JP3922848B2 - ポリエステル製造用触媒およびポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステル製造用触媒およびポリエステルの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルの製造方法に関し、さらに詳しくは、高い重合活性でアセトアルデヒド含有量の少ないポリエステルが得られるポリエステル製造用触媒およびこの触媒を用いたポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは、機械的強度、耐熱性、透明性およびガスバリア性に優れており、ジュース、清涼飲料、炭酸飲料等の飲料充填容器の素材をはじめとして種々の用途に好適に使用されている。
【0003】
このようなポリエステルは、通常、芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸類と脂肪族ジオールなどのジヒドロキシ化合物類とを原料として製造される。具体的には、まず、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応により低次縮合物(エステル低重合体)を形成し、次いで重縮合触媒の存在下にこの低次縮合物を脱グリコール反応(液相重縮合)させて高分子量化した後、通常さらに固相重縮合を行って製造される。
【0004】
ところで上記のようなポリエステルの製造方法では、重縮合触媒として、従来、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などが使用されている。
しかしながら、アンチモン化合物を使用した場合には、ゲルマニウム化合物を使用する場合に比べ、得られるポリエステルが耐熱性、透明性の点で、若干問題があった。
【0005】
また、ゲルマニウム化合物はかなり高価であるため、ポリエステルの製造コストが高くなるという問題があり、製造コストを下げるために、例えば重合時に飛散するゲルマニウム化合物を回収して再利用するなどのプロセス上の改良が検討されている。
【0006】
このような従来技術に鑑み本発明者が研究した結果、チタンハロゲン化物を加水分解してなる加水分解物またはチタンハロゲン化物とチタン以外の他の元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体との混合物を加水分解してなる加水分解物からなる重縮合触媒は、高い触媒活性でポリエステルを製造できることを見い出した。しかしながらこの重縮合触媒は、調製条件、重合条件等によっては、得られるポリエステル中のアセトアルデヒド含有量が多くなることがある。
【0007】
このような状況のもと本発明者がさらに研究を重ねた結果、上記加水分解物と特定のリン酸金属塩からなる触媒、または、上記加水分解物と特定の金属化合物と特定のリン化合物と脂肪族ジオールとの混合物を加熱して得られたスラリーからなる触媒は、重合活性に優れ、かつ得られたポリエステルはアセトアルデヒド含有量が少ないことを見出して本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記のような状況のもとになされたものであって、高い重合活性でアセトアルデヒド含有量の少ないポリエステルが得られるポリエステル製造用触媒およびこの触媒を用いたポリエステルの製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】
本発明の一の態様に係るポリエステル製造用触媒は、
(A-1)チタンハロゲン化物を加水分解してなる加水分解物と
(B)ベリリウム、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含むリン酸金属塩と
からなることを特徴としている。
【0010】
上記リン酸金属塩としては、リン酸水素マグネシウムまたは二リン酸三マグネシウムが好ましい。
【0012】
発明に係るポリエステルの製造方法は、上記ポリエステル製造用触媒の存在下に芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエステルを製造することを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下本発明に係るポリエステル製造用触媒およびポリエステルの製造方法について具体的に説明する。
【0014】
本発明に係るポリエステル製造用触媒は、
(A)(A-1)チタンハロゲン化物を加水分解してなる加水分解物または(A-2)チタンハロゲン化物とチタン以外の他の元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体との混合物を加水分解してなる加水分解物(以下これらの加水分解物を「含チタン加水分解物」ということがある。)と、
(B)ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルトおよび亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を含むリン酸金属塩とからなる。
【0015】
含チタン加水分解物の調製に用いられるチタンハロゲン化物は、チタン原子とハロゲン原子との結合が少なくとも1つ分子内に存在する化合物であり、具体的には四塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどの四ハロゲン化チタン;三塩化チタンなどの三ハロゲン化チタン;二塩化チタンなどの二ハロゲン化物および一ハロゲン化チタンが挙げられる。
【0016】
チタンハロゲン化物を加水分解する方法としては、特に限定されず、例えば▲1▼水中にチタンハロゲン化物を添加する方法、▲2▼チタンハロゲン化物中に水を添加する方法、▲3▼水中にチタンハロゲン化物の蒸気を含んだガスを通じる方法、▲4▼チタンハロゲン化物中に水蒸気を含んだガスを通じる方法、▲5▼チタンハロゲン化物を含んだガスと水蒸気を含んだガスとを接触させる方法などが挙げられる。
【0017】
上記のように加水分解方法は特に限定されないが、いずれの場合でもチタンハロゲン化物に大過剰の水を作用させて加水分解を完全に進行させることが必要である。加水分解を完全に進行させず、得られた加水分解物が特公昭51-19477項公報に記載されているような部分加水分解物となる場合には、重縮合速度が充分でないことがある。
【0018】
加水分解を行う温度は、通常100℃以下、特に0〜70℃の範囲であることが好ましい。
本発明で用いられる含チタン加水分解物は、チタンハロゲン化物と、チタン以外の他の元素から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体(以下「他の元素の化合物」ということがある。)との混合物を加水分解してなる加水分解物であってもよい。すなわちこの加水分解物は、他の元素の化合物を共存させてチタンハロゲン化物の加水分解を行うことにより得られる。
【0019】
チタンハロゲン化物の加水分解時に共存させてもよい他の元素の化合物としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、アンチモンおよびリン(以下これらの元素を「他の元素」という。)からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物またはこの化合物の前駆体が挙げられる。上記他の元素の化合物としては、例えば、水酸化物などが挙げられる。
【0020】
これらの他の元素の化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
チタンハロゲン化物と、他の元素の化合物との混合物を加水分解する方法としては特に限定されず、例えば▲1▼他の元素の化合物が溶解または懸濁した水中にチタンハロゲン化物を添加する方法、▲2▼水中にチタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物を添加する方法、▲3▼チタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物中に水を添加する方法、▲4▼チタンハロゲン化物中に他の元素の化合物が溶解または懸濁した水を添加する方法、▲5▼他の元素の化合物が溶解または懸濁した水中にチタンハロゲン化物の蒸気を含んだガスを通じる方法、▲6▼水中にチタンハロゲン化物の蒸気および他の元素の化合物の蒸気を含んだガスを通じる方法、▲7▼チタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物中に水蒸気を含んだガスを通じる方法、▲8▼チタンハロゲン化物中に水蒸気と他の元素の化合物の蒸気を含んだガスを通じる方法、▲9▼チタンハロゲン化物を含んだガスと他の元素の化合物の蒸気を含んだガスと水蒸気を含んだガスを接触させる方法などが挙げられる。
【0021】
加水分解の際には、チタンハロゲン化物中のチタン(Ti)と、他の元素の化合物中の他の元素(E)とのモル比(E/Ti)は、1/50〜50/1の範囲であることが望ましい。また加水分解を行う温度は、通常100℃以下、好ましくは0〜70℃の範囲であることが好ましい。
【0022】
チタンハロゲン化物または、チタンハロゲン化物と他の元素の化合物との混合物を加水分解する際には、チタンハロゲン化物の加水分解により発生するハロゲン化水素によって液性が酸性を呈する。この酸性によって加水分解が完結しないことがあるので塩基を添加して中和してもよい。ここで用いられる塩基としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどの元素の周期表第1、2族元素の水酸化物、あるいは炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどの元素の周期表第1、2族元素の炭酸(水素)化合物、尿素、塩基性有機化合物が挙げられる。中和の終点はpHが4以上が好ましく、また中和は、70℃以下で行うことが好ましい。
【0023】
上記加水分解により得られる加水分解物は、この段階ではオルソチタン酸とも呼ばれる含水水酸化物のゲルまたは他の元素を含む含水複合水酸化物ゲルである。この含水水酸化物ゲルまたは含水複合水酸化物ゲルは、このまま重縮合触媒として用いることができるが、脱水乾燥して固体状の加水分解物(固体状含チタン化合物)とすることが好ましい。
【0024】
加水分解物の乾燥は常圧または減圧下、固相状態または水よりも高沸点の液相に懸濁した状態で行うことができ、乾燥温度は特に限定されないが、30℃以上350℃未満であることが好ましい。なお乾燥の前に含水水酸化物ゲルまたは含水複合水酸化物ゲルを水洗したり、乾燥後に固体状含チタン化合物を水洗することによって水溶性の成分を除去してもよい。また乾燥は速やかに行うことが好ましい。
【0025】
このようにして得られた固体状含チタン化合物は、その組成は共存させる他の元素の有無や量、水洗の有無、乾燥方法、乾燥の程度によって異なるが、水酸基(OH)とチタン(Ti)とのモル比(OH/Ti)が通常0.09を超えて4未満、好ましくは0.1〜3、より好ましくは0.1〜2の範囲にあることが重縮合活性の点で望ましい。水酸基とチタンとのモル比は、付着水分および加熱脱離水分の測定により求めることができる。
【0026】
水酸基とチタンとのモル比は、具体的には以下のようにして求める。
固体状含チタン化合物中の水酸基含量を求めるには、まずカールフィッシャー水分計により付着水分量を測定する。次に、熱重量分析により600℃まで加熱することによる加熱減量を測定する。600℃まで加熱することにより付着水分が脱離し、水酸基は水として脱離するものと考えられるため、加熱減量から付着水分量を差し引いた値より水酸基含有量を求める。固体状含チタン化合物中のチタン含有量は、高周波プラズマ発光分析装置により求める。上記チタン含有量と水酸基含有量とからOH/Ti比を求める。
【0027】
より具体的には、例えば調製時に中和剤としてアンモニアを使用した固体状含チタン化合物であって、固体状含チタン化合物中のチタン含有量が46重量%であり、付着水分量が6.73重量%であり、600℃までの加熱減量が9.67重量%であり、窒素含量が1.3重量%であり、塩素含量が14ppmである場合OH/Ti比は以下のように計算する。なお、窒素含量は微量全窒素分析装置(化学発光法)で、塩素含量はクロマトグラフィーで分析する。
【0028】
固体状含チタン化合物100g中のチタンのモル量は以下のように計算される。
【0029】
【数1】
Figure 0003922848
【0030】
また固体状含チタン化合物中の窒素および塩素はそれぞれアンモニア、塩化水素として脱離するため、加熱脱離水分量(重量%)は以下のように求められる。
【0031】
【数2】
Figure 0003922848
【0032】
上記計算結果と付着水分量の測定値から水酸基由来の加熱脱離水分量(重量%)は以下のように求められる。
8.090−6.73=1.360
これより固体状含チタン化合物100g中に含まれる水酸基のモル量は以下のように求められる。
【0033】
(1.360/18)×2=0.1511
以上より、固体状含チタン化合物中のチタン含有量と水酸基含有量とのモル比(OH/Ti比)が求められる。
【0034】
0.1511÷0.9607=0.157
【0035】
この固体状含チタン化合物は、重縮合反応が行われる温度、例えば約280℃においても水酸基が残留する。
また固体状含チタン化合物が他の元素を含む場合は、該化合物中のチタン(Ti)と、他の元素(E)とのモル比(E/Ti)が、1/50〜50/1、好ましくは1/40〜40/1、さらに好ましくは1/30〜30/1であることが好ましい。
【0036】
上記含水水酸化物ゲル、含水複合水酸化物ゲル、固体状含チタン化合物などの含チタン加水分解物は、塩素含量が通常0〜10000ppm、好ましくは0〜100ppmである。
【0037】
本発明で用いられるリン酸金属塩(B)は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルトおよび亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である。
【0038】
リン酸金属塩(B)として具体的には、例えばリン酸水素マグネシウム、二リン酸三マグネシウム、亜リン酸マグネシウムなどのリン酸マグネシウム塩;
リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三カルシウムなどのリン酸カルシウム塩;
リン酸水素ストロンチウムなどのリン酸ストロンチウム塩;
リン酸アルミニウムなどのリン酸アルミニウム塩、
リン酸二水素マンガン、リン酸マンガンなどのリン酸マンガン塩、
リン酸コバルトなどのリン酸コバルト塩、
リン酸亜鉛などのリン酸亜鉛などが挙げられ、これらのなかではリン酸マグネシウム塩が好ましく、特にリン酸水素マグネシウム、二リン酸三マグネシウムが好ましい。
【0039】
上記含チタン加水分解物(A)の量は、低次縮合物中の芳香族ジカルボン酸のモル量(芳香族ジカルボン酸換算)に対して、含チタン加水分解物(A)中の金属の原子換算で、通常0.0005〜0.2モル%、好ましくは0.001〜0.05モル%の範囲であり、またリン酸金属塩(B)の使用割合は、リン原子換算で通常、0.001〜0.200モル%、好ましくは0.002〜0.050モル%の範囲である。重縮合触媒とリン酸エステルとの使用量が上記範囲にあると、重合活性に優れ、得られたポリエステルはアセトアルデヒド含有量が少ない。
【0040】
なおアセトアルデヒド含有量は、試料2gを冷却粉砕し、室温に戻した後1gを採取して容器に仕込み、この容器に内部標準液2ccを加えて密閉し、次いで、120℃のオーブン中で1時間抽出した後、氷冷し、上澄液5μリットルを島津製作所(株)製 GC−6Aにて測定することにより決定される。
【0041】
上記含チタン加水分解物(A)は、エステル化反応工程において反応器に添加することもできるし、重縮合反応工程の第1段目の反応器に添加することもできる。上記リン酸金属塩(B)は、エステル化反応工程において反応器に添加することもできるし、重縮合反応工程の第1段目の反応器に添加することもできる。また、リン酸金属塩(B)は、含チタン加水分解物(A)と同時に添加してもよく、別個に添加してもよい。
【0042】
本発明の他の態様に係るポリエステル製造用触媒は、
上述の(A)含チタン加水分解物と、
(C)ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルトおよび亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物と、
(D)リン酸およびリン酸エステルから選ばれる少なくとも1種のリン化合物と、
(E)脂肪族ジオールと
の混合物を加熱して得られるスラリーからなる。
【0043】
本発明で用いられる金属化合物(C)は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルトおよび亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素を含む化合物である。
【0044】
金属化合物(C)として具体的には、例えば酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどのマグネシウム化合物;
水酸化カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物;
酢酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウムなどのストロンチウム化合物;
酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物;
酢酸マンガンなどのマンガン化合物;
酢酸コバルトなどのコバルト化合物;
酢酸亜鉛などの亜鉛化合物などが挙げられ、これらのなかではマグネシウム化合物が好ましく、特に酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウムが好ましい。
【0045】
本発明で用いられるリン化合物(D)として具体的には、リン酸およびトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステルが挙げられ、これらのなかではリン酸、トリメチルホスフェートが好ましい。
【0046】
本発明で用いられる脂肪族ジオール(E)として具体的には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどが挙げられ、これらのなかではエチレングリコールが好ましい。
【0047】
本発明に係るポリエステル製造用触媒は、上記含チタン加水分解物(A)と、金属化化合物(C)と、リン化合物(D)と、脂肪族ジオール(E)との混合物を加熱することによりスラリーとして得られる。
【0048】
上記混合液中には、含チタン加水分解物(A)がチタン原子換算で0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%、より好ましくは0.3〜10重量%の割合で含まれ、金属化合物(C)が金属換算で0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%、より好ましくは0.3〜10重量%の割合で含まれ、リン化合物(D)がリン原子換算で0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%、より好ましくは0.3〜10重量%の割合で含まれる。なお、残りは脂肪族ジオール(E)である。なお、含チタン加水分解物(A)と金属化合物(C)とは、重合活性の点で同重量用いることが好ましい。
【0049】
上記混合物の加熱は、脂肪族ジオールに溶解した金属化合物(C)の少なくとも一部と、脂肪族ジオールに溶解したリン化合物(D)の少なくとも一部とを反応させることを目的としており、金属化合物(C)およびリン化合物(D)の含有割合が30重量%以下であると、脂肪族ジオールに対する溶解性の点で好ましい。
【0050】
上記混合物の加熱温度は、用いる脂肪族ジオールの沸点にもよるが通常50〜200℃、好ましくは80〜190℃、より好ましくは100〜190℃、加熱時間は3分ないし5時間、好ましくは30分〜4時間、より好ましくは1〜4時間であることが望ましい。
【0051】
加熱温度が50℃以上であると、脂肪族ジオールに溶解した金属化合物(C)と、脂肪族ジオールに溶解したリン化合物(D)とが反応しやすく、加熱温度が200以下であると、脂肪族ジオールが脱水反応などの副反応を起こしにくい。
【0052】
このスラリー状のポリエステル製造用触媒の使用割合は、テレフタル酸とエチレングリコールとの混合物の重量に対して、該触媒中の(含チタン加水分解物(A)に由来する)金属の重量として、通常、0.0005〜0.2重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%の範囲である。
【0053】
上記スラリー状のポリエステル製造用触媒は、エステル化反応工程において重合反応器に添加することもできるし、重縮合反応工程の第1段目の反応器に添加することもできる。
【0054】
本発明では、上記含チタン加水分解物(A)とリン酸金属塩(B)とからなるポリエステル製造用触媒または上記スラリー状のポリエステル製造用触媒に加えて下記のような助触媒成分を使用することができる。この助触媒成分としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、マンガン、コバルト、亜鉛、ゲルマニウム、アンチモンおよびリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の化合物が挙げられ、具体的には、これらの元素の酢酸塩などの脂肪酸塩、これらの元素の炭酸塩、これらの元素の硫酸塩、これらの元素の硝酸塩、塩化物などのハロゲン化物、これらの元素のアセチルアセトナート塩、これらの元素の酸化物などが挙げられる。これらの中では、酢酸塩または炭酸塩が好ましい。
【0055】
助触媒成分としてより具体的には、
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウムなどの脂肪酸アルミニウム塩、炭酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミニウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸アルミニウムまたは炭酸アルミニウムが好ましい。
【0056】
バリウム化合物としては、酢酸バリウムなどの脂肪酸バリウム塩、炭酸バリウム、塩化バリウム、バリウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸バリウムまたは炭酸バリウムが好ましい。
【0057】
コバルト化合物としては、酢酸コバルトなどの脂肪酸コバルト塩、炭酸コバルト、塩化コバルト、コバルトのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸コバルトまたは炭酸コバルトが好ましい。
【0058】
マグネシウム化合物としては、酢酸マグネシウムなどの脂肪酸マグネシウム塩、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、マグネシウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸マグネシウムまたは炭酸マグネシウムが好ましい。
【0059】
マンガン化合物としては、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸マンガンまたは炭酸マンガンが好ましい。
【0060】
ストロンチウム化合物としては、酢酸ストロンチウムなどの脂肪酸ストロンチウム塩、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、ストロンチウムのアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸ストロンチウムまたは炭酸ストロンチウムが好ましい。
【0061】
亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛などの脂肪酸亜鉛塩、炭酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛のアセチルアセトナート塩などが挙げられ、特に酢酸亜鉛または炭酸亜鉛が好ましい。
【0062】
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、酢酸ゲルマニウムなどが挙げられる。
アンチモン化合物としては、二酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどが挙げられる。
【0063】
助触媒成分としては、これらのなかでも炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどのマグネシウム化合物;炭酸カルシウム、酢酸カルシウムなどのカルシウム化合物;塩化亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛化合物が好ましい。
【0064】
これらの助触媒成分は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
このような助触媒成分は、上記ポリエステル製造用触媒中のチタン(他の元素を含む場合はチタンおよび他の元素)(Ti)と、助触媒成分中の金属原子(M)とのモル比〔(M)/(Ti)〕で、1/50〜50/1、好ましくは1/40〜40/1、より好ましくは1/30〜30/1の範囲の量で用いられることが望ましい。
【0065】
助触媒成分は、エステル化反応工程において反応器に添加することもできるし、液相重縮合反応工程の第1段目の反応器に添加することもできる。また助触媒成分をエステル化反応工程で添加する場合は、上記ポリエステル製造用触媒と同時に添加してもよく、別個に添加してもよい。
【0066】
本発明に係るポリエステルの製造方法では、上記のようなポリエステル製造用触媒を用いてポリエステルを製造する。
本発明ではポリエステルは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを原料として製造する。
【0067】
芳香族ジカルボン酸として具体的には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などが挙げられる。
【0068】
脂肪族ジオールとして具体的には、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコールなどが挙げられる。
【0069】
本発明では、芳香族ジカルボン酸とともに、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸などを原料として使用することができ、脂肪族ジオールとともに、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノール、ハイドロキノン、2,2-ビス(4-β-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン類、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香族ジオールなどを原料として使用することができる。
【0070】
また本発明では、トリメシン酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能性化合物を原料として使用することができる。
【0071】
上記したような芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを含む原料は、エステル化される。具体的にはまず、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを含むスラリーを調製する。
【0072】
このスラリーには、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体1モルに対して1.02〜1.4モル、好ましくは1.03〜1.3モルの脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体が含まれる。このスラリーは、エステル化反応工程に連続的に供給される。
【0073】
エステル化反応は、好ましくは2個以上のエステル化反応器を直列に連結した装置を用いて脂肪族ジオールが還流する条件下で、反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら実施される。エステル化反応を行う際の反応条件は、第1段目のエステル化反応の温度が、通常240〜270℃、好ましくは245〜265℃であり、圧力が、通常0.2〜3kg/cm2G、好ましくは0.5〜2kg/cm2Gであり、また最終段目のエステル化反応の温度が通常250〜280℃、好ましくは255〜275℃であり、圧力が通常0〜1.5kg/cm2G、好ましくは0〜1.3kg/cm2Gである。
【0074】
エステル化反応を2段階で実施する場合には、第1段目および第2段目のエステル化反応条件がそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段の1段前までエステル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。
【0075】
例えば、エステル化反応が3段階で実施される場合には、第2段目のエステル化反応の反応温度は、通常245〜275℃、好ましくは250〜270℃であり、圧力は、通常0〜2kg/cm2G、好ましくは0.2〜1.5kg/cm2Gである。これらのエステル化反応の反応率は、それぞれの段階においては、とくに制限はないが、各段階におけるエステル化反応率の上昇の度合が滑らかに分配されることが好ましく、さらに最終段目のエステル化反応生成物においては通常90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。
【0076】
これらのエステル化工程によりエステル化物(低次縮合物)が得られ、このエステル化物の数平均分子量は、通常、500〜5000である。このようなエステル化反応は、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオール以外の添加物を添加せずに実施することも可能であり、上記ポリエステル製造用触媒の共存下に実施することも可能である。またトリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン;水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラn-ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウム;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施すると、ポリエチレンテレフタレートの主鎖中のジオキシエチレンテレフタレート成分単位の割合を比較的低水準に保持できるので好ましい。
【0077】
次いで得られたエステル化物は、液相重縮合工程に供給される。この液相重縮合工程では、上記ポリエステル製造用触媒の存在下に減圧下で、得られるポリエステルの融点以上の温度に加熱し、この際生成するグリコールを系外に留去させてエステル化物を重縮合する。
【0078】
このような液相での重縮合反応は、1段階で行っても、複数段階に分けて行ってもよい。複数段階で行う場合、重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度が、通常、250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力が、通常、500〜20Torr、好ましくは200〜30Torrであり、また最終段階の重縮合反応の温度が通常265〜300℃、好ましくは270〜295℃であり、圧力が通常10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrである。
【0079】
重縮合反応を2段階で実施する場合には、第1段目および第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上記の範囲であり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段目の1段前までの重縮合反応の反応条件は上記1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件である。
【0080】
例えば、重縮合反応が3段階で実施される場合には、第2段目の重縮合反応の反応温度は通常260〜295℃、好ましくは270〜285℃であり、圧力は通常、50〜2Torr、好ましくは40〜5Torrの範囲である。これらの重縮合反応工程の各々において到達される固有粘度(IV)は特に制限はないが、各段階における固有粘度の上昇の度合が滑らかに分配されることが好ましい。
【0081】
最終段目の重縮合反応器から得られるポリエステルの固有粘度は、通常0.35〜0.80dl/g、好ましくは0.45〜0.75dl/g、さらに好ましくは0.55〜0.75dl/gの範囲であることが望ましい。本明細書において、固有粘度は、ポリエステル1.2gをo-クロロフェノール15cc中に加熱溶解した後、冷却して25℃で測定された溶液粘度から算出される。
【0082】
またこのポリエステルの密度は、通常1.33〜1.35g/cm3であることが望ましい。本明細書において、ポリエステルの密度は、四塩化炭素およびヘプタンの混合溶媒を用いた密度勾配管により、23℃の温度で測定される。
【0083】
上記のような重縮合反応は、上述したようなポリエステル製造用触媒の存在下に実施される。また重縮合反応は、安定剤の存在下に実施されることが好ましい。
【0084】
重縮合反応に必要に応じて用いられる安定剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリn-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類;メチルアッシドホスフェート、イソプロピルアッシドホスフェート、ブチルアッシドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステルおよびリン酸、ポリリン酸などのリン化合物が用いられる。
【0085】
安定剤の使用割合は、テレフタル酸とエチレングリコールとの混合物の重量に対して、安定剤中のリン原子の重量として通常、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.002〜0.02重量%の範囲である。安定剤は、エステル化反応工程の段階において供給することもできるし、重縮合反応工程の第1段目の反応器に供給することもできる。
【0086】
このようにして、最終重縮合反応器から得られたポリエステルは、通常、溶融押出成形法によって粒状(チップ状)に成形される。
このような粒状ポリエステルは、通常2.0〜5.0mm、好ましくは2.2〜4.0mmの平均粒径を有することが望ましい。このようにして液相重縮合工程を経た粒状ポリエステルは、通常固相重縮合工程に供給される。
【0087】
粒状ポリエステルは、固相重縮合を行う場合の温度より低い温度に加熱して予備結晶化を行った後、固相重縮合工程に供給してもよい。
このような予備結晶化工程は、粒状ポリエステルを乾燥状態で、例えば120〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度に、1分〜4時間加熱することによって行ってもよく、あるいは粒状ポリエステルを水蒸気雰囲気下、水蒸気含有不活性ガス雰囲気下または水蒸気含有空気雰囲気下で、例えば120〜200℃の温度に1分間以上加熱することによって行ってもよい。
【0088】
このような粒状ポリエステルが供給される固相重縮合工程は、少なくとも1段からなり、重縮合温度が通常190〜230℃、好ましくは195〜225℃であり、圧力が通常、1kg/cm2 G〜10Torr、好ましくは常圧ないし100Torrの条件下で、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下で固相重縮合反応が実施される。これらの不活性ガスの中では窒素ガスが好ましい。
【0089】
このようして得られたポリエステルの固有粘度は、通常0.50dl/g以上、好ましくは0.72dl/g以上であることが望ましい。このポリエステルの密度は、通常1.37g/cm3 以上、好ましくは1.38g/cm3以上、さらに好ましくは1.39g/cm3 以上であることが望ましい。
【0090】
【発明の効果】
本発明に係るポリエステル製造用触媒は、高い重合活性で、アセトアルデヒド含有量の少ないポリエステルを製造することができる。
【0091】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0092】
【実施例1】
固体状含チタン化合物の調製
1000mlのガラス製ビーカーに脱イオン水500mlを秤取し、氷浴にて冷却した後、撹拌しながら四塩化チタン5gを滴下した。塩化水素の発生が止まったら氷浴より取り出し、撹拌しながら25%アンモニア水を滴下し、液のpHを8にした。生成したチタン水酸化物の沈殿を3kg/cm2 の圧力で加圧濾過器により濾過、分別した。その後、得られたチタン水酸化物の沈殿を脱イオン水で5回洗浄した。洗浄後の固液分離は上記と同様に3kg/cm2 の圧力で加圧濾過により行った。洗浄後のチタン水酸化物を70℃、10Torr、18時間の減圧乾燥で水分を除去し、固体状含チタン化合物を得た。
【0093】
得られた、固体状含チタン化合物は使用する前に、10μm程度の粒子に粉砕した。
ポリエステルの製造
定常運転時に33500重量部の反応液が滞留する反応器に、高純度テレフタル酸とエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを連続的に供給し、撹拌下、窒素雰囲気で、260℃、0.9kg/cm2-Gの条件下でエステル化反応を行った。高純度テレフタル酸とエチレングリコールとのスラリーは、高純度テレフタル酸とエチレングリコールとをそれぞれ6458重量部/時、2615重量部/時の割合で混合することにより調製した。
【0094】
エステル化反応では、水とエチレングリコールとの混合液が留去された。エステル化反応物(低次縮合物)は、平均滞留時間が3.5時間となるように制御して連続的に系外に抜き出した。
【0095】
上記で得られたエチレングリコールとテレフタル酸との低次重縮合物の数平均分子量は600〜1300(3〜5量体)であった。
こうして得られた低次縮合物に、上記固体状含チタン化合物を該低次縮合物中のテレフタル酸単位に対しチタン原子換算で0.021モル%となる量で、リン酸水素マグネシウムを低次縮合物中のテレフタル酸単位に対しマグネシウム原子換算で0.021モル%の量で、リン酸をリン原子換算で0.0105モル%の量で添加し、285℃、1Torrの条件で液相重縮合反応を行った。ポリエチレンテレフタレートの固有粘度が0.65dl/gに達するまでに要した時間は57分であり、得られたポリエチレンテレフタレート中のアセトアルデヒド含有量は60ppmであった。
【0096】
【実施例2】
リン酸水素マグネシウムに代えて、二リン酸三マグネシウムを用いたこと以外は実施例1と同様にして重縮合反応を行った。ポリエチレンテレフタレートの固有粘度が0.65dl/gに達するまでに要した時間は67分であり、得られたポリエチレンテレフタレート中のアセトアルデヒド含有量は57ppmであった。
【0097】
【比較例1】
リン酸水素マグネシウムに代えて、酢酸マグネシウムを用いたこと以外は実施例1と同様にして重縮合反応を行った。ポリエチレンテレフタレートの固有粘度が0.65dl/gに達するまでに要した時間は100分であり、得られたポリエチレンテレフタレート中のアセトアルデヒド含有量は70ppmであった。

Claims (3)

  1. (A-1)チタンハロゲン化物を加水分解してなる加水分解物と
    (B)ベリリウム、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含むリン酸金属塩と
    からなることを特徴とするポリエステル製造用触媒。
  2. 上記リン酸金属塩が、リン酸水素マグネシウムまたは二リン酸三マグネシウムである請求項1に記載のポリエステル製造用触媒。
  3. 請求項1または2に記載のポリエステル製造用触媒の存在下に、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、脂肪族ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合させてポリエステルを製造することを特徴とするポリエステルの製造方法。
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