JP3906698B2 - 高周波信号伝達装置とこれを用いた電子チューナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波信号伝達装置とこれを用いた電子チューナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来の高周波信号伝達装置の一例として従来の電子チューナについて述べる。従来の電子チューナは、図4に示すように、テレビジョン信号が入力される入力端子1と、この入力端子1に接続された低雑音の高周波増幅器2と、この高周波増幅器2の出力が一方の入力に接続されるとともに、他方の端子には局部発振器4の出力が接続された混合器5と、この混合器5の出力が接続されたバンドパスフィルタ6と、このバンドパスフィルタ6の出力が接続された中間周波増幅器7と、この中間周波増幅器7の出力が一方の入力に接続されるとともに、他方の入力には局部発振器8の出力が接続された混合器9と、この混合器9の出力が接続されたバンドパスフィルタ10と、このバンドパスフィルタ10の出力が接続された第2の中間周波増幅器11と、この第2の中間周波増幅器11の出力が接続された出力端子12とで構成されていた。
【0003】
そして、これらの構成部品は全て低いインピーダンスの50オーム系で接続されるとともに、不平衡回路で構成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の電子チューナに用いる高周波信号伝達装置は、50オームという低いインピーダンスの部品で構成されていたため、大きな電流が流れ消費電力が大きくなるという問題があった。また、全ての部品は不平衡回路で構成されていたため、単一の能動素子で扱う信号の振幅は小さいものであった。従って、この信号を大きく増幅するために複数の増幅器が必要となり、結論として消費電力が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、この問題を解決したもので消費電力の小さい高周波信号伝達装置を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の高周波信号伝達装置は、テレビジョン信号が供給される入力端子と、この入力端子に入力された信号が供給されるとともにオープンコレクタ型の第1の能動素子と、この第1の能動素子の出力に接続された整合回路と、この整合回路の出力に接続されたフィルタと、このフィルタの出力に接続された第2の能動素子と、この第2の能動素子の出力が供給される出力端子とを備え、前記第1の能動素子と前記整合回路と前記フィルタと前記第2の能動素子とは平衡回路で構成するとともに平衡線路で接続し、前記第1の能動素子の出力は高インピーダンスにするとともに、前記整合回路は前記フィルタ側から前記整合回路を見たインピーダンスと、前記整合回路側から前記フィルタを見たインピーダンスとを等しくし、前記入力端子のインピーダンスは前記フィルタのインピーダンスより低くした高周波信号伝達装置において、前記整合回路にはリフロー半田付けされたチップ部品で形成されたインダクタンス素子と、このインダクタンス素子と前記フィルタとの間に設けられた直流阻止用コンデンサとを含み、前記第1の能動素子のコレクタへの電源供給は、前記インダクタンス素子を介して供給するものである。
【0007】
これにより、低消費電力の高周波信号伝達装置が実現できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、テレビジョン信号が供給される入力端子と、この入力端子に入力された信号が供給されるとともにオープンコレクタ型の第1の能動素子と、この第1の能動素子の出力に接続された整合回路と、この整合回路の出力に接続されたフィルタと、このフィルタの出力に接続された第2の能動素子と、この第2の能動素子の出力が供給される出力端子とを備え、前記第1の能動素子と前記整合回路と前記フィルタと前記第2の能動素子とは平衡回路で構成するとともに平衡線路で接続し、前記第1の能動素子の出力は高インピーダンスにするとともに、前記整合回路は前記フィルタ側から前記整合回路を見たインピーダンスと、前記整合回路側から前記フィルタを見たインピーダンスとを等しくし、前記入力端子のインピーダンスは前記フィルタのインピーダンスより低くした高周波信号伝達装置において、前記整合回路にはリフロー半田付けされたチップ部品で形成されたインダクタンス素子と、このインダクタンス素子と前記フィルタとの間に設けられた直流阻止用コンデンサとを含み、前記第1の能動素子のコレクタへの電源供給は、前記インダクタンス素子を介して供給する高周波信号伝達装置であり、能動素子の出力は高インピーダンスであるので、流れる電流は少なくなる。即ち、低消費電力の高周波信号伝達装置が実現できる。
【0009】
また、平衡回路を用いているので、信号の振幅が大きくなり、その分増幅器が不要となるので、この面でも低消費電力の高周波信号伝達装置が実現できる。
【0010】
更に、平衡回路を用いているので、外部から入力されるノイズの影響を排除することができる。
【0011】
さらにまた、第1の能動素子のコレクタへの電源供給は、インダクタンス素子を介して供給するので、直流の電圧降下はなく、低い電源電圧で大きな増幅度を得ることができる。
【0012】
さらに加えて、インダクタンス素子はチップ部品で形成されるとともにリフロー半田付けされているので、セルフアライメント効果でチップ部品の装着位置は予め定められた位置に固定され、その前後におけるパターンのインダクタンス値が変動することはない。従って、製造誤差が少なくなり安定した性能を得ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、第1の能動素子と第2の能動素子とは四角形をした一つのパッケージに集積されるとともに、前記第1の能動素子と前記第2の能動素子とは夫々隣接する辺の近傍に配置された請求項1に記載の高周波信号伝達装置であり、集積回路化されているので、安定した性能でしかも製造工程が簡略化される。また、小型化も実現できる。
【0014】
更に、隣接する辺に第1の能動素子と第2の能動素子が配置されているので、フィルタへの配線が容易となる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、第1の能動素子と整合回路との間の平衡線路のインピーダンスの補正は前記整合回路で行うとともに、フィルタと第2の能動素子との間のインピーダンスの補正は前記平衡線路の内側のパターン長を長くすることにより行う請求項2に記載の高周波信号伝達装置であり、第1の能動素子と第2の能動素子とは隣接する辺の近傍に設けられているので、その間を結ぶ平衡線路は外側の方が長くなる。これの補正にフィルタより前では整合回路内の素子の定数で補正するので、補正のための別部品は不要となる。また、フィルタより後ではパターンの長さで補正するので、プリント基板の作成時にエッチング技術で対応でき、ここでも補正のための部品は不要となる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、第1の能動素子と整合回路との間の平衡線路のインピーダンスの補正は前記整合回路で行うとともに、フィルタと第2の能動素子との間のインピーダンスの補正は前記平衡線路の外側のパターン幅を内側パターン幅より太くすることにより行う請求項2に記載の高周波信号伝達装置であり、第1の能動素子と第2の能動素子とは隣接する辺の近傍に設けられているので、その間を結ぶ平衡線路は外側の方が長くなる。これの補正にフィルタより前では整合回路内の素子の定数で補正するので、補正のための別部品は不要となる。また、フィルタより後ではパターンの太さで補正するので、プリント基板の作成時にエッチング技術で対応でき、ここでも補正のための部品は不要となる。また、パターンが太くなるので、直流抵抗が少なくなり損失が少なくなる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、整合回路とフィルタとの間の平衡線路の夫々の線路の長さを等しくした請求項2に記載の高周波信号伝達装置であり、回路の平衡性を更に向上させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、平衡線路間の距離は0.3mm以上とした請求項2に記載の高周波信号伝達装置であり、線間容量による悪影響を排除することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、テレビジョン信号が供給される入力端子と、この入力端子に入力された信号が一方の入力に供給されるとともに他方の入力には局部発振器の出力が供給される混合器と、この混合器の出力が接続された整合回路と、この整合回路の出力が接続されたフィルタと、このフィルタの出力が接続された中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力が供給される出力端子とを備え、前記混合器のトランジスタはオープンコレクタとし、少なくとも前記混合器と前記整合回路と前記フィルタと前記中間周波増幅器とは平衡回路で構成するとともに平衡線路で接続し、前記混合器の出力は高インピーダンスにするとともに、前記整合回路は前記フィルタ側から前記整合回路を見たインピーダンスと、前記整合回路側から前記フィルタを見たインピーダンスとを等しくし、前記入力端子のインピーダンスは前記フィルタのインピーダンスより低くした電子チューナにおいて、前記整合回路にはリフロー半田付けされたチップ部品で形成されたインダクタンス素子と、このインダクタンス素子と前記フィルタとの間に設けられた直流阻止用コンデンサとを含み、前記混合器のコレクタへの電源供給は、前記インダクタンス素子を介して供給する電子チューナであり、混合器の出力は従来の50オームに比べて高インピーダンスであるので、流れる電流は少なくなる。即ち、低消費電力の電子チューナが実現できる。
【0020】
また、平衡回路を用いているので、単一の能動素子で扱う信号の振幅が大きくなり、その分複数の増幅器が不要となるので、この面でも低消費電力の電子チューナが実現できる。
【0021】
更に、平衡回路を用いているので、外部から入力されるノイズの影響を排除することができる。
【0022】
さらにまた、混合器のコレクタへの電源供給は、インダクタンス素子を介して供給するので、直流の電圧降下はなく、低い電源電圧で大きな増幅度を得ることができる。
【0023】
さらに加えて、インダクタンス素子はチップ部品で形成されるとともにリフロー半田付けされているので、セルフアライメント効果でチップ部品の装着位置は予め定められた位置に固定され、その前後におけるパターンのインダクタンス値が変動することはない。従って、製造誤差が少なくなり安定した性能を得ることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、テレビジョン信号が供給される入力端子と、この入力端子に入力された信号が一方の入力に供給されるとともに他方の入力には第1の局部発振器の出力が供給される第1の混合器と、この第1の混合器の出力が接続された第1の整合回路と、この第1の整合回路の出力が接続された第1のフィルタと、この第1のフィルタの出力が接続された第1の中間周波増幅器と、この第1の中間周波増幅器の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には第2の局部発振器の出力が接続された第2の混合器と、この第2の混合器の出力が接続された第2の整合回路と、この第2の整合回路の出力が接続された第2のフィルタと、この第2のフィルタの出力が接続された第2の中間周波増幅器と、この第2の中間周波増幅器の出力が接続された出力端子とを備え、前記第1の混合器のトランジスタはオープンコレクタとし、少なくとも前記第1の混合器と前記第1の整合回路と前記第1のフィルタと前記第1の中間周波増幅器とは平衡回路で構成するとともに平衡線路で接続し、前記第1の混合器の出力は高インピーダンスにするとともに、前記第1の整合回路は前記第1のフィルタ側から前記第1の整合回路を見たインピーダンスと、前記第1の整合回路側から前記第1のフィルタを見たインピーダンスとを等しくし、前記入力端子のインピーダンスは前記第1のフィルタのインピーダンスより低くした高周波信号伝達装置において、前記第1の整合回路にはリフロー半田付けされたチップ部品で形成されたインダクタンス素子と、このインダクタンス素子と前記第1のフィルタとの間に設けられた直流阻止用コンデンサとを含み、前記第1混合器のコレクタへの電源供給は、前記インダクタンス素子を介して供給する電子チューナであり、第1の混合器の出力は高インピーダンスであるので、流れる電流は少なくなる。即ち、低消費電力の電子チューナが実現できる。
【0025】
なお、平衡回路を用いているので、単一の能動素子で扱う信号の振幅が大きくなり、その分複数の増幅器が不要となるので、この面でも低消費電力の電子チューナが実現できる。
【0026】
また、平衡回路を用いているので、外部から入力されるノイズの影響を排除することができる。
【0027】
更に、ダブルスーパー電子チューナであり、妨害排除能力を大きくすることができる。
【0028】
さらにまた、第1の混合器のコレクタへの電源供給は、インダクタンス素子を介して供給するので、直流の電圧降下はなく、低い電源電圧で大きな増幅度を得ることができる。
【0029】
さらに加えて、インダクタンス素子はチップ部品で形成されるとともにリフロー半田付けされているので、セルフアライメント効果でチップ部品の装着位置は予め定められた位 置に固定され、その前後におけるパターンのインダクタンス値が変動することはない。従って、製造誤差が少なくなり安定した性能を得ることができる。
【0030】
請求項9に記載の発明は、第1の混合器から出力される出力周波数は、入力端子に入力される最大周波数の2倍以上の周波数とした請求項8に記載の電子チューナであり、妨害排除能力の大きな電子チューナを実現することができる。
【0031】
請求項10に記載の発明の第1のフィルタの帯域幅は、入力端子に入力される信号の帯域幅の略5倍とした請求項9に記載の電子チューナであり、第1のフィルタの周囲温度のバラツキや、中心周波数のバラツキを吸収することができる。
【0032】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態における電子チューナ(高周波信号伝達装置の一例として用いた)のブロック図である。
【0033】
図1において、21は、50MHzから900MHzのテレビジョン信号が入力される入力端子であり、この入力端子21には平衡・不平衡変換器22が接続されている。この平衡・不平衡変換器22では不平衡で75オームのインピーダンスから75オームの平衡出力に変換している。このように入力インピーダンスの整数倍のインピーダンスに変換することにより、平衡・不平衡変換器22の構成が簡単になる。
【0034】
そしてこの出力は、点線で囲まれた集積回路37内に入力され低雑音の高周波増幅器23に接続される。この高周波増幅器23の出力は混合器(第1の能動素子の一例として用いた)26の一方の入力に接続されている。また、この混合器26の他方の入力には局部発振器27の出力が接続されている。また、この混合器26では局部発振器27の出力により1890MHzの中間周波数に変換される。この周波数1890MHzは、入力端子21に入力される最大の周波数900MHzの2倍以上に設定されている。このように中間周波数を2倍以上に設定することにより、3次歪みを低減することができる。また、イメージ妨害も確実に除去することができる。
【0035】
また混合器26の出力はオープンコレクタで構成されており、その出力は集積回路37の外に設けられた整合回路28に接続されている。この整合回路28の出力は入力インピーダンスが200オームで形成されたバンドパスフィルタ29に接続され、その出力は集積回路37内の中間周波増幅器(第2の能動素子の一例として用いた)30に接続されている。この中間周波増幅器30の出力は混合器(第1の能動素子の一例として用いた)31の一方の入力に接続されるとともに、他方の入力には局部発振器32の出力が接続されている。この混合器31では局部発振器32の出力により44MHzの第2の中間周波数に変換される。このような周波数に変換されることにより、次段以降の処理が容易になる。
【0036】
また混合器31の出力はオープンコレクタで構成されており、その出力は集積回路37の外に設けられた整合回路33に接続されている。この整合回路33の出力は入力インピーダンスが200オームで形成されたバンドパスフィルタ34に接続され、その出力は集積回路37内の第2の中間周波増幅器(第2の能動素子の一例として用いた)35に接続されている。そして、この中間周波増幅器35の出力は集積回路37の出力端子36に接続されている。ここで、バンドパスフィルタ29と34は共にSAW(表面弾性波)フィルタを使用している。
【0037】
このように、混合器26,31の出力はオープンコレクタとし、SAWフィルタ29,34の入力インピーダンスは200オームとなっており、従来の50オームに比べて高インピーダンスであるので、流れる電流は少なくなる。即ち、低消費電力の電子チューナが実現できる。
【0038】
また、これらの構成部品は全て高いインピーダンスの200オーム系で接続されるとともに、平衡回路を用いているので、単一の能動素子で扱う信号の振幅が大きくなり、その分複数の増幅器が不要となり、この面でも低消費電力の電子チューナが実現できる。
【0039】
更に、平衡回路を用いているので、外部から入力されるノイズの影響を排除することができる。
【0040】
また、本実施の形態では、ダブルスーパー型の電子チューナを構成しているので、イメージ妨害の排除が容易な電子チューナが実現できる。なお、本実施の形態ではダブルスーパー型の電子チューナとしたが、これはシングルスーパー型の電子チューナであっても良い。また、本実施の形態では、ダウン側の混合器31をオープンコレクタとしたが、この混合器31の出力を50オームとすると共にバンドパスフィルタ34も50オームの入力インピーダンスでドライブできるものを用いることもできる。この場合には整合回路33が不要になる。
【0041】
なお、バンドパスフィルタ29の帯域幅は、入力端子21に入力される信号の帯域幅の略5倍の帯域幅のものを用いることが望ましい。本実施の形態では25〜30MHzの帯域幅のものを用いている。これは周囲温度の変化によるバラツキやフィルタのバラツキを吸収するための配慮である。また、バンドパスフィルタ34の帯域幅は6MHz〜8MHzのものを用いている。このフィルタ34では、通過周波数が44MHzであり、バンドパスフィルタ29の通過周波数に比べて低い。従って、温度変化や部品のバラツキに対する保障より、妨害信号の通過を阻止することに重点をおいている。
【0042】
次に、図2を用いて整合回路を説明する。整合回路28,33のうち整合回路28を例に説明する。整合回路28は、バンドパスフィルタ29と接続されて、集積回路37の辺41の近傍に設けられた混合器26と、前記辺41に隣接する辺42の近傍に設けられた中間周波増幅器30との間に配置される。
【0043】
先ず、バンドパスフィルタ29の出力につながる平衡線路45について説明する。平衡線路45の内側と外側では外側の線路の方が内側の線路より長くなる。そこで、平衡線路45のインピーダンスを等しくするには、内側の線路43を湾曲43aさせて外側の線路44のインピーダンスと等しくする必要がある。又は、外側の線路44を内側の線路43より太くして平衡線路のインピーダンスを平衡にしても良い。いずれにしてもプリント基板の製造と同時にエッチング技術で形成できるので、薄型化と低価格化が実現できる。
【0044】
なお、バンドパスフィルタ29の出力インピーダンスは200オームなので、中間周波増幅器30の入力インピーダンスも200オームに設定している。これは、中間周波増幅器30を形成するトランジスタのバイアス抵抗で実現している。
【0045】
次に、混合器26につながる平衡線路46側について説明する。この平衡線路46には整合回路28が設けられている。47は電源であり、コンデンサ48を介してグランドに接続されている。また、この電源47からチップインダクタ49とチップインダクタ50の直列接続体を介して、混合器26の一方のトランジスタのコレクタに接続され、このトランジスタのコレクタに電源を供給している。
【0046】
同様に、電源47からチップインダクタ51とチップインダクタ52の直列接続体を介して、混合器26の他方のトランジスタのコレクタに接続され、このトランジスタのコレクタに電源を供給している。ここで、コンデンサ53から56は直流阻止用に挿入されたコンデンサである。
【0047】
これらのチップ部品はリフローはんだ付けされているので、セルフアライメント効果でチップ部品の装着位置は予め定められた位置に固定され、その前後におけるパターンのインダクタンス値が製造時に変動することはない。従って、安定した性能を得ることができる。
【0048】
また、この整合回路28の実装においては、以下のことに配慮すべきである。即ち、チップインダクタ49と平衡線路46の内側の線路57との接続点58と、バンドパスフィルタ29の入力までの長さは、チップインダクタ51と平衡線路46の外側の線路59との接続点60と、バンドパスフィルタ29の入力までの長さと等しくして、双方のインピーダンスを等しくして平衡を保つ必要がある。どうしても長さを等しくできないときは、パターンの太さを変えてインピーダンスを等しくしても良い。
【0049】
なお、本実施の形態では整合回路28のインダクタとしてチップインダクタ49から52のチップ部品を用いたが、これはプリント基板にパターンでインダクタを形成しても良い。このようにパターンインダクタを用いることによりエッチング技術でインダクタが実現できるので、薄型化と低価格化が実現できる。
【0050】
また、平衡線路46の内側の線路57と外側の線路59とのインピーダンスの相違はチップインダクタ50とチップインダクタ52の値を変えて補正する。また、混合器26のトランジスタのオープンコレクタはインダクタ49,50,51,52を用いて供給しているので、直流の電圧降下はなく、大きな増幅度が得られる。
【0051】
また、バンドパスフィルタ29の入力インピーダンスも200オームなので、バンドパスフィルタ29の入口61から整合回路28や混合器26を見たインピーダンスをバンドパスフィルタ29の入力インピーダンスに合わせることが損失を少なくする上で重要である。また、平衡線路46側は混合器26がオープンコレクタであり、平衡線路45側に比べてインピーダンスが高いので、平衡線路45側より短くしておくことが重要である。
【0052】
図3は、平衡線路45の平面図である。平衡線路45の内側の線路43のパターンの幅62と外側の線路44のパターンの幅63は、共に0.2mmにしている。また、線路43と線路44との間隔64は0.3mmとして、線間容量の影響を少なくしている。なお、平衡線路46側に関しても同様である。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、第1の能動素子と整合回路とフィルタと第2の能動素子とは平衡回路で構成するとともに平衡線路で接続し、前記第1の能動素子の出力は高インピーダンスにするとともに、前記整合回路は前記フィルタ側から前記整合回路を見たインピーダンスと、前記整合回路側から前記フィルタを見たインピーダンスとを等しくし、前記入力端子のインピーダンスは前記第1のフィルタのインピーダンスより低くした高周波信号伝達装置において、前記第1の整合回路にはリフロー半田付けされたチップ部品で形成されたインダクタンス素子と、このインダクタンス素子と前記第1のフィルタとの間に設けられた直流阻止用コンデンサとを含み、前記第1混合器のコレクタへの電源供給は、前記インダクタンス素子を介して供給するものであり、能動素子の出力は高インピーダンスであるので、流れる電流は少なくなる。即ち、低消費電力の高周波信号伝達装置が実現できる。
【0054】
また、平衡回路を用いているので、単一の能動素子での信号の振幅が大きくなり、その分複数の増幅器が不要となるので、この面でも低消費電力の高周波信号伝達装置が実現できる。
【0055】
更に、平衡回路を用いているので、外部から入力されるノイズの影響を排除することができる。
【0056】
さらにまた、第1の能動素子のコレクタへの電源供給は、インダクタンス素子を介して供給するので、直流の電圧降下はなく、低い電源電圧で大きな増幅度を得ることができる。
【0057】
さらに加えて、インダクタンス素子はチップ部品で形成されるとともにリフロー半田付けされているので、セルフアライメント効果でチップ部品の装着位置は予め定められた位置に固定され、その前後におけるパターンのインダクタンス値が変動することはない。従って、製造誤差が少なくなり安定した性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における電子チューナのブロック図
【図2】 同、整合回路とその近傍の回路図
【図3】 同、平衡線路の平面図
【図4】 従来の電子チューナのブロック図
【符号の説明】
21 入力端子
26 混合器
28 整合回路
29 バンドパスフィルタ
30 中間周波増幅器
36 出力端子
Claims (10)
- テレビジョン信号が供給される入力端子と、この入力端子に入力された信号が供給されるとともにオープンコレクタ型の第1の能動素子と、この第1の能動素子の出力に接続された整合回路と、この整合回路の出力に接続されたフィルタと、このフィルタの出力に接続された第2の能動素子と、この第2の能動素子の出力が供給される出力端子とを備え、前記第1の能動素子と前記整合回路と前記フィルタと前記第2の能動素子とは平衡回路で構成するとともに平衡線路で接続し、前記第1の能動素子の出力は高インピーダンスにするとともに、前記整合回路は前記フィルタ側から前記整合回路を見たインピーダンスと、前記整合回路側から前記フィルタを見たインピーダンスとを等しくし、前記入力端子のインピーダンスは前記フィルタのインピーダンスより低くした高周波信号伝達装置において、前記整合回路にはリフロー半田付けされたチップ部品で形成されたインダクタンス素子と、このインダクタンス素子と前記フィルタとの間に設けられた直流阻止用コンデンサとを含み、前記第1の能動素子のコレクタへの電源供給は、前記インダクタンス素子を介して供給する高周波信号伝達装置。
- 第1の能動素子と第2の能動素子とは四角形をした一つのパッケージに集積されるとともに、前記第1の能動素子と前記第2の能動素子とは夫々隣接する辺の近傍に配置された請求項1に記載の高周波信号伝達装置。
- 第1の能動素子と整合回路との間の平衡線路のインピーダンスの補正は前記整合回路で行うとともに、フィルタと第2の能動素子との間のインピーダンスの補正は前記平衡線路の内側のパターン長を長くすることにより行う請求項2に記載の高周波信号伝達装置。
- 第1の能動素子と整合回路との間の平衡線路のインピーダンスの補正は前記整合回路で行うとともに、フィルタと第2の能動素子との間のインピーダンスの補正は前記平衡線路の外側のパターン幅を内側パターン幅より太くすることにより行う請求項2に記載の高周波信号伝達装置。
- 整合回路とフィルタとの間の平衡線路の夫々の線路の長さを等しくした請求項2に記載の高周波信号伝達装置。
- 平衡線路間の距離は0.3mm以上とした請求項2に記載の高周波信号伝達装置。
- テレビジョン信号が供給される入力端子と、この入力端子に入力された信号が一方の入力に供給されるとともに他方の入力には局部発振器の出力が供給される混合器と、この混合器の出力が接続された整合回路と、この整合回路の出力が接続されたフィルタと、このフィルタの出力が接続された中間周波増幅器と、この中間周波増幅器の出力が供給される出力端子とを備え、前記混合器のトランジスタはオープンコレクタとし、少なくとも前記混合器と前記整合回路と前記フィルタと前記中間周波増幅器とは平衡回路で構成するとともに平衡線路で接続し、前記混合器の出力は高インピーダンスにするとともに、前記整合回路は前記フィルタ側から前記整合回路を見たインピーダンスと、前記整合回路側から前記フィルタを見たインピーダンスとを等しくし、前記入力端子のインピーダンスは前記フィルタのインピーダンスより低くした電子チューナにおいて、前記整合回路にはリフロー半田付けされたチップ部品で形成されたインダクタンス素子と、このインダクタンス素子と前記フィルタとの間に設けられた直流阻止用コンデンサとを含み、前記混合器のコレクタへの電源供給は、前記インダクタンス素子を介して供給する電子チューナ。
- テレビジョン信号が供給される入力端子と、この入力端子に入力された信号が一方の入力に供給されるとともに他方の入力には第1の局部発振器の出力が供給される第1の混合器と、この第1の混合器の出力が接続された第1の整合回路と、この第1の整合回路の出力が接続された第1のフィルタと、この第1のフィルタの出力が接続された第1の中間周波増幅器と、この第1の中間周波増幅器の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には第2の局部発振器の出力が接続された第2の混合器と、この第2の混合器の出力が接続された第2の整合回路と、この第2の整合回路の出力が接続された第2のフィルタと、この第2のフィルタの出力が接続された第2の中間周波増幅器と、この第2の中間周波増幅器の出力が接続された出力端子とを備え、前記第1の混合器のトランジスタはオープンコレクタとし、少なくとも前記第1の混合器と前記第1の整合回路と前記第1のフィルタと前記第1の中間周波増幅器とは平衡回路で構成するとともに平衡線路で接続し、前記第1の混合器の出力は高インピーダンスにするとともに、前記第1の整合回路は前記第1のフィルタ側から前記第1の整合回路を見たインピーダンスと、前記第1の整合回路側から前記第1のフィルタを見たインピーダンスとを等しくし、前記入力端子のインピーダンスは前記第1のフィルタのインピーダンスより低くした高周波信号伝達装置において、前記第1の整合回路にはリフロー半田付けされたチップ部品で形成されたインダクタンス素子と、このインダクタンス素子と前記第1のフィルタとの間に設けられた直流阻止用コンデンサとを含み、前記第1混合器のコレクタへの電源供給は、前記インダクタンス素子を介して供給する電子チューナ。
- 第1の混合器から出力される出力周波数は、入力端子に入力される最大周波数の2倍以上の周波数とした請求項8に記載の電子チューナ。
- 第1のフィルタの帯域幅は、入力端子に入力される信号の帯域幅の略5倍とした請求項9に記載の電子チューナ。
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