JP3909391B2 - 骨粗鬆症予防および改善食品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨粗鬆症予防および改善用食品として有用な鼠麹草の水溶性画分を含有する食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本人の平均寿命は男女ともに世界一であり、近年人口に占める高齢者の割合も年々増加している。社会の高齢化に伴い種々の老人性疾患が深刻な問題となってきている。特に閉経後の女性に多く見られる骨粗鬆症はその代表的な疾患の一つとして挙げられる。骨の脆弱化による腰背痛や骨折は寝たきりの大きな要因となり、高齢者の生活の質にも大きな影響を及ぼすこととなる。
【0003】
骨粗鬆症の発症要因としては性ホルモンの低下、カルシウム摂取不足、ビタミンD不足、運動不足、副甲状腺ホルモンやカルシトニン等の骨代謝を調節するホルモンのアンバランス等が挙げられる。これに対して、食品の分野から骨粗鬆症予防、改善を目的とした素材が開発されてきた。骨粗鬆症が閉経後の女性に多いことから、低下した女性ホルモンを補う物質として大豆イソフラボンやザクロエキス等が知られている。また、国民栄養調査で指摘された日本人のカルシウムの摂取不足に対し多くのカルシウム強化食品も開発、販売されている。しかし、大豆イソフラボンやザクロエキス等の女性ホルモン的効果は更年期症状の緩和作用はあるものの、活性が低く充分な骨粗鬆症予防、改善効果が得にくいものが多い。また、カルシウム強化食品も吸収性や他のミネラルとのバランス等の問題が解決されておらず、充分な効果が期待されない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況下、本発明者らは、従来より食習慣のある鼠麹草を抽出して得られる水溶性画分が、骨粗鬆症予防、改善効果を有することを見出し、安全でありかつ優れた骨粗鬆症予防、改善用食品素材を提供することに成功した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、鼠麹草を抽出して得られる水溶性画分が優れた骨芽細胞分化誘導効果と骨吸収抑制効果を見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、鼠麹草抽出物を有効成分として含有することを特徴とする骨粗鬆症予防、改善用食品に関する。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1) 鼠麹草の水溶性画分を有効成分として含有することを特徴とする骨粗鬆症予防および改善用食品、
(2) 鼠麹草の水溶性画分を有効成分として含有することを特徴とする食品、
(3) 鼠麹草の水溶性画分が鼠麹草を水または/および親水性溶媒で抽出して得られる抽出液を濃縮し、さらに所望により乾燥して得られることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の食品、
(4) 鼠麹草の水溶性画分、
(5) 鼠麹草の水溶性画分を含有する組成物、
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる鼠麹草(そきくそう、Gnaphalium affine D. Don.( G. multiceps Wall. ) )は東南アジア、中国中南部から朝鮮半島、日本全土に自生するキク科の多年草植物で、生薬としては鎮咳、去痰薬として用いられる。和名はハハコグサ、オギョウ、ゴギョウ、モチバナ等で、春の七草の一つとして知られている。七草粥の他に、茹でて野菜として食べられており、昔は草餅の材料として使われていた。
【0009】
本発明者らは、本発明の骨芽細胞分化誘導効果、骨吸収抑制効果を示す鼠麹草の活性成分については、未だ解明するには至っていないが、水抽出物の溶媒分画物を用いた試験の結果から、鼠麹草中の水溶性画分であることを見出した。活性成分が解明されているわけではないが、それによって本発明の効果が否定されるものではなく、また本発明の技術範囲が限定されるものでもない。
本発明の水溶性画分を得るための抽出溶媒としては、水、例えばメタノール、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン等の親水性溶媒またはその混合物を好ましい例として挙げることができる。
【0010】
抽出は常温抽出、又は加熱抽出が用いられ、抽出時間に特に制限はないが、一般的に30分から1週間が好ましい。また、加熱温度も特に制限はないが、一般的に50℃から90℃が好ましい。鼠麹草は一般的には植物全体もしくは葉、茎、根等を個別に、乾燥もしくは生の植物を、そのまま又は裁断して抽出に供する。そして、一般的には、原料植物の乾物換算1部に対し上記抽出溶媒2〜100部が用いられる。
抽出操作の間、鼠麹草と抽出溶媒とを攪拌するのが好ましい。抽出後、抽出液を分離し、抽出液を好ましくは常法により減圧下に濃縮し、さらに凍結乾燥することにより水溶性画分を取得することができる。水溶性画分は、通常粉末状で得られる、また本発明の水溶性画分は上記のように粉末をさらに精製してもよい。例えば、さらに水と例えばエタノールとの混合溶媒で抽出し、抽出液を濃縮することによって得られてもよい。
あるいは、上記の水溶性画分をさらに有機溶媒(例えば酢酸エチル等)で抽出して有機溶媒に易溶性の成分を除いてもよい。
【0011】
本発明の鼠麹草抽出物は食品に配合して用いることができる。本発明の鼠麹草抽出物を食品に配合する際には、骨粗鬆症予防、改善効果を有するといわれる食品、例えば大豆、ザクロ等の抽出物やコラーゲン、食品添加物、例えばカルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンK,コラーゲン等を任意に同時に用いることができる。
【0012】
本発明の鼠麹草抽出物を食品に配合する際には、その他に添加物として許容され得る各種添加物を必要に応じて適宜添加することができる。上記添加物としては、例えば、香料(例えばバニラエッセンス等)、人口甘味料(例えばアスパラテーム等)、食物繊維(例えば難消化性デキストリン等)、活性グルテン、ココアパウダー等などが挙げられる。
【0013】
本発明の鼠麹草抽出物の一日有効摂取量は、動物実験の結果をヒトに換算すると約4〜20g程度であり、1日1g以上の摂取で効果が期待できる。
本発明の食品は、通常食品素材に鼠麹草の水溶性画分を添加することにより得られる。
【0014】
本発明の食品ならびに組成物における水溶性画分の含有量は、天然の鼠麹草またはその乾燥物における水溶性画分の含有量よりも高いことが好ましいが、どのようなものであってもよく、通常食品または組成物全体に対して、0.0001重量%〜100重量%程度である。
【0015】
食品に使用する場合の形態は特に限定されるものではないが、例えば、飴、茶飲料、チュウインガム、チョコレート、乳飲料、ヨーグルト、乳酸飲料、コーヒー飲料、ジュース、アイスクリーム、ゼリー、羊羹、麺類の他、錠剤、カプセル錠剤等一般的な食品の形態とすることが出来る。
【0016】
【実施例】
〔製造例1〕
本発明の鼠麹草熱水抽出物を以下のごとく製造した。鼠麹草乾燥物100gを裁断機にて1.0〜3.0cmに裁断し、水2Lを加え、90℃で60分抽出を行った。冷却後これを濾紙に通し、ついで減圧濃縮後、凍結乾燥して16.1gの粉末を得た。
【0017】
〔製造例2〕
本発明の鼠麹草熱水抽出物を以下のごとく大量製造した。鼠麹草乾燥物38kgを裁断機にて1.0〜3.0cmに裁断し、水760Lを加え、90℃で60分抽出を行った。冷却後これを200メッシュの篩に通し、減圧濃縮にかけ、重量38kgまで濃縮した。これを珪藻土濾過し、ついで凍結乾燥して3.4kgの粉末を得た。
【0018】
以下、実施例および試験例により本発明を更に詳細に説明する。試験例では細胞と動物を用いた。
細胞を用いた試験系では、骨芽細胞を用いたアルカリフォスファターゼ(以下ALP)活性上昇および石灰化を指標とした骨芽細胞分化誘導効果の評価結果について述べる。また、動物を用いた試験系では、卵巣摘出ラットの大腿骨重量および血中の骨代謝マーカーを指標とした骨量低下抑制効果の評価結果について述べる。
【0019】
〔試験例1〕骨芽細胞分化誘導効果の評価
骨芽細胞分化誘導の測定法:
マウス頭蓋冠由来MC3T3−E1細胞は須藤らによって樹立された細胞株( J. Cell Biol.,vol96,191−198(1983) )でアスコルビン酸によって分化が誘導され、コラーゲン、ALP、オステオネクチン、オステオポンチンそしてオステオカルシンを順次発現し、さらに骨結節(bone nodule)を形成し、石灰化することから骨芽細胞の性質を良く再現する細胞として広く研究されている。ALP活性上昇は分化の比較的初期に観察され、骨芽細胞の分化マーカーとして広く用いられている。そこで、MC3T3−E1細胞の分化初期のALP活性上昇と分化の最終期の細胞石灰化をマーカーとしてアスコルビン酸との相乗効果を指標として、骨芽細胞分化誘導能を評価した。
【0020】
細胞培養用培地:
DME(Dulbecco's modified Eagle medium、ニッスイ社製)を基本培地とし、10%(増殖用培地)あるいは2%(試験用培地)のFBS(Fetal bovine serum)を添加して用いた。試験用培地に添加するアスコルビン酸は培地中で安定な誘導体、アスコルビン酸2−リン酸塩Mg塩・n水和物(以下Asc−P)を最終濃度0.5mMとなるように添加した。
【0021】
細胞培養:
マウス頭蓋冠由来MC3T3−E1細胞を増殖用DME培地に懸濁して24穴のプラスチックプレートに1穴あたり1.0×10個の割合で播き、95%(V/V)空気−5%(V/V)炭酸ガスの雰囲気下、37℃で3日間静置培養した(以下の培養も同条件で行った)。
【0022】
3日後に培養上清を吸引除去し、鼠麹草の水溶性画分(以下、単に鼠麹草抽出物という)を添加した試験用培地に交換した。石灰化の試験系には更に有機リン酸源としてβ−glycerolphosphate(シグマ社製)を最終濃度10mMとなるように添加した。鼠麹草抽出物を添加した試験用培地は3日毎に交換した。
培養はALP活性測定用は14日間、石灰化測定用は21日間行なった。
【0023】
(a)ALP活性の測定
アッセイバッファーとして1.5M Tris−HCl、1mM ZnCl、1mM MgClの溶液を調製した。
試験用培地で14日間細胞を培養後、氷冷したTris−buffered saline(以下TBS)で2回洗浄して培地に由来するリン酸を除いた後、適当量のエクストラクッションバッファー(アッセイバッファーに界面活性剤Triton−X 100(和光純薬社製)を1%となる様に溶解させたもの)を加えて室温下、30分置いて細胞中の蛋白質を抽出した。抽出物を15,000rpm、4℃で10分間遠心して不溶物を除去した後、適当量のアッセイバッファーで稀釈し、同量の10mM pNPP(p−Nitrophenyl phosphate、和光純薬社製)アッセイバッファー溶液を加え、37℃、30分間インキュベートした。反応生成物(p−Nitrophenyl)の量をOD410吸光度を測定することで、ALP活性を求めた(n=5)。p−Nitrophenylの量はOD410=1.0の時、64(nmol products)とし、ALPの活性単位は[nmol products/min/mg protein ]示した。
【0024】
上記製造例1で製造した抽出物を終濃度0、0.01、0.1、1.0、10.0μg/mlになるようにMC3T3−E1細胞培養系に添加し、14日間培養した後細胞中のALP活性を測定した(表1)。その結果、サンプル濃度1.0μg/ml付近からAsc−Pと相乗的にALP活性を上昇させる効果が認められ、サンプル濃度10.0μg/mlではAsc−Pのみ(サンプル無添加)の条件で培養した細胞の約3倍の活性を示した。この結果より、鼠麹草抽出物はMC3T3−E1細胞の分化を誘導・活性化していることが明らかとなった。
【0025】
【表1】
Figure 0003909391
【0026】
(b)石灰化の測定・評価
石灰化の測定はアリザリンレッドS染色法により行なった。
試験用培地で21日間細胞を培養後、氷冷したTBSで2回洗浄して培地を除去した後、十分量のエタノールを加えて室温下で15分間静置して細胞を固定した。エタノールを除き更に蒸留水で固定された細胞を洗浄した後、アリザリンレッドS水溶液を加え染色した。更に、蒸留水で洗浄、風乾後沈着した色素を0.1N HClで抽出し、2倍量の1M HEPES、0.1N NaOHを加え中性とした。OD520の吸光度を測定することで、石灰化を数値化し、比較評価した(n=5)。
アリザリンレッドS水溶液:A液(アリザリンレッドS(和光純薬社製)1.0gを蒸留水100mlに溶解する)を攪拌しながらB液(28%水酸化アンモニウム0.1mlを蒸留水100mlで稀釈する)をゆっくり加える。pHは6付近となる。
【0027】
上記製造例1で製造した抽出物を終濃度10.0μg/mlになるようにMC3T3−E1細胞培養系に添加し、21日間培養した後細胞をアリザリンレッドS染色法によりサンプルの石灰化を促進する効果の測定・評価を行なった(表2)。その結果、サンプルを添加した細胞から抽出した色素のOD520の吸光度は無添加の細胞の約10倍に達した。この結果より、鼠麹草抽出物はMC3T3−E1細胞の分化の最終段階である細胞石灰化を誘導・活性化していることが明らかとなった。
【0028】
【表2】
Figure 0003909391
【0029】
〔試験例2〕鼠麹草抽出物の分画
上記製造例1で製造した抽出物100mgを蒸留水10mlに溶解し、酸性条件下で酢酸エチルと混合して水相と有機相に分離した。得られた水相画分にアルカリ条件下で酢酸エチルを混合して水相(画分A)と有機相(画分B)に分離した。一方、酸性条件下での有機相にはアルカリ条件下で炭酸水素ナトリウムを混合して水相(画分C)と有機相(画分D)に分離した。各分画物をそれぞれ乾燥後、蒸留水に溶解して中性にpH調整し、その1/10,000量をAsc−P存在下でMC3T3−E1細胞培養系に添加して14日間培養後の細胞中のALP活性を測定した。その結果、画分AのみにALP活性を上昇させる効果が認められた(表3)。この結果より、鼠麹草抽出の溶媒としては水が適していることが明らかとなった。
【0030】
【表3】
Figure 0003909391
【0031】
〔試験例3〕骨量低下抑制効果の試験
卵巣摘出による骨粗鬆症モデルラットの作製:
Wistar系ラット(日本チャールズリバー)、雌、28匹に6週齢で卵巣摘出手術、同週齢の7匹に疑似手術を施し、ラット用一般飼料CE−2(日本クレア)にて飼育した。2週間後、卵巣摘出ラットを4群(n=7) に分け、それぞれコントロール群、鼠麹草抽出物1%添加飼料投与群(1%鼠麹草群)、鼠麹草抽出物5%添加飼料投与群(5%鼠麹草群)、Ca添加飼料投与群(Ca群)とした。陽性対象として、疑似手術を施した卵巣非摘出群(Sham群、n=7) を設けた。
【0032】
卵巣摘出ラットの飼育:
飼料は、AIN−93M配合Ca無添加精製飼料(オリエンタル酵母工業製)を基本飼料として、コントロール群およびSham群に4週間自由摂取させた。鼠麹草群は、基本飼料に製造例2で製造した鼠麹草抽出物を1%ないし5%添加した飼料を摂取させた。Ca添加飼料は、AIN−93M配合精製飼料(オリエンタル酵母工業製)を用いて、Ca群に摂取させた。飼育終了日にラットの体重を測定した後、解剖して採血および右脚大腿骨の摘出を行なった。
【0033】
(a)血中骨代謝マーカーの測定
閉経後の骨粗鬆症は骨カルシウムの代謝回転速度が加速することによって誘発されるため高代謝回転型骨粗鬆症といわれる。通常、骨中のカルシウムは絶えず骨から溶け出して(骨吸収)代わりに新しいカルシウムが骨中に取り込まれる(骨形成)という代謝を行なっているが、青年期には骨吸収量と骨形成量が同じであるため、常に一定の骨量を保っている。しかし、閉経期には骨形成と骨吸収がともに亢進し、骨吸収の亢進量が骨形成の亢進量を上回るため、結果的に骨量の低下が生じると言われている。すなわち、卵巣摘出によって、ラット血中の骨形成マーカーであるALP活性および骨吸収マーカーである酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(以下PAP)が、ともに亢進する。そして、これらの血中骨代謝マーカーを測定することにより、鼠麹草の骨代謝に対する効果が考察できる。
【0034】
(b)大腿骨重量の測定
ラットの右脚から摘出した大腿骨は、付着した組織片を取り除いた後、100℃で24時間乾燥して重量を測定した。その結果、ラットの体重100gあたりの大腿骨重量は、コントロール群および1%鼠麹草群はSham群と比較して著しい低下が見られたが、Ca群および5%鼠麹草群ではコントロール群と比較して有意に骨重量の低下を抑制した(P<0.01およびP<0.05)(表4)。
【0035】
【表4】
Figure 0003909391
【0036】
(c)血中ALPおよびPAPの活性測定
ラットの血液から血漿を分離して、自動分析装置(日立)にてALP活性を測定した。また、ラットの血清の総酸性フォスファターゼ活性および非酒石酸耐性酸性フォスファターゼ活性を自動分析装置にて測定し、両者の差からPAPを算出した。コントロール群および1%鼠麹草群のALPおよびPAPはSham群と比較して上昇する傾向が見られた。これに対してCa群および5%鼠麹草群ではPAP、ALPともに抑制された(表5)。
【0037】
【表5】
Figure 0003909391
【0038】
上記の試験例3および4から、卵巣摘出ラットの大腿骨で生じる骨量低下は、飼料中に鼠麹草抽出物を5%添加することによって抑制されることが見いだされた。1%の添加であっても有意ではないものの、ALP活性において上昇抑制傾向が認められていることから、ラットでの有効摂取量は1日0.2〜1gと推察できる。ヒトでの有効摂取量は、体表面積に依存しているといわれており、ラットとヒトの体表面積の比率は約1:20であることから、ヒトにおける鼠麹草抽出物の有効摂取量は1日あたり4〜20gと判断される。鼠麹草は春の七草の一つとして知られ、食用に使用されていることから安全性には問題なく、1g以上の摂取であれば効果が期待できるものと判断される。
【0039】
〔実施例1〕飴
製造例1の鼠麹草熱水抽出物を用いて、下記の組成の飴を製造した。
グラニュー糖 230g
水飴 100g
クエン酸 5g
香料 0.6g
食用色素 0.6g
製造例1で製造した鼠麹草水溶性画分 0.5g
【0040】
〔実施例2〕茶飲料
製造例2の鼠麹草熱水抽出物を用いて、下記の組成の茶飲料を製造した。
緑茶粉末 10g
熱水 1000ml
ビタミンC 0.3g
製造例2で製造した鼠麹草水溶性画分 0.5g
【0041】
〔実施例3〕錠剤
製造例2で製造した鼠麹草水溶性画分を用いて、下記の組成の混合物より常法に従って錠剤を製造した。
乳糖 355g
結晶セルロース 80g
ショ糖脂肪酸エステル 15g
製造例2で製造した鼠麹草水溶性画分 50g
【0042】
【発明の効果】
以上の如く、古来より食用として用いられてきた鼠麹草の抽出物が骨芽細胞分化誘導効果と骨吸収抑制効果を示し、これらの効果によって、人体に対して安全性の高い骨粗鬆症予防、改善用食品素材を提供できる。

Claims (4)

  1. 鼠麹草の水溶性画分を有効成分として含有する骨粗鬆症予防および改善剤。
  2. 骨芽細胞分化誘導剤及び/又は骨吸収抑制剤である請求項1記載の骨粗鬆症予防および改善剤。
  3. 鼠麹草の水溶性画分が、鼠麹草の水抽出物である請求項1記載の骨粗鬆症予防および改善剤。
  4. 鼠麹草の水抽出物が、鼠麹草を水で抽出して得られる抽出液を濃縮し、さらに乾燥して得られるものである、請求項3の骨粗鬆症予防および改善剤
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