JP4754001B2 - 成形材料及び成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、電磁誘導加熱が可能な炊飯釜などの調理器具に使用するカーボン凝結体に係り、成形材料及び成形品及び成形品の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、カーボン粉粒と高炭素含有物質である結合材を主体とする成形材料を用い、金型内で加圧及び加熱を行う射出成型などにより得た成形品を、無酸素の高温雰囲気下で炭化させる焼成処理を施すことにより、成形品を得る成形品の製造方法に関する。
電磁誘導加熱コイルの渦電流による電磁誘導加熱を利用したコンロや炊飯器は、速やかで均一な加熱が得られるという特徴を有し、磁性金属にアルミニウムや銅などの高熱伝導金属を積層したクラッド材の成形品が主流である。しかし、クラッド材は鍋や釜などの形状に加工することが困難で、表面をフッ素樹脂などの耐熱樹脂塗装面との積層界面が剥離し易いという課題もあった。
このため、従来の鉄やステンレスなどに代わる電磁誘導加熱の調理器の素材として、優れた導電性と優れた熱伝導性とを有するカーボン凝結体を使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、棒柱状に加圧して凝縮したカーボン圧縮体の切削加工物が紹介され、カーボン素材が高温での調理器具として有効であることを述べているものもある(例えば、特許文献2参照)。
上述の調理器具の製造方法によるカーボン凝結体は、コークスなどのカーボン粉粒にフェノールやピッチなどの高炭素含有物である結合材を主体とする混合物を成型し、これを無酸素雰囲気下の1000〜3000℃で加熱してカーボン凝結体を得た後、任意の形状に切削加工したものである。しかし、カーボン焼結体を切削加工して任意の形状に加工することは、切削の大半を占める容器の凹状を成す中空部分にある素材の廃棄が多く、加工工数も大きい、という課題があった。また、カーボン圧縮体に内在する欠陥を事前に検知することが困難なうえ、切削によって露出するなどによって意匠及び強度などの諸特性に悪影響を及ぼす場合もある。
これらの課題を解決する手段として、カーボンの粉粒とフェノール樹脂の原料液やタールピッチなどの結合材との混合物である成形材料を金型内に注入・加圧して賦型した後、得られた成形品を焼成処理することにより、鍋状に成形されたカーボンの凝結体を得る手段が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、電磁誘導加熱が可能な調理器具として使用するうえで必要な強度や電気伝導性、熱伝導性に優れた特性を備えたカーボン凝結体成形品を得るためには、成形材料のフェノール樹脂含有量を少なくすることが必須である。その反面、成形材料のフェノール樹脂含有量を少なくすると、カーボン粉粒の表面が十分に濡れないために凝集し易く、粘度が向上して流動性が低下するうえに、流動性喪失に伴う未充填部分を形成し易くなるという課題があった。従って、成形材料には、フェノール樹脂の添加量を、十分な流動性が得られるまで増す必要があった。
また、金型内における成形材料は、成形時の流動に伴って生じる内部応力が残存するので、成形品の焼成段階に歪みの解放挙動とフェノール樹脂などの結合材から発生する分解ガスの放散によって、比較的、脆弱な部位である粗粒子が集合して粒子間の接着が不十分な状態に至る内層部分、さらにフェノール樹脂が多く集合してガスを放散させるための気孔を生成し難い表面層、にクラックを発生させるという課題があった。
従って、カーボン粉粒と結合材を混合した成形材料を用いた成形品は、金型内にある空気や硬化に伴って生成する水蒸気などのガスを排出しながら、成形材料の良好な流動を確保することが、均質で高い物性を得るうえで必要であった。併せて、成形材料の流動性を確保するため、結合材であるフェノール樹脂などの樹脂成分の増量、または高圧付加が必須であった。
上述の如く、十分な流動性、高い強度及び熱伝導性を確保するために、カーボン粉粒表面に結合材が全面に塗布された成形材料を用い、高圧を付加した状態で成形してカーボン粉粒同士が密接することが肝要である。しかし、反面、成形時に係る内部応力の増加と、焼成段階に結合材であるフェノール樹脂などの分解ガスが系外に飛散するために要する気孔の残留または生成が困難である状態を醸し出すこととなる。
分解ガスの放散が困難な状態は、成形品内部に生じた僅かな亀裂の拡大に作用するので、成形材料の金型への射出に伴う流動過程で、大粒径の黒鉛粉粒が集中して強度が低くなる断面中間層部分や、フェノール樹脂が多く存在する表面層が鱗状に剥離するなどの欠陥を招くことになる。この課題を回避するために、焼成時の昇温速度や低温での長時間の保持によって分解ガスの発生速度を緩慢にすることが必須となり、製造に長い時間を必要とする状況を生みだしていた。
上記課題を回避する手段として、結合材である有機バインダーに熱可塑性樹脂を混合した成形材料を用いて加圧成形したものを非酸化雰囲気下で焼結することにより、割れ、フクレ及び空泡などの欠陥が少ない緻密なカーボン焼結体を製造する手段が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平9−75211号公報 特開平9−70352号公報 特開2007−044257号公報 特開平08−113668号公報
しかし、上記特許文献4の手段によれば、結合材である熱可塑性樹脂を主体とする有機バインダーの可塑化に伴う変形を来さない脱脂及び焼成の条件の確保に制約される。そのほか、有機バインダーの分解した痕跡である微細気孔が生成して粒子間の結合力低下を来して成形品の強度が過度に低下し、カーボン焼結体本来の高い熱伝導率を損ない易い、という課題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、強度と熱伝導率を向上することができる成形材料及び成形品及び成形品の製造方法を提供する。
この発明に係る成形材料は、カーボン粉粒の表面に、フェノールとアルデヒド基を含む化合物とを界面活性剤の存在下で重合したフェノール樹脂未硬化物が被覆され、被覆されたフェノール樹脂未硬化物の塗膜上に、易分解性の繊維状物質を保持して成るものである。
この発明に係る成形材料は、カーボン粉粒の表面に、フェノールとアルデヒド基を含む化合物とを界面活性剤の存在下で重合したフェノール樹脂未硬化物が被覆され、被覆されたフェノール樹脂未硬化物の塗膜上に、易分解性の繊維状物質を保持して成るので、成型時に成形材料の凝集を抑制するとともに、樹脂塗膜が溶融して湿潤状態を確保して滑り易くなり、流動性が向上する。このとき、半硬化状態のフェノール樹脂が溶融しながら金型内に充填するので、空隙の少ない充填形態とカーボン粉粒同士が接する部位にフェノール樹脂が存在するので強固な接合力が確保でき、焼成して得た凝結体成形品の強度と熱伝導率が向上するという効果が得られる。
実施の形態1を示す図で、成形材料におけるフェノール樹脂の被覆状態に関する概念を示す模式図。 実施の形態1を示す図で、成形品の塗膜密着性の評価及び成形品の表面外観の目視による評価結果を示す図。 比較のために示す図で、カーボン粉粒物とフェノール樹脂未硬化物を押出機などで加圧混練して得た樹脂付着の状態に関する概念を示す模式図。
実施の形態1.
先ず、本実施の形態の概要を説明する。本実施の形態は、電磁誘導加熱が可能な調理器具に用いるカーボン凝結体である成形品に、塗料の含浸が容易に行える気孔を形成する手段であり、塗装に於いて機械的な固着であるアンカー効果による強固な塗料の密着性を発現する構造を確保する手段に関する。
ここで用いるカーボン凝結体成形材料(成形材料)は、フェノール樹脂をカーボン粉粒表面に被覆したものであって、溶媒中でフェノール基を含む化合物とホルムアルデヒド基を含む化合物が共存する重合段階にカーボン粉粒を分散させたことにより、濡れ易い状態でカーボン粉粒面にフェノール樹脂が重合する。さらに、フェノール樹脂がカチオン系乳化剤の介在した状態でカーボン粉粒を核として安定形状の球状に近づくような凝集形態を得るようにした。
このため、カーボン粉粒表面に未硬化状態のフェノール樹脂が被覆しながら、平滑面を備えるように球状の微粒子を形成しようと保護コロイド(ポリイオンコンプレックス)を形成し、溶媒中で分散して重合度を高めるように作用しながら安定状態を確保しつつ重合が進行して溶媒と非相溶状態になる。
以上の反応工程を経た段階で溶媒を除去すれば、カーボン凝結体の成形材料を得ることが出来る。
成形に際しては、成形温度と同等以上の融点を備える熱可塑性樹脂から成るアクリル繊維やパルプ繊維などの低炭素含有高分子で易分解性の繊維状物質を成形材料の表面に保持させ、圧縮成形などの加熱と加圧とを付与して成形品を得た。易分解性の繊維状物質は、金型温度以上の融点または分解開始温度を有していることが必須である。
この成形品には、成形時のフェノール樹脂の流動に伴って成形材料粒子表層にある繊維状物質が粒子同士の接する空隙部分に連続層を形成し、フェノール樹脂などの炭化に供するために行う無酸素雰囲気の800〜1200℃の高温での焼成処理において、焼成後の凝結体には繊維状物質が分解・飛散した多くの気孔を備え、成形品に塗布した液状の塗料が含浸し易いという態様が得られる。
この結果、無酸素状態で炭化を促す高温の焼成処理で形成した繊維の飛散痕である気孔に塗料が含浸して塗膜を形成するので、機械的な固着であるアンカー効果による塗膜密着性が向上する、という特徴が得られる。
成形材料を射出成形して得た成形品を無酸素雰囲気の高温で焼成して得たカーボン凝結体の成形品表面に塗装を施す調理器の製造手段において、成形材料がカーボン粉粒と結合材に炭素含有量の少ない繊維状物質を混入して成ることを特徴とする。
また、焼成前成形品がカーボン粉粒に結合材を積層し、さらに繊維状物質を保持した成形材料、場合によっては成形材料に高炭素含有有機物を混合したものを圧縮成形などの加熱及び加圧を付与して成形することを特徴とする。
カーボン粉粒と結合材が主体の混合物に混入した炭素含有量の少ない繊維状物質は、高温焼成時に分解して気散するので、繊維が占有した容積部分が気孔として形成されることになる。当該気孔が成形体の粒子間に分散した繊維状物質が存在していた部分であるから、カーボン凝結体の成形品表面に塗装を施すことによって、塗料が気孔に侵入して、密着性に優れる塗膜を形成する効果を得ることが出来る。
射出成形によって鍋状の成型品を得る手段に関し、カーボン粉粒と結合材との混合物を原料として鍋状の金型に充填して得られる電磁誘導加熱調理器の製造方法について、以下に詳述する。
図1、図2は実施の形態1を示す図で、図1は成形材料におけるフェノール樹脂の被覆状態に関する概念を示す模式図、図2は、成形品の塗膜密着性の評価及び成形品の表面外観の目視による評価結果を示す図である。
図3は比較のために示す図で、カーボン粉粒物とフェノール樹脂未硬化物を押出機などで加圧混練して得た樹脂付着の状態に関する概念を示す模式図である。
まず、成形材料の製造方法について述べる。無酸素状態の高温(約3000℃)で、石油コークスを焼成処理した塊状物を粉砕した300μm以下(500μm以下であればよい)のカーボン粉粒と、水で希釈したフェノールとを混合し、これに界面活性剤として用いる第四級アンモニウム塩型カチオン活性剤を混合した。
カーボン粉粒はグラファイトを含む態様もある。グラファイトは、六角形に並び網目状の面構造をした炭素原子が、層状に集まった結晶のことである。
ここで用いる第四級アンモニウム塩型カチオン活性剤は、アルキルトリメチル型とアルキルジメチルベンジル型カチオン活性剤とが好ましい。
また、アルキル基(炭素と水素が結合した有機体(有機結合)のことをいう)部分も、高純度のラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、またはベヘニル基などのC数(炭素の数)が10〜25程度のものが有効である。アルキル基は、少なくともラウリル基(C数;12)、パルミチル基(C数;15)、ステアリル基(C数;18)またはベヘニル基(C数;22)の何れかを含んで成るものとする。
界面活性剤は保護コロイド性を有し、溶液には高分子電解質挙動を示してアニオン性水溶性樹脂とポリイオンコンプレックスとを形成する。このとき、溶液中に分散した樹脂が過度に大きくない条件下、例えば、本実施の形態で用いたカーボン粉粒よりもやや大きい0.5mm以下の粒子であれば、球状を成すように作用する。
次に、任意温度に加温しながらカーボン粉粒が均一分散するように撹拌し、ホルムアルデヒドを添加して重合させる。フェノールとホルムアルデヒドの添加量は、粒子の表面を被覆する半硬化のフェノール樹脂が30wt%の被覆量になるようにした。
重合度が、好適な流動性や粘度が得られるように反応時の温度と時間とを調整して重合した後、半硬化フェノール樹脂に対し、ミクロフィブリル化セルロースを0.03wt%添加して均一に分散するまで混合したのち、パルプ繊維を3wt%添加して混合する。
任意重合度に達した半硬化フェノール樹脂は、カーボン粉粒物表面がフェノール樹脂を成す原料液で常に濡れた状態で重合したので、カーボンの粉粒の外周面に膜として保持された粒状を形成する。さらに、その表面にはミクロフィブリル化セルロースの吸着性を介してパルプ繊維を付着した成形材料の分散液で得られるので、これを40℃以下の低温で乾燥処理を行った。
上述手段によって得た成形材料同士が成形時の加熱・加圧によって結合した状態について概念図を用いて説明する。カーボン粉粒物とフェノール樹脂未硬化物を押出機などで加圧混練して得た図3に示す樹脂付着の状態と比較して、本実施の形態の手段によって表面に被覆したものは、図1に示すように、フェノール樹脂の重合過程でカーボン粉粒が備える鋭角な破断面を覆うようにカーボン粉粒1の表面にフェノール樹脂未硬化物2の塗膜を形成して平滑な面を形成することになる。
このため、本実施の形態による該成形用原料(成形材料)は、シリンダー温度が60℃、ノズル温度が120℃、金型温度が160℃の溶融温度以上の加熱下で、金型内に底面下部から射出して加圧した時に、金型内で空隙を埋めるなどして好適な位置に移動しやすい。つまり、射出時の圧力が、図3に示す各原料を単純混合物の13.0MPaに対して、図1に示す本実施の形態の成形材料は、10.5MPaの低圧で金型への充填を完了したことから、流動性に優れるという特徴を確認した。
得られたカーボン成形品は、無酸素状態で1200℃の雰囲気下に放置してフェノール樹脂を炭化させることによって、カーボン凝結体成形品(成形品)を得た。
気孔生成を促さない従来の成形品の場合、焼成処理による炭化に伴う過度な速度で発生した分解ガスが放散せずに滞留し、大きなカーボン粉粒が集中して金型からの伝熱が抑制されて、相対的に低い強度を呈する壁中央部にある大きな空隙に集中し、ガス圧によって断層亀裂を招いて局部膨れを発生させることがあった。
この現象を防止するためにフェノール樹脂の分解が活発になって急激な重量減少を来す350℃、500℃、800℃の近傍では緩い温度上昇または保持を行うことが有効である。
従来は、例えば、300℃迄を0.5℃/minで昇温後に5時間保持し、さらに450℃迄を5℃/hr、500℃迄を1℃/hrで到達後に5時間保持し、750℃迄を5℃/hr、800℃迄を2℃/hrで到達後に3時間の保持後、0.5℃/minで1200℃に到達させて2時間で保持していた。
しかし、本実施の形態による成形材料では、粒子間に形成された空隙内に充填したミクロフィブリル化セルロースを含むパルプ繊維の熱分解がフェノール樹脂に先行して無数の気孔を形成するので、フェノール樹脂からの大量の分解ガスが放散される段階では分解ガスの放出が容易となり、焼成に要する昇温速度を促進できる。
この結果、従来の昇温と保持時間を大幅に縮減することができた。具体的には、750℃迄を5℃/hr、800℃迄を2℃/hrで到達後に1時間保持、その後、2℃/minで1200℃に到達後に2時間保持、で行っても欠陥の発生を生じることなく、約2日間の焼成時間短縮を達成した。なお、冷却は、0.5℃/minで室温近傍まで冷却した。
次に、鍋状を成す凝結体成形品に、調理器具として必要な機能を付与する塗装を施した。調理器具の外面には耐摩耗性と耐熱性に優れるシリコーン樹脂を、内面には調理具材が密着するのを防止するフッ素樹脂を、各々吹付け塗布を施した。
表面に吹付けた塗料は凝結体に設けたパルプ繊維の痕跡である多くの気孔に容易に含浸し、これに伴ってアンカー効果によって塗膜が強固に固着する。
このとき、凝結体成形品には、表面に付着した手の油脂成分や水分などの塗装に支障を来す不要物を排除するために400℃の炉中に投入する前処理と、各塗装後の塗膜定着のために100〜400℃の加熱を行うことになる。
この為、急速な昇温に伴う成形品壁内にある空気が円滑に排出されることが必要であるが、従来の当該成形品の場合には、空気の急速な膨張挙動に応じた排出が行われずに、成形品の壁面を破裂させることがあった。
これに対し、本実施の形態による凝結体成形品の場合には、パルプ繊維の痕跡である気孔が黒鉛の粒子間に無数に存在することから、成形品の壁内にある空気が円滑に排出されるので、急速な昇温下に放置しても、損傷を受けることがない。
以上の工程を経て得たカーボン凝結体成形品から成る鍋状の調理器具について、塗膜密着性を評価した。
塗膜密着性の評価を、塗料のみに1mm間隔で縦横に11本の切れ目を碁盤目状に入れた面上に密着させたテープの引き剥し動作の繰り返し20回によって生じる升目部分の欠損箇所を確認し、欠損のない部分の升目の数で評価するテープ剥離試験を行った。上述したテープ剥離試験の評価に加え、成形品の表面外観の目視による評価結果を図2に示す。
このとき、カーボン粉粒物にフェノール樹脂未硬化物を被覆後、パルプ繊維を添加せずに調整した成形材料を用いて鍋状の成形品を射出成型した後、同様に、焼成処理と内外面の塗装を施したものを作製し、これを比較例1として、同条件でのテープ剥離試験と外観評価を行い、それらの結果も図2に併記した。
以上の結果から明白なように、成形材料表面がフェノール樹脂未硬化物で被覆し、さらにミクロフィブリル化したセルロースの吸着力を介して固定したパルプ繊維を担持するカーボン凝結体成形材料を用いたことにより、得られたカーボン凝結体成形品は、それが備える気孔に塗料が容易に含浸してアンカー効果を有して成るので、テープ剥離後の塗膜の残存量が多く、塗膜の優れた固着状態を有することを確認した。
一方の比較例1の凝結体成形品の場合は、塗料と成形品の界面部分から剥離をしており、十分な密着性の確保ができていなかったことが示唆された。
また、射出成形における射出材料の優れた流動性は、比較例1が側面上部の光沢に劣るのに対し、実施の形態1の凝結体成形品は内外面ともに平滑な塗膜面を備え、優れた外観を呈した。
1 カーボン粉粒、2 フェノール樹脂未硬化物。

Claims (7)

  1. カーボン粉粒の表面に、フェノールとアルデヒド基を含む化合物とを界面活性剤の存在下で重合したフェノール樹脂未硬化物が被覆され、被覆された前記フェノール樹脂未硬化物の塗膜上に、易分解性の繊維状物質を保持して成ることを特徴とする成形材料。
  2. 前記フェノール樹脂未硬化物の塗膜上に、ミクロフィブリル化したセルロースにより前記易分解性の繊維状物質を保持して成ることを特徴とする請求項1記載の成形材料。
  3. 前記界面活性剤が、アルキルトリメチル基またはアルキルジメチルベンジル基を備えた第四級アンモニウム塩型であり、且つアルキル基が、少なくともラウリル基、パルミチル基、ステアリル基またはベヘニル基の何れかを含んで成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の成形材料。
  4. カーボン粉粒の表面に、フェノールとアルデヒド基を含む化合物とを界面活性剤の存在下で重合したフェノール樹脂未硬化物を被覆し、前記フェノール樹脂未硬化物の塗膜上に易分解性の繊維状物質を保持して成る成形材料を、金型内で加熱及び加圧して任意形状の成形品を得た後、これを無酸素状態の高温雰囲気下に放置して焼成処理したことを特徴とする成形品の製造方法。
  5. 前記カーボン粉粒が、塊状物を破砕して得たグラファイトを含んで成る粒子であって、500μm以下の粒径のものから成ることを特徴とする請求項記載の成形品の製造方法。
  6. 前記界面活性剤が、高分子電解質挙動を示して重合過程のフェノール樹脂とポリイオンコンプレックスを形成するカチオン系溶液を形成することを特徴とする請求項又は請求項記載の成形品の製造方法。
  7. 前記易分解性の繊維状物質の保持が、ミクロフィブリル化したセルロースで成されていることを特徴とする請求項乃至のいずれかに記載の成形品の製造方法。
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