JP3170928B2 - 鋳型用粘結剤組成物及び鋳型の製造方法 - Google Patents

鋳型用粘結剤組成物及び鋳型の製造方法

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JP3170928B2 JP02064793A JP2064793A JP3170928B2 JP 3170928 B2 JP3170928 B2 JP 3170928B2 JP 02064793 A JP02064793 A JP 02064793A JP 2064793 A JP2064793 A JP 2064793A JP 3170928 B2 JP3170928 B2 JP 3170928B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳型を製造する際に使
用する粘結剤組成物に関し、砂温が低くても、得られる
鋳型の強度低下を防止し、かつ硬化剤の使用量が少ない
場合においても鋳型強度を改善しうる粘結剤組成物に関
するものである。また、この粘結剤組成物を使用して、
鋳型を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋳型は、耐火性粒状材料と粘
結剤組成物とを混練した混練砂を、模型に充填し、その
後粘結剤組成物中の粘結剤を硬化させることにより製造
されている。粘結剤としては、フラン系樹脂,水溶性フ
ェノール樹脂,ウレタン系樹脂等の各種の硬化性樹脂が
使用されている。この中でも、水溶性フェノール樹脂
は、炭酸ガスで硬化するため、ガス硬化性鋳型製造時の
作業環境の悪化を防止しうるものとして知られている
(特開昭50−130627号公報,特公昭61−43
132号公報,特公昭61−37022号公報)。ここ
で言う水溶性フェノール樹脂は、アルカリ性フェノール
−ホルムアルデヒド樹脂であって、フェノールとホルム
アルデヒドとを、アルカリの存在下で縮重合させたも
の、又は縮重合させた後アルカリを添加したものであ
る。しかしながら、このアルカリ性フェノール−ホルム
アルデヒド樹脂を含有する粘結剤組成物と耐火性状材料
とを混練して、鋳型を製造する場合、フラン系樹脂を含
有する粘結剤組成物を使用した場合に比べて、得られる
鋳型の強度が低いという憾みがあった。
【0003】このため、フェノールに代えてビスフェノ
ールを使用し、ビスフェノールとホルムアルデヒドとを
縮重合させたフェノール系樹脂を粘結剤として使用する
ことが提案されている(特開昭62-40948号公報,特開昭
63-40636号公報)。ここで言うビスフェノールとして
は、ビスフェノールA,ビスフェノールF或いはビスフ
ェノールC等が単独で使用されてなるものであり、従っ
て、得られるフェノール系樹脂はビスフェノールとホル
ムアルデヒドが二元縮重合されてなるものである。
【0004】このビスフェノール−ホルムアルデヒド二
元縮重合樹脂を使用して得られた鋳型は、ある程度その
強度を向上させることができるが、未だ十分に満足のゆ
くものではなかった。即ち、この樹脂と混練される耐火
性粒状材料の温度(砂温)が高い場合には、得られる鋳
型強度は十分に満足のゆくものであるが、砂温が低い
と、鋳型強度の低下が著しいという欠点があった。ま
た、硬化剤の使用量を少なくした場合にも、得られる鋳
型強度の低下が著しいという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者等
は、砂温が低くても、また硬化剤の使用量を少なくして
も、得られる鋳型の強度低下を少なくすることのできる
粘結剤組成物を得るべく、種々研究を行なった。その結
果、単にビスフェノール類とホルムアルデヒドとの二元
縮重合によって得られる粘結剤ではなく、フェノール類
とある特定のビスフェノール類とアルデヒド化合物との
三元共縮重合によって得られるフェノール系樹脂を粘結
剤として用いれば、砂温が低くても、また硬化剤の使用
量を少なくしても、得られる鋳型の強度低下を少なくし
うることを見出し、本発明に到達したのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、フェノ
ール−アルデヒド変性樹脂を主体として含有し、硼酸,
硼酸塩,アルミン酸塩等のオキシアニオンを有する化合
物が添加されてなる炭酸ガス硬化型鋳型用粘結剤組成物
において、該フェノール−アルデヒド変性樹脂が、フェ
ノール類と、下記一般式(1) で表わされるビスフェノー
ル類と、アルデヒド化合物とを共縮重合して得られたも
のであることを特徴とする炭酸ガス硬化型鋳型用粘結剤
組成物に関するものである。また、この鋳型用粘結剤組
成物を使用した鋳型の製造方法に関するものである。
【化2】
【0007】本発明に係る鋳型用粘結剤組成物中には、
フェノール−アルデヒド変性樹脂が主体として含有され
ている。フェノール−アルデヒド変性樹脂は、フェノー
ル類と、上記した一般式(1)で表わされるビスフェノー
ル類と、アルデヒド化合物とを共縮重合して得られるも
のである。フェノール類としては、下記一般式(2)で表
わされる化合物,下記一般式(3)で表わされる化合物,
或いは下記一般式(4)で表わされる化合物等が単独で又
は混合して使用される。
【0008】
【化3】 (式中、R5及びR6は、水素原子又は炭素数2以下の炭
化水素基を表わす。)
【化4】 (式中、R7は、水素原子,水酸基又は炭素数2以下の炭
化水素基を表わす。)
【化5】 (式中、R8は、炭素数3以上の脂肪族炭化水素基又は芳
香族炭化水素基を表わす。)
【0009】フェノール類のうち、一般式(2)で表わさ
れる化合物の具体例としては、フェノール,クレゾー
ル,3,5-キシレノール等が挙げられる。一般式(3)で表
わされる化合物の具体例としては、レゾルシノールやカ
テコール等が挙げられる。また、一般式(4)で表わされ
る化合物の具体例としては、ノニルフェノール,P-tert
-ブチルフェノール,イソプロペニルフェノール,フェ
ニルフェノール等が挙げられる。
【0010】一般基(1)で表わされるビスフェノール類
の具体例としては、ビスフェノールA,ビスフェノール
F,ビスフェノールC,ビスフェノールE,ビスフェノ
ールZ,ビスフェノールS,ビスフェノールAF,ビス
フェノールAP,ジ-sec-ブチル-ビスフェノールA,ジ
-イソプロピル-ビスフェノールA,1,1-エチリデン-ビ
スフェノール,メチル-エチル-メチレン-ビスフェノー
ル,メチル-イソブチル-メチレン-ビスフェノール,メ
チル-ヘキシル-メチレン-ビスフェノール,メチル-フェ
ニル-メチレン-ビスフェノール,4,4'-チオジフェノー
ル等が挙げられ、それらが単独で又は混合して使用され
る。また、アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒ
ド,パラホルムアルデヒド,フルフラール,グリオキザ
ール等が、単独で又は混合して使用される。
【0011】フェノール類と、ビスフェノール類と、ア
ルデヒド化合物とを共縮重合する際、各化合物のモル比
は、以下のとおりであるのが好ましい。即ち、フェノー
ル類のモル数とビスフェノール類のモル数との合計モル
数に対する、アルデヒド化合物のモル数の比が1.0〜5.0
[(フェノール類のモル数+ビスフェノール類のモル
数):アルデヒド化合物のモル数=1:1.0〜5.0]であ
るのが好ましい。特に、アルデヒド化合物のモル数の比
が1.5〜3.0であるのが、より好ましい。アルデヒド化合
物のモル数の比が1.0未満になると、得られたフェノー
ル−アルデヒド変性樹脂を使用して造型しても、鋳型の
強度が十分に向上しない傾向が生じる。逆に、アルデヒ
ド化合物のモル数の比が5.0を超えると、得られたフェ
ノール−アルデヒド変性樹脂のアルデヒド臭が強く、作
業環境が悪くなる恐れがある。また、フェノール類のモ
ル数に対する、ビスフェノール類のモル数の比は、0.00
1〜1000程度が好ましい。特に、ビスフェノールのモル
数の比が0.01〜90であるのが、より好ましい。ビスフェ
ノールのモル数が0.001未満であったり、或いは1000を
超えると、得られる鋳型の強度が十分に向上しない傾向
が生じる。
【0012】フェノール類と、ビスフェノール類と、ア
ルデヒド化合物との共縮重合は、一般的に水溶液中で行
なわれ、フェノール−アルデヒド変性樹脂が得られるの
である。例えば、所定量のフェノール類及びビスフェノ
ール類を溶解させた水溶液中に、所定量のアルデヒド化
合物を徐々に添加しながら、共縮重合させて得るのが好
ましい。この際、反応触媒としては、水酸化カリウム
(KOH)を使用するのが好ましい。本発明におけるフ
ェノール−アルデヒド変性樹脂は、アルカリ性水溶液に
調整されるため、共縮重合の際に所定量の水酸化カリウ
ムを使用しても良いし、また反応触媒として最小限の水
酸化カリウムを使用し、共縮重合を終えたあと、所定量
の水酸化カリウムを添加してもよい。また、共縮重合を
終えたあとにおいて、水酸化カリウムと共に水酸化ナト
リウム(NaOH)や水酸化リチウム(LiOH)を併
用して、所定のアルカリ性になるようにしてもよい。更
に、酸触媒を使用して共縮重合させた後、次いで水酸化
カリウム等のアルカリ触媒を使用して共縮重合を進行さ
せてもよい。フェノール−アルデヒド変性樹脂のアルカ
リ水溶液において、フェノール類の水酸基のモル数とビ
スフェノール類の水酸基のモル数との合計モル数に対す
る、全アルカリのモル数の比は、0.2〜1.2であるのが好
ましい。また、アルカリ水溶液中における、フェノール
−アルデヒド変性樹脂の濃度は、30〜75重量%であるの
が好ましい。
【0013】本発明に係る鋳型用粘結剤組成物は、フェ
ノール−アルデヒド変性樹脂を主体として含有するもの
であるが、その他の物質として、硼酸,硼酸塩,アルミ
ン酸塩等のオキシアニオンを有する化合物が適当量添加
されている。これは、本発明に係る鋳型用粘結剤組成物
を炭酸ガス硬化型にするためである。更に、以下の如き
ものが含有されていてもよい。例えば、得られる鋳型強
度の更なる向上を図るために、シランカップリング剤が
含有されているのが好ましい。シランカップリング剤と
しては、従来公知の各種のものを使用することができ
る。特に、γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン,γ- アミノプロピルトリエトキシシラン,γ-(2-ア
ミノエチル) アミノプロピルトリメトキシシラン,N-グ
リシジル-N,N- ビス[3-(トリメトキシシリル) プロピ
ル] アミン等を使用することができる。
【0014】また、本発明に係る鋳型用粘結剤組成物中
に、ノニオン界面活性剤,カチオン界面活性剤,アニオ
ン界面活性剤,両性界面活性剤等の各種界面活性剤、或
いは尿素,尿素化合物,アミド化合物等の有機窒素化合
物を含有させておくことにより、耐火性粒状材料と混練
した混練砂の流動性や模型への充填性を向上させること
ができる。更に、耐火性粒状材料として再生砂を使用す
る場合には、鋳型用粘結剤組成物中に塩化カルシウムや
酸化アルミニウム等の各種多価金属塩を含有させておく
ことにより、得られる鋳型の強度を更に向上させること
ができる。
【0015】本発明に係る鋳型用粘結剤組成物を使用し
て、鋳型を製造するには、ガス硬化性鋳型造型法が採用
される。ガス硬化性鋳型造型法の具体例としては、耐火
性粒状材料100重量部に対して、本発明に係る鋳型用
粘結剤組成物をアルカリ水溶液の形態で0.4〜15重
量部となるように添加して混練する。得られた混練砂
を、ガス硬化用模型に加圧空気でブローイングにより充
填する。次いで、炭酸ガスを吹き込んで、硬化させれ
ば、ガス硬化性鋳型を得ることができる。なお、炭酸ガ
スを使用して鋳型用粘結剤組成物を硬化させる場合に
は、粘結剤組成物中に適正量の硼酸,硼酸塩,アルミン
酸塩等のオキシアニオンを有する化合物を添加し、この
オキシアニオンを有する化合物と炭酸ガスの共働作用に
よって、フェノール−アルデヒド変性樹脂を硬化させる
ことは、言うまでもない(特開平1−224263号公
報)。
【0016】鋳型を製造する際に使用する耐火性粒状材
料としては、従来公知の各種のものを使用することがで
き、例えば、石英質を主成分とする珪砂,クロマイト
砂,ジルコン砂,オリビン砂,アルミナ砂,ムライト
砂,合成ムライト砂等を使用することができる。また、
耐火性粒状材料として、これらの再生砂や回収砂を主体
とするものも使用することができるのは、言うまでもな
い。
【0017】
【実施例】[鋳型用粘結剤組成物水溶液1の調整] 50%水酸化カリウム水溶液に、表に示したモル比で
定められる量のフェノール類とビスフェノール類を加
え、攪拌し溶解させた。この溶液を80℃に保持しなが
ら、表1に示したモル比で定められる量のアルデヒド化
合物を徐々に加えた。そして、反応溶液中におけるフェ
ノール−アルデヒド変性樹脂の重量平均分子量が180
に達する時点まで80℃で反応を続けた。重量平均分
子量が1800に達する時点の判定は、反応溶液の粘度
を測定することによって行なった。反応終了後、室温ま
で冷却したあと、フェノール類のモル数とビスフェノー
ル類のモル数の合計モル数に対する、水酸化カリウムの
モル数の比が0.85となるように、50%水酸化カリ
ウム水溶液を加えた。以上のようにして、フェノール−
アルデヒド変性樹脂のアルカリ水溶液を得た。このアル
カリ水溶液25重量部と、四硼酸ナトリウム・10水和
物5重量部と、50%水酸化カリウム5重量部とを混合
し、この混合物100重量部に対して、γ- グリシドキ
シプロピルトリメトキシシランを、0.5重量部水溶液
中に添加した。以上のようにして、種の鋳型用粘結剤
組成物水溶液を調整した。なお、粘結剤組成物水溶液中
の粘結剤組成物(フェノール−アルデヒド変性樹脂及び
シランカップリング剤)の含有量は、50重量%であっ
た。
【0018】なお、表中のAなる項目は、フェノール
類のモル数とビスフェノール類のモル数との合計モル数
に対する、アルデヒド化合物のモル数の比である。即
ち、[アルデヒド化合物/(フェノール類のモル数+ビ
スフェノール類のモル数)]である。また、Bなる項目
は、フェノール類のモル数に対する、ビスフェノール類
のモル数の比である。即ち、[フェノール類のモル数/
ビスフェノール類のモル数)]である。以下、表中のA
及びBは、これと同様である。
【0019】
【0020】
【0021】[鋳型用粘結剤組成物水溶液の調整] 50%水酸化カリウム水溶液に、フェノールを加え、攪
拌し溶解させた。この溶液を80℃に保持しながら、フ
ェノールのモル数に対して、1.5のモル数の比となる
ようにホルムアルデヒドを徐々に加えた。そして、反応
溶液中におけるフェノール−ホルムアルデヒド樹脂の重
量平均分子量が1800に達する時点まで80℃で反応
を続けた。反応終了後、室温まで冷却したあと、フェノ
ールのモル数に対する、水酸化カリウムのモル数の比が
0.85になるように、50%水酸化カリウム水溶液を
加えた。以上のようにして、フェノール−ホルムアルデ
ヒド樹脂のアルカリ水溶液を得た。このアルカリ水溶液
25重量部と、四硼酸ナトリウム・10水和物5重量部
と、50%水酸化カリウム5重量部とを混合し、この混
合物100重量部に対して、γ- グリシドキシプロピル
トリメトキシシランを、0.5重量部水溶液中に添加し
た。以上のようにして、1種の鋳型用粘結剤組成物水溶
液を調整した。なお、粘結剤組成物水溶液中の粘結剤組
成物(フェノール−ホルムアルデヒド樹脂及びシランカ
ップリング剤)の含有量は、50重量%であった。
【0022】[鋳型用粘結剤組成物水溶液の調整] 50%水酸化カリウム水溶液に、ビスフェノールAを加
え、攪拌し溶解させた。この溶液を80℃に保持しなが
ら、ビスフェノールAのモル数に対して、3.0のモル
数の比となるようにホルムアルデヒドを徐々に加えた。
そして、反応溶液中におけるビスフェノールA−ホルム
アルデヒド樹脂の重量平均分子量が1800に達する時
点まで80℃で反応を続けた。反応終了後、室温まで冷
却したあと、ビスフェノールAのモル数に対する、水酸
化カリウムのモル数の比が0.85になるように、50
%水酸化カリウム水溶液を加えた。以上のようにして、
ビスフェノールA−ホルムアルデヒド樹脂のアルカリ水
溶液を得た。このアルカリ水溶液25重量部と、四硼酸
ナトリウム・10水和物5重量部と、50%水酸化カリ
ウム5重量部とを混合し、この混合物100重量部に対
して、γ- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
を、0.5重量部水溶液中に添加した。以上のようにし
て、1種の鋳型用粘結剤組成物水溶液を調整した。な
お、粘結剤組成物水溶液中組成物(ビスフェノールA−
ホルムアルデヒド樹脂及びシランカップリング剤)の含
有量は、50重量%であった。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】実施例1〜4 耐火性粒状材料である珪砂(砂温10℃又は35℃)1
00重量部に対し、予め準備した4種の鋳型用粘結剤組
成物水溶液が各々3.0重量部となるように添加し混
練して、4種の混練砂を得た。各混練砂を、50mmφ
×50mmhのガス用テストピース枠に充填し、炭酸ガ
スを10リットル/分の流速で2分間通気させ、ガス硬
化性鋳型製造法で鋳型を造型した。そして、この鋳型の
24時間経過後の圧縮強度(kg/cm2)を測定し
た。その結果を表に示した。また、圧縮強度の低下率
も測定し、その結果を表1に示した。圧縮強度の低下率
は、[(砂温35℃における24時間経過後の鋳型の圧
縮強度−砂温10℃における24時間経過後の鋳型の圧
縮強度)/砂温35℃における24時間経過後の鋳型の
圧縮強度]×100なる式で算出したものである。
【0031】比較例1〜4 鋳型用粘結剤組成物水溶液に代えて、鋳型用粘結剤組
成物水溶液(比較例)、鋳型用粘結剤組成物水溶液
(比較例)、及び鋳型用粘結剤組成物水溶液2と3
の混合水溶液(比較例3及び4)を用いる以外は、実施
と同様にして鋳型を得た。そして、この鋳型を使用
し、得られた鋳型の24時間経過後の圧縮強度(kg/
cm2)等を、実施例1と同様にして測定した。その結
果も表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】実施例5〜8 耐火性粒状材料である珪砂(砂温は35℃)100重量
部に対し、予め準備した4種の鋳型用粘結剤組成物水溶
が各々3.0重量部となるように添加し混練して、
4種の混練砂を得た。各混練砂を、50mmφ×50m
mhのガス用テストピース枠に充填し、炭酸ガスを10
リットル/分の流速で且つ表2に示した時間(分)で通
気させ、ガス硬化性鋳型製造法で鋳型を造型した。そし
て、実施例1と同様にして鋳型の24時間経過後の圧縮
強度(kg/cm2)等を測定した。ただ、圧縮強度の
低下率は、〔(硬化剤通気量が多い場合の鋳型の圧縮強
度−硬化剤通気量が少ない場合の鋳型の圧縮強度)/硬
化剤通気量が多い場合の鋳型の圧縮強度〕×100なる
式で算出したものである。その結果を表に示した。な
お、表中には、ビスフェノール類の種類等を表と同
様に記載しておいた。
【0041】比較例5〜8 鋳型用粘結剤組成物水溶液に代えて、鋳型用粘結剤組
成物水溶液(比較例)、鋳型用粘結剤組成物水溶液
(比較例)、及び鋳型用粘結剤組成物水溶液2と3
の混合水溶液(比較例7及び8)を用いる以外は、実施
と同様にして鋳型を得た。そして、この鋳型を使用
し、得られた鋳型の24時間経過後の圧縮強度(kg/
cm2)等を、実施例と同様にして測定した。その結
果も表に示した。
【0042】
【表2】
【0043】表1の結果から明らかなように、フェノー
ル類とビスフェノール類とアルデヒド化合物との三種の
化合物を三元共縮重合させたフェノール−アルデヒド変
性樹脂を粘結剤組成物の主体として使用して鋳型を製造
すれば、一種のフェノール類又は一種のビスフェノール
類と、ホルムアルデヒドとを二元縮重合させたフェノー
ル−ホルムアルデヒド樹脂,ビスフェノール−ホルムア
ルデヒド樹脂,或いはこれらの混合物を粘結剤組成物の
主体として使用した場合に比較して、得られた鋳型の圧
縮強度が向上していることが分かる。また、砂温の低下
による、得られる鋳型の圧縮強度の低下率も少なくなっ
ていることが分かる。従って、実施例1〜に係る方法
で得られた鋳型は、比較例1〜に係る方法で得られた
鋳型に比べて、その圧縮強度の値が高く、且つ砂温低下
による圧縮強度の低下率も低いものである。また、表
の結果から明らかなように、実施例に係る鋳型用粘結剤
組成物水溶液を使用した場合には、比較例に係る鋳型用
粘結剤組成物水溶液を使用した場合に比べて、硬化剤
ある炭酸ガスの通気量を少なくしても、得られる鋳型の
圧縮強度の低下率が少ないことが分かる。従って、実施
5〜8に係る方法で得られた鋳型は、比較例5〜8
係る方法で得られた鋳型に比べて、硬化剤である炭酸ガ
スの通気量を少なくしても、高圧縮強度の鋳型を得るこ
とができるのである。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、ある特定のフェノ
ール−アルデヒド変性樹脂を主体として含有する、本発
明に係る鋳型用粘結剤組成物を使用し、耐火性粒状材料
と混練して鋳型を得れば、従来のフェノール−ホルムア
ルデヒド樹脂及び/又はビスフェノール−ホルムアルデ
ヒド樹脂を主体として含有するものを使用した場合に比
べて、その鋳型の圧縮強度を向上させることができる。
従って、本発明に係る鋳型用粘結剤組成物を使用して得
られた鋳型を用いて鋳造すれば、注湯時に鋳型の表面が
浸蝕されにくく、優れた品質の鋳物を得ることができる
という効果を奏する。
【0045】また、本発明に係る鋳型用粘結剤組成物を
使用すれば、耐火性粒状材料の砂温が低くても、また硬
化剤の量が少なくても、高圧縮強度の鋳型を得ることが
できる。従って、鋳型を製造する前に、耐火性粒状材料
を加熱して温めることを回避でき、鋳型の製造工程が簡
略化できる。更に、耐火性粒状材料を加熱するためのエ
ネルギーが不要になり、或いは少なくすることができ
る。更にまた、硬化剤の量を少なくしうるので、硬化剤
に要するコストを削減することができる。依って、本発
明に係る鋳型用粘結剤組成物を使用すれば、鋳型の製造
を合理化しうるという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−142016(JP,A) 特開 昭53−58430(JP,A) 特開 昭62−40948(JP,A) 特開 平4−339535(JP,A) 特開 平5−123818(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 1/00 - 1/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール−アルデヒド変性樹脂を主体
    として含有し、硼酸,硼酸塩,アルミン酸塩等のオキシ
    アニオンを有する化合物が添加されてなる炭酸ガス硬化
    鋳型用粘結剤組成物において、該フェノール−アルデ
    ヒド変性樹脂が、フェノール類と、下記一般式(1)で
    表わされるビスフェノール類と、アルデヒド化合物とを
    共縮重合して得られたものであることを特徴とする炭酸
    ガス硬化型鋳型用粘結剤組成物。 【化1】
  2. 【請求項2】 フェノール類のモル数とビスフェノール
    類のモル数との合計モル数に対する、アルデヒド化合物
    のモル数の比が1.0〜5.0である請求項1記載の
    酸ガス硬化型鋳型用粘結剤組成物。
  3. 【請求項3】 フェノール類のモル数に対する、ビスフ
    ェノール類のモル数の比が0.001〜1000である
    請求項1又は2記載の炭酸ガス硬化型鋳型用粘結剤組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3記載の鋳型用粘結剤
    組成物を用い、且つ硬化剤として炭酸ガスを用いること
    を特徴とする鋳型の製造方法。
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