JP3907881B2 - ポリエチレンテレフタレートの処理方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレートの処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエチレンテレフタレートの処理方法に関し、さらに詳しくは、成形時にアセトアルデヒド含有量の増加が少ないポリエチレンテレフタレートを得るポリエチレンテレフタレートの処理方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来、調味料、油、飲料、化粧品、洗剤などの容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
【0003】
これらの樹脂うちポリエチレンテレフタレートは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れているので、特に清涼飲料、炭酸飲料などの飲料を充填する中空成形容器の素材として好適である。
【0004】
ところでポリエチレンテレフタレートから中空成形容器を製造する場合は、例えば射出成形機械などの成形機で中空成形体用プリフォームを成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブロー成形して中空成形容器に成形し、さらに必要に応じて熱処理する。
【0005】
ところが、従来公知のポリエチレンテレフタレートを成形して得た成形体では、成形時にアセトアルデヒド含有量が増加し、このアセトアルデヒドがポリエチレンテレフタレート成形体中に残存するため、例えば中空成形容器を成形した場合に該中空成形容器中に充填される内容物の味が著しく低下することがあった。
【0006】
成形時にアセトアルデヒド含有量の増加が少ないポリエチレンテレフタレートを製造する方法としては、例えば特開昭59−25815号公報には、ポリエチレンテレフタレートを固相重縮合するに先立ってポリエチレンテレフタレート粉粒体を110℃以上の加熱水蒸気で処理する方法が開示され、特開昭59−219328号公報には、固有粘度が0.4dl/g以上であり、密度が1.35g/cm3以下であるポリエチレンテレフタレートを、水分率が0.2重量%以上になるように調湿する工程、140℃以上の温度で予備結晶化する工程、および180℃以上240℃以下の温度で不活性ガス雰囲気下または減圧下で固相重合する工程を含む高重合度ポリエチレンテレフタレートの製造方法などが開示されている。
【0007】
しかしながら、上記のような方法では、得られたポリエチレンテレフタレートを成形する際のアセトアルデヒド増加量を一定量以下まで減少させることはできなかった。
【0008】
また特開平5−97990号公報には、固相重合されたポリエチレンテレフタレートのペレットを濃度1ppm以上のリン酸水溶液と接触させることからなるポリエチレンテレフタレートの処理方法が開示されている。
【0009】
しかしながら、上記のような方法ではリン酸が酸触媒として加水分解作用を示すため、溶融成形時に固有粘度の低下が促進されてしまうという欠点を有していた。
【0010】
本発明者らは、このような従来技術に鑑み、成形時にアセトアルデヒド含有量の増加が少ないポリエチレンテレフタレートを得るべく鋭意検討したところ、特定のリン化合物の有機溶媒溶液と接触させたポリエチレンテレフタレートは、成形時にアセトアルデヒドの含有量が増加しにくいことを見出して本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、成形時にアセトアルデヒド含有量の増加が少ないポリエチレンテレフタレートを得る方法を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係るポリエチレンテレフタレートの処理方法は、反応が終了したポリエチレンテレフタレートを、リン原子換算の濃度が10ppm以上であるリン酸エステルの有機溶媒溶液、亜リン酸エステルの有機溶媒溶液または次亜リン酸エステルの有機溶媒溶液と接触させることをことを特徴としている。
【0013】
上記ポリエチレンテレフタレートは、固有粘度が0.50dl/g以上であり、密度が1.37g/cm3以上であり、かつアセトアルデヒド含有量が5ppm以下であることが望ましい。
【0014】
上記リン酸エステルとしては、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェートまたはトリメチルホスフェートが好ましい。
また、上記有機溶媒は、例えばアルコール類、飽和炭化水素、ケトン類から選ばれる溶媒であり、これらのなかではイソプロパノールまたはアセトンが好ましい。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下本発明に係るポリエチレンテレフタレートの処理方法について具体的に説明する。
【0016】
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレートは、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを原料として製造することができる。また、このポリエチレンテレフタレートには20モル%以下の他のジカルボン酸および/または他のグリコールが共重縮合されていてもよい。
【0017】
テレフタル酸以外の共重縮合に用いられるジカルボン酸として具体的には、フタル酸、イソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などおよびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0018】
エチレングリコール以外の共重縮合に用いられるグリコールとして具体的には、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどの脂肪族グリコール;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール;ビスフェノール類、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香族ジオール類などおよびこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0019】
上記したようなテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを含む原料は、エステル化される。具体的にはまず、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
【0020】
このスラリーには、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体1モルに対して1.02〜1.4モル、好ましくは1.03〜1.3モルのエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体が含まれる。このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供給される。
【0021】
エステル化反応は、好ましくは2個以上のエステル化反応器を直列に連結した装置を用いてエチレングリコールが還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら実施される。エステル化反応を行う際の反応条件は、第1段目のエステル化反応の温度が、通常240〜270℃、好ましくは245〜265℃であり、圧力が、通常0.2〜3kg/cm2G、好ましくは0.5〜2kg/cm2Gであり、また最終段目のエステル化反応の温度が通常250〜280℃、好ましくは255〜275℃であり、圧力が通常0〜1.5kg/cm2G、好ましくは0〜1.3kg/cm2Gである。
【0022】
エステル化反応を2段階で実施する場合には、第1段目および第2段目のエステル化反応条件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段の1段前までエステル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。
【0023】
例えば、エステル化反応が3段階で実施される場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は、通常245〜275℃、好ましくは250〜270℃であり、圧力は、通常0〜2kg/cm2G、好ましくは0.2〜1.5kg/cm2Gである。これらのエステル化反応の反応率は、それぞれの段階においては、とくに制限はないが、各段階におけるエステル化反応率の上昇の度合が滑らかに分配されることが好ましく、さらに最終段目のエステル化反応生成物においては通常90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。
【0024】
これらのエステル化工程によりエステル化物(低次縮合物)が得られ、このエステル化物の数平均分子量は、通常、500〜5000である。このようなエステル化反応は、テレフタル酸およびエチレングリコール以外の添加物を添加せずに実施することも可能であり、また後述する重縮合触媒の共存下に実施することも可能である。またトリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン;水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施すると、ポリエチレンテレフタレートの主鎖中のジオキシエチレンテレフタレート成分単位の割合を比較的低水準に保持できるので好ましい。
【0025】
次いで得られたエステル化物は、液相重縮合工程に供給される。この液相重縮合工程では、重縮合触媒の存在下に減圧下で、得られるポリエチレンテレフタレートの融点以上の温度に加熱し、この際生成するグリコールを系外に留去させてエステル化物を重縮合する。
【0026】
このような液相での重縮合反応は、1段階で行っても、複数段階に分けて行ってもよい。複数段階で行う場合、重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度が、通常、250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力が、通常、500〜20Torr、好ましくは200〜30Torrであり、また最終段階の重縮合反応の温度が通常265〜300℃、好ましくは270〜295℃であり、圧力が通常10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrである。
【0027】
重縮合反応を2段階で実施する場合には、第1段目および第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段目の1段前までの重縮合反応の反応条件は上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件である。
【0028】
例えば、重縮合反応が3段階で実施される場合には、第2段目の重縮合反応の反応温度は通常260〜295℃、好ましくは270〜285℃であり、圧力は通常、50〜2Torr、好ましくは40〜5Torrの範囲である。これらの重縮合反応工程の各々において到達される固有粘度(IV)は特に制限はないが、各段階における固有粘度の上昇の度合が滑らかに分配されることが好ましい。また、最終段目の重縮合反応器から得られるポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、通常0.35〜0.80dl/g、好ましくは0.45〜0.75dl/g、さらに好ましくは0.55〜0.75dl/gの範囲であることが望ましい。本明細書において、固有粘度は、ポリエチレンテレフタレート1.2gをo-クロロフェノール15cc中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から算出される。
【0029】
またこのポリエチレンテレフタレートの密度は、通常1.33〜1.35g/cm3であることが望ましい。本明細書において、ポリエチレンテレフタレートの密度は、四塩化炭素およびヘプタンの混合溶媒を用いた密度勾配管により、23℃の温度で測定される。
【0030】
上記のような重縮合反応は、重縮合触媒および安定剤の存在下に実施されることが好ましい。
重縮合触媒としては、通常ポリエステルの製造に用いられる重縮合触媒を制限なく使用することができ、二酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラn-ブトキシドなどのゲルマニウム化合物触媒;三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物触媒などを用いることができる。
【0031】
また重縮合触媒として、チタンブトキシド、チタンテトライソプロポキシドなどのチタンアルコキシド;チタンのアセチルアセトナート塩などの有機チタン化合物;チタンアルコキシドの加水分解またはチタンハロゲン化物の加水分解により得られる加水分解物などのチタン化合物触媒を用いることもできる。なお、チタンアルコキシドまたはチタンハロゲン化物を加水分解する際には、チタン以外の他の元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体(以下「他の元素の化合物」ということがある。)を共存させてもよい。
【0032】
重縮合触媒としてチタンハロゲン化物の加水分解物を用いることは、本発明の好ましい態様の一つである。以下、チタンハロゲン化物の加水分解物の調製方法について具体的に説明するが、チタンアルコキシドの加水分解物の調製も同様に行うことができる。
【0033】
加水分解物の調製に用いられるチタンハロゲン化物は、チタン原子とハロゲン原子との結合が少なくとも1つ以上分子内に存在する化合物であり、具体的には四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどの四ハロゲン化チタン;三塩化チタンなどの三ハロゲン化チタン;二塩化チタンなどの二ハロゲン化物および一ハロゲン化チタンが挙げられる。
【0034】
チタンハロゲン化物を加水分解する方法としては、特に限定されず、例えば▲1▼水中にチタンハロゲン化物を添加する方法、▲2▼チタンハロゲン化物中に水を添加する方法、▲3▼水中にチタンハロゲン化物の蒸気を含んだガスを通じる方法、▲4▼チタンハロゲン化物中に水蒸気を含んだガスを通じる方法、▲5▼チタンハロゲン化物を含んだガスと水蒸気を含んだガスとを接触させる方法などが挙げられる。
【0035】
上記のように加水分解方法は特に限定されないが、いずれの場合でもチタンハロゲン化物に大過剰の水を作用させて加水分解を完全に進行させることが必要である。加水分解を完全に進行させず、得られた加水分解物が特公昭51-19477項公報に記載されているような部分加水分解物となる場合には、重縮合速度が充分でないことがある。
【0036】
加水分解を行う温度は、通常100℃以下、特に0〜70℃の範囲であることが好ましい。
チタンハロゲン化物の加水分解時に共存させてもよい他の元素の化合物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンおよびリン(以下これらの元素を「他の元素」という。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体が挙げられる。上記他の元素の化合物としては、例えば、水酸化物などが挙げられる。
【0037】
これらの他の元素の化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
チタンハロゲン化物を他の元素の化合物の共存下に加水分解するには、例えばチタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物を加水分解する。
【0038】
チタンハロゲン化物と、他の元素の化合物との混合物を加水分解する方法としては特に限定されず、例えば▲1▼他の元素の化合物が溶解または懸濁した水中にチタンハロゲン化物を添加する方法、▲2▼水中にチタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物を添加する方法、▲3▼チタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物中に水を添加する方法、▲4▼チタンハロゲン化物中に他の元素の化合物が溶解または懸濁した水を添加する方法、▲5▼他の元素の化合物が溶解または懸濁した水中にチタンハロゲン化物の蒸気を含んだガスを通じる方法、▲6▼水中にチタンハロゲン化物の蒸気および他の元素の化合物の蒸気を含んだガスを通じる方法、▲7▼チタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物中に水蒸気を含んだガスを通じる方法、▲8▼チタンハロゲン化物中に水蒸気と他の元素の化合物の蒸気を含んだガスを通じる方法、▲9▼チタンハロゲン化物を含んだガスと他の元素の化合物の蒸気を含んだガスと水蒸気を含んだガスを接触させる方法などが挙げられる。
【0039】
加水分解の際には、チタンハロゲン化物中のチタン(Ti)と、他の元素の化合物中の他の元素(E)とのモル比(E/Ti)は、1/50〜50/1の範囲であることが望ましい。また加水分解を行う温度は、通常100℃以下、好ましくは0〜70℃の範囲であることが好ましい。
【0040】
チタンハロゲン化物または、チタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物を加水分解する際には、チタンハロゲン化物の加水分解により発生するハロゲン化水素によって液性が酸性を呈する。この酸性によって加水分解が完結しないことがあるので塩基を添加して中和してもよい。ここで用いられる塩基としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどの元素の周期表第1、2族元素の水酸化物、あるいは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどの元素の周期表第1、2族元素の炭酸(水素)化合物、尿素、塩基性有機化合物が挙げられる。中和の終点はpHが4以上が好ましく、また中和は、70℃以下で行うことが好ましい。
【0041】
上記加水分解により得られる加水分解物は、この段階ではオルソチタン酸とも呼ばれる含水水酸化物のゲルまたは他の元素を含む含水複合水酸化物ゲルである。この含水水酸化物ゲルまたは含水複合水酸化物ゲルは、このまま重縮合触媒として用いることができるが、脱水乾燥して固体状の加水分解物(固体状含チタン化合物)とすることが好ましい。
【0042】
加水分解の乾燥は常圧または減圧下、固相状態または水よりも高沸点の液相に懸濁した状態で行うことができ、乾燥温度は特に限定されないが、30℃以上350℃未満であることが好ましい。なお乾燥の前に含水水酸化物ゲルまたは含水複合水酸化物ゲルを水洗したり、乾燥後に固体状含チタン化合物を水洗することによって水溶性の成分を除去してもよい。また乾燥は速やかに行うことが好ましい。
【0043】
このようにして得られた固体状含チタン化合物は、その組成は共存させる他の元素の有無や量、水洗の有無、乾燥方法、乾燥の程度によって異なるが、水酸基(OH)とチタン(Ti)とのモル比(OH/Ti)が通常0.09を超えて4未満、好ましくは0.1〜3、より好ましくは0.1〜2の範囲にあることが重縮合活性の点で望ましい。水酸基とチタンとのモル比は、付着水分および加熱脱離水分の測定により求めることができる。
【0044】
水酸基とチタンとのモル比は、具体的には以下のようにして求める。
固体状含チタン化合物中の水酸基含量を求めるには、まずカールフィッシャー水分計により付着水分量を測定する。次に、熱重量分析により600℃まで加熱することによる加熱減量を測定する。600℃まで加熱することにより付着水分が脱離し、水酸基は水として脱離するものと考えられるため、加熱減量から付着水分量を差し引いた値より水酸基含有量を求める。固体状含チタン化合物中のチタン含有量は、高周波プラズマ発光分析装置により求める。上記チタン含有量と水酸基含有量とからOH/Ti比を求める。
【0045】
より具体的には、例えば調製時に中和剤としてアンモニアを使用した固体状含チタン化合物であって、固体状含チタン化合物中のチタン含有量が46重量%であり、付着水分量が6.73重量%であり、600℃までの加熱減量が9.67重量%であり、窒素含量が1.3重量%であり、塩素含量が14ppmである場合OH/Ti比は以下のように計算する。なお、窒素含量は微量全窒素分析装置(化学発光法)で、塩素含量はクロマトグラフィーで分析する。
【0046】
固体状含チタン化合物100g中のチタンのモル量は以下のように計算される。
【0047】
【数1】
Figure 0003907881
【0048】
また固体状含チタン化合物中の窒素および塩素はそれぞれアンモニア、塩化水素として脱離するため、加熱脱離水分量(重量%)は以下のように求められる。
【0049】
【数2】
Figure 0003907881
【0050】
上記計算結果と付着水分量の測定値から水酸基由来の加熱脱離水分量(重量%)は以下のように求められる。
8.090−6.73=1.360
これより固体状含チタン化合物100g中に含まれる水酸基のモル量は以下のように求められる。
【0051】
(1.360/18)×2=0.1511
以上より、固体状含チタン化合物中のチタン含有量と水酸基含有量とのモル比(OH/Ti比)が求められる。
0.1511÷0.9607=0.157
【0052】
この固体状含チタン化合物は、重縮合反応が行われる温度、例えば約280℃においても水酸基が残留する。
また固体状含チタン化合物が他の元素を含む場合は、該化合物中のチタン(Ti)と、他の元素(E)とのモル比(E/Ti)が、1/50〜50/1、好ましくは1/40〜40/1、さらに好ましくは1/30〜30/1であることが好ましい。
【0053】
含水水酸化物ゲル、含水複合水酸化物ゲルおよび固体状含チタン化合物は、塩素含量が通常0〜10000ppm、好ましくは0〜100ppmである。
このような含水水酸化物ゲル、含水複合水酸化物ゲルおよび固体状含チタン化合物(以下これらを「含チタン加水分解物」という。)は、必要に応じて下記のような助触媒化合物と併用される。
【0054】
助触媒化合物は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、アンチモンおよびリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物であり、具体的には、これらの元素の酢酸塩などの脂肪酸塩、これらの元素の炭酸塩、これらの元素の硫酸塩、これらの元素の硝酸塩、塩化物などのハロゲン化物、これらの元素のアセチルアセトナート塩、これらの元素の酸化物などが挙げられるが、酢酸塩または炭酸塩が好ましい。
【0055】
また、リン化合物としては、元素の周期表第1族、第2族、周期表上第4周期の遷移金属、ジルコニウム、ハフニウムおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属のリン酸塩、亜リン酸塩が挙げられる。
【0056】
助触媒化合物としてより具体的には、
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウムなどの脂肪酸アルミニウム塩、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸アルミニウムまたは炭酸アルミニウムが好ましい。
【0057】
バリウム化合物としては、酢酸バリウムなどの脂肪酸バリウム塩、炭酸バリウム、塩化バリウム、バリウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸バリウムまたは炭酸バリウムが好ましい。
【0058】
コバルト化合物としては、酢酸コバルトなどの脂肪酸コバルト塩、炭酸コバルト、塩化コバルト、コバルトのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸コバルトまたは炭酸コバルトが好ましい。
【0059】
マグネシウム化合物としては、酢酸マグネシウムなどの脂肪酸マグネシウム塩、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、マグネシウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸マグネシウムまたは炭酸マグネシウムが好ましい。
【0060】
マンガン化合物としては、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸マンガンまたは炭酸マンガンが好ましい。
【0061】
ストロンチウム化合物としては、酢酸ストロンチウムなどの脂肪酸ストロンチウム塩、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、ストロンチウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸ストロンチウムまたは炭酸ストロンチウムが好ましい。
【0062】
亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛などの脂肪酸亜鉛塩、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛のアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸亜鉛または炭酸亜鉛が好ましい。
【0063】
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウムなどが挙げられる。
アンチモン化合物としては、二酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどが挙げられる。
【0064】
リン化合物のうちリン酸塩としては、リン酸リチウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸ストロンチウム、リン酸二水素ストロンチウム、リン酸水素二ストロンチウム、リン酸ジルコニウム、リン酸バリウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛などが挙げられる。このうち、特にリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましく使用される。
【0065】
また、リン化合物のうち亜リン酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4周期の遷移金属、ジルコニウム、ハフニウム、およびアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の亜リン酸塩が使用され、具体的には、亜リン酸リチウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸ストロンチウム、亜リン酸ジルコニウム、亜リン酸バリウム、亜リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛などが挙げられる。このうち、特に亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウムが、好ましく使用される。
【0066】
助触媒化合物としては、これらのなかでも炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物;炭酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカルシウム化合物;塩化亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛化合物が好ましい。
【0067】
これらの助触媒化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
このような助触媒化合物は、上記含チタン加水分解物(I)中のチタン(含チタン加水分解物が他の元素を含む場合は、チタンおよび他の元素)と、助触媒化合物(II)中の金属原子とのモル比〔(II)/(I)〕で、1/50〜50/1、好ましくは1/40〜40/1、より好ましくは1/30〜30/1の範囲の量で用いられることが望ましい。なお、リン酸塩や亜リン酸塩などのリン化合物を使用する場合は、リン化合物に含まれる金属原子換算である。
【0068】
重縮合反応に必要に応じて用いられる安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアッシドホスフェート、イソプロピルアッシドホスフェート、ブチルアッシドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステルおよびリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸などのリン化合物が用いられる。
【0069】
これらの重縮合触媒または安定剤の使用割合は、テレフタル酸とエチレングリコールとの混合物の重量に対して、重縮合触媒の場合には重縮合触媒中の金属の重量として、通常、0.0005〜0.2重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%の範囲であり、また安定剤は、安定剤中のリン原子の重量として通常、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.002〜0.02重量%の範囲である。これらの重縮合触媒および安定剤の供給方法は、エステル化反応工程の段階において供給することもできるし、重縮合反応工程の第1段目の反応器に供給することもできる。
【0070】
本発明で用いられるポリエチレンテレフタレートには、上述のようにテレフタル酸以外のジカルボン酸やエチレングリコール以外のジオールが20モル%以下の量で含まれていてもよいが、特に好ましく用いられるポリエチレンテレフタレートは、下記一般式
【0071】
【化1】
Figure 0003907881
【0072】
で表わされるエチレンテレフタレート成分単位の含有率が、95.0〜99.0モル%の範囲にあり、下記一般式
【0073】
【化2】
Figure 0003907881
【0074】
で表わされるジオキシエチレンテレフタレート成分単位の含有率が、1.0〜5.0モル%の範囲にあることが望ましい。このようにして、最終重縮合反応器から得られたポリエチレンテレフタレートは、通常、溶融押出成形法によって粒状(チップ状)に成形される。
【0075】
このような粒状ポリエチレンテレフタレートは、通常2.0〜5.0mm、好ましくは2.2〜4.0mmの平均粒径を有することが望ましい。このようにして液相重縮合工程を経た粒状ポリエチレンテレフタレートは、通常固相重縮合工程に供給される。
【0076】
粒状ポリエチレンテレフタレートは、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエチレンテレフタレートを乾燥状態で、例えば120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度に、1分〜4時間加熱することによって行ってもよく、あるいは粒状ポリエチレンテレフタレートを水蒸気雰囲気下、水蒸気含有不活性ガス雰囲気下または水蒸気含有空気雰囲気下で、例えば120〜200℃の温度に1分間以上加熱することによって行ってもよい。
【0077】
このような粒状ポリエチレンテレフタレートが供給される固相重縮合工程は、少なくとも1段からなり、重縮合温度が通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃であり、圧力が通常、1kg/cm2 G〜10Torr、好ましくは常圧ないし100Torrの条件下で、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で固相重縮合反応が実施される。これらの不活性ガスの中では窒素ガスが好ましい。
【0078】
このようして得られたポリエチレンテレフタレートの固有粘度は、通常0.50dl/g以上、好ましくは0.50〜1.50dl/g、より好ましくは0.72〜1.0dl/gであることが望ましい。このポリエチレンテレフタレートの密度は、通常1.37g/cm3 以上、好ましくは1.37〜1.44g/cm3 、より好ましくは1.38〜1.43g/cm3、さらに好ましくは1.39〜1.42g/cm3 以上であることが望ましい。
【0079】
またこのようなポリエチレンテレフタレート中に含まれるアセトアルデヒド量は、5ppm以下、好ましくは0〜3ppm、特に好ましくは0〜2ppmであることが望ましい。
【0080】
本明細書において、ポリエチレンテレフタレートのアセトアルデヒド含有量は、試料2gを冷却粉砕し、室温に戻した後1gを採取して容器に仕込み、この容器に内部標準液2ccを加えて密閉し、次いで、120℃のオーブン中で1時間抽出した後、氷冷し、上澄液5μリットルを島津製作所(株)製 GC−6Aにて測定することにより決定される。
【0081】
本発明では、上記のようなポリエチレンテレフタレートの製造工程において、反応が終了したポリエチレンテレフタレートを用いる。反応が終了したポリエチレンテレフタレートとは、反応後さらに固有粘度を増加させないポリエチレンテレフタレートであり、例えば液相重縮合工程を経たポリエチレンテレフタレートまたは固相重縮合工程を経たポリエチレンテレフタレートである。このポリエチレンテレフタレートは、通常粒状であるが、粉状、ストランド状であってもよい。
【0082】
本発明ではこのようなポリエチレンテレフタレートと、リン酸の有機溶媒溶液、亜リン酸の有機溶媒溶液、次亜リン酸の有機溶媒溶液、リン酸エステルの有機溶媒溶液、亜リン酸エステルの有機溶媒溶液または次亜リン酸エステルの有機溶媒溶液(以下これらを「リン含有有機溶媒溶液」という。)とを接触させる。
【0083】
ここでリン酸エステルとしては、例えばモノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、トリメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどが挙げられ、亜リン酸エステルとしては、例えばモノメチルフォスファイト、ジメチルフォスファイト、トリメチルフォスファイト、モノエチルフォスファイト、ジエチルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリブチルフォスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどが挙げられ、次亜リン酸エステルとしては、例えば次亜リン酸メチル、次亜リン酸トリメチルなどが挙げられる。
【0084】
リン含有有機溶媒溶液に用いられる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素原子数が1〜18、好ましくは1〜10のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノンなどの炭素原子数が3〜15、好ましくは3〜9のケトン類;ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンなどの炭素原子数が5〜16、好ましくは5〜10の飽和炭化水素が挙げられる。
【0085】
これらのなかではイソプロパノールまたはアセトンが好ましい。
ポリエチレンテレフタレートと接触させるリン含有有機溶媒溶液は、リン原子換算の濃度が、10ppm以上、好ましくは10〜100000ppm、より好ましくは100〜70000ppm、特に好ましくは1000〜50000ppmであることが望ましい。
【0086】
リン含有有機溶媒溶液の濃度が上記範囲にあると、得られたポリエチレンテレフタレートを成形する際に、アセトアルデヒド含有量が増加する量を低減する効果が高く、かつ経済的である。
【0087】
ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液との接触は、連続方式、バッチ方式のいずれでも行うことができる。
ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とをバッチ方式で接触させる場合は、例えばサイロ型の処理装置を用いることができる。具体的には、サイロにポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを入れ、ポリエチレンテレフタレートをリン含有有機溶媒溶液に浸漬させる。また、回転可能な筒型容器にポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液を入れ、ポリエチレンテレフタレートをリン含有有機溶媒溶液に浸漬させ、筒型容器を回転させながら接触させて、接触処理をさらに効率的にすることもできる。
【0088】
ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを連続で接触させる場合は、例えば塔型の処理装置を用い、塔型の処理装置の上部からポリエチレンテレフタレートを連続的に入れ、並流または向流でリン含有有機溶媒溶液を塔型の処理装置に連続的に供給し、ポリエチレンテレフタレートをリン含有有機溶媒溶液に浸漬させて接触させる。
【0089】
ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液との接触温度は、用いる有機溶媒にもよるが、通常0〜100℃、好ましくは0〜95℃の範囲であり、接触時間は通常5分〜10時間、好ましくは30分〜6時間であることが望ましい。
【0090】
ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを接触させた後は、ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを分離し、粒状振動篩機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、乾燥する。リン含有有機溶媒溶液と接触させたポリエチレンテレフタレートの乾燥は、通常用いられるポリエチレンテレフタレートの乾燥方法を用いることができる。
【0091】
ポリエチレンテレフタレートを連続的に乾燥する方法としては、上部よりポリエチレンテレフタレートを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパー型の通気乾燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減らし効率的に乾燥する方法としては、回転ディスク型加熱方式の連続乾燥機を用いる方法があり、この方法では少量の乾燥ガスを通気しながら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供給しポリエチレンテレフタレートを間接的に加熱乾燥することにより乾燥する。
【0092】
ポリエチレンテレフタレートをバッチ方式で乾燥する方法としては、ダブルコーン型回転乾燥機を用いる方法があり、この方法では、減圧下でもしくは減圧下少量の乾燥ガスを通気しながら、または大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥する。乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えないが、ポリエチレンテレフタレートの加水分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好ましい。
【0093】
上記のようにポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを接触させると、成形する際にアセトアルデヒドの増加量が少なく、固有粘度の低下が少ないポリエチレンテレフタレートが得られる。これはポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを接触させると、ポリエチレンテレフタレート中の重縮合触媒が失活するためであると推定される。
【0094】
このようなポリエチレンテレフタレートからは、悪臭または異臭が発生したり、内容物の風味、香りが変化することの少ない成形物を得ることができる。
このことは、例えばポリエチレンテレフタレートを285℃の温度に加熱溶融した後、室温まで冷却したものから採取した試料のアセトアルデヒド含有量を上述したような方法で測定することにより確かめられる。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、成形時にアセトアルデヒド含有量の増加が少ないポリエチレンテレフタレートが得られる。
【0096】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0097】
【実施例1】
固体状含チタン化合物の調製
1000mlのガラス製ビーカーに脱イオン水500mlを秤取し、氷浴にて冷却した後、撹拌しながら四塩化チタン5gを滴下した。塩化水素の発生が止まったら氷浴より取り出し、撹拌しながら25%アンモニア水を滴下し、液のpHを8にした。生成したチタン水酸化物の沈殿を3kg/cm2 の圧力で加圧濾過器により濾過、分別した。その後、得られたチタン水酸化物の沈殿を脱イオン水で5回洗浄した。洗浄後の固液分離は上記と同様に3kg/cm2 の圧力で加圧濾過により行った。洗浄後のチタン水酸化物を70℃、10Torr、18時間の減圧乾燥で水分を除去し、固体状含チタン化合物を得た。
【0098】
得られた、固体状含チタン化合物は使用する前に、10μm程度の粒子に粉砕した。
ポリエチレンテレフタレートの製造
定常運転時に33500重量部の反応液が滞留する反応器に、高純度テレフタル酸とエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを連続的に供給し、撹拌下、窒素雰囲気で、260℃、0.9kg/cm2-Gの条件下でエステル化反応を行った。高純度テレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーは、高純度テレフタル酸とエチレングリコールとをそれぞれ6458重量部/時、2615重量部/時の割合で混合することにより調製した。
【0099】
エステル化反応では、水とエチレングリコールとの混合液が留去された。エステル化反応物(低次縮合物)は、平均滞留時間が3.5時間となるように制御して連続的に系外に抜き出した。
【0100】
上記で得られたエチレングリコールとテレフタル酸との低次重縮合物の数平均分子量は600〜1300(3〜5量体)であった。
こうして得られた低次縮合物に、固体状含チタン化合物、酢酸マグネシウムおよびトリブチルフォスフェートを添加し285℃、1Torrの条件で液相重縮合反応を行い、固有粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートを得た。固体状含チタン化合物は、低次縮合物中のテレフタル酸単位に対してチタン原子換算で0.021モル%となる量で、酢酸マグネシウムは、低次縮合物中のテレフタル酸単位1モルに対してマグネシウム原子換算で0.021モル%となる量で、トリブチルフォスフェートは、低次縮合物中のテレフタル酸単位1モルに対してリン原子換算で0.0105モル%となる量で添加した。
【0101】
さらに上記液相重縮合が終了したポリエチレンテレフタレートを固相重縮合し、固有粘度が0.81dl/gであり、密度=1.40g/cm3 であり、アセトアルデヒド含有量が1.0ppmである粒状ポリエチレンテレフタレートを得た。
【0102】
ポリエチレンテレフタレートの処理
上記粒状ポリエチレンテレフタレート30gとイソプロパノール60g、トリブチルホスフェート10.3g(イソプロパノールに対しリン原子換算で2重量%)を200mlのフラスコに入れ、還流下で4時間加熱した。その後、イソプロパノール60gで3回洗浄した。これを70℃で16時間乾燥し、285℃で10分間加熱溶融した後、室温まで冷却したものから採取した試料のアセトアルデヒド含有量を測定した結果30ppmであった。
【0103】
【実施例2】
イソプロパノールに代えてメタノールを用い、トリブチルホスフェート10.3gに代えてトリメチルホスフェート5.4g(メタノールに対しリン原子換算で2重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして粒状ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを接触させ、実施例1と同様にしてアセトアルデヒド含有量を測定した結果28ppmであった。
【0104】
【実施例3】
イソプロパノールに代えてアセトンを用いたこと以外は実施例1と同様にして粒状ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを接触させ、実施例1と同様にしてアセトアルデヒド含有量を測定した結果40ppmであった。
【0105】
【実施例4】
イソプロパノールに代えてヘキサンを用いたこと以外は実施例1と同様にして粒状ポリエチレンテレフタレートとリン含有有機溶媒溶液とを接触させ、実施例1と同様にしてアセトアルデヒド含有量を測定した結果35ppmであった。
【0107】
【比較例1】
実施例1で用いたものと同様の粒状ポリエチレンテレフタレートをリン含有有機溶媒溶液との接触処理をせずに、70℃で16時間乾燥し、285℃で10分間加熱溶融した後、室温まで冷却したものから採取した試料のアセトアルデヒド含有量を測定した結果50ppmであった。
【0108】
【比較例2】
イソプロパノールに代えて水を用い、トリブチルホスフェート10.3gに代えてリン酸3.8g(水に対しリン原子換算で2重量%)を用いたこと以外は実施例1と同様にして粒状ポリエチレンテレフタレートとリン酸水溶液とを接触させ、実施例1と同様にしてアセトアルデヒド含有量を測定した結果45ppmであった。

Claims (5)

  1. 反応が終了したポリエチレンテレフタレートを、リン原子換算の濃度が10ppm以上であるリン酸エステルの有機溶媒溶液亜リン酸エステルの有機溶媒溶液または次亜リン酸エステルの有機溶媒溶液と接触させることを特徴とするポリエチレンテレフタレートの処理方法。
  2. 上記ポリエチレンテレフタレートは、固有粘度が0.50dl/g以上であり、密度が1.37g/cm3以上であり、かつアセトアルデヒド含有量が5ppm以下である請求項1に記載のポリエチレンテレフタレートの処理方法。
  3. 上記リン酸エステルが、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェートまたはトリメチルホスフェートである請求項1または2に記載のポリエチレンテレフタレートの処理方法。
  4. 上記有機溶媒が、アルコール類、飽和炭化水素、ケトン類から選ばれる溶媒である請求項1ないし3のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートの処理方法。
  5. 上記有機溶媒が、イソプロパノールまたはアセトンである請求項1ないし3のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートの処理方法。
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