JP3907367B2 - 仮設構造物の構築方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建設工事の仮設足場やローリングタワー、室内足場等の多目的な用途に用いることができる仮設構造物の構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種建物や土木等の建設工事に使用される一般的な仮設枠組足場は、門型や鳥居型の建枠と交差筋交い及び足場板を使用し、対向させた建枠を交差筋交いで結合すると共に、対向する建枠の上部に足場板を架設し、建枠の上方への継ぎ足しと水平方向への建て増しを行なうことにより、所望する高さと平面的な長さを有する足場を構築するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の枠組足場の構築方法では、対向する建枠の上部間に架設した足場板の上で上方への継ぎ足し作業を行なうとき、足場板の上部周囲に何も存在しないことになり、このため、高所作業となる足場板上での組み立て作業の安全対策が取れず、墜落のような事故が発生する危険性があるという問題がある。 そこで、この発明の課題は、足場板の上部周囲に先行して安全手摺り枠を配置することができ、高所作業となる足場板上での組み立て作業の安全確保が実現できる仮設構造物の構築方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、上下軸方向に所定の間隔で孔付きのフランジが固定され、順次継ぎ足しが可能となる支柱と、上部両側に支柱へ上下スライド可能に係合する係止金具と下部両側にフランジへの結合金具が取り付けられた手摺り枠と、フランジとの結合により隣接する二本の支柱を所定の間隔で結合するための結合部材と、対向する結合部材間に架設する足場板とを用い、結合部材で結合した二本一組の支柱を対向状に配置し、対向する結合部材間に架設した足場板上で、先ず、上記各支柱の上端に上位支柱の継ぎ足し作業を行い、次に、両側に対向する継ぎ足し支柱間に手摺り枠を臨ませ、上部両側の係止金具を両側の継ぎ足し支柱にそれぞれ係合させた状態で継ぎ足し支柱をガイドに手摺り枠を上方にスライドさせ、その押し上げ位置で下部両側の結合金具を上部継ぎ足し支柱のフランジに結合して手摺り枠の取り付け作業を行い、上部継ぎ足し支柱への足場板の架設前に先行して上部継ぎ足し支柱間に手摺り枠を取り付ける構成を採用したものである。
【0005】
請求項2の発明は、上下軸方向に所定の間隔で孔付きのフランジが固定され、順次継ぎ足しが可能となる支柱と、上部両側にフランジへの係止金具と下部両端にフランジへの結合金具が取り付けられ、斜材の交差角度の変化で上下の高さ寸法が変化する機能のある筋交い手摺り枠と、フランジとの結合により隣接する二本の支柱を所定の間隔で結合するための結合部材と、対向する結合部材間に架設する足場板とを用い、結合部材で結合した二本一組の支柱を対向状に配置し、対向する結合部材間に架設した足場板上で、先ず、上記各支柱の上端に上位支柱の継ぎ足し作業を行い、次に、両側に対向する継ぎ足し支柱間に筋交い手摺り枠を臨ませ、この筋交い手摺り枠を上下に伸ばした状態にして上部両側の係止金具を両側の継ぎ足し支柱の上位フランジにそれぞれ係合させ、続いて筋交い手摺り枠を縮めた状態にして下部両端の結合金具を上部継ぎ足し支柱の中間フランジに結合して筋交い手摺り枠の取り付け作業を行い、上部継ぎ足し支柱への足場板の架設前に先行して上部継ぎ足し支柱間に筋交い手摺り枠を取り付ける構成を採用したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0007】
図1乃至図11は、先行手摺り枠を用いた仮設足場の組み立てた状態とこれに用いる構成部材を示し、この仮設足場の基本的な構成部材には、図4に示すように、ジャッキベース1と、このジャッキベース1上に起立させる下部支柱2と、下部支柱2上に接続すると共に上方に継ぎ足して行く支柱3と、必要な長さだけ順次継ぎ足していく中間支柱4と、図5乃至図7に示すように、隣接する支柱2を互いに結合する筋交い部材5と、筋交い部材5の間に架設する足場板6と、対向する支柱2間に取り付ける先行手摺り枠7と、対向する下部支柱2や中間支柱4等を互いに結合するための水平材8等が用意されている。
【0008】
先ず、下部支柱2と中間支柱4は、所定の直径を有する短い鋼管を用いて形成し、上端に支柱3を接続するための小径ジョイントパイプ9が設けられ、下部支柱2は上端部に孔付きのフランジ10が固定され、中間支柱4は、下部支柱2よりも少し長く、上下三箇所にフランジ10が固定されている。
【0009】
また、支柱3は、所定の直径を有する鋼管を用いて形成し、上端に接続用の小径ジョイントパイプ9が設けられ、中間部と上端部の位置に孔付きのフランジ10を固定して形成され、上記ジョイントパイプ9と下部支柱2、支柱3や中間支柱4の接続は、嵌合部分をピン結合したり、ジョイントパイプ9に設けた既知のロック機構によって結合するようになっている。ちなみに、この支柱3の高さ寸法は、1800mmになっている。
【0010】
次に、図5(A)は、二本の支柱3を互いに接続するための筋交い部材5の第1の例を示し、両端に支柱3のフランジ10との結合金具11が取り付けられ、両側に起立させた支柱3を結合する鋼管製の水平パイプ12と、この水平パイプ12の中間下部に上端が溶接で固定され、下端に支柱3への外嵌金具13が設けられ、水平パイプ12と支柱3の途中の間に設ける斜材14と、水平パイプ12の端部と斜材14の下部を固定する縦材15とで形成されている。
【0011】
図5(B)は、筋交い部材5の第2の例を示し、両端に支柱3のフランジ10との結合金具11が取り付けられ、両側に起立させた支柱3を結合する鋼管製の水平パイプ16と、この水平パイプ16の途中にそれぞれ上端がピン17で枢止され、ハ字状の下部広がりに配置することができる二本の斜材18とからなり、斜材18の下端部に支柱3の下位フランジ10に対する結合金具11が取り付けられている。
【0012】
この第2の例の筋交い部材5は、支柱3の上位に位置するフランジ10に結合金具11を締結することで、両側の支柱3を水平パイプ16で結合したとき、斜材18の結合金具11が中間のフランジ10と結合できるような条件になっていると共に、使用しないときは水平パイプ16に斜材18が沿うよう嵩低く折り畳むことができる。
【0013】
この筋交い部材5は、何れの例においても、例えば支柱3の結合間隔が、1800mm、1200mm、900mmの三種類が用意され、仮設足場の組み立て条件に応じて選択できるようにしている。
【0014】
前記した足場板6は、図7に示すように、両端部に一対のフック19を設けた周知の構造を有し、筋交い部材5の水平パイプ12や16間に架設するようになっている。この足場板は1800mmの間隔の水平パイプ16間に架設することができ、また、幅は複数種類の組み合わせによって、1800mm、1200mm、900mmの三種類に対応し得るよう、三種類の幅の異なるものが用意されている。
【0015】
図6は、先行手摺り枠7を示し、パイプを下向きコ字状に折り曲げ、中間に水平の中桟20aを設けた枠体20の上部両側の位置に、支柱3に対して係脱自在で上下スライド可能に係合する係止金具21、22を固定し、枠体20の下端部間を幅木又はパイプ23で結合し、該枠体20の両側下端部に支柱3のフランジ10に対する結合金具11を取り付けた構造になっている。
【0016】
この先行手摺り枠7は、1800mmの間隔で支柱を結合するよう、枠体20の幅と係止金具21、22及び結合金具11の取り付け関係が設定され、枠体20の高さは、支柱3の中間フランジ10と上部フランジ10の間隔に略一致する程度になっている。
【0017】
上記枠体20の上部両側に設けた結合金具21、22は左右で構造が異なり、一方の結合金具21は、図6(B)、(C)に示すように、金属線材を用い、支柱3に対して外嵌する平面欠円形状で、正面から見て傾斜部の両端が上下方向へ傾斜状に屈曲し、この屈曲片間が枠体20の形成パイプを外嵌通過する間隔で開口する形状に形成され、枠体20の外面に水平に突設した腕片24の先端に固定されている。
【0018】
また、他方の結合金具22は、図6(D)、(E)に示すように、金属線材を用い、支柱3に対して外嵌する平面コ字状に形成され、枠体20の外面に水平に突設した腕片25の先端に固定されている。
【0019】
この先行手摺り枠7の上部を対向する支柱3に取り付けるには、図8(C)のように、一方の結合金具21が水平になるよう、先行手摺り枠7を該一方の結合金具21が下がる傾斜状に保持して対向する支柱3間に配置し、先ず、この姿勢で一方の結合金具21を一方の支柱3に外嵌し、次に、先行手摺り枠7を水平にすれば他方の結合金具22が他方の支柱3に外嵌することになり、これによって、図9(A)のように、先行手摺り枠7の上部の支柱3間への取り付けが行なえ、両結合金具21、22は、それぞれ支柱3に外嵌しているので、先行手摺り枠7は支柱3に沿って上下方向にスライド可能となる。
【0020】
図5(C)は、対向する下部支柱2や中間支柱4等を互いに結合するための水平材8を示し、所定の長さを有する鋼管パイプの両端にフランジ10に対する結合金具11を設けた構造になっていて、先行手摺り枠7と同様、1800mmの間隔で下部支柱2や中間支柱4を結合するものと、1200mm、900mmの間隔で結合するものとが用意されている。
【0021】
図11(A)乃至(D)は、下部支柱2や中間支柱4、支柱3のフランジ10に対して固定する結合金具11の具体的な構造を示している。
【0022】
この結合金具11は、上記した先行手摺り枠7の下部両側、水平材8の両端、筋交い部材5の端部にそれぞれ水平状態で固定されるホルダー部材31と、このホルダー部材31内でフランジ10とホルダー部材31を締結する楔部材32との組み合わせからなり、ホルダー部材31は、上下に細長い前壁33の両側に後方へ屈曲する側壁を折り曲げ連成し、該水平パイプや斜材等の端部に対して対向する両側壁の後端を溶接し、両側壁間の上下面が楔部材32を挿通するための開口34になっている。
【0023】
このホルダー部材31の前後方向の長さが、フランジ10の結合用の孔35を設けた部分の半径方向の長さよりも長く形成され、このホルダー部材31には、フランジ10の厚みに対して外嵌挿する切り欠き36が先端部から水平方向に沿って設けられ、その先端壁33を支柱3の外周に当接させることができるように切り欠き36の深さが設定されている。上記切り欠き36をフランジ10に外嵌挿すれば、ホルダー部材31と水平パイプや斜材等は回転が阻止されることになる。
【0024】
上記楔部材32は、フランジ10の結合用の孔35に対して上部から差し込む楔部37と、この楔部37の途中に設けた水平部38と、該水平部38の先端から直角に垂下してフランジ10の外周と水平パイプや斜材等の端部間に納まる杆状部39とで二又状に形成され、楔部37は下端に向けて狭幅となり、ホルダー部材31の前壁33の内面に当接させる前縁が垂直で結合用の孔35の端部に当接する後縁が傾斜縁になっている。なお、楔部37は図示のような下部狭幅形状以外に、ストレートな形状を採用してもよい。
【0025】
この楔部37の上端と杆状部39の下端に抜け止め用のピン40、41が固定され、ホルダー部材31内に挿入した楔部材32の楔部37を結合用の孔35に差し込んだ状態で、楔部37の上端がホルダー部材31の上面に突出すると共に、杆状部39の下端がホルダー部材31の下面から下方に突出することになる。
【0026】
また、杆状部39の内側縁には、係止段部42が設けてあり、この係止段部42をホルダー部材31の下部横桟43に係止すれば、図11(A)の如く、楔部材32の楔部37がフランジ10と干渉しない位置に保持でき、ホルダー部材31の切り欠き36をフランジ10に対して楔部材32に関係なく嵌挿することができる。
【0027】
フランジ10にホルダー部材31を嵌挿すると、杆状部39の内側縁がフランジ10に当接することにより、係止段部42が下部横桟43から外れ、楔部材32は、自重で落下して楔部37が結合用の孔35に落ち込み、図11(C)に示すように、前壁33が支柱3等に圧接した状態で楔部37がフランジ10とホルダー部材31を固定化することになる。
【0028】
次に、先行手摺り枠を用いた足場の構築方法を説明する。
【0029】
先ず、図8(A)と(B)のように、床面の四箇所の位置にジャッキベース1を配置し、このジャッキベース1上に下部支柱2を接続し、四方の下部支柱2をフランジ10への結合金具11の締結により水平材8で枠状に結合し、続いて上記各下部支柱2上に支柱3を接続し、四方に起立させた支柱3の一組の対向する二面において、図9(C)のように隣接する支柱3の中間フランジ10を筋交い部材5の水平パイプ12で結合する。
【0030】
また、建物と反対側の面に位置して対向する二本の支柱3間に先行手摺り枠7を臨ませ、図8(C)のように一方の結合金具21が水平になるよう、先行手摺り枠7を該一方の結合金具21が下がる傾斜状に保持し、先ず、この姿勢で一方の結合金具21を一方の支柱3に外嵌し、次に、先行手摺り枠7を水平にすれば他方の結合金具22が他方の支柱3に外嵌することになり、両結合金具21、22は、それぞれ支柱3に外嵌しているので、図9(A)のように、先行手摺り枠7は支柱3に沿って上下方向にスライド可能となり、枠体20の下部両端に設けた結合金具11の支柱3の中間フランジ10に対する位置合わせが簡単に行なえ、中間フランジ10に結合金具11を締結すれば、これによって、先行手摺り枠7の支柱3間への取り付けが行なえ、この後、筋交い部材5の水平パイプ12間に足場板6を架設する。
【0031】
足場の構築は、上記足場板6の上に載り、各支柱3の上端への支柱3の継ぎ足しと、継ぎ足した支柱3の二面において、中間フランジ10を筋交い部材5の水平パイプ12で結合し、かつ、対向する支柱3間への先行手摺り枠7の取り付けを上方へ順次繰り返して行なうものである。
【0032】
この時、足場板6の上部には、四隅に支柱3が起立すると共に、対向する支柱3間には足場板6の上方に先行手摺り枠7が位置することになるので、これらによって、高所作業となる足場板6上での継ぎ足し作業が安全に行なえることになる。
【0033】
また、上記のような支柱3の立設と筋交い部材5での結合、支柱3間への先行手摺り枠7の取り付けと、筋交い部材5間への足場板6の架設作業を横方向に繰り返すことにより、図1と図2のように、足場を組み上げることができる。
【0034】
次に、図12乃至図15は、筋交い手摺り枠51を用いた仮設足場の組み立てた状態と構成部材を示し、この仮設足場の基本的な構成部材は、上述した先行手摺り枠7を用いた仮設足場の場合において、先行手摺り枠7に代えて筋交い手摺り枠51を用いる以外は同じである。
【0035】
上記筋交い手摺り枠51は、図14に示すように、水平パイプ52と二本の斜材53の組み合わせからなり、水平パイプ52の両端下部に、フランジ10の結合用の孔35に対して差し込む楔状の差し込み片54と、この差し込み片54よりも内側寄りの位置に間隔を設けて斜材取り付け片55を下向きに固定し、斜材取り付け片55にピン56で枢止したロック部材57にそれぞれ斜材53の上端を固定し、両斜材53の下端にフランジ10への結合金具11を取り付け、二本の斜材53の交差部分を紐や番線、ワイヤー等を用いた環状体58で保持するようにしたものである。
【0036】
従って、両斜材53の下端を握り、両斜材53の交差角度が変化するように操作すれば、水平パイプ52の上下位置が変動することになり、交差部分に遊嵌する環状体58の移動で両斜材53の交差角度を変化させることができる。
【0037】
上記ロック部材54と斜材53は一体に回動し、図14(C)のように、両斜材53の下端を握り、両斜材53を下端部で交差するような角度にしたとき、ロック部材57は差し込み片54から離反した位置に回動し、差し込み片54のフランジ10の孔35への挿入を可能にし、また、図14(B)のように、両斜材53を中央で交差させた支柱3間への取り付け姿勢にすると、ロック部材57は差し込み片54に接近動し、差し込み片54をフランジ10の孔35へ挿入した状態でフランジ10の下面側に係合し、これにより、フランジ10の孔35から差し込み片54が抜けないようにロックすることになる。
【0038】
この筋交い手摺り枠51の支柱3を結合する間隔は 先行手摺り枠7と同様、1800mmに設定され、支柱3の上部フランジ10に水平パイプ52を架設した状態で、斜材53の下端結合金具11を中間フランジ10に結合することができるようになっている。
【0039】
この筋交い手摺り枠51を用いた足場の構築方法は、上述した先行手摺り枠7を用いた足場と同様の構築において、先行手摺り枠7に代えて筋交い手摺り枠51を使用するものであり、支柱3の継ぎ足しを行なった後、この継ぎ足した支柱3間に筋交い手摺り枠51を臨ませ、先ず、図15(A)のように、両斜材53の下端を接近させて両斜材53の交差位置を下方に移動させれば、水平パイプ52が上昇する持ち上げ状態になり、上昇した水平パイプ52の両端の差し込み片54を支柱3の上部フランジ10の孔35に差し込んで、支柱3の上部フランジ10間に水平パイプ52を架設し、次に、図15(B)のように、一方の斜材53を上方に回動させてその下端に設けた結合金具11を支柱3の中間フランジ10に結合し、この後、他方の斜材53を上方に回動させてその下端に設けた結合金具11を支柱3の中間フランジ10に結合すれば、図15(C)のように、足場板6の架設に先行して支柱3間への筋交い手摺り枠51の取り付けが行なえる。
【0040】
このように、支柱3の上部フランジ10が作業者の手が届かない位置にあっても、筋交い手摺り枠51を上下に長い状態にすれば、両斜材53の下端を握った状態で上部フランジ10間に水平パイプ52を架設することができ、また、足場板6の架設前に先行して筋交い手摺り枠51を取り付けることにより、継ぎ足し作業を行なう足場板6の上部に支柱3と筋交い手摺り枠51が位置することになり、継ぎ足し作業の安全性を確保することができる。
【0041】
なお、上記した何れの足場においても、解体作業は、作業する足場板6の上部に支柱3と先行手摺り枠7又は筋交い手摺り枠51が残るように、上階足場板6の取り外し、筋交い部材5の取り外し、先行手摺り枠7又は筋交い手摺り枠51の取り外し、支柱3の抜き取りを下方に移行していけばよい。
【0042】
図16乃至図21は、上述した仮設足場の各構成材を基本的に使用し、これに他の部材を組み合わせ使用することによって構築することのできる仮設構造物の幾つかの例を示している。
【0043】
図16は、ローリングタワーを示し、車輪61上に下部支柱2とその上に支柱3を順次継ぎ足し、隣接する二本の下部支柱2を水平材や筋交い部材で結合し、この結合した二本の支柱3を所定の間隔で対向するように配置し、対向する支柱3間に先行手摺り枠7を取り付けると共に、対向する支柱3の水平材や筋交い部材間に足場板を架設し、上下の足場板間に階段62をかけ渡したものである。
【0044】
図示のように、隣接する足場板と先行手摺り枠7が段差のあるように配置すると、上下の足場板間の間隔が短くなり、階段62の短尺化が可能になる。
【0045】
図17は、支保工を示し、ジャッキベース1上に下部支柱2を継ぎ足すことによって形成した柱を水平材8で順次結合して枠状に組み立て、必要な部分に足場板を架設すると共に斜材63で補強し、柱の上端に大引64等の支持部材65を取り付けた構造になっている。
【0046】
図18は、室内足場を示し、ジャッキベース1上に下部支柱2を継ぎ足すことによって形成した柱を水平材8で順次結合して枠状に組み立て、上面に足場板を架設することによって形成した構造になっている。
【0047】
図19は、安全通路を示し、ジャッキベース1上に下部支柱2を継ぎ足すことによって形成した柱と、支柱3を混合して用い、柱相互及び支柱相互を水平材8で結合し、水平材8間に足場板6を架設すると共に、柱と支柱3間、支柱3と支柱3間に先行手摺り枠7を取り付けると共に、必要な部分を斜材63で補強した構造になっている。
【0048】
図20と21は、仮設足場に組み合わせるベランダブリッジを示し、建物のベランダ上に伸縮支柱66と下部支柱2を継ぎ足すことによって形成した柱を立設し、この二本の柱を水平材8で結合すると共に、この柱と仮設足場の支柱3を水平材8で結合し、水平材8間に足場板6を架設すると共に、足場板6とベランダの床面間に階段62をかけ渡したものである。
【0049】
このように、上述した仮設足場の各構成材は、各種仮設構造物の構成材として多目的な用途に使用することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、孔付きのフランジが固定された支柱を順次継ぎ足し、隣接する支柱を所定の間隔で結合すると共に、足場板を架設することによって組み立てる仮設構造物において、下階の足場板上で支柱の継ぎ足しと、継ぎ足した支柱間への先行手摺り枠又は筋交い手摺り枠の取り付けを、上階足場板の架設に先行して行なうようにしたので、足場板の上部周囲に先行して安全手摺り枠を配置することができ、上階足場板上での支柱の継ぎ足しや先行手摺り枠又は筋交い手摺り枠の取り付け作業を行なうとき、すでに上階足場板の上部周囲に、支柱と先行手摺り枠又は筋交い手摺り枠が位置することになり、従って、高所作業となる足場板上での組み立て作業の安全性を支柱と先行手摺り枠又は筋交い手摺り枠で確保でき、仮設構造物の組み立てが安全に行なえるようになる。
【0051】
また、仮設構造物の構成部材である支柱、先行手摺り枠又は筋交い手摺り枠等は汎用性があり、既存の部材との組み合わせで多様な仮設構造物の構築が可能となり、構成部材の多目的利用によって種々の仮設構造物を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】先行手摺り枠を用いた仮設足場の組み立てた状態を示す正面図
【図2】同上の側面図
【図3】同上において第2の例の筋交い部材を用いた側面図
【図4】(A)乃至(C)は支柱の異なった例を示す正面図、(D)はジャッキベースの正面図
【図5】(A)は第1の例の筋交い部材の正面図、(B)は同第2の例の筋交い部材の正面図、(C)は水平材の正面図
【図6】(A)は先行手摺り枠の正面図、(B)は同上に設ける一方の結合金具を示す拡大平面図、(C)は同正面図、(D)は同上に設ける他方の結合金具を示す拡大平面図、(E)は同正面図
【図7】(A)乃至(C)は幅の異なる足場板の平面図
【図8】(A)乃至(C)は仮設足場の構築工程を示す説明図
【図9】(A)乃至(C)は仮設足場の構築工程を示す説明図
【図10】(A)と(B)は仮設足場の構築工程を示す説明図
【図11】(A)は結合金具の縦断正面図、(B)は同上のフランジに対する結合途中の状態を示す縦断正面図、(C)は同結状態を示す縦断正面図、(D)は同結状態の平面図
【図12】筋交い手摺り枠を用いた仮設足場の組み立てた状態を示す正面図
【図13】同上の側面図
【図14】(A)は筋交い手摺り枠の正面図、(B)は同上におけるロック部材の開放姿勢を示す拡大正面図、(C)は同上におけるロック部材の係合姿勢を示す拡大正面図
【図15】(A)乃至(C)は筋交い手摺り枠の姿勢の変化を示す正面図
【図16】仮設構造物として組み立てたローリングタワーを示す正面図
【図17】仮設構造物として組み立てた支保工を示す正面図
【図18】仮設構造物として組み立てた室内足場を示す正面図
【図19】(A)は仮設構造物として組み立てた安全通路を示す正面図、(B)は同側面図
【図20】(A)は仮設構造物として組み立てたベランダブリッジを示す正面図
【図21】同上の側面図
【符号の説明】
1 ジャッキベース
2 下部支柱
3 支柱
4 中間支柱
5 筋交い部材
6 足場板
7 先行手摺り枠
8 水平材
51 筋交い手摺り枠

Claims (2)

  1. 上下軸方向に所定の間隔で孔付きのフランジが固定され、順次継ぎ足しが可能となる支柱と、上部両側に支柱へ上下スライド可能に係合する係止金具と下部両側にフランジへの結合金具が取り付けられた手摺り枠と、フランジとの結合により隣接する二本の支柱を所定の間隔で結合するための結合部材と、対向する結合部材間に架設する足場板とを用い、結合部材で結合した二本一組の支柱を対向状に配置し、対向する結合部材間に架設した足場板上で、先ず、上記各支柱の上端に上位支柱の継ぎ足し作業を行い、次に、両側に対向する継ぎ足し支柱間に手摺り枠を臨ませ、上部両側の係止金具を両側の継ぎ足し支柱にそれぞれ係合させた状態で継ぎ足し支柱をガイドに手摺り枠を上方にスライドさせ、その押し上げ位置で下部両側の結合金具を上部継ぎ足し支柱のフランジに結合して手摺り枠の取り付け作業を行い、上部継ぎ足し支柱への足場板の架設前に先行して上部継ぎ足し支柱間に手摺り枠を取り付けることを特徴とする仮設構造物の構築方法。
  2. 上下軸方向に所定の間隔で孔付きのフランジが固定され、順次継ぎ足しが可能となる支柱と、上部両側にフランジへの係止金具と下部両端にフランジへの結合金具が取り付けられ、斜材の交差角度の変化で上下の高さ寸法が変化する機能のある筋交い手摺り枠と、フランジとの結合により隣接する二本の支柱を所定の間隔で結合するための結合部材と、対向する結合部材間に架設する足場板とを用い、結合部材で結合した二本一組の支柱を対向状に配置し、対向する結合部材間に架設した足場板上で、先ず、上記各支柱の上端に上位支柱の継ぎ足し作業を行い、次に、両側に対向する継ぎ足し支柱間に筋交い手摺り枠を臨ませ、この筋交い手摺り枠を上下に伸ばした状態にして上部両側の係止金具を両側の継ぎ足し支柱の上位フランジにそれぞれ係合させ、続いて筋交い手摺り枠を縮めた状態にして下部両端の結合金具を上部継ぎ足し支柱の中間フランジに結合して筋交い手摺り枠の取り付け作業を行い、上部継ぎ足し支柱への足場板の架設前に先行して上部継ぎ足し支柱間に筋交い手摺り枠を取り付けることを特徴とする仮設構造物の構築方法。
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