JP3871571B2 - 電磁調理器用容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁誘導により発熱する層を備えた食器等の非金属容器ならびにその発熱層の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁調理器用容器として、陶磁器や耐熱ガラス等の非金属材料を主体とする調理容器(鍋、フライパン等の調理具や食器)の底面に、電磁誘導により発熱する層を設けたものが知られている。導電性金属を主体とする金属粉末と無機バインダ等との混合物を焼成してなる発熱層は、製造容易性や耐久性等の点で優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、発熱層の単位面積当たりの出力を向上させることができれば、容器の内容物を迅速に加熱することができるので好ましい。特に、フライパン等の調理具に比べて径の小さい食器(特に碗類、丼類、鉢類、湯のみ類等の和食器や各種カップ類、徳利等)の場合には、発熱層を形成するのに適した部分の面積が一般に小さいため、このような高出力化に対する要請が大きい。
発熱層の出力を高める方法の一つは発熱層の厚さを増すことである。しかし、従来の組成の発熱層においてその厚さを大きくすると、発熱層の形成に不具合があり、耐久性が低下傾向となる場合があった。特に、発熱層をガラスコート層等の保護層で覆った構成の電磁調理器用容器では、発熱層の厚さを大きくすると、ガラスコート層に貫入(ヒビワレ)が生じやすくなる場合があった。
【0004】
そこで本発明は、上述のような現象が生じることを抑制しつつ高出力化を実現し得る発熱層を備えた食器その他の電磁調理器用容器を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、かかる発熱層を形成する用途に適した発熱層形成用ペーストを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用および効果】
本発明者は、発熱層に特定の金属酸化物を含有させることにより上記課題を解決できることを見出した。
【0006】
本発明の電磁調理器用容器は、非金属材料からなる容器本体と、その容器本体の底部に設けられた発熱層とを備える。その発熱層は導電性金属を主体とする金属粉末が焼結されたものである。その焼結された金属粉末は、導電性金属からなる微粒子の表面に酸化物セラミックスがコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成されている。
【0007】
このような発熱層によると、下記(1).および(2).のうち少なくとも一つの効果が得られる。
(1).発熱層の厚さが比較的大きい場合にも耐久性に優れたものとなり得る。例えば、酸化物セラミックスがコーティングされていない微粒子からなる金属粉末が焼結された発熱層等に比べて、発熱層が容器本体から浮いたり剥がれたりする現象が起こり難い。したがって発熱層の厚さを大きくすることができる。
(2).発熱層を保護層(ガラスコート層等)で被覆した構成の電磁調理器用容器において、発熱層の厚さが比較的大きい場合にも保護層に貫入等を生じにくい。したがって発熱層の厚さを大きくすることができる。
これらのうち少なくとも一つの効果により、本発明の電磁調理器用容器は、単位面積当たりの出力が向上された発熱層を備え得る。
【0008】
酸化物セラミックスとしては、例えば、Al,Zr,Ti,Y,Ca,MgおよびZnからなる群から選択されるいずれかの元素を構成元素とする酸化物セラミックスを用いることができる。好ましい酸化物セラミックスは、アルミナおよび/またはジルコニアである。前記発熱層における前記酸化物セラミックスの含有量は、前記導電性金属の質量のほぼ0.005〜10%に相当する量であることが好ましい。
また、発熱層を構成する導電性金属としては、コストや電気抵抗の低さ等の観点から、AgまたはAgを主体とする合金が好ましく用いられる。
【0009】
前記発熱層の平均厚さはほぼ15〜100μmの範囲とすることができる。
本発明の容器に備えられる発熱層は、前記コーティング粒子から実質的に構成される金属粉末が焼結されたものである。したがって、発熱層を構成する微粒子(Ag等からなる)は、その表面が酸化物セラミックスによりコーティングされた状態となっている。これにより本発明の発熱層は、この発熱層を被覆する保護層(ガラスコート層等)を備えない構成においても優れた耐久性を示す。例えば、発熱層を構成する導電性金属の変質(酸化、硫化等の化学変化や色調の変化等)を長期にわたって抑制することができる。このように保護層を備えない構成の電磁調理器用容器においては、発熱層の好ましい平均厚さはほぼ15〜100μmの範囲であり、より好ましい平均厚さはほぼ20〜50μmの範囲である。あるいは、この発熱層の厚さを30μm以上(典型的には30〜50μm)とすることも可能である。
【0010】
また、本発明の電磁料理器用食器は、発熱層を被覆する保護層(ガラスコート層等)を備えることができる。保護層を備える構成とすることにより、発熱層の損傷(磨耗、剥離等)防止性能が向上し得る。また、発熱層を構成する導電性金属の変質をよりよく抑制することができる。保護層を有する構成の電磁調理器用容器においては、発熱層の好ましい平均厚さはほぼ15〜50μmの範囲であり、より好ましい平均厚さはほぼ20〜35μmの範囲である。発熱層の厚さをかかる範囲とすることにより、保護層に貫入(ヒビワレ)等の外観変化が生じ難くなる。したがって電磁調理器用容器の耐久性がさらに向上する。
【0011】
前記発熱層は、酸化ビスマス、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブおよび酸化タングステンから選択される少なくとも一種の金属酸化物を含有することができる。金属酸化物の好ましい含有量は、前記導電性金属の質量のほぼ0.1〜30%に相当する量である。
【0012】
このような発熱層によると、下記(1).〜(3).のうち少なくとも一つの効果が得られる。
(1).発熱層の厚さが比較的大きい場合にも耐久性に優れたものとなり得る。例えば、金属酸化物の代わりにガラスフリットを含有する組成の発熱層等に比べて、この容器を繰り返して使用した(すなわち、繰り返して冷熱サイクルに曝した)場合にも発熱層の浮きや剥がれ等が起こり難い。したがって発熱層の厚さを大きくすることができる。
(2).発熱層を保護層(ガラスコート層等)で被覆した構成の電磁調理器用容器において、発熱層の厚さが比較的大きい場合にも保護層に貫入等を生じにくい。したがって発熱層の厚さを大きくすることができる。
(3).発熱層の厚さが同程度の場合、上記金属酸化物の代わりにガラスフリットを含有する従来の組成の発熱層と比較して同等以上の出力(さらに好ましい態様では従来の組成の発熱層よりも大きい出力)を得ることが可能である。
上記(1).〜(3).のうち少なくとも一つの効果により、本発明の電磁調理器用容器は、単位面積当たりの出力が向上された発熱層を備え得る。
【0013】
発熱層に含有される金属酸化物として好ましいものは酸化ビスマスおよび/または酸化銅であり、最も好ましい金属酸化物は酸化ビスマスである。この場合には上記(1).〜(3).の効果が大きい。また、発熱層の外観(色調等)が良好である。
【0014】
本発明によると、電磁調理器用容器の発熱層を形成するためのペーストが提供される。このペーストは、導電性金属を主体とする金属粉末を主成分とする。その金属粉末は、導電性金属からなる微粒子の表面に酸化物セラミックス源化合物(酸化物セラミックスまたは焼成により酸化物セラミックスとなり得る化合物)がコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成されている。
このようなペーストは、本発明のいずれかの電磁調理器用容器に備えられる発熱層を形成する用途に好適である。
【0015】
前記金属粉末は、前記微粒子の全質量のほぼ0.005〜10%に相当する量(酸化物換算)の前記酸化物セラミックス源化合物を含有することが好ましい。また、前記導電性金属としてはAgまたはAgを主体とする合金が好ましい。
【0016】
本発明のペーストのうち好ましいものでは、前記金属粉末を構成する粒子の形状が主としてフレーク状である。このようなペーストによると、耐久性に優れた(例えば、繰り返して温度変化に曝されるような使用状況におかれた場合にも発熱層の剥離等が起こり難い)発熱層を形成することができる。
【0017】
酸化物セラミックス源化合物としては、例えば、Al,Zr,Ti,Y,Ca,MgおよびZnからなる群から選択されるいずれかの元素を構成元素とする酸化物セラミックスおよび加熱によりこれらの酸化物セラミックスとなり得る化合物からなる群から選択される少なくとも一種を用いることができる。好ましく使用される酸化物セラミックス源化合物は、アルミナ、ジルコニアおよび加熱によりこれらの酸化物セラミックスとなり得る化合物からなる群から選択される少なくとも一種である。特に好ましく使用される酸化物セラミックス源化合物はアルミナおよび/またはジルコニアである。
【0018】
前記発熱層は、酸化ビスマス、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化タングステンおよび加熱によりこれらの金属酸化物となる化合物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物源化合物(典型的には、粉末状の金属酸化物源化合物)を含有することができる。金属酸化物源化合物の好ましい含有量は、前記金属粉末の質量のほぼ0.5〜25%(酸化物換算)に相当する量である。
【0019】
金属酸化物源化合物としては、酸化ビスマス、酸化銅および加熱によりこれらの金属化合物となり得る化合物の一種以上を用いることが好ましい。より好ましく使用される金属酸化物源化合物は酸化ビスマスおよび/または適当な加熱により酸化ビスマスとなり得る化合物であり、最も好ましい金属酸化物源化合物は酸化ビスマスである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0021】
本発明の電磁調理器用容器を構成する容器本体は、主として陶磁器(典型的にはアルミナを主体とする磁器)、耐熱ガラス等の非金属材料からなる。容器本体が陶磁器からなる場合、通常はその表面に釉薬(グレーズ)が施されていることが好ましい。その釉薬の上(表面)に発熱層が形成されていることが好ましい。釉薬としては従来公知のもの等を使用することができる。好ましい釉薬の例としては無鉛のホウケイ酸系ガラスを主体とするものが挙げられる。
特に限定するものではないが、この容器本体には高台が形成されていることが好ましい。この場合には、発熱層に触れることなく食器その他の調理容器の底面を手等によって支えやすい(持ちやすい)。高台の高さ(容器底面の平面部からの高さ)は例えば0.5〜5mmとすることができ、好ましい高さは1〜3mmである。高台の高さが大きすぎると、電磁調理器上に容器をセットしたときの調理器表面から発熱層までの距離が大きくなるため高出力を得難くなる。
【0022】
この容器本体の底部に発熱層が設けられている。ここで「発熱層」とは、典型的には連続したひとつの層を指すが、上述の導電性金属を主成分として構成された2以上の発熱部分からなるものをも包含する用語である。また、本明細書において「底部」とは、電磁調理器用容器の使用時において下側に位置する部分(すなわち、電磁調理器に対して発熱可能に近接する部分)をいう。例えば、容器本体の底や、この底に続く壁面のうち底に近い部分(典型的には容器本体の底)が「底部」に該当する。また、本明細書において「調理」とは飲食物等を加熱する処理一般(保温を含む)をいう。
【0023】
発熱層は、この底部の外面(容器本体の外側面を指す。容器本体の底であれば底面を意味する。)に設けられていてもよく、内面(容器本体の内側面を指す。)に設けられていてもよい。あるいは、底部を構成する容器本体の内部(壁面内部)に発熱層を設ける(埋め込む)こともできる。通常は容器本体の外面(特に底面)に発熱層を設けることが好ましい。発熱層の好ましい形成範囲は容器の形状等により異なる。容器本体に高台が形成されている場合には、底面のうち高台により囲まれた部分(高台の内側)に発熱層を設けることが好ましい。このような容器は持ちやすい(取り扱いやすい)ためである。
なお、底部以外の部分にも発熱層を設けることができる。すなわち、容器本体のうち少なくとも底部の一部範囲に発熱層が設けられていればよい。
【0024】
本発明の電磁調理器用容器は、発熱層を被覆する保護層をさらに備えることができる。保護層としてはガラス成分を主体とするもの(ガラスコート層)が好ましい。
発熱層および保護層を備える電磁調理器用容器(食器)の一例を図1に示す。食器本体10は、アルミナ質の強化磁器等からなる素地の表面に釉薬(図示せず)を施したものである。食器本体10の底面には高さ約2mmの高台16が形成されている。この高台16の内側に位置する食器本体10の底面に発熱層20が設けられている。発熱層20の設けられた範囲は直径約65mmの円形状である。さらに、発熱層20を被覆するガラスコート層30が設けられている。
【0025】
次に、発熱層の構成および製造方法について詳細に説明する。
本発明の電磁調理器用容器に備えられる発熱層は、導電性金属を主体とする金属粉末が焼結されたものである。その焼結された金属粉末は、導電性金属からなる微粒子(以下、「ベース微粒子」ともいう。)の表面に酸化物セラミックスがコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成されている。ここで、金属粉末が「実質的にコーティング粒子から構成されている」とは、金属粉末を構成する粒子の大部分(例えば50個数%以上、好ましくは70個数%以上、特に好ましくは85個数%以上)がコーティング粒子であることをいう。ここでコーティングとは、粒子表面を完全に被覆していることを要さず、粒子表面の一部(好ましくは表面積の50%以上)に当該酸化物セラミックスからなる層が形成されていることをいう。
【0026】
このような金属粉末を焼結してなる発熱層は、その金属粉末が実質的にコーティング粒子から構成されていることにより、焼成時(例えば、後述する発熱層形成用ペーストを焼成して発熱層となす際)における「焼き縮み」が少ない。したがって、この焼き縮みに起因して発熱層と容器本体との境界に発生するストレスが少なくなる。これにより、発熱層の厚さを比較的大きくした場合(例えば、発熱層の平均厚さが約20μm以上、典型的には20〜50μmである場合)にも、この発熱層が容器本体から浮いたり剥がれたりする現象を抑制する性能を向上させる効果が得られる。この効果は、焼成直後および/または経時後(例えば、容器を繰り返して使用した後)の発熱層について発揮され得る。このことによって発熱層の耐久性が向上する。
また、発熱層を被覆する保護層を備える構成においては、上述のように焼成時の焼き縮みが少ないことから、この焼き縮みに起因して発熱層と保護層との境界に発生するストレスも少なくなる。これにより、発熱層の厚さを比較的大きくした場合(例えば、発熱層の平均厚さが約20μm以上、典型的には20〜35μmである場合)にも、この保護層に貫入等が発生することをよりよく防止することができる。
【0027】
なお、このような発熱層は、導電性金属(ベース粒子)の表面が酸化物セラミックスによりコーティングされていることから、発熱層を被覆する保護層を備えない構成においても優れた耐久性を示す。例えば、発熱層を構成する導電性金属の変質(酸化、硫化等の化学変化や色調の変化等)を長期にわたって抑制することができる。また、保護層を備える場合にはその耐久性(特に、機械的応力に対する耐久性)がさらに向上する。
【0028】
発熱層に含有される金属粉末のうちベース微粒子を構成する導電性金属としては、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)およびこれらの金属の少なくとも一種を主体とする合金から選択される一種以上を使用することができる。コストや電気抵抗の低さ等の観点から、AgまたはAgを主体とする合金(Ag−Pt合金等)が好ましい。
【0029】
このようなベース微粒子の表面が、酸化物セラミックスによりコーティングされてコーティング粒子が構成されている。この酸化物セラミックスとしては、例えば、Al,Zr,Ti,Y,Ca,MgおよびZnからなる群から選択されるいずれかの元素を構成元素とするものを選択することができる。これらのうちアルミナおよび/またはジルコニアが好ましい。酸化物セラミックスのコーティング量は、例えば、ベース微粒子の質量のほぼ0.001〜10%に相当する量とすることができる(換言すれば、ベース微粒子100質量部に対して酸化物セラミックスほぼ0.001〜10質量部がコーティングされている)。好ましいコーティング量は、ベース微粒子の質量のほぼ0.005〜10%に相当する量であり、より好ましくはほぼ0.01〜2%、さらに好ましくはほぼ0.02〜1%、特に好ましくはほぼ0.05〜0.5%である。
【0030】
金属粉末を構成する粒子の形状は主としてフレーク状であることが好ましい。このような金属粉末を焼結してなる発熱層は、容器本体に対する接着強度(付着強度)が良好である。これにより、容器本体からの発熱層の浮きや剥がれ等を抑制する効果をさらに高め得る。
【0031】
なお、この発熱層は、コーティング粒子を構成していない酸化物セラミックスをも含有することができる。発熱層に含有される酸化物セラミックスの量(ベース微粒子にコーティングされていない酸化物セラミックスをも含有する場合にはその合計量)は、例えば、この発熱層に含有される導電性金属の質量のほぼ0.001〜10%に相当する量とすることができる(換言すれば、導電性金属100質量部に対して酸化物セラミックスほぼ0.001〜10質量部を含有する)。酸化物セラミックスの好ましい含有量は、導電性金属の質量のほぼ0.005〜10%に相当する量であり、より好ましくはほぼ0.01〜2%、さらに好ましくはほぼ0.02〜1%、特に好ましくはほぼ0.05〜0.5%である。
特に限定するものではないが、発熱層に含有される酸化物セラミックスの大部分(例えば、発熱層に含有される酸化物セラミックス全体の80質量%以上)は、導電性金属を主体とする粒子の表面に付着された状態で発熱層中に含有されることが好ましい。
【0032】
この発熱層は、導電性金属および酸化物セラミックスに加えて、通常は無機添加剤成分を含有する。無機添加剤成分の典型例としては一般的なガラスフリットに用いられるガラス成分が挙げられる。このガラス成分としては、軟化点が概ね800℃以下(より好ましくは概ね700℃以下)のものが好ましい。そのようなガラス成分としては鉛系、亜鉛およびホウケイ酸系ガラスが例示される。これらのうち無鉛のものが好ましく、無鉛のホウケイ酸系低融点ガラス(好ましくは、軟化点が概ね650℃以下)を主体とするガラス成分が特に好ましい。
【0033】
また、本発明の発熱層に含有され得る無機添加剤成分の好ましい例としては、酸化ビスマス(Bi23等)、酸化銅(CuO等)、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブおよび酸化タングステンから選択される少なくとも一種の金属酸化物が挙げられる。これらのうち特に好ましいものは酸化ビスマス(Bi23)および/または酸化銅(CuO)であり、最も好ましいものは酸化ビスマス(Bi23)である。
【0034】
一般に、発熱層を構成する導電性金属(Ag等)は、容器本体の表面を構成する材料(陶磁器等の素地または釉薬)に比べて熱膨張係数が大きい。上述のような特定の金属酸化物を含有する発熱層は、例えばこの金属酸化物に代えて同量のガラス(例えば、一般的なガラスフリットに用いられる低融点ガラス)を含有する発熱層に比べて熱膨張係数が小さなものとなり得る。したがって、この発熱層と容器本体との熱膨張率の差を小さくすることができる。このことによって、電磁調理器用容器の温度変化に伴って発熱層と容器本体との間に生じるストレスが低減される。その結果、この容器を繰り返し使用した(冷熱サイクルに曝した)場合にも、発熱層が容器本体から浮いたり剥がれたりする現象がさらに抑制される。
同様に、発熱層が保護層で被覆された構成の電磁調理器用容器においては、上記金属酸化物を含有させることにより発熱層と保護層との熱膨張率の差を小さくすることができる。このことによって、電磁調理器用容器の温度変化に伴って発熱層と保護層との間に生じるストレスが低減される。その結果、この容器を繰り返し使用した場合にも、保護層に貫入、膨れ、剥離等の現象が生じることがさらに抑制される。したがって、耐久性や審美性に優れた電磁調理器用容器とすることができる。
【0035】
なお、本発明により提供される電磁調理器用容器の他のものとしては、
非金属材料からなる容器本体と、
その容器本体の底部に設けられた発熱層とを備え、
その焼結された金属粉末は、導電性金属(典型的にはAg)からなる微粒子の表面に酸化物セラミックス(典型的にはアルミナおよび/またはジルコニア)がコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成されており、
この発熱層が、ガラスフリット(例えば一般的な低融点ガラス)よりも熱膨張係数の小さい金属酸化物の一種または二種以上を前記導電性金属のほぼ0.1〜30%(より好ましくはほぼ1〜15%、さらに好ましくはほぼ1.5〜10%)に相当する量含有する電磁調理器用容器が挙げられる。ここで、金属酸化物としては、例えば、熱膨張係数が概ね1×10-5/℃以下(典型的には概ね1×10-6〜1×10-5/℃)であるものを用いることができる。
かかる発熱層によっても発熱層と容器本体および/または保護層との熱膨張率の差を小さくすることができる。したがって、発熱層の浮きや剥がれを抑制する効果および/または保護層に貫入等が発生することを防止する効果が向上する。
【0036】
本発明の発熱層に含有される上記特定の金属酸化物の質量(複数の金属酸化物を含有する場合にはそれらの合計量)は、導電性金属の質量の0.1〜30%に相当する量(換言すれば、導電性金属100質量部に対して金属酸化物を合計でほぼ0.1〜30質量部)であることが好ましく、より好ましくはほぼ0.5〜20%、さらに好ましくはほぼ1〜10%に相当する量である。金属酸化物の含有量が少なすぎると発熱層の熱膨張を抑制する効果が小さくなる。一方、金属酸化物の含有量が多すぎると発熱層の電気抵抗が高くなる。このため出力が低下傾向となる。
【0037】
本発明の容器に備えられる発熱層は、ガラス成分(典型的には、ガラスフリット等の低融点ガラス)を実質的に含有しない組成とすることができる。あるいは、本発明の効果(例えば、発熱層の浮きや剥がれを抑制する効果)を顕著に損なわない範囲でガラス成分を含有することもできる。発熱層に含有されるガラス成分の割合は、導電性金属の質量のほぼ15%以下に相当する量であることが好ましく、より好ましくはほぼ5%以下、さらに好ましくはほぼ1%以下である。また、この発熱層が上記特定の金属酸化物とガラス成分とを含有する場合には、これらの合計量が、導電性金属の質量のほぼ20%(より好ましくはほぼ15%)に相当する量を大幅に超過しないことが好ましい。
【0038】
なお、発熱層全体の質量に占める導電性金属(複数の導電性金属を含有する場合にはその合計)の割合は、ほぼ60質量%以上とすることができ、ほぼ70〜99.9質量%であることが好ましく、より好ましくはほぼ80〜99.5質量%、さらに好ましくはほぼ90〜99質量%である。導電性金属の含有割合が少なすぎると出力が低下傾向となる場合がある。
【0039】
その他、本発明の効果を顕著に損なわない限りにおいて、この発熱層は着色剤等の一般的な無機添加剤および/または有機添加剤を含有することができる。
【0040】
電磁調理器用容器に備えられる発熱層の厚さは、平均値として例えば約10〜100μmの範囲とすることができる。発熱層の厚さが小さすぎると出力が低くなる傾向にある。一方、発熱層の厚さが大きすぎると耐久性が低下しやすくなることがある。例えば、焼成時の焼き縮みや繰り返し使用によって、発熱層の一部に浮きが生じたり、保護層を備える構成ではこの保護層に貫入が生じたりする場合がある。発熱層の好ましい厚さは、保護層を備える電磁調理器用食器(皿、碗、カップ等)においては約15〜50μm(より好ましくは約20〜35μm)である。保護層を備えない電磁調理器用食器においては、発熱層の厚さを約15〜100μm(好ましくは約20〜50μm)とすることができる。
【0041】
本発明の発熱層形成用ペーストは、上述した本発明のいずれかの容器に備えられる発熱層を形成する用途に好適である。以下、この発熱層形成用ペーストの組成および調製方法について説明する。
【0042】
本発明の発熱層形成用ペーストに含有される金属粉末は、導電性金属からなる微粒子(ベース微粒子)の表面に酸化物セラミックス源化合物がコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成されている。例えば、金属粒子を構成する粒子の50個数%以上、好ましくは70個数%以上、特に好ましくは85個数%以上がコーティング粒子である。ベース微粒子を構成する導電性金属としては、発熱層を構成する導電性金属と同様のもの等を用いることができる。好ましい導電性金属はAgまたはAgを主体とする合金である。
【0043】
ベース微粒子の表面をコーティングしている酸化物セラミックス源化合物としては、例えば、Al,Zr,Ti,Y,Ca,MgおよびZnからなる群から選択されるいずれかの元素を構成元素とする酸化物セラミックスおよび加熱によりこれらの酸化物セラミックスとなり得る化合物のうちの少なくとも一種を用いることができる。「加熱により酸化物セラミックスとなり得る化合物」としては、その酸化物セラミックスを構成する金属原子(典型的にはAl,Zr)の有機酸塩(例えば酢酸塩、シュウ酸塩等のカルボン酸塩)、無機酸塩(炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、ハロゲン化物、水酸化物、オキシハロゲン化物等を用いることができる。
例えば、好適な金属アルコキシドとしては、テトラプロポキシチタン(Ti(OC3H7)4)等のチタン(IV)アルコキシド、アルミニウムエトキシド(Al(OC2H5)3)、アルミニウムt-ブトキシド(Al(OC(CH3)3)3)、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アセトアルコキシアルミニウムエチルアセトアセテート、アセトアルコキシアルミニウムアセチルアセトネート等のアルミニウムアルコキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムブトキシド等のジルコニウムアルコキシドの他、Zn、Mg、Ca等を中心金属原子(イオン)とする種々の多核アルコラト錯体が挙げられる。また、好適なキレート化合物としては、Zn、Mg、Ca等を中心金属原子(イオン)とするエチレンジアミン(en)錯体、エチレンジアミンテトラアセタト(edta)錯体等が挙げられる。あるいは、Ti、Zn、Mg等の金属(イオン)とキレートを形成した所謂キレート樹脂を酸化物セラミックス源化合物として用いることもできる。
本発明のペーストにおいてコーティング粒子を構成する酸化物セラミックス源化合物としては、酸化物セラミックス(特にアルミナおよび/またはジルコニア)が好ましい。
【0044】
この金属粉末は、例えば、ベース微粒子の質量のほぼ0.001〜10%に相当する量(酸化物換算)の酸化物セラミックス源化合物を含有する(換言すれば、ベース微粒子100質量部に対して酸化物セラミックス源化合物ほぼ0.001〜10質量部を含有する)ことができる。すなわち、酸化物セラミックス源化合物がのコーティング量(酸化物換算)が、ベース微粒子の質量のほぼ0.001〜10%に相当する量である。好ましいコーティング量(酸化物換算)はベース微粒子の質量のほぼ0.005〜10%に相当する量であり、より好ましくはほぼ0.01〜2%、さらに好ましくはほぼ0.02〜1%、特に好ましくはほぼ0.05〜0.5%である。酸化物セラミックス源化合物のコーティング量が上記範囲よりも少なすぎると顕著な効果を得ることが困難になる。一方、酸化物セラミックス源化合物のコーティング量が上記範囲よりも多すぎる場合には発熱層の出力が低下しがちとなるため好ましくない。
【0045】
この金属粉末を構成する粒子の形状は主としてフレーク状であることが好ましい。例えば、金属粉末を構成する粒子の70個数%以上がフレーク状(例えば、粒子の長辺に対する厚さの割合が0.5以下であることをいう。)の粒子であることが好ましい。かかる金属粉末を含有するペーストは、容器本体に対する接着強度(付着強度)が良好な発熱層を形成し得る。
【0046】
特に限定するものではないが、この金属粉末としては、例えば平均粒径(BET法による)が5μm以下(典型的には平均粒径0.5〜5μm)のものを使用することができる。金属粉末の形状が主としてフレーク状である場合には、そのフレーク状粒子の平均長径が1〜10μm、平均厚さが0.1〜2μmの範囲にあることが好ましい。
なお、酸化物セラミックス源化合物のコーティング量が比較的少ない場合(例えば、酸化物換算のコーティング量がベース微粒子の質量のほぼ2%以下に相当する量である場合)には、上述した好ましい平均粒径または形状(フレーク状粒子の偏平度やサイズ等)を有する金属粉末を、これらと概ね同程度の平均粒径または形状を有するベース微粒子の表面に酸化物セラミック源化合物をコーティングすることにより作製することができる。
【0047】
コーティング粒子の作製方法は特に制限されないが、好ましい作製方法として下記(i)または(ii)の方法が例示される。これらのうち下記(i)の方法が特に好ましい。
【0048】
(i)酸化物セラミックスのゾル(典型的にはアルミナゾル、ジルコニアゾル等)を用意する。また、導電性金属(典型的にはAg)を主体とするベース微粒子の所定量を秤量しておく。酸化物セラミックスのゾルを攪拌しつつ、導電性金属(典型的にはAg)を主体とするベース微粒子の所定量を投入して分散・懸濁させる。この懸濁液を所定時間静置または攪拌する。これを乾燥させてコーティング粒子を得る。
【0049】
(ii)加熱により酸化物セラミックスとなる化合物(例えばAlまたはZrのカルボン酸塩)を適当な溶媒中に溶解または分散させる。この溶液または分散液(ゾル)にベース微粒子を添加して分散・懸濁させる。この懸濁液を所定時間静置または撹拌する。これを乾燥させてコーティング粒子を得る。
【0050】
なお、本発明のペーストは、コーティング粒子を構成していない(遊離の;例えば溶媒中に分散された状態の)酸化物セラミックス源化合物をも含有することができる。ペースト中に含有される酸化物セラミックス源化合物の合計量(酸化物換算)は、例えば、導電性金属の質量のほぼ0.001〜10%に相当する量とすることができ、ほぼ0.005〜10%(より好ましくはほぼ0.01〜2%、さらに好ましくはほぼ0.02〜1%、特に好ましくはほぼ0.05〜0.5%)に相当する量であることが好ましい。また、酸化物セラミックス源化合物の大部分(例えば80質量%以上)がコーティング粒子としてペースト中に含有されていることが好ましい。
【0051】
本発明のペーストは、導電性金属および酸化物セラミックスに加えて通常は無機添加剤を含有する。無機添加剤の典型例としては一般的なガラスフリットが挙げられる。このガラスフリットを構成するガラス成分の好ましい種類は、上述した発熱層に含まれ得るガラス成分と同様である。
【0052】
また、本発明のペーストに含有され得る無機添加剤の好ましい例としては、酸化ビスマス(Bi23等)、酸化銅(CuO等)、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブおよび酸化タングステンおよび加熱により(典型的には、このペーストを焼成して発熱層となす際の加熱により)これらの金属酸化物となり得る化合物からなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物源化合物が挙げられる。「加熱によりこれらの金属酸化物となり得る化合物」としては、ビスマス(Bi)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、マグネシウム(Mg)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)およびタングステン(W)の有機酸塩(例えば酢酸塩、シュウ酸塩等のカルボン酸塩)、無機酸塩(炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等)、金属アルコキシド、キレート化合物、ハロゲン化物、水酸化物、オキシハロゲン化物等を用いることができる。これらのうち好ましい金属酸化物源化合物は、酸化ビスマス(Bi23)、酸化銅(CuO)および適当な加熱によりこれらの金属化合物となる化合物の一種以上である。より好ましい金属酸化物源化合物は酸化ビスマスおよび/または加熱により酸化ビスマス(Bi23)となる化合物であり、最も好ましい金属酸化物源化合物は酸化ビスマス(Bi23)である。
【0053】
特に限定するものではないが、この金属酸化物源化合物としては、例えば平均粒径(BET法による)が5μm以下(典型的には平均粒径0.1〜5μm)のもの(粉末)を用いることができる。金属酸化物源化合物の好ましい平均粒径は1μm以下(典型的には平均粒径0.1〜1μm)である。
本発明のペーストは、金属粉末の質量のほぼ0.5〜25%(酸化物換算)に相当する量の金属酸化物源化合物を含有することが好ましい。より好ましい含有量は、金属粉末の質量のほぼ1〜15%に相当する量である。
【0054】
本発明のペーストは、ガラス成分(典型的には、ガラスフリット等の低融点ガラス)を実質的に含有しない組成とすることができる。あるいは、本発明の効果を顕著に損なわない範囲でガラス成分を含有することもできる。ペーストに含有されるガラス成分の割合は、導電性金属の質量のほぼ15%以下(より好ましくはほぼ5%以下、さらに好ましくはほぼ1%以下)に相当する量であることが好ましい。また、この発熱層が上記金属酸化物源化合物とガラス成分とを含有する場合には、これらの合計量(金属酸化物源化合物については酸化物換算)が、導電性金属の質量の20%(より好ましくは15%)に相当する量を大幅に超過しないことが好ましい。
【0055】
本発明のペーストは、典型的には有機バインダおよび適当量の溶剤を含有する。この有機バインダとしては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、セルロース系高分子等をベースとするもの等を使用することができる。これらのうちアクリル樹脂をベースとするものが好ましく用いられる。
【0056】
その他、本発明の効果を顕著に損なわない限りにおいて、このペーストは、着色剤、増粘剤、分散剤等の一般的な無機添加剤および/または有機添加剤を含有することができる。
【0057】
本発明の発熱層形成用ペーストは常法により調製することができる。例えば、三本ロールミルその他の混練機を用いて、金属粉末と有機バインダ溶液(有機バインダを溶剤に溶解させたもの)とともに所定の配合比で直接混合し、相互に練り合わせることにより、本発明のペーストを容易に調製することができる。このとき、必要に応じて上述したような添加剤(無機添加剤等)を添加・混合するとよい。ペーストの調製に用いられる有機バインダ溶液の量は、ペースト全体のほぼ5〜40質量%を占める割合となる量が適当であり、10〜30質量%となる量が好ましく、15〜25質量%となる量が特に好ましい。また、ペーストの調製に用いる金属粉末としては、例えば、上述した(i)または(ii)コーティング粒子製造方法を適用して製造されたものを用いることができる。
【0058】
このような発熱層形成用ペーストを用いて本発明の電磁調理器用容器を得るには、発熱層形成用ペーストからなる皮膜を容器本体の所定箇所(典型的には底部表面)に付着させ、これを焼成すればよい。これにより容器本体の表面に発熱層を設けることができる。発熱層形成用ペーストからなる皮膜を容器本体に付着させる方法としては転写法(典型的には湿式転写法)を用いることが好ましい。例えば、発熱層形成用ペーストを台紙上に塗布し、これを乾燥させて台紙上に乾燥ペースト皮膜を形成する。この乾燥ペースト皮膜を容器本体の表面に転写すればよい。かかる転写法は、高台の内側の広い範囲に(例えば、高台の内側部分のうち70面積%以上の範囲に)発熱層を形成する場合に特に適している。
【0059】
なお、発熱層の形成方法はこれに限定されるものではない。例えば、スクリーン印刷法等により発熱層形成用ペーストを容器表面に直接塗布し、塗布されたペーストを乾燥させた後に焼成して発熱層を形成してもよい。
典型的な組成の発熱層形成用ペーストでは、平均厚さ15〜20μm程度の発熱層(焼成後)を得るための乾燥ペースト皮膜の厚さ(印刷厚さ)は概ね40μm程度である。また、平均厚さ20〜25μm程度の発熱層(焼成後)を得るための乾燥ペースト皮膜の厚さ(印刷厚さ)は概ね50μm程度である。
【0060】
本発明の電磁調理器用容器は、発熱層を被覆する保護層を備える構成とすることができる。この保護層を設けることにより、発熱層の機械的耐久性(磨耗、剥離等)および/または化学的耐久性(酸化、硫化等の化学変化や色調の変化等)が向上する。保護層の厚さは特に限定されないが、通常は平均値として3〜30μm程度の厚さとすることが好ましい。
【0061】
この保護層は、ガラス質材料を主体として構成されたガラスコート層であることが好ましい。ガラスコート層を構成するガラス成分としては、上述した発熱層に含まれ得るガラス成分と同様のもの等を用いることができる。無鉛のホウケイ酸系低融点ガラス(好ましくは、軟化点が概ね650℃以下)からなるガラスコート層が特に好ましい。
かかるガラスコート層は、例えば、有機バインダ溶液にガラス粉末(ガラスフリット)を分散させたペースト(ガラスペースト)を塗布・焼成して作製することができる。ガラスペーストの調製に用いられる有機バインダ溶液としては、発熱層形成用ペーストと同様のもの(例えば、アクリル系樹脂をベースとするもの)等を使用することができる。
【0062】
発熱層上に保護層が設けられた電磁調理器用容器を得るには、例えば、上述のようにして台紙上に発熱層形成用ペーストを塗布し、これを乾燥させて乾燥ペースト皮膜を形成した後、その上から保護層形成用ペースト(典型的にはガラスペースト)を塗布して乾燥させる。この積層膜を容器本体の表面に転写して焼成すればよい。この場合には発熱層と保護層とが同時に焼成される。あるいは、先に発熱層形成用ペーストを容器本体の表面に転写・焼成した後、得られた発熱層の上に保護層形成用ペーストを転写・焼成して保護層を形成してもよい。
【0063】
本発明は、皿類、碗類、カップ類等の各種形状の食器に適用することができる。特に、碗類、丼類、鉢類、湯のみ類等の和食器や、各種カップ類、徳利等のように径の小さい食器に対して好ましく適用される。
なお、本発明は食器に限られず、電磁調理器用の調理具(例えば鍋、フライパン)にも適用することができる。
【0064】
【実施例】
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0065】
<実験例1:ZrO2コーティング粉末の作製>
次のようにして、ジルコニア(ZrO2)によりコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成される金属粉末(a)〜(c)を作製した。
すなわち、ジルコニアゾル中にフレーク状のAg粒子(ベース微粒子)を投入して分散・懸濁させた。この懸濁液を所定時間攪拌した後に乾燥させた。このようにして、Ag粒子の表面がZrO2でコーティングされた粒子(コーティング粒子)から実質的に構成された金属粉末(以下、「コーティング粉末」ともいう。)を得た。
ジルコニアゾルに投入するAg粒子の量を調製することにより、ジルコニア含有量の異なる三種類のZrO2コーティング粉末を作製した。コーティング粉末(a)は、Ag粒子(ベース微粒子)の質量の約0.05%に相当する量のZrO2(換言すれば、ベース微粒子100質量部に対して0.05質量部のZrO2)を含有する。また、コーティング粉末(b)はAg粒子の質量の約0.1%に相当する量のZrO2を含有する。コーティング粉末(c)はAg粒子の質量の約0.2%に相当する量のZrO2を含有する。
なお、Ag粒子を投入するジルコニアゾルは、市販のジルコニアゾルを用いて(例えば、そのジルコニアゾルをそのまま、あるいは適宜希釈または濃縮することにより)調製することができる。
【0066】
<実験例2:Al23コーティング粉末の作製>
ジルコニアゾルに代えてアルミナゾルを用いた点以外は実験例1と同様にして、アルミナ(Al23)によりコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成されるコーティング粉末(d)〜(f)を作製した。
アルミナゾルに投入するAg粒子の量を調製することにより、アルミナ含有量の異なる三種類のAl23コーティング粉末を作製した。コーティング粉末(d)は、Ag粒子(ベース微粒子)の質量の約0.05%に相当する量のAl23を含有する。また、コーティング粉末(e)はAg粒子の質量の約0.1%に相当する量のAl23を含有する。コーティング粉末(f)はAg粒子の質量の約0.2%に相当する量のAl23を含有する。
なお、Ag粒子を投入するアルミナゾルは、市販のアルミナゾルを用いて(例えば、そのアルミナゾルをそのまま、あるいは適宜希釈または濃縮することにより)調製することができる。
【0067】
<実験例3:コーティング粉末を用いたペーストの調製>
実験例1で得られたコーティング粉末(a)68質量部と、有機バインダ溶液23.6質量部とを混合してペースト(A)を調製した。有機バインダ溶液としては、アクリル系樹脂の有機溶媒溶液(アクリル系樹脂含有割合;25〜30質量%)を用いた。
同様に、実験例1または実験例2で得られたコーティング粉末(b)〜(f)68質量部と、有機バインダ溶液23.6質量部とを混合してペースト(B)〜(F)を調製した。
【0068】
<実験例4:非コーティング粉末を用いたペーストの調製>
実験例1で用いたものと同じAg粒子(ベース微粒子;ZrO2でコーティングされていないもの)を用いてペースト(G)を調製した。すなわち、このAg粒子からなる金属粉末(Ag粉末)68質量部と、有機バインダ溶液(実験例3と同じもの)23.6質量部とを混合した。
【0069】
<実験例5:試験片の作製および評価(1)>
以上のようにして得られたペースト(A)〜(G)を、台紙上に、印刷厚さが約50μmとなるように塗布した。ペーストの塗布方法としてはスクリーン印刷法を用いた。塗布されたペースト(A)〜(G)を乾燥させた後、この乾燥ペースト皮膜を湿式転写法により基材の表面に転写して乾燥させた。ここで、基材としてはアルミナ製平板の表面に釉薬が施されたものを使用した。乾燥後における乾燥ペースト皮膜の大きさ(形成範囲)は直径19.54mmmの円形状であった。この乾燥ペースト皮膜を800℃、850℃および900℃の各温度で焼成した。焼成後に形成された被膜(発熱層)の直径を測定し、焼成前の乾燥ペースト皮膜の直径と比較することにより、焼成縮みの指標としての収縮率(%)を算出した。その結果を表1に示す。この表1には、使用した金属粉末およびペーストの種類を併せて示している。
【0070】
【表1】
Figure 0003871571
【0071】
表1から判るように、コーティングされていない金属粉末(Ag粉末)を用いて調製されたペースト(G)(試験片7)に比べて、ZrO2コーティング粉末またはAl23コーティング粉末を用いて調製されたペースト(A)〜(F)(試験片1〜6)はいずれも焼成縮み(収縮率)が少なかった。金属粉末に含有される酸化物セラミックスの量がベース微粒子の質量の0.05〜0.2%に相当する量である範囲では、酸化物セラミックスの含有量が増すにつれて焼成縮みがより少なくなる傾向がみられた。
【0072】
<実験例6:コーティング粉末を用いたペーストの作製>
実験例2で作製したコーティング粉末(e)(Ag粒子の質量の約0.1%に相当する量のAl23を含有する)70質量部、ガラスフリット10質量部および有機バインダ溶液(実験例3と同じもの)20質量部を混合してペースト(H)を調製した。ガラスフリットとしては、無鉛のホウケイ酸系低融点ガラス(軟化点約550℃)を用いた。
同様に、コーティング粉末(e)70質量部、ガラスフリット5質量部および有機バインダ溶液(実験例3と同じもの)25質量部を混合してペースト(I)を調製した。
【0073】
<実験例7:試験片の作製および評価(2)>
実験例5と同様に、ペースト(H)を台紙上に塗布して乾燥させた。乾燥ペースト皮膜の直径は約85mmである。その上からガラスペーストを概ね16〜18μmの厚さ(印刷厚さ)で塗布して乾燥させた。ガラスペーストの塗布はスクリーン印刷法により行った。なお、このガラスペーストは、実験例6で用いたものと同じガラスフリットと、実験例3で用いたものと同じ有機バインダ溶液とを約45/55の質量比で混合することにより調製した。さらにその上を樹脂層で被覆した。この積層膜を湿式転写法により食器本体の表面に転写し、850℃で焼成した。食器本体としては、高台の直径が100mm,高さが2mmである主菜皿(食器本体)を用いた。このようにして、それぞれ異なる厚さの発熱層が設けられているとともに各発熱層が保護層(ガラスコート層)で被覆された複数の電磁料理器用食器(試験片)を作製した。
それらの電磁料理器用食器の外観を目視により観察したところ、少なくとも印刷厚さが約60μm(発熱層の厚さは概ね25〜30μm)程度以下の範囲では、発熱層の浮きや剥がれ等は見られなかった。また、保護層にも貫入等は見られなかった。
【0074】
<実験例8:試験片の作製および評価(3)>
実験例5と同様にしてペースト(I)を台紙上に塗布して乾燥させた。この塗布は、印刷厚さがそれぞれ約19μm,30μm,49μm,62μmおよび83μmとなるように行った。その上を樹脂層で被覆した。この積層膜を湿式転写法により食器本体(実験例7と同じもの)の表面に転写し、850℃で焼成した。このようにして、発熱層の厚さが約8.3μm,13μm,20.3μm,24.8μmおよび34.9μmであり、この発熱層を被覆する保護層を備えていない複数の電磁料理器用食器(試験片8〜12)を作製した。
それらの電磁料理器用食器の外観を目視により観察したところ、少なくとも印刷厚さが約80μm(発熱層の厚さは概ね30〜40μm)程度以下の範囲では、発熱層の浮きや剥がれ等は見られなかった。
【0075】
得られた電磁料理器用食器(試験片8〜12)の加熱性能を評価した。すなわち、各電磁料理器用食器に200mlの水を入れて電磁調理器にセットし、同一条件で水が75℃に昇温されるまでの時間(昇温時間)を測定した。その結果を、ペースト(I)の印刷厚さおよび発熱の厚さとともに表2に示す。この表2から判るように、発熱層の厚さが大きくなるにつれて昇温時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0076】
【表2】
Figure 0003871571
【0077】
<実験例9:コーティング粉末を用いたペーストの調製>
実験例2で作製したコーティング粉末(f)(Ag粒子の質量の約0.2%に相当する量のAl23を含有する)70質量部、ガラスフリット(実験例6と同じもの)5質量部および有機バインダ溶液(実験例3と同じもの)25質量部を混合してペースト(J)を調製した。
同様に、コーティング粉末(b)(Ag粒子の質量の約0.1%に相当する量のZrO2を含有する)70質量部、ガラスフリット5質量部および有機バインダ溶液25質量部を混合してペースト(K)を調製した。
また、コーティング粉末(c)(Ag粒子の質量の約0.2%に相当する量のZrO2を含有する)70質量部、ガラスフリット5質量部および有機バインダ溶液25質量部を混合してペースト(L)を調製した。
【0078】
<実験例10:試験片の作製および評価(4)>
保護層を備えていない発熱層を備えた食器を作成し、その発熱層の経時による変色の程度を評価した。
すなわち、実験例8と同様にして、ペースト(J),(K)および(L)を用いて形成された発熱層を備えるとともに、この発熱層を被覆する保護層を備えていない電磁料理器用食器(試験片13〜15)を作製した。また、実験例4で用いたものと同じAg粉末(酸化物セラミックスによりコーティングされていないAg粒子からなる)68質量部、ガラスフリット5質量部および有機バインダ溶液(実験例3と同じもの)25質量部を混合してペースト(M)を調製した。このペースト(M)を用いて、ペースト(J)〜(L)と同様に電磁料理器用食器(試験片16)を作製した。これらの試験片14〜17の備える発熱層の厚さは概ね20μmである。
ペースト(I)を用いて形成された発熱層を備える試験片(実験例8により得られた試験片10)と、ペースト(J)〜(M)を用いて形成された発熱層を備える試験片につき、発熱層の経時による変色の程度を評価した。具体的には、色彩色差計を用いて焼成直後および室温一ヶ月放置の発熱層のL値を計測した。その結果を、使用したペーストの種類とともに表3に示す。
【0079】
【表3】
Figure 0003871571
【0080】
表3から判るように、コーティング粉末を用いて調製されたペースト(I)〜(L)により形成された発熱層(試験片10および試験片13〜15)は、非コーティング粉末を用いて調製されたペースト(M)により形成された発熱層(試験片16)と比較して、L値の変化の程度が明らかに少ない。このことは、ペーストの原料としてコーティング粉末を用いることにより、保護層を備えない構成における発熱層の耐久性(色調の変化等を抑制する性能)が向上することを示している。
【0081】
<実験例11:コーティング粉末と酸化ビスマスを用いたペーストの調製>
実験例1と同様にして、Ag粒子の質量の約0.034%に相当する量のZrO2を含有するZrO2コーティング粉末(g)を作製した。
このコーティング粉末(g)77質量部、Bi23粉末2.3質量部および有機バインダ溶液(実験例3と同じもの)20.7質量部を混合してペースト(N)を調製した。
【0082】
<実験例12:非コーティング粉末とガラスフリットを用いたペーストの調製>実験例4で用いたものと同じAg粉末(酸化物セラミックスによりコーティングされていないAg粒子からなる)68質量部、ガラスフリット(実験例6と同じもの)8.4質量部および有機バインダ溶液(実験例3と同じもの)23.6質量部を混合してペースト(O)を調製した。
【0083】
<実験例13:試験片の作製および評価(5)>
以上のようにして得られた発熱層形成用ペースト(N),(O)を台紙上に塗布して乾燥させた。この塗布は、印刷厚さがそれぞれ表4〜9に示す所定の厚さ(印刷厚さ)となるように行った。塗布方法としてはスクリーン印刷法を用い、塗布範囲は直径65mmの円形とした。その上からガラスペースト(実験例7と同じもの)を概ね16〜18μmの厚さ(印刷厚さ)で塗布して乾燥させた。さらにその上を樹脂層で被覆した。この積層膜を湿式転写法により基材(実験例5と同じもの)の表面に転写した。転写物を乾燥させた後、表4〜9の欄外に示す所定の温度で焼成することにより基材表面に焼き付けた。このようにして、基材の表面に発熱層およびガラスコート層が設けられた試験片を作製した。
【0084】
得られた試験片の抵抗値および出力を評価した。すなわち、電磁調理器の調理面に各試験片を載置し、載置する前後の電流および電圧の変化量を測定した。試験片の作製に用いたペーストの種類、印刷厚さおよび焼成温度とともに、抵抗値(mΩ)および出力(W)の評価結果を表4〜9に示す。
【0085】
【表4】
Figure 0003871571
【0086】
【表5】
Figure 0003871571
【0087】
【表6】
Figure 0003871571
【0088】
【表7】
Figure 0003871571
【0089】
【表8】
Figure 0003871571
【0090】
【表9】
Figure 0003871571
【0091】
表4〜6および表7〜9から判るように、印刷厚さが同程度のもの同士を比較すると、いずれの焼成温度においても、ペースト(N)から形成された発熱層を有する試験片(試験片21〜35)はペースト(O)から形成された発熱層を有する試験片(試験片36〜50)と同等以上の出力を示した。このことは、ペースト(N)を用いることにより、ペースト(O)を用いて形成された発熱層と同程度の出力を得るための発熱層の厚さをより小さくし得ることを示している。発熱層の厚さを小さくすることは、発熱層と基材(食器本体)および/またはガラスコート層(保護層)との間に生じるストレスを低減する観点から好ましい。
【0092】
なお、作製した試験片を目視により観察したところ、ペースト(N)を用いて得られた試験片(試験片21〜35)では、印刷厚みによらず、ガラスコート層に貫入等は見られなかった。これに対して、ペースト(O)を用いて得られた試験片(試験片36〜50)では、印刷厚さが40μm程度以上(特に45μm以上)のものの中に、ガラスコート層に貫入が生じた試験片が散見された。
上記実験例で作製したコーティング粉末(a)〜(g)の表面を電子顕微鏡により観察したところ、Ag粒子(ベース微粒子)の表面にアルミナまたはジルコニアの層(図示せず)が形成されていることが確認された。
【0093】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電磁調理器用容器の一例(食器)を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
10:食器本体(容器本体)
20:発熱層
30:ガラスコート層(保護層)

Claims (4)

  1. 非金属材料からなる容器本体と、
    その容器本体の底部に設けられた発熱層とを備え、
    前記発熱層は導電性金属を主体とする金属粉末が焼結されたものであり、
    その焼結された金属粉末は、導電性金属からなる微粒子の表面に酸化物セラミックスがコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成されている電磁調理器用容器。
  2. 前記酸化物セラミックスは、Al,Zr,Ti,Y,Ca,MgおよびZnからなる群から選択されるいずれかの元素を構成元素とする酸化物セラミックスの少なくとも一種である請求項1に記載の電磁調理器用容器。
  3. 前記発熱層は、酸化ビスマス、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ニオブおよび酸化タングステンから選択される少なくとも一種の金属酸化物を含有する請求項1または2に記載の電磁調理器用容器。
  4. 電磁調理器用容器の発熱層を形成するためのペーストであって、
    導電性金属を主体とする金属粉末を主成分とし、
    前記金属粉末は、導電性金属からなる微粒子の表面に酸化物セラミックス源化合物がコーティングされたコーティング粒子から実質的に構成されており、
    前記酸化物セラミックス源化合物は、酸化物セラミックスまたは焼成により酸化物セラミックスとなり得る化合物であるペースト。
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