JP2504672C - - Google Patents

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JP2504672C
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は自硬性鋳型及びガス硬化性鋳型における有機エステル硬化型鋳物砂用
粘結剤組成物の改良に関するものであり、更に詳しくは水溶性フェノール樹脂を
粘結剤として用い、これを有機エステルにより硬化させるプロセスに用いられる
改良された鋳物砂用粘結剤組成物に関するものである。 【0002】 また、本発明はかかる鋳物砂用粘結剤組成物を配合した鋳型組成物に関するも
のである。 【0003】 【従来の技術】 有機粘結剤を用いて主型や中子のような鋳型を製造する造型法として、自硬性
鋳型法、コールドボックス鋳型法、クローニング法(シェル法)は公知である。
特に有機自硬性鋳型造型法は機械鋳物分野を中心に生産性、鋳物品質、安全衛生
上の観点から無機系に代わって既に汎用的な造型法となっている。 一方、従来、中、高速で鋳型を製造するにはフェノール樹脂を粒状耐火物に被
覆した、所謂コーテッドサンド(Coated Sand)を加熱硬化して鋳型を製造するク
ローニング法が幅広く使用されている。 しかし、鋳型製造時の省エネルギー、鋳型生産速度、更に鋳型、鋳物の品質を
改善するために、ガス状又はエロゾル状物質で常温硬化させるコールドボックス
鋳型法がクローニング法を代替する鋳型の製造法として鋳物業界で真剣に導入が
試みられてきている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 有機自硬性鋳型造型法及びガス硬化性鋳型造型法に用いられる粘結剤組成物と
して、水溶性フェノール樹脂を粘結剤とし、これを有機エステルで硬化せしめる
鋳物砂用粘結剤組成物が、特開昭50−130627号公報、特開昭58−154433号公報、
特開昭58−154434号公報等により公知である。 この粘結剤組成物を用いた鋳型造型法では粘結剤組成物中に硫黄元素を含まな
いため、酸硬化性樹脂を用いた鋳物造型法に比較して浸硫による影響が少ないと
いう特徴を有する反面、特に造型時及び鋳造時に発生するホルムアルデヒド臭気
による作業環境及び該粘結剤を用いた混練砂の流動性及び充填性の改善等に課題
があった。 【0005】 また、水溶性フェノール樹脂を用いた混練砂は、フラン樹脂やフェノールウレ
タン樹脂等を用いた場合に比べ混練砂の流動性及び模型等への充填性が悪い。こ
のため、樹脂の混練ムラや造型された鋳型の表面強度の低下及び鋳型表面の凹凸
が発生するため、鋳造された鋳物に欠陥が発生する。具体的には砂カミ、焼着、
差し込み、絞られ等の鋳物欠陥が発生し、品質低下の原因となり、その改善が要
望されている。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは上記問題点を解決すべく鋭意研究の結果、水溶性フェノール樹脂
を粘結剤とし、これを有機エステルにより硬化させる鋳物砂用粘結剤組成物にお
いて、水溶性フェノール樹脂にホルムアルデヒド捕捉剤として、尿素及び尿素化
合物から選ばれる有機窒素化合物を特定比率で併用してなる有機エステル硬化型
鋳物砂用粘結剤組成物を使用することにより、鋳物砂型の造型及び鋳造時に発生
するホルムアルデヒド臭気を大幅に抑制し、作業環境を著しく向上させ、また混
練砂の流動性と充填性を改善でき、その結果、鋳物欠陥のない優れた鋳型を製造
できることを見出し、本発明を完成するに到ったものである。 【0007】 することを特徴とする有機エステル硬化型鋳物砂用粘結剤組成物、及び耐火性骨
材100 重量部に対して、有機エステル硬化剤0.05〜9重量部、前記の鋳物砂用粘
結剤組成物0.4 〜15重量部からなる混合物を混練して得られることを特徴とする
鋳型組成物に関する。 【0008】 本発明で用いられる水溶性フェノール樹脂は、有機エステルで硬化可能な樹脂
であり、例えばフェノール、クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノール
、ビスフェノールA、その他の置換フェノールを含めたフェノール類を、大量の
アルカリ性物質の水溶液の中でホルムアルデヒド単独或はアセトアルデヒド、フ
ルフラールアルデヒド及びアルデヒドの混合物等のアルデヒドとの併用による反
応によって得られるフェノール樹脂が挙げられるが、ホルムアルデヒド単独が好
ましい。これらの水溶性フェノール樹脂の製造の際に用いられる適当なアルカリ
性触媒は、アルカリ金属の水酸化物である水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム及びこれらの混合物であるが、水酸化カリウムが最も好ましい。
水溶性フェノール樹脂は、粉末状で鋳物用砂又はその再生砂に添加しても良いが
、予め上記の有機窒素化合物類の水溶液又はこれらのスラリー分散液を調製して 添加しても良い。 【0009】 本発明に於ては有機窒素化合物として、尿素及び尿素化合物から選ばれる有機
窒素化合物が用いられる。 【0010】 本発明において用いられる尿素としては、粒状尿素、尿素水溶液、又はその他
の溶剤に溶かした尿素でも良い。尿素化合物としては、アルデヒド類と尿素の化
合物であるモノメチロール尿素、ジメチロール尿素、トリメチロール尿素、更に
これらの縮合物である尿素ホルマリン樹脂、尿素酸塩類としてシュウ酸尿素、燐
酸尿素、硝酸尿素、硫酸尿素、又尿素の複塩類として尿素石膏、硫酸マグネシウ
ム尿素、硝酸マグネシウム尿素、硝酸石灰尿素等が挙げられる 【0011】 本発明に用いられる上記の有機窒素化合物類は粉末状で鋳物用砂又はその再生
砂に添加しても良いが、予め上記の有機窒素化合物類の水又は溶剤溶液又はこれ
らのスラリー分散液を調製して添加しても良い。溶剤溶液にする場合の溶剤とし
ては、エタノール、プロパノール等の低級アルコール、グリセリン、エチレング
リコール等の多価アルコール、アセトン及びエステル化合物等の一般周知の溶剤
が挙げられる。 【0012】 又は再生砂に樹脂を混練しようとする時に直接前処理的に上記の有機窒素化合物
を水溶液、溶剤溶液(有機エステルやその他の溶剤中に溶存させる)、分散液等
の形態にして混練しても差し支えない。 【0013】 本発明の鋳物砂用粘結剤組成物に於ては、本発明に係わる上記の有機窒素化合 窒素重量%が 0.1重量%未満では鋳型造型時及び鋳造時に発生するホルムアルデ が発生し易くなる場合がある。 更に水溶性フェノール樹脂中に含有される上記の有機窒素化合物の窒素重量%
が0.1 〜5重量%の範囲がホルムアルデヒド臭の抑制効果が非常に発揮され、且
つ繰り返し使用される再生砂で鋳型造型し鋳造しても鋳物品質が特に問題となら
ない範囲である。 【0014】 本発明の鋳物砂用粘結剤組成物を使用することにより、ホルムアルデヒド臭の
抑制効果により環境改善と混練砂の流動性及び充填性を改良できるが、更に界面
活性剤を併用することにより、ホルムアルデヒド臭の抑制効果に加えて、混練砂
の流動性と充填性をより一層改善することができる。これは尿素及び尿素化合物
から選ばれる有機窒素化合物と界面活性剤を併用することにより、双方の効果が
相乗的に向上するものと思われる。 【0015】 本発明に用いられる界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面
活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が使用できる。界面活性剤の具
体例としては、アニオン界面活性剤としては、脂肪酸石鹸(例えばステアリン酸
の金属塩)、ロジン酸石鹸、ナフテン酸石鹸、脂肪酸サルコシド、蛋白質分解物
脂肪酸アミド石鹸等の脂肪酸型界面活性剤が、長鎖アルコール硫酸エステル塩(
例えば2−エチルヘキシル硫酸エステルの金属塩、オレイル硫酸エステルの金属
塩等)、第二アルコール硫酸エステル塩、オレフィン硫酸エステル塩、脂肪酸エ
チレングリコリド硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エ
ステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸エステル塩、脂肪酸モノグ
リセリド脂肪酸エステル塩、脂肪酸多価アルコール硫酸エステル塩、硫酸化油(
オリーブ油、ヒマシ油、牛脂、糠油、綿実油、菜種油、トウモロコシ油、その他
の植物油、マッコウ鯨油、ロウ等)、脂肪酸アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸ア
ミド硫酸エステル塩(オレイン酸、リシノール酸アミドの硫酸化物)、脂肪酸ア
ニリド硫酸エステル塩(オレイン酸アニリドの硫酸化物)、脂肪酸モノアルカノ
ールアミド硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩型界面活性剤が、アルカン(C8
C20)スルホン酸塩、石油スルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩塩、α−ス ルホ脂肪酸塩、スルホエタノール脂肪酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、脂
肪酸アミドスルホン酸塩、アルケニルスルホコハク酸塩、ジアルケニルスルホコ
ハク酸塩、スルホコハク酸モノアルキルアミド、ポリオキシエチレンイソオチル
フェニルエーテルスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、ナ
フタレンスルホン酸塩、ジナフチルメタンスルホン酸塩、アルキルフェノールス
ルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS,LAS)
、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキル燐酸エステル塩(2−
エチルヘキシルホスフェート等)、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエー
テル燐酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノール燐酸エステル塩等
のスルホン酸塩及び燐酸エステル塩型界面活性剤が使用でき、塩の形態としては
、K 塩、Na塩、Li塩、アンモニウム塩等が挙げられ、特に限定されるものではな
い。 【0016】 また、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナ
フチルエーテル、ポリオキシエチレン化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアビエチ
ルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルチオエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルアミド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、ポリ
オキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエチレンジアミン、ポリオキ
シエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンジ脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビ
タンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタントリ脂肪酸エステル等
のポリオキシエチレン型界面活性剤が、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル
、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ脂肪酸
エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ペンタエリトリット脂肪酸エステル
、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンセスキ脂肪酸エステル、ソルビタ
ントリ脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノエタノールアミド、脂
肪酸モノイソプロパノールアミド等の多価アルコール型及びアルキロールアミド
型界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルアミン、N −アルキルプロピレン ジアミン、N −アルキルポリエチレンポリアミン、N −アルキルポリエチレンポ
リアミンジメチル硫酸塩、アルキルビグアニド、長鎖アミンオキシド等のアミン
型界面活性剤が使用できる。 【0017】 また、カチオン界面活性剤としては、長鎖1級アミン塩(酢酸塩、塩酸塩)、
ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルエチルアンモニウム塩、
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル
キノリウム塩、アルキルイソキノリウム塩、アルキルピリジニウム硫酸塩、アシ
ルアミノエチルジエチルアミン塩(蟻酸塩、酢酸塩、乳酸塩)、アシルアミノエ
チルメチルジエチルアンモニウム塩、脂肪酸ポリエチレンポリアミド、アシルア
ミノエチルピリジニウム塩、アシルコラミノホルミルメチルピリジニウム塩等の
第四級アンモニウム塩及びアミド結合アンモニウム塩型が、ステアリロオキシメ
チルピリジニウム塩、脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸トリエタノールアミ
ン蟻酸塩、ポリオキシエチレン脂肪酸トリエタノールアミン、脂肪酸ジブチルア
ミノエタノール、セチルオキシメチルピリジニウム塩、p−イソオクチルフェノ
キシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩等のエステル結合アミン及
びエーテル結合を有する第四級アンモニウム塩型が、アルキルイミダゾリン、1
−ヒドロキシエチル−2−アルキルイミダゾリン、1−アセチルアミノエチル−
2−アルキルイミダゾリン、2−アルキル−4−ヒドロキシメチルオキサゾリン
及びこれらの四級塩等の複素環アミン型界面活性剤が使用できる。 【0018】 また、両性界面活性剤としては、N −アルキルトリグリシン、ジメチルアルキ
ルベタイン、N −アルキルオキシメチル−N,N −ジエチルベタイン、アルキルベ
タイン、N −アルキル−β−アミノプロピオン酸塩、アルキルジ(アミノエチル
)グリシン塩酸塩、ジアルキルジエチレントリアミノ酢酸の塩酸塩、N −アルキ
ルタウリン塩、アミノエチルイミダゾリン有機酸塩等が使用できる。 【0019】 その他、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等も使用でき、界面活性
剤としては特に限定されない。 【0020】 界面活性剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは水溶性フェノール樹脂
100 重量部に対して0.01〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部である。界
面活性剤の配合量が上記の範囲を外れると、混練砂の流動性と充填性が悪くなる
。 【0021】 本発明の鋳物砂用粘結剤組成物に界面活性剤を併用する場合、水溶性フェノー
ル樹脂に上記の界面活性剤の1種又は2種以上を単に溶存させても良いし、或は
、鋳型造型しようとする鋳物砂又は再生砂に水溶性フェノール樹脂を混練しよう
とする時に直接前処理的に上記の界面活性剤を粉末状で、或いは水溶液、溶剤溶
液(有機エステルやその他の溶剤中に溶存させる)、分散液等の形態にして混練
しても差し支えない。溶剤溶液にする場合の溶剤としては、エタノール、プロパ
ノール等の低級アルコール、グリセリン、エチレングリコール等の多価アルコー
ル、アセトン及びエステル化合物等の一般周知の溶剤が挙げられる。 【0022】 また、本発明の鋳物砂用粘結剤組成物に、シランカップリング剤を併用する場
合、シランカップリング剤は本発明の鋳物砂用粘結剤剤組成物 100重量部に対し
て 0.001〜1重量部、好ましくは 0.002〜0.5 重量部を添加し、通常のプロセス
によって鋳型を造型することができる。本発明に用いられるシランカップリング
剤としては公知のものが用いられるが、好ましいものとしてγ−アミノプロピル
トリエトキシシランやγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。本発明に
おいてはこのシランカップリング剤を粘結剤組成物と併用するのが好ましい。 【0023】 本発明の鋳物砂用粘結剤組成物を用いて鋳物用砂型を自硬性鋳型造型法によっ
て製造するには、耐火性粒状材料 100重量部に、硬化剤である有機エステル0.05
〜9重量部、好ましくは 0.1〜5重量部及び本発明の鋳物砂用粘結剤組成物0.4
〜15重量部、好ましくは 0.6〜5重量部を周知の方法で混練し鋳型組成物を得、
従来の自硬性鋳型製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる 。 【0024】 本発明の鋳型組成物に用いられる硬化剤である有機エステルとしてはラクトン
類或は炭素数1〜10の一価又は多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボン酸
より誘導される有機エステルの単独若しくは混合物が用いられるが、自硬性鋳型
造型法ではγ−ブチロラクトン、プロピオラクトン、ε−カプロラクトン、ギ酸
エチル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート
、トリアセチン等を用いるのが好ましく、特に自硬性鋳型造型法については、か
かる化合物類を上記の有機エステル硬化剤に溶存せしめることかできる。又、ガ
ス硬化性鋳型造型法ではギ酸メチルを用いるのが好ましい。本発明の鋳物砂用粘
結剤組成物については自硬性鋳型造型法でもガス硬化性鋳型造型法でも、特に制
限されるものではない。 【0025】 本発明の鋳型組成物においては、耐火性粒状材料としては石英質を主成分とす
る珪砂の他、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナサンド等の再生
砂が使用される。特に耐火性粒状材料としては再生後及び/又は回収後の骨材を
主成分とするものが好ましい。 【0026】 本発明の鋳物砂用粘結剤組成物を用いることにより、鋳物砂型の造型時及び鋳
造時のホルムアルデヒド臭気を大幅に抑制し、作業環境を著しく向上させること
ができるものである。その作用としては次の如く推定される。即ち、水溶性フェ
ノール樹脂に上記有機窒素化合物類の1種又は2種以上とを存在させることによ
り、水溶性フェノール樹脂が硬化反応する際、発生するホルムアルデヒドと反応
して捕捉するためホルムアルデヒド臭が抑制されると考えられる。 【0027】 また、本発明の鋳物砂用粘結剤組成物に界面活性剤を併用することにより、混
練砂の流動性及び充填性が改善される理由としては、該粘結剤で混練した砂表面
に界面活性剤の疎水基が配向し、潤滑の効果を示し、混練砂の流動性及び充填性
が向上するものと推測される。また、尿素等の有機窒素化合物が混練砂の流動性 及び充填性の向上に効果的な理由としては、水溶性フェノール樹脂が硬化剤であ
る有機エステルにより高分子化する反応誘発時に発生するホルムアルデヒドと有
機窒素化合物とが反応生成した親油性の有機窒素化合物−ホルムアルデヒド付加
物が生成するため前記の作用で混練砂の流動性及び充填性が向上するものと推測
される。 【0028】 【実施例】 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。 【0029】 実施例1〜及び比較例1 自硬性鋳型造型法において鋳型造型及び鋳造時に発生するホルムアルデヒド臭
気を評価した。 即ち、砂の種類がフリーマントル硅砂 100重量部に対し、硬化剤であるトリア
セチン 0.375重量部、グリシドキシシラン 0.5重量%(対フェノール樹脂)及び
表1に示す化合物を窒素重量%として2%(水溶性フェノール樹脂中)を含有す
る水溶性フェノール樹脂(固形分49%、重量平均分子量2300、粘度100cps)組成
物を 1.5重量部添加混練して成る混合物から造型した鋳型を用い、鋳物材質FC−
25(S/M=3.5 、ここで S/Mとは鋳型の重量と鋳造物の重量比を表わす)を鋳造し
た。この時の鋳型造型中及び鋳造終了15分後に発生するホルムアルデヒド臭気を
官能的に評価した。その結果を表1に示す。 尚、フェノールとホルムアルデヒドとのモル比(仕込みモル比)は、ホルムア
ルデヒド/フェノール=1.8 、又フェノールと水酸化カリウムとのモル比(仕込
みモル比)は、水酸化カリウム/フェノール=0.9 であった。 【0030】 【表1】 【0031】 * ホルムアルデヒド臭気の評価基準(以下の実施例及び比較例にても同じ) ◎ ホルムアルデヒド臭気が殆どしない。 ○ ホルムアルデヒド臭気が僅かにする。 △ ホルムアルデヒド臭気がある程度し、目に刺激性が認められる。 × ホルムアルデヒド臭気が強く、目に刺激性が充分認められる。 【0032】 自硬性鋳型造型法において鋳型造型及び鋳造時に発生するホルムアルデヒド臭
気及び鋳物品質を評価した。 即ち、砂の種類がフリーマントル硅砂 100重量部に対し、硬化剤であるトリア
セチン 0.375重量部、グリシドキシシラン 0.5重量%(対フェノール樹脂)及び
水溶性フェノール樹脂中に窒素重量%がそれぞれ表2に示す値となるように有機
窒素化合物類を溶存させた水溶性フェノール樹脂(固形分49%、重量平均分子量
2300、粘度100cps)を 1.5重量部添加混練して成る混合物から造型した鋳型を用
い、鋳物材質FC−25(S/M=3.5 、ステップコーン)を鋳造した。この時の鋳型造 型中及び鋳造終了15分後に発生するホルムアルデヒド臭気を官能的に評価した後
、鋳物品質を観察した。その結果を表2に示す。 【0033】 【表2】 【0034】 自硬性鋳型造型法において、粘結剤組成物に界面活性剤を併用した場合の鋳型
造型及び鋳造時に発生するホルムアルデヒド臭気を評価した。 即ち、砂の種類がフリーマントル硅砂 100重量部に対し、硬化剤であるトリア
セチン 0.375重量部、グリシドキシシラン 0.5重量%(対フェノール樹脂)及び
表3に示す化合物を窒素重量%として2%(水溶性フェノール樹脂中)及び表3
に示す各種界面活性剤を2重量%(水溶性フェノール樹脂中)を含有する水溶性
フェノール樹脂(固形分49%、重量平均分子量2300、粘度100cps)組成物を 1.5
重量部添加混練して成る混合物から造型した鋳型を用い、鋳物材質FC−25(S/M=
3.5 、ここで S/Mとは鋳型の重量と鋳造物の重量比を表わす)を鋳造した。この
時の鋳型造型中及び鋳造終了15分後に発生するホルムアルデヒド臭気を官能的に
評価した。その結果を表3に示す。 尚、フェノールとホルムアルデヒドとのモル比(仕込みモル比)は、ホルムア
ルデヒド/フェノール=1.8 、又フェノールと水酸化カリウムとのモル比(仕込
みモル比)は、水酸化カリウム/フェノール=0.9 であった。 また、嵩比重を以下の方法により測定した。その結果を表3に示す。 <嵩比重測定方法> 多品種少量生産型高効率鋳造技術連絡会議報告書「有機鋳型用骨材の嵩比重試 ル樹脂を用いて鋳型を造型したものを、24時間後、この鋳型をばらし、このばら
し砂を用いて20℃、60%RHの環境条件下に24時間放置した後、嵩比重の測定を行
なった。嵩比重の値が高い程、砂の充填性及び流動性が良いことを示す。 【0035】 【表3】 【0036】 注) 表中、POE はポリオキシエチレンの略であり、PEG はポリエチレングリコール
の略である。 【0037】 自硬性鋳型造型法において、粘結剤組成物に界面活性剤を併用した場合の鋳型
造型及び鋳造時に発生するホルムアルデヒド臭気及び鋳物品質を評価した。 即ち、砂の種類がフリーマントル硅砂 100重量部に対し、硬化剤であるトリア
セチン 0.375重量部、ラウリル硫酸ナトリウム2重量%(対フェノール樹脂)及
びグリシドキシシラン 0.5重量%(対フェノール樹脂)及び水溶性フェノール樹
脂中に窒素重量%がそれぞれ表4に示す値となるように有機窒素化合物類を溶存
させた水溶性フェノール樹脂(固形分49%、重量平均分子量2300、粘度100cps)
を 1.5重量部添加混練して成る混合物から造型した鋳型を用い、鋳物材質FC−25
(S/M=3.5 、ステップコーン)を鋳造した。この時の鋳型造型中及び鋳造終了15分
後に発生するホルムアルデヒド臭気を官能的に評価した後、鋳物品質を観察した
。また前記の方法に準じて嵩比重を測定した。これらの結果を表4に示す。 【0038】 【表4】 【0039】 自硬性鋳型造型法において、粘結剤組成物に界面活性剤を併用した場合の界面
活性剤の添加量と鋳物品質の関係を評価した。 即ち、砂の種類がフリーマントル硅砂 100重量部に対し、硬化剤であるトリア
セチン 0.375重量部、界面活性剤としてジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク
酸ナトリウムを表5に示す量及びグリシドキシシラン 0.5重量%(対フェノール
樹脂)及び水溶性フェノール樹脂中に窒素重量%が1重量%となるように粒状尿
素を溶存させた水溶性フェノール樹脂(固形分49%、重量平均分子量2300、粘度
100cps)を 1.5重量部添加混練して成る混合物から造型した鋳型を用い、鋳物材
質FC−25(S/M=3.5 、ステップコーン)を鋳造した。この時のガス欠陥の有無を
観察した。また前記の方法に準じて嵩比重を測定した。これらの結果を表5に示
す。 【0040】 【表5】 【0041】 【発明の効果】 上記の実施例で明白な様に、本発明の鋳物砂用粘結剤組成物を用いて、有機エ
ステルにより硬化させることにより、鋳物砂型の造型及び鋳造時に発生するホル
ムアルデヒド臭気を大幅に抑制し、作業環境を著しく向上させ、改善することが
できる。 また、本発明の鋳物砂用粘結剤組成物に更に界面活性剤を併用することにより
、鋳型造型用の混練砂の流動性と充填性を改善することができる。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 有することを特徴とする有機エステル硬化型鋳物砂用粘結剤組成物。 【請求項2】 有機窒素化合物が尿素、尿素石膏又は硫酸マグネシウム尿素で
    ある請求項1記載の鋳物砂用粘結剤組成物。 【請求項3】 更に界面活性剤を含有する請求項1又は2記載の鋳物砂用粘結
    剤組成物。 【請求項4】 界面活性剤を水溶性フェノール樹脂100 重量部に対して0.01〜
    10重量部含有する請求項3記載の鋳物砂用粘結剤組成物。 【請求項5】 耐火性骨材100 重量部に対して、有機エステル硬化剤0.05〜9
    重量部、請求項1〜4の何れか1項記載の鋳物砂用粘結剤組成物0.4 〜15重量部
    からなる混合物を混練して得られることを特徴とする鋳型組成物。 【請求項6】 耐火性骨材が再生後及び/又は回収後の骨材を主成分とするこ
    とを特徴とする請求項5記載の鋳型組成物。

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