JP6263877B2 - ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法 - Google Patents
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その着色の原因の一つとして、無水酢酸中に含まれるケテン二量体(以下、ジケテンと呼ぶ)が影響することが知られており、ジケテン濃度が10ppm以下の無水酢酸を使用すれば、PTMGの着色が抑制できることが知られている。(特許文献2)。
また、触媒寿命の観点から精製無水酢酸に対して0.1〜10モル%の酢酸を使用してもよいことが知られている。(特許文献3)
[1]原料の環状エーテル及び/又はその誘導体並びに無水酢酸を、開環重合反応触媒の
存在下で開環重合反応を行い、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液とし、
該ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液から未反応原料を分離回収する工程
を含むポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、
無水酢酸に対して13〜20重量%の酢酸共存下で該開環重合反応を行い、且つ該ポリ
アルキレングリコールジエステルを含む反応液から未反応原料の分離回収を気液接触装置
により、圧力10〜200kPa、処理温度100〜200℃で行うことを特徴とするポ
リアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[2]環状エーテル及び/又はその誘導体、無水酢酸及び、酢酸の和に対して、酢酸の含
有量が1.5〜4.5重量%である[1]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジ
エステルの製造方法。
[3] ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量が300〜130
0である[1]又は[2]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造
方法。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリ
コールジエステルに対して、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応を行う工程を含
むポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
本発明において、開環重合反応の原料となる環状エーテルは特に限定されないが、環状エーテルを構成する炭素原子数として、通常2〜10であり、好ましくは3〜7である。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサンなどが用いられる。これらの中でも特に、PTMGの原料であり工業的に重要であることから、THFが好ましい。また、環状の炭化水素の一部がアルキル基、ハロゲン原子などで置換された環状エーテルも使用することができる。具体的に環状エーテルがTHFの場合は、3−メチル−テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。環状エーテルは1種類でも2種類以上を混合して使用してもよいが、1種類で使用することが好ましい。
本発明に係る開環重合反応では、助剤(重合反応開始剤)としてカルボン酸無水物が使用されるが、通常、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物が挙げられる。無水物の原料となるカルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。上記カルボン酸の具体例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさから脂肪族カルボン酸から誘導される無水物を用いるのが好ましく、反応性や製造物の需給の観点から無水酢酸が好ましく用いられる。
本発明において用いられるカルボン酸化合物は、一つ以上のカルボキシ基を有する化合物であり、通常、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸を用いる。カルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。上記カルボン酸の具体例として、例えば、脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等が挙げられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさの観点から脂肪族カルボン酸が好ましく、特に酢酸を用いるのが好ましい。カルボン酸化合物は1種類でも2種類以上を混合して用いてもよいが、1種類で使用することが好ましい。
本発明のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法において、上述の通り固体酸触媒が好適に用いられる。固体酸触媒は酸点を有しており、例えば本発明の実施例で使用しているシリカとジルコニアの複合酸化物において、シリカとジルコニアが複合化して形成された−Si−O−Zr−O−構造のZr部分は強酸点として知られている。環状エーテルの開環重合反応時に十分な活性を発現させるためには上記強酸点が重要であるが、強酸点であるが故に望ましくない副反応を引き起こし、結果としてポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が生じたと考えられる。
カルボン酸化合物はその分子構造から金属カチオンに配位しやすい性質を有する。前述したシリカとジルコニアの複合酸化物の強酸点であるZr部分にカルボン酸化合物が配位すれば、−O−Zrの分極が緩和され、Zr部分のルイス酸性が弱くなることが考えられる。カルボン酸化合物の量が増えすぎると、固体酸触媒の活性が必要以上に低下して転化率が低下する懸念が生じる。また、過剰の酢酸由来の着色性化合物の生成が起こり、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相が悪化する懸念も存在する。今回の発明では、開環重合反応時のカルボン酸無水物に対するカルボン酸化合物の量を規定の範囲とすることで固体酸触媒の活性が最適化されたため、環状エーテルの重合反応を十分進行させるための活性は保持しつつ、前述したような望ましくない副反応が抑制され、収率を低下させることなくポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色を抑制することができたと考える。
本発明に用いる開環重合触媒としては、環状エーテルを開環重合できる能力を持つ触媒であれば特に限定されないが、ルイス酸性を有する固体酸系触媒を用いるのが好ましい。固体酸系触媒としては、金属酸化物からなる固体酸触媒が好適に使用される。金属としては、好ましくは周期表(IUPAC 無機化学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第4族
、第13族もしくは第14族に属する金属元素からなる金属酸化物、または、これらの金属元素を含む複合酸化物が用いられる。具体的には酸化イットリウム、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの金属酸化物;またはジルコニアシリカ、ハフニアシリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、チタニアジルコニアのような複合酸化物が好ましい。また、これらの複合酸化物にさらに他の金属元素を含有する複合酸化物を用いてもよい。
学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素から選ばれる1種類以上の金属の塩またはそのアルコキシドを含有する混合溶液に、必要により酸、アルカリ、又は水を添加することにより沈澱物、あるいはゲルを固体酸
触媒前駆体として形成させる方法が挙げられ、上記沈澱物またはゲルを得る方法として共沈殿法、ゾル−ゲル法、混練法、含浸法などが挙げられる。本発明においては、適当な担体上に金属塩及び/又は金属アルコキシドを担持させ、固相状態(実質的に水を含まない状態)においてアルカリやアミン等の塩基性物質を接触させる過程を経て固体酸触媒前駆体を得る方法が好ましく用いられる。
30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%である。
本発明の製造方法において、原料に環状エーテル、カルボン酸無水物及びカルボン酸を使用することにより、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを得ることができる。上記ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは加水分解反応やエステル交換反応を行う等の公知の方法でポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。
例えば、環状エーテルとしてTHF、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用する場合には、PTMEが得られる。上記PTMEを炭素数1〜4の脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でのアルコリシス反応によりエステル交換を行うことで、PTMGを得ることができる。
言う反応時間とは、回分方式においては、反応温度まで上昇した時点から反応が終了して冷却を開始するまでの時間を示し、連続方式においては、反応器中での反応組成液の滞留時間のことを指している。また、開環重合反応温度とは、反応器内の液温を示す。
し、反応液より、未反応原料を溜去することで、重合体のみを容易に得ることができる。更に、反応後の触媒はよく洗浄後、付着した有機物を燃焼することにより容易に活性を回復することができる。
尚、気液接触装置とは、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液に対して不活性ガスを接触させる工程にて使用される装置を意味する。
キシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド等が挙げられる。汎用性が高く安価であることから、ナトリウムメトキシドがより好ましい。
上記、加水分解反応又はエステル交換反応は通常、常圧または加圧下で行うことができ、圧力は通常0.1〜2.0MPa、好ましくは1.0〜1.5MPaである。また、加水分解反応又はエステル交換反応における反応温度は通常60〜180℃の範囲で行われる。
本発明の製造方法は、数平均分子量(Mn)200〜80,000、特に200〜40,000程度の低〜中分子量のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを得ることができる。特に数平均分子量300〜1300、好ましくは500〜1,200のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する際にその効果は顕著である。
更に、本発明の製造方法は重量平均分子量/数平均分子量で示される分子量分布(Mw/Mn)の狭いポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを容易に製造できることも特徴の一つである。環状エーテルとしてTHFを、助剤として無水酢酸を用いた場合、Mw/Mnが20未満、例えば1.0〜10.0のPTMEを製造することができ、工業的に需要が大きいMw/Mnが1.0〜3.0、さらには1.1〜2.5程度である分子量分布の狭いPTMEを得ることが可能である。
(カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した値を意味する。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社
のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用する。
本発明で得られるポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体(具体的にはPTME)の着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で表した。ハーゼン色数はキシダ化学社製 APHA色数標準液(N
0.500)を希釈して調製した標準液を使用し、JIS K0071−1に準じて比色して求めた。色差計は日本電色工業株式会社製 測色色差計ZE−2000を使用し、セ
ル厚み:10mmの条件で測定した。
本発明におけるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社のPOLYTET
RAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用した。
<開環重合反応触媒>
本実施例で使用した開環重合反応触媒は、27.2%硝酸ジルコニア水溶液にCARiACTQ15(登録商標)(富士シリシア化学(株)製 シリカ担体)を含浸し乾燥処理を実施し、その後、重炭酸アンモニウム水溶液で中和・洗浄を行った後、乾燥および900℃で焼成処理を行ったものを用いた。
本実施例で使用した無水酢酸は、以下の方法で調製した。工業グレードの無水酢酸を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、PK216LH)に通液して粗無水酢酸を取得した。ガラス製丸底フラスコに粗無水酢酸を1kg仕込み、オイルバスの温度を130℃まで上げて約60kPaの減圧下で蒸留し、回収率約95%で精製無水酢酸を取得した。
撹拌装置を備え付けた0.5LのSUS流通反応装置(重合反応温度45℃、滞留時間6時間)に触媒を28g投入した。無水酢酸に対する酢酸量が14.9重量%となるように無水酢酸に酢酸を加え、無水酢酸/THF=0.12(mol/mol)となるように無水酢酸およびTHFを混合し、原料タンクに投入した。この原料タンクの溶液を87mL/hにて連続的に反応装置にフィードし、流通反応開始後、55〜70時間の間の流通反応液を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温170℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)および比色分析を行い、得られたPTMEの数平均分子量及びAPHAを測定した。その結果、PTMEの数平均分子量は919、APHA値は14であった。
無水酢酸に対する酢酸量を2.3重量%とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1099、APHA値は24であった。
無水酢酸に対する酢酸量を6.9%とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1018、APHA値は24であった。
<比較例3>
無水酢酸に対する酢酸量を25.1%とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は812、APHA値は26であった。
Claims (4)
- 原料の環状エーテル及び/又はその誘導体並びに無水酢酸を、開環重合反応触媒の存在
下で開環重合反応を行い、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液とし、該ポ
リアルキレングリコールジエステルを含む反応液から未反応原料を分離回収する工程を含
むポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、
無水酢酸に対して13〜20重量%の酢酸共存下で該開環重合反応を行い、且つ該ポリ
アルキレングリコールジエステルを含む反応液から未反応原料の分離回収を気液接触装置
により、圧力10〜200kPa、処理温度100〜200℃で行うことを特徴とするポ
リアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。 - 環状エーテル及び/又はその誘導体、無水酢酸及び、酢酸の和に対して、酢酸の含有量
が1.5〜4.5重量%である請求項1に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエ
ステルの製造方法。 - ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量が300〜1300であ
る請求項1又は2に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリコー
ルジエステルに対して、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応を行う工程を含むポ
リアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
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JP2013139856A JP6263877B2 (ja) | 2013-07-03 | 2013-07-03 | ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法 |
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