JP3250915B2 - 鋳型用粘結剤組成物、鋳型組成物および鋳型の製造方法 - Google Patents

鋳型用粘結剤組成物、鋳型組成物および鋳型の製造方法

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JP3250915B2 JP23703794A JP23703794A JP3250915B2 JP 3250915 B2 JP3250915 B2 JP 3250915B2 JP 23703794 A JP23703794 A JP 23703794A JP 23703794 A JP23703794 A JP 23703794A JP 3250915 B2 JP3250915 B2 JP 3250915B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋳型を製造する際に使用
する粘結剤組成物に関し、鋳型の造型及び鋳造時に発生
するホルムアルデヒド臭気を大幅に抑制し、作業環境を
著しく向上させ、また混練砂の流動性と充填性を改善
し、更に鋳型強度を改善しうる粘結剤組成物に関するも
のである。また、この粘結剤組成物を配合した鋳型組成
物、およびこの粘結剤組成物を使用して、鋳型を製造す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機粘結剤を用いて主型や中子のような
鋳型を製造する造型法として、自硬性鋳型法、コールド
ボックス鋳型法、クローニング法(シェル法)は公知で
ある。特に有機自硬性鋳型造型法は機械鋳物分野を中心
に生産性、鋳物品質、安全衛生上の観点から無機系に代
わって既に汎用的な造型法となっている。一方、従来、
中、高速で鋳型を製造するにはフェノール樹脂を粒状耐
火物に被覆した、所謂コーテッドサンド(Coated Sand)
を加熱硬化して鋳型を製造するクローニング法が幅広く
使用されている。しかし、鋳型製造時の省エネルギー、
鋳型生産速度、更に鋳型、鋳物の品質を改善するため
に、ガス状又はエロゾル状物質で常温硬化させるコール
ドボックス鋳型法がクローニング法を代替する鋳型の製
造法として鋳物業界で真剣に導入が試みられてきてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】有機自硬性鋳型造型法
及びガス硬化性鋳型造型法に用いられる粘結剤組成物と
して、水溶性フェノール樹脂を粘結剤とし、これを有機
エステルで硬化せしめる鋳物砂用粘結剤組成物が、特開
昭50−130627号公報、特開昭58−154433号公報、特開昭
58−154434号公報等により公知である。また、ビスフェ
ノールとホルムアルデヒドとを縮重合させたフェノール
系樹脂を粘結剤として使用すること (特開昭62-40948号
公報、特開昭63-40636号公報) や、カリウムアルカリ性
ビスフェノール・フェノール共重合型レゾール樹脂を粘
結剤として使用すること (特開平5-123818号公報) も公
知である。
【0004】また、最近ではガス硬化の鋳型造型法とし
て二酸化炭素を用いるプロセスが提案されている(特公
平1-224263号公報)。これは、有機エステルのガスに比
べ人体への悪影響が少ない二酸化炭素のガスを使用する
ため、安全衛生上の観点から特に注目されている。
【0005】これらの粘結剤組成物を用いた鋳型造型法
では粘結剤組成物中に硫黄元素を含まないため、酸硬化
性樹脂を用いた鋳物造型法に比較して浸硫による影響が
少ないという特徴を有する反面、特に造型時及び鋳造時
に発生するホルムアルデヒド臭気による作業環境及び該
粘結剤を用いた混練砂の流動性及び充填性の改善等に課
題があった。
【0006】また、水溶性フェノール樹脂を用いた混練
砂は、フラン樹脂やフェノールウレタン樹脂等を用いた
場合に比べ混練砂の流動性及び模型等への充填性が悪
い。このため、樹脂の混練ムラや造型された鋳型の表面
強度の低下及び鋳型表面の凹凸が発生するため、鋳造さ
れた鋳物に欠陥が発生する。具体的には砂カミ、焼着、
差し込み、絞られ等の鋳物欠陥が発生し、品質低下の原
因となり、その改善が要望されている。
【0007】更に、特開平5-192737号には、水溶性フェ
ノール樹脂と有機窒素化合物とを必須成分とする鋳物砂
用粘結剤組成物が開示されているが、得られる鋳型の強
度が低いという問題点があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決すべく鋭意研究の結果、フェノール・アルデヒド
変性樹脂を粘結剤とし、これを有機エステル及び/又は
炭酸ガスにより硬化させる鋳型用粘結剤組成物におい
て、フェノール・アルデヒド変性樹脂にホルムアルデヒ
ド捕捉剤として有機窒素化合物の1種又は2種以上を併
用してなる有機エステル硬化型鋳型用粘結剤組成物を使
用することにより、鋳型の造型及び鋳造時に発生するホ
ルムアルデヒド臭気を大幅に抑制し、作業環境を著しく
向上させ、また混練砂の流動性と充填性を改善でき、更
に、鋳型強度を改善し、その結果、鋳物欠陥のない優れ
た鋳型を製造できることを見出し、本発明を完成するに
到ったものである。
【0009】即ち、本発明は、フェノール・アルデヒド
変性樹脂と、有機窒素化合物とを必須成分とすることを
特徴とする鋳型用粘結剤組成物に関する。
【0010】また、本発明は、耐火性骨材100 重量部に
対して、前記の鋳型用粘結剤組成物0.1〜15重量部から
なる混合物を混練して得られることを特徴とする鋳型組
成物に関する。
【0011】更に、本発明は、前記の鋳型用粘結剤組成
物を用い、かつ硬化剤として有機エステル及び/又は炭
酸ガスを用いることを特徴とする鋳型の製造方法に関す
る。
【0012】本発明で用いられるフェノール・アルデヒ
ド変性樹脂は、下記の一般式(1) で表されるビスフェノ
ール類から選ばれる1種以上の化合物と、アルデヒド化
合物とを共縮合して得られるもの、もしくは、フェノー
ル類から選ばれる1種以上の化合物及び上記の一般式
(1) で表されるビスフェノール類から選ばれる1種以上
の化合物と、アルデヒド化合物とを共縮合して得られる
ものである。
【0013】
【化3】
【0014】一般式(1) で表されるビスフェノール類の
具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノ
ールZ、ビスフェノールS、ビスフェノールAF、ビス
フェノールAP、ジ− sec−ブチル−ビスフェノール
A、ジ−イソプロピル−ビスフェノールA、 1,1−エチ
リデン−ビスフェノール、メチル−エチル−メチレン−
ビスフェノールA、メチルイソブチル−メチレン−ビス
フェノール、メチル−ヘキシル−メチレン−ビスフェノ
ール、メチル−フェニル−メチレン−ビスフェノール、
4,4'−チオジフェノール等が挙げられ、それらが単独で
又は混合して使用される。
【0015】フェノール類としては、下記の一般式 (2)
〜(4) で表される化合物の中から選ばれる1種以上が使
用される。
【0016】
【化4】
【0017】(式中、R5及びR6は、水素原子又は炭素数
2以下の炭化水素基を表わす。)
【0018】
【化5】
【0019】(式中、R7は、水素原子、水酸基又は炭素
数2以下の炭化水素基を表わす。)
【0020】
【化6】
【0021】(式中、R8は、炭素数3以上の脂肪族炭化
水素基又は芳香族炭化水素基を表わす。) 。
【0022】フェノール類のうち、一般式(2) で表され
る化合物の具体例としては、フェノール、クレゾール、
3,5−キシレノール等が挙げられる。一般式(3) で表さ
れる化合物は多価フェノールであって、具体例として
は、レゾルシノールやカテコール等が挙げられる。ま
た、一般式(4) で表される化合物は、主としてパラ位に
炭素数3以上のアルキル基やフェニル基が結合したもの
であり、具体例としては、ノニルフェノール、p−tert
−ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェ
ニルフェノール等が挙げられる。また、カシューナッツ
殻液のような各種のフェノール類の混合物等も使用でき
る。特に、フェノール類としては、フェノールとクレゾ
ールの混合物が好ましい。
【0023】また、アルデヒド化合物としては、ホルム
アルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、グ
リオキザール等が、単独で又は混合して使用される。
【0024】本発明で用いられるフェノール・アルデヒ
ド変性樹脂は、下記の一般式(1) で表されるビスフェノ
ール類から選ばれる1種以上の化合物と、アルデヒド化
合物と、アルコール類とを共縮合して得られるもの、も
しくは、フェノール類から選ばれる1種以上の化合物及
び上記の一般式(1) で表されるビスフェノール類から選
ばれる1種以上の化合物と、アルデヒド化合物と、アル
コール類とを共縮合して得られるものである。
【0025】ビスフェノール類、もしくはフェノール類
及びビスフェノール類と、アルデヒド化合物との共縮重
合は、一般的に水溶液中で行われ、フェノール・アルデ
ヒド変性樹脂が得られる。例えば、所定量のビスフェノ
ール類もしくはフェノール類及びビスフェノール類を溶
解させた水溶液中に、所定量のアルデヒド化合物を徐々
に添加しながら、共縮重合させて得るのが好ましい。こ
の際、反応触媒としては、水酸化カリウム(KOH) 、水酸
化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカ
リ触媒が使用されるが、特に、水酸化カリウム(KOH) を
使用するのが好ましい。本発明におけるフェノール・ア
ルデヒド変性樹脂は、アルカリ性水溶液に調整されるた
め、共縮重合の際に所定量の水酸化カリウムを使用して
も良いし、また反応触媒として最小限の水酸化カリウム
を使用し、共縮重合を終えた後、所定量の水酸化カリウ
ムを添加してもよい。また、共縮重合を終えた後におい
て、水酸化カリウムと共に水酸化ナトリウム(NaOH)や水
酸化リチウム(LiOH)を併用して、所定のアルカリ性にな
るようにしてもよい。更に、酸触媒を使用して共縮重合
させた後、次いで水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使
用して共縮重合を進行させてもよい。フェノール・アル
デヒド変性樹脂のアルカリ水溶液において、ビスフェノ
ール類の水酸基のモル数、もしくはフェノール類の水酸
基のモル数とビスフェノール類の水酸基のモル数との合
計モル数に対する、全アルカリのモル数の比は、 0.2〜
1.2 であるのが好ましい。また、アルカリ水溶液中にお
ける、フェノール・アルデヒド変性樹脂の濃度は、30〜
75重量%であるのが好ましい。
【0026】また、フェノール・アルデヒド変性樹脂
は、更にアルコール類を共縮合することにより、耐火性
粒状材料と混練した場合における、混練砂の流動性及び
模型への充填性に優れるものとなる。アルコール類とし
ては、炭素数2〜10の1価アルコールが好ましく、例え
ば、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコ
ール、 sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコー
ル、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘ
キシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアル
コール、カプリルアルコール、ノニルアルコール、デシ
ルアルコール等が挙げられる。特に、1価アルコールと
して、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、
ブチルアルコール、イソブチルアルコール、 sec−ブチ
ルアルコール又はtert−ブチルアルコールを使用するの
が最も好ましい。配合割合としては、ビスフェノール類
のモル数、もしくはフェノール類のモル数とビスフェノ
ール類のモル数との合計モル数に対して0.0001〜0.5 倍
モルが好ましい。特に、アルコール類が0.01〜0.2 倍モ
ルであるのがより好ましい。アルコール類のモル数が0.
0001倍モル未満になると、アルコール類を添加する効果
がなく、逆に、 0.5倍モルを超えると鋳型の強度が充分
に向上しない傾向が生じる。
【0027】本発明に於ては有機窒素化合物として好ま
しくは、尿素、尿素化合物、アミド化合物及びアミン化
合物の中から選ばれる1種以上が用いられる。
【0028】本発明において用いられる尿素としては、
粒状尿素、尿素水溶液、又はその他の溶剤に溶かした尿
素でも良い。尿素化合物としては、アルデヒド類と尿素
の化合物であるモノメチロール尿素、ジメチロール尿
素、トリメチロール尿素、更にこれらの縮合物である尿
素ホルマリン樹脂、尿素酸塩類としてシュウ酸尿素、燐
酸尿素、硝酸尿素、硫酸尿素、又尿素の複塩類として尿
素石膏、硫酸マグネシウム尿素、硝酸マグネシウム尿
素、硝酸石灰尿素等が挙げられる。アミド化合物として
は、アクリル酸アミド、アミドスルホン酸、アミド燐
酸、アミド硫酸、及びこれらの金属アミドとして、アミ
ドスルホン酸Ca、アミドスルホン酸Mg、アミドスルホン
酸Al、アミドスルホン酸Fe、アミドスルホン酸Zn、その
他アミド燐酸、アミド硫酸等の金属塩類等が挙げられ
る。又アミン化合物としては、脂肪族1級アミン、脂肪
族2級アミン、不飽和脂肪族アミン、脂環式アミン、芳
香族アミン、環状アミン(ヘキサミン、メラミン等)等
が挙げられる。
【0029】本発明に用いられる上記の有機窒素化合物
類は粉末状で鋳物用砂又はその再生砂に添加しても良い
が、予め上記の有機窒素化合物類の水又は溶剤溶液又は
これらのスラリー分散液を調製して添加しても良い。溶
剤溶液にする場合の溶剤としては、エタノール、プロパ
ノール等の低級アルコール、グリセリン、エチレングリ
コール等の多価アルコール、アセトン及びエステル化合
物等の一般周知の溶剤が挙げられる。
【0030】本発明の鋳型用粘結剤組成物を製造するに
は、フェノール・アルデヒド変性樹脂に上記の有機窒素
化合物の中から選ばれる1種以上を単に溶存させても良
いが、フェノール・アルデヒド変性樹脂の反応段階で添
加し、樹脂組成物の化学構造に組み込んでも良い。或
は、鋳型造型しようとする鋳物砂、又は再生砂に樹脂を
混練しようとする時に直接前処理的に上記の有機窒素化
合物を水溶液、溶剤溶液(有機エステルやその他の溶剤
中に溶存させる)、分散液等の形態にして混練しても差
し支えない。
【0031】本発明の鋳型用粘結剤組成物に於ては、本
発明に係わる上記の有機窒素化合物の含量は窒素重量%
としてフェノール・アルデヒド変性樹脂中の固形分に対
して0.05〜5重量%が好ましく、更に好ましくは 0.1〜
2重量%である。窒素重量%が0.05重量%未満では鋳型
造型時及び鋳造時に発生するホルムアルデヒド臭の抑制
効果が殆どなく、一方5重量%を超えると鋳物品質が劣
る等の問題が発生し易くなる場合がある。更にフェノー
ル・アルデヒド変性樹脂中に含有される上記の有機窒素
化合物の窒素重量%が 0.1〜2重量%の範囲がホルムア
ルデヒド臭の抑制効果が非常に発揮され、且つ繰り返し
使用される再生砂で鋳型造型し鋳造しても鋳物品質が特
に問題とならない範囲である。
【0032】本発明の鋳型用粘結剤組成物を使用するこ
とにより、ホルムアルデヒド臭の抑制効果により環境改
善と混練砂の流動性及び充填性を改良できるが、更に界
面活性剤を併用することにより、ホルムアルデヒド臭の
抑制効果に加えて、混練砂の流動性と充填性をより一層
改善することができる。これは尿素、尿素化合物、アミ
ド化合物等の有機窒素化合物と界面活性剤を併用するこ
とにより、双方の効果が相乗的に向上するものと思われ
る。
【0033】本発明に用いられる界面活性剤としては、
ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界
面活性剤、両性界面活性剤等が使用できる。界面活性剤
の具体例としては、アニオン界面活性剤としては、脂肪
酸石鹸(例えばステアリン酸の金属塩)、ロジン酸石
鹸、ナフテン酸石鹸、脂肪酸サルコシド、蛋白質分解物
脂肪酸アミド石鹸等の脂肪酸型界面活性剤が、長鎖アル
コール硫酸エステル塩(例えば2−エチルヘキシル硫酸
エステルの金属塩、オレイル硫酸エステルの金属塩
等)、第二アルコール硫酸エステル塩、オレフィン硫酸
エステル塩、脂肪酸エチレングリコリド硫酸エステル
塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル
塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸エステル
塩、脂肪酸モノグリセリド脂肪酸エステル塩、脂肪酸多
価アルコール硫酸エステル塩、硫酸化油(オリーブ油、
ヒマシ油、牛脂、糠油、綿実油、菜種油、トウモロコシ
油、その他の植物油、マッコウ鯨油、ロウ等)、脂肪酸
アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸アミド硫酸エステル塩
(オレイン酸、リシノール酸アミドの硫酸化物)、脂肪
酸アニリド硫酸エステル塩(オレイン酸アニリドの硫酸
化物)、脂肪酸モノアルカノールアミド硫酸エステル塩
等の硫酸エステル塩型界面活性剤が、アルカン (C8〜C
20)スルホン酸塩、石油スルホン酸塩、α−オレフィン
スルホン酸塩塩、α−スルホ脂肪酸塩、スルホエタノー
ル脂肪酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、脂肪酸ア
ミドスルホン酸塩、アルケニルスルホコハク酸塩、ジア
ルケニルスルホコハク酸塩、スルホコハク酸モノアルキ
ルアミド、ポリオキシエチレンイソオチルフェニルエー
テルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン
縮合物、ナフタレンスルホン酸塩、ジナフチルメタンス
ルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、リグニ
ンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS,
LAS)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ア
ルキル燐酸エステル塩(2−エチルヘキシルホスフェー
ト等)、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテ
ル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノ
ール燐酸エステル塩等のスルホン酸塩及び燐酸エステル
塩型界面活性剤が使用でき、塩の形態としては、K 塩、
Na塩、Li塩、アンモニウム塩等が挙げられ、特に限定さ
れるものではない。
【0034】また、非イオン界面活性剤としては、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキ
ルナフチルエーテル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、
ポリオキシエチレンアビエチルアルコール、ポリオキシ
エチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアミド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピ
レングリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロ
ピレングリコールエチレンジアミン、ポリオキシエチレ
ンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エ
ステル等のポリオキシエチレン型界面活性剤が、エチレ
ングリコールモノ脂肪酸エステル、プロピレングリコー
ルモノ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ脂肪
酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ペンタエ
リトリット脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エス
テル、ソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ソルビタント
リ脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノエ
タノールアミド、脂肪酸モノイソプロパノールアミド等
の多価アルコール型及びアルキロールアミド型界面活性
剤が、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N −アルキ
ルプロピレンジアミン、N −アルキルポリエチレンポリ
アミン、N −アルキルポリエチレンポリアミンジメチル
硫酸塩、アルキルビグアニド、長鎖アミンオキシド等の
アミン型界面活性剤が使用できる。
【0035】また、カチオン界面活性剤としては、長鎖
1級アミン塩(酢酸塩、塩酸塩)、ジアルキルジメチル
アンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム
塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキ
ルピリジニウム塩、アルキルキノリウム塩、アルキルイ
ソキノリウム塩、アルキルピリジニウム硫酸塩、アシル
アミノエチルジエチルアミン塩(蟻酸塩、酢酸塩、乳酸
塩)、アシルアミノエチルメチルジエチルアンモニウム
塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アシルアミノエチ
ルピリジニウム塩、アシルコラミノホルミルメチルピリ
ジニウム塩等の第四級アンモニウム塩及びアミド結合ア
ンモニウム塩型が、ステアリロオキシメチルピリジニウ
ム塩、脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸トリエタノ
ールアミン蟻酸塩、ポリオキシエチレン脂肪酸トリエタ
ノールアミン、脂肪酸ジブチルアミノエタノール、セチ
ルオキシメチルピリジニウム塩、p−イソオクチルフェ
ノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩
等のエステル結合アミン及びエーテル結合を有する第四
級アンモニウム塩型が、アルキルイミダゾリン、1−ヒ
ドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アセ
チルアミノエチル−2−アルキルイミダゾリン、2−ア
ルキル−4−ヒドロキシメチルオキサゾリン及びこれら
の四級塩等の複素環アミン型界面活性剤が使用できる。
【0036】また、両性界面活性剤としては、N −アル
キルトリグリシン、ジメチルアルキルベタイン、N −ア
ルキルオキシメチル−N,N −ジエチルベタイン、アルキ
ルベタイン、N −アルキル−β−アミノプロピオン酸
塩、アルキルジ(アミノエチル)グリシン塩酸塩、ジア
ルキルジエチレントリアミノ酢酸の塩酸塩、N −アルキ
ルタウリン塩、アミノエチルイミダゾリン有機酸塩等が
使用できる。
【0037】その他、フッ素系界面活性剤、シリコン系
界面活性剤等も使用でき、界面活性剤としては特に限定
されない。
【0038】界面活性剤の配合量は特に限定されない
が、好ましくはフェノール・アルデヒド変性樹脂100 重
量部に対して0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5
重量部である。界面活性剤の配合量が上記の範囲を外れ
ると、混練砂の流動性と充填性が悪くなる。
【0039】本発明の鋳型用粘結剤組成物に界面活性剤
を併用する場合、フェノール・アルデヒド変性樹脂に上
記の界面活性剤の中から選ばれる1種種以上を単に溶存
させても良いし、或は、鋳型造型しようとする鋳物砂又
は再生砂にフェノール・アルデヒド変性樹脂を混練しよ
うとする時に直接前処理的に上記の界面活性剤を粉末状
で、或いは水溶液、溶剤溶液(有機エステルやその他の
溶剤中に溶存させる)、分散液等の形態にして混練して
も差し支えない。溶剤溶液にする場合の溶剤としては、
エタノール、プロパノール等の低級アルコール、グリセ
リン、エチレングリコール等の多価アルコール、アセト
ン及びエステル化合物等の一般周知の溶剤が挙げられ
る。
【0040】また、本発明の鋳型用粘結剤組成物に、シ
ランカップリング剤を併用する場合、シランカップリン
グ剤は本発明の鋳型用粘結剤剤組成物 100重量部に対し
て 0.001〜1重量部、好ましくは 0.002〜0.5 重量部を
添加し、通常のプロセスによって鋳型を造型することが
できる。本発明に用いられるシランカップリング剤とし
ては公知のものが用いられるが、好ましいものとしてγ
−アミノプロピルトリエトキシシランやγ−(2−アミ
ノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ
る。本発明においてはこのシランカップリング剤を粘結
剤組成物と併用するのが好ましい。
【0041】本発明の鋳型用粘結剤組成物を用いて鋳型
を製造するには、一般的に自硬性鋳型造型法又はガス硬
化性鋳型造型法が採用される。自硬性鋳型造型法の具体
例としては、耐火性粒状材料 100重量部に、硬化剤であ
る有機エステル0.05〜9重量部を添加混練する。続け
て、本発明の鋳型用粘結剤組成物をアルカリ水溶液の形
態で固形分として 0.1〜15重量部となるように加え、再
び混練する。このようにして得られた混練砂を模型に充
填し、放置して硬化させれば、自硬性鋳型を得ることが
できる。また、ガス硬化性鋳型造型法の具体例として
は、耐火性粒状材料100重量部に対して、本発明の鋳型
用粘結剤組成物をアルカリ水溶液の形態で固形分として
0.1〜15重量部となるように添加して混練する。得られ
た混練砂を、ガス硬化用模型に加圧空気でブローイング
により充填する。次いで、ガス状又はエアロゾル状の有
機エステル0.05〜9重量部を吹き込んで、硬化させれ
ば、ガス硬化性鋳型を得ることができる。
【0042】本発明の鋳型組成物に用いられる硬化剤で
ある有機エステルとしてはラクトン類或は炭素数1〜10
の一価又は多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボ
ン酸より誘導される有機エステルの単独若しくは混合物
が用いられるが、自硬性鋳型造型法ではγ−ブチロラク
トン、プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、ギ酸エ
チル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリ
コールモノアセテート、トリアセチン等を用いるのが好
ましく、特に自硬性鋳型造型法については、かかる化合
物類を上記の有機エステル硬化剤に溶存せしめることが
できる。又、ガス硬化性鋳型造型法ではギ酸メチルを用
いるのが好ましい。更に、ガス状等の有機エステルに代
えて、炭酸ガスを使用して鋳型用粘結剤組成物を硬化さ
せる場合には、粘結剤組成物中に適正量の硼酸、硼酸
塩、アルミン酸塩等のオキシアニオンを有する化合物を
添加し、このオキシアニオンを有する化合物と炭酸ガス
の共働作用によって、フェノール・アルデヒド変性樹脂
を硬化させることができる (特開平1-224263号公報) 。
本発明の鋳型用粘結剤組成物については自硬性鋳型造型
法でもガス硬化性鋳型造型法でも、特に制限されるもの
ではない。
【0043】本発明の鋳型組成物においては、耐火性粒
状材料としては石英質を主成分とする珪砂の他、クロマ
イト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナサンド等の
再生砂が使用される。特に耐火性粒状材料としては再生
後及び/又は回収後の骨材を主成分とするものが好まし
い。
【0044】本発明の鋳型用粘結剤組成物を用いること
により、鋳型の造型時及び鋳造時のホルムアルデヒド臭
気を大幅に抑制し、作業環境を著しく向上させることが
できるものである。その作用としては次の如く推定され
る。即ち、フェノール・アルデヒド変性樹脂に上記有機
窒素化合物類の中から選ばれる1種以上とを存在させる
ことにより、フェノール・アルデヒド変性樹脂が硬化反
応する際、発生するホルムアルデヒドと反応して捕捉す
るためホルムアルデヒド臭が抑制されると考えられる。
【0045】また、本発明の鋳型用粘結剤組成物に界面
活性剤を併用することにより、混練砂の流動性及び充填
性が改善される理由としては、該粘結剤で混練した砂表
面に界面活性剤の疎水基が配向し、潤滑の効果を示し、
混練砂の流動性及び充填性が向上するものと推測され
る。また、尿素等の有機窒素化合物が混練砂の流動性及
び充填性の向上に効果的な理由としては、フェノール・
アルデヒド変性樹脂が硬化剤である有機エステル及び/
又は炭酸ガスにより高分子化する反応誘発時に発生する
ホルムアルデヒドと有機窒素化合物とが反応生成した親
油性の有機窒素化合物−ホルムアルデヒド付加物が生成
するため前記の作用で混練砂の流動性及び充填性が向上
するものと推測される。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0047】〔鋳型用粘結剤組成物水溶液1の調整〕50
%水酸化カリウム水溶液に、表1に示したモル比で定め
られる量のフェノール類とビスフェノール類とアルコー
ル類とを加え、攪拌し溶解させた。この溶液を80℃に保
持しながら、表1に示したモル比で定められる量のアル
デヒド化合物を徐々に加えた。そして、反応溶液中にお
けるフェノール・アルデヒド変性樹脂の重量平均分子量
が2500に達する時点まで80℃で反応を続けた。重量平均
分子量が2500に達する時点の判定は、反応溶液の粘度を
測定することによって行った。反応終了後、室温まで冷
却した後、フェノール類の水酸基のモル数とビスフェノ
ール類の水酸基のモル数の合計モル数に対する、水酸化
カリウムのモル数の比が0.85となるように、50%水酸化
カリウム水溶液を加えた。以上のようにして、フェノー
ル・アルデヒド変性樹脂のアルカリ水溶液を得た。そし
て、表1に示す有機窒素化合物を窒素重量%としてフェ
ノール・アルデヒド変性樹脂中の固形分に対して2%を
添加した。さらに、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシランを、水溶液 100重量部に対して、 0.5重量部
水溶液中に添加した。以上のようにして、鋳型用粘結剤
組成物水溶液を調整した。なお、粘結剤組成物水溶液中
の粘結剤組成物(フェノール・アルデヒド変性樹脂、有
機窒素化合物及びシランカップリング剤)の含有量は50
重量%であった。
【0048】なお、表1中のAなる項目は、フェノール
類のモル数、ビスフェノール類のモル数、もしくはフェ
ノール類のモル数とビスフェノール類のモル数との合計
モル数に対する、アルデヒド化合物のモル数の比であ
る。即ち、〔アルデヒド化合物のモル数/ (フェノール
類のモル数+ビスフェノール類のモル数) 〕である。ま
た、Bなる項目は、フェノール類とビスフェノール類を
併用した場合、フェノール類のモル数に対する、ビスフ
ェノール類のモル数の比である。即ち、〔ビスフェノー
ル類のモル数/フェノール類のモル数〕である。さら
に、Cなる項目は、フェノール類のモル数、ビスフェノ
ール類のモル数、もしくはフェノール類のモル数とビス
フェノール類のモル数との合計のモル数に対する、アル
コール類のモル数の比である。即ち、〔アルコール類の
モル数/ (フェノール類のモル数+ビスフェノール類の
モル数) 〕である。以下、表中のA〜Cは、これと同様
である。
【0049】〔鋳型用粘結剤組成物水溶液2の調整〕50
%水酸化カリウム水溶液に、表1の実施例6に示したモ
ル比で定められる量のフェノール類とビスフェノール類
とアルコール類とを加え、攪拌し溶解させた。この溶液
を80℃に保持しながら、表1の実施例6に示したモル比
で定められる量の50%ホルムアルデヒド水溶液を徐々に
加えた。そして、反応溶液中におけるフェノール・アル
デヒド変性樹脂の重量平均分子量が2500に達する時点ま
で80℃で反応を続けた。重量平均分子量が2500に達する
時点の判定は、反応溶液の粘度を測定することによって
行った。反応終了後、室温まで冷却した後、フェノール
類の水酸基のモル数とビスフェノール類の水酸基のモル
数の合計モル数に対する、水酸化カリウムのモル数の比
が0.85となるように、50%水酸化カリウム水溶液を加え
た。そして、表2に示す有機窒素化合物を窒素重量%と
してフェノール・アルデヒド変性樹脂中の固形分に対し
て2%を添加した。また、表2に示す界面活性剤を固形
分重量%としてフェノール・アルデヒド変成樹脂中の固
形分に対して2%添加した。さらに、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシランを、水溶液 100重量部に対
して、 0.5重量部水溶液中に添加した。以上のようにし
て調整した粘結剤組成物水溶液中の粘結剤組成物 (フェ
ノール・アルデヒド変性樹脂、有機窒素化合物、界面活
性剤及びシランカップリング剤) の含有量は50重量%で
あった。
【0050】〔鋳型用粘結剤組成物水溶液3の調整〕50
%水酸化カリウム水溶液に、表1の実施例6に示したモ
ル比で定められる量のフェノール類とビスフェノール類
とアルコール類とを加え、攪拌し溶解させた。この溶液
を80℃に保持しながら、表1の実施例6に示したモル比
で定められる量の50%ホルムアルデヒド水溶液を徐々に
加えた。そして、反応溶液中におけるフェノール・アル
デヒド変性樹脂の重量平均分子量が1800に達する時点ま
で80℃で反応を続けた。重量平均分子量が1800に達する
時点の判定は、反応溶液の粘度を測定することによって
行った。反応終了後、室温まで冷却した後、フェノール
類の水酸基のモル数とビスフェノール類の水酸基のモル
数の合計モル数に対する、水酸化カリウムのモル数の比
が0.85となるように、50%水酸化カリウム水溶液を加え
た。そして、表3に示す有機窒素化合物を窒素重量%と
してフェノール・アルデヒド変性樹脂中の固形分に対し
て2%を添加した。また、表3に示す界面活性剤を固形
分重量%としてフェノール・アルデヒド変成樹脂中の固
形分に対して2%添加した。さらに、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシランを、水溶液 100重量部に対
して、 0.5重量部水溶液中に添加した。以上のようにし
て調整した粘結剤組成物水溶液中の粘結剤組成物 (フェ
ノール・アルデヒド変性樹脂、有機窒素化合物、界面活
性剤及びシランカップリング剤) の含有量は50重量%で
あった。
【0051】〔鋳型用粘結剤組成物水溶液4の調整〕鋳
型用粘結剤組成物水溶液2の調整の際に、反応終了後に
得られたフェノール・アルデヒド変成樹脂の水溶液90重
量部と、四硼酸ナトリウム・10水和物5重量部と、95%
水酸化カリウム5重量部とを混合して、鋳型用粘結剤組
成物水溶液を調整した。
【0052】実施例1〜13及び比較例1〜3 自硬性鋳型造型法において鋳型造型及び鋳造時に発生す
るホルムアルデヒド臭気を評価した。即ち、砂の種類が
フリーマントル硅砂 100重量部に対し、硬化剤であるト
リアセチン 0.375重量部及び鋳型用粘結剤組成物水溶液
1を 1.5重量部添加混練して成る混合物から造型した鋳
型を用い、鋳物材質FC−25(S/M=3.5 、ここで S/Mとは
鋳型の重量と鋳造物の重量比を表わす)を鋳造した。こ
の時の鋳型造型中及び鋳造終了15分後に発生するホルム
アルデヒド臭気を官能的に評価した。また、この鋳型の
24時間経過後の圧縮強度(kg/cm2)を測定した。更に、同
時に混練砂の流動性・充填性を測定した。即ち、内径50
mm、内部有効長 100mmの試験筒の底部に受台を取り付
け、3mm 目の篩を通して、試験筒に混練砂を粗充填す
る。次に、上部の余分な混練砂をかき落として、「ジョ
ージ・フィシャー社製のコンパクタビリティ・テスタ
ー」にかけ、10kg/cm2のスクイズ圧で加圧した。この後
における混練砂の高さの減少を測定し、この減少高さX
mm〔=C.B.(コンパクタビリティー)〕を混練砂の
流動性・充填性の指標とした。Xが小さい程、混練砂の
流動性及び充填性が良いことを示している。その結果を
表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】* ホルムアルデヒド臭気の評価基準(以下
の実施例及び比較例にても同じ) ◎ ホルムアルデヒド臭気が殆どしない。 ○ ホルムアルデヒド臭気が僅かにする。 △ ホルムアルデヒド臭気がある程度し、目に刺激性が
認められる。 × ホルムアルデヒド臭気が強く、目に刺激性が充分認
められる。
【0055】実施例14〜25及び比較例4 自硬性鋳型造型法において鋳型造型及び鋳造時に発生す
るホルムアルデヒド臭気を評価した。即ち、砂の種類が
フリーマントル硅砂 100重量部に対し、硬化剤であるト
リアセチン 0.375重量部及び鋳型用粘結剤組成物水溶液
2を 1.5重量部添加混練して成る混合物から造型した鋳
型を用い、鋳物材質FC−25(S/M=3.5 、ここで S/Mとは
鋳型の重量と鋳造物の重量比を表わす)を鋳造した。こ
の時の鋳型造型中及び鋳造終了15分後に発生するホルム
アルデヒド臭気を官能的に評価した。また、嵩比重を下
記の方法により測定した。その結果を表2に示す。
【0056】<嵩比重測定方法> 多品種少量生産型高効率鋳造技術連絡会議報告書「有機
鋳型用骨材の嵩比重試験方法」の測定法により、実施例
14〜25及び比較例4で調製したフェノール・アルデヒド
変性樹脂を用いて鋳型を造型したものを、24時間後、こ
の鋳型をばらし、このばらし砂を用いて20℃、60%RHの
環境条件下に24時間放置した後、嵩比重の測定を行なっ
た。嵩比重の値が高い程、砂の充填性及び流動性が良い
ことを示す。
【0057】
【表2】
【0058】実施例26〜33及び比較例5 耐火性粒状材料である珪砂 100重量部に対し、予め準備
した鋳型用粘結剤組成物水溶液3が各々 2.0重量部とな
るように添加し混練して、混練砂を得た。各混練砂を、
50mmφ×50mmhのガス用テストピース枠に充填し、珪砂
100重量部に対して 1.2重量部の蟻酸メチルを注入し、
ガス硬化性鋳型製造法で鋳型を造型した。この時の鋳型
造型中及び鋳造終了15分後に発生するホルムアルデヒド
臭気を官能的に評価した。また、嵩比重を測定した。そ
の結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】実施例34〜41及び比較例6 耐火性粒状材料である珪砂 100重量部に対し、予め準備
した鋳型用粘結剤組成物水溶液4が各々 3.0重量部とな
るように添加し混練して、混練砂を得た。各混練砂を、
50mmφ×50mmhのガス用テストピース枠に充填し、炭酸
ガスを10リットル/分の流速で2分間通気させ、ガス硬
化性鋳型製造法で鋳型を造型した。鋳造終了15分後に発
生するホルムアルデヒド臭気を官能的に評価した。ま
た、嵩比重を測定した。その結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
【発明の効果】上記の実施例で明白な様に、本発明の鋳
型用粘結剤組成物を用いて、有機エステル及び/又は炭
酸ガスにより硬化させることにより、鋳型の造型及び鋳
造時に発生するホルムアルデヒド臭気を大幅に抑制し、
作業環境を著しく向上させ、更に、鋳型強度を改善する
ことができる。また、本発明の鋳型用粘結剤組成物に更
に界面活性剤を併用することにより、鋳型造型用の混練
砂の流動性と充填性を改善することができる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 1/00 - 1/26

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1) で表されるビスフェノ
    ール類から選ばれる1種以上の化合物と、アルデヒド化
    合物と、アルコール類とを共縮合して得られたフェノー
    ル・アルデヒド変性樹脂(A) と、有機窒素化合物(B) と
    を必須成分とすることを特徴とする鋳型用粘結剤組成
    物。 【化1】
  2. 【請求項2】 フェノール類から選ばれる1種以上の化
    合物及び下記の一般式(1) で表されるビスフェノール類
    から選ばれる1種以上の化合物と、アルデヒド化合物
    、アルコール類とを共縮合して得られたフェノール・
    アルデヒド変性樹脂(a) と、有機窒素化合物(b) とを必
    須成分とすることを特徴とする鋳型用粘結剤組成物。 【化2】
  3. 【請求項3】 ビスフェノール類としてビスフェノール
    A又はビスフェノールFを使用する請求項1又は2記載
    の鋳型用粘結剤組成物。
  4. 【請求項4】 フェノール類としてフェノールとクレゾ
    ールとの混合物を使用する請求項2又は3記載の鋳型用
    粘結剤組成物。
  5. 【請求項5】 有機窒素化合物が尿素、尿素化合物、ア
    ミド化合物及びアミン化合物の中から選ばれる1種以上
    である請求項1〜の何れか1項に記載の鋳型用粘結剤
    組成物。
  6. 【請求項6】 更に界面活性剤を含有する請求項1〜
    の何れか1項に記載の鋳型用粘結剤組成物。
  7. 【請求項7】 耐火性骨材 100重量部に対して、請求項
    1〜の何れか1項に記載の鋳型用粘結剤組成物 0.1〜
    15重量部からなる混合物を混練して得られることを特徴
    とする鋳型組成物。
  8. 【請求項8】 耐火性骨材 100重量部に対して、有機エ
    ステル硬化剤0.05〜9重量部、請求項1〜の何れか1
    項に記載の鋳型用粘結剤組成物 0.1〜15重量部からなる
    混合物を混練して得られることを特徴とする鋳型組成
    物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜の何れか1項に記載の鋳型
    用粘結剤組成物を用い、かつ硬化剤として有機エステル
    及び/又は炭酸ガスを用いることを特徴とする鋳型の製
    造方法。
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