JP3901219B2 - ポリテトラメチレンエーテルの二酢酸エステルを回収するための改良された方法 - Google Patents
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Description
本発明は、精製されたポリテトラメチレンエーテルのジエステルを回収する改良された方法に関する。更に特定的には、しかしそれに限定はしないが、本発明の方法は、固体酸触媒及び分子量調節剤としてのカルボン酸無水物を伴ったカルボン酸を用いる、テトラヒドロフラン(THF)の重合又は第二の環状エーテルコモノマーととの共重合であって、重合後の生成物の回収が、未反応THFのバルクフラッシュ蒸発と残留THF、カルボン酸及びカルボン酸無水物の過熱THFを用いるストリッピングを包含する重合に関する。
背景技術
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)は、多官能のウレタンやポリエステルとセグメント共重合体(segmented copolymer)を形成するために広く用いられる化学工業における汎用品である。PTMEGは、テトラヒドロフラン(THF)をフルオロスルホン酸と反応させ次いで生成物を水でクェンチ処理することによって工業的に製造される。この方法は非常に満足に進行することがわかっているが、酸が回収再使用できないために効率的に望ましくない。その上、使用済みの酸の処理が、その毒性と腐食性のために問題である。
米国特許第4,120,903号は、アルファ−フルオロスルホン酸基を含有する重合体を触媒として、水又は1,4−ブタンジオールを連鎖停止剤として用いるTHFの重合を開示している。その触媒の性質はそれの再使用を可能にしており、そのため処分問題は起こらず、そして触媒が反応混合物に溶解しないので重合の最後で生成物から触媒を分離することが容易である。この非常に低い溶解性が、反応が進行するにつれての触媒の損失をも最小にしている。しかしながら、この方法では、生成するポリテトラメチレンエーテルグリコールの分子量が、10,000以上であるが、一方、市販の製品の分子量は一般に4,000未満であり、市販品の大多数は数平均分子量が650〜3,000である。
米国特許第4,163,115号は、スルホン酸基を含有するフッ素化樹脂を用いるTHF及び/又はTHFとコモノマーとの、ポリテトラメチレンエーテルジエステルへの重合を開示しているが、その方法では分子量はアシリウムイオン前駆物質の反応媒体への添加によって調節されている。その特許は、無水酢酸と酢酸を固体酸触媒と共に使用することを開示している。重合体生成物は未反応THF及び酢酸/無水酢酸を回収のためストリッピングすることにより単離される。単離された生成物は、重合したテトラヒドロフランの二酢酸エステル(PTMEA)であり、大部分のウレタン末端使用分野において原材料としての用途を見出すためには、対応するヒドロキシ生成物であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)に転化されなければならない。
米国特許第5,149,862号は、ジルコニウム系触媒を用いてTHFを重合してPTMEAを製造する方法を開示している。分子量は、場合によっては、酢酸と無水酢酸を添加することによって調節することができる。未反応THF、酢酸及び無水酢酸は、蒸留もしくは水蒸気又は不活性ガスを用いる反応混合物のストリッピングによって除去される。しかしながら、水蒸気ストリッピングは重合体の分解の原因となる高温を必要とし、また重合体から更に水を分離するために大規模な装置の運転が必要であり、不活性ガスでのストリッピングには長い処理時間及び/又は実際的でない多量のN2が必要である。
PTMEA中の残留酢酸及び無水酢酸はいくつかの面で有害である。もし次のエステル交換反応においてCaOが触媒として使用される場合には、酢酸が反応して酢酸カルシウムが生成しそれがエステル交換反応媒体をゲル化させる傾向にある。NaOMe/NaOHが触媒として使用される場合には、酢酸及び無水酢酸がその触媒を中和し従ってエステル交換反応を遅延させる。更に、残留無水酢酸はメタノールと反応して、PTMEAのPTMEGへの転化の最終的な水準に対して低温においてさえも悪影響を及ぼし得る酢酸メチルを生成する。
特に、THFと3−メチルテトラヒドロフラン(3−MeTHF)との共重合体のジエステルの精製においては、無水酢酸濃度がより高いので、これらの高沸点物を除去する効率的な方法が必要となる。
発明の開示
ポリテトラメチレンエーテルのジエステルの製造と回収に関する上述の問題に鑑み、本発明は、THFを、場合によっては1種以上の置換したTHF又はアルキレンオキシドコモノマーと共に、反応器中で、固体酸触媒及び分子量調節剤としてのカルボン酸無水物を伴ったカルボン酸を用いて、重合させることによってポリテトラメチレンエーテルのジエステルを製造する方法において、未反応のカルボン酸及びカルボン酸無水物をポリテトラメチレンエーテルのジエステル重合生成物から除去するために過熱されたTHFを用いる段階を含んで成ることを特徴とする方法を提供する。本発明は、また、そのようなポリテトラメチレンエーテルのジエステルを製造する方法において、次の段階:
a)反応器からポリテトラメチレンエーテル、未反応THF及びカルボン酸無水物を伴ったカルボン酸の溶液を含んで成る生成物の流れを回収する段階、
b)減圧で、ポリテトラメチレンエーテルジエステルの溶液からバルクの未反応THFをフラッシュ蒸発させる段階、そして
c)過熱THFを用いて、残留しているTHF、カルボン酸及びカルボン酸無水物を除去する段階
を含んで成ることを特徴とする方法を提供する。
本発明のある態様においては、カルボン酸は酢酸であり、カルボン酸無水物は無水酢酸である。
本発明の主な目的は、生成物の流れからの高沸点物の効率的なストリッピングを提供し、かくしてこれに代わる高温ストリッピングに関連する問題を回避することである。この目的の達成並びにその他の目的の提示と達成は本明細書及び付属の「請求の範囲」を完全に読むことにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明によるポリテトラメチレンエーテルの二酢酸エステルを製造するための改良された方法全体のある特定の態様を示す略図である。
本発明を遂行する方法
本発明の方法が有用であることが見出されている、ポリテトラメチレンエーテルのジエステルを含む組成物を製造する全体的な方法は、当技術分野で一般的に知られているように、環状エーテル等の開環重合の能力のあるスルホン酸基を含有する高酸性固相触媒を用いるそのような重合を幅広く包含する。これは、限定する意味ではなく例として、スルホン酸基及び場合によってカルボン酸基を含有する重合体触媒を包含する。特に好ましい固体酸触媒は、米国特許第4,163,115号及び第5,118,869号が開示し教示しているように、そしてNafion(登録商標)という商品名でE.I.duPont de Nemours and Companyによって市販されているように、その重合体鎖がスルホン酸基前駆物質を含有しているテトラフルオロエチレン又はクロルトリフルオロエチレンと完全フッ素化アルキルビニルエーテルとの共重合体(ここでも、カルボン酸基が共存していてもよく、又カルボン酸基なしでもよい)である触媒である。以下の説明や実施例を提出するにおいては、本発明による改良方法の利益及び利点はそのような高活性触媒に関して最大であると考えられるので、Nafion(登録商標)触媒を引用することが主になるであろう。しかしながら、上述したように触媒サイトがスルホン酸基を含んでいる他の不均一触媒は、本方法の利益及び利点の一つ以上が得られる又は実現されるであろうと言う点で本発明の目的に関してNafion(登録商標)と同等であると考えられる。
その中で本発明の方法が有用であることが見出されている方法によって製造されるポリテトラメチレンエーテルのジエステルを含む組成物は、一般的には、カルボン酸及び無水カルボン酸の存在下での環状エーテル又は混合物の触媒開環重合を介して典型的に製造され、テトラヒドロフランが主要な及び/又は大部分の反応物である、即ち、実質的にTHFがPTMEA生成物に組み込まれる、当技術分野で一般的に知られているポリエーテルである。更に詳細には、そのポリエーテルジエステルは、THFの、アルキル置換テトラヒドロフランコモノマー(好ましくは、例えば3−MeTHF)を伴っての又はそのコモノマーなしでの重合から、また、THFの、3−MeTHFを伴っての又は3−MeTHFなしでの、アルキレンオキシド又はそれと同等のコモノマーとの共重合から得られる。そのようなものとして、以下の説明及び実施例においては、THFの重合及び/又はTHFと3−MeTHFとの共重合が、他のコモノマーは任意に存在し得るという了解の許に、主として引用されるであろう。また、本発明の説明と特許請求の目的において、「ポリテトラメチレンエーテル」という術語は一般的に、単独重合したTHFポリエーテル主鎖と相当する共重合体の両方を含むものとする。
本発明の方法において使用されるTHFはいずれの市販品でもよい。THFは、好ましくは、水分含有量が約0.001重量%未満であり過酸化物含有量が0.002重量%未満であり、そして場合によっては、望ましくない副生成物の生成と着色を防止するためにブチル化ヒドロキシトルエンのような酸化防止剤を含有する。所望ならば、THFと共重合できるアルキル置換テトラヒドロフランを、THFの重量の約0.1〜約50重量%、THFと組み合わせて使用できる。特に好ましいアルキル置換テトラヒドロフランは3−MeTHFである。
本発明において有用な固体酸触媒は、当技術分野で一般的に知られているように、環状エーテル等の開環重合の能力のある高酸性固相触媒を幅広く包含する。これは、限定する意味ではなく例として、スルホン酸基を含有し場合によって更にカルボン酸基を伴う又は伴わない重合体触媒、強酸性化天然粘土(例えば酸性化モントモリロナイト)及び/又はゼオライト、酸性化ジルコニウム/錫硫酸塩化合物等を包含する。特に好ましい固体酸触媒は、米国特許第4,163,115号及び第5,118,869号が開示し教示しているように、そしてNafion(登録商標)という商品名でE.I.duPont de Nemours and Companyによって市販されているように、その重合体鎖がスルホン酸基前駆物質を含有しているテトラフルオロエチレン又はクロルトリフルオロエチレンと完全フッ素化アルキルビニルエーテルとの共重合体(ここでも、カルボン酸基が共存していてもよく、又カルボン酸基なしでもよい)である触媒である。以下の説明や実施例を提出するにおいては、本発明による改良方法の利益及び利点はそのような高活性触媒に関して最大であると考えられるので、Nafion(登録商標)触媒を引用することが主になるであろう。しかしながら、上述した他の不均一触媒は、特に触媒反応性がNafion(登録商標)に近付いたときに、本方法の利益及び利点の一つ以上が得られる又は実現されるであろうと言う点で本発明の目的に関してNafion(登録商標)と同等であると考えられる。
本発明の分子量調節剤として相当するカルボン酸と共に使用されるカルボン酸無水物は一般的に、そのカルボン酸部分が1〜36個の炭素原子を含有するカルボン酸の無水物である。カルボン酸部分が1〜4個の炭素原子を含有するカルボン酸の無水物が特に好ましい。そのような無水物の具体例は、無水酢酸、無水プロピオン酸等である。使用するのに最も好ましい無水物はその効率の点から無水酢酸であり、そしてそのようなものとして以下の説明及び実施例では最も好ましい酢酸と無水酢酸の組み合わせについてのみ特に説明するであろう。無水マレイン酸が用いれれた場合には、PTMEGのジマレイン酸エステルはエステル交換/メタノリシスよりむしろ水素化によってPTMEGに転化される(例えば米国特許第5,130,470号参照)。本発明の方法において用いられる無水酢酸と酢酸は、いずれの市販品でもよい。
カルボン酸無水物を伴ったカルボン酸の役割は、現在、米国特許第4,617,115号で示唆され教示された、カルボン酸無水物は、THFと固体酸触媒の存在下でTHF反応物と共にアシルオキソニウムイオンを形成することによって反応を開始し、同時並行的にカルボン酸分子を生成するアシリウムイオン前駆物質である、という化学機構に一般的に一致すると考えられる。これが今度は開環重合(即ち、オキソニウムイオン機構を介しての成長反応)に、最後にカルボン酸との反応を介しての停止反応に導く。本発明が単一の機構的な解釈に依存するとは考えないけれども、Nafion(登録商標)のような高い反応性を持った固体酸触媒に対する最初の開始段階は可逆性であり、分子量は究極的に開始反応の停止反応に対する比に依存する(即ち、機構的に/数学的に成長速度から独立している)と見るべきであると現在考えられる。この発見によりPTMEA生成物の分子量を反応器への供給混合物を変化させることによって調節できるという特別の利点が得られる。更に具体的には、一定の触媒量、THF反応物濃度及び運転条件に対して、生成物の分子量は、カルボン酸のカルボン酸無水物に対する比によって決定される。実際、本発明に従って、循環を伴うTHFのフラッシュ蒸発及びカルボン酸のストリッピングを用いる場合には、反応器に供給されるカルボン酸無水物の量又は比が分子量を決定する主要な運転パラメーターとなる。かくして、本発明の方法は、生成物のより重要で商業的に意味の大きい特性を調節するための容易でかつ信頼できる方法を提供する。
反応スキームと反応器の設計
本発明に従う典型的な全体的反応スキームは、図1に略図的に表されており、そこではポリテトラメチレンエーテルの二酢酸エステルを製造する特に好ましい態様が、触媒としてNafion(登録商標)を用い、酢酸(HOAc)と無水酢酸(ACAN)の存在下でテトラヒドロフラン(THF)を重合させることによって達成されている。図に表されているように、前混合槽10に貯えられた、THF、HOAc及びACANの混合物が、米国特許第4,163,115号に記載されたように重合触媒として作用する固体酸、Nafion(登録商標)を含有する一段反応器系12に連続的に供給される。もし、種々の回収系の流れを含む供給物の流れの適切な定量的な調節が本明細書に記載されている及び/又は例示されている基準に基づいて適当に行われるならば、前混合槽10は削除するか又はスタティックミキサー等で置き換えることができるということについては、継続した商業運転中に評価さるべきである。そういうものとして、これらの代替案等は、本発明の目的に対しては前混合槽10を用いる特に図に表された態様と同等であると考えられるべきである。
反応器を通過する間にTHF環は開環し酢酸エステル基で停止したテトラメチレンオキシド重合体が形成される。一段反応器12の温度は、重合がTHFが蒸発する条件下で行われるように圧力を設定することによって調節される。反応器が減圧(即ち、真空)還流器を備えていてTHFのPTMEAへの重合に伴う反応発熱が減圧下で搭頂還流によって反応器12から取り出されるのが好ましい(図には示していない)。
反応生成物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの二酢酸エステル(PTMEA)並びに未反応のTHF、無水酢酸及び酢酸の溶液である。反応するTHFの量は、温度、接触時間、供給材料組成及び触媒濃度の関数である。PTMEAの分子量は、供給材料組成、特に供給材料中の無水酢酸の濃度に大きく依存する。PTMEAの分子量は、反応器への供給材料中の無水酢酸の濃度を減少させることによって増大させることができる。酢酸は、第一に暴走重合を防止するためにそして第二に反応器内容物をゲル化させないために供給材料中に存在する。
約35%という典型的な転化率が重合反応器で観測され、従って、約60〜65%の未転化のTHFと酢酸のストリッピングが必要となる。そのようなものとして、反応器出口液は、好ましくはTHFのフラッシュ蒸発中真空(典型的には約400〜約450mmHg)下で運転されるTHFバルクフラッシュ蒸発装置(bulk flash unit)14へ送られる。存在する未反応THFの相対的な量を考慮すると、THFと酢酸の所望のバルクフラッシュ蒸発を達成するためには、この段階においては反応器からのポリテトラメチレンエーテルジエステル溶液の加熱が必要である。このバルクフラッシュ蒸発装置14(再び特に図示された態様における)からの気相は前混合槽10に循環し戻され、次いで反応器12に再導入される。フラッシュ蒸発したPTMEA生成物の流れは次いでTHFストリッピング装置16へ送られる。この段階では、いかなる残留しているTHF、ACAN及びHOAcも、減圧での熱THFを使用する向流ストリッピングによって除去される。この過熱THFストリッピング段階からの気相も前混合槽10に循環し戻される。あるいはまた、これらの循環流は、お互いに又は他の供給流と混合して或いは混合しないで攪拌した反応器12へ送ることもできる。
かくして、本発明の目的のために、重合反応器は、意図的にそして有利に、減圧で(即ち、真空下で)運転され、THF蒸発冷却の条件下で市販グレードのPTMEAを製造する。この方法では、反応混合物の冷却は蒸発するTHFの除去によって助けられるので、反応器圧力の設定によって温度調節が可能となる。THFの転化率は本来的に限定されていて、反応器流出物にはかなりの量のTHFが含まれる(典型的には約35%の転化率が観察される)結果となるので、重合段階の後に約200〜600mmHgの真空下で、好ましくは約410mmHgの圧力でのバルクTHFのフラッシュ蒸発段階を意図的に設けることができる。再びフラッシュ蒸発する相対量の理由から、かなりのエネルギーが熱の形で反応器出口液に供給されなければならない。本発明の目的のためのこの加熱段階は当技術分野で一般的に知られ実施されている方法であり得、それに限定する意味でなく例として、実際の気相フラッシュ蒸発の前又はフラッシュ蒸発中に出口流れを暖める及び/又は加熱することに基づいた方法が挙げられる。バルクフラッシュ蒸発処理後のPTMEG生成物の流れを次いで、典型的には、真空(例えば搭頂で20mmHg)下で溶融したPTMEGを降下させ同時に熱THF[例えば135℃、6.2バール(90psia)]をカラム等の底部に導入して運転される向流カラム中で遂行することができる過熱THFストリッピング段階にかける。この方法において、いかなる残留THF並びに酢酸及び無水酢酸を含むその他の高沸点物も除去され循環される。従って、本発明による改良方法は、Nafion(登録商標)のような固体酸触媒の非常に大きい反応性を利用し、一方同時に、過剰な反応熱及びPTMEA生成物中の残留高沸点物の高温水蒸気ストリッピングに関連した従来の製品品質上の問題を回避している。
この重合は、バッチ工程又は連続工程のいずれでも行うことができる。しかしながら、Nafion(登録商標)のような触媒の高い反応性を利用し、同時に、反応の発熱を統御するためには、蒸発性反応条件下で運転される連続攪拌槽反応器が非常に好ましいと考えられる。そのようなものとして、公称能力が時間当たりPTMEA約45.4kg(100ポンド)であり、図1の概略系統線図に基づいて(反応熱除去をTHF蒸発冷却ではなくジャケット付き反応器を使用して行ったことを除いて)連続攪拌槽反応器を建設し、次の実施例で用いた。供給槽は、重合工程のために使用される種々の成分、即ち、(1)THF、酢酸及び少量の無水酢酸を含有する、重合反応器の下流に設置されたフラッシュ蒸発装置及び過熱THFストリッピング装置から戻ってきた循環THF流れ、(2)主として重合体の製造速度[即ち、約45.4kg(100ポンド/時間)]に基づく流量の新規THF、及び(3)所望の重合体分子量によって決定される流量の新規無水酢酸、を前混合するために使用される。無水酢酸は、重合反応中に大量に消費され絶えず前混合物中に添加しなければならず、反応中に消費されず回収系の中に未反応THFと共に戻ってきた酢酸とは異なっていた。前に述べたように回収系の流れが発生するのは、重合反応器中でのTHFのPTMEAへの転化率に限度があるためである。
THF、無水酢酸及び酢酸を所望の組成で含んで成る前混合した流れを連続的に、滞留時間が約30分〜約60分になるように設計されたガラスライニングの攪拌槽反応器へポンプで送液した。ライニングした反応器が必要なのは、触媒のスルホン酸官能基が金属と反応して触媒が不活性化される可能性を取り除くためである。また、このライニングはTeflon(登録商標)又はそれに匹敵する材料で実施してもよい、がしかし好ましいのはガラスであった。反応器中の触媒量は、供給材料の重量基準で約2%〜40%、好ましくは約5%〜15%、最も好ましくは10重量%であり、触媒は攪拌機によって連続的に懸濁させた。
THF/ACAN/HOAcストリッピング
PTMEAの精製における鍵となる段階の一つは、酢酸及び未反応無水酢酸の除去である。この成分は両者ともTHFに比べ高沸点物なので酢酸及び無水酢酸の除去は、特に大規模運転において依然として一つの課題である。実験室規模の運転では、これらの成分は窒素パージによる乾燥を持続すれば除去される。しかし、そのような運転は大規模の場合には採算性がない。更に、残留する酢酸及び無水酢酸濃度を100ppm以下にするように精製するには、140℃を超える温度が必要である。運悪く、PTMEAはこの温度に長期間曝されると、着色しいくらか分解する傾向にある。
本発明の一つの側面は、蒸発したTHFがPTMEA反応生成物からの酢酸及び無水酢酸のストリッピングのために使用される、通常のストリッピングカラムを用いることによるPTMEAからの酢酸及び無水酢酸の除去に関する。この特別な用途には水を使用することはできないが、THFはPTMEA精製のためには理想的である。
重合反応器からの反応混合物は、最初約8.27バールゲージ(120psig)の背圧下で約90℃〜約130℃に加熱し、次いで、200〜600mmHgの真空下で槽に入れる。この段階で殆どのTHF/無水酢酸/酢酸はフラッシュ蒸発し次いで凝縮され循環される。PTMEA及び残留しているTHF/酢酸/無水酢酸は、THF蒸気が残留酢酸及び無水酢酸のストリッピングのために使用されるTHFストリッパーに進む。THFストリッパーはカラムであり、好ましくは、理論段が3〜10、好ましくは5である充填搭である。過熱THF蒸気は、残留酢酸及び無水酢酸を重合体溶液から除去するために使用される。THFを約135℃の温度に加熱する。THF蒸気を約20mmHgで運転されるストリッパーカラムにフラッシュ状態で導入する。ストリッピングで回収されたTHF/酢酸/無水酢酸は凝縮されそして循環される。
実 施 例
PTMEAを33.4%、THFを62.9%、酢酸を3.0%そして無水酢酸を0.7%含有する重合体溶液約120℃に加熱し、450mmHgで運転しているTHF分離搭に供給した。この分離搭の搭頂留分はTHFを94.9、酢酸を4.1%そして無水酢酸を1.0%含有し、これに対し残りの重合体溶液はPTMEAを96.6%、THFを2.3%、酢酸を1.0%そして無水酢酸を0.1%含有していた。この重合体溶液を、ステンレススチール製の充填剤で充填された、10段の、20mmHgで運転されているカラムの上部トレーに供給した。5.17バールゲージ(75psig)で135℃に加熱したTHFをそのカラムの底部に導入した。その過熱THFによって、残留している酢酸/無水酢酸は重合体溶液から除去され、THFを94.7%、酢酸を4.7%そして無水酢酸を0.6%含有するカラム搭頂留分が得られ、これに対し残りの重合体溶液では、PTMEAが99.8%、THFが0.2%であり、酢酸及び無水酢酸は100ppm未満であった。製造直後の製品の色は10 APHA単位未満であった。この製品の色のデータは、残留酢酸/無水酢酸がPTMEAの品質に影響を与えることなく効果的に除去されたことを示すものである。
産業上の利用可能性
薄い色と低い酢酸濃度を有する重合体を製造できることは先行技術に対する重要な改良である。特に、生成物を着色する傾向があるのでTHFの重合に有害であると従来から考えられている不飽和の不純物の存在下でさえも達成される優れた生成物の色の統御が確認されている。
Claims (4)
- THFを、場合によっては1種以上の置換したTHF又はアルキレンオキシドコモノマー反応物と共に、反応器中で、固体酸触媒及び分子量調節剤としてのカルボン酸無水物を伴ったカルボン酸を用いて、重合させることによってポリテトラメチレンエーテルのジエステルを製造する方法において、未反応のカルボン酸及びカルボン酸無水物をポリテトラメチレンエーテルジエステル重合生成物から除去するために、重合生成物を過熱THF蒸気と接触させる段階を含んで成ることを特徴とする方法。
- 該カルボン酸が酢酸であり、そして該カルボン酸無水物が無水酢酸である請求項1に記載の方法。
- 次の段階:
a)該反応器からポリテトラメチレンエーテル、未反応THF及びカルボン酸無水物を伴ったカルボン酸の溶液を含んで成る生成物の流れを回収する段階、
b)減圧で、ポリテトラメチレンエーテルジエステルの溶液からバルクの該未反応THFをフラッシュ蒸発させる段階、そして
c)過熱THF蒸気をバルクのフラッシュ蒸発させた流れと接触させることにより、ポリテトラメチレンエーテルジエステル重合生成物から残留しているTHF、カルボン酸及びカルボン酸無水物を除去する段階
を更に含んで成る請求項1に記載の方法。 - 該カルボン酸が酢酸であり、そして該カルボン酸無水物が無水酢酸である請求項3に記載の方法。
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