JP6601006B2 - テトラヒドロフラン化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はテトラヒドロフラン化合物の精製方法に関する。さらに詳しくは、酸触媒を用いて、原料テトラヒドロフラン化合物中に含まれる2,3−ジヒドロフランを蒸留分離が容易な高沸点化合物に変換して分離する方法に関する。また、該方法により得られたテトラヒドロフラン化合物を原料として用いるポリエーテルポリオールの製造方法に関する。
従来、テトラヒドロフラン(以下、「THF」と略記することがある。)は各種有機化合物の溶剤として使用される他に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略記することがある。)などのポリエーテルポリオールの原料モノマーとしても有用な化合物として知られている。
THFなどの環状エーテルの工業的な製法としては、様々な製法がある。中でもジヒドロキシ化合物を、脱水環化反応を行うことにより環状エーテルを製造する方法が使用されることが多い。また、1,4−ブタンジオ−ル(以下、「1,4BG」と略記することがある。)とテレフタル酸とからポリブチレンテレフタレート(以下、「PBT」と略記することがある。)を製造する際に副生するTHFを精製する方法も挙げられる。これらの方法で得られたTHFには、その製法にもよるが2,3−ジヒドロフラン(以下、「2,3DHF」と略記することがある。)などの不純物が含まれることがある。THF中に2,3DHFが存在すると、得られるPTMGは、酸価の上昇や色相の悪化が生じるため、工業原料としての価値が著しく低下するという問題がある。
そのため、該成分を何らかの方法により除去することが好ましいが、2,3DHF(沸点55℃)はTHF(沸点66℃)と沸点が近接しているため、通常の蒸留などで分離するには高価な設備と多量の熱量が必要とされる。そのため、該成分の除去方法として、貴金属触媒により水素化する方法(特許文献1)、相当量の水の存在下で陽イオン交換樹脂に接触させて2,3DHFを2−ヒドロキシテトラヒドロフラン(以下、「OTF」と略記することがある。)に変換した後に、水素化反応を行い2,3DHFを分離除去する方法(特許文献2)、鉱酸又はイオン交換樹脂に接触させ、2,3DHFをヒドロキシテトラヒドロフランやジヒドロフラン由来の縮合物に変換し、分離除去する方法(特許文献3)等が提案されている。
特開昭61−200979号公報 特開2003−89694号公報 国際公開第99/16762号
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、水素を使用するという点、貴金属触媒が高価であるという点などから、安全確保に係る設備や触媒維持コストが多くかかるため、工業的に十分有利な方法とは言えなかった。
また、特許文献2に記載の方法は、あらかじめ多量の水が含まれているTHFの脱水処理と2,3DHFの除去を兼ねる場合には有効である。しかし、水分の少ないTHF中に存在する2,3DHFを除去する場合は、分離負荷の大きい水を加えることは脱水に必要
とする蒸留塔などの設備費用や、分離に係る熱量の観点から工業的に有効な手段とは言えなかった。また水素化工程を必須とすることから上記と同様の問題もあった。
特許文献3に記載の方法は、鉱酸中の含有水分や、原料THFと共に添加した水分によって、多量のOTFが生成することに加え、鉱酸を用いた場合はアルカリ成分による中和工程が必要であることから、プロセスが煩雑化し工業的に有効な手段とは言えなかった。
また、本発明者等の検討により、上記特許文献2や3のように2,3DHFをOTFに変換したとしても、蒸留によってOTFをTHFと完全に分離することが難しいことが判明した。また2,3DHFからOTFへの変換反応は可逆反応であることから、水分が少ない蒸留塔の塔底部などで濃縮されたOTFは2,3DHFに再変換され、精製THF中に含有されるという問題があることが判明した。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、テトラヒドロフラン化合物中の2,3DHFを、容易に分離除去できる工業的に有利な精製方法を提供することにある。また、テトラヒドロフラン化合物中の2,3DHFを、蒸留塔の塔底液中で濃縮されても2,3DHFに戻らない不可逆の成分へ変換することで、テトラヒドロフラン化合物の精製負荷を低減できる工業的に有利な精製方法を提供することにある。
さらに、本発明者等の検討により、1,4−ブタンジオールを原料の一つとしてポリエステルを製造した際に水と共に副生するTHFは、安価で調達可能であるが、2,3DHFが多く含まれ、そのままポリエーテルポリオールの製造原料に用いると、得られるポリエーテルポリオールに着色が生じるという問題があることが判明した。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、色相に優れたポリエーテルポリオールの原料となるTHFを、精製負荷が少なく製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、原料となるTHF中に含まれる水分濃度や、反応器内液相中の水分濃度を制御して酸触媒と接触させれば、2,3DHFと水の反応により生成するOTFを抑制しつつ、2,3DHFをTHFと容易に分離が可能な高沸点化合物に変換し得ることを見出した。また、原料となるTHFにヒドロキシ基含有化合物を添加して酸触媒と接触させれば、2,3DHFをTHFと容易に分離が可能な高沸点化合物に変換し得ることを見出した。さらに、かかる方法により2,3DHFが分離除去されたTHFを原料として用いることにより、特に色相の優れたポリエーテルポリオールが得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
即ち、本発明の要旨は、次の[1]〜[15]に存する。
]反応器で2,3−ジヒドロフランを含む原料テトラヒドロフラン化合物にヒドロキ
シ基含有化合物を添加し、酸触媒の存在下で2,3−ジヒドロフランを高沸点化合物に変
換した後に、蒸留によりテトラヒドロフラン化合物と高沸点化合物とを分離する精製テト
ラヒドロフランの製造方法であって該ヒドロキシ基含有化合物が、炭素数2〜12の脂
肪族アルコールまたは脂環式構造をもつアルコールである精製テトラヒドロフランの精製
方法
反応器で2,3−ジヒドロフランを含む原料テトラヒドロフラン化合物にヒドロキ
シ基含有化合物を添加し、酸触媒の存在下で2,3−ジヒドロフランを高沸点化合物に変
換した後に、蒸留によりテトラヒドロフラン化合物と高沸点化合物とを分離する精製テト
ラヒドロフランの製造方法であって、該ヒドロキシ基含有化合物が、1,4−ブタンジオ
ール又はポリテトラメチレンエーテルグリコールである精製テトラヒドロフランの精製方

]原料テトラヒドロフラン化合物中の水分量が4900wtppm以下である[
又は[]に記載の精製テトラヒドロフランの製造方法。
]反応器内液相中の水分濃度が4900wtppm以下である[]〜[]の何れ
か1項に記載の精製テトラヒドロフランの製造方法。
]高沸点化合物の分子量が100以上である[1]〜[]の何れか1項に記載の精
製テトラヒドロフランの製造方法。
]原料テトラヒドロフラン化合物中の2,3−ジヒドロフラン濃度が10wtppm
以上5000wtppm以下である[1]〜[]の何れか1項に記載の精製テトラヒド
ロフランの製造方法。
]原料テトラヒドロフラン化合物が、1,4−ブタンジオールを原料の一つとして使
用するポリエステル製造工程で副生されたものである[1]〜[]の何れか1項に記載
の精製テトラヒドロフランの製造方法。
]精製テトラヒドラフラン化合物中の2−ヒドロキシテトラヒドロフラン濃度が80
0wtppm以下である[1]〜[]の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフランの
製造方法。
]酸触媒が固体酸触媒である[1]〜[]の何れか1項に記載の精製テトラヒドロ
フランの製造方法。
10]固体酸触媒が酸性陽イオン交換樹脂である[]に記載の精製テトラヒドロフラ
ンの製造方法。
11]ヒドロキシ基含有化合物の添加量が、2,3−ジヒドロフランに対して、モル比
で0.2以上10以下である[]〜[10]の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフ
ランの製造方法。
12]高沸点化合物がアルコキシ化合物である[]〜[11]の何れか1項に記載の
精製テトラヒドロフランの製造方法。
13]ヒドロキシ基を有する化合物が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを製造
する際に副生して得られた2〜6量体のポリテトラメチレンエーテルグリコールである[
]〜[12]の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフランの製造方法。
14]蒸留による分離に用いる蒸発缶または蒸留塔の理論段数が0段以上100段以下
である[1]〜[13]の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフランの製造方法。
15]蒸留による分離により回収する留出液の割合が、原料テトラヒドロフラン化合物
の供給量に対して、80wt%以上である[1]〜[14]の何れか1項に記載の精製テ
トラヒドロフランの製造方法。
本発明によれば、テトラヒドロフラン化合物中の2,3DHFを簡便な方法で効果的に
除去することができると共に、高純度のテトラヒドロフラン化合物を効率的に得ることができる。
さらに本発明によれば、1,4−ブタンジオールを原料の一つとしてポリエステルを製造した際に副生する2,3DHF含有テトラヒドロフラン化合物から、2,3DHFを簡便な方法で効果的に除去することができると共に、精製後のテトラヒドロフラン化合物を原料に用いることで着色の少ないポリエーテルポリオールを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明するが、以下の説明は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に特定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の第一の発明は、2,3−ジヒドロフランを含有する原料となるテトラヒドロフラン化合物(以下、「原料テトラヒドロフラン化合物」と略記することがある。)を酸触媒と接触させて、2,3−ジヒドロフランを高沸点化合物に変換させた後に、蒸留により分離するテトラヒドロフラン化合物の精製方法であって、原料テトラヒドロフラン化合物中の水分量が4900wtppm以下であることに特徴を有するテトラヒドロフラン化合物の精製方法である。
本発明の第二の発明は、2,3−ジヒドロフランを含有する原料テトラヒドロフラン化合物を酸触媒と接触させて、2,3−ジヒドロフランを高沸点化合物に変換させた後に、蒸留により分離するテトラヒドロフラン化合物の精製方法であって、反応器内液相中の水分量が4900wtppm以下であることに特徴を有するテトラヒドロフラン化合物の精製方法である。
本発明の第三の発明は、原料テトラヒドロフラン化合物にヒドロキシ基含有化合物を添加し、酸触媒の存在下で、2,3−ジヒドロフランを高沸点化合物に変換した後に、蒸留により分離することに特徴を有するテトラヒドロフラン化合物の精製方法である。
なお、本発明の精製方法は、高品質のテトラヒドロフラン化合物が効率的に取得できる方法であり、テトラヒドロフラン化合物の製造方法と同義である。
<原料テトラヒドロフラン化合物>
本発明において、テトラヒドロフラン化合物とは、テトラヒドロフランとその誘導体を意味する。テトラヒドロフラン誘導体としては、例えば、テトラヒドロフランの水素原子が、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基で置換された化合物が挙げられる。さらに具体的には、例えば、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
本発明の原料テトラヒドロフラン化合物中のテトラヒドロフランの含有量は特に限定されないが、通常10質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、特に好ましくは98質量%以上である。
2,3ジヒドロフランは一般にテトラヒドロフランが熱や紫外線によって変換され生成されることから、原料テトラヒドロフラン化合物中に含まれるテトラヒドロフランの割合が高い程、本発明の効果が得られやすい傾向にある。
本発明において、原料テトラヒドロフラン化合物としては、2,3DHFを含有するものであれば特に限定されず、化学法により得られるもの、バイオ法と化学法を組み合せて
得られるもの、化学製造工程で副生するもの等の何れのものも使用することができる。
さらに具体的には、例えば、レッペ法、プロピレン法、ブタン法、ブタジエン法、バイオマス資源の発酵由来の製造法によって得られた1,4BGを脱水環化することで得られるTHF、バイオマス資源由来のフルフラールから得られるTHFや、1,4BGを原料にポリエステルを製造する工程(例えば、1,4BGとテレフタル酸からPBTを製造する工程、1,4BGとコハク酸からポリブチレンサクシネートを製造する工程等)で1,4BGの脱水環化反応によって、水と共に副生するTHF等が挙げられる。これらの方法は、それ自体既知の通常用いられるものである。また、テトラヒドロフラン誘導体も、既知の方法により得られるものである。例えば、3−メチルテトラヒドロフランは、2−メチル−1,4−ブタンジオールの脱水環化により得られる。
中でも、PBTを製造する工程で副生するTHF化合物(以下、「PBT副生THF化合物」と略記することがある。)は、他の手法で得られたTHF化合物に比べて安価であるものの、テトラヒドロフラン中に2,3DHF等の不純物が多く含まれる傾向にあり、そのままポリエーテルポリオールの製造原料に用いると得られるポリエーテルポリオールに着色が生じるという問題があった。それ故、本発明においては、このTHFを原料として上記精製方法を実施し、得られた高純度のTHFをポリエーテルポリオールの製造原料として用いるのが特に好ましい。
本発明において、原料THF化合物中の2,3DHF濃度は、5000wtppm以下であることが好ましく、より好ましくは3000wtppm以下、さらに好ましくは1000wtppm以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは10wtppm以上、より好ましくは300ppm以上、さらに好ましくは500ppm以上である。
原料THF化合物中の2,3DHF濃度が低い場合は製造するポリエーテルポリオールに着色が生じにくいことから、本発明の方法を用いて2,3DHFを除去する必要性は低く、高すぎると、2,3DHFをテトラヒドロフラン化合物と容易に分離できる高沸点化合物に変換する際に(以下、「高沸化」と略記することがある。)必要とする酸触媒の量が多くなることや、酸触媒の寿命が短くなるため設備費用が多大となり、工業的には好ましくない傾向にある。
本発明の第一の発明において、原料THF化合物中の水分濃度は、4900wtppm以下であり、好ましくは3000wtppm以下、さらに好ましくは1500wtppm以下、より好ましくは500wtppm以下である。下限は特に限定されないが、10wtppm以上であることが好ましく、より好ましくは50wtppm以上である。
本発明の第二の発明および第三の発明において、原料THF化合物中の水分濃度は、4900wtppm以下であることが好ましく、より好ましくは3000wtppm以下、さらに好ましくは1500wtppm以下、特に好ましくは500wtppm以下である。下限は特に限定されないが、10wtppm以上であることが好ましく、より好ましくは50wtppm以上である。
原料THF化合物中の水分濃度が高すぎると、常圧蒸留では共沸制約により水分のみを除去することができず精製THF中に含まれ、ポリエーテルポリオール製造時の重合反応を阻害する問題がある。また、原料テトラヒドロフラン化合物中の水分濃度が高い程、2,3DHFの加水分解反応が優勢となることから反応器中にOTFが多量に生成されることとなる。原料テトラヒドロフラン化合物中の水分濃度の下限は特に限定されず、完全な無水であっても差し支えは無いが、10wtppm未満まで脱水を行うことは、費用、労力の面から工業的に好ましくない。
ここで、原料THF化合物にヒドロキシ基含有化合物を添加する場合、ヒドロキシ基含有化合物は、水を含んでいることがある。この場合、ヒドロキシ基含有化合物を添加した後の原料THF化合物中の水分濃度は上記と同様に計算される。
ここで、原料THF化合物中の2,3DHFの沸点は55℃であり、THFの沸点(66℃)と近く、蒸留による分離除去が困難である。2,3DHFはポリエーテルポリオールの製造工程で容易に開環重縮合を生じ、ポリエーテルポリオールの色相を悪化させる高沸点化合物と化す。
そのため、2,3DHFを含む原料THF化合物をあらかじめ酸触媒と接触させて、2,3DHFをテトラヒドロフラン化合物と容易に分離できる高沸点化合物に変換し、蒸留等の簡便な方法でテトラヒドロフラン化合物と高沸点化合物とを分離除去することが効果的である。
また、あらかじめ酸触媒存在下で2,3DHFを含む原料THF化合物にヒドロキシ基含有化合物を添加して付加させることで、2,3DHFをテトラヒドロフラン化合物と容易に分離できる高沸点化合物に変換し、蒸留等の簡便な方法でテトラヒドロフラン化合物と高沸点化合物とを分離除去することも効果的である。
本発明の第三の発明で用いるヒドロキシ基含有化合物の種類は特に制限されないが、例えば、アルコール化合物および2個以上のヒドロキシ基を有する化合物(以下、ジオール成分ともいう。)が挙げられる。
アルコール化合物は特に制限されないが、例えば、脂肪族アルコール、脂環式構造をもつアルコール、水酸基を持つ芳香族化合物などが挙げられる。具体的には、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブテノール、ヘプタノール、ヘキサノール、ヘキセノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、デカノール、ドデカノールなどの炭素数2〜12の脂肪族アルコールまたは脂環式構造をもつアルコール、フェノールなどの水酸基を持つ芳香族化合物などが挙げられる。
これらの中で、炭素数2〜12の脂肪族アルコールまたは脂環式構造をもつアルコールが好ましく、得られる高沸点化合物が蒸留によってTHFと分離しやすい、ブタノール、ヘキサノール、ドデカノール等の炭素数4〜12の脂肪族アルコールがより好ましい。
ジオール成分は、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物であれば特に制限されないが、2個の水酸基が2個の異なる炭素に結合している脂肪族又は脂環式化合物が好ましい。具体的には、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、ブチンジオール、ブテンジオール、ブタンジオール、ペンチンジオール、ペンテンジオール、ペンタンジオール、ヘキシンジオール、ヘキセンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ヘプチンジオール、ヘプテンジオール、ヘプタンジオール、オクチンジオール、オクテンジオール、オクタンジオール、ノニンジオール、ノネンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオールなどの炭素数2〜12の脂肪族又は脂環式化合物、ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコールなどが好ましく用いられる。
これらの中で、1,4−ブタンジオール、2〜6量体のポリエーテルポリオールがより好ましく、1,4−ブタンジオール、2〜6量体のポリテトラメチレンエーテルグリコールが更に好ましい。
これらヒドロキシ基含有化合物は、単独で用いても、複数種を任意の種類と比率の組み合せで用いてもよい。
ヒドロキシ基含有化合物の添加量は、原料THF化合物中の2,3DHF量に対して、モル比で、0.2以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上であり、また上限は、10以下であることが好ましく、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。なお、加えるヒドロキシ基含有化合物が、分子量の異なる化合物が混在している場合は、その平均分子量を基準としてよい。このモル比が低すぎると、高沸化が起こりにくく処理が難しくなる。また、高すぎると添加するヒドロキシ基含有化合物に係るコストが高くなると共に、未反応のヒドロキシ基含有化合物を反応液から除去する際の蒸留負荷が高くなり、熱量の観点から好ましくない。
本発明において原料THF化合物中の2,3DHFが高沸点化合物に変換される詳細な機構は不明であるが、以下に仮説を示す。
2,3DHFとヒドロキシ基含有化合物を酸触媒存在下で反応させることで、2,3DHFとヒドロキシ基の付加反応や縮合反応が生じ、THFに比べて高沸点の化合物に変換されたと考えられる。これら2,3DHFから変換される高沸点化合物の沸点は、THFの沸点よりも高いことから、蒸留によって容易に分離することができる。
ヒドロキシ基含有化合物として、アルコール化合物を酸触媒存在下で2,3DHFと反応させた場合、高沸点化合物としてアルコキシテトラヒドロフランが生じると考えられる。例として2,3DHFを含むTHF化合物にメタノールを添加、付加した場合、得られる高沸点化合物としてメトキシテトラヒドロフラン(沸点112℃)が、THF化合物にエタノールを添加、付加した場合はエトキシテトラヒドロフラン(沸点171℃)が得られると考えられる。
また、ヒドロキシ基含有化合物として、ジオール成分を酸触媒存在下で2,3DHFと反応させた場合、高沸点化合物としてアセタール化合物が生じると考えられる。例として2,3DHFと1,4ブタンジオールを酸触媒存在下で反応させた場合、1,4ブタンジオール構造や1,4ブタンジオールの縮合重合体構造が付加されたテトラヒドロフラン誘導体が高沸点化合物として得られると考えられる。
また、原料テトラヒドロフラン化合物と酸触媒が接触する際に、水分が相当量存在することで2,3DHFの高沸点化合物への変換が抑制されて、テトラヒドロフラン化合物と蒸留等の簡便な方法では分離が難しいOTFが副生する。OTFは多段蒸留や過剰の還流比をかければ分離することも可能であるが、特にテトラヒドロフラン化合物の回収率が高い蒸留では熱量の負荷が高いと共に、蒸留塔底部に濃縮されることでOTFが2,3DHFに戻って精製テトラヒドロフラン化合物に混入する恐れがある。そのため、原料テトラヒドロフラン化合物と酸触媒が接触する際の水分濃度を低くすることや、反応器内液相中の水分濃度を低くすることで、OTFの副生量を低減して精製負荷を下げることが可能となる。
副生するOTFは厳密な分離除去を行わずに、ポリエーテルポリオール製造時の原料に混入させて使用することも可能ではあるが、該成分は低水分下で酸触媒と接触すると容易に分解して2,3DHFと化すため、ポリエーテルポリオールの色相悪化が問題となる。そのため、2,3DHFを含む原料テトラヒドロフラン化合物を、本発明の方法により精製した後のテトラヒドロフラン化合物(精製テトラヒドロフラン化合物)中のOTF濃度
は、800wtppm以下であることが好ましく、より好ましくは100wtppm以下、さらに好ましくは50wtppm以下、特に好ましくは20wtppm以下である。
また、本発明の方法により精製した後のテトラヒドロフラン化合物(精製テトラヒドロフラン化合物)中の2,3DHF濃度は、通常24wtppm以下、好ましくは20wtppm以下、より好ましくは15wtppm以下、さらに好ましくは10wtppm以下である。
<テトラヒドロフラン化合物の精製方法>
本発明の方法においては、原料テトラヒドロフラン化合物を酸触媒と接触させて、2,3DHFを高沸点化合物に変換させた後に、蒸留によりテトラヒドロフラン化合物と高沸点化合物とを分離する。また、本発明の第三の発明では、原料テトラヒドロフラン化合物に、ヒドロキシ基含有化合物を添加し、酸触媒の存在下で、2,3DHFを高沸点化合物に変換させた後に、蒸留によりテトラヒドロフラン化合物と高沸点化合物とを分離する。これにより、厳密な分離を行わずともOTFの含有量が少ない高純度のテトラヒドロフラン化合物を得ることができる。
高沸点化合物としては、THF(沸点66℃)より沸点が高い化合物であれば特に限定されないが、好ましくはOTFの沸点より高く(沸点80℃)、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは200℃以上、特に好ましくは250℃以上の沸点を持つ化合物である。また、高分子縮合物等の分解によって沸点を測定できない又は沸点を有さない材料についても、高沸点化合物とする。
また、高沸点化合物の分子量は通常90以上、好ましくは100以上、より好ましくは120以上、さらに好ましくは160以上、特に好ましくは180以上である。分子量の上限は特に限定されないが、通常1000以下である。
2,3−ジヒドロフラン由来の高沸点化合物の例として、2,3DHFが開環重縮合した2量体以上の化合物等、2,3DHFとアルコール化合物との付加反応により生成されるアルコキシテトラヒドロフラン化合物、2,3DHFとジオール成分との付加反応により生成されるアセタール化合物が挙げられる。
本発明において、酸触媒としては、酸塩基触媒作用を示す酸触媒であれば特に限定されないが、酸触媒接触後の溶液の中和処理等が不要な点から固体酸触媒が好ましい。
固体酸触媒としては、例えば、陽イオン交換樹脂、モンモリロナイトを主成分とする活性白土〔例えば、水澤化学社製のガレオンアース(商品名)〕、硫酸化ジルコニア、フルオロスルホン酸含有樹脂〔例えば、DuPont社製のNafion(商品名)〕、リン酸、ヘテロポリ酸(リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイタングステン酸)、スルホン酸化合物等が好ましいものとして挙げられる。これらの中で、陽イオン交換樹脂、活性白土がより好ましく、陽イオン交換樹脂がさらに好ましい。
陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸を交換基として持つ強酸性陽イオン交換樹脂、メタクリル酸やアクリル酸などのカルボン酸基を交換基として持つ弱酸性陽イオン交換樹脂などの酸性陽イオン交換樹脂が挙げられる。また、イオン交換樹脂樹脂の型式もゲル型およびポーラス型、ハイポーラス型のいずれを選んでもよい。
本発明において、原料テトラヒドロフラン化合物を酸触媒と接触させる形式、即ち2,3DHFの高沸化処理における反応形式として、固定床流通反応形式、懸濁床流通反応形式、回分反応形式等の公知の反応形式を使用することができる。また用いることのできる反応器は特に限定されず、反応槽、反応容器、反応釜、反応塔等と同じ意味内容で用いら
れるものであれば何れのものでもよい。工業的には、連続生産が可能となる固定床流通反応形式が好ましい。
酸触媒の使用量は、固定床流通反応器であれば、原料テトラヒドロフラン化合物の1時間当たりの通液量に対して、通常0.05倍以上、好ましくは0.1倍以上、より好ましくは0.5倍以上であり、上限は、通常10倍以下、好ましくは5倍以下、より好ましくは3倍以下である。滞留時間(反応時間)で言えば、通常3分以上、好ましくは6分以上、より好ましくは30分以上であり、上限は、通常600分以下、好ましくは300分以下、より好ましくは90分以下である。この値が小さすぎると十分に2,3DHFの高沸化が行われないと共に触媒の交換頻度が高くなる。また、大きすぎると反応器に係る建設費が高くなるため工業的に不利となる。
懸濁床流通反応器であれば、触媒濃度は、通常0.5wt%以上、好ましくは3wt%以上、より好ましくは5wt%以上であり、上限は、通常50wt%以下、好ましくは30wt%以下、より好ましくは20wt%以下である。また、滞留時間(反応時間)は、通常3分以上、好ましくは6分以上、より好ましくは30分以上であり、上限は、通常600分以下、好ましくは300分以下、より好ましくは90分以下である。これらの値が小さすぎると十分に2,3DHFの高沸化が行われないと共に触媒の交換頻度が高くなる傾向がある。また、これらの値が大きすぎると反応器に係る建設費が高くなるため工業的に不利な傾向となる。
本発明の第一の発明および第三の発明において、反応器内液相中の水分濃度は、4900wtppm以下であることが好ましく、より好ましくは3000wtppm以下、さらに好ましくは1500wtppm以下、特に好ましくは500wtppm以下である。下限は特に限定されないが、10wtppm以上であることが好ましく、より好ましくは50wtppm以上である。
本発明の第二の発明において、反応器内液相中の水分濃度は、4900wtppm以下であり、好ましくは3000wtppm以下、さらに好ましくは1500wtppm以下、特に好ましくは500wtppm以下である。下限は特に限定されないが、10wtppm以上であることが好ましく、より好ましくは50wtppm以上である。本発明において、「反応器内液相中の水分濃度が特定の値以下である」とは、反応中の反応器内液相中の水分濃度を特定の値以下に維持することを意味する。
反応器内液相中の水分濃度が高すぎると、加水分解反応が優勢となりOTFが多量に生成される傾向にある。また、完全な無水であっても差し支えは無いが、反応器内の溶液中の水分を10wtppm未満まで脱水を行うことは、費用、労力の面から工業的に不利な傾向にある。
本発明において、反応器内液相中の水分濃度は反応器内に水分計を設置し測定してもよく、原料テトラヒドロフラン化合物中の水分量及び原料中のOTF等の脱水反応が生じる化合物量の和から計算によって求めてもよい。
反応温度は、通常0℃以上、好ましくは15℃以上、より好ましくは40℃以上であり、上限は、通常120℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。この値が低すぎると副生するOTFの分解が難しくなるため、反応液中に含まれるOTFの濃度が高くなる傾向にある。この値が高すぎると酸触媒への熱負荷や加熱に係る熱量の観点から好ましくない傾向にある。ここで、反応温度とは、反応器内の温度、即ち原料テトラヒドロフラン化合物を酸触媒へ接触させて、2,3DHFを高沸点化合物への変換反応を行う温度である。
反応圧力は特に限定されないが、絶対圧として、通常10kPa以上、好ましくは100kPa以上であり、上限は、通常1000kPa以下、好ましくは500kPa以下である。
生成した2,3DHFの高沸点化合物を除去する方法としては、蒸留により分離することが好ましい。分離するために用いる設備として蒸発缶を用いてもよいし、充填塔、棚段塔などを有した蒸留塔を用いてもよい。
蒸発缶や蒸留塔の段数は任意であるが、理論段として、0段以上であることが好ましく、より好ましくは1段以上、さらに好ましくは4段以上であり、上限は、100段以下であることが好ましく、より好ましくは10段以下である。100段より大きい段数では塔が大きくなりすぎ、設備建設のための経済性が悪化する場合がある。
蒸留塔の還流比は、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上であり、上限は、通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは3以下である。この値が小さすぎると十分な分離が行えない可能性があり、大きすぎると蒸発に要する熱量が多大となるため経済的に悪化する場合がある。
また、蒸留により回収する留出液(精製テトラヒドロフラン化合物)の割合は、原料テトラヒドロフラン化合物の供給量に対して、80wt%以上であることが好ましく、より好ましくは90wt%以上、さらに好ましくは95wt%以上である。この値が低すぎると蒸発缶の缶出部や蒸留塔の塔底部に含まれるTHFが多くなり、塔底部の溶液の廃棄や別途蒸留を行う必要が生じる場合がある。塔底部の溶液の廃棄や別途蒸留プロセスを加える場合は、いずれも工業的に不利な傾向となる。なお、蒸留塔を用いる場合、留出液は、通常蒸留塔の塔頂部より回収する液である。
以上に詳述した本発明のテトラヒドロフラン化合物の精製方法は、高純度の化合物が効率的に得られる方法であり、本発明の精製方法はテトラヒドロフラン化合物の製造方法と同義である。
<ポリエーテルポリオールの製造方法>
本発明の方法により精製されたテトラヒドロフラン化合物は、2,3DHFが効果的に除去された高純度の化合物であり、ポリエーテルポリオールの製造原料として、特に好適に用いることができる。
すなわち、本発明のポリエーテルポリオールの製造方法は、上記方法によって得られたテトロヒドロフラン化合物に対して、開環重合反応触媒の存在下で、開環重合反応を行うことに特徴を有するものである。
本発明において、開環重合反応の原料となるテトラヒドロフラン化合物は、上記方法により得られるものである。以下、ポリアルキレンエーテルグリコール、具体的にはポリテトラメチレンエーテルグリコールを代表例として、本発明のポリエーテルポリオールの製造方法について説明する。
<ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法>
一般に、テトラヒドロフラン化合物等の環状エーテルは酸化されやすく過酸化物を形成しやすい。テトラヒドロフラン化合物中の過酸化物濃度は特に制限されないが、重合時の着色や副反応を抑制するために、通常50wtppm以下で用いられる。テトラヒドロフラン化合物中の過酸化物濃度は2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾール等の酸化防
止剤を添加することでも制御することができる。
本発明における開環重合反応では、助剤(重合反応開始剤)としてカルボン酸無水物が使用される場合がある。具体的には、例えば、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物が挙げられる。無水物の原料となるカルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。上記カルボン酸の具体例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。これらの中で、価格や入手のしやすさから脂肪族カルボン酸から誘導される無水物が好ましく、反応性や製造物の需給の観点から無水酢酸がより好ましい。
カルボン酸無水物の使用量としては、原料のテトラヒドロフラン化合物の合計1モルに対して、通常0.03モル以上、好ましくは0.04モル以上、より好ましくは0.05モル以上、さらに好ましくは0.06モル以上であり、上限は、通常0.30モル以下、好ましくは0.28モル以下、より好ましくは0.26モル以下、さらに好ましくは0.25モル以下、特に好ましくは0.22モル以下である。
上記上限値以下とすることにより、重合時または未反応原料留去時等にカルボン酸無水物由来の着色が起こりにくくなり、製造されるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相が悪化するのを防ぎ、転化率の低下に伴う生産量低下を抑制することができる。また、上記下限値以上とすることにより、十分に開環重合反応を進行させることができる。
開環重合反応触媒としては、テトラヒドロフラン化合物を開環重合できる能力を持つ触媒であれば特に限定されないが、ルイス酸性を有する固体酸系触媒を用いるのが好ましい。固体酸系触媒としては、金属酸化物からなる固体酸触媒が好適に使用される。金属としては、好ましくは周期表〔IUPAC無機化学命名法改訂版(1998年)による〕の第3族、第4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素からなる金属酸化物、または、これらの金属元素を含む複合酸化物が用いられる。具体的には、酸化イットリウム、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの金属酸化物;ジルコニアシリカ、ハフニアシリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、チタニアジルコニアのような複合酸化物が好ましい。また、これらの複合酸化物にさらに他の金属元素を含有する複合酸化物を用いてもよい。
固体酸触媒を調製する方法としては、例えば、上記金属元素から選ばれる1種類以上の金属の塩またはそのアルコキシドを含有する混合溶液に、必要により、酸、アルカリ又は水を添加することにより、沈澱物あるいはゲルを固体酸触媒前駆体として形成させる方法が挙げられる。上記沈澱物またはゲルの調製方法としては、共沈殿法、ゾル−ゲル法、混練法、含浸法などが挙げられる。本発明においては、適当な担体上に金属塩及び/又は金属アルコキシドを担持させ、固相状態(実質的に水を含まない状態)においてアルカリやアミン等の塩基性物質を接触させる過程を経て固体酸触媒前駆体を得る方法が好ましい。
得られた固体酸触媒前駆体は、必要に応じて、ろ過、洗浄、乾燥を行った後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、空気あるいは希釈酸素ガス等の酸化性ガス雰囲気下で焼成し、所望の(複合)酸化物を得ることができる。焼成温度は、通常600℃以上、好ましくは700℃以上であり、上限は、通常1150℃以下、好ましくは1000℃以下である。上記温度範囲で焼成することにより、活性、安定性に優れた固体酸触媒を得ることができる。
開環重合反応触媒の使用量は、反応形式が固定床であるか懸濁床であるかによって、あるいは連続反応であるか回分反応であるかによって異なるが、懸濁床連続反応の場合には、通常、反応系の全化合物中の0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜30重量
%、特に好ましくは0.1〜20重量%である。
本発明において、原料にテトラヒドロフラン化合物、助剤としてカルボン酸無水物を使用することにより、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを得ることができる。ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは加水分解反応やエステル交換反応を行う等の公知の方法でポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。例えば、テトラヒドロフラン化合物としてTHF、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用する場合には、ポリテトラメチレンエーテルグリコールジメチルエステル(以下、「PTME」と略記することがある。)を炭素数1〜4の脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でのアルコリシス反応によりエステル交換を行うことで、PTMGを得ることができる。
本発明において、開環重合反応を行う反応器は特に限定されないが、槽型、塔型等一般に用いられるものが使用される。また、反応方式も公知の方法であれば特に限定されない。具体的な反応方式として、テトラヒドロフラン化合物とカルボン酸無水物、触媒をそれぞれ一定量測り取り、その量を反応器に仕込んで重合させる方法(回分方式);テトラヒドロフラン化合物、カルボン酸無水物及び触媒がそれぞれ反応器内で一定量存在するように連続的に供給すると同時に、目的生成物であるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を連続的に抜き取る方法(連続方式)が挙げられる。中でも、生産性に優れることから、連続方式が好ましい。
開環重合反応温度は、通常30℃以上、好ましくは33℃以上、より好ましくは35℃以上であり、上限は、通常50℃以下、好ましくは49℃以下である。開環重合反応温度が上記上限を超えると、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルに着色が生じることがある。また、上記下限未満では、収率が低下することがある。なお、本発明における開環重合反応温度とは、反応器内の液温を意味する。
反応圧力は、反応系が液相を保持できるような圧力であればよく、通常常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaの圧力の範囲から選択される。反応時間に特に限定はないが、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの収率、経済性の観点から、通常0.1〜20時間、好ましくは0.5〜15時間の範囲である。ここで言う反応時間とは、回
分方式においては、反応温度まで上昇した時点から反応が終了して冷却を開始するまでの時間を意味し、連続方式においては、反応器中での重合反応液の滞留時間のことを意味する。
また、必要に応じて、反応器の後段に、未反応原料の回収工程、得られたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの取り出し及び加水分解工程、触媒の再生工程等を加えてもよい。回分反応方式の場合、反応終了後、先ず触媒と反応液を濾過分別し、反応液より、未反応原料を留去することで、重合体のみを容易に得ることができる。さらに、反応後の触媒は、よく洗浄後、付着した有機物を燃焼することにより容易に活性を回復することができる。
未反応原料の回収工程を加える場合は、気液分離装置や気液接触装置を用いる等の公知の方法であれば特に限定されないが、気液接触装置にポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を供給し、未反応原料を分離して回収する工程が含まれることが好ましい。また、これら未反応原料の回収工程は一種又は複数を組み合わせてもよい。なお、気液接触装置とは、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液に対して不活
性ガスを接触させる工程にて使用される装置を意味する。
本発明において未反応原料とは、目的とするポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量を下回る、ポリオキシアルキレングリコールを意味し、具体的には2〜6量体のポリアルキレンエーテルグリコールやそのジエステル体も含む。
本発明の第三の発明において用いてもよいジオール成分は、上記の未反応原料の回収工程において得られたジオール成分を用いてもよい。THFを原料にポリテトラメチレンエーテルグリコールを製造する場合、2〜6量体のポリテトラメチレンエーテルグリコールジエステルや2〜6量体のポリテトラメチレンエーテルグリコールを未反応原料の回収工程で分離し、ジオール成分としてTHF化合物に添加する方法が好ましく用いられる。得られた未反応原料が2〜6量体のポリテトラメチレンエーテルグリコールのジエステル体であった場合、さらに加水分解工程を経てジオール成分に変換してから、THF化合物に添加してもよい。
気液接触装置は特に限定されないが、気体連続相中に液体を分散させる形式の気液接触装置として例えば充填塔、スプレー塔、スクラバー、濡壁塔等;液体連続相中に気体を分散させる形式の気液接触装置として、例えば気泡塔、段塔、気泡攪拌槽等が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数で用いてもよい。中でも、液体/気体の比が小さく滞留時間が短くでき、重合物の加熱劣化を避けることができるため、気体連続相中に液体を分散させる形式の気液接触装置が好ましい。より好ましくは、気液接触面積が大きくできる充填塔、スプレー塔、スクラバーであり、特に制御が容易な充填塔が工業的に有利な傾向にある。上記充填塔における充填物は、ラシヒリングやポールリングに代表される不規則充填物でも規則充填物でもよい。
気液接触装置に用いる不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、二酸化炭素から選ばれる少なくとも一種が含まれることが好ましく、これらの中で、窒素がより好ましい。
仕込み液量に対する通気ガスの仕込み体積比は、塔内温度及び塔内段数によって変化するが、通常10以上100以下である。過大な体積比は、通気ガスの損失につながるので工業的に不利な傾向となる。塔段数は、滞留時間に依存するが、5〜30段が好適である。
気液接触装置を用いる場合、圧力は通常10〜200kPa、好ましくは20〜100kPa、処理温度は通常100〜200℃、好ましくは140〜180℃で運転される。上記処理温度が低すぎると、残存する未反応原料の十分な分離が行えない傾向にあり、高すぎるとカルボン酸無水物の分解が起こりやすくなり、分解生成物由来の着色がより顕在化しやすくなる傾向がある。また、処理時間は好ましくは10〜240分、より好ましくは15〜180分、特に好ましくは30〜120分である。処理時間が短すぎると未反応原料が十分に分離されない傾向があり、長すぎるとカルボン酸無水物の分解が進行し、分解生成物由来の着色が顕在化しやすい傾向となる。
気液接触装置の内部の材質としては特に限定されず、公知の材質が使用できるが、例えば、SUS、ハステロイ(商標名)、チタン、ガラス等が挙げられる。中でも、耐腐食性の観点からは、SUS、ハステロイ(商標名)が好ましい。より具体的には、例えば、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS329J4L等が挙げられる。
このような気液接触処理を行うことで、得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの品質劣化を引き起こすことなく効率よく未反応原料を回収することができる。
本発明において得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で示すことができる。APHA値は特に限定されないが、通常35以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは15以下である。なお、ハーゼン色数は、[実施例]の項において説明する方法を用いて測定した値である。
また、本発明において得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの酸価は特に限定されないが、通常1.0mgKOH/g以下、好ましくは0.5mgKOH/g以下、より好ましくは0.3mgKOH/g以下、さらに好ましくは0.1mgKOH/g以下である。ここで、酸価は、試料1g中に含有する酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数である。
本発明において得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは、加水分解反応やエステル交換反応を行う等の公知の方法でポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。
エステル交換触媒としては、加水分解反応やエステル交換反応に使用されている公知のものであれば特に限定されないが、通常はリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等のアルカリ金属アルコキシドが用いられる。中でも、ナトリウム、カリウムのアルコキシドが好ましい。具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド等が挙げられる。中でも、汎用性が高く安価であることから、ナトリウムメトキシドがより好ましい。
加水分解反応又はエステル交換反応は、通常、常圧または加圧下で行うことができる。反応圧力は、通常0.1〜2.0MPa、好ましくは1.0〜1.5MPaあり、反応温度は、通常60〜180℃の範囲である。
なお、ポリアルキレンエーテルグリコールのAPHA値や酸価は、上記ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルにおける値と同様である。
このように、本発明の方法により得られたテトラヒドロフラン化合物を原料として用いることにより、酸価が低く、特に色調に優れるポリアルキレンエーテルグリコールを得ることができる。
さらに、上記ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルから得られるポリアルキレンエーテルグリコールは、弾性繊維、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、コーティング材などの用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の比較例、実施例において用いた分析方法、反応器、触媒等は次のとおりである。
以下、PBT副生THF化合物の利用を想定して行った実験例(実施例、比較例)により本発明をさらに詳細に説明する。具体的には、以下の比較例1、2、実施例1〜4、6〜8は、PBT副生THF化合物に主に含まれる2,3DHF、水分がTHF化合物の精製工程に与える影響及びポリエーテルポリオールの着色への影響を調べるため、市販品のTHFに2,3DHF、水を添加した原料を用いたモデル実験である。また、比較例3、
実施例5は、PBT副生THF化合物(実液)を用いた実験例である。ゆえに、本発明の技術的範囲は、その要旨を超えない限り以下の実験例により限定されるものではない。
[原料分析]
THF中の水分分析はカールフィッシャー法を用いて行った。有機成分の分析はガスクロマトグラフィー(装置:島津製作所社製、型番GC−2014、カラムDB−1)により行い、修正面積百分率により算出した。各成分の係数は、THFを基準として、有効炭素数に基づいて下記の様に定めた。
THFに対する係数
2,3DHF 1.006
OTF 1.0629
なお、各成分の濃度(含有量)は、100wt%から水分濃度を差し引いた値を算出し、その値から残る成分の割合(wtppm)をガスクロマトグラフィーの各成分の面積百分率により計算した。
[固定床反応器]
三菱化学社製の強酸性陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンPK216LH)を、内径20mmの円筒型ガラス反応器に30cc充填し、150cc/hrの流量で三菱化学社製のTHFを6hr通液した。本処理を終えた直後に反応器出口から得られるTHF中に含まれる水分は約100wtppmであった。本処理を前処理として実施した反応器を用いた。
[ハーゼン色数]
ポリアルキレンエーテルグリコールジエステル(具体的にはPTME)の着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で表した。ハーゼン色数はキシダ化学社製のAPHA色数標準液(No.500)を希釈して調製した標準液を使用し、JIS K0071−1(1998年)に準じて比色して求めた。色差計は日本電色工業社製の測色色差計ZE−2000を使用し、セル厚み:10mmの条件で測定した。
[数平均分子量]
ポリアルキレンエーテルグリコールジエステル(具体的にはPTME)の数平均分子量(Mn)は、PTMEのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」、カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社製のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用した。
[開環重合反応触媒]
THFの開環重合反応触媒として、27.2%硝酸ジルコニア水溶液にCARiACTQ15(登録商標)(富士シリシア化学社製のシリカ担体)を含浸し乾燥処理を実施し、その後、重炭酸アンモニウム水溶液で中和・洗浄を行った後、乾燥および900℃で焼成処理を行ったものを用いた。
<比較例1>
三菱化学社製のTHFに、和光純薬社製の2,3DHFを添加して1000wtppmに調製した。本原料をガラス製の300ccフラスコ反応器に135g、ダイセル社製の無水酢酸を16.5g、触媒(開環重合反応触媒)を6g仕込み、窒素雰囲気下にて反応温度40℃で6時間反応させた。この反応液から触媒を濾過分離して得られた重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、500cc/minの流量
で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温度170℃にて2時間加熱して未反応原料を留去し、PTMEを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)および比色分析を行い、得られたPTMEの品質を確認した。その結果を表1に示す。
<比較例2>
三菱化学社製のTHFに、蒸留水を添加して5000wtppmに、和光純薬社製の2,3DHFを添加して1000wtppmに調製した。本原料を前処理の終えた固定床反応器に25℃、0.2MPaの条件で30cc/hrで流通させた。反応開始後24〜4
8hrの液を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた反応液中の2,3DHFは0wtppm、OTFは1220wtppm、水は5000wtppmであった。
本反応液を、ガラス製ナシ型フラスコに1000g入れて、30cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温度100℃にて2時間加熱し、原料に対して99.8wt%のTHFを留出させた。本留出液(単蒸留後)の組成を表1に示す。
本留出液を用いて比較例1と同様に、重合反応を実施し、得られたPTMEの品質を確認した。その結果を表1に示す。
<比較例3>
表1に示す組成のPBT副生THF化合物を原料として、比較例1と同様の方法で重合反応を行い、得られたPTMEの品質を確認した。その結果を表1に示す。
<実施例1>
三菱化学社製のTHFに、和光純薬製の2,3DHFを添加して1000wtppmに調製した。この時の水分濃度は約100wtppmであった。本原料を前処理の終えた固定床反応器に60℃、0.2MPaの条件で30cc/hrで流通させた。反応開始後24〜48時間経過後の液を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた反応液中の2,3DHFは0wtppm、OTFは0wtppm、水は100wtppmであった。
本反応液を、ガラス製ナシ型フラスコに1000g入れて、30cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温度100℃にて2時間加熱し、原料に対して99.8wt%のTHFを留出させた。本留出液(単蒸留後)の組成を表1に示す。
本留出液を用いて比較例1と同様に、重合反応を実施し、得られたPTMEの品質を確認した。その結果を表1に示す。
<実施例2〜4>
三菱化学社製のTHFに、和光純薬製の2,3DHFを添加して、表1に示す組成の原料を調製した。本原料を、実施例1と同様の方法で、前処理の終えた固定床反応器に流通させた後に蒸留してTHFを留出させ、この留出液を用いて重合反応を実施し、得られたPTMEの品質を確認した。表1に、固定床の反応温度、反応後のOTF生成量、本留出液(単蒸留後)の組成、PTMEの品質を示す。
<実施例5>
表1に示す組成のPBT副生THF化合物を原料として、実施例1と同様の方法で、前処理の終えた固定床反応器に流通させた後に蒸留してTHFを留出させ、この留出液を用いて重合反応を実施し、得られたPTMEの品質を確認した。表1に、固定床の反応温度、反応後のOTF生成量、留出液(単蒸留後)の組成、PTMEの品質を示す。
<実施例6>
三菱化学社製のTHFに、和光純薬社製の2,3DHFを添加して1000wtppmに調製したものに、和光純薬社製ヘキサノールを添加して3000wtppm(23DHFに対するモル比:2.06)に調製した。この時の水分濃度は約100wtppmであった。本原料を前処理の終えた固定床反応器に40℃、0.2MPaの条件で30cc/hrで流通させた。反応開始後24〜48hrの液を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた反応液中の2,3DHFは0wtppm、OTFは0wtppm、水は100wtppmであった。本反応液を、ガラス製ナシ型フラスコに1000g入れて、30cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温度100℃にて2時間加熱して原料に対して99.5wt%のTHFを留出させた。
本留出液を用いて比較例2と同様に、重合反応を実施し、得られたPTMEの品質を確認した。表1に、固定床の反応温度、反応後のOTF生成量、留出液(単蒸留後)の組成、PTMEの品質を示す。
<実施例7>
三菱化学社製のTHFに、和光純薬社製の2,3DHFを添加して1000wtppmに調製したものに、PTMGの2〜6量体で構成される平均分子量250のオリゴマーを加えて2500wtppm(23DHFに対するモル比:0.70)に調製した。この時の水分濃度は約200wtppmであった。本原料を前処理の終えた固定床反応器に25℃、0.2MPaの条件で30cc/hrで流通させた。反応開始後24〜48hrの液
を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた反応液中の2,3DHF濃度は0wtppm、OTFは37wtppm、水は200wtppmであった。本反応液を、ガラス製ナシ型フラスコに1000g入れて、30cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温度100℃にて2時間加熱して原料に対して99.5wt%のTHFを留出させた。
本留出液を用いて比較例2と同様に、重合反応を実施し、得られたPTMEの品質を確認した。表1に、固定床の反応温度、反応後のOTF生成量、留出液(単蒸留後)の組成、PTMEの品質を示す。
<実施例8>
三菱化学社製のTHFに、和光純薬社製の2,3DHFを添加して1000wtppmに調製したものに、PTMGの2〜6量体で構成される平均分子量250のオリゴマーを加えて2500wtppm(23DHFに対するモル比:0.70)に調製した。この時の水分濃度は約200wtppmであった。本原料を前処理の終えた固定床反応器に60℃、0.2MPaの条件で30cc/hrで流通させた。反応開始後24〜48hrの液
を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた反応液中の2,3DHFは0wtppm、OTFは0wtppm、水は200wtppmであった。本反応液を、ガラス製ナシ型フラスコに1000g入れて、30cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温度100℃にて2時間加熱して原料に対して99.8wt%のTHFを留出させた。
本留出液を用いて比較例2と同様に、重合反応を実施し、得られたPTMEの品質を確認した。表1に、固定床の反応温度、反応後のOTF生成量、留出液(単蒸留後)の組成、PTMEの品質を示す。
Figure 0006601006
表1の結果から明らかなとおり、本発明を実施することで2,3DHFが含まれるTHF化合物から純度の高いTHF化合物を得ることができると共に、得られた精製THF化合物を原料として製造したPTMEの色相を著しく良くすることが可能である。また、原料中の水分濃度を下げる、かつOTFの発生量を抑制することで、精製に係る分離負荷を
下げることができるため、設備機器費用の削減や蒸気使用量の低減が可能である。

Claims (15)

  1. 反応器で2,3−ジヒドロフランを含む原料テトラヒドロフラン化合物にヒドロキシ基
    含有化合物を添加し、酸触媒の存在下で2,3−ジヒドロフランを高沸点化合物に変換し
    た後に、蒸留によりテトラヒドロフラン化合物と高沸点化合物とを分離する精製テトラヒ
    ドロフランの製造方法であって
    該ヒドロキシ基含有化合物が、炭素数2〜12の脂肪族アルコールまたは脂環式構造を
    もつアルコールである精製テトラヒドロフランの精製方法
  2. 反応器で2,3−ジヒドロフランを含む原料テトラヒドロフラン化合物にヒドロキシ基
    含有化合物を添加し、酸触媒の存在下で2,3−ジヒドロフランを高沸点化合物に変換し
    た後に、蒸留によりテトラヒドロフラン化合物と高沸点化合物とを分離する精製テトラヒ
    ドロフランの製造方法であって、
    該ヒドロキシ基含有化合物が、1,4−ブタンジオール又はポリテトラメチレンエーテ
    ルグリコールである精製テトラヒドロフランの精製方法
  3. 原料テトラヒドロフラン化合物中の水分量が4900wtppm以下である請求項
    に記載の精製テトラヒドロフランの製造方法。
  4. 反応器内液相中の水分濃度が4900wtppm以下である請求項の何れか1項
    に記載の精製テトラヒドロフランの製造方法。
  5. 高沸点化合物の分子量が100以上である請求項1〜の何れか1項に記載の精製テト
    ラヒドロフランの製造方法。
  6. 原料テトラヒドロフラン化合物中の2,3−ジヒドロフラン濃度が10wtppm以上
    5000wtppm以下である請求項1〜の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフラ
    ンの製造方法。
  7. 原料テトラヒドロフラン化合物が、1,4−ブタンジオールを原料の一つとして使用す
    るポリエステル製造工程で副生されたものである請求項1〜の何れか1項に記載の精製
    テトラヒドロフランの製造方法。
  8. 精製テトラヒドラフラン化合物中の2−ヒドロキシテトラヒドロフラン濃度が800w
    tppm以下である請求項1〜の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフランの製造方
    法。
  9. 酸触媒が固体酸触媒である請求項1〜の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフラン
    の製造方法。
  10. 固体酸触媒が酸性陽イオン交換樹脂である請求項に記載の精製テトラヒドロフランの
    製造方法。
  11. ヒドロキシ基含有化合物の添加量が、2,3−ジヒドロフランに対して、モル比で0.
    2以上10以下である請求項10の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフランの製
    造方法。
  12. 高沸点化合物がアルコキシ化合物である請求項11の何れか1項に記載の精製テト
    ラヒドロフランの製造方法。
  13. ヒドロキシ基を有する化合物が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールを製造する際
    に副生して得られた2〜6量体のポリテトラメチレンエーテルグリコールである請求項
    12の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフランの製造方法。
  14. 蒸留による分離に用いる蒸発缶または蒸留塔の理論段数が0段以上100段以下である
    請求項1〜13の何れか1項に記載の精製テトラヒドロフランの製造方法。
  15. 蒸留による分離により回収する留出液の割合が、原料テトラヒドロフラン化合物の供給
    量に対して、80wt%以上である請求項1〜14の何れか1項に記載の精製テトラヒド
    ロフランの製造方法。
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