JP6264016B2 - ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステルの製造方法及びポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法 - Google Patents

ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステルの製造方法及びポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法 Download PDF

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本発明は環状エーテルをカルボン酸無水物と開環重合反応触媒の存在下で開環重合し、目的生成物としてポリアルキレンエーテルグリコールのエステル体を得て、必要に応じてエステル交換反応や加水分解等により末端基を水酸基に変えることでポリアルキレンエーテルグリコールを製造する方法に関するものである。さらに詳しくは、環状エーテルとしてテトラヒドロフランを使用し、開環重合反応触媒として重合反応液からの分離が簡便な固体酸系触媒を用いて、着色の少ないポリテトラメチレンエーテルグリコールの製造方法を提供するものである。
ポリオキシアルキレンエーテルグリコールは一般式HO−[(CHO]−H(mは2以上の整数、nは1以上の整数を表す。) で示される両末端に一級水酸基を有する直鎖ポリエーテルグリコールであり、一般的に環状エーテルの開環重合により製造される。中でも、特にテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略記する)の開環重合反応により得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールのジエステル体(以下、「PTME」と略記する場合がある)をエステル交換することで得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略記する)は、水酸基を両末端に持つ直鎖ポリエーテルグリコールで、一般式HO−[(CHO]−H(nは2以上の整数を表す。) で表されるが、伸縮性や弾力性が要求されるウレタン系樹脂や弾性繊維の原料として極めて有用である。
また、従来より、エーテル化合物は過酸化物が生成、蓄積しやすいことが知られており、非特許文献1には、5員環状エーテルであるTHFは特に過酸化物が生成・蓄積しやすいことが記載されている。このため、一般的に、THFを長期保管する際には酸化防止剤を添加することが多い。
ところで、特許文献1には、複金属シアニド触媒存在下にて飽和アルキレンオキシドを少なくとも1種の飽和OH化合物と反応させて、ポリエーテルグリコールを製造する際に、反応前または反応中に酸化防止剤を添加することにより複金属シアニド触媒の活性低下を減少または防止することが記載されている。また、特許文献2には、原料のTHFと固体酸触媒、無水酢酸を使って得られるPTMEを含む重合生成物から未反応の無水酢酸などを除去するために、過熱THFと接触させる工程を含むPTME回収方法において、原料のTHF中には、副生物の生成とPTMGの着色を抑制するために酸化防止剤を含むことが記載されている。
特表2007−529585号公報 特表2000−501765号公報
Nature,vol.162,p153(1948)
PTMG製造原料のTHFは過酸化物を生成しやすいため、PTMG製造時にはわずか
な空気の漏れこみ等で着色することがある。上記特許文献1は、酸化防止剤をある特定の触媒活性を維持するために使用しており、原料である環状エーテルとしてTHFを用いてPTMGを製造する際に、得られる製品であるPTMGの製品の着色との相関については言及していない。また、特許文献2には具体的に原料THF中に含まれる酸化防止剤の量の記載は無いが、本発明者等によれば、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用し、固体酸触媒共存下にて開環重合を行う際に、重合反応条件や目的とする製品PTMGの分子量によっては、過酸化物が存在するTHFを原料として使用したり、酸化防止剤非共存下で重合反応を行うと、製品PTMGの着色が悪化し、結果として、製品規格外になるという問題が判明した。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、環状エーテルとしてTHFを用いてPTMGを製造する際に、製品のPTMGの色相悪化による品質悪化を回避し、無色透明なPTMGを得ることができるポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、環状エーテル(THF)の開環重合反応を行う際に、反応系に開環重合触媒と共に原料のTHFに対してある特定量の酸化防止剤、好ましくは2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾール(以下、“BHT”と略記することがある)などのフェノール系酸化防止剤を共存させ、必要に応じて、重合開始剤として、カルボン酸無水物を使用し、重合反応を行うことにより、重合反応の際に発生するポリアルキレンエーテルグリコール(PTMG)の色相悪化を抑制し、製品規格を満たすPTMGを安定的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、[1]〜[9]に存する。
[1] 触媒の存在下、重合開始剤としてカルボン酸無水物を原料の環状エーテルに対し
0.01〜1.0モル倍の量使用し、原料の環状エーテルを開環重合反応によりポリアル
キレンエーテルグリコールのジエステル体を製造するにあたり、該原料の環状エーテル中
の過酸化物の濃度が25重量ppm以上100重量ppm以下であり、該原料の環状エー
テルの量に対して10〜500重量ppmであり、且つ該原料の環状エーテルと該カルボ
ン酸無水物の合計量に対して5〜450重量ppmの酸化防止剤の存在下で開環重合反応
を行うことを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
[2] 前記触媒が金属酸化物からなる固体酸触媒である[1]に記載のポリアルキレン
エーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
[3] UVスペクトルの測定波長350〜370nmの領域でのポリアルキレンエーテ
ルグリコールのジエステル体の吸光度が0.05以下である[1]又は[2]に記載のポ
リアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
] 前記ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体がポリテトラメチレンエ
ーテルグリコールジエステルである[1]〜[]のいずれか1項に記載のポリアルキレ
ンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
] 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量が500
〜3,000であることを特徴とする[]に記載のポリアルキレンエーテルグリコール
のジエステル体の製造方法。
] 前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である[1]〜[]のいずれか1項
に記載のポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
] 前記フェノール系酸化防止剤が2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾールで
ある[]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
] 前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の方法で得られたポリアルキレンエー
テルグリコールのジエステル体をエステル交換触媒存在下でエステル交換反応によりポリ
アルキレンエーテルグリコールを得る、ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
本発明によれば、ウレタン系樹脂や弾性繊維の原料として極めて有用な低着色のポリア
ルキレンエーテルグリコール製造することができる。特に原料としてTHFを用いて、PTMGを製造する際に、その効果は顕著であり、APHAが20以下のPTMGを安定的に得ることができる。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に記載するが、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下に記載の態様に限定されない。
<環状エーテル>
本発明において、開環重合反応の原料となる環状エーテルとしては、特に限定されないが、環状の炭化水素を構成する炭素原子数として、通常2〜10であり、好ましくは3〜7である。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサンなどが用いられる。これらの中でも特に、PTMGの原料であり工業的に重要であることから、THFが好ましい。また、環状の炭化水素の一部がアルキル基、ハロゲン原子などで置換された環状エーテルも使用できる。具体的に環状エーテルがTHFの場合は、3−メチル−テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。
環状エーテルは1種類でも2種類以上を混合して使用しても良いが、好ましくは、1種類で使用することが好ましい。
本発明は、原料の環状エーテル中に一定量の過酸化物が生成している場合にも適用可能である。環状エーテル中の過酸化物の濃度は、通常100重量ppm以下、好ましくは80重量ppm以下、より好ましくは60重量ppm以下である。環状エーテル中の過酸化物濃度が高いほど製造上の危険性が増大し、着色を低減させるために必要な酸化防止剤の使用量が多くなる。また、原料の環状エーテルを酸素に晒さないために使用する装置や設備などのコスト削減の観点、厳密な過酸化物濃度管理の回避など運転管理上の観点から、10重量ppm以上が好ましく、より好ましくは、25重量ppm以上である。
<カルボン酸無水物>
本発明における開環重合反応では必要に応じて、重合開始剤としてカルボン酸無水物を使用されるが、通常、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物を用いる。カルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。カルボン酸の種類としては、例えば、脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等が挙げられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさの観点から無水酢酸を用いるのが好ましい。また、原料の環状エーテルがTHFの場合は、無水酢酸が好ましく使用される。
カルボン酸無水物の使用量としては、特に限定されないが、通常は、原料の環状エーテル及びその誘導体の合計に対して0.01〜1.0モル倍の量を使用するのが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.5モル倍となるように用いるのが好ましい。
<酸化防止剤>
本発明では、開環重合反応を行う際に反応系に酸化防止剤を存在させることを必須とする。一般的に、酸化防止剤は、プラスチック製品、ゴム製品、石油製品、食品等種々の分野に広く用いられる添加剤であり、その使用の主目的はこれらの各種製品が酸素による望ましくない変化を受けるのを抑制することである。
本発明では、原料として環状エーテルを用いて開環重合反応を行い、ポリアルキレンエ
ーテルグリコールのジエステル体を製造する際に、高温または高無水酢酸量などの着色しやすい重合条件でも原料の環状エーテルに対してある特定量の酸化防止剤を存在させることで、ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体及び製品のポリオキシアルキレンエーテルグリコールの着色を抑制することができる。
本発明において使用される酸化防止剤は、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤等の連鎖開始阻害剤、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等のラジカル連鎖禁止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤等の過酸化物分解剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等のラジカル連鎖禁止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が最も好ましい。フェノール系酸化防止剤の中でも、汎用性が高く、製品への着色懸念も少ないことから、2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)が好ましく、BHTが特に好ましい。
また、原料となる環状エーテルは、開環重合プロセス中で使用する機器の空気(酸素)の漏れこみによる酸素との接触等により、過酸化物を発生することがある。過酸化物による副反応を抑制し、着色原因物質の発生を回避するために、原料の環状エーテルを重合反応に供する前に、これらの輸送の時点や反応開始前に添加しておくことが好ましい。更に、反応液中の不均一化を回避するために、予め環状エーテル中に酸化防止剤を添加し溶解させた状態で反応系に供給して反応時に存在させることがより好ましい。また、このようにすることで、製品のポリアルキレンエーテルグリコール中に含まれる酸化防止剤の量の制御が容易になるというメリットもある。
原料の環状エーテル重量に対する酸化防止剤の濃度は、温度やカルボン酸無水物量など重合条件にもよるが、10〜500重量ppmが好ましく、20〜400重量ppmがより好ましく、更に好ましくは30〜350重量ppmであり、40〜300重量ppmが特に好ましい。また、原料の環状エーテルとカルボン酸無水物の合計量に対する酸化防止剤の濃度としては、好ましくは5〜450重量ppmが好ましく、15〜400重量ppmがより好ましく、更に好ましくは20〜300重量ppmであり、30〜250重量ppmが特に好ましい。これらの量が大きくなるほど、後述する、反応器の後段の工程で、未反応のTHFを精製してリサイクルする場合に、その工程で使用する蒸留塔やプロセス配管が閉塞する恐れがあり、少なくなるほど、着色抑制効果が得られない恐れがある。
<触媒>
本発明で用いる開環重合反応触媒としては、環状エーテルを開環重合できる能力を持つ触媒であれば特に限定されないが、ルイス酸性を有する固体酸系触媒を用いるのが好ましい。固体酸系触媒としては、金属酸化物からなる固体酸触媒が好適に使用される。金属としては、好ましくは周期表(IUPAC 無機化学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第
4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素からなる金属酸化物、または、これらの金属元素を含む複合酸化物が用いられる。具体的には酸化イットリウム、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの金属酸化物、またはジルコニアシリカ、ハフニアシリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、チタニアジルコニアのような複合酸化物が例示できる。また、これらの複合酸化物にさらに他の金属元素を含有する複合酸化物も好ましい。
本発明で用いる開環重合反応触媒を調製する方法としては、例えば、周期表(IUPAC
無機化学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素から選ばれる1種類以上の金属の塩またはそのアルコキシドを含有する混合溶液に、場合によって酸、アルカリ、又は水を添加することにより沈澱物、あるいはゲルを重合触媒前駆体として形成させる。沈澱またはゲルを得る方法として共沈法、ゾルーゲ
ル法、混練法、含浸法などが挙げられる。適当な担体上に金属塩/又は金属アルコキシドを担持させ、固相状態(実質的に水を含まない状態)においてアルカリやアミン等の塩基性物質を接触させる過程を経て重合触媒前駆体を得る方法が特に有効である。
このようにして得られた重合触媒前駆体は、必要に応じてろ過、洗浄、乾燥を行った後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、又は空気あるいは希釈酸素ガス等の酸化性ガス雰囲気下で焼成し、所望の(複合)酸化物を得ることができる。加熱焼成温度としては通常600〜1150℃、好ましくは600〜1000℃の高温で行われる。高温焼成することにより触媒の活性、安定性が向上する。
<ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体及びポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法>
本発明において、重合反応開始剤として、上記のカルボン酸無水物を使用した場合、得られる生成物はポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体である。これを低級脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でのアルコリシス反応によりエステル交換し、最終製品のポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。ここで用いる低級脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の炭素数1から4のアルコールが好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノールが好ましい。上記アルコリシス反応に用いられる触媒として、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等のアルカリ金属アルコキシドが用いられ、中でも、ナトリウム、カリウムのアルコキシドが好ましい。具体例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシドが好ましい。アルコリシス反応は常圧または加圧下で行うことができ、加圧下の圧力は0.1〜2.0MPaが好ましく、1.0〜1.5MPaの範囲が特に好ましい。反応温度は60〜180℃の範囲が好ましい。
環状エーテルとしてTHFを使用し、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用する場合には、PTMEが得られる。このPTMEは加水分解、又は加アルコール分解等によって、PTMGに変換することができる。
本発明において、開環重合反応を行う反応器は特に限定されないが、槽型、塔型等一般に用いられるものが使用され、反応の方式としては、回分方式、連続方式のいずれであってもよい。具体的には、環状エーテルとカルボン酸無水物、触媒をそれぞれ一定量測り取り、その量を反応器に仕込んで重合させる方法(回分方式)、環状エーテル、カルボン酸無水物及び触媒がそれぞれ反応器内で一定量存在するように連続的に供給すると同時に、目的生成物であるポリアルキレンエーテルグリコールを含む反応液を連続的に抜きとっていく方法(連続方式)のいずれでもよい。
開環重合反応触媒の使用量としては、触媒の種類によって決定され、特に限定はないが、例えば回分型反応器においては、触媒量が少なすぎると重合速度が遅くなり、逆に多すぎると、重合熱の除去が困難となる。また反応系のスラリー濃度が高くなるので、撹拌が困難となり、また重合反応終了後の触媒と反応液との分液にも問題を生じ易くなる。特に、(複合)酸化物の重合触媒を使用した場合には、液相に対して通常0.001〜50重量倍、好ましくは0.01〜20重量倍の範囲から回分反応、流通反応の反応形態を勘案
して選ばれる。但し流通反応の場合は、この使用量は、単位時間当たりの液相の供給量に対する触媒の量を表すものである。
開環重合反応温度は、通常0〜200℃、好ましくは10〜80℃である。反応圧力は、反応系が液相を保持できるような圧力であればよく、通常常圧から10MPa好ましくは常圧から5MPaの圧力の範囲から選択される。反応時間は特に限定はないが、触媒量
との双方を考慮し、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの収率、経済性を考慮して0.1〜20時間の範囲、好ましくは0.5〜15時間の範囲が好ましい。ここで言
う反応時間とは、回分方式においては、反応温度まで上昇した時点から反応が終了して冷却を開始するまでの時間を示し、連続方式においては、反応器中での反応組成液の滞留時間のことを指している。
本発明では必要に応じて、反応器の後段に、反応液から未反応環状エーテル、及びカルボン酸無水物の回収工程、及び得られたポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の取りだし、及び加水分解工程などを加えてよい。また、更に触媒の再生工程も加えてよい。例えば、回分反応方式の場合、反応終了後、先ず触媒と反応液を濾過分別し、反応液より、未反応の環状エーテル、カルボン酸無水物を溜去後、重合体のみを容易に得ることができる。更に、反応後の触媒はよく洗浄後、付着した有機物を燃焼することにより容易に活性を回復できる。
<ポリアルキレンエーテルグリコール>
ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で示すことが出来る。一般にAPHA値が高い程着色が多い。
本発明の製造法で得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値は通常40以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは20以下である。
また、APHA値の他に、UV吸収スペクトルの吸光度により着色の度合いを確認することができる。
本発明の製造法で得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは、UVスペクトルに基づき測定波長350〜370nmから選ばれる1波長で測定した際の吸光度が、通常0.05以下、好ましくは0.04以下である。
上記測定波長におけるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの吸光度とAPHA値にはよい相関があり、APHA値に加えてUVスペクトル値も、着色の指標の一つとなる。
本発明の方法により得られるポリアルキレンエーテルグリコールの分子量については、環状エーテルの種類にもよるが、例えばTHFを重合した場合には、数平均分子量(Mn)200〜80,000、特に200〜40,000程度の低〜中分子量のPTMGを得ることができる。数平均分子量は、500〜3,000が好ましく、より好ましくは700〜2,000、更に好ましくは、800〜1,300である。更に、重量平均分子量/数平均分子量で示される分子量分布(Mw/Mn)の狭いPTMGを容易に製造できることも特徴の一つである。即ち、Mw/Mnが20未満、例えば1.0〜10.0のPTMGの製造ができ、工業的に需要が大きいMw/Mnが1.0〜4.0、さらには1.1〜3.0程度である分子量分布の狭いPTMGを得ることが可能である。従って、本発明によれば、工業的に極めて利用価値が高い、比較的低分子量で、かつ分子量分布の狭いPTMGを製造することができる。
本発明の方法により得られるポリアルキレンエーテルグリコールは、弾性繊維、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、コーティング材などの用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に
限定されるものではない。
[ハーゼン色数]
本発明で得られるポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体(具体的にはPTME)の着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会(APHA)の規格に規定されているハーゼン色数で表した。ハーゼン色数はキシダ化学社製APHA色数標準液(N0.500)を希釈して調製した標準液を使用し、JIS K0071−1に準じて比色して
求めた。色差計は日本電色工業株式会社製 測色色差計ZE−2000を使用し、セル厚
み:10mmの条件で測定した。
[環状エーテル中の過酸化物濃度の測定法]
エタノールで希釈したTHF溶液にヨウ化カリウムおよび酢酸を加えて数分間還流し、0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定して過酸化物濃度を測定した。
[BHTの定量法]
THF中のBHT濃度は島津製作所製のガスクロマトグラフィー(以下、GCと略記する)を用いた内部標準法で求めた。検出器は水素炎イオン化検出器(以下、FIDと略記する)であり、内部標準にはn−オクタデカンを使用した。
<開環重合反応触媒>
本実施例で使用した開環重合反応触媒は、硝酸ジルコニア水溶液にCARiACTQ15(登録商標)(富士シリシア化学(株)製 シリカ担体)を含浸し乾燥処理を実施し、その後、重炭素アンモニウム水溶液で中和・洗浄を行った後、乾燥および900℃で焼成処理を行ったものを用いた。
<実施例1>
撹拌装置を備え付けた0.5LのSUS流通反応装置(重合反応温度45℃、滞留時間6時間)に触媒を28g投入した。過酸化物濃度が50ppmのTHFに対して酸化防止剤のBHT(本州化学製)を250重量ppm混合し、無水酢酸/THF=0.12(mol/mol)となるように無水酢酸およびBHT入りTHFを混合し、原料タンクに投入した。この原料タンク中のBHTの濃度は213重量ppmであった。この原料タンクの溶液を87mL/hにて連続的に反応装置にフィードし、流通反応開始後、55〜70時間の流通反応液を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、減圧下でバス温120℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)および比色分析を行い、得られたPTMEの品質を確認した。結果を表1に示す。APHAは5、測定波長350nmでの吸光度は0.01であった。
<実施例2>
THF中に対するBHT濃度を50重量ppmとした(原料タンク中のBHTの濃度は43重量ppmとした)以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEのAPHAは14、測定波長350nmでの吸光度は0.03であった。
<比較例1>
BHTをTHFに混合せず、THF中のBHT濃度を0重量ppmとした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEのAPHAは45、測定波長350nmでの吸光度は0.08であった。
Figure 0006264016
表1から、BHTを添加しない場合と比較すると、BHT共存下で重合反応を実施した場合に着色が少ない高品質のPTMGを製造することができた。また、BHT使用量が50重量ppmと250重量ppmの場合を比較すると、250重量ppm使用した場合に、より低着色のPTMEを製造することができた。

Claims (8)

  1. 触媒の存在下、重合開始剤としてカルボン酸無水物を原料の環状エーテルに対し0.0
    1〜1.0モル倍の量使用し、原料の環状エーテルを開環重合反応によりポリアルキレン
    エーテルグリコールのジエステル体を製造するにあたり、該原料の環状エーテル中の過酸
    化物の濃度が25重量ppm以上100重量ppm以下であり、該原料の環状エーテルの
    量に対して10〜500重量ppmであり、且つ該原料の環状エーテルと該カルボン酸無
    水物の合計量に対して5〜450重量ppmの酸化防止剤の存在下で開環重合反応を行う
    ことを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
  2. 前記触媒が金属酸化物からなる固体酸触媒である請求項1に記載のポリアルキレンエー
    テルグリコールのジエステル体の製造方法。
  3. UVスペクトルの測定波長350〜370nmの領域でのポリアルキレンエーテルグリ
    コールのジエステル体の吸光度が0.05以下である請求項1又は2に記載のポリアルキ
    レンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
  4. 前記ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体がポリテトラメチレンエーテル
    グリコールジエステルである請求項1〜のいずれか1項に記載のポリアルキレンエーテ
    ルグリコールのジエステル体の製造方法。
  5. 前記ポリテトラメチレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量が500〜3,
    000であることを特徴とする請求項に記載のポリアルキレンエーテルグリコールのジ
    エステル体の製造方法。
  6. 前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である請求項1〜のいずれか1項に記載の
    ポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
  7. 前記フェノール系酸化防止剤が2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾールである請
    求項に記載のポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の製造方法。
  8. 前記請求項1〜のいずれか1項に記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリ
    コールのジエステル体をエステル交換触媒存在下でエステル交換反応によりポリアルキレ
    ンエーテルグリコールを得る、ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
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