JP2004024347A - 電磁調理用容器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】容器の形状に関係なく電磁調理器からの出力を充分に得ることができ,発熱量の大きな電磁調理用容器及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】容器2の表面に無鉛発熱膜3を形成してなる電磁調理用容器1である。上記無鉛発熱膜3は,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスとよりなる発熱層33と,該発熱層33の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層35とよりなる。上記無鉛発熱膜3は,上記容器2の内側及び外側の両表面に形成されている。また,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することが好ましい。
【選択図】 図3
【解決手段】容器2の表面に無鉛発熱膜3を形成してなる電磁調理用容器1である。上記無鉛発熱膜3は,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスとよりなる発熱層33と,該発熱層33の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層35とよりなる。上記無鉛発熱膜3は,上記容器2の内側及び外側の両表面に形成されている。また,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することが好ましい。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は,高出力の電磁調理用容器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,電磁調理器は,その高い安全性によりガスコンロに代わる調理器として広く普及してきた。上記電磁調理器は,該電磁調理器が具備する円板状のコイルから発生する磁力線を利用して,電磁調理器上に設置した鍋等の電磁調理用容器にうず電流を発生させ発熱を引き起こし,加熱するものである。
【0003】
電磁調理器に使用できる上記電磁調理用容器は,原則として磁性金属又は電磁誘導による表皮効果を利用して実効抵抗が4〜20×10−4Ωとなる導電体であった。そのため,アルミ,銅,又はセラミックスからなる鍋等の調理用の容器は,電磁調理器にて発熱させることができないという問題があった。
【0004】
そこで,セラミックスからなる容器を電磁調理器にて発熱させるために,低熱膨張素地からなる容器の外側表面の電磁調理器と接する部分に,銀からなる発熱体膜を転写紙として張る方法が開発されている(実公昭59−11436)。上記発熱体膜は結合ガラス層によって接合された金属層と,該金属層を保護するためのガラスコート層からなっている。上記転写紙にて発熱体膜を被覆した容器は,上記発熱体膜が表皮効果により発熱するため,電磁調理器にて使用可能となる。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の方法により,例えば底面積の小さい容器や,容器の底面と側面とのなす傾斜角度が大きい容器等といった特異形状の容器に,発熱体膜を形成するとき,電磁調理器から充分な出力を得ることができないという問題があった。即ち,このような特異形状の容器に,上記従来の方法によって発熱体膜を形成しても,電磁調理時に電磁調理器のコイルが発生している磁界の内,その数十%程度しか上記発熱体膜の表皮効果に利用することができない。そのため,上記発熱体膜の出力は,上記電磁調理器の出力よりも大幅に低下してしまうという問題があった。それ故,いくら電磁調理器が高い出力を有していても,調理に長時間を要してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,容器の形状に関係なく電磁調理器からの出力を充分に得ることができ,発熱量の大きな電磁調理用容器及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1の発明は,容器の表面に無鉛発熱膜を形成してなる電磁調理用容器であって,
上記無鉛発熱膜は,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスとよりなる発熱層と,該発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層とよりなり,
上記無鉛発熱膜は,上記容器の内側及び外側の両表面に形成されていることを特徴とする電磁調理用容器にある(請求項1)。
【0008】
第1の発明において,上記無鉛発熱膜は,上記容器の内側及び外側の両表面に形成されている。そのため,上記無鉛発熱膜は,電磁調理時に電磁調理器から発生する磁界を,上記容器の内側及び外側の両表面から受けることができる。それ故,上記容器の形状に関係なく,上記電磁調理器からの出力を充分に得ることができる。
上記電磁調理器から発生する磁界は,上記容器の両表面において,上記無鉛発熱膜の発熱層にうず電流を発生させる。そのため,上記電磁調理用容器は,上記容器の両表面が表皮効果により発熱し,大量の熱を発生することができる。
【0009】
また,上記無鉛発熱膜は,上記容器外側だけでなく内側にも形成されている。そのため,電磁調理器等により上記容器の内側が発熱し,該容器内の食材等を効率的に加熱することができる。
また,容器の外側に形成された無鉛発熱膜は,上記容器自体を充分に加熱する。そのため,電磁調理器等の電源をオフにした後においても,容器自体が充分に蓄熱し,余熱により内部を加熱することができる。
【0010】
また,上記無鉛発熱膜は,そのガラス成分中に鉛を含んでいない。そのため,上記容器の内側に形成された無鉛発熱膜が,食材等と直接接しても安全上の問題はない。
また,上記発熱層は,その表面を無鉛被覆ガラス層によって被覆されている。そのため,上記発熱層が他の物質と直に接することがなく,摩擦などにより劣化することがない。さらに,このように無鉛被覆ガラス層が形成されているため,上記電磁調理用容器は,例えば電子レンジ,ガス直火,ラジアントヒーター,ハロゲンヒーター等にも用いることができる。
【0011】
このように,第1の発明によれば,容器の形状に関係なく電磁調理器からの出力を充分に得ることができ,発熱量の大きな電磁調理用容器を得ることができる。
【0012】
第2の発明は,容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスと有機バインダーとよりなる発熱用金属組成物層と,該発熱用金属組成物層の表面を被覆するように積層形成された無鉛被覆ガラス組成物層とよりなる転写紙を,上記容器の外側及び内側の両表面に貼着し焼成して無鉛発熱膜を形成することを特徴とする電磁調理用容器の製造方法にある(請求項3)。
【0013】
第2の発明は,上記第1の発明の電磁調理用容器を製造する方法の1例である。第2の発明によれば,上記第1の発明の電磁調理用容器を簡便に作製することができる。
上記第2の発明においては,上記転写紙を,上記容器の外側及び内側の両表面に貼着し焼成する。そのため,上記焼成時には上記転写紙の発熱用金属組成物層及び無鉛被覆ガラス組成物層が上記容器の両表面に焼き付けられる。その結果,上記発熱用金属組成物層は,上記第1の発明の発熱層を形成し,上記無鉛被覆ガラス組成物層は,同様に無鉛被覆ガラス層を形成する。
【0014】
また,上記発熱用金属組成物層は,上記金属と無鉛ガラスを含有している。そのため,上記焼成時に上記発熱用金属組成物層中の無鉛ガラスが溶融し,上記金属を上記容器の表面に密着性よく焼き付けることができる。
【0015】
第3の発明は,容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
上記容器の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する金属粉末層形成工程と,
上記金属粉末層を形成してなる容器を焼成して上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けることにより発熱層を形成する第1焼成工程と,
上記発熱層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成するガラス粉末層形成工程と,
上記ガラス粉末層を形成してなる容器を焼成することにより,上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成する第2焼成工程とよりなることを特徴とする電磁調理用容器の製造方法にある(請求項4)
【0016】
第3の発明は,上記第2の発明と同様に,上記第1の発明の電磁調理用容器を製造する方法の1例である。第3の発明によれば,上記第1の発明の電磁調理用容器を簡便に作製することができる。
上記第3の発明においては,上記混合金属材料を上記容器の外側及び内側の両表面に吹き付けて金属粉末層を形成する(金属粉末層形成工程)。そのため,上記容器の形状に関係なく,該容器の両表面に厚さの均一な金属粉末層を形成することができる。
また,上記金属粉末層を形成してなる容器を焼成して上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けることにより発熱層を形成する(第1焼成工程)。そのため,上記容器の形状に関係なく,該容器の両表面に,密着性よく厚さの均一な発熱層を容易に形成することができる。
【0017】
また,上記発熱層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成する(ガラス粉末層形成工程)。そのため,上記容器の形状に関係なく,該容器の両表面に厚さの均一なガラス粉末層を形成することができる。
また,上記発熱層の表面にガラス粉末層を形成してなる容器を焼成することにより,上記無鉛被覆ガラス層を形成する(第2焼成工程)。そのため,上記発熱層を被覆し保護する無鉛被覆ガラス層を,容器の形状に関係なく均一な厚みに形成することができる。
【0018】
第4の発明は,容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
上記容器の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する金属粉末層形成工程と,
上記金属粉末層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成するガラス粉末層形成工程と,
上記金属粉末層及びガラス粉末層を有する上記容器を焼成することにより,上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けて発熱層を形成すると共に,上記ガラス粉末層を溶融させて上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成する焼成工程とよりなることを特徴とする電磁調理用容器の製造方法にある(請求項5)。
【0019】
第4の発明は,上記第2及び第3の発明と同様に,上記第1の発明の電磁調理用容器を製造する方法の1例である。第4の発明によれば,上記第1の発明の電磁調理用容器を簡便に作製することができる。
上記第4の発明においては,上記第3の発明と同様に,上記混合金属材料を上記容器の外側及び内側の両表面に吹き付けて金属粉末層を形成する(金属粉末層形成工程)。そのため,上記容器の形状に関係なく,該容器の両表面に厚さの均一な金属粉末層を形成することができる。
【0020】
また,上記金属粉末層の表面に上記被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成する(ガラス粉末層形成工程)。そのため,上記ガラス粉末層を均一な厚みにて形成することが容易にできる。
さらに,上記金属粉末層及びガラス粉末層を有する容器を焼成する(焼成工程)。そのため,上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けて発熱層を形成すると共に,上記ガラス粉末層を溶融させて上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成することができる。
また,上記焼成工程においては,1回の焼成により上記発熱層及び無鉛被覆ガラス層を形成している。そのため,工程数が減り安価にて上記電磁調理用容器を作製することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において,上記電磁調理用容器としては,例えば陶磁器製の食器や鍋,又は結晶化ガラス製の食器や鍋等がある。
上記陶磁器製の食器としては,例えば皿,鉢,土瓶,茶碗等があり,陶磁器製の鍋としては,土鍋,焙烙等がある。
上記結晶化ガラス製の食器としては,例えば皿,グラタン皿,ボール等があり,結晶化ガラス製の鍋としては,片手鍋,両手鍋等がある。
【0022】
次に,上記第1の発明(請求項1)において,上記金属と無鉛ガラスとの混合割合は,両者を100重量部としたとき,金属が85〜99重量部で,無鉛ガラスが1〜15重量部であることが好ましい。
上記金属が85重量部未満の場合,又は無鉛ガラスが15重量部を超える場合には,上記無鉛発熱膜を効率よく発熱させることができなくなるおそれがある。
一方,上記金属が99重量部を超える場合,又は無鉛ガラスが1重量%未満の場合には,上記無鉛発熱膜と容器との密着性が低下し,剥がれを生じ易くなるおそれがある。
【0023】
上記金属と無鉛ガラスとの混合割合のさらに好ましい範囲は,両者を100重量部としたとき,金属が90〜95重量部で,無鉛ガラスが5〜10重量部である。
この場合には,焼成後の無鉛発熱膜の発熱性を一層向上させることができる。
【0024】
また,上記発熱層の厚みは,15μm以上であることが好ましい。
上記発熱層の厚みが15μm未満の場合には,電磁調理器にて,充分に発熱しないおそれがある。なお,上記発熱層の厚みの上限は,製造コスト及び発熱の効率性を考慮すると50μm以下が好ましい。さらに好ましくは,40μm以下がよい。
【0025】
また,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層は,転移点が550℃〜700℃であり,かつ屈伏点が650℃〜750℃であることが好ましい。この場合には,上記電磁調理用容器を例えば200Vという高出力の電磁調理器にも使用することができる。
上記転移点が550℃未満の場合または屈伏点が650℃未満の場合には,上記電磁調理用容器を高出力の電磁調理器に用いたときに,無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層が再溶融するおそれがある。
一方,上記転移点が700℃を超える場合又は屈伏点が750℃を超える場合には,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。
【0026】
また,上記無鉛被覆ガラス層は,無機顔料を含有することが好ましい。この場合には,上記無鉛被覆ガラス層に色彩を与えることができる。ここで,上記無機顔料の含有量は,無鉛被覆ガラス層100wt%中0.1〜20wt%であることが好ましい。無機顔料の含有量が0.1wt%未満の場合には,所望の色彩を上記無鉛被覆ガラス層に与えることができないおそれがある。一方,20wt%を超える場合には,上記無鉛被覆ガラス層の耐久性が低下するおそれがある。
【0027】
また,上記無鉛被覆ガラス層の厚みは10μm以上であることが好ましい。
上記無鉛被覆ガラス層の厚みが10μm未満の場合には,無鉛被覆ガラス層が摩耗し易くなり,上記無鉛発熱膜の寿命が短くなるおそれがある。さらに好ましくは15μm以上がよい。
【0028】
次に,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することが好ましい(請求項2)。
【0029】
この場合には,上記発熱層と容器との密着性を向上させることができる。また,上記無鉛被覆ガラス層の表面平滑性及び耐久性が向上し,かつ光沢を有するものとすることができる。さらに,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,高い転移点及び屈伏点を有するため,上記電磁調理用容器の使用時におけるガラス成分の溶融を防止することができるなお,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,SiO2,Al2O3,B2O3,及びRO(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMg)を必須成分として含有するガラスであるが,その他の成分としてアルカリ金属酸化物,ZnO,Bi2O3,P2O5,TiO2等を含有していてもよい。
【0030】
上記B2O3の含有量が3wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,25wt%を超える場合には,焼成時にガラス中に発泡が生じて上記無鉛発熱膜の耐久性が劣化するおそれがある。上記B2O3の含有量は10〜20wt%であることがより好ましい。
【0031】
また,上記ROの含有量が10wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,55wt%を超える場合には,転移点及び屈伏点が低下し,耐熱性が劣化して断線などの不具合を生じやすくなるおそれがある。上記ROの含有量は,15〜45wt%であることがより好ましい。
また,上記ROにおいて,Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上であり,即ちROは,CaO,SrO,BaO,MgOから選ばれる1種以上である。
【0032】
次に,上記第2の発明(請求項3)においては,上記金属と無鉛ガラスとの混合割合は,両者を100重量部としたとき,金属が85〜99重量部で,無鉛ガラスが1〜15重量部であることが好ましい。
上記金属が85重量部未満の場合,又は無鉛ガラスが15重量部を超える場合には,焼成後の上記無鉛発熱膜を充分に発熱させることができないおそれがある。一方,上記金属が99重量部を超える場合,又は無鉛ガラスが1重量%未満の場合には,上記無鉛発熱膜と容器とが充分に密着し難くなり,焼成後に剥がれを生じ易くなる。
【0033】
上記金属と無鉛ガラスとの混合割合のさらに好ましい範囲は,両者を100重量部としたとき,金属が90〜95重量部で,無鉛ガラスが5〜10重量部である。
この場合には,焼成後の無鉛発熱膜の発熱性を一層向上させることができる。
【0034】
また,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス組成物層のガラス成分は,転移点が550℃〜700℃であり,かつ屈伏点650℃〜750℃であることが好ましい。この場合には,例えば200Vという高出力の電磁調理器にも使用することができる電磁調理用容器を製造することができる。
上記転移点が550℃未満の場合または屈伏点が650℃未満の場合には,焼成後の無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス組成物層が再溶融し易くなるおそれがある。一方,上記転移点が700℃を超える場合または屈伏点が750℃を超える場合には,上記転移点及び屈伏点が高すぎて,焼成が困難になり,焼成後に上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。
【0035】
また,上記有機バインダーは,上記金属と無鉛ガラスとの混合物100重量部に対して,20〜100重量部含有させることができる。上記有機バインダーの含有量が20重量部未満の場合には,例えばスクリーン印刷にて上記発熱用金属組成物層を形成するときに,均一な形状及び厚みに形成することが困難になるおそれがある。一方,100重量部を超える場合には,焼成後に有機バインダーが残存し,焼成後の上記無鉛発熱膜がちぢれ易くなるおそれがある。
【0036】
また,上記有機バインダーとしては,例えばアクリル系樹脂,アルキッド系樹脂,ブチル樹脂,エチルセルロース系樹脂,ニトロセルロース系樹脂,メチルセルロース系樹脂等を用いることができる。
【0037】
また,上記無鉛被覆ガラス組成物層には,無機顔料を含有させることができる。この場合には,焼成後の上記無鉛被覆ガラス組成物層に色彩を与えることができる。ここで,上記無機顔料の含有量は,無鉛被覆ガラス組成物層100wt%中0.1〜20wt%であることが好ましい。無機顔料の含有量が0.1wt%未満の場合には,所望の色彩を焼成後の上記無鉛被覆ガラス組成物層に与えることができないおそれがある。一方,20wt%を超える場合には,焼成後の無鉛被覆ガラス組成物層の耐久性が低下するおそれがある。
【0038】
また,上記発熱用金属組成物層及び無鉛被覆ガラス組成物層は,1版又は2版以上のスクリーン印刷にて形成することができる。好ましくは2版以上であり,この場合には,上記発熱用金属組成物層を形成しやすくなると共に,無鉛被覆ガラス組成物層を均一に形成し易くなる。そのため,焼成後に上記無鉛発熱膜の耐久性が向上し,寿命を向上させることができる。
【0039】
また,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス組成物層は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することが好ましい。
【0040】
この場合には,上記発熱層と容器との密着性を向上させることができる。また,上記無鉛被覆ガラス層の表面平滑性及び耐久性が向上し,かつ光沢を有するものとすることができる。さらに,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,高い転移点及び屈伏点を有するため,上記電磁調理用容器の使用時におけるガラス成分の溶融を防止することができるなお,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,SiO2,Al2O3,B2O3,及びRO(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMg)を必須成分として含有するガラスであるが,その他の成分としてアルカリ金属酸化物,ZnO,Bi2O3,P2O5,TiO2等を含有していてもよい。
【0041】
上記B2O3の含有量が3wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,25wt%を超える場合には,焼成時にガラス中に発泡が生じて上記無鉛発熱膜の耐久性が劣化するおそれがある。上記B2O3の含有量は10〜20wt%であることがより好ましい。
【0042】
また,上記ROの含有量が10wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,55wt%を超える場合には,転移点及び屈伏点が低下し,耐熱性が劣化して断線などの不具合を生じやすくなるおそれがある。上記ROの含有量は,15〜45wt%であることがより好ましい。
また,上記ROにおいて,Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上であり,即ちROは,CaO,SrO,BaO,MgOから選ばれる1種以上である。
【0043】
次に,上記第3(請求項4)又は第4の発明(請求項5)において,上記金属粉末としては,例えば金,銀,白金等の貴金属の粉末を用いることができる。
また,上記混合金属材料に用いる液体としては,アセトン,水,又はメチルアルコール,エチルアルコール,変性アルコール,IPA等のアルコール類等,又はこれらの混合液体等がある。
【0044】
また,上記混合金属材料には,有機バインダーを含有させることができる。
この場合には,焼成前の上記金属粉末層の強度が向上するため,その取り扱いが容易になる。
【0045】
また,上記有機バインダーの添加量は,上記混合金属材料100重量部に対して,0.1〜5重量部添加することが好ましい。
上記有機バインダーの添加量が0.1重量部未満の場合には,上記金属粉末層の強度が低下し作業中に剥がれ等が起こり易いため,その取り扱いが困難になるおそれがある。
一方,5重量部を超える場合には,上記焼成時に縮れが発生するおそれがある。
【0046】
また,上記有機バインダーとしては,例えばアクリル系樹脂,アルキド系樹脂,ブチル樹脂,エチルセルロース系樹脂,及びメチルセルロース系樹脂等を用いることができる。
また,上記混合金属材料を吹き付ける際には,スプレーガン等の噴霧装置を用いることができる。
【0047】
また,上記発熱層の厚みは,15μm以上であることが好ましい。
上記発熱層の厚みが15μm未満の場合には,電磁調理器にて,充分に発熱しないおそれがある。なお,上記発熱層の厚みの上限は,製造コスト及び発熱の効率性を考慮すると50μm以下が好ましい。さらに好ましくは,40μm以下がよい。
【0048】
ここで,上記発熱層の厚みを15μm以上とするためには,上記混合金属材料を生厚み20μm以上で容器の表面に吹き付けて,生厚み20μm以上の金属粉末層を形成することが好ましい。さらに好ましくは,上記金属粉末層の生厚みは,25μm以上である。また,上記発熱層の厚みを40μm以下とするためには,上記混合金属材料を生厚み60μm以下で容器の表面に吹き付けて,生厚み60μm以下の金属粉末層を形成することが好ましい。さらに好ましくは,金属粉末層の生厚みは,50μm以下である。なお,上記生厚みとは,焼成前の発熱層の厚み,即ち上記金属粉末層の厚みのことである。
【0049】
次に,上記金属粉末は,粒径が3〜10μmであることが好ましい。
上記粒径が3μm未満の場合には,上記液状の混合金属材料の流動性が劣化し,上記混合金属材料を上記容器に均一に吹き付けることが困難になるおそれがある。
一方,10μmを超える場合には,上記混合金属材料を吹き付けたときに,金属粉末が互いに密着して容器の表面に付着することができず,焼成後の上記発熱層の導通が劣化するおそれがある。さらに好ましくは,上記金属粉末の粒径は,3〜7μmがよい。
【0050】
また,上記混合金属材料における金属粉末と無鉛ガラス粉末との混合割合は,両者の合計量を100重量部とするとき,金属粉末が85〜99重量部で,無鉛ガラス粉末が1〜15重量部であることが好ましい。
上記金属粉末が85重量部未満の場合,又は無鉛ガラス粉末が15重量部を超える場合には,ガラス成分が多過ぎて上記焼成時にガラスが発泡するおそれがある。
一方,上記金属粉末が99重量部を超える場合,又は無鉛ガラス粉末が1重量部未満の場合には,上記発熱層と容器とが充分に密着し難くなり,剥がれを生じ易くなるおそれがある。
【0051】
次に,上記無鉛ガラス粉末及び被覆用無鉛ガラス粉末は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することが好ましい。
【0052】
この場合には,上記発熱層と容器との密着性を向上させることができる。また,上記無鉛被覆ガラス層の表面平滑性及び耐久性が向上し,かつ光沢を有するものとすることができる。さらに,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,高い転移点及び屈伏点を有するため,上記電磁調理用容器の使用時におけるガラス成分の溶融を防止することができるなお,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,SiO2,Al2O3,B2O3,及びRO(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMg)を必須成分として含有するガラスであるが,その他の成分としてアルカリ金属酸化物,ZnO,Bi2O3,P2O5,TiO2等を含有していてもよい。
【0053】
上記B2O3の含有量が3wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,25wt%を超える場合には,焼成時にガラス中に発泡が生じて上記無鉛発熱膜の耐久性が劣化するおそれがある。上記B2O3の含有量は10〜20wt%であることがより好ましい。
【0054】
また,上記ROの含有量が10wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,55wt%を超える場合には,転移点及び屈伏点が低下し,耐熱性が劣化して断線などの不具合を生じやすくなるおそれがある。上記ROの含有量は,15〜45wt%であることがより好ましい。
また,上記ROにおいて,Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上であり,即ちROは,CaO,SrO,BaO,MgOから選ばれる1種以上である。
【0055】
上記被覆用無鉛ガラスを被覆する方法としては,粉末状の上記被覆用無鉛ガラスと液体とを混合して被覆ガラス材料とし,上記の混合金属材料を吹き付けるときと同様にして,該被覆ガラス材料を噴霧装置により吹き付ける方法を用いることが好ましい。この場合には,上記被覆ガラス材料を均一に被覆させることができるため,表面が均一で,外観上美しい被覆ガラス層を形成することができる。なお,上記被覆ガラス材料に用いる液体としては,上記の混合材料に用いる液体と同様のものを用いることができる
【0056】
また,上記被覆無鉛ガラスには,無機顔料を含有させることができる。
この場合には,上記被覆ガラス層に色彩を与え,上記電磁調理用容器の審美性を高めることができる。ここで,上記無機顔料の含有量は,無鉛被覆ガラス粉末100重量部に対して,0.1〜20重量部であることが好ましい。無機顔料の含有量が,0.1重量部未満の場合には,所望の色彩を被覆ガラス層に与えることができないおそれがある。一方,20重量部を超える場合には,上記被覆ガラス層の耐久性が低下するおそれがある。
【0057】
【実施例】
(実施例1)
次に,本発明の実施例にかかる電磁調理用容器及びその製造方法につき図1〜図4を用いて説明する。
本例の電磁調理用容器は,図1〜2に示すごとく,容器2の表面に無鉛発熱膜3を形成してなる電磁調理用容器1である。図3に示すごとく,上記無鉛発熱膜3は,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスとよりなる発熱層33と,該発熱層33の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層35とよりなる。そして,上記無鉛発熱膜3は,上記容器の内側及び外側の両表面に形成されている。
【0058】
本例の電磁調理用容器1の製造方法は,図1〜3に示すごとく,容器2の表面に金属の無鉛発熱膜3を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器1を製造する方法である。図4に示すごとく,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスと有機バインダーとよりなる発熱用金属組成物層43と,該発熱用金属組成物層43の表面を被覆するように積層形成された無鉛被覆ガラス組成物層45とよりなる転写紙4を,上記容器の外側及び内側の両表面に貼着し焼成して無鉛発熱膜3を形成する。
【0059】
以下,本例の電磁調理用容器の製造方法につき説明する。
まず,上記容器としての土鍋,及び上記金属としての銀粉末を準備した。また,上記無鉛ガラスとしては,SiO2を35wt%,Al2O3を15wt%,B2O3を20wt%,CaOを13wt%,BaOを10wt%,SrOを2wt%及びZnOを5wt%含有するSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスを準備した。
【0060】
上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,転移点が650℃で,屈伏点が700℃であった。
上記転移点及び屈伏点の測定方法としては,まず上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスを25℃から5℃/minの昇温速度にて昇温させ,熱膨張係数を熱機械分析装置を用いて測定した。このとき,溶融石英ガラスを標準試料として用いた。次に,その結果をグラフ上に示し,該グラフから上記転移点及び屈伏点を測定した。なお,上記熱機械分析装置としては,株式会社リガク製の「サーモプラス TMA8310」を用いた。
【0061】
次に,上記銀粉末90重量部と上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス10重量部とを混合し,混合物を得た。この混合物100重量部に有機バインダーとしてのアクリル系樹脂を30重量部加えて混合した。そして,図4に示すごとく,この有機バインダーを加えた混合物を250メッシュのステンレス版を用いて台紙41の上に2版印刷にて,φ110mmの円形状となるように印刷し,円形状の発熱用金属組成物層43を形成した。
【0062】
次に,上記無鉛被覆ガラス組成物層45として,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスを準備した。このSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,本例の上記無鉛ガラスと同じ組成のもので,転移点が650℃で,屈伏点が700℃のものである。
このSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスを上記円形状の発熱用金属組成物層43の上に該発熱用金属組成物層43を覆うように積層印刷し,無鉛被覆ガラス組成物層45を形成した。尚,印刷は2版印刷にて行った。
【0063】
続いて,上記無鉛被覆ガラス組成物層45の上をフィルム47にて上記無鉛被覆ガラス組成物層45を覆うようにコートし,円形状の転写紙4を作製した。
【0064】
次に,この円形状の転写紙4をその発熱用金属組成物層43側が接するように,上記容器2としての土鍋の内側底部及び外側底部に貼着し,自然乾燥させた。
続いて,この土鍋をトンネル式の絵窯にて850℃にて10分間焼成した。この焼成時に,上記転写紙4のフィルム47は消滅し,上記発熱用金属組成物層43と無鉛被覆ガラス組成物層45が上記容器2の表面に焼き付けられる。このようにして,図1〜図3に示すごとく,容器2の外側及び内側の両表面に無鉛発熱膜を形成してなる電磁調理用容器1を作製し,これを試料E1とした。なお,試料E1における無鉛発熱膜の直径はφ110mmであった。
【0065】
(実施例2)
本例では,スプレーガンを用いて上記無鉛発熱膜を形成し,実施例1と同様な電磁調理用容器を作製する例を示す。
本例の製造方法は,図1〜3に示すごとく,容器2の表面に金属の無鉛発熱膜3を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器1を製造する方法である。
まず,上記容器2の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する(金属粉末層形成工程)。そして,上記金属粉末層を形成してなる容器を焼成して上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けることにより発熱層を形成する(第1焼成工程)。
【0066】
次に,上記発熱層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成する(ガラス粉末層形成工程)。さらに,上記ガラス粉末層を形成してなる容器を焼成することにより,上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成する(第2焼成工程)。
【0067】
以下,本例の電磁調理用容器の製造方法につき詳細に説明する。
まず,上記容器2としての土鍋,及び上記金属粉末としての平均粒径3〜5ミクロンの銀粉末を準備した。
また,上記無鉛ガラス粉末としては,実施例1と同様の組成を有するSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(転移点650℃,屈伏点700℃)の粉末を準備した。
【0068】
次に,上記銀粉末90重量部とSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス10重量部とを混合し,混合物を得た。この混合物100重量部に有機バインダーとしてのアクリル系樹脂を2重量部加えて混合し,さらに,上記液体としてのアセトンを100重量部加えて混合金属材料とした。
【0069】
また,上記の組成のSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス90重量部と無機肌色顔料10重量部とを混合した。この混合物100重量部に上記液体としてのPVA1重量部と水45重量部との混合液体を加えて被覆ガラス材料とした。
【0070】
続いて,上記混合金属材料を上記容器2としての土鍋の内側底部及び外側底部にスプレーガンにて吹き付け,金属粉末層を形成し,充分に乾燥させた。次に,この金属粉末層を形成してなる容器2をトンネル式の絵窯にて750℃にて30分間焼成した。この焼成時に,上記金属粉末層は,上記容器の表面に焼き付けられて発熱層33を形成した。
【0071】
次に,上記発熱層33の表面に上記被覆ガラス材料を吹き付け,ガラス粉末層を形成し,充分に乾燥させた。そして,このガラス粉末層形成させた容器2を,再びトンネル式の絵窯にて750℃にて30分間焼成した。この焼成時に,上記ガラス粉末層は溶融し,上記発熱層33を被覆する無鉛被覆ガラス層35を形成した。
このようにして,図1〜3に示すごとく,容器2の内側及び外側の両表面に無鉛発熱膜3を形成してなる電磁調理用容器1を作製し,これを試料E2とした。なお,試料E2における無鉛発熱膜の直径は試料E1と同様にφ110mmであった。
【0072】
(実施例3)
本例では,実施例2と同様にスプレーガンを用いて上記無鉛発熱膜を形成し,実施例1と同様な電磁調理用容器を作製する例を示す。
本例の製造方法は,図1〜3に示すごとく,容器2の表面に金属の無鉛発熱膜3を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器1を製造する方法である。
【0073】
上記容器2の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する(金属粉末層形成工程)。
続いて,上記金属粉末層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成する(ガラス粉末層形成工程)。
次に,上記金属粉末層及びガラス粉末層を有する容器2を焼成することにより,上記金属粉末層を容器2の表面に焼き付けて発熱層33を形成すると共に,上記ガラス粉末層を溶融させて上記発熱層33の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層35を形成する(焼成工程)。
【0074】
以下,本例の電磁調理用容器の製造方法につき詳細に説明する。
まず,上記容器2としての土鍋,及び上記金属粉末としての平均粒径3〜5ミクロンの銀粉末を準備した。
また,上記無鉛ガラス粉末としては,実施例1及び2と同様の組成を有するSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(転移点650℃,屈伏点700℃)の粉末を準備した。
【0075】
次に,実施例2と同様にして,上記銀粉末90重量部とSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス10重量部とを混合し,混合物を得た。この混合物100重量部に有機バインダーとしてのアクリル系樹脂を2重量部加えて混合し,さらに,上記液体としてのアセトンを100重量部加えて混合金属材料とした。
また,上記の組成のSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス90重量部と無機肌色顔料10重量部とを混合した。この混合物100重量部に上記液体としてのPVA1重量部と水45重量部との混合液体を加えて被覆ガラス材料とした。
【0076】
続いて,上記混合金属材料を上記容器2としての土鍋の内側底部及び外側底部にスプレーガンにて吹き付け,金属粉末層を形成し,充分に乾燥させた。続いて,上記金属粉末層の上に上記被覆ガラス材料を吹き付け,ガラス粉末層を形成し,充分に乾燥させた。
【0077】
次に,この金属粉末層及びガラス粉末層を形成してなる容器2をトンネル式の絵窯にて750℃にて30分間焼成した。この焼成時に,上記金属粉末層は,上記容器の表面に焼き付けられて発熱層33を形成する。また,上記ガラス粉末層は,溶融し上記発熱層33を被覆する無鉛被覆ガラス層35を形成する。
このようにして,図1〜図3に示すごとく,容器2の内側及び外側の両表面に無鉛発熱膜3を形成してなる電磁調理用容器1を作製し,これを試料E3とした。なお,試料E3における無鉛発熱膜の直径は試料E1及びE2と同様にφ110mmであった。
【0078】
(比較例)
本例では,試料E1,E2及びE3の優れた特性を明らかにするため比較例としての試料C1及び試料C2を作製する例を示す。
本例にて作製する試料C1は,図5に示すごとく,容器82としての土鍋の外側底部に発熱層83及び無鉛被覆ガラス層85からなる無鉛発熱膜87を形成してなる電磁調理用容器8である。
【0079】
まず,図4に示すごとく実施例1と同じ円形状の転写紙4を準備した。この円形状の転写紙4をその発熱用金属組成物層43側が接するように,実施例1と同様の土鍋の外側底部に貼着し,そのまま自然乾燥させた。
続いて,実施例1と同様に,この土鍋をトンネル式の絵窯にて850℃にて10分間焼成した。
【0080】
このようにして,図5に示すごとく,容器8の外側底部に,発熱層83及び無鉛被覆ガラス層とよりなる無鉛発熱膜を形成してなる電磁調理用容器8を作製し,これを試料C1とした。なお,試料C1における無鉛発熱膜の直径は,試料E1と同様にφ110mmであった。
【0081】
また,本例にて作製する試料C2は,図6に示すごとく,容器92としての土鍋の内側底部に発熱層93及び無鉛被覆ガラス層95からなる無鉛発熱膜97を形成してなる電磁調理用容器9である。
まず,実施例3と同様の混合金属材料及び被覆ガラス材料を準備した。続いて,上記混合金属材料を,実施例3と同様の土鍋における内側底部にスプレーガンにて吹き付け,金属粉末層を形成し,充分に乾燥させた。さらに実施例3と同様に,上記金属粉末層の上に上記被覆ガラス材料を吹きつけ,ガラス粉末層を形成し,充分に乾燥させた。
【0082】
次に,この土鍋をトンネル式の絵窯にて750℃にて30分間焼成した。このようにして,図6に示すごとく,容器92の内側表面の底部に,発熱層93及び無鉛被覆ガラス層95とからなる無鉛発熱膜97を形成してなる電磁調理用容器9を作製し,これを試料C2とした。なお,試料C2における無鉛発熱膜の直径は試料E1,E2,E3及び試料C1と同様にφ110mmであった。
【0083】
(実験例)
本例では,上記試料E1,E2及びE3について,上記無鉛発熱膜の出力を測定し,試料C1及びC2のものと比較した。また,上記試料E1,E2,E3,C1及びC2の電磁調理用容器を用いて水を沸騰させ,沸騰までに要する時間を測定し,さらに,余熱での沸騰継続性を調べた。
以下,測定方法について説明する。
【0084】
まず,出力2000Wの電磁調理器(株式会社日立製作所製,HT−32CB)に,上記試料E1,E2,E3,C1及びC2の電磁調理用容器を設置する。該電磁調理用容器に150ミリリットルの水を注ぎ,200Vの電圧を印加する。
このとき,電磁調理器に流れている電流を測定し,電磁調理器で消費された電力を算出した。そして,この消費電力の値を上記無鉛発熱膜の出力値とし,その結果を表1に示す。
【0085】
また,上記試料E1,E2,E3,C1及びC2内に加えられた150ミリリットルの水が沸騰を開始するまでの時間を測定した。その結果を表1に示す。
さらに,上記水が完全に沸騰を開始した後,上記電磁調理器の電源をオフにし,電源供給遮断後における沸騰の継続性を目視にて調べた。上記電磁調理器の電源をオフにした後も,沸騰が30秒以上継続するものを沸騰継続性があるものとして判断した。その結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1より知られるごとく,上記試料E1,試料E2及び試料E3は,電磁調理器の出力2000Wに対して,無鉛発熱膜から1700Wを超える高い出力を得ることができた。そのため,150ミリリットルの水を1分10秒以内という比較的短い時間にて沸騰させることができた。また,上記試料E1,E2及びE3は,容器の外側に無鉛発熱膜を有しているため,余熱での沸騰継続性を有していた
【0088】
これに対し,試料C1及びC2は,上記無鉛発熱膜から1200W未満という低い出力しか得ることができなかった。そのため,150ミリリットルの水を沸騰させるために1分30秒を越える長い時間を要した。また,上記試料C2は,容器の内側だけにしか無鉛発熱膜を有していないため,上記電磁調理器の電源をオフにした後,沸騰は観察されなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3にかかる,電磁調理用容器の全体を示す上方斜視図。
【図2】実施例1〜3にかかる,電磁調理用容器の全体を示す下方斜視図。
【図3】実施例1〜3にかかる,図1及び図2のA−A線矢視断面図。
【図4】実施例1及び比較例にかかる,転写紙の断面説明図。
【図5】比較例にかかる,電磁調理用容器(試料C1)の断面図。
【図6】比較例にかかる,電磁調理用容器(試料C2)の断面図。
【符号の説明】
1...電磁調理用容器,
2...容器,
3...無鉛発熱膜,
33...発熱層,
35...無鉛被覆ガラス層,
【技術分野】
本発明は,高出力の電磁調理用容器及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より,電磁調理器は,その高い安全性によりガスコンロに代わる調理器として広く普及してきた。上記電磁調理器は,該電磁調理器が具備する円板状のコイルから発生する磁力線を利用して,電磁調理器上に設置した鍋等の電磁調理用容器にうず電流を発生させ発熱を引き起こし,加熱するものである。
【0003】
電磁調理器に使用できる上記電磁調理用容器は,原則として磁性金属又は電磁誘導による表皮効果を利用して実効抵抗が4〜20×10−4Ωとなる導電体であった。そのため,アルミ,銅,又はセラミックスからなる鍋等の調理用の容器は,電磁調理器にて発熱させることができないという問題があった。
【0004】
そこで,セラミックスからなる容器を電磁調理器にて発熱させるために,低熱膨張素地からなる容器の外側表面の電磁調理器と接する部分に,銀からなる発熱体膜を転写紙として張る方法が開発されている(実公昭59−11436)。上記発熱体膜は結合ガラス層によって接合された金属層と,該金属層を保護するためのガラスコート層からなっている。上記転写紙にて発熱体膜を被覆した容器は,上記発熱体膜が表皮効果により発熱するため,電磁調理器にて使用可能となる。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の方法により,例えば底面積の小さい容器や,容器の底面と側面とのなす傾斜角度が大きい容器等といった特異形状の容器に,発熱体膜を形成するとき,電磁調理器から充分な出力を得ることができないという問題があった。即ち,このような特異形状の容器に,上記従来の方法によって発熱体膜を形成しても,電磁調理時に電磁調理器のコイルが発生している磁界の内,その数十%程度しか上記発熱体膜の表皮効果に利用することができない。そのため,上記発熱体膜の出力は,上記電磁調理器の出力よりも大幅に低下してしまうという問題があった。それ故,いくら電磁調理器が高い出力を有していても,調理に長時間を要してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,容器の形状に関係なく電磁調理器からの出力を充分に得ることができ,発熱量の大きな電磁調理用容器及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題の解決手段】
第1の発明は,容器の表面に無鉛発熱膜を形成してなる電磁調理用容器であって,
上記無鉛発熱膜は,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスとよりなる発熱層と,該発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層とよりなり,
上記無鉛発熱膜は,上記容器の内側及び外側の両表面に形成されていることを特徴とする電磁調理用容器にある(請求項1)。
【0008】
第1の発明において,上記無鉛発熱膜は,上記容器の内側及び外側の両表面に形成されている。そのため,上記無鉛発熱膜は,電磁調理時に電磁調理器から発生する磁界を,上記容器の内側及び外側の両表面から受けることができる。それ故,上記容器の形状に関係なく,上記電磁調理器からの出力を充分に得ることができる。
上記電磁調理器から発生する磁界は,上記容器の両表面において,上記無鉛発熱膜の発熱層にうず電流を発生させる。そのため,上記電磁調理用容器は,上記容器の両表面が表皮効果により発熱し,大量の熱を発生することができる。
【0009】
また,上記無鉛発熱膜は,上記容器外側だけでなく内側にも形成されている。そのため,電磁調理器等により上記容器の内側が発熱し,該容器内の食材等を効率的に加熱することができる。
また,容器の外側に形成された無鉛発熱膜は,上記容器自体を充分に加熱する。そのため,電磁調理器等の電源をオフにした後においても,容器自体が充分に蓄熱し,余熱により内部を加熱することができる。
【0010】
また,上記無鉛発熱膜は,そのガラス成分中に鉛を含んでいない。そのため,上記容器の内側に形成された無鉛発熱膜が,食材等と直接接しても安全上の問題はない。
また,上記発熱層は,その表面を無鉛被覆ガラス層によって被覆されている。そのため,上記発熱層が他の物質と直に接することがなく,摩擦などにより劣化することがない。さらに,このように無鉛被覆ガラス層が形成されているため,上記電磁調理用容器は,例えば電子レンジ,ガス直火,ラジアントヒーター,ハロゲンヒーター等にも用いることができる。
【0011】
このように,第1の発明によれば,容器の形状に関係なく電磁調理器からの出力を充分に得ることができ,発熱量の大きな電磁調理用容器を得ることができる。
【0012】
第2の発明は,容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスと有機バインダーとよりなる発熱用金属組成物層と,該発熱用金属組成物層の表面を被覆するように積層形成された無鉛被覆ガラス組成物層とよりなる転写紙を,上記容器の外側及び内側の両表面に貼着し焼成して無鉛発熱膜を形成することを特徴とする電磁調理用容器の製造方法にある(請求項3)。
【0013】
第2の発明は,上記第1の発明の電磁調理用容器を製造する方法の1例である。第2の発明によれば,上記第1の発明の電磁調理用容器を簡便に作製することができる。
上記第2の発明においては,上記転写紙を,上記容器の外側及び内側の両表面に貼着し焼成する。そのため,上記焼成時には上記転写紙の発熱用金属組成物層及び無鉛被覆ガラス組成物層が上記容器の両表面に焼き付けられる。その結果,上記発熱用金属組成物層は,上記第1の発明の発熱層を形成し,上記無鉛被覆ガラス組成物層は,同様に無鉛被覆ガラス層を形成する。
【0014】
また,上記発熱用金属組成物層は,上記金属と無鉛ガラスを含有している。そのため,上記焼成時に上記発熱用金属組成物層中の無鉛ガラスが溶融し,上記金属を上記容器の表面に密着性よく焼き付けることができる。
【0015】
第3の発明は,容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
上記容器の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する金属粉末層形成工程と,
上記金属粉末層を形成してなる容器を焼成して上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けることにより発熱層を形成する第1焼成工程と,
上記発熱層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成するガラス粉末層形成工程と,
上記ガラス粉末層を形成してなる容器を焼成することにより,上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成する第2焼成工程とよりなることを特徴とする電磁調理用容器の製造方法にある(請求項4)
【0016】
第3の発明は,上記第2の発明と同様に,上記第1の発明の電磁調理用容器を製造する方法の1例である。第3の発明によれば,上記第1の発明の電磁調理用容器を簡便に作製することができる。
上記第3の発明においては,上記混合金属材料を上記容器の外側及び内側の両表面に吹き付けて金属粉末層を形成する(金属粉末層形成工程)。そのため,上記容器の形状に関係なく,該容器の両表面に厚さの均一な金属粉末層を形成することができる。
また,上記金属粉末層を形成してなる容器を焼成して上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けることにより発熱層を形成する(第1焼成工程)。そのため,上記容器の形状に関係なく,該容器の両表面に,密着性よく厚さの均一な発熱層を容易に形成することができる。
【0017】
また,上記発熱層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成する(ガラス粉末層形成工程)。そのため,上記容器の形状に関係なく,該容器の両表面に厚さの均一なガラス粉末層を形成することができる。
また,上記発熱層の表面にガラス粉末層を形成してなる容器を焼成することにより,上記無鉛被覆ガラス層を形成する(第2焼成工程)。そのため,上記発熱層を被覆し保護する無鉛被覆ガラス層を,容器の形状に関係なく均一な厚みに形成することができる。
【0018】
第4の発明は,容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
上記容器の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する金属粉末層形成工程と,
上記金属粉末層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成するガラス粉末層形成工程と,
上記金属粉末層及びガラス粉末層を有する上記容器を焼成することにより,上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けて発熱層を形成すると共に,上記ガラス粉末層を溶融させて上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成する焼成工程とよりなることを特徴とする電磁調理用容器の製造方法にある(請求項5)。
【0019】
第4の発明は,上記第2及び第3の発明と同様に,上記第1の発明の電磁調理用容器を製造する方法の1例である。第4の発明によれば,上記第1の発明の電磁調理用容器を簡便に作製することができる。
上記第4の発明においては,上記第3の発明と同様に,上記混合金属材料を上記容器の外側及び内側の両表面に吹き付けて金属粉末層を形成する(金属粉末層形成工程)。そのため,上記容器の形状に関係なく,該容器の両表面に厚さの均一な金属粉末層を形成することができる。
【0020】
また,上記金属粉末層の表面に上記被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成する(ガラス粉末層形成工程)。そのため,上記ガラス粉末層を均一な厚みにて形成することが容易にできる。
さらに,上記金属粉末層及びガラス粉末層を有する容器を焼成する(焼成工程)。そのため,上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けて発熱層を形成すると共に,上記ガラス粉末層を溶融させて上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成することができる。
また,上記焼成工程においては,1回の焼成により上記発熱層及び無鉛被覆ガラス層を形成している。そのため,工程数が減り安価にて上記電磁調理用容器を作製することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において,上記電磁調理用容器としては,例えば陶磁器製の食器や鍋,又は結晶化ガラス製の食器や鍋等がある。
上記陶磁器製の食器としては,例えば皿,鉢,土瓶,茶碗等があり,陶磁器製の鍋としては,土鍋,焙烙等がある。
上記結晶化ガラス製の食器としては,例えば皿,グラタン皿,ボール等があり,結晶化ガラス製の鍋としては,片手鍋,両手鍋等がある。
【0022】
次に,上記第1の発明(請求項1)において,上記金属と無鉛ガラスとの混合割合は,両者を100重量部としたとき,金属が85〜99重量部で,無鉛ガラスが1〜15重量部であることが好ましい。
上記金属が85重量部未満の場合,又は無鉛ガラスが15重量部を超える場合には,上記無鉛発熱膜を効率よく発熱させることができなくなるおそれがある。
一方,上記金属が99重量部を超える場合,又は無鉛ガラスが1重量%未満の場合には,上記無鉛発熱膜と容器との密着性が低下し,剥がれを生じ易くなるおそれがある。
【0023】
上記金属と無鉛ガラスとの混合割合のさらに好ましい範囲は,両者を100重量部としたとき,金属が90〜95重量部で,無鉛ガラスが5〜10重量部である。
この場合には,焼成後の無鉛発熱膜の発熱性を一層向上させることができる。
【0024】
また,上記発熱層の厚みは,15μm以上であることが好ましい。
上記発熱層の厚みが15μm未満の場合には,電磁調理器にて,充分に発熱しないおそれがある。なお,上記発熱層の厚みの上限は,製造コスト及び発熱の効率性を考慮すると50μm以下が好ましい。さらに好ましくは,40μm以下がよい。
【0025】
また,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層は,転移点が550℃〜700℃であり,かつ屈伏点が650℃〜750℃であることが好ましい。この場合には,上記電磁調理用容器を例えば200Vという高出力の電磁調理器にも使用することができる。
上記転移点が550℃未満の場合または屈伏点が650℃未満の場合には,上記電磁調理用容器を高出力の電磁調理器に用いたときに,無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層が再溶融するおそれがある。
一方,上記転移点が700℃を超える場合又は屈伏点が750℃を超える場合には,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。
【0026】
また,上記無鉛被覆ガラス層は,無機顔料を含有することが好ましい。この場合には,上記無鉛被覆ガラス層に色彩を与えることができる。ここで,上記無機顔料の含有量は,無鉛被覆ガラス層100wt%中0.1〜20wt%であることが好ましい。無機顔料の含有量が0.1wt%未満の場合には,所望の色彩を上記無鉛被覆ガラス層に与えることができないおそれがある。一方,20wt%を超える場合には,上記無鉛被覆ガラス層の耐久性が低下するおそれがある。
【0027】
また,上記無鉛被覆ガラス層の厚みは10μm以上であることが好ましい。
上記無鉛被覆ガラス層の厚みが10μm未満の場合には,無鉛被覆ガラス層が摩耗し易くなり,上記無鉛発熱膜の寿命が短くなるおそれがある。さらに好ましくは15μm以上がよい。
【0028】
次に,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することが好ましい(請求項2)。
【0029】
この場合には,上記発熱層と容器との密着性を向上させることができる。また,上記無鉛被覆ガラス層の表面平滑性及び耐久性が向上し,かつ光沢を有するものとすることができる。さらに,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,高い転移点及び屈伏点を有するため,上記電磁調理用容器の使用時におけるガラス成分の溶融を防止することができるなお,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,SiO2,Al2O3,B2O3,及びRO(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMg)を必須成分として含有するガラスであるが,その他の成分としてアルカリ金属酸化物,ZnO,Bi2O3,P2O5,TiO2等を含有していてもよい。
【0030】
上記B2O3の含有量が3wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,25wt%を超える場合には,焼成時にガラス中に発泡が生じて上記無鉛発熱膜の耐久性が劣化するおそれがある。上記B2O3の含有量は10〜20wt%であることがより好ましい。
【0031】
また,上記ROの含有量が10wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,55wt%を超える場合には,転移点及び屈伏点が低下し,耐熱性が劣化して断線などの不具合を生じやすくなるおそれがある。上記ROの含有量は,15〜45wt%であることがより好ましい。
また,上記ROにおいて,Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上であり,即ちROは,CaO,SrO,BaO,MgOから選ばれる1種以上である。
【0032】
次に,上記第2の発明(請求項3)においては,上記金属と無鉛ガラスとの混合割合は,両者を100重量部としたとき,金属が85〜99重量部で,無鉛ガラスが1〜15重量部であることが好ましい。
上記金属が85重量部未満の場合,又は無鉛ガラスが15重量部を超える場合には,焼成後の上記無鉛発熱膜を充分に発熱させることができないおそれがある。一方,上記金属が99重量部を超える場合,又は無鉛ガラスが1重量%未満の場合には,上記無鉛発熱膜と容器とが充分に密着し難くなり,焼成後に剥がれを生じ易くなる。
【0033】
上記金属と無鉛ガラスとの混合割合のさらに好ましい範囲は,両者を100重量部としたとき,金属が90〜95重量部で,無鉛ガラスが5〜10重量部である。
この場合には,焼成後の無鉛発熱膜の発熱性を一層向上させることができる。
【0034】
また,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス組成物層のガラス成分は,転移点が550℃〜700℃であり,かつ屈伏点650℃〜750℃であることが好ましい。この場合には,例えば200Vという高出力の電磁調理器にも使用することができる電磁調理用容器を製造することができる。
上記転移点が550℃未満の場合または屈伏点が650℃未満の場合には,焼成後の無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス組成物層が再溶融し易くなるおそれがある。一方,上記転移点が700℃を超える場合または屈伏点が750℃を超える場合には,上記転移点及び屈伏点が高すぎて,焼成が困難になり,焼成後に上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。
【0035】
また,上記有機バインダーは,上記金属と無鉛ガラスとの混合物100重量部に対して,20〜100重量部含有させることができる。上記有機バインダーの含有量が20重量部未満の場合には,例えばスクリーン印刷にて上記発熱用金属組成物層を形成するときに,均一な形状及び厚みに形成することが困難になるおそれがある。一方,100重量部を超える場合には,焼成後に有機バインダーが残存し,焼成後の上記無鉛発熱膜がちぢれ易くなるおそれがある。
【0036】
また,上記有機バインダーとしては,例えばアクリル系樹脂,アルキッド系樹脂,ブチル樹脂,エチルセルロース系樹脂,ニトロセルロース系樹脂,メチルセルロース系樹脂等を用いることができる。
【0037】
また,上記無鉛被覆ガラス組成物層には,無機顔料を含有させることができる。この場合には,焼成後の上記無鉛被覆ガラス組成物層に色彩を与えることができる。ここで,上記無機顔料の含有量は,無鉛被覆ガラス組成物層100wt%中0.1〜20wt%であることが好ましい。無機顔料の含有量が0.1wt%未満の場合には,所望の色彩を焼成後の上記無鉛被覆ガラス組成物層に与えることができないおそれがある。一方,20wt%を超える場合には,焼成後の無鉛被覆ガラス組成物層の耐久性が低下するおそれがある。
【0038】
また,上記発熱用金属組成物層及び無鉛被覆ガラス組成物層は,1版又は2版以上のスクリーン印刷にて形成することができる。好ましくは2版以上であり,この場合には,上記発熱用金属組成物層を形成しやすくなると共に,無鉛被覆ガラス組成物層を均一に形成し易くなる。そのため,焼成後に上記無鉛発熱膜の耐久性が向上し,寿命を向上させることができる。
【0039】
また,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス組成物層は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することが好ましい。
【0040】
この場合には,上記発熱層と容器との密着性を向上させることができる。また,上記無鉛被覆ガラス層の表面平滑性及び耐久性が向上し,かつ光沢を有するものとすることができる。さらに,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,高い転移点及び屈伏点を有するため,上記電磁調理用容器の使用時におけるガラス成分の溶融を防止することができるなお,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,SiO2,Al2O3,B2O3,及びRO(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMg)を必須成分として含有するガラスであるが,その他の成分としてアルカリ金属酸化物,ZnO,Bi2O3,P2O5,TiO2等を含有していてもよい。
【0041】
上記B2O3の含有量が3wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,25wt%を超える場合には,焼成時にガラス中に発泡が生じて上記無鉛発熱膜の耐久性が劣化するおそれがある。上記B2O3の含有量は10〜20wt%であることがより好ましい。
【0042】
また,上記ROの含有量が10wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,55wt%を超える場合には,転移点及び屈伏点が低下し,耐熱性が劣化して断線などの不具合を生じやすくなるおそれがある。上記ROの含有量は,15〜45wt%であることがより好ましい。
また,上記ROにおいて,Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上であり,即ちROは,CaO,SrO,BaO,MgOから選ばれる1種以上である。
【0043】
次に,上記第3(請求項4)又は第4の発明(請求項5)において,上記金属粉末としては,例えば金,銀,白金等の貴金属の粉末を用いることができる。
また,上記混合金属材料に用いる液体としては,アセトン,水,又はメチルアルコール,エチルアルコール,変性アルコール,IPA等のアルコール類等,又はこれらの混合液体等がある。
【0044】
また,上記混合金属材料には,有機バインダーを含有させることができる。
この場合には,焼成前の上記金属粉末層の強度が向上するため,その取り扱いが容易になる。
【0045】
また,上記有機バインダーの添加量は,上記混合金属材料100重量部に対して,0.1〜5重量部添加することが好ましい。
上記有機バインダーの添加量が0.1重量部未満の場合には,上記金属粉末層の強度が低下し作業中に剥がれ等が起こり易いため,その取り扱いが困難になるおそれがある。
一方,5重量部を超える場合には,上記焼成時に縮れが発生するおそれがある。
【0046】
また,上記有機バインダーとしては,例えばアクリル系樹脂,アルキド系樹脂,ブチル樹脂,エチルセルロース系樹脂,及びメチルセルロース系樹脂等を用いることができる。
また,上記混合金属材料を吹き付ける際には,スプレーガン等の噴霧装置を用いることができる。
【0047】
また,上記発熱層の厚みは,15μm以上であることが好ましい。
上記発熱層の厚みが15μm未満の場合には,電磁調理器にて,充分に発熱しないおそれがある。なお,上記発熱層の厚みの上限は,製造コスト及び発熱の効率性を考慮すると50μm以下が好ましい。さらに好ましくは,40μm以下がよい。
【0048】
ここで,上記発熱層の厚みを15μm以上とするためには,上記混合金属材料を生厚み20μm以上で容器の表面に吹き付けて,生厚み20μm以上の金属粉末層を形成することが好ましい。さらに好ましくは,上記金属粉末層の生厚みは,25μm以上である。また,上記発熱層の厚みを40μm以下とするためには,上記混合金属材料を生厚み60μm以下で容器の表面に吹き付けて,生厚み60μm以下の金属粉末層を形成することが好ましい。さらに好ましくは,金属粉末層の生厚みは,50μm以下である。なお,上記生厚みとは,焼成前の発熱層の厚み,即ち上記金属粉末層の厚みのことである。
【0049】
次に,上記金属粉末は,粒径が3〜10μmであることが好ましい。
上記粒径が3μm未満の場合には,上記液状の混合金属材料の流動性が劣化し,上記混合金属材料を上記容器に均一に吹き付けることが困難になるおそれがある。
一方,10μmを超える場合には,上記混合金属材料を吹き付けたときに,金属粉末が互いに密着して容器の表面に付着することができず,焼成後の上記発熱層の導通が劣化するおそれがある。さらに好ましくは,上記金属粉末の粒径は,3〜7μmがよい。
【0050】
また,上記混合金属材料における金属粉末と無鉛ガラス粉末との混合割合は,両者の合計量を100重量部とするとき,金属粉末が85〜99重量部で,無鉛ガラス粉末が1〜15重量部であることが好ましい。
上記金属粉末が85重量部未満の場合,又は無鉛ガラス粉末が15重量部を超える場合には,ガラス成分が多過ぎて上記焼成時にガラスが発泡するおそれがある。
一方,上記金属粉末が99重量部を超える場合,又は無鉛ガラス粉末が1重量部未満の場合には,上記発熱層と容器とが充分に密着し難くなり,剥がれを生じ易くなるおそれがある。
【0051】
次に,上記無鉛ガラス粉末及び被覆用無鉛ガラス粉末は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することが好ましい。
【0052】
この場合には,上記発熱層と容器との密着性を向上させることができる。また,上記無鉛被覆ガラス層の表面平滑性及び耐久性が向上し,かつ光沢を有するものとすることができる。さらに,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,高い転移点及び屈伏点を有するため,上記電磁調理用容器の使用時におけるガラス成分の溶融を防止することができるなお,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,SiO2,Al2O3,B2O3,及びRO(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMg)を必須成分として含有するガラスであるが,その他の成分としてアルカリ金属酸化物,ZnO,Bi2O3,P2O5,TiO2等を含有していてもよい。
【0053】
上記B2O3の含有量が3wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,25wt%を超える場合には,焼成時にガラス中に発泡が生じて上記無鉛発熱膜の耐久性が劣化するおそれがある。上記B2O3の含有量は10〜20wt%であることがより好ましい。
【0054】
また,上記ROの含有量が10wt%未満の場合には,転移点及び屈伏点が高くなりすぎて,上記無鉛発熱膜が剥がれ易くなるおそれがある。一方,55wt%を超える場合には,転移点及び屈伏点が低下し,耐熱性が劣化して断線などの不具合を生じやすくなるおそれがある。上記ROの含有量は,15〜45wt%であることがより好ましい。
また,上記ROにおいて,Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上であり,即ちROは,CaO,SrO,BaO,MgOから選ばれる1種以上である。
【0055】
上記被覆用無鉛ガラスを被覆する方法としては,粉末状の上記被覆用無鉛ガラスと液体とを混合して被覆ガラス材料とし,上記の混合金属材料を吹き付けるときと同様にして,該被覆ガラス材料を噴霧装置により吹き付ける方法を用いることが好ましい。この場合には,上記被覆ガラス材料を均一に被覆させることができるため,表面が均一で,外観上美しい被覆ガラス層を形成することができる。なお,上記被覆ガラス材料に用いる液体としては,上記の混合材料に用いる液体と同様のものを用いることができる
【0056】
また,上記被覆無鉛ガラスには,無機顔料を含有させることができる。
この場合には,上記被覆ガラス層に色彩を与え,上記電磁調理用容器の審美性を高めることができる。ここで,上記無機顔料の含有量は,無鉛被覆ガラス粉末100重量部に対して,0.1〜20重量部であることが好ましい。無機顔料の含有量が,0.1重量部未満の場合には,所望の色彩を被覆ガラス層に与えることができないおそれがある。一方,20重量部を超える場合には,上記被覆ガラス層の耐久性が低下するおそれがある。
【0057】
【実施例】
(実施例1)
次に,本発明の実施例にかかる電磁調理用容器及びその製造方法につき図1〜図4を用いて説明する。
本例の電磁調理用容器は,図1〜2に示すごとく,容器2の表面に無鉛発熱膜3を形成してなる電磁調理用容器1である。図3に示すごとく,上記無鉛発熱膜3は,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスとよりなる発熱層33と,該発熱層33の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層35とよりなる。そして,上記無鉛発熱膜3は,上記容器の内側及び外側の両表面に形成されている。
【0058】
本例の電磁調理用容器1の製造方法は,図1〜3に示すごとく,容器2の表面に金属の無鉛発熱膜3を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器1を製造する方法である。図4に示すごとく,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスと有機バインダーとよりなる発熱用金属組成物層43と,該発熱用金属組成物層43の表面を被覆するように積層形成された無鉛被覆ガラス組成物層45とよりなる転写紙4を,上記容器の外側及び内側の両表面に貼着し焼成して無鉛発熱膜3を形成する。
【0059】
以下,本例の電磁調理用容器の製造方法につき説明する。
まず,上記容器としての土鍋,及び上記金属としての銀粉末を準備した。また,上記無鉛ガラスとしては,SiO2を35wt%,Al2O3を15wt%,B2O3を20wt%,CaOを13wt%,BaOを10wt%,SrOを2wt%及びZnOを5wt%含有するSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスを準備した。
【0060】
上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,転移点が650℃で,屈伏点が700℃であった。
上記転移点及び屈伏点の測定方法としては,まず上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスを25℃から5℃/minの昇温速度にて昇温させ,熱膨張係数を熱機械分析装置を用いて測定した。このとき,溶融石英ガラスを標準試料として用いた。次に,その結果をグラフ上に示し,該グラフから上記転移点及び屈伏点を測定した。なお,上記熱機械分析装置としては,株式会社リガク製の「サーモプラス TMA8310」を用いた。
【0061】
次に,上記銀粉末90重量部と上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス10重量部とを混合し,混合物を得た。この混合物100重量部に有機バインダーとしてのアクリル系樹脂を30重量部加えて混合した。そして,図4に示すごとく,この有機バインダーを加えた混合物を250メッシュのステンレス版を用いて台紙41の上に2版印刷にて,φ110mmの円形状となるように印刷し,円形状の発熱用金属組成物層43を形成した。
【0062】
次に,上記無鉛被覆ガラス組成物層45として,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスを準備した。このSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,本例の上記無鉛ガラスと同じ組成のもので,転移点が650℃で,屈伏点が700℃のものである。
このSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスを上記円形状の発熱用金属組成物層43の上に該発熱用金属組成物層43を覆うように積層印刷し,無鉛被覆ガラス組成物層45を形成した。尚,印刷は2版印刷にて行った。
【0063】
続いて,上記無鉛被覆ガラス組成物層45の上をフィルム47にて上記無鉛被覆ガラス組成物層45を覆うようにコートし,円形状の転写紙4を作製した。
【0064】
次に,この円形状の転写紙4をその発熱用金属組成物層43側が接するように,上記容器2としての土鍋の内側底部及び外側底部に貼着し,自然乾燥させた。
続いて,この土鍋をトンネル式の絵窯にて850℃にて10分間焼成した。この焼成時に,上記転写紙4のフィルム47は消滅し,上記発熱用金属組成物層43と無鉛被覆ガラス組成物層45が上記容器2の表面に焼き付けられる。このようにして,図1〜図3に示すごとく,容器2の外側及び内側の両表面に無鉛発熱膜を形成してなる電磁調理用容器1を作製し,これを試料E1とした。なお,試料E1における無鉛発熱膜の直径はφ110mmであった。
【0065】
(実施例2)
本例では,スプレーガンを用いて上記無鉛発熱膜を形成し,実施例1と同様な電磁調理用容器を作製する例を示す。
本例の製造方法は,図1〜3に示すごとく,容器2の表面に金属の無鉛発熱膜3を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器1を製造する方法である。
まず,上記容器2の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する(金属粉末層形成工程)。そして,上記金属粉末層を形成してなる容器を焼成して上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けることにより発熱層を形成する(第1焼成工程)。
【0066】
次に,上記発熱層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成する(ガラス粉末層形成工程)。さらに,上記ガラス粉末層を形成してなる容器を焼成することにより,上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成する(第2焼成工程)。
【0067】
以下,本例の電磁調理用容器の製造方法につき詳細に説明する。
まず,上記容器2としての土鍋,及び上記金属粉末としての平均粒径3〜5ミクロンの銀粉末を準備した。
また,上記無鉛ガラス粉末としては,実施例1と同様の組成を有するSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(転移点650℃,屈伏点700℃)の粉末を準備した。
【0068】
次に,上記銀粉末90重量部とSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス10重量部とを混合し,混合物を得た。この混合物100重量部に有機バインダーとしてのアクリル系樹脂を2重量部加えて混合し,さらに,上記液体としてのアセトンを100重量部加えて混合金属材料とした。
【0069】
また,上記の組成のSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス90重量部と無機肌色顔料10重量部とを混合した。この混合物100重量部に上記液体としてのPVA1重量部と水45重量部との混合液体を加えて被覆ガラス材料とした。
【0070】
続いて,上記混合金属材料を上記容器2としての土鍋の内側底部及び外側底部にスプレーガンにて吹き付け,金属粉末層を形成し,充分に乾燥させた。次に,この金属粉末層を形成してなる容器2をトンネル式の絵窯にて750℃にて30分間焼成した。この焼成時に,上記金属粉末層は,上記容器の表面に焼き付けられて発熱層33を形成した。
【0071】
次に,上記発熱層33の表面に上記被覆ガラス材料を吹き付け,ガラス粉末層を形成し,充分に乾燥させた。そして,このガラス粉末層形成させた容器2を,再びトンネル式の絵窯にて750℃にて30分間焼成した。この焼成時に,上記ガラス粉末層は溶融し,上記発熱層33を被覆する無鉛被覆ガラス層35を形成した。
このようにして,図1〜3に示すごとく,容器2の内側及び外側の両表面に無鉛発熱膜3を形成してなる電磁調理用容器1を作製し,これを試料E2とした。なお,試料E2における無鉛発熱膜の直径は試料E1と同様にφ110mmであった。
【0072】
(実施例3)
本例では,実施例2と同様にスプレーガンを用いて上記無鉛発熱膜を形成し,実施例1と同様な電磁調理用容器を作製する例を示す。
本例の製造方法は,図1〜3に示すごとく,容器2の表面に金属の無鉛発熱膜3を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器1を製造する方法である。
【0073】
上記容器2の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する(金属粉末層形成工程)。
続いて,上記金属粉末層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成する(ガラス粉末層形成工程)。
次に,上記金属粉末層及びガラス粉末層を有する容器2を焼成することにより,上記金属粉末層を容器2の表面に焼き付けて発熱層33を形成すると共に,上記ガラス粉末層を溶融させて上記発熱層33の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層35を形成する(焼成工程)。
【0074】
以下,本例の電磁調理用容器の製造方法につき詳細に説明する。
まず,上記容器2としての土鍋,及び上記金属粉末としての平均粒径3〜5ミクロンの銀粉末を準備した。
また,上記無鉛ガラス粉末としては,実施例1及び2と同様の組成を有するSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(転移点650℃,屈伏点700℃)の粉末を準備した。
【0075】
次に,実施例2と同様にして,上記銀粉末90重量部とSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス10重量部とを混合し,混合物を得た。この混合物100重量部に有機バインダーとしてのアクリル系樹脂を2重量部加えて混合し,さらに,上記液体としてのアセトンを100重量部加えて混合金属材料とした。
また,上記の組成のSiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス90重量部と無機肌色顔料10重量部とを混合した。この混合物100重量部に上記液体としてのPVA1重量部と水45重量部との混合液体を加えて被覆ガラス材料とした。
【0076】
続いて,上記混合金属材料を上記容器2としての土鍋の内側底部及び外側底部にスプレーガンにて吹き付け,金属粉末層を形成し,充分に乾燥させた。続いて,上記金属粉末層の上に上記被覆ガラス材料を吹き付け,ガラス粉末層を形成し,充分に乾燥させた。
【0077】
次に,この金属粉末層及びガラス粉末層を形成してなる容器2をトンネル式の絵窯にて750℃にて30分間焼成した。この焼成時に,上記金属粉末層は,上記容器の表面に焼き付けられて発熱層33を形成する。また,上記ガラス粉末層は,溶融し上記発熱層33を被覆する無鉛被覆ガラス層35を形成する。
このようにして,図1〜図3に示すごとく,容器2の内側及び外側の両表面に無鉛発熱膜3を形成してなる電磁調理用容器1を作製し,これを試料E3とした。なお,試料E3における無鉛発熱膜の直径は試料E1及びE2と同様にφ110mmであった。
【0078】
(比較例)
本例では,試料E1,E2及びE3の優れた特性を明らかにするため比較例としての試料C1及び試料C2を作製する例を示す。
本例にて作製する試料C1は,図5に示すごとく,容器82としての土鍋の外側底部に発熱層83及び無鉛被覆ガラス層85からなる無鉛発熱膜87を形成してなる電磁調理用容器8である。
【0079】
まず,図4に示すごとく実施例1と同じ円形状の転写紙4を準備した。この円形状の転写紙4をその発熱用金属組成物層43側が接するように,実施例1と同様の土鍋の外側底部に貼着し,そのまま自然乾燥させた。
続いて,実施例1と同様に,この土鍋をトンネル式の絵窯にて850℃にて10分間焼成した。
【0080】
このようにして,図5に示すごとく,容器8の外側底部に,発熱層83及び無鉛被覆ガラス層とよりなる無鉛発熱膜を形成してなる電磁調理用容器8を作製し,これを試料C1とした。なお,試料C1における無鉛発熱膜の直径は,試料E1と同様にφ110mmであった。
【0081】
また,本例にて作製する試料C2は,図6に示すごとく,容器92としての土鍋の内側底部に発熱層93及び無鉛被覆ガラス層95からなる無鉛発熱膜97を形成してなる電磁調理用容器9である。
まず,実施例3と同様の混合金属材料及び被覆ガラス材料を準備した。続いて,上記混合金属材料を,実施例3と同様の土鍋における内側底部にスプレーガンにて吹き付け,金属粉末層を形成し,充分に乾燥させた。さらに実施例3と同様に,上記金属粉末層の上に上記被覆ガラス材料を吹きつけ,ガラス粉末層を形成し,充分に乾燥させた。
【0082】
次に,この土鍋をトンネル式の絵窯にて750℃にて30分間焼成した。このようにして,図6に示すごとく,容器92の内側表面の底部に,発熱層93及び無鉛被覆ガラス層95とからなる無鉛発熱膜97を形成してなる電磁調理用容器9を作製し,これを試料C2とした。なお,試料C2における無鉛発熱膜の直径は試料E1,E2,E3及び試料C1と同様にφ110mmであった。
【0083】
(実験例)
本例では,上記試料E1,E2及びE3について,上記無鉛発熱膜の出力を測定し,試料C1及びC2のものと比較した。また,上記試料E1,E2,E3,C1及びC2の電磁調理用容器を用いて水を沸騰させ,沸騰までに要する時間を測定し,さらに,余熱での沸騰継続性を調べた。
以下,測定方法について説明する。
【0084】
まず,出力2000Wの電磁調理器(株式会社日立製作所製,HT−32CB)に,上記試料E1,E2,E3,C1及びC2の電磁調理用容器を設置する。該電磁調理用容器に150ミリリットルの水を注ぎ,200Vの電圧を印加する。
このとき,電磁調理器に流れている電流を測定し,電磁調理器で消費された電力を算出した。そして,この消費電力の値を上記無鉛発熱膜の出力値とし,その結果を表1に示す。
【0085】
また,上記試料E1,E2,E3,C1及びC2内に加えられた150ミリリットルの水が沸騰を開始するまでの時間を測定した。その結果を表1に示す。
さらに,上記水が完全に沸騰を開始した後,上記電磁調理器の電源をオフにし,電源供給遮断後における沸騰の継続性を目視にて調べた。上記電磁調理器の電源をオフにした後も,沸騰が30秒以上継続するものを沸騰継続性があるものとして判断した。その結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1より知られるごとく,上記試料E1,試料E2及び試料E3は,電磁調理器の出力2000Wに対して,無鉛発熱膜から1700Wを超える高い出力を得ることができた。そのため,150ミリリットルの水を1分10秒以内という比較的短い時間にて沸騰させることができた。また,上記試料E1,E2及びE3は,容器の外側に無鉛発熱膜を有しているため,余熱での沸騰継続性を有していた
【0088】
これに対し,試料C1及びC2は,上記無鉛発熱膜から1200W未満という低い出力しか得ることができなかった。そのため,150ミリリットルの水を沸騰させるために1分30秒を越える長い時間を要した。また,上記試料C2は,容器の内側だけにしか無鉛発熱膜を有していないため,上記電磁調理器の電源をオフにした後,沸騰は観察されなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3にかかる,電磁調理用容器の全体を示す上方斜視図。
【図2】実施例1〜3にかかる,電磁調理用容器の全体を示す下方斜視図。
【図3】実施例1〜3にかかる,図1及び図2のA−A線矢視断面図。
【図4】実施例1及び比較例にかかる,転写紙の断面説明図。
【図5】比較例にかかる,電磁調理用容器(試料C1)の断面図。
【図6】比較例にかかる,電磁調理用容器(試料C2)の断面図。
【符号の説明】
1...電磁調理用容器,
2...容器,
3...無鉛発熱膜,
33...発熱層,
35...無鉛被覆ガラス層,
Claims (5)
- 容器の表面に無鉛発熱膜を形成してなる電磁調理用容器であって,
上記無鉛発熱膜は,金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスとよりなる発熱層と,該発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層とよりなり,
上記無鉛発熱膜は,上記容器の内側及び外側の両表面に形成されていることを特徴とする電磁調理用容器。 - 請求項1において,上記無鉛ガラス及び無鉛被覆ガラス層は,SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス(Rは,Ca,Sr,Ba,又はMgから選ばれる1種以上)よりなり,上記SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラスは,該SiO2−Al2O3−B2O3−RO系ガラス100wt%中にB2O3を3〜25wt%,ROを10〜55wt%含有することを特徴とする電磁調理用容器。
- 容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
金,銀,又は白金よりなる金属と無鉛ガラスと有機バインダーとよりなる発熱用金属組成物層と,該発熱用金属組成物層の表面を被覆するように積層形成された無鉛被覆ガラス組成物層とよりなる転写紙を,上記容器の外側及び内側の両表面に貼着し焼成して無鉛発熱膜を形成することを特徴とする電磁調理用容器の製造方法。 - 容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
上記容器の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する金属粉末層形成工程と,
上記金属粉末層を形成してなる容器を焼成して上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けることにより発熱層を形成する第1焼成工程と,
上記発熱層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成するガラス粉末層形成工程と,
上記ガラス粉末層を形成してなる容器を焼成することにより,上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成する第2焼成工程とよりなることを特徴とする電磁調理用容器の製造方法。 - 容器の表面に金属の無鉛発熱膜を形成させて,電磁調理可能な電磁調理用容器を製造する方法であって,
上記容器の外側及び内側の両表面に金属粉末と無鉛ガラス粉末と液体との混合金属材料を吹き付けて金属粉末層を形成する金属粉末層形成工程と,
上記金属粉末層の表面に被覆用無鉛ガラス粉末と液体とよりなる被覆ガラス材料を吹き付けてガラス粉末層を形成するガラス粉末層形成工程と,
上記金属粉末層及びガラス粉末層を有する上記容器を焼成することにより,上記金属粉末層を容器の表面に焼き付けて発熱層を形成すると共に,上記ガラス粉末層を溶融させて上記発熱層の表面を被覆する無鉛被覆ガラス層を形成する焼成工程とよりなることを特徴とする電磁調理用容器の製造方法。
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- 2002-06-21 JP JP2002182014A patent/JP2004024347A/ja active Pending
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