JP4312323B2 - 仮設構造物の構築方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建設工事の支保工等に使用する多機能の仮設構造物とその構築方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種建物や土木等の建設工事に使用される支保工は、図15に示すように、四方に起立させた鋼管製の支柱61の上端部を座屈防止のための水平材62で結合し、この水平材62の途中と支柱61の途中を斜材63で結合し、対向する水平材62間に足場板を架設して角柱枠体とすると共に、これを支柱61の継ぎ足しと水平材62及び斜材63での結合で上方に伸ばし、更に必要ならば、上記支柱61の側方に支柱61を起立配置し、水平材62及び斜材63で支柱61相互を結合することにより、必要とする平面的な大きさの支保工を構築するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の支保工においては、各支柱61の上端部を水平材62で結合し、水平材62の途中と支柱61の途中を斜材63で結合したパターンを水平方向及び垂直方向に繰り返す構成になり、各段の水平方向において、水平材62や斜材63の配置は同一高さとなっているため、隣接する支柱61を結合する水平材62の上下配置間隔が一本の支柱の長さに該当することになり、このため、水平材62の配置間隔によって決定される支柱61の座屈長が長くなり、当然支柱61の荷重支持強度が弱くなり、図15に一点鎖線で示すように、支保工に大きな負荷がかかると支柱61に座屈が発生するという問題がある。
【0004】
また、従来、水平材62と斜材63は別の部材になっているため、組み立て及び解体に手間がかかると共に、構成部材数が多くなるという問題がある。
【0005】
更に、上下足場板の配置は、一本の支柱61の長さに該当する間隔となり、上下足場板間に掛け渡す階段がその分長くなり、重量も重くなって上げ下ろしのための取り扱いが不便で重労働になるだけでなく、長い階段は昇降に危険を伴い、手すりの使用が必要になり、そのため、部材数が多くなり、取り付けと解体に余分な手間がかかることになる。
【0006】
また、支柱61を継ぎ足していく作業は、図14のように、足場板の上に載って行うが、従来の構築方法ては、支柱61の上端部にかけ渡した水平材62間に足場板が架設されるため、足場板の上に何もなく、足場板上での支柱61の継ぎ足し作業が極めて不安定な状態となり、墜落事故が発生する危険がある。
【0007】
そこで、この発明の課題は、支柱の座屈長を半減でき、荷重支持強度が向上すると共に、構成部材数の削減と作業通路の確保が可能となり、しかも階段の短尺軽量化と手すりの省略が図れ、かつ、支柱の継ぎ足し作業の安全確保が実現できる仮設構造物の構築方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、上下軸方向に所定の間隔で孔付きのフランジが固定され、順次継ぎ足しが可能となる支柱と、両端に上位フランジとの結合金具が取り付けられ、両側に起立させた支柱を結合する水平パイプの途中に、下部広がりに配置することができるよう二本の斜材を枢止し、この斜材の端部に下位フランジとの結合金具が取り付けられた筋交い部材と、対向する筋交い部材の水平パイプ間にかけ渡す足場板とを用い、前記筋交い部材での結合間隔に一致する間隔で四方の位置に起立配置した支柱を筋交い部材で平面視矩形の枠状に結合すると共に、対向する筋交い部材の水平パイプ間に足場板をかけ渡して基本枠柱体を組み立て、複数の前記基本枠柱体を筋交い部材での結合間隔に一致する距離だけ水平方向へ離れた位置に並べて配置し、隣接する基本枠柱体の支柱を筋交い部材で結合して仮設構造物を構築し、隣接する基本枠柱体の支柱を筋交い部材で結合する場合に、この筋交い部材を、隣接する基本枠柱体の同一垂直外面において、基本枠柱体の筋交い部材と上下に段差を生じさせた配置とする構成を採用したものである。
【0010】
請求項の発明は、請求項の発明において、上記支柱を筋交い部材で結合した後、筋交い部材の斜材の下端部間を水平材で結合し、端部支柱の座屈強度を向上させる構成を採用したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0012】
図1乃至図3は、仮設構造物として支保工を組み立てた状態を示し、この支保工の基本的な構成部材は、ジャッキベース1と、このジャッキベース1上に起立させると共に、上方に継ぎ足していく複数種類の支柱2と、隣接する支柱2を互いに結合する筋交い部材3と、筋交い部材3の間に架設する足場板4と、段差のある隣接足場板4間に掛け渡す階段5とからなり、更に必要に応じて、筋交い部材3の下部において、隣接する支柱2を互いに結合するための補強水平材6と、支柱2の上端部に取り付ける二又ブラケット7と、この二又ブラケット7に取り付ける大引受け8、隣接する支柱を直接結合するための水平材9等が用意されている。
【0013】
図7は、ジャッキベース1と支柱2の種類を示し、四箇所の位置に孔付きのフランジ10が固定された長さ3600mmの長尺支柱2aと、この長尺支柱2aの半分の長さを有し、中間部と上端部の位置に孔付きのフランジ10が固定された繁用の中間支柱2bと、中間支柱2bの半分の長さを有し、三箇所の位置に孔付きのフランジ10が固定された上部継ぎ足し支柱2cと、上部継ぎ足し支柱2cの三分の一の長さを有し、上端に孔付きのフランジ10が固定された端尺の下部支柱2dと、四箇所の位置に孔付きのフランジ10が固定された伸縮支柱2eとがある。
【0014】
上記伸縮支柱2eを除く各支柱2a〜2dは所定の直径を有する鋼管を用いて形成し、上端に接続用の小径ジョイントパイプ11が設けられ、ジョイントパイプ11と各支柱2a〜2dは、嵌合部分をピン結合したり、ジョイントパイプ11に設けた既知のロック機構によって結合するようになっていると共に、伸縮支柱2eは、大径パイプ12とこれに嵌合する小径パイプ13からなり、大径パイプ12に対して小径パイプ13を所望の引き出し位置でピン結合し、小径パイプ13の上端に大引受け8が取り付けられるようになっている。
【0015】
図8は、筋交い部材3を示し、両端に支柱2のフランジ10との結合金具14が取り付けられ、両側に起立させた支柱2を結合する鋼管製の水平パイプ15と、この水平パイプ15の途中にそれぞれ上端がピン16で枢止され、ハ字状の下部広がりに配置することができる二本の斜材17とからなり、斜材17の下端部に支柱2の下位フランジ10に対する結合金具14が取り付けられている。
【0016】
この筋交い部材3は、両側の長尺支柱2a又は中間支柱2bを互いに結合するためのものであり、上位に位置するフランジ10に結合金具14を締結することで、両側の支柱2を水平パイプ15で結合したとき、斜材17の結合金具14が下位のフランジ10と結合できるような条件になっていると共に、使用しないときは水平パイプ15に斜材17が沿うよう嵩低く折り畳むことができる。
【0017】
この筋交い部材3は、例えば長尺支柱2a又は中間支柱2bの結合間隔が、1800mm、1200mm、900mmの三種類が用意され、支保工や足場の組み立て条件に応じて選択できるようにしている。
【0018】
前記した足場板4は、両端部に一対のフックを設けた周知の構造を有し、筋交い部材3の水平パイプ15間に架設するようになつている。この足場板は1800mmの間隔の水平パイプ15間に架設することができ、また、幅は複数種類の組み合わせによって、1800mm、1200mm、900mmの三種類に対応し得るよう、三種類の幅の異なるものが用意されている。
【0019】
図11は、二又ブラケット7を示し、支柱2のジョイントパイプ11に外嵌する端尺パイプ18の両側に水平パイプ19を直線状に固定し、両水平パイプ19の端部に大引受け8の保持筒20を垂直に固定し、両水平パイプ19の端部から下部中央に向かう斜材21の下端に、支柱2の途中に外嵌してボルト22で固定する平面コ字状のクランプ23を設けた構造になっている。
【0020】
図9は、筋交い部材3における斜材17の下端部間を結合するための補強水平材6を示し、所定の長さを有する鋼管パイプの両端にピン24で結合した一対のリンクプレート25と26の一方を鋼管パイプに溶接で固定すると共に、他方をピン24を支点に回動自在とし、固定リンクプレート25の先端に結合用のピン27を固定すると共に、回動リンクプレート26の先端下縁にピン27への嵌合切り欠き28を設けた構造になっている。
【0021】
この補強水平材6は、筋交い部材3の斜材17の下端部間を結合することにより、端部に位置する支柱2の座屈強度を向上させるためのものであり、斜材17の下端部には、図7に示すように、ピン27の結合孔28が設けてあり、図8(B)に一点鎖線のように、回動リンクプレート26を上方に起こした状態でピン27を結合孔28に挿入し、その後回動リンクプレート26を倒せば、図1のように、補強水平材6で斜材17の下端部間を介して支柱2を互いに結合でき、中間支柱2bの途中を互いに結合することにより、構造物としの支保工の座屈強度を向上させることができる。
【0022】
図10は、隣接する支柱2を直接結合するための水平材9を示し、所定の長さを有する鋼管パイプの両端にフランジ10に対する結合金具14を設けた構造になっている。
【0023】
図12(A)乃至(D)は、各支柱2のフランジ10に対する結合金具14の構造を示している。この結合金具14は、図8で示した筋交い部材3の水平パイプ15や斜材17の端部、図9で示した補強水平材6、図10で示した水平材9等に水平状態で固定されるホルダー部材31と、このホルダー部材31内でフランジ10とホルダー部材31を締結する楔部材32との組み合わせからなり、ホルダー部材31は、上下に細長い前壁33の両側に後方へ屈曲する側壁を折り曲げ連成し、該水平パイプや斜材等の端部に対して対向する両側壁の後端を溶接し、両側壁間の上下面が楔部材32を挿通するための開口34になっている。
【0024】
このホルダー部材31の前後方向の長さが、フランジ10の結合用の孔35を設けた部分の半径方向の長さよりも長く形成され、このホルダー部材31には、フランジ10の厚みに対して外嵌挿する切り欠き36が先端部から水平方向に沿って設けられ、その先端壁33を支柱2の外周に当接させることができるように切り欠き36の深さが設定されている。上記切り欠き36をフランジ10に外嵌挿すれば、ホルダー部材31と水平パイプ15や斜材17等は回転が阻止されることになる。
【0025】
上記楔部材32は、フランジ10の結合用の孔35に対して上部から差し込む楔部37と、この楔部37の途中に設けた水平部38と、該水平部38の先端から直角に垂下してフランジ10の外周と水平水平パイプ15や斜材17等の端部間に納まる杆状部39とで二又状に形成され、楔部37は下端に向けて狭幅となり、ホルダー部材31の前壁33の内面に当接させる前縁が垂直で結合用の孔35の端部に当接する後縁が傾斜縁になっている。なお、楔部37は図示のような下部狭幅形状以外に、ストレートな形状を採用してもよい。
【0026】
この楔部37の上端と杆状部39の下端に抜け止め用のピン40、41が固定され、ホルダー部材31内に挿入した楔部材32の楔部37を結合用の孔35に差し込んだ状態で、楔部37の上端がホルダー部材31の上面に突出すると共に、杆状部37の下端がホルダー部材31の下面から下方に突出することになる。
【0027】
また、杆状部39の内側縁には、係止段部42が設けてあり、この係止段部42をホルダー部材31の下部横桟43に係止すれば、図11(A)の如く、楔部材32の楔部37がフランジ10と干渉しない位置に保持でき、ホルダー部材31の切り欠き36をフランジ10に対して楔部材32に関係なく嵌挿することができる。
【0028】
フランジ10にホルダー部材31を嵌挿すると、杆状部39の内側縁がフランジ10に当接することにより、係止段部42が下部横桟43から外れ、楔部材32は、自重で落下して楔部37が結合用の孔35に落ち込み、図11(C)に示すように、前壁33が支柱2に圧接した状態で楔部37がフランジ10とホルダー部材31を固定化することになる。
【0029】
次に、仮設構造物である支保工の構築方法を説明する。
【0030】
先ず、図4と図5のように、床面の四方の位置にジャッキベース1を配置し、このジャッキベース1上に下部支柱2dを接続し、四方の下部支柱2dをフランジ10への結合金具14の締結により、図1と図2で示した如く水平材9で平面視矩形の枠状に結合し、続いて上記各下部支柱2d上に中間支柱2bを接続し、四方に起立させた中間支柱2bの一組の対面する二面において、水平材9間に足場板4をかけ渡し、その上に載って四面における中間支柱2bの上位フランジ10を筋交い部材3の水平パイプ15で結合し、斜材17の下端を中間支柱2bの下位フランジ10と結合し、上記により筋交い部材3が四面で平面視枠状の配置となり、一組の対面する二面において、その水平パイプ15間に足場板4を架設する。
【0031】
上記のように、中間支柱2bの上端への中間支柱2bの継ぎ足しと、継ぎ足した中間支柱2bの四面において、上位フランジ10を筋交い部材3の水平パイプ15で結合し、かつ斜材17の下端を中間支柱2bの下位フランジ10と結合し、対向する水平パイプ15間に足場板4を架設する作業を上方に繰り返すことにより、図3のように、基本枠柱体(A)を組み上げていく。
【0032】
図1と図4、図5の例において、上記基本枠柱体(A)の隣接する部分で、基本枠柱体(A)を構成する中間支柱2bの間隔(スパン)に等しい距離、即ち、筋交い部材3での結合間隔に一致する距離だけ水平方向へ離れた位置に同様の手順で基本枠柱体(A)を組み上げ、このようにして基本枠柱体(A)を筋交い部材3での結合間隔に一致する間隔を設けて平面的に碁盤の目状に配置し、隣接する各基本枠柱体(A)の中間支柱2bを筋交い部材3により上記と同様の手順で結合し、対向する水平パイプ15間に足場板4をかけ渡し、このようにして各基本枠柱体(A)を筋交い部材3で結合して図1乃至図5のように支保工を構築する。なお、段差の生じた足場板4間には階段5を配置すると共に、必要に応じて支保工の外部の所望位置に荷受けフレーム等を取り付けることができ、基本枠柱体(A)の組み上げに長尺支柱2aを使用すれば、中間支柱2bの継ぎ足しに要した作業の回数を削減出来る。
【0033】
上記基本枠柱体(A)は平面枠状に組立てられており、図3で示すように、組立てられた基本枠柱体(A)は、四面の外部垂直面を有し、対向する外部垂直面において支柱2を結合する筋交い部材3は同じ高さ位置で結合するように配置すると共に、隣接する外部垂直面における筋交い部材3は上下に半ピッチ位置をずらした配置になるようにし、このようにして組立てられた基本枠柱体(A)は、これを碁盤の目状に配置することにより、隣接する各基本枠柱体(A)は、一つの外部垂直面が並び方向に沿って同一垂直面となって並ぶことになり、隣接する基本枠柱体(A)は、この並び方向に沿う同一の外部垂直面において互いに筋交い部材3で結合する。隣接する基本枠柱体(A)を並び方向に沿う同一の外部垂直面において互いに筋交い部材3で結合するとき、図1乃至図5で示すように、各基本枠柱体(A)の組み立てに用いた筋交い部材3と、隣接する各基本枠柱体(A)を結合するための筋交い部材3の配置を上下に段差を生じさせた配置とする。
【0034】
即ち、隣接する各基本枠柱体(A)を結合する筋交い部材3は、中間支柱2bの下位フランジ10間に水平パイプ15をかけ渡し、斜材17端を中間支柱2bの上端に位置する上位フランジ10に結合する。
【0035】
このような筋交い部材3の配置により、各基本枠柱体(A)の筋交い部材3と、隣接する基本枠柱体(A)を結合する筋交い部材3の水平パイプ15は、上下に半ピッチずれた配置となり、これにより、隣接する各基本枠柱体(A)を結合する筋交い部材3を基本枠柱体(A)の筋交い部材3と同じ高さの配置とした場合に比べ、支柱2bの座屈長を半減でき、基本枠柱体(A)の荷重支持強度を向上させることができる。
【0036】
また、筋交い部材3は、水平パイプ15の下部両側に斜材17を下部広がりのハ字状に配置して使用するので、筋交い部材3の中央下部に障害物の発生がなく、このため、水平パイプ15間にかけ渡した足場板4上に作業通路を確保することができる。
【0037】
図6は、構築した支保工における足場板4の平面的な配列パターンの異なった例を示し、基本枠柱体(A)には対向する同一高さの筋交い部材3おけるに水平パイプ15間に足場板4を架設し、隣接する基本枠柱体(A)間においては、隣接する基本枠柱体(A)を互いに結合するために用いた筋交い部材3を使用し、この隣接する基本枠柱体(A)を結合する筋交い部材3で、基本枠柱体(A)に仮設した足場板4と同一高さとなる筋交い部材3の水平パイプ15間に足場板4を架設すれば、足場板4で同一平面に通路を形成することができ、足場板4の欠如した部分が下階隣接足場板4との間に階段5を掛ける部分となる。
【0038】
また、図2は、基本枠柱体(A)の隣接する二面に枠柱体を直接建て増しをしながら支保工を構築する例を示し、基本枠柱体(A)の対面位置に二本の支柱2を上記と同様にして立設し、基本枠柱体(A)の支柱2と筋交い部材3で結合するとき、基本枠柱体(A)の筋交い部材3に対して上下に半ピッチ段差を生じさせた配置で行うものである。
【0039】
このような組み立ての支保工において、端部に位置する支柱の座屈強度を向上させるときは、筋交い部材3における斜材17の下端部間を補強水平材6で結合するようにすればよい。
【0040】
図13は、上記支保工の構築時における支柱2bの継ぎ足し作業の状態を示し、筋交い部材3を上下に半ピッチ段差を生じさせた配置とすることにより、下位筋交い部材3間に架設した足場板4に載り、支柱2bの継ぎ足しを行うときに、中間支柱2bの継ぎ足し部分が作業者の腰の高さ程度の位置となり、足場板4の四隅には中間支柱2bの上半部が位置することにより、手すり支柱の役目を果たし、継ぎ足し作業の安全性が確保でき、墜落の防止が図れる。
【0041】
また、筋交い部材3を上下に半ピッチ段差を生じさせた配置とすることにより、筋交い部材3の水平パイプ15間に掛け渡す足場板4の配置において、隣接する上下の足場板4の段差が支柱2の上下長さの半分となり、例えば、図4、図5に示すように、中間支柱2bが1800mmの長さであれば、隣接する上下足場板4の段差は900mmと半分になり、これによって、隣接する上下足場板4間に掛け渡す階段5の長さは従来に比べて略半分の長さとなり、階段5の短尺化と軽量化が実現でき、取り付け取り外し作業の容易化だけでなく、このような短尺の階段5では手すりが不要になり、しかも昇り降りの安全性も向上する。
【0042】
図1は、支保工の上部構造の一例を示し、最上部中間支柱2bの上端に上部継ぎ足し支柱2cを接続し、基本枠柱体(A)上において、隣接する上部継ぎ足し支柱2cを水平材9で結合すると共に、上部継ぎ足し支柱2cにそれぞれ二又ブラケット7を同一面の配置となるよう取り付け、二又ブラケット7の両側保持筒20に大引受け8を装着し、スラブ型枠Bの下面を受ける大引Cを該大引受け8で支持する。
【0043】
図1で示したように、基本枠柱体(A)の上部継ぎ足し支柱2c上に二又ブラケット7を取り付けることにより、大引受け8の配置数を倍増することができ、かつ、隣接する二又ブラケット7間に作業通路を確保できることになる。
【0044】
なお、図示実施の形態では、仮設構造物として支保工を例示したが、上記各構成部材を用いることにより、仮設構造物として、外部足場、室内作業足場、イベント等のスタンド、ローリングタワー等を構築することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、上下軸方向に所定の間隔で孔付きのフランジが固定された支柱と、両端にフランジとの結合金具が取り付けられた水平パイプの途中に、下部広がりに配置できる二本の斜材を枢止し、この斜材の端部にフランジとの結合金具が取り付けられた筋交い部材と、対向する筋交い部材の水平パイプ間にかけ渡す足場板からなり、該筋交い部材は、水平パイプの結合金具を上位のフランジに結合した状態で斜材の結合金具が下位のフランジに結合でき、仮設構造物を構築する場合に、この仮設構造物の一スパン毎に隣接するスパンの筋交い部材を上下に段差を生じさせた配置とするようにしたので、隣接する支柱を結合する水平パイプの上下配置が両側交互に半ピッチごとの間隔になり、これにより、支柱の座屈長を半減でき、荷重支持強度を大幅に向上させることができる。
【0046】
また、筋交い部材が、水平パイプの途中に下部広がりに配置できる二本の斜材を枢止した構造になっているので、筋交い部材の下部中央に障害物がなくなり、足場板上に連続した作業通路を確保することができ、作業性の向上が図れると共に、水平パイプと斜材の結合により、構成部材数の削減が可能となる。
【0047】
さらに、仮設構造物の一スパン毎に隣接するスパンの筋交い部材を上下に段差を生じさせた配置とすることにより、隣接する足場板の上下間隔を半減でき、これによって、階段の短尺化と軽量化が図れることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】仮設構造物として構築した支保工の正面図
【図2】仮設構造物として構築した支保工の斜視図
【図3】仮設構造物として構築した支保工の要部を示す斜視図
【図4】仮設構造物として構築する支保工の組み立て途中を示す正面図
【図5】同上の側面図
【図6】支保工に対する足場板の配列状態を示す他の例の斜視図
【図7】(A)乃至(E)は支柱の異なった例を示す正面図、(F)はジャッキベースの正面図
【図8】(A)は筋交い部材の正面図、(B)は同筋交い部材の支柱への結合状態を示す拡大正面図
【図9】(A)は補強水平材を示す正面図、(B)はこの水平材の端部構造を示す拡大正面図、(C)は同拡大平面図
【図10】水平材の正面図
【図11】(A)は二又ブラケットを示す正面図、(B)は同底面図
【図12】(A)は結合金具の縦断正面図、(B)は同上のフランジに対する結合途中の状態を示す縦断正面図、(C)は同結状態を示す縦断正面図、(D)は同結状態の平面図
【図13】支柱の接続作業を示す説明図
【図14】従来の支柱の接続作業を示す説明図
【図15】従来の支保工の座屈発生を示す説明図
【符号の説明】
1 ジャッキベース
2 支柱
3 筋交い部材
4 足場板
5 階段
6 補強水平材
7 二又ブラケット
8 大引受け
9 水平材
10 フランジ
14 結合金具
15 水平パイプ
17 斜材

Claims (2)

  1. 上下軸方向に所定の間隔で孔付きのフランジが固定され、順次継ぎ足しが可能となる支柱と、両端に上位フランジとの結合金具が取り付けられ、両側に起立させた支柱を結合する水平パイプの途中に、下部広がりに配置することができるよう二本の斜材を枢止し、この斜材の端部に下位フランジとの結合金具が取り付けられた筋交い部材と、対向する筋交い部材の水平パイプ間にかけ渡す足場板とを用い、
    前記筋交い部材での結合間隔に一致する間隔で四方の位置に起立配置した支柱を筋交い部材で平面視矩形の枠状に結合すると共に、対向する筋交い部材の水平パイプ間に足場板をかけ渡して基本枠柱体を組み立て、複数の前記基本枠柱体を筋交い部材での結合間隔に一致する距離だけ水平方向へ離れた位置に並べて配置し、隣接する基本枠柱体の支柱を筋交い部材で結合して仮設構造物を構築し、隣接する基本枠柱体の支柱を筋交い部材で結合する場合に、この筋交い部材を、隣接する基本枠柱体の同一垂直外面において、基本枠柱体の筋交い部材と上下に段差を生じさせた配置とすることを特徴とする仮設構造物の構築方法。
  2. 上記支柱を筋交い部材で結合した後、筋交い部材の斜材の下端部間を水平材で結合し、端部支柱の座屈強度を向上させることを特徴とする請求項1に記載の仮設構造物の構築方法。
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