JP5084763B2 - 圧縮成形品の製造方法及びカーボン凝結体成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁誘導加熱が可能な炊飯器の内釜などの調理器具の成形方法に関するもので、更に詳しくは射出または圧縮成形を行う際の成形用金型からカーボン粉粒が主体の成形品を容易に脱型するカーボン凝結成形品の脱型方法及びカーボン凝結成形品に関する。
電磁誘導加熱調理器であるコンロや炊飯器は、高周波磁場発生装置である誘導加熱コイルが発生する渦電流によって磁性体金属である鉄やステンレスなどが発熱する電磁誘導加熱を調理器として利用したものであり、食品の速やかで均一加熱を達成するためにアルミニウムや銅などを積層したクラッド材を鍋状の成形品を調理器として用いていた。しかし、クラッド材は鍋や釜などに絞り加工するものであり、形状の自由度に制限を伴い、さらに平滑な表面を備えることから、フッ素樹脂などの耐熱樹脂塗膜との接着面が剥離し易いという不具合もあった。
このため、従来の鉄やステンレスなどに代わる電磁誘導加熱調理器の素材として、優れた導電性と誘電性と優れた熱伝導度を有しているカーボン凝結体の使用が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、棒柱状に加圧して凝縮させたカーボン圧縮体の切削加工物が提案されており、カーボン素材が高温での調理器具として有効であることが述べられている(例えば、特許文献2参照)。
上述の調理器具の製造方法によれば、コークスなどのカーボン粉粒にフェノールやピッチなどの高炭素含有物である結合材を主体とする混合物を成形し、これを無酸素雰囲気下の1000〜3000℃で加熱してカーボン凝結体を得た後、任意の形状に切削加工するものである。しかし、カーボン焼結体を切削加工して任意の形状に加工することは、切削の大半を占める容器の凹状を成す中空部分にある素材の廃棄が多く、加工工数も大きい、という課題があった。また、カーボン圧縮体に内在する気孔などの欠陥を事前に検知することが困難で、切削によって露出して意匠および強度などの諸特性に悪影響を及ぼすことになる。
これらの課題を解決する手段として、カーボン粉粒とフェノール樹脂の原料液やタールピッチなどの結合材との混合物である成形材料を金型内に注入して加圧して賦型した後、得られた成形品を焼成処理することにより、鍋状に成形されたカーボン凝結体を得る手段が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
上述の鍋状成形品製造方法は、コークス等のカーボンを多く含む粒子を高温で焼結させたカーボン凝結体を任意形状に切削後、調理面にフッ素樹脂などの塗装を施して「電磁誘導加熱調理器」として用いるものである。しかし、カーボン凝結体ブロックの切削加工は、調理部分を凹状に切削するため、素材の廃棄量が多く、同様に加工工数も大きいという課題があった。
特開平9−75211号公報 特開平9−70352号公報 特開2007−044257号公報
上記特許文献3の方法によれば、成形品の壁面を成す金型内を成形材料が充填する挙動において高い流動性を醸し出すことが必須であり、均質な各種特性を確保するうえで液状を呈する結合材を多く混合する必要がある。しかし、結合材であるフェノール樹脂などの炭素を多く含有する熱硬化性樹脂は、金型内での硬化に伴う収縮によって金型との嵌合を強くして成形品の脱型が困難になる傾向を有する。
特に、薄肉で深い形状を備える釜や鍋の成形品を安定して成形するには熱硬化性樹脂の混合量を多くして金型の表面における剪断力を小さくすることが有効となる。しかし、反面、硬化収縮量の増大に伴う金型への嵌合力が増大するので、金型から脱型する際の抵抗が最も大きい側壁の面積が大きいことも起因して、一層の引抜き力を必要とする、という課題が生じる。
また、カーボン粉粒の結合材である熱硬化性樹脂の混合量の増加は、成形品が過度に緻密となって、この後の無酸素雰囲気下での高温焼成処理によって樹脂の炭化により、電磁誘導加熱を可能としたカーボン凝結体成形品と成す工程において、樹脂の分解ガスの排出を円滑に行うことができず、表面層を引き剥がすような亀裂を発生させることもあった。
さらに、金型内での流動に伴って、成形品の表面層は熱硬化性樹脂の含有量が過度に多いことから、焼成後のカーボン凝結体に生成する気孔の量と大きさが抑制され、調理に供する具材の密着防止に供するフッ素樹脂や摩耗や衝突などによる損傷を抑制するシリコーン樹脂の塗装を施した場合、塗料の含浸不足に伴うアンカー効果縮減と基材そのものの強度不足から、塗膜の密着性が低下することになる。
さらに、結合材である熱硬化性樹脂の混合量が多い場合は、金型内における成形が容易となる反面、脱型困難を助長させるうえ、表面層の樹脂含有が過多となって、炭化に伴う分解ガスの滞留を促して、フクレが発生する、という課題を来すことになる。
つまり、上記不具合解消には、結合材である熱硬化性樹脂の混合量を少なくすることが有効となるが、流動性の低下を余儀なくされることから、相互の特性を一義に向上させることが困難であった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、成形品の金型への嵌合力を抑制して脱型時の応力も小さくなり、ノックアウトピンなどによる局部的な応力負荷を軽減して成形品のクラック発生などの不具合を軽減することができるカーボン凝結体成形品の脱型方法及びカーボン凝結体成形品を提供する。
この発明に係るカーボン凝結体成形品の脱型方法は、加温状態の金型面に非硬化性高炭素含有化合物の薄膜を保持させた状態で、カーボン粉粒と熱硬化性高炭素含有化合物である結合材を主体とする混合物を投入して加圧して保持した後、固化したカーボン凝結体成形物の前駆体である成形品を脱型するものである。
この発明に係るカーボン凝結体成形品の脱型方法は、金型における非硬化性高炭素含有物の塗膜形成は、射出または圧縮成形による成形材料の流動性向上に有効に作用するので、成形品の金型への嵌合力を抑制して脱型時の応力も小さくなり、ノックアウトピンなどによる局部的な応力負荷を軽減して成形品のクラック発生などの不具合を軽減することが出来る。
実施の形態2を示す図で、カーボン凝結体成形品の表面塗装の塗膜密着性を評価した結果を示す図。
実施の形態1.
先ず、本実施の形態の概要を説明する。本実施の形態は、基材のカーボン粉粒と結合材のフェノール樹脂など高炭素含有化合物の混合物を無酸素雰囲気で焼成処理して得る電磁誘導加熱が可能なカーボン凝結体成形品に関し、その前駆体である圧縮成形品の成形後に金型から容易に脱型するカーボン凝結成形品の脱型方法に関する。
原料の黒鉛粉粒と結合材との混合物を加温した金型に投入した圧縮成形において、内面に大きな抜き勾配を設けることが困難な炊飯釜の場合、成形品の硬化収縮に伴って金型面との嵌合が強くなって金型から取り外し難いという課題が生じる。
また、結合材のフェノール樹脂が硬化してカーボン粉粒と強固に複合化した成形品の金型脱型時の強度が十分に発現されておらず、金型開放時に受ける引張応力に加え、フェノール樹脂の硬化における縮合反応時に生成して成形品内に残留する水蒸気などのガスが急激に膨張して成形品内部に発生した亀裂に集中して、一層大きな亀裂に成長して、視認できるフクレを発生させることがあった。
本実施の形態は、金型表面に高炭素含有有機物の溶融体を塗布して圧縮成形に供することによって、金型面に薄膜を成す溶融体を成形品に転写して脱型を容易にする効果を生む。従って、下記のカーボン凝結体成形品製造方法のうち、(1)が本実施の形態の要点となる。
(1)成形温度である約150℃に加温した圧縮成形用金型にタールまたはピッチが主体の脱型補助剤を塗布する;
(2)下型内に原料混合物を投入して上型を閉塞して成形、釜形状に賦型する;
(3)金型を開放、成型品を取り出す;
(4)圧縮成形した釜を無酸素状態雰囲気下で約1200℃まで段階的に昇温して有機物を分解、飛散させる。
充填性を付与するための成形材料に加えるフェノール樹脂などの結合材は、成形品の硬化収縮が大きくなり、炊飯釜のような薄肉で深い形状の成形品を得る金型に固着する傾向を促すため、脱型応力をノックアウトピンなどの局部に集中して成形品に亀裂を伴う変形などの欠陥を発生することがあった。この亀裂には、後硬化の加熱やフェノール樹脂などの結合材を炭化する焼成処理において、分解物や未反応物などのガスが集中し易く、前記欠陥部分に集中して膨張、フクレの発生原因となっていた。
本実施の形態によれば、金型に塗布したタールおよびピッチなどの非硬化性の熱溶融物の一部が成形品内に含浸して金型との密接を解消するように流動して、硬化に伴う成形品の寸法収縮に伴う金型への嵌合力を緩和するので、金型との嵌合力を軽減させるように作用する。
また、一部は金型表面に薄膜を形成して成形品の脱型に要する応力を軽減して上述の欠陥発生を抑制し、それに伴うフクレなどの不具合を軽減することになる。
また、金型と接して形成された成形品表面にある気孔の生成を促すことによって、焼成処理段階で発生する結合材の分解ガスなどの滞留を防止し、亀裂やフクレの発生を抑止できた。
また、塗料のアンカー効果不足とともに表面層部分の強度改善に起因した塗膜密着性の低下も、抑止することができた。
本実施の形態は、タールおよびピッチなどの非硬化性の高炭素含有有機物を金型表面に塗布して溶融物の薄膜を形成、この状態で圧縮成形を行うことにより、金型面を成す溶融体が成形品に転写して脱型時に成形品にかかる応力を低減して壁内の亀裂発生を抑止するものである。以下に、本実施の形態の内容を詳述する。
鍋状の成形品を成す成形材料は、石油コークスを約3000℃の無酸素状態で焼成してグラファイト化したものを0.3mm以下に粉砕して基材とするカーボン粉粒と、成形温度の約165℃で溶融状態を呈する結合材として用いるレゾール型のフェノール樹脂と、を混練したものである。
一方、脱型を容易とする非硬化性高炭素含有化合物には、易分解性繊維(易分解性の有機繊維)として用いる籾殻(種子殻でもよい)に強い剪断力を付加して平均粒径が10μm以下まで粉砕して石油ピッチに混合し、室温で軟質状態の固形を呈する脱型補助剤を165℃に加温した金型に塗布した。
塗布膜厚は50〜200μmを確保し、少なくとも、圧縮成形に供する間に塗膜形状を維持して流下しないチクソ性を呈することが肝要であり、溶融時の流動性を籾殻微粉砕物の配合量で適度な粘度を呈するようにこれを調整する。
このとき、焼成後のカーボン凝結体表面に適度な量の気孔が生成して、成形品の表面塗装の際に塗料のアンカーとして作用するので、好ましくは55〜65%の配合量とすれば、塗膜密着性の向上効果が得られる。
次に、約165℃に加温して圧縮成形に供する金型の下型に成形材料を投入して上型を閉塞し、任意時間の加圧を継続して鍋形状に賦型した。成形材料の投入量は、最終充填位置となる成形品開口部外周にあるパーティングからは10MPaの負荷条件によって、僅かに成形材料が流出する程度に調整することが好ましい。
しかしながら、金型温度の影響を受ける硬化の進行に応じ、成形品の表面に比較して内層部分の強度の発現が遅延する傾向にあるため、金型の開放時に係る応力によって亀裂の発生することがある。発生した亀裂は、後の焼成処理段階で発生したフェノール樹脂の分解ガスが亀裂に集中して亀裂を拡大させるとともに、フクレが発生するので、好ましくない。
このため、金型内に投入した成形材料が釜の側面に沿って流動した後、鍋状の成型品の外周部分に到達するとき、金型のパーティング面のキャビティ外周に排気と流出した成形材料を溜める溝を設けることにより、金型閉塞後の圧縮に伴って金型内に残留する空気の圧力上昇がもたらす成形材料の流動性低下を来すこと無く充填を完了することができる。また、金型を閉塞して数秒の経過後に金型を瞬時に一時開放することによって、フェノール樹脂の硬化反応で生成する水蒸気や未反応成分などのガス排出を促し、金型内に滞留することに起因する成形品の変形防止に効果を呈する。
成形材料の硬化に伴う収縮によって、成形品と金型の嵌合が強くなるが、本実施の形態に基づいて、金型に塗布した軟質固形物が溶融した薄膜の一部が成形品に含浸、金型との密接を抑止するので、成形品の硬化収縮に伴う金型への嵌合力を軽減するように作用することになる。
この結果、硬化反応が完了した段階で金型を開放して成形品を取り出す際に、該脱型に要する応力を軽減して成形品の亀裂発生を抑制する効果を生む。
得られた成形品は電磁誘導加熱を可能とするため、窒素雰囲気の電気炉内で加熱して結合材を炭素化する。成形品は、壁内の残存ガスの膨張や内部応力の解放による膨張挙動と、分解生成物の放散に伴う収縮挙動によってクラックなどが発生しないように段階的な温度上昇の制御を行うことが好ましい。
本実施の形態では、300℃まで3〜5℃/hr、600℃まで1〜3℃/hr、1200℃まで5〜10℃/hrの昇温速度で焼成し、冷却も5〜10℃/hrで行った。
得られたカーボン粉粒の凝結体成形品のうち、軟質固形物を塗布しない金型を用いた場合の成形品の側壁には脱型時に金型との間で生じる擦れ痕があり、特に、側壁下部の壁内は亀裂に起因したフクレの発生が認められた。これに対し、本実施の形態による成形品には前記不具合が一切、認められなかった。
以上のカーボン凝結体から成る鍋状の成形品には、内面の調理面にフッ素樹脂の塗装を行い、また、外面には耐摩耗性と耐熱性に優れるシリコン樹脂を塗布した。これらの表面塗装には、前記気孔内への塗料の含浸に伴うアンカー効果によって強く固着される。
特に、易分解性有機繊維として含有した籾殻は、焼成処理段階で分解する際に分解生成物の飛散痕である気孔を生成するので、その後の成形材料の結合材であるフェノール樹脂や石油ピッチなどの有機成分の分解生成物の放散を阻害しない効果を備える。また、前記分解生成物であるCOなどと籾殻が含むSiOとが反応して強靱なSiCを形成するので、成形品表面の硬度が向上する効果を生む。このため、電磁調理器が調理時に受ける摩耗や摩擦などによる損傷抑止効果とともに、基材の凝集破壊の軽減に伴う塗膜密着性も向上できる。
実施の形態2.
本実施の形態は、高炭素含有有機物であるタールを、パルプ繊維を抄造した不織紙の片面から含浸したシート状物質の非含浸面を金型面に接して載置した状態で成形を行い、脱型時に成形品にかかる引張り応力を低減して壁内の亀裂発生を抑止するものである。以下に、本実施の形態の内容を詳述する。
鍋状の成形品を成す成形材料は、石油コークスを約3000℃の無酸素状態で焼成してグラファイト化したものを0.3mm以下に粉砕して基材とするカーボン粉粒と、成形温度の165℃で溶融状態を呈する結合材として用いるレゾール型のフェノール樹脂と、を押出機に投入して混練したものである。
シート状物質は、籾殻を強い剪断力で粉砕して50μm以下に分級した易分解性有機繊維と、トルエンなどの溶剤で任意に希釈したタールとの混合物を、1〜10mmの繊維長を有するパルプ繊維を水に分散したスラリー液を抄きあげた後に加圧するなどして密な状態の不織紙を作製した。籾殻の繊維とタールの混合物は、前記不織布の片面のみから含浸させた後、60℃程度の温風下で乾燥させたシート状物質を作製する。
易分解性有機繊維は、籾殻を粉砕して得た微粉末とタールまたはピッチとを混合して成るものである。
上記混合物は粘調な流動性を備えるように溶剤を加えて調整し、不織紙の片面から加温しながら刷毛などで塗布する。このとき、不織紙の非含浸面に含浸した混合物が不織紙の繊維間を透過して触指によって過度に濡れない程度に止めるのが肝要である。不織紙に塗布した混合物は、含浸の際に易分解性繊維を透過すること無しに表面に保持して、乾燥後にタールが結合材として作用するので、柔軟な特性を保持して成る。
上記シート状物質は、150℃に加温した金型の成形品下面部に相当する下金型の底部に非含浸面が当接するように載置し、前記シート状物質に成形材料を載置した後、上型を閉塞して加圧、成形材料の硬化が完了する任意時間に渡って保持する。成形材料は釜側面に沿って流動後、成形品の開口部分に到達する。
しかしながら、金型温度が硬化の進行に影響を及ぼし、金型と当接する成形品表面に比較して内層部分の強度の発現が遅延傾向にあるため、金型の開放時に係る応力による亀裂発生の可能性があるので、十分な硬化時間を確保することが好ましい。発生した亀裂は、後段の焼成処理段階で発生したフェノール樹脂の分解ガスが集中してフクレが発生するので、好ましくない。
金型内面に載置したシート状物質が含むタールと籾殻繊維の混合物が、加温した金型との接触によって流動性を備え、加圧時に一部が成形品に含浸して金型面への透過を抑制するとともに、シート状物質が成形材料と金型との密接を抑止する作用を発現する。この結果、硬化完了段階で金型を開放して成形品を取り出す際に、脱型時に成形品が受ける引張り応力を軽減して成形品の亀裂発生を抑制する効果を生む。
次に、得られた成形品が電磁誘導加熱を可能とするよう、窒素雰囲気の高温で焼成処理を行うことによって結合材であるフェノール樹脂を炭化する。成形品は、壁内に分解ガスの残留や内部応力の解放に伴う膨張挙動、さらに分解生成物の放散に伴う収縮挙動が段階的に発生するので、これに伴うガスの発生量が過度に多くならないように平準化して、クラックの発生を抑止する必要がある。このため、焼成処理には段階的な温度上昇を行い、300℃まで3〜5℃/hr、600℃まで1〜3℃/hr、1200℃まで5〜10℃/hr の昇温速度で焼成し、冷却も5〜10℃/hrで行った。
得られたカーボン粉粒の凝結体である成形品は、シート状物質を金型底面に載置しない場合に、脱型時に金型との間で生じる擦れ痕が側面に観察でき、底面外周部近辺における壁面内層部分における亀裂に起因したフクレの発生が認められたのに対し、本実施の形態による成形品には、前記不具合が一切、認められなかった。
さらに、シート状物質を金型底面に載置して成形した成形品を焼成処理したカーボン凝結体成形品には、成形品が含むフェノール樹脂の分解に先行してパルプ繊維、および籾殻繊維の分解が先行して微細で多くの気孔を備えるので、その後に発生する多量の分解ガスの放散を容易に行うことができる。
得られたカーボン凝結体成形品の表面は、シート状物質にタールなどの溶融物が不均一な含浸状態を反映して平滑性を損なっている。また、最表面にはパルプ繊維の残存痕である密度の低い部分、シート状物質に含浸した籾殻起源のSiCを含まないタール過多で不均質な層があり、ブラスト処理などを行って安定した特性を備えた平滑面を確保することが好ましい。
以上のカーボン凝結体から成る鍋状の成形品には、内面の調理面には調理具材の密着を防止するフッ素樹脂の塗装を行い、また、外面には耐摩耗性と耐熱性に優れるシリコーン樹脂を塗布した。この表面塗装は、前記気孔内への塗料の含浸に伴うアンカー効果によって強固に固着され、剥離強さ(塗膜密着性)は5mm間隔で塗装面のみに11本の切り目を設けた升目に粘着テープを密着させた後に、強制的に引き剥がしを行い、成形品上に剥離残存する塗装面の数によって評価した結果を図1に示した。その結果、従来例に比べ実施の形態2による成形品表面に設けた塗膜の密着性が優れ、実用上の耐性を有することが確認できた。
また、シート状物質に含有した籾殻は、フェノール樹脂などの有機成分の分解生成物であるCOなどと、それが含むSiOとが反応して強靱なSiCを形成して成形品表面の硬度向上に寄与するので、電磁調理器が調理時に受ける摩耗や摩擦に対する応力負荷による損傷抑止効果を発現する。また、上述した結果の如く、成形品表面の強度が向上した効果として、塗膜が基材の破壊を伴って剥離する凝集剥離の抑止にも寄与した。
なお、本実施の形態では、シート状物質の基材としてパルプ繊維の不織紙を用いたが、これに代えてガラス繊維を用いても良い
また、籾殻の使用に伴って生成した気孔が、パルプ繊維を起源とする気孔との併用で過多となって、表面層の平滑性の確保に支障を来す場合などには、これに代えて籾殻の薫蒸炭を用いても、同様の表面層強度の向上効果が得られる。

Claims (10)

  1. 加温状態の金型の内面に非硬化性高炭素含有化合物の薄膜を配設した状態で、カーボン粉粒と熱硬化性高炭素含有化合物である結合材を主体とする混合物を前記金型に投入して圧縮成形した後、得られた圧縮成形品を前記金型から脱型することを特徴とする圧縮成形品の製造方法。
  2. 前記非硬化性高炭素含有化合物が、タール又はピッチと易分解性の有機繊維と混合物であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮成形品の製造方法。
  3. 前記易分解性の有機繊維が、籾殻又は種子殻の微粉砕物であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮成形品の製造方法。
  4. 前記金型の前記加温状態が、前記非硬化性高炭素含有化合物が溶融状態を呈する温度に前記金型を加温した状態であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の圧縮成形品の製造方法。
  5. 状態の金型の内面に、非硬化性高炭素含有化合物不織布に含浸したシート状物質を配した状態で、カーボン粉粒と熱硬化性高炭素含有化合物である結合材を主体とする混合物を前記金型に投入して圧縮成形した後、得られた圧縮成形品を前記金型から脱型することを特徴とする圧縮成形品の製造方法。
  6. 前記非硬化性高炭素含有化合物が、タール又はピッチと易分解性有機繊維の混合物であることを特徴とする請求項5に記載の圧縮成形品の製造方法。
  7. 前記易分解性有機繊維が、籾殻微粉末であることを特徴とする請求項に記載の圧縮成形品の製造方法。
  8. 前記シート状物質が、前記非硬化性高炭素含有化合物が前記不織布の前記金型と当接しない片面からのみ含浸して成ることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の圧縮成形品の製造方法。
  9. 前記金型の前記加温状態が、前記非硬化性高炭素含有化合物が溶融状態を呈する温度に前記金型を加温した状態であることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の圧縮成形品の製造方法。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の圧縮成形品の製造方法を用いて製造した圧縮成形品を、無酸素雰囲気の高温下で焼成処理してカーボン凝結体成形品を得ることを特徴とするカーボン凝結体成形品の製造方法。
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