JP4804580B1 - カーボン焼結体の表面改質方法 - Google Patents

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【課題】誘電加熱が可能なカーボン凝結体成形品の表面塗装において、アンカー効果による塗膜密着性の発現に関わる塗料の含浸性向上を、添加剤の付加による表面張力の低減により達成するカーボン焼結体の表面改質方法を提供する。
【解決手段】この発明に係るカーボン焼結体の表面改質方法は、カーボン粉粒が主体の凝結体で成る成形品内面に、下塗り塗料にIPA(イソプロピルアルコール)を添加したものを塗布後に乾燥処理を施した半乾燥状態の下地塗膜上に、熱可塑性フッ素樹脂の粉末を付着させ、これを加熱溶融して表面塗膜層が形成されるものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、カーボン焼結体の表面改質方法に関する。更に詳しくは、カーボンの粉粒を焼結したカーボン焼結体で成る成形品の表面に塗装されるフッ素樹脂などの接着強度の改善方法に関する。
電磁加熱調理は、高周波磁場発生装置である誘導加熱コイルが発生する渦電流が磁性体金属を発熱させるように構成した電磁誘導加熱を利用するものであり、コンロや炊飯器を用いて達成される。しかし、磁性体金属である鉄やステンレスなどが熱伝導率に劣るために、食品を速やかで均一な加熱ができないという欠点があり、これを排除するためにアルミニウムや銅などを積層したクラッド材を用いていた。
クラッド材は、鍋や釜などに絞り加工の後に表面をフッ素樹脂などの耐熱樹脂を塗装する際に積層界面が剥離するなどの不具合があり、黒鉛(カーボン)のブロック状成型物を切削して鍋や釜などの成形品を得た後、調理面である内面にフッ素樹脂が下塗り塗料を介して塗装されて成る誘導加熱調理器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
同様に、棒柱状に加圧して凝縮させた炭素圧縮体の切削加工物フッ素樹脂コートを施す手段が紹介され、高温での調理器具として有効であることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、コークスなどの高炭素含有物粉粒を無酸素状態の1000〜3000℃の加熱によって凝結させたカーボンの焼結体は、適度な導電性と誘電性を有していることから、従来の鉄などに代わって電磁誘導加熱の調理器、例えば炊飯釜などに用いられることが、提案されている。当該調理器は、カーボン焼結体を切削加工によって鍋の形状に加工後、鍋の表面にフッ素樹脂、または鍋の表面にガラス状カーボンを塗布することによって調理物を容易に剥離して洗浄を容易にする機能を付与するなど、種々の塗装を施すことがある(例えば、特許文献3参照)。
しかし、カーボンの原料粉粒を凝結させて成る成形品は、凝結した粒子間の結合部が僅かであるうえに極めて脆いことから、表面層に塗装やシート粘着をした場合のカーボン粒子と表層部分の剥離が、その界面での発生よりも粒子間の凝結が破壊された剥離現象が多く発生する。この結果、十分な接着強度を確保することが困難であった。
つまり、カーボン凝結体を構成するカーボン粉粒同士が接して凝結する部分が破壊されやすく、当該接触部分を補強するために薬液を微小な気孔内に侵入させたり、前記凝結体の表面層を改質した上で塗料などとの接合を行うことによって表面層を覆い隠したりするような処理が必要であった。
例えば、無機物の多孔体表面を改質する手段として、SiCを主成分とする焼成体の表面にSiの融液を含浸することによって緻密化する手段が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
同様に、セラミックス焼成体の表面にイオン注入することによって硬度と耐摩耗性の向上を達成する手段が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
また、電磁誘導加熱のカーボン製底板部材の表面にセラミックスを溶射し、溶射層とカーボンに固着剤をしみ込ませて相互を固着させて表面硬度を上げた調理器具が提案されている(例えば、特許文献6参照)。
特開平9−75211号公報 特開平09−70352号公報 特開平09−75211号公報 特開2003−071555号公報 特開2003−212675号公報 特開平10−229941号公報
しかしながら、これらの手段(上記特許文献4〜6)によれば、凝結体を再度の高温雰囲気下に放置する必要があるので、処理に要する手間が多いことから作業の効率に劣ること、特殊な雰囲気下を形成して最表面の極めて薄い部分の改質に止まるので、極めて不十分な改善にしか成り得ない、という課題を有する。
つまり、カーボン凝結体は高温で酸化分解を生じ易いので低温で改質処理を行うことが必須であり、凝結体が備える粒子同士を結合して形成された鍋状容器の内部と外部を連通する微小な気孔に侵入した薬液を高温で処理することは、前記凝結体に過度な膨張に伴う欠陥を生じさせて強度低下を招くこともある。
また、この手段を応用しても凝結体を高温などの特定雰囲気に保持して処理する必要からカーボン凝結体が熱による分解や加熱時の不均一な膨張に伴ってカーボン粉粒の凝結に伴う接合部などが破壊されるなど、強度の低下が懸念された。さらに、添加物の組成比を向上させて強度の改善を図る施策は、カーボン凝結体の抵抗値が過度に大きくなる傾向を備え、電磁誘導加熱による効率的な発熱を阻害するという課題を有する。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、誘電加熱が可能なカーボン凝結体成形品の表面塗装において、アンカー効果による塗膜密着性の発現に関わる塗料の含浸性向上を、添加剤の付加による表面張力の低減により達成するカーボン焼結体の表面改質方法を提供する。
この発明に係るカーボン焼結体の表面改質方法は、カーボン粉粒が主体の凝結体で成る成形品内面に、下塗り塗料にIPA(イソプロピルアルコール)を添加したものを用い、これの塗布後に乾燥処理を施した半乾燥状態の下地塗膜上に、熱可塑性フッ素樹脂の粉末を付着させ、これを加熱溶融して表面塗膜層が形成されるものである。
この発明に係るカーボン焼結体の表面改質方法は、カーボン粉粒が主体の凝結体で成る成形品内面に、下塗り塗料にIPAを添加したものを塗布後に乾燥処理を施した半乾燥状態の下地塗膜上に、熱可塑性フッ素樹脂の粉末を付着させ、これを加熱溶融して表面塗膜層が形成されるので、調理時の負荷に耐えうる十分な塗膜密着性が得られるアンカー効果を確保し、優れた塗膜密着性を得ることができる。
実施の形態1を示す図で、カーボン製の鍋の製造工程を示す。 実施の形態1を示す図で、調理面に相当する内面へのフッ素樹脂の塗装工程図。 実施の形態1を示す図で、鍋状成形品内面におけるフッ素樹脂塗膜の密着性の試験結果を示す図。
実施の形態1.(鍋状調理器の製造)
本実施の形態は、カーボン凝結体の塗膜密着性向上(内面塗料の含浸性向上改質方法)に関するもので、誘電加熱が可能なカーボン凝結体成形品の表面塗装において、アンカー効果による塗膜密着性の発現に関わる塗料の含浸性向上を、添加剤の付加による表面張力の低減により達成する。
誘電加熱が可能な炭釜などの調理器具は、黒鉛粉粒を炭素が高濃度で含有される熱硬化性樹脂のフェノール樹脂の未反応物との複合体である成形材料が任意形状を備える金型内で加圧・加熱して硬化させて得た成形品を、無酸素の高温雰囲気で焼成処理して得たカーボン凝結体である。
カーボン凝結体から成る調理器具は、内面にフッ素系樹脂の水分散液を用いて具材との密着を防止する加工を施して成るが、前記水分散液の分散剤である界面活性剤のみでは充分な親和性が得られず、凝結体が備える気孔内部に含浸してアンカー効果を確保することが困難、という課題がある。この結果、フッ素系樹脂塗膜が長期使用時に受ける繰り返し負荷に耐えうることが困難で、剥離を来しやすいという課題があった。
本発明は、黒鉛粉粒を高濃度で含有する熱硬化性樹脂炭化物の複合体から成る凝結体の成形品が備える気孔に、熱可塑性フッ素系樹脂水分散液に改質剤を添加して含浸性を向上させ、塗膜密着性の改善する手段である。
磁性金属を含んで異種金属を積層した調理器の内面に用いるフッ素系樹脂塗料のうち、下地を形成する塗料に水溶性アルコール系溶媒を1%以下添加して均一混合したものを、従来の塗装方法でカーボン凝結体から成る調理器内面に塗布後、100〜150℃の加熱炉で乾燥して半乾燥状態とした後、フッ素樹脂系粉体塗料を粉体塗装した後、400℃の高温で溶融して塗膜を形成することになる。
成形品の内面には、PES(ポリエーテルスルフォン)の水分散液に、最表面の塗装に供するフッ素樹脂と同じ20vol%のPFA(パーフルオロアルコキシアルカン;テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)微粉末を分散した下地塗料に対し、微量(%以下)の水溶性アルコール系溶媒であるIPA(イソプロピルアルコール)を添加して均一混合したものを吹き付けた後、加温して半乾燥状態のプライマー層を形成した。次に、最表面を形成するフッ素樹脂であるPFAの微粉末を吹き付けた後、380℃の高温雰囲気で基材側から徐々に溶融することにより、均一厚さの塗膜を形成した。
即ち、カーボン凝結体を高温で熱処理しない表面層部分の改質には、凝結体が備える微細気孔に液状樹脂を含浸して得た樹脂塗膜を下地材として被覆する。この結果、カーボン凝結体の酸化分解を抑制し、粒子同士が接して凝結して形成された気孔内に浸透し、前記粒子表面を覆って保護するので、表面層にフッ素樹脂を塗装しても容易に剥離しなくなる。
このため、電磁誘導加熱器として調理具材が付着するのを防止するフッ素樹脂を凝結体表面に接着させるには、下地材として用いた上記樹脂がカーボン凝結体とフッ素樹脂の何れにも接着性を醸し出す組成を有し、併せて、高い耐熱性と優れた溶融時の流動性を備えるPESが好適であり、塗装乾燥工程の無溶媒化に伴う安全性を確保するうえで、水分散液(エマルジョン)を用いることが好ましい。
しかし、界面活性剤よって分散させたエマルジョン状態とする水分散液は表面張力が高い状態にあることから、カーボン凝結体との親和性に劣り、塗布によって充分な含浸性を確保するのが困難である。このため、本実施の形態は、表面張力を低下させて親和性を向上させるためにIPAの少量を添加して改善することを特徴とする。
また、該下地材には、カーボン凝結体が備える微細な気孔よりも小さい微粒子としたPESを水に分散させて用い、その中にPFAを混合した。これによって、表面を形成するPFAとの接合を強固にできる。
水溶性のアルコール系溶媒を熱可塑性樹脂の水分散液に添加したことにより、前記水分散液が含む界面活性剤のみでは成し得ないカーボン凝結体との親和性を向上させ、凝結体が具備する気孔内への高い含浸性を備えて、熱可塑性樹脂のフッ素系樹脂を分散させた下地材の侵入を容易に行うことができる。最表面のフッ素樹脂系塗膜と接合して一体化する下地塗膜には、高温域で低い体膨張係数を呈するPESの使用により、アンカー効果として凝結体への保持力が確保できるほか、調理器具として高温劣化の抑制と各種薬品への耐性に優れた熱溶融するPFAを備えた表面層によって耐熱性と非粘着性を兼ね備えた強固な塗膜が確保できた。
PES(ポリエーテルスルフォン)の特徴は、高温域での高い剛性と低い寸法変化率が維持/安定していて、HDTが200〜210℃、UL温度インデックスが180℃である点にある。
PFA(パーフルオロアルコキシアルカン;テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)の特徴は、高い非粘着性と低摩擦係数を備え、溶融成形できる熱可塑性樹脂としての特性も兼備えている点にある。
PFAの構造は、パーフルオロアルコキシアルカン(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)で、四フッ化エチレン(C)とパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体を指す。
電磁誘導加熱調理器の加熱コイルからの誘導電流を受けて発熱する電磁誘導加熱調理器具である鍋が、黒鉛をカーボン材で接合したカーボン凝結体の成形品であって、これに下地材である液状樹脂を含浸した後、調理面に相当する内面にフッ素樹脂の表面塗膜を形成に際し、優れた塗膜密着性を得るための表面改質方法を、図1に示す製造工程に基づき、以下に詳述する。図1は実施の形態1を示す図で、カーボン製の鍋の製造工程を示す図である。
コークス粉砕物の高温(3000℃)の無酸素雰囲気で焼成処理して得た黒鉛凝結体を300μm以下に粉砕した黒鉛粉粒物とフェノール樹脂とを混合した成形材料を、射出成形やトランスファ成形などの加熱・加圧成形によって調理鍋の成形品を得る。このときに用いるフェノール樹脂は、硬化に伴う複生成物である水蒸気や未反応の低分子物質などの発生量が少ないノボラック型が好ましい。
得られた成形品は、無酸素状態の雰囲気下に放置してフェノール樹脂を焼成処理して炭化させ、調理鍋のカーボン凝結体成形品を得る。このとき、フェノールの分解生成物が当該成形品から放散せずに内部に滞留して局部的に膨れるのを防止するため、温度上昇を段階的に行うことが肝要で、フェノール樹脂の分解が活発になって急激な重量減少を来す350℃と500℃、800℃近傍は緩い温度上昇または保持を行う。具体的には、300℃迄を0.5℃/minで速く昇温後、350℃に1℃/hrの緩い昇温で到達後に5時間の保持をした。さらに、450℃迄を5℃/hr、500℃迄を1℃/hrで到達後に5時間の保持、750℃迄を5℃/hr、800℃迄を2℃/hrで到達させた後に3時間の保持した後、0.5℃/minで1200℃に到達させて2時間の保持を行った。また、冷却については、0.5℃/minで室温近傍まで冷却した。
黒鉛粉粒物を炭素の含有率が高いフェノール樹脂と混合した成形材料を、金型内で賦型するための加圧と前記成形材料を硬化するための加熱を行う成形によって任意形状の成形品を得ることができた。これを無酸素状態で焼結処理を行ったことにより、得られたカーボン凝結体の成形品の密度が1.7g/cmの緻密な態様を備えてなる。
次に、得られたカーボン凝結体から成る調理鍋は耐摩耗性に劣るので、鍋表面を調理時における摩耗から保護するため、外面には耐熱性に優れるシリコン樹脂を溶剤で希釈した塗料を塗布し、これを150℃で乾燥と硬化を行うことにより、20〜100μm程度の塗膜を形成した。
次に、調理面である内面に、調理具材の密着を抑制するフッ素樹脂塗膜を形成する。図2は実施の形態1を示す図で、調理面に相当する内面へのフッ素樹脂の塗装工程図である。図2の塗装工程を用い、以下に詳述する。下地材は、PES(ポリエーテルスルフォン)微粒子に、最表面に塗装するフッ素樹脂と同じPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)の微粒子を20vol%添加し、PH調整をしながらポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン系、両性イオン系、アニオン系、カチオン系の各界面活性剤の何れかを用い前記各微粒子が安定して分散したエマルジョン水溶液を用いている。
この下地材をスプレーで吹き付けた後、120℃で10分間の乾燥処理を行い、約20μmの厚さの塗膜を形成した。乾燥処理は、完全に水分を除去させずに湿潤状態を保持することにより、最表層のフッ素樹脂PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)との接合を容易とする下地層を形成する。
しかし、該成形品が誘電加熱による調理を行ううえで必要な強度と電気伝導率を兼ね備える特性を得るため、用いる黒鉛粉粒は300μm以下の微細粉を用いたので、成形品表面の気孔は極めて微細で、概略0.2〜1.0μmの大きさで構成されて成る。従って、界面活性剤の存在下でPESとPFAを混合した水分散液はカーボン凝結体との親和性が不足し、用いた界面活性剤のみで該成形品が備える前記微細気孔に充分な含浸を行うには不十分で、塗膜が充分な密着性を確保しうるために必要なアンカー効果を得ることができない。
このため、カーボン凝結体との親和性に優れる溶媒としてアルコール類がある。PESとPFAが界面活性剤を用いて水との分散状態を維持するうえで水溶性を有し、安定した蒸散による保水性を確保する水との共沸混合物を成すことが必須であり、本実施の形態ではIPA(イソプロピルアルコール)の1〜5%の微量を添加して使用した。
湿潤状態にある下地層に対し、フッ素樹脂であるPFAの微粉末を、好ましくは15〜50μmの厚さを成すように適量を吹付けて保持後、380℃の雰囲気中に投入して外面から加温する。この結果、成形品の壁面が優先して微粉末の溶融が徐々に行われ、内部に気泡が残留しない態様を備えて時間が10〜20分間で最表面まで溶融し、欠陥のない塗膜が形成される。
また、下地材は、主成分であるPESが殆どの調理温度範囲に耐える、優れた耐熱性を備えて高温での連続使用が可能で、クリープ特性と弾性率の維持と急激な温度変化での亀裂発生や性状変化に対する耐性に優れる。また、これに20vol%のPFA微粉末の添加によって表面に露出するので、最表層を成すPFA微粉末から成る塗膜との密着性を向上させる効果が得られる。
以上の鍋状成型物の内部面における表層部分の改質は、下地材がカーボン凝結体成形品の表面が備える微細な気孔への含浸が充分に行われ、フッ素樹脂の塗装が剥離し難い状態を得た。IPAの添加に関する有効性は、以下の方法によって確認した。
つまり、塗装面の剥離は、基材であるカーボン材表面に至らないように塗装面に1mm幅のマス目に切り込みを入れた状態で粘着テープをフッ素樹脂塗膜表面に固定後、端部を90度上方に瞬時に引き上げて引き剥がす動作を10回、繰り返す。その際に、剥離しないで残存するマス目の数を計測し、塗膜面の基材に対する塗膜密着性として評価した。
図3は実施の形態1を示す図で、鍋状成形品内面におけるフッ素樹脂塗膜の密着性の試験結果を示す図である。図3に示す如く、IPAを添加しない下地材を用いた塗膜がカーボン凝結体の表面から半数以上が剥離したのに対し、本実施の形態による塗膜は成形品基材からの剥離を確認するに至らなかった。塗膜剥離は、下地材を成すPESとPFAの混合物が界面活性剤を用いて均一分散する水分散液に微量のIPAを添加して、カーボン凝結体との親和性が向上して、成形品が表面に備える気孔への侵入を容易とした下地材を塗布して用いるPFA塗膜は、IPAを混入しない下地材を用いた場合と比べて、有意に密着性が優れていることを確認した。
ここで、鍋状成型物の内面に塗布する下地材に分散させPESの粒径はカーボン材が備える気孔径(0.5μm)よりも有意に小さい0.2μmのものを用いたが、気孔径と同等の2μmの微粉末を下地材に用いた塗膜の密着性を図3に併記した。その結果、比較例の塗膜は、カーボン凝結体から容易に剥離し、下地材とするPESおよびPFAの微粉末が成形品表面にある気孔内に侵入しうる態様の確保が肝要であることを確認した。
また、過度なIPAの添加は、PESとPFAの微粉末の安定した分散状態を阻害して凝集し易くなり、コロイドを形成して、保存安定性が欠如する。この水分散状態の下地材を塗布した場合、得られたPFA塗膜は、正常な分散状態を成す下地材を用いた場合と比べて有意に密着性が劣り、気孔内へのPES微粉末の侵入を阻害することを確認した。
以上のことから、PESは高温での優れた寸法変化と耐熱水性と耐油性を備えるので、調理器具として好適な特性を備える反面、明確な融点を呈さずに無加圧状態の高温で流動しないので、溶融状態で気孔内に存在しない場合にはアンカー効果が不十分となり、塗膜密着性が劣る結果となった。従って、下地材にはPESの微粉末が気孔内に容易に侵入する微細粒子を用いた分散液であり、均質な分散状態を具備した態様を維持して成る下地材を用いる必要がある。
なお、ここでは耐熱性樹脂の微粉末としてPESを用いたが、調理器具が受ける最高温度以上の融点を備えるものであれば上述の樹脂にこだわる必要はなく、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PSU(ポリスルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの耐熱性を有する熱可塑性樹脂を用いてもよい。

Claims (7)

  1. カーボン粉粒が主体の凝結体で成る成形品内面に、前記成形品内面の下地を形成する下塗り塗料に前記下塗り塗料の表面張力を低下させるためのIPA(イソプロピルアルコール)を添加したものを塗布後に乾燥処理を施した半乾燥状態の下地塗膜上に、熱可塑性フッ素樹脂の粉末を付着させ、これを加熱溶融して表面塗膜層が形成されることを特徴とするカーボン焼結体の表面改質方法。
  2. 前記IPAの添加量が、0.2%以上であることを特徴とする請求項1に記載のカーボン焼結体の表面改質方法。
  3. 前記下塗り塗料が、耐熱性の熱可塑性樹脂微細粒子の水分散液であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカーボン焼結体の表面改質方法。
  4. 前記耐熱性の熱可塑性樹脂の微粉末が、前記凝結体の気孔より小さいことを特徴とする請求項3に記載のカーボン焼結体の表面改質方法。
  5. 前記下塗り塗料が、最表面を形成する塗膜組成である熱可塑性フッ素樹脂と同様成分のフッ素樹脂の微粉末を含んで成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のカーボン焼結体の表面改質方法。
  6. 前記耐熱性樹脂が、PES(ポリエーテルスルフォン)、フッ素樹脂がPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のカーボン焼結体の表面改質方法。
  7. 前記PES(ポリエーテルスルフォン)が、20vol%のPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)微粉末を分散して成ることを特徴とする請求項6に記載のカーボン焼結体の表面改質方法。
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