JP6264016B2 - ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステルの製造方法及びポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法 - Google Patents
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な空気の漏れこみ等で着色することがある。上記特許文献1は、酸化防止剤をある特定の触媒活性を維持するために使用しており、原料である環状エーテルとしてTHFを用いてPTMGを製造する際に、得られる製品であるPTMGの製品の着色との相関については言及していない。また、特許文献2には具体的に原料THF中に含まれる酸化防止剤の量の記載は無いが、本発明者等によれば、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用し、固体酸触媒共存下にて開環重合を行う際に、重合反応条件や目的とする製品PTMGの分子量によっては、過酸化物が存在するTHFを原料として使用したり、酸化防止剤非共存下で重合反応を行うと、製品PTMGの着色が悪化し、結果として、製品規格外になるという問題が判明した。
[1] 触媒の存在下、重合開始剤としてカルボン酸無水物を原料の環状エーテルに対し
0.01〜1.0モル倍の量使用し、原料の環状エーテルを開環重合反応によりポリアル
キレンエーテルグリコールのジエステル体を製造するにあたり、該原料の環状エーテル中
の過酸化物の濃度が25重量ppm以上100重量ppm以下であり、該原料の環状エー
テルの量に対して10〜500重量ppmであり、且つ該原料の環状エーテルと該カルボ
ン酸無水物の合計量に対して5〜450重量ppmの酸化防止剤の存在下で開環重合反応
を行うことを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
[2] 前記触媒が金属酸化物からなる固体酸触媒である[1]に記載のポリアルキレン
エーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
[3] UVスペクトルの測定波長350〜370nmの領域でのポリアルキレンエーテ
ルグリコールのジエステル体の吸光度が0.05以下である[1]又は[2]に記載のポ
リアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
[4] 前記ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体がポリテトラメチレンエ
ーテルグリコールジエステルである[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリアルキレ
ンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
[5] 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量が500
〜3,000であることを特徴とする[4]に記載のポリアルキレンエーテルグリコール
のジエステル体の製造方法。
[6] 前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である[1]〜[5]のいずれか1項
に記載のポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
[7] 前記フェノール系酸化防止剤が2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾールで
ある[6]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
[8] 前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の方法で得られたポリアルキレンエー
テルグリコールのジエステル体をエステル交換触媒存在下でエステル交換反応によりポリ
アルキレンエーテルグリコールを得る、ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
ルキレンエーテルグリコール製造することができる。特に原料としてTHFを用いて、PTMGを製造する際に、その効果は顕著であり、APHAが20以下のPTMGを安定的に得ることができる。
本発明において、開環重合反応の原料となる環状エーテルとしては、特に限定されないが、環状の炭化水素を構成する炭素原子数として、通常2〜10であり、好ましくは3〜7である。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサンなどが用いられる。これらの中でも特に、PTMGの原料であり工業的に重要であることから、THFが好ましい。また、環状の炭化水素の一部がアルキル基、ハロゲン原子などで置換された環状エーテルも使用できる。具体的に環状エーテルがTHFの場合は、3−メチル−テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。
環状エーテルは1種類でも2種類以上を混合して使用しても良いが、好ましくは、1種類で使用することが好ましい。
本発明における開環重合反応では必要に応じて、重合開始剤としてカルボン酸無水物を使用されるが、通常、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物を用いる。カルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。カルボン酸の種類としては、例えば、脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等が挙げられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさの観点から無水酢酸を用いるのが好ましい。また、原料の環状エーテルがTHFの場合は、無水酢酸が好ましく使用される。
カルボン酸無水物の使用量としては、特に限定されないが、通常は、原料の環状エーテル及びその誘導体の合計に対して0.01〜1.0モル倍の量を使用するのが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.5モル倍となるように用いるのが好ましい。
本発明では、開環重合反応を行う際に反応系に酸化防止剤を存在させることを必須とする。一般的に、酸化防止剤は、プラスチック製品、ゴム製品、石油製品、食品等種々の分野に広く用いられる添加剤であり、その使用の主目的はこれらの各種製品が酸素による望ましくない変化を受けるのを抑制することである。
ーテルグリコールのジエステル体を製造する際に、高温または高無水酢酸量などの着色しやすい重合条件でも原料の環状エーテルに対してある特定量の酸化防止剤を存在させることで、ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体及び製品のポリオキシアルキレンエーテルグリコールの着色を抑制することができる。
本発明で用いる開環重合反応触媒としては、環状エーテルを開環重合できる能力を持つ触媒であれば特に限定されないが、ルイス酸性を有する固体酸系触媒を用いるのが好ましい。固体酸系触媒としては、金属酸化物からなる固体酸触媒が好適に使用される。金属としては、好ましくは周期表(IUPAC 無機化学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第
4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素からなる金属酸化物、または、これらの金属元素を含む複合酸化物が用いられる。具体的には酸化イットリウム、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの金属酸化物、またはジルコニアシリカ、ハフニアシリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、チタニアジルコニアのような複合酸化物が例示できる。また、これらの複合酸化物にさらに他の金属元素を含有する複合酸化物も好ましい。
無機化学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素から選ばれる1種類以上の金属の塩またはそのアルコキシドを含有する混合溶液に、場合によって酸、アルカリ、又は水を添加することにより沈澱物、あるいはゲルを重合触媒前駆体として形成させる。沈澱またはゲルを得る方法として共沈法、ゾルーゲ
ル法、混練法、含浸法などが挙げられる。適当な担体上に金属塩/又は金属アルコキシドを担持させ、固相状態(実質的に水を含まない状態)においてアルカリやアミン等の塩基性物質を接触させる過程を経て重合触媒前駆体を得る方法が特に有効である。
本発明において、重合反応開始剤として、上記のカルボン酸無水物を使用した場合、得られる生成物はポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体である。これを低級脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でのアルコリシス反応によりエステル交換し、最終製品のポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。ここで用いる低級脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の炭素数1から4のアルコールが好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノールが好ましい。上記アルコリシス反応に用いられる触媒として、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等のアルカリ金属アルコキシドが用いられ、中でも、ナトリウム、カリウムのアルコキシドが好ましい。具体例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシドが好ましい。アルコリシス反応は常圧または加圧下で行うことができ、加圧下の圧力は0.1〜2.0MPaが好ましく、1.0〜1.5MPaの範囲が特に好ましい。反応温度は60〜180℃の範囲が好ましい。
環状エーテルとしてTHFを使用し、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用する場合には、PTMEが得られる。このPTMEは加水分解、又は加アルコール分解等によって、PTMGに変換することができる。
して選ばれる。但し流通反応の場合は、この使用量は、単位時間当たりの液相の供給量に対する触媒の量を表すものである。
との双方を考慮し、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの収率、経済性を考慮して0.1〜20時間の範囲、好ましくは0.5〜15時間の範囲が好ましい。ここで言
う反応時間とは、回分方式においては、反応温度まで上昇した時点から反応が終了して冷却を開始するまでの時間を示し、連続方式においては、反応器中での反応組成液の滞留時間のことを指している。
ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で示すことが出来る。一般にAPHA値が高い程着色が多い。
本発明の製造法で得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値は通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下である。
本発明の製造法で得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは、UVスペクトルに基づき測定波長350〜370nmから選ばれる1波長で測定した際の吸光度が、通常0.05以下、好ましくは0.04以下である。
限定されるものではない。
[ハーゼン色数]
本発明で得られるポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体(具体的にはPTME)の着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会(APHA)の規格に規定されているハーゼン色数で表した。ハーゼン色数はキシダ化学社製APHA色数標準液(N0.500)を希釈して調製した標準液を使用し、JIS K0071−1に準じて比色して
求めた。色差計は日本電色工業株式会社製 測色色差計ZE−2000を使用し、セル厚
み:10mmの条件で測定した。
エタノールで希釈したTHF溶液にヨウ化カリウムおよび酢酸を加えて数分間還流し、0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定して過酸化物濃度を測定した。
THF中のBHT濃度は島津製作所製のガスクロマトグラフィー(以下、GCと略記する)を用いた内部標準法で求めた。検出器は水素炎イオン化検出器(以下、FIDと略記する)であり、内部標準にはn−オクタデカンを使用した。
本実施例で使用した開環重合反応触媒は、硝酸ジルコニア水溶液にCARiACTQ15(登録商標)(富士シリシア化学(株)製 シリカ担体)を含浸し乾燥処理を実施し、その後、重炭素アンモニウム水溶液で中和・洗浄を行った後、乾燥および900℃で焼成処理を行ったものを用いた。
撹拌装置を備え付けた0.5LのSUS流通反応装置(重合反応温度45℃、滞留時間6時間)に触媒を28g投入した。過酸化物濃度が50ppmのTHFに対して酸化防止剤のBHT(本州化学製)を250重量ppm混合し、無水酢酸/THF=0.12(mol/mol)となるように無水酢酸およびBHT入りTHFを混合し、原料タンクに投入した。この原料タンク中のBHTの濃度は213重量ppmであった。この原料タンクの溶液を87mL/hにて連続的に反応装置にフィードし、流通反応開始後、55〜70時間の流通反応液を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、減圧下でバス温120℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)および比色分析を行い、得られたPTMEの品質を確認した。結果を表1に示す。APHAは5、測定波長350nmでの吸光度は0.01であった。
THF中に対するBHT濃度を50重量ppmとした(原料タンク中のBHTの濃度は43重量ppmとした)以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEのAPHAは14、測定波長350nmでの吸光度は0.03であった。
BHTをTHFに混合せず、THF中のBHT濃度を0重量ppmとした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEのAPHAは45、測定波長350nmでの吸光度は0.08であった。
Claims (8)
- 触媒の存在下、重合開始剤としてカルボン酸無水物を原料の環状エーテルに対し0.0
1〜1.0モル倍の量使用し、原料の環状エーテルを開環重合反応によりポリアルキレン
エーテルグリコールのジエステル体を製造するにあたり、該原料の環状エーテル中の過酸
化物の濃度が25重量ppm以上100重量ppm以下であり、該原料の環状エーテルの
量に対して10〜500重量ppmであり、且つ該原料の環状エーテルと該カルボン酸無
水物の合計量に対して5〜450重量ppmの酸化防止剤の存在下で開環重合反応を行う
ことを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。 - 前記触媒が金属酸化物からなる固体酸触媒である請求項1に記載のポリアルキレンエー
テルグリコールのジエステル体の製造方法。 - UVスペクトルの測定波長350〜370nmの領域でのポリアルキレンエーテルグリ
コールのジエステル体の吸光度が0.05以下である請求項1又は2に記載のポリアルキ
レンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。 - 前記ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体がポリテトラメチレンエーテル
グリコールジエステルである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテ
ルグリコールのジエステル体の製造方法。 - 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量が500〜3,
000であることを特徴とする請求項4に記載のポリアルキレンエーテルグリコールのジ
エステル体の製造方法。 - 前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の
ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。 - 前記フェノール系酸化防止剤が2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾールである請
求項6に記載のポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。 - 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリ
コールのジエステル体をエステル交換触媒存在下でエステル交換反応によりポリアルキレ
ンエーテルグリコールを得る、ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
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