JP5040130B2 - ポリエーテルポリオール類の製造方法 - Google Patents

ポリエーテルポリオール類の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5040130B2
JP5040130B2 JP2006071514A JP2006071514A JP5040130B2 JP 5040130 B2 JP5040130 B2 JP 5040130B2 JP 2006071514 A JP2006071514 A JP 2006071514A JP 2006071514 A JP2006071514 A JP 2006071514A JP 5040130 B2 JP5040130 B2 JP 5040130B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction
alkanols
reboiler
usually
column
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006071514A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006291189A (ja
Inventor
弘 竹尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2006071514A priority Critical patent/JP5040130B2/ja
Publication of JP2006291189A publication Critical patent/JP2006291189A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5040130B2 publication Critical patent/JP5040130B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polyethers (AREA)

Description

本発明は、ポリエーテルポリオール類の製造方法に関する。本発明は、詳しくは、エステル交換触媒の存在下で、ポリエーテルポリオールのジエステル類をC1〜C4のアルカノール類とのアルコリシス反応によりポリエーテルポリオール類に転化する反応に関する。
ポリアルキレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール類は、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂等のソフトセグメントとして用いられている。また、これは、ロール等の工業製品、靴底、及び衣料用弾性繊維等に加工されて、広く生活に利用されている。ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法としては、例えば、酸触媒及び無水酢酸のようなカルボン酸無水物の存在下で、環状エーテルを開環重合させ、ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステルを得て、そして、この得られたジエステルを、アルカリ(土類)金属化合物等のエステル交換触媒の存在下で、メタノールなどのアルカノール類とエステル交換する方法が知られている(特許文献1参照)。
ポリアルキレンエーテルグリコールは、ポリウレタン樹脂等の原料に用いられる。このため、ポリアルキレンエーテルグリコール中にエステル交換触媒等の不純物が残留することは好ましくない。そこで、通常、生成したポリアルキレンエーテルグリコールに対して、これに含まれるアルカリ金属等を除去する処理を施す。アルカリ金属等の除去方法としては、例えば、エステル交換反応後の反応液を、水の存在下で酸性イオン交換樹脂と接触させることにより、反応液中に溶解しているアルカリ金属イオン等を吸着除去する方法などが知られている(特許文献2、3参照)。
エステル交換反応は、通常、アルカノール類、例えば、炭素数1〜4のアルカノール類の存在下で行う。生成したポリアルキレンエーテルグリコール中に含まれるアルカノール類は、留去させる。留去させたアルカノール類は、回収して、再使用することが好ましい。しかしながら、本発明者らが、ポリエーテルポリオールのジエステル類とアルカノール類とのアルコリシス反応によりポリエーテルポリオール類を合成する反応において、生成したポリアルキレンポリオールに含まれるアルカノール類を回収して再使用したところ、反応の押切が困難になる、反応器に備えられたリボイラーの能力が次第に低下して、安定した状態で反応できなくなる等の現象が生じてしまった。
特開昭57−158225号公報 特開平11−279275号公報 米国特許第4985551号公報
本発明は、ポリエーテルポリオールのジエステル類とアルカノール類とをアルコリシス反応することにより、ポリエーテルポリオール類を合成する反応において、生成したポリエーテルポリオール類に含まれるアルカノール類をリサイクルしつつ、ポリエーテルポリオール類を安定的に生産する方法を提供する。
本発明者らは、かかる事情に鑑み更に詳細に検討を行った。その結果、ポリエーテルポリオールのジエステル類とアルカノール類とのアルコリシス反応によりポリエーテルポリオール類を合成する反応において、生成したポリアルキレンエーテルグリコール中に含まれるアルカノール類を回収して再利用すると、触媒濃度が薄い場合に、反応の押切が困難
になることが判明した。また、生成したポリアルキレンエーテルグリコール中に含まれるアルカノール類を回収して再利用すると、触媒濃度が高い場合でも、反応器が加熱装置としてリボイラーを備えていると、リボイラーの能力が次第に低下し、反応を安定した状態で維持できなくなった。この加熱装置の能力低下は、アルコリシス反応において、リボイラーでアルカノール類を蒸発させる場合に特に顕著であった。そして、この能力の低下したリボイラーについて、触媒及びポリエーテルポリオールのジエステル類の供給を止め、リボイラーをアルカノール類で洗浄すると、高濃度のアルカリが溶出した。更に、本発明者らは、これらの現象がリサイクルするアルカノール類中に水分が含まれているときに起きることを見出した。これらのことから、本発明者らは、反応液中に水が含まれていると、アルカリ金属のアルコキシドが水と反応してアルカリ金属の水酸化物となり、これがリボイラー表面に堆積すると推定した。ここで、反応液中のアルカリ金属化合物の濃度は、通常、析出すると考えられているほどに高濃度ではない。しかしながら、リボイラーではアルカノール類を蒸発させている分、アルカリ金属化合物の濃度が高くなり、アルカノール類への溶解度が比較的低い水酸化物が析出してしまうのではないかと推定した。但し、ポリエーテルポリオール溶液中で、低濃度のアルコキシドが水と100%反応しているかどうかは不明であり、その一部が水酸化物に変化しているものと思われる。
アルカリ金属の水酸化物がエステル交換触媒として用いられることは古くから知られている(例えば特開昭57−158225号公報及び特開2000−502390号公報に記載されている。)。エステル交換触媒であるアルカリ金属の水酸化物が、実は、安定したエステル交換反応の阻害要因となっていることは、非常に意外なことである。
本発明者らは、安定したエステル交換反応を行うべく、鋭意検討した。この結果、反応系内に戻すアルカノール類に含まれる水分を特定量以下とすることにより、反応系内、特にリボイラー表面への堆積物の生成を抑制することができ、ポリエーテルポリオール類を安定的に製造出来ることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、アルカリ金属のアルコキシド触媒の存在下で、ポリエーテルポリオールのジエステル類をC1〜C4のアルカノール類とのアルコリシス反応によりポリエーテルポリオール類に転化するポリエーテルポリオール類の製造方法において、生成されたポリエーテルポリオール類に含まれるC1〜C4のアルカノール類をアルカノール類中の水分量(質量)が100ppm以下の状態で反応系内へ戻すことを特徴とするポリエーテルポリオール類の製造方法に存する。
ポリエーテルポリオールのジエステル類をポリエーテルポリオール類に転化する際、アルカノール類をリサイクルしても、反応器内壁への付着物生成が抑制され、ポリエーテルポリオール類を安定して製造できる方法を提供する。
以下に、本発明の重合方法及び重合装置の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされているが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明に用いられるポリエーテルポリオールのジエステル類としては、従来公知の任意のものを使用できる。ポリエーテルポリオールのジエステル類の分子量が大きいと、粘度が高くなり、反応後の溶液からアルカリ金属化合物をイオン交換樹脂で除く場合におけるイオン交換樹脂塔での差圧が大きくなる。また、ポリエーテルポリオールのジエステル類の分子量が小さいと、反応すべきエステル基のモル濃度が増える。そこで、本発明に用い
られるポリエーテルポリオールのジエステル類の数平均分子量は、下限が200であることが好ましく、650であることが更に好ましく、1800であることが最も好ましく、上限が5000であることが好ましく、3000であることが更に好ましく、2100であることが最も好ましい。また、本発明に用いられるポリエーテルポリオールのジエステル類としては、アルカノール類に溶解しやすく、本発明の効果が顕著となることから、ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル類が好ましく、ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステルが更に好ましい。以下、ポリエーテルポリオールのジエステル類として、ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステル類を例に説明する。
ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステル類の製造方法は、ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステル類が製造されれば、任意のどの方法でもよい。ポリアルキレンエーテルグリコールのジカルボン酸エステル類は、例えば、カルボン酸、カルボン酸無水物及び酸触媒の存在下で、環状エーテルを開環重合して得られる。
環状エーテルは、これを構成する環の炭素数が多いと重合性が低下する。環状エーテルを構成する環の構成炭素数は、通常、2〜10であり、2〜6であるのが好ましい。環状エーテルは、具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル、及び、これら並びにこれらの誘導体から選ばれた一つないしは二つ以上の組み合わせで用いる。二つ以上の環状エーテルを組み合わせた場合、片方が重合しにくいものであっても、重合が進みやすいので好ましい。これらの環状エーテルの誘導体としては、前記環状エーテルをアルキル基、アリール基、アシル基及びハロゲン原子などで置換したものなどが挙げられる。ここでアルキル基、アリール基、アシル基などは、更に置換基を有していてもよい。アルキル基、アリール基、アシル基などが更に置換基を有している例としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールアルキル基、アシルアルキル基、アルコキシアルキル基、アシルオキシアルキル基、アリールオキシアルキル基、及びこれらの置換基をハロゲン化したものなどが挙げられる。環状エーテルの誘導体としては、更に具体的には、3-メチルーテトラヒドロフラン、2−メチルーテ
トラヒドロフラン、3−メチルオキセタン、3、3−ジメチルオキセタン、3−クロロメチル−3−エチルオキセタン、3,3−ビスクロロメチルオキセタンなどが挙げられる。これらの中でも、重合しやすく、ポリウレタン樹脂などにしたときの物性が優れていることから、テトラヒドロフランが好ましい。
カルボン酸としては、脂肪族または芳香族カルボン酸を用いる。カルボン酸の炭素数は、通常2〜12、好ましくは2〜8である。カルボン酸としては、具体的には、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、安息香酸等が挙げられる。これらの中でも、分子量の小さい酢酸が少量で分子量制御の効果が得られるので好適に用いられる。
カルボン酸無水物としては、上記カルボン酸の無水物などが挙げられる。カルボン酸無水物は、反応系内の微量水分と反応して、その一部がカルボン酸になる可能性がある。そこで、反応系を複雑にしないために、本発明に用いるカルボン酸に対応するカルボン酸無水物を用いることが好ましい。すなわち、ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル類の製造に用いるカルボン酸とカルボン酸無水物としては、酢酸と無水酢酸を用いることが特に好ましい。
原料液中のカルボン酸無水物の濃度は、目的とするポリエーテルポリオールの分子量や触媒の種類により異なるが、下限が、通常0.1質量%、好ましくは0.5質量%であり
、上限が通常30質量%、好ましくは15質量%である。カルボン酸とカルボン酸無水物に対する比率(モル比)は、通常0〜50である。
酸触媒は、重合後の分離除去が容易なことから、活性白土、ゼオライト、超強酸性イオン交換樹脂、複合金属酸化物等の固体酸触媒が好適に用いられる。反応液中の触媒濃度は、例えば、懸濁床で反応を行う場合、通常、0.1〜20質量%とする。
ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル類の製造に用いる反応器は、ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル類を製造できれば、任意のどのような形式の反応器を用いても良い。ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル類を製造する反応器としては、例えば、固定床や懸濁床などの公知の方式が使用できる。
反応温度は、適宜設定すればよいが、下限が、通常10℃、好ましくは30℃であり、上限が、通常80℃、好ましくは50℃である。反応温度が上記下限以上であると、反応速度が速いため好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると、環状エーテルが沸騰しにくいので好ましい。
反応圧力は、反応液が液状を保つ範囲で適宜選択すればよい。反応圧力は、通常、常圧〜0.5MPa、好ましくは常圧〜0.3MPaである。圧力が高いと より高い温度で
も液状を保つことができるが、建設費が高騰するうえ、温度が高いほど平衡転化率が低下する。なお、反応は、減圧下でも行える。反応は、通常、窒素等の不活性ガスなどの本発明の反応を阻害しない雰囲気下で行う。反応を連続的に行う場合の反応器内における反応液の滞留時間は、触媒の活性及び濃度等により決められる。連続反応の場合の反応器内における反応液の滞留時間は、短いと転化率が低くなり、長いと平衡転化率に近づき見かけの反応速度が低下するので、通常0.5〜15時間である。
重合反応液には、目的とするポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル類の他に、未反応原料が含有されているので、通常、これを留去させる。未反応原料の留去は、通常、常圧又は減圧下で行う。留去された環状エーテル、カルボン酸及びカルボン酸無水物は、必要に応じて精製して再利用してもよい。
本発明において用いるポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル類としては、THFを開環重合して得たポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)のジカルボン酸エステル類(PTME)が特に好ましい。
本発明のポリエーテルポリオール類は、ポリエーテルポリオールのジエステル類と、C1〜C4のアルカノール類とを混合し、エステル交換触媒の存在下に反応させることにより得られる。
1〜C4のアルカノール類としては、分子量が小さいほど同一質量でもモル数が多く、反応の進行に有利なことから、メタノール、エタノール及びプロパノールが好ましく、メタノール及びエタノールが更に好ましく、メタノールが特に好ましい。原料液中のポリエーテルポリオールのジエステル類に対するアルカノール類の質量比は、下限が0.3であることが好ましく、0.6であることが更に好ましく、上限が3.0であることが好ましく、2.0であることが更に好ましい。アルカノール類が上記下限以上であると、反応溶液が適度な粘度となり反応が円滑に進みやすい。また、アルカノール類が上記上限以下であると、装置規模を適度なものとしやすく、過剰なアルカノール類の除去が容易である。
エステル交換反応の触媒としては、アルカリ金属のアルコシキドが用いられる。アルカリ金属のアルコシキドとしては、具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド等のナトリウム化合物;カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド等のカリウム化合物等が挙げられる。これらのうち、ナトリウム化合物が好ましい。また、分子量が小さい方が少量で安価なこと等から、特に、ナトリウムメトキシドが好ましい。アルカリ金属アルコキシドの使用量は、反応
液に対して、下限が、通常0.002質量%、好ましくは0.005質量%、更に好ましくは0.01質量%、上限が、通常、0.1質量%、好ましくは0.03質量%、更に好ましくは0.02質量%である。アルカリ金属アルコキシドの使用量が、上記下限以上であると、反応速度の点で好ましく、上記上限以下であると、残存触媒の除去が容易な点で好ましい。
各原料及び触媒の反応器への供給方法としては、具体的には、例えば、各原料及び触媒をタンクに入れ、各タンク中の液をポンプを使用して流速を制御しつつ混合槽に送液し、混合槽内で液が均一になるように混合してから、エステル交換反応に供する方法などが挙げられる。ここで、エステル交換触媒は、通常、固体の状態のものを少量用いるため、エステル交換触媒のアルカノール類溶液として供するのが好ましい。エステル交換触媒のアルカノール類溶液としては、市販のナトリウムメトキシドのメタノール溶液を用いるのが簡便である。
エステル交換反応後の反応液に含まれるアルカノール類を再使用する場合、エステル交換触媒のアルカノール類溶液の濃度を一定に保つ必要があることから、再使用するアルカノール類は、エステル交換触媒のアルカノール類溶液とは別のタンクから反応器に供することが好ましい。反応液中のアルカノール類を蒸留などの方法で精製して回収する場合は、原料タンクを経由せずに蒸留塔から直接混合槽に供給しても良い。この場合、通常、反応液からのアルカノール類の回収時にロスした分のアルカノール類を原料タンクから供給する。
エステル交換反応に用いる反応器の形式は、ポリエーテルポリオール類を製造できれば、任意のどのような形式の反応器を用いても良く、また、複数の反応器を組み合わせても良い。エステル交換反応に用いる反応器は、少なくとも一つの反応器が加熱源としてリボイラーを備えているのが好ましい。ポリエーテルポリオール類を製造する反応器としては、具体的には、バッチ反応槽や連続攪拌槽、管型反応器、反応蒸留塔などが知られている。これらのうち、塔底に加熱装置を備えた反応蒸留塔が、効率が良いので好ましい。従って、エステル交換反応は、その少なくとも一部を反応蒸留器で行うのが好ましい。
また、反応蒸留前に、管型反応器や連続攪拌槽などの前段反応器でエステル交換反応を部分的に実施した後、反応蒸留塔でエステル交換を完結させても良い。前段反応器を用いる場合、前段反応器における転化率が高いほど反応蒸留塔の負荷が低下するので、エステル交換率が平衡転化率の85%以上となるように反応させておくのが好ましい。前段反応器を用いる場合、ここで副生するカルボン酸アルキルを蒸留などの公知の方法で除去しても良いし、除去しなくても良い。前段反応器としては、建設費が安いことから、管型反応器が好適に用いられる。前段反応器で反応を行う場合、圧力が高いほど温度を上げて反応速度を速くすることが出来るが、圧力が高いほど反応器の建設費が高くなる。前段反応時の圧力は、下限が、通常0.1MPa、好ましくは0.5MPaであり、上限が、通常5M
Pa、好ましくは3MPaであるのが良い。前段反応時の温度は、下限が、通常40℃、
好ましくは110℃であり、上限が、通常250℃、好ましくは180℃であるのが良い。前段反応時の滞留時間は、管型反応器の場合、下限が、通常2分、好ましくは5分、上限が、通常60分、好ましくは20分であるのが良い。前段反応時の滞留時間は、連続撹拌槽の場合は、下限が、通常0.5時間、好ましくは1時間、上限が通常15時間、好ましくは10時間であるのがよい。また、前段反応時の加熱は、ジャケットや内部コイル、熱交換器など公知の方法を使用することが出来る。前段反応器として管型反応器を用いる場合は、熱交換器で反応温度まで加熱した反応液を、保温材で断熱した反応器に供するのが簡便で好ましい。
反応器として反応蒸留塔を用いる場合の反応蒸留塔は、塔頂に還流装置、塔底にリボイ
ラーを備えた充填塔や棚段塔などの常用のものを用いることができる。エステル交換反応を進行させるのに充分な反応時間を確保する見地から、反応蒸留塔の原料供給段より下側(回収段)には、トレイを備えた段塔を用いるのが好ましい。トレイの形式としては泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ等が用いられる。泡鐘トレイは、安定操作範囲は広いが、構造が複雑なためにコスト高となりやすい。多孔板トレイは、構造が単純で圧力損失が小さいが、安定操作範囲が狭い等の欠点を有する。このため、前段反応時のトレイの形式としては、双方の利点を有するバブルトレイが特に好適である。反応蒸留塔の原料供給段より上側(濃縮段)は、主に、副生したカルボン酸アルキルとC1〜C4のアルカノール類との蒸留分離が行われる部分であるので、通常の蒸留設備であればよく、必ずしも段塔でなくても、充填塔であってもよい。蒸留塔の理論段数は多い方が反応の押切が容易になるが、建設費が高騰するので、濃縮部の段数は1〜10段、回収部の段数は5〜40段が好ましい。
反応蒸留塔の塔底にある加熱装置としては、具体的には、強制循環型リボイラーやサーモサイホンによる自然循環型リボイラーなど公知の方法が用いられる。このうち、リボイラー内では、アルカノール類が蒸発することにより反応液の粘度が高くなるので、強制循環型リボイラーが好ましい。
反応蒸留塔の反応圧力は、反応液が液状を保つ範囲で適宜選択すればよい。反応圧力は、反応温度を上げて反応速度を速く出来る点、及び、反応液の発泡の抑制の点からは、高い方が好ましい。一方、装置の建設費の点では、反応圧力が低い方が好ましい。特に、前段反応器を用いる場合、通常、反応蒸留塔は前段反応器よりも複雑な構造であるため、反応圧力は前段反応器よりも反応蒸留塔で低めに設定した方が建設費を低減しやすい。また、反応蒸留塔の圧力を前段反応器よりも低く設定すると、前段反応器で副生したカルボン酸アルキルを、反応蒸留塔に供給するときにフラッシュ蒸発させられる点でも好ましい。反応蒸留塔の反応圧力は、具体的には、下限が、通常、常圧、好ましくは0.2MPa、更に好ましくは0.5MPaであり、上限が、通常2.0MPa、好ましくは1.0MPaであるのが良い。
反応蒸留塔の反応温度は、反応圧力に応じて、適宜設定すればよい。反応温度は、具体的には、例えば、塔底温度の下限が、通常60℃、好ましくは100℃であり、上限が、通常180℃、好ましくは160℃であるのが良い。反応温度が上記下限以上であると、反応速度が速いため好ましい。また、反応温度が上記上限以下であると、温度を維持するのに必要な圧力が低くてもよいので、建設費抑制の点で好ましい。反応温度は、リボイラーの加熱源である熱媒の流量調整又は熱媒の温度等により調整できる。
反応は、通常、窒素等の不活性ガスなどの本発明の反応を阻害しない雰囲気下で行う。反応を連続的に行う場合の反応器内における反応液の滞留時間は、触媒の活性及び濃度等により決められる。連続反応の場合の反応器内における反応液の滞留時間は、反応が速いため、通常10〜30分である。
反応時の還流比は、原料組成や蒸留塔の段数によって変化するが、通常0.5〜20、好ましくは1.0〜10.0が良い。還流比が上記上限以下であると、トレイ上の液の触媒濃度が高いため反応速度が速いため好ましく、還流比が上記下限以上であると、カルボン酸アルキルを完全に分離して反応を押切りやすいため好ましい。
反応蒸留塔で、ポリエーテルポリオール類とアルカノール類とのエステル交換反応を行うと、反応蒸留塔の塔頂からアルカノール類とカルボン酸アルキルが留出し、塔底からポリエーテルポリオール類とアルカノール類が缶出する。
塔頂からの留出液に含まれるアルカノール類は、回収して、再使用するのが好ましい。塔頂液からのアルカノール類の回収は、例えば、蒸留等により行うことができる。蒸留塔としては、塔頂に還流装置、塔底に加熱装置を備えた充填塔や棚段塔など常用のものを用
いることができるが、効率の点で充填塔が好ましい。通常、塔頂からの留出液を蒸留塔の中段に供給し、塔頂からカルボン酸アルキルとアルカノール類との共沸物を、塔底からアルカノール類を得る。上述の反応蒸留塔を使用する場合、塔底から回収するアルカノール類の純度は、通常、95質量%以上であればよい。蒸留塔の段数は、通常、5〜30段である。蒸留塔の塔底にある加熱装置は、特に限定されず、公知のものが使用できるが、例えば、強制循環型リボイラーやサーモサイホンによる自然循環型リボイラーなどの公知の装置が用いられる。蒸留時の圧力は、特に限定されないが、通常は常圧とする。塔底温度は、通常、設定した圧力下でのアルカノール類の沸点となるが、本発明では、アルカノール類の純度は95%以上であればよいので、カルボン酸アルキルを含む場合の塔底温度は、アルカノール類とカルボン酸アルキルとの混合組成に応じた沸点となる。塔底温度は、塔底液中のカルボン酸アルキルの濃度が数十質量%以上である場合、リボイラーの加熱源である熱媒の流量調整等により調整できるが、カルボン酸アルキルの濃度が低くなると、塔底温度はアルカノール類の沸点に近くなり、温度変化が小さくなる。この場合、原料供給段と塔底の中間の温度が一定となるように、又は、留出量を一定にして還流比が所望の値となるように、リボイラーの熱媒量を制御すればよい。蒸留時の雰囲気は、通常、窒素等の不活性ガスなどの本発明の原料、生成物と反応しない雰囲気を用いる。還流比は、原料組成や蒸留塔の段数によって変化するが、通常0.5〜20、好ましくは1〜10が良い。蒸留により、塔底液として、アルカノール類が得られるので、これを原料タンクまたは原料混合槽等に戻すことにより、反応に再使用できる。
アルカノール類を反応に再使用する場合、アルカノール類中に水分が含まれていると、リボイラー内に析出物が生じて、リボイラーの能力が低下する場合があるため、再使用するアルカノール類中の水分は、通常、100ppm以下、好ましくは50ppm以下であるのが良い。そこで、再使用するアルカノール類中の水分を上記上限以下とするために、必要に応じて脱水処理を施す。再使用するアルカノール類中の水分の下限は、特に無く、低ければ低いほどよい。再使用するアルカノール類中の水分を上記上限以下とするために、ここで回収したアルカノール類を、このアルカノール類のみで、又は、これと後述のポリエーテルポリオール類から回収するアルカノール類とともに、脱水しても良い。しかしながら、脱水処理を施さずともアルカノール類中の水分が100ppm以下であれば、脱水処理は不要である。
エステル交換反応を行った反応蒸留塔の塔底からの缶出液は、目的とするポリエーテルポリオール類の他に、アルカノール類が含有しているので、通常、これを蒸留などの方法により留去させる。ポリエーテルポリオール類とアルカノール類との混合液からのアルカノール類の蒸留は、回分蒸発機やケトルリボイラー、薄膜蒸発機、ストリッパー、流下膜蒸発機、フラッシュ蒸発など公知の方法を用いて行うことができる。ここで、回分蒸発機、ケトルリボイラー及びストリッパーは、完全にアルカノール類を除去するのに時間が掛かる。フラッシュ蒸発は、完全にアルカノール類を分離できない。流下膜蒸発機は、アルカノール類の濃度低下に伴う粘度増加により、完全にアルカノール類を分離するのが困難である。また、薄膜蒸発機は、建設費が高い。従って、ポリエーテルポリオール類とアルカノール類との混合液からのアルカノール類の蒸留は、これらの方法を組み合わせ、その欠点を補うようにして行うのが好ましい。そのような例としては、例えば、特開2001−59020号公報に記載の蒸発機とストリッパーとを組み合わせた方法が挙げられる。
ここで得られたアルカノール類は、原料タンクまたは原料混合槽に戻すことにより、エステル交換反応に再使用できる。アルカノール類を反応に再使用する場合にアルカノール類中に水分が含まれていると、リボイラー内に析出物が生じて、リボイラーの能力が低下する場合があるため、再使用するアルカノール類中の水分は、通常、100ppm以下、好ましくは80ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、特に好ましくは30ppm以下であるのが良い。そこで、再使用するアルカノール類中の水分を上記上限以下とする
ために、必要に応じて脱水処理を施す。特に、後述のエステル交換触媒の除去処理を行ったために、アルカノール類中に多量の水が含まれている場合、アルカノール類に脱水処理を施すことは重要である。アルカノール類中の水分を除去する方法は、蒸留や脱水剤などの公知の方法が使用できる。これらの方法のうち、連続実施できることから蒸留が好ましい。再使用するアルカノール類中の水分の下限は、特に無く、低ければ低いほどよいが、通常、検出限界とする。
また、エステル交換反応を行った反応蒸留塔の塔底からの缶出液は、エステル交換触媒を含むので、通常、これを除去する。ポリエーテルポリオール類にエステル交換触媒が残留していると、ポリエーテルポリオール類をウレタン反応させる時に、アルカリ金属がゲル化を起こす作用があることから、通常1ppm以下、好ましくは0.5ppm以下にするのが良い。エステル交換触媒の除去は、様々な公知の方法等により行うことができる。エステル交換触媒の除去法としては、例えば、水の存在下でH型強酸性イオン交換樹脂による処理を施し、イオン交換樹脂にエステル交換触媒を吸着させる方法(特開2000−336164号公報参照)、燐酸などの酸で中和して濾過する方法などが知られている。残留エステル交換触媒をイオン交換樹脂に吸着させる場合、水分濃度の下限が、通常0.1質量%、好ましくは1質量%であり、上限が10質量%、好ましくは5質量%であるのが良い。水分濃度が上記上限以下であると、反応液の濁りや2相分離が生じにくく、上記下限以上であると吸着効率が高い点で好ましい。イオン交換樹脂でアルカリ金属を除去した場合、及び、燐酸などのような水を含む酸でアルカリ金属を中和した場合などには、このアルカリ金属除去後のアルカノール類は多量の水を含む。例えば、塔底からの缶出液を水存在下でイオン交換樹脂処理した場合、アルカノール類は、通常、0.1〜10質量%の水分を含む。本発明の方法では、ここで得られるアルカノール類に含まれる水分を通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下の状態で反応系内に戻すことにより、反応系内、特に、リボイラー表面への析出物の生成を抑制して、ポリエーテルポリオール類を安定的に製造できる。なお、本発明の方法で、水を用いる場合、脱塩水を用いるのが好ましい。脱塩水は、H型強酸性イオン交換樹脂及び強塩基性イオン交換樹脂に通液して、イオン性不純物を除去したものが好ましく、電気伝導度が50μs/ cm以下であるものが
更に好ましく、電気伝導度が10μs/ cm以下であるものが更に好ましく、電気伝導度
が5μs/ cm以下であるものが特に好ましい。このような脱塩水の製造方法は、例えば
、「三菱化学テクニカルサービスシリーズ・ダイヤイオンII応用編」に記載されている。
エステル交換反応を行った反応蒸留塔の塔底からの缶出液から得られるアルカノール類中の水分の除去は、ポリエーテルポリオール類とアルカノール類との混合液の状態で行っても良いし、ポリエーテルポリオール類とアルカノール類との混合液からアルカノール類を取り出した後に行っても良い。しかしながら、ポリエーテルポリオール類が含まれていると、液の粘度が増大して脱水の妨げとなるので、水分除去は、ポリエーテルポリオール類とアルカノール類との混合液からアルカノール類を取り出した後に実施するのが好ましい。水分除去法としては、蒸留やモレキュラーシーブなどの脱水剤を用いる公知の方法が使用できるが、蒸留分離するのが簡便である。水分を留去する蒸留塔としては、加熱装置や還流装置を備えた充填塔や棚段塔などの常用のものを用いることができるが、充填塔が、効率が良いので好ましい。充填塔を用いる場合のその段数は、還流比にもよるが、濃縮段が通常5〜30段、好ましくは10〜20段であり、回収段が通常3〜20段、好ましくは5〜10段であるのが良い。この蒸留塔の塔底にある加熱装置は、特に限定されず、公知のものが使用できる。具体的には、強制循環型リボイラーやサーモサイホンによる自然循環型リボイラーなど公知の方法が用いられる。圧力は、特に限定されないが、通常は常圧で実施する。塔底の加熱は、リボイラーの加熱源である熱媒の流量調整等により調整することができ、原料供給段と塔底の中間の温度が一定となるように、又は、留出量を一定としておいて還流比が所望の値となるように、リボイラーの熱媒量を制御すればよい。蒸留時の雰囲気は、通常、窒素等の不活性ガスなどのように本発明の原料又は生成物と反
応しない雰囲気を用いる。還流比は、原料組成や蒸留塔の段数によって変化するが、通常0.5〜20、好ましくは1〜10が良い。この蒸留により、塔底液として水が、塔頂液としてアルカノール類が各々得られる。本発明の方法では、この塔頂液であるアルカノール類中の水分を100ppm以下、好ましくは80ppm以下、更に好ましくは50ppm以下、特に好ましくは30ppm以下にすることが重要である。一方、蒸留塔の段数や還流比によっては、また、塔底液中のアルカノール類が充分に除去されずに、その濃度が数100〜数1000ppmになる場合もある。この場合、必要に応じて別の蒸留塔で水とアルカノール類を分離する、水を活性汚泥で処理する等しても良い。
上述のようにしてアルカノール類を再使用する場合、原料アルカノール類中の水分は、100ppm以下であるのが好ましく、50ppm以下であるのが更に好ましい。再使用するアルカノール類中の水分の下限は、特に無く、低くすれば低いほどよいが、通常、原料アルカノール類中の水分及びエステル交換反応液中の水分の下限は検出限界とする。また、エステル交換反応液中の水分濃度は、絶対量としては、50ppm以下であるのが好ましく、25ppm以下であるのが更に好ましい。再使用するアルカノール類中の水分の下限は、特に無く、低くすれば低いほどよいが、通常、原料アルカノール類中の水分及びエステル交換反応液中の水分の下限は検出限界とする。
再使用するアルカノール類中に水が含まれていると、リボイラー内に析出物が生じて、リボイラーの能力が低下する理由は、以下のように推定される。すなわち、再使用するアルカノール類中に水分が含まれていると、アルカリ金属化合物がアルカリ金属の水酸化物に変わるために触媒活性が低下すると共に、リボイラー内に析出物が生じて、リボイラーの能力が低下すると推定される。
水分濃度は、水分計として三菱化学株式会社製デジタル微量水分測定装置「CA−06形」を、電量滴定用発生液として三菱化学株式会社製「アクアミクロンAS」、電量滴定用陰極液として三菱化学製「アクアミクロンCS」を、各々用い、試料1〜1.5g中の水分を電量滴定により求め、これを試料の質量で割ることにより求めることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の特徴を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、参考例1を除き用いた反応器、タンク、配管は全て窒素置換してから用い、エアーが入らないように必要に応じて窒素シールした。
(触媒の合成)
担体として酸化ケイ素(富士シリシア化学株式会社社製、「キャリアクトQ−15」、平均粒径200μm)5質量部に、原料金属化合物として、酸化ジルコニウム(ZrO)換算で15質量%相当の硝酸ジルコニル(ZrO(NO3 2)水溶液6.5質量部を
加えた。これを良く攪拌した後、100℃で乾燥させた。これを冷却し、塩基性化合物として、12質量%の炭酸水素アンモニウム水溶液を13.4質量部加えて攪拌した。これを水洗して過剰の炭酸水素アンモニウム及び生成した硝酸アンモニウムを除去した上で、乾燥器にて乾燥した。得られた乾燥固体をロータリーキルンで焼成して、ジルコニウムを含む酸化物を得た。
(PTMEの合成)
攪拌装置を備えた容量60容量部の反応器に、無水酢酸5質量%、酢酸0.2質量%を含むテトラヒドロフランを60容量部投入して、攪拌した。これに、上記の方法で合成した触媒を2520質量部投入した。ジャケットに冷媒を流すことにより、反応器内の温度を35℃に保った。これに、無水酢酸5質量%、酢酸0.2質量%を含むテトラヒドロフランを10容量部/hr供給し、液面が一定となるように、反応器内に設置したフィルターを通して反応液を抜き出した。抜き出した反応液は、反応器外に設置したカートリッジ
フィルターを通してフラッシュドラムに供給した。フラッシュドラムは、圧力50kPaで制御した。フラッシュ後の缶出液は、ポンプを通してその一部を熱交換器に供給して加熱し、フラッシュドラムに戻し循環させた。ポンプの残りの液をフラッシュドラムの液面が一定となる流量で別の熱交換器に供給して更に加熱してから、規則充填物を充填した充填塔の塔頂付近に仕込み、塔下部より加熱した窒素を通気した。窒素仕込量は、100容量部/hrに設定した。抜き出された塔缶出液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、テトラヒドロフラン、無水酢酸とも、検出下限である20ppm以下であるPTME(PTMGのジ酢酸エステル)であった。
(実施例1)
原料タンク1に上記の方法で調製したPTMEを、原料タンク2に200ppmの水を含んだメタノールを、原料タンク3に25質量%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を、各々、入れた。PTMEの分子量は、最終的に得られたPTMGの分子量から末端基の分子量の違いを考慮して計算した結果1815であった。原料タンク2の液を、塔頂に還流装置、塔底にリボイラーを備えた、段数が25段の蒸留塔10の中段に310質量部/hrで、ケトル型リボイラー9の留出液と共に供給した。蒸留塔10は、常圧で、還流比が2.6となるようにリボイラーの加熱源である熱媒の流量を調整して運転した。塔底液として、水を得た。また、塔頂液としてメタノールを得た。この塔頂液を700質量部/hrで、後述の蒸留塔7の缶出液を260質量部/hrで、原料タンク1の液を1250質量部/hrで、原料タンク3の液を1.2質量部/hrで、各々、ポンプを使用して、混合槽4に送液した。混合槽4で各液を均一に混合した後、熱交換器で160℃に加熱して管型反応器5へ、1.9MPaで送液して、エステル交換反応(滞留時間10分間)を
実施した。管型反応器5からの吐出液は、エステル交換率95%であった。管型反応器5からの吐出液を、塔底にオイルを加熱源とする強制循環型リボイラーを備え、塔頂に精留塔および還流器を備え、塔内に段数が40段の多孔板を有する蒸留塔6の最上段の多孔板に供給した。蒸留塔6は、圧力0.85MPa、還流比1.9、塔底温度143℃となる
ようにリボイラーの加熱源である熱媒の流量を調整して運転した。リボイラーに供給する熱媒の温度は、255℃であった。塔頂液として、メタノールと酢酸メチルの混合物を得た。また、塔底液としてPTMG(80質量部)とメタノール(20質量部)との混合液を得た。蒸留塔6における仕込み組成から計算したナトリウムメトキシドの濃度は190ppmである。
蒸留塔6の塔頂液(メタノールと酢酸メチルとの混合液)を、塔頂に還流装置を備え、塔底にリボイラーを備えた、20段の蒸留塔7の中段に供給した。蒸留塔7は、常圧で還流比2.0、原料供給段と塔底の中間地点の温度が63℃となるようにリボイラーの加熱源である熱媒の流量を調整して運転した。塔頂液としてメタノールと酢酸メチルとの共沸組成物を得た。また、塔底液として、メタノールを得た。この塔底液(メタノール)を混合槽4に260質量部/hrで供給し、反応に再使用した。
蒸留塔6の塔底液(PTMGとメタノールとの混合溶液)に、脱塩水を1質量%添加した。この脱塩水は、水をH型強酸性イオン交換樹脂と強塩基性イオン交換樹脂に通液してイオン性不純物を除去したもので、電気伝導度が5μs/ cm以下となるようにイオン性
不純物濃度が管理されていた。このように脱塩水を製造する方法は、例えば「三菱化学テクニカルサービスシリーズ・ダイヤイオンII応用編」に記載されている。この脱塩水を添加した蒸留塔6の塔底液を、H型の強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製「ダイヤイオンPK216LH(登録商標)」)を充填した塔8に導入して、ナトリウムを0.5ppm以下まで除去した。この液を、ケトル型リボイラー9に供給し、液温が104℃となるように運転した。留出液として得たメタノールを、前述の通り、蒸留塔10の中段に供給した。
以上の状態で定常運転を実施し、運転中の或る168時間について、蒸留塔10の塔頂液の水分を測定し、蒸留塔6のリボイラーの加熱源である熱媒(オイル)のリボイラー
出口温度を測定した。結果を表1に示す。
(表1)
表1
反応時間 蒸留塔10塔頂液の水分 熱媒の出口温度
0hr 12ppm 209℃
24hr 12ppm 211℃
48hr − 211℃
72hr 10ppm 212℃
96hr 10ppm 213℃
120hr − 213℃
168hr 10ppm 215℃
(比較例1)
運転条件を以下のようにした以外は、実施例1と同様に反応を実施した。
原料タンク2から蒸留塔10への供給量を440質量部/hrとした。蒸留塔10の塔頂液のうち 220質量部/hrを原料タンク2に戻した。蒸留塔7の缶出液170質量部/hrを混合槽4へ供給した。蒸留塔7の還流比を1.4とした。蒸留塔7の原料供給段と塔底の中間地点の温度を60℃に制御した。反応蒸留塔6の還流比を3.4とした。
この結果、蒸留塔10の塔頂液の水分量、及び、蒸留塔6のリボイラーの加熱源である熱媒のリボイラー出口温度は、表2の様に推移した。なお、蒸留塔6の運転を維持するために、蒸留塔6の下部に設置したリボイラーに供給する熱媒の流量を徐々に増加させたが、リボイラー出口の熱媒温度が次第に上昇してリボイラーに供給する熱媒温度(255℃)に近づいたため、これ以上蒸留塔6の運転を維持することが出来なくなった。
(表2)
反応時間 蒸留塔10塔頂液の水分 熱媒の出口温度
0hr − 222℃
24hr − 225℃
48hr − 229℃
72hr 121ppm 229℃
96hr 131ppm 233℃
120hr − 241℃
168hr 104ppm 244℃
本発明のポリエーテルポリオール類の製造方法は、反応器内壁への付着物生成が抑制された、安定した製造方法であり、化学工業的規模での安定生産に於いて、極めて有効である。
本発明のポリエーテルポリオール類の製造方法の一例を示す図である。
符号の説明
1 原料タンク1
2 原料タンク2
3 原料タンク3
4 混合槽4
5 管型反応器5
6 蒸留塔6
7 蒸留塔7
8 イオン交換樹脂充填塔
9 リボイラー9
10 蒸留塔10
11 PTME
12 ナトリウムメトキシドのメタノール溶液
13 メタノール
14 PTMG
15 水
16 酢酸メチル/メタノール

Claims (5)

  1. アルカリ金属のアルコキシド触媒の存在下で、ポリエーテルポリオールのジエステル類をC1〜C4のアルカノール類とのアルコリシス反応によりポリエーテルポリオール類に転化するポリエーテルポリオール類の製造方法において、生成されたポリエーテルポリオール類に含まれるC1〜C4のアルカノール類をアルカノール類中の水分量が100ppm以下の状態で反応系内へ戻すことを特徴とするポリエーテルポリオール類の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法において、生成されたポリエーテルポリオール類に含まれるC1〜C4のアルカノール類を分取してから該アルカノール類に含まれる水分量を100ppm以下とすることを特徴とするポリエーテルポリオール類の製造方法。
  3. 前記アルコリシス反応を、加熱源としてリボイラーを有している反応器で行うことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の製造方法。
  4. 前記アルコリシス反応の少なくとも一部を反応蒸留にて行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の製造方法。
  5. 前記ポリエーテルポリオール類がポリテトラメチレンエーテルグリコールであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の製造方法。
JP2006071514A 2005-03-17 2006-03-15 ポリエーテルポリオール類の製造方法 Active JP5040130B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006071514A JP5040130B2 (ja) 2005-03-17 2006-03-15 ポリエーテルポリオール類の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005077955 2005-03-17
JP2005077955 2005-03-17
JP2006071514A JP5040130B2 (ja) 2005-03-17 2006-03-15 ポリエーテルポリオール類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006291189A JP2006291189A (ja) 2006-10-26
JP5040130B2 true JP5040130B2 (ja) 2012-10-03

Family

ID=37412097

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006071514A Active JP5040130B2 (ja) 2005-03-17 2006-03-15 ポリエーテルポリオール類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5040130B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0920823A (ja) * 1995-07-06 1997-01-21 Mitsubishi Chem Corp ポリ(テトラメチレンエ−テル)グリコ−ルの製造法
US5852218A (en) * 1995-12-14 1998-12-22 E. I. Du Pont De Nemours And Company Alkanolysis of polyether polyol esters by reactive distillation
JP3849360B2 (ja) * 1999-08-24 2006-11-22 三菱化学株式会社 ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
DE10330721A1 (de) * 2003-07-08 2005-01-27 Basf Ag Verfahren zur Gewinnung von Oligomeren des Polytetrahydrofurans oder der Tetrahydrofuran-Copolymere

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006291189A (ja) 2006-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR860001853B1 (ko) 에틸렌 글리콜의 연속적 제법
WO2014061731A1 (ja) テトラヒドロフランの製造方法
JP2006509024A (ja) 乳酸エチルの連続製造方法
JP5040130B2 (ja) ポリエーテルポリオール類の製造方法
JP4096427B2 (ja) ヒドロキシアルキルアクリレートの製造方法
WO2006098437A1 (ja) ポリエーテルポリオール類の製造方法
US20140378712A1 (en) Alkanolysis process
EP1958930A2 (en) A process for the production of hydroxyalkyl (meth)acrylates
CN114315728A (zh) 一种咪唑类离子液体及其在醇解聚2,5-呋喃二甲酸酯中的应用
JP3931421B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP3852543B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP3837966B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP3788020B2 (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
US5567838A (en) Transesterification reaction of alkoxylated bisphenol-a and methyl methacrylate
JP4368026B2 (ja) 粗製無水酢酸の精製法及び無水酢酸を用いたポリオキシテトラメチレングリコールの製造法
JP2001059020A (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP4465078B2 (ja) ポリオキシテトラメチレングリコールの製造方法
JP2022119021A (ja) ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法
JPS60203634A (ja) ポリオキシブチレン‐ポリオキシアルキレングリコール中のオリゴマー環状エーテルの含量を減少させる方法
CN110944971B (zh) 使用低沸点甲酸酯来制造甲酸的方法
JP3890641B2 (ja) 高純度ベンジルアルコールの製造法
JP2001011173A (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP2002302546A (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法
JP2023024128A (ja) 2-メチレン-1,3-プロパンジオールジアセテートの製造方法及び変性エチレン-ビニルエステル共重合体の製造方法
JP2000336164A (ja) ポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090206

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20090206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120612

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120625

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5040130

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150720

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350