JP4478162B2 - 電磁誘導加熱調理器の製造方法 - Google Patents

電磁誘導加熱調理器の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4478162B2
JP4478162B2 JP2007010921A JP2007010921A JP4478162B2 JP 4478162 B2 JP4478162 B2 JP 4478162B2 JP 2007010921 A JP2007010921 A JP 2007010921A JP 2007010921 A JP2007010921 A JP 2007010921A JP 4478162 B2 JP4478162 B2 JP 4478162B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
mixture
electromagnetic induction
binder
induction heating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007010921A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008173355A (ja
Inventor
芳夫 西本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2007010921A priority Critical patent/JP4478162B2/ja
Publication of JP2008173355A publication Critical patent/JP2008173355A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4478162B2 publication Critical patent/JP4478162B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cookers (AREA)

Description

本発明は、炊飯器の釜などの電磁誘導加熱が可能な調理器に関し、更に詳しくはカーボン粉粒を発熱体とするセラミックス容器に関する。
電磁誘導加熱調理器であるコンロや炊飯器は、高周波磁場発生装置である誘導加熱コイルが発生する渦電流によって磁性体金属である鉄やステンレスなどが発熱する電磁誘導加熱を利用するもので、食品の速やかで均一な加熱を向上するためにアルミニウムや銅などを積層したクラッド材を鍋状の成形品が用いられていた。
しかし、前記クラッド材は鍋や釜などの形状に絞り加工を行うことに高度な技術を要し、熱伝導率の低い材料であることから局所に誘電コイルを配置した場合に均一な加熱を行うことが困難であると不具合もあった。
このため、コークスなどの高炭素含有物粉粒を無酸素状態の1000〜3000℃の加熱によって凝結させたカーボンの焼結体を用いることによって得た黒鉛(カーボン)のブロック状成型物を切削して鍋や釜などの成形品に、調理面である内面にフッ素樹脂が下塗り塗料を介して塗装されて成る誘導加熱調理器を提案している。電磁誘導加熱の調理器に好適な導電性と誘電性と優れた熱伝導度を有しており、従来の鉄やステンレスなどの炊飯釜に比べて加熱が均一に行えるなどの特徴を有している(例えば、特許文献1参照)。
また、棒柱状に加圧して凝縮させた炭素圧縮体を高温焼成したカーボン焼結体の切削加工物にフッ素樹脂コートを施したものが、高温での調理器具として有効であることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、前記特許文献2は、フッ素樹脂コートを施した調理面に繰り返しの強い応力を付加することによってカーボン粉粒の凝結に損傷を及ぼして剥離や、長期の使用における摩耗損傷などの課題を生じる場合があった。
従って、調理面に多孔質なセラミックスを配することで、土鍋のように気泡を発生させて調理の容易性向上を達成させることを可能とする他、十分な厚さとしてカーボン凝結体との積層状態を得ることによって蓄熱と調理面からの衝撃などの応力付加をカーボン粉粒の凝結体に伝播させないようにすることが可能となる。
セラミックスの積層に関する具体的手段として、例えば、複数のセラミックスのグリーンシート間にガラス層を設けて積層して未焼成層を作製した後に一体焼成する接合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、ガラス粉末を含有する常温感圧接着性の有機バインダ層を保持して焼成温度に耐える無機繊維クロスからなるガラス系接着シートを配して焼成処理によりガラス層として固着させる接合方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平9−075211号公報 特開平9−070352号公報 特開平9−260210号公報 特開平8−143840号公報
しかし、電磁誘導加熱に優れるグラファイト化したカーボンは他の物質との接着性に劣るので、剥離を来した場合には、熱伝達が不十分となって調理に支障を来すことになる。また、上述の各方法は何れも平面状の積層品を成すものであるから、曲面を有した調理面を有する鍋状成型物では、圧縮による加工時に密接させることは困難である。つまり、用いる原料部材が非常に脆いため、不均一な密接状態であれば、膨張率の違いに基づいて発生する応力を局部で受けてクラックの誘発や断裂を生じてカーボンの粉粒を含まない部分が生じて、渦電流の生成が途切れて加熱効率の大幅な低下を招くという不具合を生じることになる。
また、カーボン凝結体とセラミックスの前駆体の段階で単に加圧して密接した場合は、カーボン凝結体の表面にあるカーボン粉粒同士の弱い結合のみで固着し、さらに、カーボン自体が接着性に劣る物質であることから、成型品を調理に供するために行う表面塗装に用いるシリコーン系やフッ素系の樹脂との接着性を確保することが困難である他、誘電発熱したカーボンからの伝熱効率が低下して調理面の温度上昇が抑制される原因となっていた。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、電磁誘導加熱調理器の成型時に過度な剪断力の発生を抑制してカーボン粉粒を主体とする混合物のシートが断裂することがなく、セラミックスの成形品の前駆体も局部的な変形(しわの発生など)を防止できる電磁誘導加熱調理器の製造方法及び電磁誘導加熱調理器の提供を目的とする。
この発明に係る電磁誘導加熱調理器の製造方法は、カーボン粉粒と金型温度以下の軟化点を有する粉末または液状である結合材との混合物を金型面上に配設し、さらに混合物上に未硬化状態のセラミックスのシートを載置し、結合材が固化するまで加圧して成形品を賦型し、成形品を高温の無酸素条件下で炭化させることを特徴とする。
この発明に係る電磁誘導加熱調理器の製造方法は、カーボンの粉粒と結合材からなる板状混合物と金型の当接面における滑性が優れるので、金型を閉塞する際の各素材が変形時に滑って金型と密接するので、過度な剪断力の発生を抑制してカーボン粉粒を主体とする混合物のシートが断裂することがなく、セラミックスの成形品の前駆体も局部的な変形(しわの発生など)を防止できた。また、積層成型品は、セラミックスとカーボン粉粒を主体とした混合物を同時に焼成処理することを可能とし、セラミックスが有する気孔内に混合物が含む結合材が含浸して固着、および適宜に接合面に配したガラス繊維が熱溶融して両積層物を強固に接合することができた。
実施の形態1.
図1、図2は実施の形態1を示す図で、図1は鍋状成型品の製造方法を示す工程図、図2は焼成前の前駆体壁面における断面図である。
外面にカーボン粉粒の凝結体、内面にガラス質を結合材として用いたセラミックスを積層して、誘電加熱が可能な鍋状成型品の製造方法を図1の工程図及び図2の焼成前の前駆体壁面における断面図を用いて、以下に詳述する。
カーボン粉粒とエタノールで希釈したレゾール型フェノール樹脂(結合材)との混合物を、離型性に優れたシート上に厚さが5mm程度の薄板(シート状前駆体1)に成形後、鍋状調理器の圧縮成形金型の外面を形成する下型に密接するように載置し、離型性に優れたシートを外した。このとき、金型の表面には滑性に優れる液体であって、混合物に含浸して表面部分の強度および耐摩耗性の向上に寄与する、水やアルコールなどの活性水素を有する化合物と反応するアルコキシシランの一種であるメトキシシラン2を塗布した(滑材塗布)。但し、本実施の形態で用いた前記物質(メトキシシラン2)に代えて、例えば、アルコキシシランとしてエトキシシランのほか、シラザンなどを用いても良い。これらを、シラン化合物と呼ぶ。
なお、このときに用いたカーボン粉粒は、石炭コークスを無酸素状態の3000℃で加熱してグラファイト化した平均粒径が250μmのものである。結合材であるレゾール型フェノール樹脂の混入量は、カーボン粉粒同士が接触して形成する空隙を完全に埋めることなしに気孔を形成する30wt%の含有率とした。これは、板状に加工する段階で、結合材である液状のレゾール型フェノール樹脂が金型との当接面との反対面に多く滞留する状態を生み出して金型を過度に濡らすことが無いので、金型面との摩擦が抑制され、板状の加工物が無理なく金型面を移動して任意の位置に固定することができる。
また、この時、レゾール型フェノール樹脂に含まれる溶剤は、金型面に接して加温された状態で蒸発して飛散するので、成形過程で気化による膨れを来すなどの支障を生じることが少なく、むしろ、セラミックス層を成す原料を配設して金型が閉塞するまでの間、気化熱を奪って過度な温度上昇を抑制するので都合がよい。
次に、カーボン粒子を主体とする混合物の薄板上に、10μm以下の粒径を有する酸化ケイ素や酸化硼素を含むガラス質セラミックスをエタノール中に分散させたスラリー液を均一に散布してガラス質セラミックスの薄層3を形成した後、カーボン凝結体と当接して内面層を形成する未硬化状態のセラミックスのシート4を載置した。
なお、ここで用いる未硬化状態のセラミックスは、その原料成分が含むガラス質の表面張力が高い上に、極性基を殆ど有さない上にカーボン凝結体との濡れ性に劣るために接着力が極めて乏しい。そのため、両層の十分な接合が確保できないという課題がある。このため、カーボン凝結体が備える気孔からガラス質の粒子を含むスラリー液を含浸させるものであり、後段の焼成処理の段階で溶融してセラミックスとの十分な接合を得るために、同質の素材を選択することが好ましい。未硬化状態のセラミックスのシート4は、例えば、カーボン粉粒と結合材間に成形温度以下で溶融するフェノール系またはコプナ系の樹脂を散布して成るものである。
次に、各素材が積層された下型と、内面表面を形成する上型を閉塞して圧縮成形による加熱加圧により積層して一体化した。この加圧に供する金型はフェノール樹脂が硬化を来して積層成型品の前駆体を形成するように、120〜150℃に加温されている。また、この加圧時には、下型内に配置したカーボン粉粒が主体の混合物が含むレゾール型フェノール樹脂の混合物の一部が、縮減に伴う流動過程で細密化され、上下に配された素材が一体化を成して、図2に示す断面構造を備えた鍋状成型品の前駆体10を成形した。
また、内面層を形成する未硬化状態のセラミックスの原料には、ジルコニアやアルミナ等の酸化物系、窒化硼素や窒化ケイ素等の非酸化物系の融点の高いセラミックスを使用する。
また、ガラス質粒子として酸化ケイ素や酸化硼素を含んで成り、次工程での焼成処理において溶融して低粘度を呈して気孔内部を充填する挙動を呈する。
本実施の形態においては、固体成分としてBaO−Al−SiO−Biを用いる。液状成分には、セラミックス原料粉末を分散させる溶媒として水の他にエタノールなどの有機溶媒を金型温度に応じて使用し、また塗布後の乾燥時に形状を保持するバインダとして焼成時に過度に灰分が残留しないポリビニルアルコールなどを好適に用いる。その他に、可塑性や分散性を向上させる界面活性剤や油脂類などを添加しても良い。尚、液状成分は固体成分の30%以下に調整することが好ましい。
未硬化状態のセラミックスは、焼成処理時に溶融しないセラミックス粉末とガラス質粒子の混入比率が、前者の10に対して、後者は3〜5、好ましくは3.5〜4.5とした。これは、カーボン凝結体の表面に塗布したガラス質のセラミックスがペースト状態の段階、さらに高温の溶融状態でカーボン凝結体の表面から含浸して一体化することが好ましいので、焼成時に溶融しないセラミックス粉末間の空隙を完全に埋めるには至らず、単に粒子間を結合する機能を得るためであり、微細な空隙を備えた態様を成すようにしたものである。上述態様を達成するため、塗膜を構成するセラミックスには焼成温度以下の1000℃以下、好ましくは十分に低い700℃程度で溶融するガラス質成分を含むことが必須である。
このため、セラミックス原料成分における固体成分が当接して形成する空隙を充填し得ない量であり、成型時の変形に伴うしわや断裂を来すことなく成形を可能とするように、粘土状の柔軟な態様を成すように液体の成分量を調整した。つまり、セラミックスには、調理器として供する耐熱性と耐摩耗性などの機械的強度を有して成る不溶性成分と、結合材として後述の焼成処理温度で溶融するガラス質成分から成り、成形時に溶融するフェノール樹脂粉末が前述したカーボン凝結体の気孔とともに未硬化状態のセラミックスが備える気孔に含浸して、両層を機械的に固着させる態様を備えるようにしたものである。
上述した未硬化状態のセラミックスのシート4は、原料の各成分を分散させたスラリー液は離型シートを載置した平板上に散布後、これをドクターブレード式製膜装置で100〜1000μm、好ましくは200〜500μmの均一厚さに製膜した後、これを風乾することによって柔軟性のあるグリーンシートを成形する。グリーンシートは、鍋状調理器の内面形状を反映した形状のブランクに打ち抜いたものを用いた。
次に、カーボン粉粒が主体の混合物とセラミックスとの積層物は、不活性ガスである窒素を充填した電気炉内を用いて1000℃以上に加温、好ましくは1300℃まで1〜20℃/hrで昇温して焼成処理した後、1〜50℃/hrの速度で冷却することによってカーボン凝結体とセラミックスが一体化した積層成型品を得た。但し、昇温の過程でフェノール樹脂が分解する250〜450℃の範囲では、例えば、1〜3℃/hrの緩い速度で昇温して分解ガスの放散によってセラミックスの層を剥離させないように配慮すること、冷却時に成型品に歪みが残留しないように500℃までは3〜10℃/hrの緩い速度で冷却するが肝要である。同様に、カーボン粉粒が主体の混合物の厚さが5mmを超えるような場合には、カーボン粉粒の粒子径を大きく、結合材の添加量を少なく、などの組成を調整することによって粒子間の空隙を十分に確保し、分解ガスの放散が容易に行えるようにすることも有効である。
さらに、高温焼成によるセラミックスの焼結収縮量よりカーボン凝結体を得る際の収縮量の方が大きいので、外面にあるカーボン凝結体がセラミックスを締め付ける機械的な締結状態を確保でき、積層した両層が剥離を来すこともない。
また、鍋状成形品の外面には、表面の平滑化や摩耗損傷を抑制するために耐熱性のある、例えば、シリコーン樹脂塗料による塗料を施すが、圧縮成形に供する金型表面に塗布したシラン化合物が前記成形品表面に含浸して前記塗装による塗料の密着性を向上させるので、都合がよい。
実施の形態2.
図3、図4は実施の形態2を示す図で、図3は鍋状成型品の製造方法を示す工程図、図4は焼成前の前駆体壁面における断面図である。
外面にカーボン粉粒の凝結体、内面にガラス質を結合材として用いたセラミックスを積層して、誘電加熱が可能な鍋状成型品の製造方法に係り、両素材の積層界面にガラスの不織布を配して行う鍋状成型品の製造方法について図3の工程図及び図4の焼成前の前駆体壁面における断面図を用いて以下に詳述する。
まず、外面層を形成するカーボン凝結体の原料を調整する。まず、平均粒径が250μmのグラファイト化したカーボン粉粒と、結合材であるレゾール型フェノール樹脂とを混合する。レゾール型フェノール樹脂の混入量は、カーボン粉粒同士が接触して形成する空隙を完全に埋めるには至らない30wt%以下の含有率とした。
次に、板状に加工したシート状前駆体を成形後、金型面と当接するアルミナ短繊維から成る不織布(シートの一例)を載置し、これを金型に配設した。この段階で、結合材である液状のレゾール型フェノール樹脂が下方に移動するので、金型面と当接するアルミナ短繊維から成る不織布を濡らさない。これは、金型面と当接するアルミナ短繊維から成る不織布5を濡らさないので、金型を閉塞して成形する際に、金型面との間で過度な摩擦が生じず、板状の加工物が無理なく金型面を容易に移動して亀裂やしわ等が発生し難いという効果を生む。
一方、金型との当接面との反対面に多く滞留する状態を生み出すことによって、レゾール型フェノール樹脂が含む溶剤が、加温した金型面上で蒸発し易く、成形過程での溶剤の気化による膨れを抑止するうえ、当該原料を配設してから金型が閉塞するまで、溶剤の飛散に伴って気化熱を奪い、過度な温度上昇を抑制するので都合がよい。
次に、カーボン凝結体と鍋状成形品の内面を形成するセラミックスとの間隙に、例えばガラス繊維の不織布6を配設した後、未硬化状態のセラミックスのシート4を載置する。これは、ガラス繊維を成すガラス質は表面張力が高く、極性基をほとんど有さないカーボン凝結体との濡れ性に劣ることから、開放状態では溶融の初期段階で球状に凝集して気孔内に侵入し得ない。しかし、上述した両層に挟まれて分散させた状態が維持されるので、上記挙動を阻害して均一厚さの膜形成を維持し、その後の低粘度化と表面張力低下を示す温度域に至るまで塗膜状態を保持する機能も併せ持つ。
一方、内面層を形成するセラミックスの原料であるセラミックスは実施の形態1に準じて調整したものを用いた。ただし、融点の高いセラミックス粉末とガラス質粒子の混入比率が、前者の10に対して、後者が7程度のものを下層に配設してカーボン凝結体表面にある不織布のガラス繊維と接着し易い態様を具備する。上層には、融点の高いセラミックス粉末とガラス質粒子の混入比率が、前者の10に対して、後者が3程度の少ない比率で混合したものを積層状態に配したグリーンシートを作成した。
つまり、本実施の形態に係るセラミックスの粉末が調理器としての使用温度以上の耐熱性と耐摩耗性などの機械的強度を有する上、完成した鍋状成型品を調理に供したときに沸騰効果を促す微細な空隙を備えた態様を確保するようにした。
つまり、前記セラミックス粉末の結合材と一体化するガラス質が、溶融時にカーボン凝結体の気孔に含浸するので、外面層を成すカーボン凝結体と内面層を成すセラミックスとを機械的に固着する態様を備え、都合がよい。
上述した各素原料の配設構造を確保した下型に対向する内面表面を形成する上型を閉塞し、加熱・加圧成形を行うことにより、両素材が一体化するとともに、フェノール樹脂が硬化を来して積層成型品の前駆体10を形成した。この成形に伴う各素材の縮減に伴って、上述したレゾール型フェノール樹脂が金型との当接面との反対面に多く滞留した状態を生み出しているので、当接するガラス繊維不織布に移行して含浸して複合化し、図4に示すような一体化した状態を形成する。
この前駆体10は、無酸素状態において1300℃まで1〜20℃/hrで昇温後に60分間保持、さらに、1〜50℃/hrで冷却して、カーボン凝結体とセラミックスの積層成型品を得た。このうち、昇温過程でフェノール樹脂が分解する250〜450℃の範囲は1〜3℃/hrの緩い速度で昇温しセラミックスの剥離を抑止し、500℃までは緩い速度で冷却して成型品に歪みの残留しないようにするが肝要である。
上述工程でガラス不織布を形成するガラス繊維は、カーボン凝結体内で溶融して不定型な形状を備えるので、容易に引き抜くことができない態様を成して強固に保持する一方、セラミックスと密接した部分はセラミックスに含まれるガラス質と接着して強固な結合を来すことができるので、両層が強固に接合した成型品を得ることができる。
従って、ガラス不織布が焼成温度以下で溶融することが必須である。
以上の鍋状成形品の表面には調理に必要な塗装を施す。つまり、外面には表面の平滑化や摩耗損傷を抑制するために耐熱性のある、例えばシリコーン樹脂塗料による塗装を施す。また、内面には剥離性に優れたフッ素樹脂を塗装して、具材が固着するのを抑止する機能を付与することが調理器として有効である。加えて、鍋状成形品にあるカーボン凝結体の表面にはアルミナ繊維が複合化されて保持されており、成形品表面の耐摩耗性の向上に寄与するので、好ましい。
他方、高温焼成によるセラミックスの焼結収縮量よりもカーボン凝結体を得る際の収縮量の方が大きいので、外面にあるカーボン凝結体がセラミックスを締め付ける機械的な締結状態も確保でき、両層の剥離防止にも寄与する。
また、以上の実施の形態で示した通り、本発明によって得られた鍋状成型品である電磁誘導加熱調理器は、表面に形成したセラミックスが気泡を内在しており、その結果、調理器具として具材を沸騰調理する際には多くの気泡を発現して撹拌効果を生み出すことができるので、好適である。
以上の成型品をIH加熱式ジャー炊飯器の内釜として用いたところ、内面のセラミックスの層からは、沸騰時には激しく気泡が発生し、撹拌効果に優れた加熱状態であることを確認した。また、炊飯状態においても、従来の磁性金属を用いた内釜と何らの差異もなく炊飯を行うことができた。
本発明では、カーボン凝結体とセラミックスとの層間にガラスの不織布を配設したが、これに代えてガラスの粉末を用いても同様の効果が得られる。また、このとき、シート状前駆体表面にシリコン系カップリング剤、例えばメトキシシランを塗布するか、ガラスの不織布に液状で含浸させたもの、粒子を分散させたものを塗布するなどして、カーボン凝結体にシリコン系カップリング剤が含浸すると共にガラスの濡れ性を向上させることにより、焼成処理時に溶融したガラスの含浸が容易になるので、好適に用いても良い。
実施の形態1を示す図で、鍋状成型品の製造方法を示す工程図。 実施の形態1を示す図で、焼成前の前駆体壁面における断面図。 実施の形態2を示す図で、鍋状成型品の製造方法を示す工程図。 実施の形態2を示す図で、焼成前の前駆体壁面における断面図。
符号の説明
1 シート状前駆体、2 メトキシシラン、3 ガラス質セラミックスの薄層、4 未硬化状態のセラミックスのシート、5 アルミナ短繊維から成る不織布、6 ガラス繊維の不織布、10 前駆体。

Claims (6)

  1. カーボン粉粒と金型温度以下の軟化点を有する粉末または液状である結合材との混合物を金型面上に配設し、
    さらに前記混合物上に未硬化状態のセラミックスのシートを載置し、
    前記結合材が固化するまで加圧して成形品を賦型し、
    前記成形品を高温の無酸素条件下で炭化させ
    前記金型面上に配した前記カーボン粉粒と前記結合材との前記混合物が、前記金型面上に塗布した滑性に優れる液体を介して接するようにしたことを特徴とする電磁誘導加熱調理器の製造方法。
  2. 前記混合物のカーボン粉粒がグラファイト化したカーボンから成り、前記結合材が任意に設定された金型温度で硬化するフェノール樹脂であり、前記混合物が前記結合材を30wt%以下の割合で含んで均一混合されていることを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱調理器の製造方法。
  3. 前記金型面上に塗布した滑性に優れた液体が、活性水素を有する化合物と反応するシラン化合物であることを特徴とする請求項記載の電磁誘導加熱調理器の製造方法。
  4. カーボン粉粒と金型温度以下の軟化点を有する結合材との混合物を、金型面上に配設したシート上に配置し、
    前記混合物と対向する前記金型と均一に当接するように未硬化状態のセラミックスのシートを配設し、
    前記カーボン粉粒を含む前記混合物と未硬化状態のセラミックスのシートとの界面にガラス質のシートを配設し、
    前記結合材が固化するまで加圧して成形品を賦型し、
    前記成形品を高温の無酸素条件下で炭化させて成ることを特徴とする電磁誘導加熱調理器の製造方法。
  5. 前記混合物の金型面と当接する面に配設する前記シートが、アルミナ短繊維から成る不織布であることを特徴とする請求項記載の電磁誘導加熱調理器の製造方法。
  6. 前記ガラス質のシートが、シリコン系カップリング剤を含浸したものを用いることを特徴とする請求項記載の電磁誘導加熱調理器の製造方法。
JP2007010921A 2007-01-22 2007-01-22 電磁誘導加熱調理器の製造方法 Expired - Fee Related JP4478162B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007010921A JP4478162B2 (ja) 2007-01-22 2007-01-22 電磁誘導加熱調理器の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007010921A JP4478162B2 (ja) 2007-01-22 2007-01-22 電磁誘導加熱調理器の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008173355A JP2008173355A (ja) 2008-07-31
JP4478162B2 true JP4478162B2 (ja) 2010-06-09

Family

ID=39700849

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007010921A Expired - Fee Related JP4478162B2 (ja) 2007-01-22 2007-01-22 電磁誘導加熱調理器の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4478162B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174428A (ja) * 2007-01-22 2008-07-31 Mitsubishi Electric Corp 誘導加熱式調理器及び誘導加熱式調理器の製造方法

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4925912B2 (ja) * 2007-05-09 2012-05-09 三菱電機株式会社 電磁誘導加熱調理器の製造方法
JP4932042B1 (ja) * 2011-04-14 2012-05-16 三菱電機株式会社 カーボン焼結体の表面改質方法及び電磁誘導加熱調理器

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174428A (ja) * 2007-01-22 2008-07-31 Mitsubishi Electric Corp 誘導加熱式調理器及び誘導加熱式調理器の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008173355A (ja) 2008-07-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4791410B2 (ja) 電磁誘導加熱調理器の製造方法
CN106905698B (zh) 绝缘散热片材
KR101425270B1 (ko) 탄화규소가 코팅된 탄소섬유 복합체 및 그 제조방법
JP4478162B2 (ja) 電磁誘導加熱調理器の製造方法
JP2007044257A (ja) 電磁誘導加熱用調理器具及びその製造方法並びに電磁誘導加熱調理器
JP5058103B2 (ja) カーボン凝結体成形原料及びカーボン凝結体成形品の製造方法
CN106830970A (zh) SiC陶瓷基复合材料构件及其制备方法
JP4925912B2 (ja) 電磁誘導加熱調理器の製造方法
JP5052903B2 (ja) 電磁誘導加熱調理器の製造方法
CN108794042B (zh) 一种用于多孔陶瓷的粘结剂及其制备方法和使用方法
CN104557100B (zh) 用于将流延片贴压到陶瓷基板上的方法及制得组件
JP4787179B2 (ja) 誘導加熱式調理器の製造方法
CN105921721B (zh) 一种制备三维互穿结构3D‑SiC/Al复合材料的方法
JP4884487B2 (ja) カーボン凝結体成形材料及びカーボン凝結体成形品の製造方法
JP4999974B2 (ja) 電磁誘導加熱調理器の製造方法
JP5063628B2 (ja) 成形品及び成形品の製造方法
JP4754002B2 (ja) カーボン凝結体成形材料及びカーボン凝結体成形品の製造方法
JP2007045672A (ja) 表面改質カーボン凝結体およびカーボン凝結体の表面改質方法、並びに電磁誘導加熱調理器ないし電磁誘導加熱炊飯器
JP4804580B1 (ja) カーボン焼結体の表面改質方法
JP5042374B2 (ja) 電磁誘導加熱調理器の製造方法
JP2010202431A (ja) カーボン凝結体の製造方法
JP5084763B2 (ja) 圧縮成形品の製造方法及びカーボン凝結体成形品の製造方法
JP5183525B2 (ja) カーボン凝結体成形品の製造方法
JP5478652B2 (ja) カーボン凝結体成形品の製造方法及びカーボン凝結体成形品
JP2010180088A (ja) 成形材料及び成形品及び成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090915

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091019

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100309

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100312

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140319

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees