JP2001114885A - ポリエステル製造用触媒およびポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステル製造用触媒およびポリエステルの製造方法

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JP2001114885A
JP2001114885A JP29233299A JP29233299A JP2001114885A JP 2001114885 A JP2001114885 A JP 2001114885A JP 29233299 A JP29233299 A JP 29233299A JP 29233299 A JP29233299 A JP 29233299A JP 2001114885 A JP2001114885 A JP 2001114885A
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polyester
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polycondensation
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JP29233299A
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English (en)
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Hideshi Hori
秀 史 堀
Fujito Ebara
原 不二人 江
Akiyoshi Shimizu
水 昭 義 清
Shoji Hiraoka
岡 章 二 平
Seiji Noda
田 誠 司 野
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた重合速度で重縮合できるようなポリエス
テル製造用触媒およびこの触媒を用いるポリエステルの
製造方法を提供すること。 【解決手段】チタン水酸化物を脱水乾燥することにより
得られ、2θ(回折角度)が18°〜35°の範囲にあ
るX線回折パターンから算出した結晶化度が50%以下
である固体状チタン化合物からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル製造
用触媒およびこの触媒を用いるポリエステルの製造方法
に関し、さらに詳しくは、優れた重合速度で重縮合でき
るようなポリエステル製造用触媒およびこの触媒を用い
るポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】ポリエステル、例えばポリエチレ
ンテレフタレートは、機械的強度、耐熱性、透明性およ
びガスバリア性に優れており、ジュース、清涼飲料、炭
酸飲料などの飲料充填容器の素材をはじめとしてフィル
ム、シート、繊維などの素材として好適に使用されてい
る。
【0003】ポリエステルは、通常テレフタル酸などの
ジカルボン酸と、エチレングリコールなどの脂肪族ジオ
ール類とを原料として製造される。具体的には、まず、
芳香族ジカルボン酸類と脂肪族ジオール類とのエステル
化反応により低次縮合物(エステル低重合体)を形成
し、次いで重縮合触媒の存在下にこの低次縮合物を脱グ
リコール反応(液相重縮合)させて、高分子量化してい
る。また、場合によっては固相重縮合を行い、さらに分
子量を高めている。
【0004】このようなポリエステルの製造方法では、
重縮合触媒として、従来アンチモン化合物、ゲルマニウ
ム化合物などが使用されている。しかしながら、アンチ
モン化合物を触媒として製造したポリエチレンテレフタ
レートは透明性、耐熱性の点でゲルマニウム化合物を触
媒として製造したポリエチレンテレフタレートに劣って
いる。また、得られるポリエステル中のアセトアルデヒ
ド含有量を低減させることも要望されている。
【0005】また、ゲルマニウム化合物はかなり高価で
あるため、ポリエステルの製造コストが高くなるという
問題があった。このため製造コストを下げるため、重縮
合時に飛散するゲルマニウム化合物を回収して再利用す
るなどのプロセスが検討されている。
【0006】ところでチタンは低次縮合物の重縮合反応
を促進する作用のある元素であることが知られており、
チタンアルコキシド、四塩化チタン、シュウ酸チタニ
ル、オルソチタン酸などが重縮合触媒として公知であ
り、このようなチタン化合物を重縮合触媒として利用す
るために多くの検討が行われている。
【0007】本発明者は、上記のような従来技術に鑑み
てポリエステルの製造に用いられる重縮合触媒について
鋭意研究したところ、重縮合触媒として、特定の方法で
調製され、結晶化度が特定の範囲にある固体状チタン化
合物を用いることによって、優れた重合速度で芳香族ジ
カルボン酸類と、脂肪族ジオール類とを重縮合できるこ
とを見いだして本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】すなわち、本発明は優れた重合速度で重
縮合できるようなポリエステル製造用触媒およびこの触
媒を用いるポリエステルの製造方法を提供することを目
的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係るポリエステル製造用触媒
は、チタン水酸化物を脱水乾燥することにより得られ、
2θ(回折角度)が18°〜35°の範囲にあるX線回
折パターンから算出した結晶化度が50%以下である固
体状チタン化合物からなることを特徴としている。
【0010】本発明に係るポリエステル製造用触媒の他
の態様には、(I)上記固体状チタン化合物と、(II)
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マン
ガン、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、アンチモンおよ
びリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の
化合物とからなるものがある。
【0011】本発明に係るポリエステルの製造方法は、
芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体
と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体と
を、上記ポリエステル製造用触媒の存在下に重縮合させ
てポリエステルを製造することを特徴としている。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るポリエステル
製造用触媒およびこの触媒を用いるポリエステルの製造
方法について説明する。
【0013】本発明に係るポリエステル製造用触媒は、
下記固体状チタン化合物(I)と、必要に応じて下記化
合物(II)からなる。固体状チタン化合物(I) 本発明の固体状チタン化合物は、チタン水酸化物を脱水
乾燥することにより得られる。チタン水酸化物は、例え
ばチタン化合物を加水分解して得ることができる。
【0014】加水分解に用いられるチタン化合物として
は、チタンハロゲン化物、チタンアルコキシドなどが用
いられる。加水分解に用いられるチタンハロゲン化物
は、チタン原子とハロゲン原子との結合が少なくとも1
つ以上分子内に存在する化合物であり、具体的には四塩
化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどの四ハロ
ゲン化チタン;三塩化チタンなどの三ハロゲン化チタ
ン;二塩化チタンなどの二ハロゲン化物および一ハロゲ
ン化チタンが挙げられる。
【0015】加水分解に用いられるチタンアルコキシド
としては、チタンブトキシド、チタンテトライソプロポ
キシドなどが挙げられる。チタン化合物としてチタンハ
ロゲン化物を用いることは、本発明の好ましい態様の一
つである。以下、チタンハロゲン化物を加水分解する方
法について具体的に説明するが、チタンアルコキシドの
加水分解も同様に行うことができる。
【0016】チタンハロゲン化物を加水分解する方法と
しては、特に限定されず、例えば水中にチタンハロゲ
ン化物を添加する方法、チタンハロゲン化物中に水を
添加する方法、水中にチタンハロゲン化物の蒸気を含
んだガスを通じる方法、チタンハロゲン化物中に水蒸
気を含んだガスを通じる方法、チタンハロゲン化物を
含んだガスと水蒸気を含んだガスとを接触させる方法な
どが挙げられる。
【0017】上記のように加水分解方法は特に限定され
ないが、いずれの場合でもチタンハロゲン化物に大過剰
の水を作用させて加水分解を完全に進行させることが必
要である。加水分解を完全に進行させず、得られた加水
分解物が特公昭51-19477号公報に記載されてい
るような部分加水分解物となる場合には、重縮合速度が
充分でないことがある。
【0018】加水分解を行う温度は、通常60℃以下、
特に0〜50℃の範囲であることが好ましい。加水分解
を上記温度範囲で行うと、結晶化度の低い固体状チタン
化合物が得られる傾向がある。
【0019】チタンハロゲン化物を加水分解する際に
は、チタン以外の他の元素から選ばれる少なくとも1種
の元素の化合物またはこの化合物の前駆体(以下「他の
元素の化合物」ということがある。)を共存させてもよ
い。
【0020】チタンハロゲン化物の加水分解時に共存さ
せてもよい他の元素の化合物としては、ベリリウム、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、
スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウ
ム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロ
ム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニ
ウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、
銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、
ゲルマニウム、スズ、アンチモンおよびリン(以下これ
らの元素を「他の元素」という。)からなる群より選ば
れる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の
前駆体が挙げられる。上記他の元素の化合物としては、
例えば、水酸化物などが挙げられる。
【0021】加水分解の際には、チタンハロゲン化物中
のチタン(Ti)と、他の元素の化合物中の他の元素
(E)とのモル比(E/Ti)は、1/50〜50/1
の範囲であることが望ましい。また加水分解を行う温度
は、通常60℃以下、好ましくは0〜50℃の範囲であ
ることが好ましい。加水分解を上記温度範囲で行うと、
結晶化度の低い固体状チタン化合物が得られる傾向があ
る。
【0022】チタンハロゲン化物を加水分解する際に
は、チタンハロゲン化物の加水分解により発生するハロ
ゲン化水素によって液性が酸性を呈する。この酸性によ
って加水分解が完結しないことがあるので塩基を添加し
て中和してもよい。ここで用いられる塩基としては、ア
ンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化マグネシウムなどの元素の周期表第1、2族元素の水
酸化物、あるいは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどの元素の周期
表第1、2族元素の炭酸(水素)化合物、尿素、塩基性
有機化合物が挙げられる。中和の終点はpHが4以上が
好ましく、また中和は、60℃以下、好ましくは0〜5
0℃の範囲で行うことが好ましい。中和を上記温度範囲
で行うと、結晶化度の低い固体状チタン化合物が得られ
る傾向がある。
【0023】上記加水分解により得られるチタンを含む
化合物またはチタンと他の元素とを含む化合物は、この
段階ではオルソチタン酸とも呼ばれる含水水酸化物のゲ
ルである。
【0024】本発明では、この含水水酸化物ゲルを脱水
乾燥して固体状の加水分解物(固体状チタン化合物)と
する。この乾燥により水酸基の一部が除去される。加水
分解物の乾燥は常圧または減圧下、固相状態または水よ
りも高沸点の液相に懸濁した状態で行うことができ、乾
燥温度は特に限定されないが、30℃以上350℃未
満、好ましくは30〜200℃の範囲であることが好ま
しい。加水分解物の乾燥を上記温度範囲で行うと、結晶
化度の低い固体状チタン化合物が得られる傾向がある。
【0025】なお乾燥の前に含水水酸化物ゲルを水洗し
たり、乾燥後に固体状含チタン化合物を水洗することに
よって水溶性の成分を除去してもよい。また乾燥は速や
かに行うことが好ましい。
【0026】このようにして得られた固体状チタン化合
物は、2θ(回折角度)が18°〜35°の範囲にある
X線回折パターンから算出される結晶化度が50%以
下、好ましくは45%以下、特に好ましくは40%以下
ないし非晶質である。結晶化度が上記範囲内にある固体
状チタン化合物は、ポリエステルの製造に用いられる重
縮合触媒として活性に優れている。
【0027】固体状チタン化合物の結晶化度は、例えば
以下のようにして測定する。図1に、固体状チタン化合
物の結晶化度の測定方法を示すためのX線回折パターン
を示す。
【0028】試料のX線回折パターン(図1(A))お
よび非晶質の固体状チタン化合物のX線回折パターン
(図1(B))を測定する。ベースラインを18°〜3
5°にとり、非晶質の固体状チタン化合物のX線回折パ
ターンの2θ=28.5°の位置(結晶ピークの妨害し
ない位置)を基準として試料のX線回折パターンに重な
るよう強度方向に縮小して写す(図1(C))。
【0029】このようにして合成したX線回折パターン
から、2θが18°〜35°の範囲にある試料のX線回
折パターン(バックグラウンドを除く)の面積(I0
と、非晶質の固体状チタン化合物のX線回折パターン
(バックグラウンドを除く)の面積(Ia)とを求め、
(I0−Ia)/(I0)×100の値を結晶化度(%)
とする。
【0030】固体状チタン化合物は、その組成は共存さ
せる他の元素の有無や量、水洗の有無、乾燥方法、乾燥
の程度によって異なるが、水酸基(OH)とチタン(T
i)とのモル比(OH/Ti)が通常0.09を超えて
4未満、好ましくは0.1〜3、より好ましくは0.1
〜2の範囲にあることが重縮合活性の点で望ましい。水
酸基とチタンとのモル比は、付着水分および加熱脱離水
分の測定により求めることができる。
【0031】水酸基とチタンとのモル比は、具体的には
以下のようにして求める。固体状含チタン化合物中の水
酸基含量を求めるには、まずカールフィッシャー水分計
により付着水分量を測定する。次に、熱重量分析により
600℃まで加熱することによる加熱減量を測定する。
600℃まで加熱することにより付着水分が脱離し、水
酸基は水として脱離するものと考えられるため、加熱減
量から付着水分量を差し引いた値より水酸基含有量を求
める。固体状含チタン化合物中のチタン含有量は、高周
波プラズマ発光分析装置により求める。上記チタン含有
量と水酸基含有量とからOH/Ti比を求める。
【0032】より具体的には、例えば調製時に中和剤と
してアンモニアを使用した固体状含チタン化合物であっ
て、固体状含チタン化合物中のチタン含有量が46重量
%であり、付着水分量が6.73重量%であり、600
℃までの加熱減量が9.67重量%であり、窒素含量が
1.3重量%であり、塩素含量が14ppmである場合
OH/Ti比は以下のように計算する。なお、窒素含量
は微量全窒素分析装置(化学発光法)で、塩素含量はク
ロマトグラフィーで分析する。
【0033】固体状含チタン化合物100g中のチタン
のモル量は以下のように計算される。
【0034】
【数1】
【0035】また固体状含チタン化合物中の窒素および
塩素はそれぞれアンモニア、塩化水素として脱離するた
め、加熱脱離水分量(重量%)は以下のように求められ
る。
【0036】
【数2】
【0037】上記計算結果と付着水分量の測定値から水
酸基由来の加熱脱離水分量(重量%)は以下のように求
められる。 8.090−6.73=1.360 これより固体状含チタン化合物100g中に含まれる水
酸基のモル量は以下のように求められる。
【0038】(1.360/18)×2=0.1511 以上より、固体状チタン化合物中のチタン含有量と水酸
基含有量とのモル比(OH/Ti比)が求められる。
【0039】0.1511÷0.9607=0.157 また固体状チタン化合物が他の元素を含む場合は、該化
合物中のチタン(Ti)と、他の元素(E)とのモル比
(E/Ti)が、1/50〜50/1、好ましくは1/
40〜40/1、さらに好ましくは1/30〜30/1
であることが好ましい。
【0040】固体状チタン化合物は、塩素含量が通常0
〜10000ppm、好ましくは0〜100ppmであ
る。この固体状チタン化合物は、重縮合反応が行われる
温度、例えば約280℃においても水酸基が残留する。
【0041】これらのことは、固体状チタン化合物が、
特開昭52-57291号公報や特公昭47-26597
号公報で言及されているオルソチタン酸(H4TiO4
表記され、チタンと水酸基のモル比は1:4である。)
と本質的に異なるものであること、および特開昭50-
156595号公報他でポリエステル製造用触媒として
用いられている酸化チタンとは本質的に異なるものであ
ることを示している。
【0042】固体状チタン化合物は、塩素含量が通常0
〜10000ppm、好ましくは0〜100ppmであ
る。上記固体状チタン化合物(I)は、必要に応じて下
記化合物(II)と併用される。
【0043】化合物(II) 化合物(II)は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウ
ム、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛およびリンか
らなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物で
ある。
【0044】ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、
ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガ
リウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、ア
ンチモンおよびリンからなる群より選ばれる少なくとも
1種の元素の化合物としては、これらの元素の酢酸塩な
どの脂肪酸塩、これらの元素の炭酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、塩化物などのハロゲン化物、これらの元素のアセチ
ルアセトナート塩、これらの元素の酸化物などが挙げら
れるが、酢酸塩または炭酸塩が好ましい。
【0045】また、リン化合物としては、元素の周期表
第1族、第2族、周期表上第4周期の遷移金属、ジルコ
ニウム、ハフニウムおよびアルミニウムから選ばれる少
なくとも1種の金属のリン酸塩、亜リン酸塩が挙げられ
る。
【0046】本発明で用いられる化合物(II)としてよ
り具体的には、アルミニウム化合物としては、酢酸アル
ミニウムなどの脂肪酸アルミニウム塩、炭酸アルミニウ
ム、塩化アルミニウム、アルミニウムのアセチルアセト
ナート塩などが挙げられ、特に酢酸アルミニウムまたは
炭酸アルミニウムが好ましい。
【0047】バリウム化合物としては、酢酸バリウムな
どの脂肪酸バリウム塩、炭酸バリウム、塩化バリウム、
バリウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特
に酢酸バリウムまたは炭酸バリウムが好ましい。
【0048】コバルト化合物としては、酢酸コバルトな
どの脂肪酸コバルト塩、炭酸コバルト、塩化コバルト、
コバルトのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特
に酢酸コバルトまたは炭酸コバルトが好ましい。
【0049】マグネシウム化合物としては、酢酸マグネ
シウムなどの脂肪酸マグネシウム塩、炭酸マグネシウ
ム、塩化マグネシウム、マグネシウムのアセチルアセト
ナート塩などが挙げられ、特に酢酸マグネシウムまたは
炭酸マグネシウムが好ましい。
【0050】マンガン化合物としては、酢酸マンガンな
どの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、
マンガンのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特
に酢酸マンガンまたは炭酸マンガンが好ましい。
【0051】ストロンチウム化合物としては、酢酸スト
ロンチウムなどの脂肪酸ストロンチウム塩、炭酸ストロ
ンチウム、塩化ストロンチウム、ストロンチウムのアセ
チルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸ストロン
チウムまたは炭酸ストロンチウムが好ましい。
【0052】亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛などの脂肪
酸亜鉛塩、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛のアセチルアセト
ナート塩などが挙げられ、特に酢酸亜鉛または炭酸亜鉛
が好ましい。
【0053】ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲル
マニウム、酢酸ゲルマニウムなどが挙げられる。アンチ
モン化合物としては、二酸化アンチモン、酢酸アンチモ
ンなどが挙げられる。
【0054】リン化合物のうちリン酸塩としては、リン
酸リチウム、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチ
ウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リ
ン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素
カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸ストロンチウ
ム、リン酸二水素ストロンチウム、リン酸水素二ストロ
ンチウム、リン酸ジルコニウム、リン酸バリウム、リン
酸アルミニウム、リン酸亜鉛などが挙げられる。このう
ち、特にリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、
リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水
素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましく使用され
る。
【0055】また、リン化合物のうち亜リン酸塩として
は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4周期
の遷移金属、ジルコニウム、ハフニウム、およびアルミ
ニウムから選ばれる少なくとも1種の金属の亜リン酸塩
が使用され、具体的には、亜リン酸リチウム、亜リン酸
ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸ストロンチウ
ム、亜リン酸ジルコニウム、亜リン酸バリウム、亜リン
酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛などが挙げられる。この
うち、特に亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウムが、
好ましく使用される。
【0056】化合物(II)としては、これらのなかでも
炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどのマグネシウ
ム化合物;炭酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカル
シウム化合物;塩化亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛化合物が
好ましい。
【0057】これらの化合物(II)は、1種単独でまた
は2種以上組み合わせて用いることができる。このよう
な化合物(II)は、上記固体状チタン化合物(I)中の
チタン(固体状チタン化合物(I)が他の元素を含む場
合はチタンおよび他の元素)と、化合物(II)中の金属
原子とのモル比〔(II)/(I)〕で、1/50〜50
/1、好ましくは1/40〜40/1、より好ましくは
1/30〜30/1の範囲の量で用いられることが望ま
しい。なお、リン酸塩や亜リン酸塩などのリン化合物を
使用する場合は、リン化合物に含まれる金属原子換算で
ある。
【0058】ポリエステルの製造方法 本発明のポリエステルの製造方法は、上記の触媒の存在
下に、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘
導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導
体とを重縮合させてポリエステルを製造する。以下、そ
の一例について説明する。
【0059】(使用原料)本発明に係るポリエステルの
製造方法は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形
成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成
性誘導体を原料として用いる。
【0060】芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
【0061】脂肪族ジオールとしては、エチレングリコ
ール、トリメチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ヘキサンメチレングリコール、ドデカメチレングリ
コールなどの脂肪族グリコールが挙げられる。
【0062】また、本発明では、芳香族ジカルボン酸と
ともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカ
ンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを原料
として使用することができ、脂肪族ジオールとともに、
シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、
ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒド
ロキシエトキシフェニル)プロパン類などの芳香族ジオ
ールなどを原料として使用することができる。
【0063】さらに本発明では、トリメシン酸、トリメ
チロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロ
ールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合
物を原料として使用することができる。
【0064】(エステル化工程)まず、ポリエステルを
製造するに際して、芳香族ジカルボン酸またはそのエス
テル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステ
ル形成性誘導体とをエステル化させる。
【0065】具体的には、芳香族ジカルボン酸またはそ
のエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはその
エステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。こ
のようなスラリーには芳香族ジカルボン酸またはそのエ
ステル形成性誘導体1モルに対して、通常1.005〜
1.4モル、好ましくは1.01〜1.3モルの脂肪族
ジオールまたはそのエステル形成性誘導体が含まれる。
このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供給さ
れる。
【0066】エステル化反応は好ましくは2個以上のエ
ステル化反応基を直列に連結した装置を用いてエチレン
グリコールが還流する条件下で、反応によって生成した
水を精留塔で系外に除去しながら行う。
【0067】エステル化反応工程は通常多段で実施さ
れ、第1段目のエステル化反応は、通常、反応温度が2
40〜270℃、好ましくは245〜265℃であり、
圧力が0.2〜3kg/cm2 G、好ましくは0.5〜
2kg/cm2 Gの条件下で行われ、また最終段目のエ
ステル化反応は、通常、反応温度が250〜280℃、
好ましくは255〜275℃であり、圧力が0〜1.5
kg/cm2 G、好ましくは0〜1.3kg/cm2 Gの
条件下で行われる。
【0068】エステル化反応を2段階で実施する場合に
は、第1段目および第2段目のエステル化反応条件がそ
れぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合に
は、第2段目から最終段の1段前までエステル化反応条
件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の
間の条件であればよい。
【0069】例えば、エステル化反応が3段階で実施さ
れる場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は
通常245〜275℃、好ましくは250〜270℃で
あり、圧力は通常0〜2kg/cm2 G、好ましくは
0.2〜1.5kg/cm2 Gであればよい。
【0070】これらの各段におけるエステル化反応率
は、特に制限はされないが、各段階におけるエステル化
反応率の上昇の度合いが滑らかに分配されることが好ま
しく、さらに最終段目のエステル化反応生成物において
は通常90%以上、好ましくは93%以上に達すること
が望ましい。
【0071】このエステル化工程により、芳香族ジカル
ボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応物(低次縮
合物)が得られ、この低次縮合物の数平均分子量が50
0〜5000程度である。
【0072】上記のようなエステル化工程で得られた低
次縮合物は、次いで重縮合(液相重縮合)工程に供給され
る。 (液相重縮合工程)液相重縮合工程においては、上記し
た重縮合触媒の存在下に、エステル化工程で得られた低
次縮合物を、減圧下で、かつポリエステルの融点以上の
温度(通常250〜280℃)に加熱することにより重
縮合させる。この重縮合反応では、未反応の脂肪族ジオ
ールを反応系外に留去させながら行われることが望まし
い。
【0073】重縮合反応は、1段階で行ってもよく、複
数段階に分けて行ってもよい。例えば、重縮合反応が複
数段階で行われる場合には、第1段目の重縮合反応は、
反応温度が250〜290℃、好ましくは260〜28
0℃、圧力が500〜20Torr、好ましくは200〜3
0Torrの条件下で行われ、最終段の重縮合反応は、反応
温度が265〜300℃、好ましくは270〜295
℃、圧力が10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5To
rrの条件下で行われる。
【0074】重縮合反応を3段階以上で実施する場合に
は、第2段目から最終段目の1段前間での重縮合反応
は、上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間
の条件で行われる。例えば、重縮合工程が3段階で行わ
れる場合には、第2段目の重縮合反応は通常、反応温度
が260〜295℃、好ましくは270〜285℃で、
圧力が50〜2Torr、好ましくは40〜5Torrの条件下
で行われる。
【0075】このような重縮合反応では、固体状チタン
化合物(I)を、低次縮合物中の芳香族ジカルボン酸単
位に対して、金属原子換算で、0.001〜0.2モル
%、好ましくは0.002〜0.1モル%使用すること
が望ましい。
【0076】固体状チタン化合物(I)に加えてさらに
化合物(II)を使用する場合、化合物(II)は低次縮合
物中の芳香族ジカルボン酸単位に対して、金属原子換算
で0.001〜0.5モル%、好ましくは0.002〜
0.3モル%の量で使用することが望ましい。
【0077】このような固体状チタン化合物(I)と、
必要に応じて化合物(II)とからなる触媒は、重縮合反
応時に存在していればよい。このため触媒の添加は、原
料スラリー調製工程、エステル化工程、液相重縮合工程
等のいずれの工程で行ってもよい。また、触媒全量を一
括添加しても、複数回に分けて添加してもよい。また、
化合物(II)を併用する場合、固体状チタン化合物
(I)と同じ工程で添加しても、別の工程で添加しても
よい。
【0078】また、重縮合反応では、安定剤の共存下で
行われることが望ましい。安定剤としては具体的に、ト
リメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ
-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、
トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリ
フェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、
トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エス
テル類;メチルアシッドホスフェート、エチルアシッド
ホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブ
チルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モ
ノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート等のリ
ン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸などのリン化合
物が挙げられる。
【0079】このようなリン化合物の添加量は、芳香族
ジカルボン酸に対して、該リン化合物中のリン原子換算
で、0.005〜0.2モル%、好ましくは0.01〜
0.1モル%の量であることが望ましい。
【0080】以上のような液相重縮合工程で得られるポ
リエステルの極限粘度(IV)は0.40〜1.0dl
/g、好ましくは0.50〜0.90dl/gであるこ
とが望ましい。なお、この液相重縮合工程の最終段目を
除く各段階において達成される極限粘度は特に制限され
ないが、各段階における極限粘度の上昇の度合いが滑ら
か分配されることが好ましい。なお、本明細書におい
て、極限粘度は、ポリエステル1.2gをo-クロロフェ
ノール15cc中に加熱溶解した後、冷却して25℃で
測定された溶液粘度から算出される。
【0081】この重縮合工程で得られるポリエステル
は、通常、溶融押し出し成形されて粒状(チップ状)に成
形される。 (固相重縮合工程)この液相重縮合工程で得られるポリ
エステルは、所望によりさらに固相重縮合することがで
きる。
【0082】固相重縮合工程に供給される粒状ポリエス
テルは、予め、固相重縮合を行なう場合の温度より低い
温度に加熱して予備結晶化を行なった後、固相重縮合工
程に供給してもよい。
【0083】このような予備結晶化工程は、粒状ポリエ
ステルを乾燥状態で通常、120〜200℃、好ましく
は130〜180℃の温度に1分から4時間加熱するこ
とによって行なうことができる。またこのような予備結
晶化は、粒状ポリエステルを水蒸気雰囲気、水蒸気含有
不活性ガス雰囲気下、あるいは水蒸気含有空気雰囲気下
で、120〜200℃の温度で1分間以上加熱すること
によって行なうこともできる。
【0084】予備結晶化されたポリエステルは、結晶化
度が20〜50%であることが望ましい。なお、この予
備結晶化処理によっては、いわゆるポリエステルの固相
重縮合反応は進行せず、予備結晶化されたポリエステル
の極限粘度は、液相重縮合後のポリエステルの極限粘度
とほぼ同じであり、予備結晶化されたポリエステルの極
限粘度と予備結晶化される前のポリエステルの極限粘度
との差は、通常0.06dl/g以下である。
【0085】固相重縮合工程は、少なくとも1段からな
り、温度が190〜230℃、好ましくは195〜22
5℃であり、圧力が1kg/cm2 G〜10Torr、好ま
しくは常圧から100Torrの条件下で、窒素、アルゴ
ン、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。使
用する不活性ガスとしては窒素ガスが望ましい。
【0086】このような固相重縮合工程を経て得られた
粒状ポリエステルには、例えば特公平7-64920号
公報記載の方法で、水処理を行ってもよく、この水処理
は、粒状ポリエステルを水、水蒸気、水蒸気含有不活性
ガス、水蒸気含有空気などと接触させることにより行わ
れる。
【0087】このようにして得られた粒状ポリエステル
の極限粘度は、通常0.60〜1.00dl/g、好ま
しくは0.75〜0.95dl/gであることが望まし
い。上記のようなエステル化工程と重縮合工程とを含む
ポリエステルの製造工程はバッチ式、半連続式、連続式
のいずれでも行うことができる。
【0088】このようにして製造されたポリエステル
は、従来から公知の添加剤、例えば、安定剤、離型剤、
帯電防止剤、分散剤、染顔料等の着色剤などが添加され
ていてもよく、これらの添加剤はポリエステル製造時の
いずれかの段階で添加してもよく、成形加工前、マスタ
ーバッチにより添加したものであってもよい。
【0089】本発明によって得られるポリエステルは溶
融成形してボトルなどの中空成形体、シート、フィル
ム、繊維等に使用されが、ボトルに使用することが好ま
しい。
【0090】
【発明の効果】本発明に係るポリエステル製造触媒は、
従来から重縮合触媒として使用されていたゲルマニウム
化合物、アンチモン化合物に比べて高い触媒活性でポリ
エステルを製造することができる。また、本発明の方法
によれば、アンチモン化合物を重縮合触媒として用いる
場合に比べて、透明性、色相に優れ、アセトアルデヒド
の含有量の少ないポリエステルを得ることができる。
【0091】
【実施例】以下本発明を実施例により説明するが、本発
明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0092】本実施例においてX線回折強度は以下の条
件で測定した。 X線:Cu K-ALPHA1/50kV/300mA ゴニオメータ:RINT2000広角ゴニオメータ アタッチメント:標準試料ホルダー フィルタ:なし カウンタモノクロメータ:全自動モノクロメータ 発散スリット:1/2deg. 散乱スリット:1/2deg. 受光スリット:0.15mm カウンタ:シンチレーションカウンタ 走査モード:連続 スキャンスピード:4°/min. スキャンステップ:0.02° 走査軸:2θ/θ 走査範囲:1.5〜70° θオフセット:0° 固定角:0°
【0093】
【実施例1】固体状チタン化合物の調製 1000mlガラス製ビーカーに脱イオン水500ml
を秤取し、氷浴にて冷却した後攪拌しながら四塩化チタ
ン5gを滴下した。このときの温度は0〜5℃であっ
た。塩化水素の発生が止まったら氷浴より取り出し、攪
拌しながら25%アンモニア水を滴下し、液のpHを8
にした。このときの温度は0〜10℃であった。生成し
たチタン水酸化物の沈殿を4kg/cm2の圧力で加圧
濾過器により濾過、分別した。その後、得られたチタン
水酸化物の沈殿を脱イオン水で5回洗浄した。洗浄後の
固液分離は上記同様に4kg/cm2の圧力で加圧濾過
により行った。洗浄後のチタン水酸化物を70℃、10
Torr、18時間の減圧乾燥で水分を除去し、固体状
チタン化合物を得た。
【0094】得られた固体状チタン化合物は重縮合触媒
と使用する前に50ミクロン程度の粒子に粉砕した。こ
の固体状チタン化合物の分析の結果、チタン含量が40
重量%、窒素含量が950ppm、塩素含量が54pp
m、600℃までの加熱重量減が16.8重量%、付着
水分量が15.25重量%であった。これらから計算し
たOH/Ti比は0.193であった。また、結晶化度
を測定した結果、0%であり完全に非晶であった。
【0095】ポリエステルの製造 予め33500重量部の反応液(定常運転時)が滞留す
る反応器内に、攪拌下、窒素雰囲気で260℃、0.9
kg/cm2 Gに維持された条件下に、6458重量部
/時の高純度テレフタル酸と2615重量部/時のエチ
レングリコールとを混合して調製されたスラリーを連続
的に供給し、エステル化反応を行った。このエステル化
反応では、水とエチレングリコールとの混合液が留去さ
れた。
【0096】エステル化反応物(低次縮合物)は、平均
滞留時間が3.5時間になるように制御して、連続的に
系外に抜き出した。上記で得られたエチレングリコール
とテレフタル酸との低次縮合物の数平均分子量は、60
0〜1300(3〜5量体)であった。
【0097】重縮合触媒として、上記で調製した固体状
チタン化合物と酢酸マグネシウムを用い、上記で得られ
た低次縮合物の重縮合反応を行った。触媒添加量として
は、固体状チタン化合物をチタン原子として、低次縮合
物中のテレフタル酸単位に対して0.0105モル%、
酢酸マグネシウムをマグネシウム原子として、低次縮合
物中のテレフタル酸単位に対して0.021モル%を加
え、さらにトリブチルリン酸をリン原子として0.01
05モル%を加え、285℃、1Torrの条件下で重
縮合反応を行い、固有粘度が0.65dl/gの液重品
ポリエチレンテレフタレートを得た。重合時間は65分
であった。
【0098】
【実施例2】固体状チタン化合物の調製 実施例1において、乾燥温度70℃を100℃に変更し
たこと以外は、同様にして固体状チタン化合物を得た。
【0099】得られた固体状チタン化合物は重縮合触媒
と使用する前に50ミクロン程度の粒子に粉砕した。こ
の固体状チタン化合物の分析の結果、チタン含量が43
重量%、窒素含量が510ppm、塩素含量が76pp
m、600℃までの加熱重量減が13.65重量%、付
着水分量が12.11重量%であった。これらから計算
したOH/Ti比は0.182であった。また、結晶化
度を測定した結果、7%であり少し結晶化していた。
【0100】ポリエステルの製造 実施例1において、上記で調製した固体状チタン化合物
を用いること以外は、同様に重縮合反応を行い、固有粘
度が0.65dl/gの液重品ポリエチレンテレフタレ
ートを得た。重合時間は68分であった。
【0101】
【比較例1】固体状チタン化合物の調製 1000mlガラス製ビーカーに脱イオン水500ml
を秤取し、攪拌しながら四塩化チタン5gを滴下した。
このときの温度は約25℃であった。塩化水素の発生が
止まった後、液の温度80℃に保ち、攪拌しながら25
%アンモニア水を滴下し、液のpHを8にした。生成し
たチタン水酸化物の沈殿を4kg/cm 2 の圧力で加圧
濾過器により濾過、分別した。その後、得られたチタン
水酸化物の沈殿を脱イオン水で5回洗浄した。洗浄後の
固液分離は上記同様に4kg/cm2 の圧力で加圧濾過
により行った。洗浄後のチタン水酸化物を70℃、10
Torr、18時間の減圧乾燥で水分を除去し、固体状
チタン化合物を得た。
【0102】得られた固体状チタン化合物は重縮合触媒
と使用する前に50ミクロン程度の粒子に粉砕した。こ
の固体状チタン化合物の分析の結果、チタン含量が50
重量%、窒素含量が530ppm、塩素含量が41pp
m、600℃までの加熱重量減が16.63重量%、付
着水分量が14.68重量%であった。これらから計算
したOH/Ti比は0.200であった。また、結晶化
度を測定した結果、64%であり、かなり結晶化してい
た。
【0103】ポリエステルの製造 実施例1において、上記で調製した固体状チタン化合物
を用いたこと以外は、同様に重縮合反応を行ったが、2
40分では固有粘度が0.65dl/gまで重縮合させ
ることはできなかった。
【0104】
【比較例2】固体状チタン化合物の調製 1000mlガラス製ビーカーに脱イオン水500ml
を秤取し、60℃に保ち、攪拌しながら四塩化チタン5
gを滴下した。塩化水素の発生が止まった後、液の温度
80℃に保ち、攪拌しながら25%アンモニア水を滴下
し、液のpHを8にした。生成したチタン水酸化物の沈
殿を4kg/cm2 の圧力で加圧濾過器により濾過、分
別した。その後、得られたチタン水酸化物の沈殿を脱イ
オン水で5回洗浄した。洗浄後の固液分離は上記同様に
4kg/cm2 の圧力で加圧濾過により行った。洗浄後
のチタン水酸化物を100℃、10Torr、18時間
の減圧乾燥で水分を除去し、固体状チタン化合物を得
た。
【0105】得られた固体状チタン化合物は重縮合触媒
と使用する前に50ミクロン程度の粒子に粉砕した。こ
の固体状チタン化合物の分析の結果、チタン含量が47
重量%、窒素含量が840ppm、塩素含量が1050
ppm、600℃までの加熱重量減が15.95重量
%、付着水分量が13.62重量%であった。これらか
ら計算したOH/Ti比は0.240であった。また、
結晶化度を測定した結果、71%であり、かなり結晶化
していた。
【0106】ポリエステルの製造 実施例1において、上記で調製した固体状チタン化合物
を用いること以外は、同様に重縮合反応を行ったが、2
40分では固有粘度が0.65dl/gまで重縮合させ
ることはできなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体状チタン化合物の結晶化度の測定方法を示
すためのX線回折パターンである。
フロントページの続き (72)発明者 清 水 昭 義 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 (72)発明者 平 岡 章 二 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 (72)発明者 野 田 誠 司 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4J029 AA03 AB04 AB07 BA00 BA02 BA03 BA04 BA05 BA08 BA10 CB04A CB05A CB06A CB10A CC05A CF15 HA01 HB01 HB02 JA061 JA091 JA121 JA231 JB171 JF121 JF131 JF141 JF151 JF161 JF181 JF221 JF231 JF321 JF541 JF571 KA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン水酸化物を脱水乾燥することにより
    得られ、2θ(回折角度)が18°〜35°の範囲にあ
    るX線回折パターンから算出した結晶化度が50%以下
    である固体状チタン化合物からなることを特徴とするポ
    リエステル製造用触媒。
  2. 【請求項2】(I)請求項1に記載の固体状チタン化合
    物と、(II)ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、
    ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガ
    リウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、ア
    ンチモンおよびリンからなる群より選ばれる少なくとも
    1種の元素の化合物とからなることを特徴とするポリエ
    ステル製造用触媒。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載のポリエステル製
    造用触媒の存在下に、芳香族ジカルボン酸またはそのエ
    ステル形成性誘導体と脂肪族ジオールまたはそのエステ
    ル形成性誘導体とを重縮合させてポリエステルを製造す
    ることを特徴とするポリエステルの製造方法。
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