すると熱膨張率が上昇し、気孔率が減少する点に着目
し、釉薬1bの熱膨張率に合わせて素地1aの熱膨張率が当
該釉薬1bのそれより必要最低限高くて、気孔率が8%以
下、好ましくは5%以下になるように上記素地1aのペタ
ライトの粒径を18μm以下に調整する。上記素地1aにつ
いてペタライトの粒径と材質特性との関係を表1に示
す。
釉薬1bのそれより必要最小限高く、且つ気孔率が8%以
下である必要がある。そこで、本発明では、素地1aの熱
膨張率及び気孔率は、ペタライトの粒径を変えることに
より調整することが出来て、ペタライトの粒径を小さく
すると熱膨張率が上昇し、気孔率が減少する点に着目
し、釉薬1bの熱膨張率に合わせて素地1aの熱膨張率が当
該釉薬1bのそれより必要最低限高くて、気孔率が8%以
下、好ましくは5%以下になるように上記素地1aのペタ
ライトの粒径を18μm以下に調整する。上記素地1aにつ
いてペタライトの粒径と材質特性との関係を表1に示
す。
【0016】
【表1】
【0017】尚、上記釉薬1bは、容器本体1を構成する
素地1aの表面に施釉され、1200℃〜1280℃で焼成され
る。
素地1aの表面に施釉され、1200℃〜1280℃で焼成され
る。
【0018】表1から明らかなように、容器本体1をペ
タライト70%、粘土30%からなる素地1aと、ペタライト
65%〜75%、粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸化
亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5
%、珪酸ジルコニウム0〜5%からなる釉薬1bとの組み
合わせにより構成する電磁誘導加熱調理器用セラミック
容器は、素地1aのペタライト粒径を18μm以下にするこ
とにより、容器本体素地1aを気孔率8%以下にし、且つ
熱膨張率を0.2〜−0.6%の範囲内に収めることが出来
る。そして、更にペタライト粒径を小さくして気孔率を
5%以下、例えば0.2〜1.0%にしても、その熱膨張率は
0,104%と釉薬の熱膨張率0.09%より小さくなることが
ない。
タライト70%、粘土30%からなる素地1aと、ペタライト
65%〜75%、粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸化
亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5
%、珪酸ジルコニウム0〜5%からなる釉薬1bとの組み
合わせにより構成する電磁誘導加熱調理器用セラミック
容器は、素地1aのペタライト粒径を18μm以下にするこ
とにより、容器本体素地1aを気孔率8%以下にし、且つ
熱膨張率を0.2〜−0.6%の範囲内に収めることが出来
る。そして、更にペタライト粒径を小さくして気孔率を
5%以下、例えば0.2〜1.0%にしても、その熱膨張率は
0,104%と釉薬の熱膨張率0.09%より小さくなることが
ない。
【0019】従って、気孔率を5%以下にしても、釉薬
1bに嵌入も剥離も発生せず、空炊き状態になっても釉薬
1bが剥離するような恐れがない。即ち、容器本体1の素
地1aの気孔率を5%以下とすることが可能になる。ま
た、気孔率を5%以下にすることにより、熱伝導率が向
上し、曲げ強度も向上して鍋の厚さを薄くすることも出
来るため、湯の沸き上がり時間も短くなり、調理時間も
短縮される。
1bに嵌入も剥離も発生せず、空炊き状態になっても釉薬
1bが剥離するような恐れがない。即ち、容器本体1の素
地1aの気孔率を5%以下とすることが可能になる。ま
た、気孔率を5%以下にすることにより、熱伝導率が向
上し、曲げ強度も向上して鍋の厚さを薄くすることも出
来るため、湯の沸き上がり時間も短くなり、調理時間も
短縮される。
【0020】[実施例]ペタライト 70%、粘土 16
%、焼きタルク 4%、珪酸ジルコニウム 3%、石灰
石 3.5%、酸化亜鉛 3.5%を3〜6μmに粉砕した釉
薬1bを、ペタライト 70%、粘土 30%からなり、ペタ
ライトの粒径を4μmに調整した素地1aで形成した容器
本体1の表面に施釉して、1250℃で焼成した。上記素地
1aの熱膨張率は0.12%、釉薬1bのそれは0.09%(いずれ
も40〜700℃)であった。また、素地1aの気孔率は0.4%
であった。そして、容器本体1表面に形成された釉薬1b
の層は、平滑、緻密、硬質で、亀裂の発生はなく、この
容器本体1の底面に銀転写による薄膜導電層2を設けた
電磁誘導加熱調理器用セラミック容器Aは、空炊き状態
となったときにも釉薬1bの剥離は発生しなかった。尚、
容器本体1の底の厚さは3mmにした。
%、焼きタルク 4%、珪酸ジルコニウム 3%、石灰
石 3.5%、酸化亜鉛 3.5%を3〜6μmに粉砕した釉
薬1bを、ペタライト 70%、粘土 30%からなり、ペタ
ライトの粒径を4μmに調整した素地1aで形成した容器
本体1の表面に施釉して、1250℃で焼成した。上記素地
1aの熱膨張率は0.12%、釉薬1bのそれは0.09%(いずれ
も40〜700℃)であった。また、素地1aの気孔率は0.4%
であった。そして、容器本体1表面に形成された釉薬1b
の層は、平滑、緻密、硬質で、亀裂の発生はなく、この
容器本体1の底面に銀転写による薄膜導電層2を設けた
電磁誘導加熱調理器用セラミック容器Aは、空炊き状態
となったときにも釉薬1bの剥離は発生しなかった。尚、
容器本体1の底の厚さは3mmにした。
【0021】この実施例の電磁誘導加熱調理器と下記比
較例の電磁誘導加熱調理器を用いて電磁誘導加熱調理器
で、湯の沸かし上げ試験を行った結果、実施例のものは
比較例のものに比べて沸騰時間が20%短縮できた。ま
た、実施例のものと比較例のもので味噌汁の調理テスト
を行った結果、比較例のものは調理後洗浄しても匂いが
残り、釉薬の嵌入に染み込んだ汁、焦げ付きは洗い落と
すことが出来なかったのに対し、実施例のものは臭いも
つかず、焦げ付きも簡単に洗い落とすことが出来た。比
較例は、容器本体にユークリプタイトを用い、容器本体
の線膨張率が0.2%〜−0.6%の範囲にあり、気孔率が5
%〜8%にある電磁誘導加熱調理器用セラミック容器
で、底の厚さが3mmである。また、比較例における薄膜
導電層は実施例のものと同じである。
較例の電磁誘導加熱調理器を用いて電磁誘導加熱調理器
で、湯の沸かし上げ試験を行った結果、実施例のものは
比較例のものに比べて沸騰時間が20%短縮できた。ま
た、実施例のものと比較例のもので味噌汁の調理テスト
を行った結果、比較例のものは調理後洗浄しても匂いが
残り、釉薬の嵌入に染み込んだ汁、焦げ付きは洗い落と
すことが出来なかったのに対し、実施例のものは臭いも
つかず、焦げ付きも簡単に洗い落とすことが出来た。比
較例は、容器本体にユークリプタイトを用い、容器本体
の線膨張率が0.2%〜−0.6%の範囲にあり、気孔率が5
%〜8%にある電磁誘導加熱調理器用セラミック容器
で、底の厚さが3mmである。また、比較例における薄膜
導電層は実施例のものと同じである。
【0022】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので下
記の効果を奏する。請求項1の電磁誘導加熱調理器用セ
ラミック容器は、素地の気孔率を5%以下にしても、釉
薬の熱膨張率が素地のそれより小さいため、釉薬に嵌入
や剥離の発生が無く、空炊き状態になった場合にも釉薬
が剥離するようなことが無い。即ち、容器本体の気孔率
を5%以下の電磁誘導加熱調理器用セラミック容器を提
供することが可能になる。
記の効果を奏する。請求項1の電磁誘導加熱調理器用セ
ラミック容器は、素地の気孔率を5%以下にしても、釉
薬の熱膨張率が素地のそれより小さいため、釉薬に嵌入
や剥離の発生が無く、空炊き状態になった場合にも釉薬
が剥離するようなことが無い。即ち、容器本体の気孔率
を5%以下の電磁誘導加熱調理器用セラミック容器を提
供することが可能になる。
【0023】そして、請求項2の電磁誘導加熱調理器用
セラミック容器は容器本体の気孔率を5%以下にしたの
で、5%以上のものに比べて熱伝導率がよくなり、従来
のこの種容器に比較して湯の沸き上げ時間、換言すると
調理時間を短縮することが出来る。また、緻密化して曲
げ強度も向上するので、容器本体を薄肉化して熱伝導を
一層良好にし、調理時間の一層の短縮を図ることが出来
るばかりでなく、軽量化を図ることも出来る。
セラミック容器は容器本体の気孔率を5%以下にしたの
で、5%以上のものに比べて熱伝導率がよくなり、従来
のこの種容器に比較して湯の沸き上げ時間、換言すると
調理時間を短縮することが出来る。また、緻密化して曲
げ強度も向上するので、容器本体を薄肉化して熱伝導を
一層良好にし、調理時間の一層の短縮を図ることが出来
るばかりでなく、軽量化を図ることも出来る。
【図1】本発明電磁誘導加熱調理器用セラミック容器の
断面図。
断面図。
A:電磁誘導加熱調理器用セラミック容器 1:容器本体 1a:素地 1b:釉薬 2:薄膜導電層
Claims (2)
- 【請求項1】 低膨張性セラミック製容器本体の底面
に、薄膜導電層を被着形成した電磁誘導加熱調理器用容
器において、上記容器本体の素地がペタライト70%、粘
土30%からなり、その表面に施釉する釉薬が、ペタライ
ト65%〜75%、粘土10〜17%、焼きタルク0〜8%、酸
化亜鉛0〜5%、石灰石0〜5%、炭酸バリウム0〜5
%、珪酸ジルコニウム0〜5%からなることを特徴とす
る電磁誘導加熱調理器用セラミック容器。 - 【請求項2】容器本体の気孔率が5%以下であることを
特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱調理器用セラミ
ック容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5073498A JPH11251051A (ja) | 1998-03-03 | 1998-03-03 | 電磁誘導加熱調理器用セラミック容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5073498A JPH11251051A (ja) | 1998-03-03 | 1998-03-03 | 電磁誘導加熱調理器用セラミック容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11251051A true JPH11251051A (ja) | 1999-09-17 |
Family
ID=12867088
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5073498A Pending JPH11251051A (ja) | 1998-03-03 | 1998-03-03 | 電磁誘導加熱調理器用セラミック容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11251051A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005000413A (ja) * | 2003-06-12 | 2005-01-06 | Mitsubishi Electric Corp | 炊飯器 |
KR20050074375A (ko) * | 2005-06-20 | 2005-07-18 | 황성연 | 무균열내열백자유약제조방법 |
JP2005342220A (ja) * | 2004-06-03 | 2005-12-15 | Tohi Ceramics:Kk | セラミックスおひつ |
JP2007144082A (ja) * | 2005-11-29 | 2007-06-14 | Sakae Suzuki | 温灸器 |
KR100753770B1 (ko) | 2006-10-25 | 2007-08-31 | 주식회사 피닉스세라믹스 | 균열이 없는 내열자기의 소지와 유약조성물의 제게르(Seger)식 |
JP2010240204A (ja) * | 2009-04-07 | 2010-10-28 | Miyao Company Ltd | 電磁誘導加熱調理器用の容器 |
JP2013110095A (ja) * | 2011-10-27 | 2013-06-06 | Jfe Chemical Corp | マイクロ波吸収発熱体用粉末の製造方法およびマイクロ波吸収発熱体用粉末ならびにその粉末を用いたマイクロ波吸収発熱体 |
-
1998
- 1998-03-03 JP JP5073498A patent/JPH11251051A/ja active Pending
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP4562427B2 (ja) * | 2004-06-03 | 2010-10-13 | 有限会社東彼セラミックス | セラミックスおひつ |
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JP4676327B2 (ja) * | 2005-11-29 | 2011-04-27 | 榮 鈴木 | 温灸器 |
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