JPH11128084A - 調理器 - Google Patents

調理器

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JPH11128084A
JPH11128084A JP9294343A JP29434397A JPH11128084A JP H11128084 A JPH11128084 A JP H11128084A JP 9294343 A JP9294343 A JP 9294343A JP 29434397 A JP29434397 A JP 29434397A JP H11128084 A JPH11128084 A JP H11128084A
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Tetsuro Tojo
哲朗 東城
Akira Nogami
暁 野上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 調理時の加熱により大きな熱膨張差が生じた
り、調理用具等の接触により荷重が付与された場合で
も、多孔質体2と接合層3とを大きな接合力で接合させ
て容易に破損しないようにする。 【解決手段】 調理食品1を保持するように所定形状に
形成された多孔質体からなる黒鉛基体2と、黒鉛基体2
の調理食品1に接触する調理面9側に形成され、調理面
9に露出した孔隙10に進入する低分子量のフッ素樹脂
からなる接合層3とを有している。接合層3の表面は、
凹凸状に形成されており、この接合層3の表面には、高
分子量のフッ素樹脂からなる中間層7と、緩衝部材4を
含有した高分子量のフッ素樹脂からなる緩衝層5と、低
分子量および高分子量のフッ素樹脂からなる表面層6と
がこの順に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調理食品を加熱し
て調理する際に使用される調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年において、炭焼きにより調理する
と、遠赤外線の作用により調理食品の深部にまで熱が通
って調理食品の味が良くなることから、このような遠赤
外線を放出する炭素や黒鉛を用いた調理器が注目されて
いる。
【0003】上記の調理器は、一般に、炭素や黒鉛が多
数の孔隙を有した多孔質体である場合、良好な均熱性に
より調理食品を均等に加熱することができるため、黒鉛
の多孔質体を調理用の所定形状に形成した黒鉛基体を使
用している。ところが、黒鉛基体を調理食品に直接接触
させる構成では、黒鉛基体の調理面に露出した孔隙に調
理食品や煮汁等が進入して焦げ付いたり、黒鉛基体の露
出した調理面から炭素粉末が飛散するという不具合が生
じ易くなる。
【0004】そこで、このような不具合を防止するた
め、調理食品を黒鉛基体に間接的に接触させながら調理
可能な調理器が提案されている。例えば特開平2−84
910号公報には、ポリテトラフルオロエチレン(PT
FE)からなるフッ素樹脂層を黒鉛基体の調理面に形成
した構成の調理器が開示されている。また、特開平8−
299191号公報や特開平8−299192号公報に
は、上述の不具合を長期間に亘って防止することができ
るように、黒鉛基体の調理面とフッ素樹脂層との間にセ
ラミック溶射層や金属含有有機重合体の熱分解生成物層
を介装した構成が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のように、PTFEからなるフッ素樹脂層を黒鉛基体
の調理面に形成した構成では、PTFEが一般に調理面
に露出した孔隙よりも大きなサイズの高分子量のフッ素
樹脂であるため、フッ素樹脂層が黒鉛基体の調理面に面
状に当接した状態で接合される。従って、フッ素樹脂層
と黒鉛基体との接合力が弱いため、調理食品を加熱して
調理する際に、加熱によりフッ素樹脂層と黒鉛基体とに
大きな熱膨張差が生じたり、調理用具等の接触によりフ
ッ素樹脂層に荷重が付与された場合に、フッ素樹脂層が
黒鉛基体から剥離して破損し易いという問題がある。ま
た、このような問題は、フッ素樹脂層と黒鉛基体との間
にセラミック溶射層や金属含有有機重合体の熱分解生成
物層を介装した構成の場合でも、フッ素樹脂層が高分子
量のPTFEからなっていると、フッ素樹脂層が各層に
面状に当接して弱い接合力で接合されるため、同様に剥
離が生じることになる。
【0006】そこで、本発明は、調理時の加熱により大
きな熱膨張差が生じたり、調理用具等の接触により荷重
が付与された場合でも、フッ素樹脂層を大きな接合力で
接合させておくことにより容易に破損しない調理器を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の調理器は、調理食品を加熱して調理する際
に使用されるものであって、下記の特徴を有している。
【0008】即ち、本発明の調理器は、図1に示すよう
に、調理食品1を保持するように所定形状に形成された
多孔質体からなる黒鉛基体2と、黒鉛基体2の調理食品
1に接触する調理面9側に形成され、調理面9に露出し
た孔隙10に進入する低分子量のフッ素樹脂からなる接
合層3とを有している。
【0009】上記の構成によれば、フッ素樹脂からなる
接合層3を調理面9側に形成しているため、調理食品1
を接合層3に接触させながら加熱して調理した場合で
も、接合層3を形成するフッ素樹脂の高い非粘着性によ
り調理食品1の付着を防止することができる。また、接
合層3を形成する際に、加熱された低分子量のフッ素樹
脂が流動状態となって黒鉛基体2の孔隙10に深く進入
するため、アンカー効果により黒鉛基体2と接合層3と
の接合力が増大する。これにより、調理時の加熱により
黒鉛基体2と接合層3とに大きな熱膨張差が生じた場合
や調理用具等の接触により接合層3に荷重が付与された
場合でも、接合層3を黒鉛基体2から剥離し難くして破
損を防止することができる。
【0010】尚、接合層3は、低分子量および高分子量
のフッ素樹脂からなっていても良い。この場合には、低
分子量のフッ素樹脂と高分子量のフッ素樹脂との混合で
あるため、上記のアンカー効果を生じさせる低分子量の
フッ素樹脂の使用量を必要最小限に抑制しても、高分子
量のフッ素樹脂により所望の性能を所定期間にわたって
発揮させることができる。従って、設計仕様を維持しつ
つ、一般的な高分子量のフッ素樹脂を含むことによっ
て、コストダウンを図ることができる。
【0011】上記の黒鉛基体2は、実質的に炭素のみか
らなる材料または炭素を主成分とする材料からなり、ピ
ッチ含浸品や樹脂含浸品、金属含浸品等の含浸品を包含
する所謂黒鉛化品等の各種黒鉛材料を包含する。尚、黒
鉛化品は、通常、コークス等の骨材にピッチ等のバイン
ダーを加えて混練する工程を経た後、成形、焼成、黒鉛
化の工程を経て作成されている。また、黒鉛化品は、必
要に応じてピッチ含浸や再焼成、樹脂含浸、金属含浸、
高純度化等の各種の工程を経て作成されている。そし
て、このような各種の工程を経て作成される具体的な黒
鉛材料としては、冷間等方圧加圧成形工程を経た高密度
等方性黒鉛や熱間加圧法を用いた高密度黒鉛等の黒鉛材
料等がある。その他の黒鉛材料としては、加圧焼成法に
より製造される炭化ホウ素(B4 C)を含む黒鉛材料、
ピッチバインダー法により製造される各種セラミックを
含む黒鉛材料および黒鉛化した炭素繊維強化炭素複合材
料等がある。
【0012】また、本発明の黒鉛基体2には、熱伝導性
の均一性を確保するように、異方比が1.2以下の等方
性の高い黒鉛材料を用いることが好ましい。ここで、異
方比が1.2以下であるとは、黒鉛材料における任意に
直角をなす方向に測った固有電気抵抗の比の平均値が
1.2以下であることを意味する。また、黒鉛材料の属
性としては、上記の熱伝導率以外に特に制限はないが、
開気孔率が1〜30%の範囲であることが望ましい。こ
の理由は、開気孔率が1%未満であると、接合層3のフ
ッ素樹脂が黒鉛基体2の孔隙10に進入することによる
アンカー効果が不十分となり、接合層3と黒鉛基体2と
の接合力(密着性)が低下するからである。一方、30
%を越えると、黒鉛基体2の機械的強度が低下して調理
器の用途に好ましくないからである。また、平均気孔半
径は、0.1〜5.0μmの範囲であることが望まし
い。この理由は、平均気孔半径が0.1μm未満である
と、アンカー効果が不十分となり、5.0μmを越える
と、調理面9での均熱性に悪影響を与えるからである。
【0013】尚、上記の平均気孔半径は、例えば水銀圧
入法により測定される累積気孔容積(cm3 /g)の1
/2に相当する半径値(μm)として決定されるもので
ある。また、開気孔率は、圧力が予め定めた最高圧力
(例えば98MPa)まで到達したときの累積気孔容積
を全気孔容積(cm3 /g)としたとき、(かさ密度)
×(全気孔容積)×100を用いて算出されるものであ
る。
【0014】上記の黒鉛基体2に形成された接合層3
は、1〜50μmの層厚であることが望ましい。この理
由は、層厚が1μm未満であると、黒鉛基体2と中間層
7の界面での接着力が発揮されず、50μmを越える
と、逆に厚すぎて剥離しやすくなるからである。また、
接合層3は、黒鉛基体2の孔隙10に進入する低分子量
のフッ素樹脂からなっている。低分子量のフッ素樹脂
は、高分子量のPTFE( CF3-[CF2-CF2]n -CF3 , n=1
04〜105)をF2 およびNF3 の存在下において400〜
500℃に加熱して主鎖を切断することによって、低分
子量のPTFE( CF3-[CF2-CF2]n -CF3 , n=85 〜150)
としたものである。そして、この低分子量のフッ素樹脂
は、末端までCF3 化されているため、通常の高分子量
のPTFEと同様に熱的および化学的安定性等に優れて
いると共に、低分子量であるため、融点以上で流動性の
ある溶融物になるという性質を有している。
【0015】また、本発明の調理器は、衝撃を吸収する
緩衝部材4が分散されたフッ素樹脂からなる緩衝層5
と、緩衝層5の表面に形成されたフッ素樹脂からなる表
面層6とを接合層3の表面側にさらに有している。そし
て、この構成によれば、緩衝部材4が表面層6に付与さ
れた荷重を吸収するため、表面層6や接合層3等を一層
剥離し難くして破損を防止することができる。
【0016】上記の緩衝層5は、1〜100μmの層厚
であることが望ましい。この理由は、1μm未満である
と、外部からの機械的な衝撃に対する緩衝作用が著しく
低下し、100μmを越えると、中間層7と表面層6と
の間の接着力が低下するからである。一方、表面層6
は、1〜50μmの層厚であることが望ましい。この理
由は、1μm未満であると、緩衝層5の保護作用が著し
く低下するからであり、50μmを越えると、多くのp
ine Tubeが生じる上に食材や油脂分が入り込み
熱サイクルにて炭化し、それが剥離の原因となるからで
ある。
【0017】上記の緩衝層5に含まれる緩衝部材4は、
雲母やアルミ粉等からなっている。また、緩衝部材4が
分散されたフッ素樹脂は、高分子量のフッ素樹脂からな
っている。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチ
レン−バーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合
体(E/TFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン
(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレ
ン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライ
ド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等
のフッ素樹脂からなっている。尚、緩衝層5には、低分
子量のフッ素樹脂が用いられていても良いし、低分子量
のフッ素樹脂と高分子量のフッ素樹脂との混合物が用い
られていても良い。
【0018】また、本発明の調理器は、表面層6が低分
子量および高分子量のフッ素樹脂からなっている。この
構成によれば、緩衝部材4をフッ素樹脂に分散すること
により緩衝層5の表面にピンホールが生じた場合でも、
低分子量および高分子量のフッ素樹脂を加熱して表面層
6を形成するときに、加熱により溶融した低分子量のフ
ッ素樹脂がピンホールに流入することによって、各ピン
ホールを封孔することができる。さらに、このピンホー
ルへのフッ素樹脂の流入によりアンカー効果が生じるこ
とによって、緩衝層5と表面層6との接合力を高めて破
損を防止することができる。
【0019】上記の表面層6には、上述の各種の高分子
量のフッ素樹脂を用いることができるが、PFAのフッ
素樹脂を用いることが望ましい。これは、PFAの機械
的性質(硬さや伸び、引張降伏点、曲げ弾性率等)がP
TFEの機械的性質よりも優れているため、調理中や調
理後に表面層6を洗浄および拭き取りした場合における
表面層6の消耗を最小限に抑制することができるからで
ある。
【0020】また、本発明の調理器は、接合層3と緩衝
層5との間に、緩衝層5に用いたフッ素樹脂と同一種類
のフッ素樹脂からなる中間層7をさらに有している。こ
の構成によれば、中間層7と緩衝層5とが同一種類のフ
ッ素樹脂で形成されているため、緩衝層5中に異物とな
る緩衝部材4が混入されていても、中間層7と緩衝層5
との物性の相違を最小限に抑制できることから、緩衝層
5を剥離し難くして破損を防止することができる。尚、
中間層7は、10〜100μmの層厚であることが望ま
しい。この理由は、10μm未満であると、緩衝層5と
基材との接着力が低下するからであり、100μmを越
えると、緩衝層5と中間層7との接着力が低下するから
である。
【0021】また、本発明の調理器は、接合層3の表面
を凹凸状に形成している。この構成によれば、接合層3
の表面が凹凸状に形成されることにより面積を拡大させ
るため、この接合層3の表面に接合された中間層7との
接合力を高めて破損を防止することができる。尚、接合
層3の表面に緩衝層5が直接形成されている場合でも、
接合層3の表面を凹凸状に形成することによって、接合
面積の拡大により接合層3と緩衝層5との接合力を高め
ることができる。
【0022】また、本発明の調理器は、黒鉛基体2の調
理面9以外の例えば裏面や外周面にセラミック層8をさ
らに有している。この構成によれば、黒鉛基体の調理面
以外の部分をセラミック層8で保護することにより調理
時や保管時における傷の発生による破損を防止すること
ができると共に、空気中で約800℃の加熱にも耐える
調理器とすることができる。上記のセラミック層8は、
1〜200μmの層厚であることが望ましい。この理由
は、1μm未満であると、黒鉛基体2に耐熱性を付与で
きず、200μmを越えると、セラミック層8と黒鉛基
体2の剥離(熱膨張率の差異による)を生じるからであ
る。また、セラミック層8は、SiO2/SiC、Al
2 3 、TiO2 含有Al2 3 等の酸化物をコーティ
ングすることにより形成される。
【0023】尚、本発明の調理器は、形状に特に制限は
なく、例えば家庭用や業務用の加熱板(ホットプレー
ト、焼肉プレート等)、フライパン、すき焼き鍋、天ぷ
ら鍋、フライヤー等として所望する形状に形成すること
ができる。
【0024】
【実施例】本発明を以下の実施例により具体的に説明す
るが、本発明の実施態様は、以下の実施例に限定される
ものではない。
【0025】全気孔容積が7.7〜9.3(cm3
g)、平均気孔半径が1.2〜1.7μm、開気孔率が
15.3%の黒鉛材料と、全気孔容積が5.8〜7.5
(cm 3 /g)、平均気孔半径が1.4〜2.0μm、
開気孔率が12.0%の黒鉛材料とを調整することによ
って、平均気孔半径が1.5μmの黒鉛材料を作成し
た。そして、この黒鉛材料を用いて直径が285mm、
鍋深さが78mmの深鍋形状となるように黒鉛基体2を
形成した。
【0026】次に、黒鉛基体2の調理面9以外の外周面
や底面にSiO2 /SiCからなるダンフォースセラミ
ック(OTTI TECHNOPOLIS INC製)
を用いてセラミック層8を10〜200μmの層厚で形
成した。この後、黒鉛基体2の調理面9に低分子量のP
TFEであるセフラルルーブ−I(セントラル硝子株式
会社製)を用いて接合層3を10〜50μmの層厚で形
成した。この際、接合層3の表面を凹凸状に形成してお
いた。
【0027】次に、接合層3の表面に高分子量のPTF
Eを用いて中間層7を10〜100μmの層厚で形成し
た。さらに、高分子量のPTFE中に雲母を混入させて
分散させた後、このPTFEを用いて中間層7の表面に
緩衝部材4を10〜100μmの層厚で形成した。この
後、高分子量のPTAと低分子量のPTFEとを混合し
たものを用いて緩衝部材4の表面に表面層6を10〜5
0μmの層厚で形成した。そして、このようにして作成
した調理器を用いて実際に調理したところ、表面層6へ
の調理食品1の付着が発生せずに、長期間にわたって接
合層3等の剥離が生じない調理器が得られることが確認
された。
【0028】
【発明の効果】請求項1の発明は、調理食品を加熱して
調理する際に使用される調理器であって、前記調理食品
を保持するように所定形状に形成された多孔質体からな
る黒鉛基体と、前記黒鉛基体の前記調理食品に接触する
調理面側に形成され、該調理面に露出した孔隙に進入す
る低分子量のフッ素樹脂からなる接合層とを有した構成
である。これにより、フッ素樹脂からなる接合層を調理
面側に形成しているため、接合層を形成するフッ素樹脂
の高い非粘着性により調理食品の付着を防止しながら、
調理食品を加熱して調理することができる。また、接合
層を形成する際に、加熱された低分子量のフッ素樹脂が
流動状態となって黒鉛基体の孔隙に進入するため、アン
カー効果により黒鉛基体と接合層との接合力が増大す
る。これにより、調理時の加熱により黒鉛基体と接合層
とに大きな熱膨張差が生じた場合や調理用具等の接触に
より接合層に荷重が付与された場合でも、接合層を黒鉛
基体から剥離し難くして破損を防止することができると
いう効果を奏する。
【0029】請求項2の発明は、請求項1記載の調理器
であって、衝撃を吸収する緩衝部材が分散されたフッ素
樹脂からなる緩衝層と、前記緩衝層の表面に形成された
フッ素樹脂からなる表面層とを前記接合層の表面側にさ
らに有した構成である。これにより、緩衝部材が表面層
に付与された荷重を吸収するため、各層を一層剥離し難
くして破損を防止することができるという効果を奏す
る。
【0030】請求項3の発明は、請求項2記載の調理器
であって、前記表面層は、低分子量および高分子量のフ
ッ素樹脂からなる構成である。これにより、緩衝部材を
フッ素樹脂に分散することにより緩衝層の表面にピンホ
ールが生じた場合でも、低分子量および高分子量のフッ
素樹脂を加熱して表面層を形成するときに、加熱により
溶融した低分子量のフッ素樹脂がピンホールに流入する
ことによって、各ピンホールを封孔することができる。
さらに、このピンホールへのフッ素樹脂の流入によりア
ンカー効果が生じることによって、緩衝層と表面層との
接合力を高めて破損を防止することができるという効果
を奏する。
【0031】請求項4の発明は、請求項2または3記載
の調理器であって、前記接合層と前記緩衝層との間に、
該緩衝層に用いたフッ素樹脂と同一種類のフッ素樹脂か
らなる中間層をさらに有した構成である。これにより、
中間層と緩衝層とが同一種類のフッ素樹脂で形成されて
いるため、緩衝層中に異物となる緩衝部材が混入されて
いても、中間層と緩衝層との物性の相違を最小限に抑制
できることから、緩衝層を剥離し難くして破損を防止す
ることができるという効果を奏する。
【0032】請求項5の発明は、請求項2ないし4のい
ずれか1項に記載の調理器であって、前記接合層の表面
を凹凸状に形成した構成である。これにより、接合層の
表面が凹凸状に形成されることにより面積を拡大させる
ため、この接合層の表面に接合された層との接合力を高
めて破損を防止することができるという効果を奏する。
【0033】請求項6の発明は、調理食品を加熱して調
理する際に使用される調理器であって、前記調理食品を
保持するように所定形状に形成された多孔質体からなる
黒鉛基体と、前記黒鉛基体の前記調理食品に接触する調
理面側に形成され、該調理面に露出した孔隙に進入する
低分子量のフッ素樹脂および高分子量のフッ素樹脂から
なる接合層とを有した構成である。これにより、フッ素
樹脂からなる接合層を調理面側に形成しているため、接
合層を形成するフッ素樹脂の高い非粘着性により調理食
品の付着を防止しながら、調理食品を加熱して調理する
ことができる。また、接合層を形成する際に、加熱され
た低分子量のフッ素樹脂が流動状態となって黒鉛基体の
孔隙に進入するため、アンカー効果により黒鉛基体と接
合層との接合力が増大する。これにより、調理時の加熱
により黒鉛基体と接合層との熱膨張に大きな差が生じた
場合や調理用具等の接触により接合層に荷重が付与され
た場合でも、接合層を黒鉛基体から剥離し難くして破損
を防止することができる。さらに、低分子量のフッ素樹
脂と高分子量のフッ素樹脂との混合であれば、上記のア
ンカー効果を生じさせる低分子量のフッ素樹脂の使用量
を必要最小限に抑制しても、高分子量のフッ素樹脂によ
り所望の性能を所定期間にわたって発揮させることがで
きる。従って、設計仕様を維持しつつ、一般的な高分子
量のフッ素樹脂を含むことによって、コストダウンを図
ることができるという効果を奏する。
【0034】請求項7の発明は、請求項1ないし6のい
ずれか1項に記載の調理器であって、前記黒鉛基体の調
理面以外にセラミック層をさらに有した構成である。こ
れにより、黒鉛基体の調理面以外の部分をセラミック層
で保護することにより調理時や保管時における傷の発生
による破損を防止することができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】調理器を構成する各層の接合状態を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 調理食品 2 多孔質体 3 接合層 4 緩衝部材 5 緩衝層 6 表面層 7 中間層 8 セラミック層 9 調理面 10 孔隙

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 調理食品を加熱して調理する際に使用さ
    れる調理器であって、 前記調理食品を保持するように所定形状に形成された多
    孔質体からなる黒鉛基体と、 前記黒鉛基体の前記調理食品に接触する調理面側に形成
    され、該調理面に露出した孔隙に進入する低分子量のフ
    ッ素樹脂からなる接合層とを有したことを特徴とする調
    理器。
  2. 【請求項2】 衝撃を吸収する緩衝部材が分散されたフ
    ッ素樹脂からなる緩衝層と、 前記緩衝層の表面に形成されたフッ素樹脂からなる表面
    層とを前記接合層の表面側にさらに有したことを特徴と
    する請求項1記載の調理器。
  3. 【請求項3】 前記表面層は、低分子量および高分子量
    のフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項2記載の
    調理器。
  4. 【請求項4】 前記接合層と前記緩衝層との間に、該緩
    衝層に用いたフッ素樹脂と同一種類のフッ素樹脂からな
    る中間層をさらに有したことを特徴とする請求項2また
    は3記載の調理器。
  5. 【請求項5】 前記接合層の表面を凹凸状に形成したこ
    とを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載
    の調理器。
  6. 【請求項6】 調理食品を加熱して調理する際に使用さ
    れる調理器であって、 前記調理食品を保持するように所定形状に形成された多
    孔質体からなる黒鉛基体と、 前記黒鉛基体の前記調理食品に接触する調理面側に形成
    され、該調理面に露出した孔隙に進入する低分子量のフ
    ッ素樹脂および高分子量のフッ素樹脂からなる接合層と
    を有したことを特徴とする調理器。
  7. 【請求項7】 前記黒鉛基体の調理面以外にセラミック
    層をさらに有したことを特徴とする請求項1ないし6の
    いずれか1項に記載の調理器。
JP29434397A 1997-10-27 1997-10-27 調理器 Expired - Lifetime JP3916738B2 (ja)

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