JP6263877B2 - ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法 - Google Patents

ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明はポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法に関する。詳しくは環状エーテルをカルボン酸無水物と開環重合反応触媒の存在下で開環重合し、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法に関する。
ポリアルキレンエーテルグリコールは一般式HO−[(CHO]−H(mは2以上の整数、nは1以上の整数を表す。) で示される両末端に一級水酸基を有する直鎖ポリエーテルグリコールであり、一般的に環状エーテルの開環重合により製造される。中でも、特にテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略記する)の開環重合反応により得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールのジエステル体(以下、「PTME」と略記する場合がある)をエステル交換することで得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略記する)は、水酸基を両末端に持つ直鎖ポリエーテルグリコールであり、一般式HO−[(CHO]−H(nは2以上の整数を表す。) で表され、伸縮性や弾力性が要求されるウレタン系樹脂や弾性繊維の原料として極めて有用である。
PTMGの製造法としては、例えば、シリカ−アルミナなどの金属酸化物の群から選ばれる複合金属酸化物からなる固体酸触媒の存在下で、テトラヒドロフランを無水酢酸と開環重合させてポリオキシテトラメチレングリコールジエステルを製造し、次いで、アルカリ触媒存在下で加水分解もしくは低級アルコールとエステル交換してPTMGを製造する方法が知られている(特許文献1)。しかし、上記のような方法により製造されるPTMGは、その品質の重要な指標である色相の評価結果、例えばAPHA値が必ずしも良好ではなく、着色したPTMGが生じ易いという問題があった。
その着色の原因の一つとして、無水酢酸中に含まれるケテン二量体(以下、ジケテンと呼ぶ)が影響することが知られており、ジケテン濃度が10ppm以下の無水酢酸を使用すれば、PTMGの着色が抑制できることが知られている。(特許文献2)。
また、触媒寿命の観点から精製無水酢酸に対して0.1〜10モル%の酢酸を使用してもよいことが知られている。(特許文献3)
特開平4−306228号公報 特開2001−226480号公報 特開2012−153667号公報
しかしながら、本発明者等の検討によれば、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する際、特許文献2記載のジケテン濃度を低減したカルボン酸無水物に特許文献3記載の量のカルボン酸化合物を用いても、重合条件次第では開環重合反応時に着色が生じることが判明した。特に、数平均分子量が低いポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する場合に、着色が顕在化しやすいことが明らかとなった。
本発明は上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は色相に優れたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを高収率で製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、環状エーテルの開環重合反応を行う際、カルボン酸無水物の使用量に対して規定割合のカルボン酸化合物を加えることで、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相悪化を抑制し、着色の少ないポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを安定的に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[]に存する。
[1]原料の環状エーテル及び/又はその誘導体並びに無水酢酸を、開環重合反応触媒の
存在下で開環重合反応を行い、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液とし、
該ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液から未反応原料を分離回収する工程
を含むポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、
無水酢酸に対して13〜20重量%の酢酸共存下で該開環重合反応を行い、且つ該ポリ
アルキレングリコールジエステルを含む反応液から未反応原料の分離回収を気液接触装置
により、圧力10〜200kPa、処理温度100〜200℃で行うことを特徴とするポ
リアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[2]環状エーテル及び/又はその誘導体、無水酢酸及び、酢酸の和に対して、酢酸の含
有量が1.5〜4.5重量%である[1]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジ
エステルの製造方法。
] ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量が300〜130
0である[1]又は[2]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造
方法。
] [1]〜[のいずれかに記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリ
コールジエステルに対して、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応を行う工程を含
むポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
本発明によれば、ウレタン系樹脂や弾性繊維の原料として極めて有用な低着色で分子量分布の狭いポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体を高収率で製造することができる。特に原料としてTHFを、助剤として無水酢酸を用いて数平均分子量300〜1300のPTMEを製造する際に、その効果は顕著である。
以下に、本発明を具体的に記載するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に記載の態様に限定されない。
<環状エーテル>
本発明において、開環重合反応の原料となる環状エーテルは特に限定されないが、環状エーテルを構成する炭素原子数として、通常2〜10であり、好ましくは3〜7である。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサンなどが用いられる。これらの中でも特に、PTMGの原料であり工業的に重要であることから、THFが好ましい。また、環状の炭化水素の一部がアルキル基、ハロゲン原子などで置換された環状エーテルも使用することができる。具体的に環状エーテルがTHFの場合は、3−メチル−テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。環状エーテルは1種類でも2種類以上を混合して使用してもよいが、1種類で使用することが好ましい。
一般に環状エーテルは酸化されやすく過酸化物を形成しやすい。本発明に係る環状エーテル中の過酸化物濃度は特に制限されないが、重合時の着色や副反応を抑制するために、通常50ppm以下で用いられる。環状エーテル中の過酸化物濃度は2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾール等の酸化防止剤を添加することでも制御することができる。
<カルボン酸無水物>
本発明に係る開環重合反応では、助剤(重合反応開始剤)としてカルボン酸無水物が使用されるが、通常、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物が挙げられる。無水物の原料となるカルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。上記カルボン酸の具体例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさから脂肪族カルボン酸から誘導される無水物を用いるのが好ましく、反応性や製造物の需給の観点から無水酢酸が好ましく用いられる。
本発明において用いられるカルボン酸無水物の使用量は特に限定されないが、原料の環状エーテル及びその誘導体の合計1モルに対して通常0.01モル以上、好ましくは0.04モル以上、より好ましくは0.05モル以上、更に好ましくは0.06モル以上、一方上限は、通常1モル以下、好ましくは0.5モル以下、より好ましくは0.4モル以下、更に好ましくは0.3モル以下である。カルボン酸無水物の使用量が多すぎると、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの重合時または未反応原料留去時等にカルボン酸無水物由来の着色が起こりやすくなる傾向にある。また、カルボン酸無水物の使用量が少なすぎると、十分に開環重合反応が進行しない恐れがある。
<カルボン酸化合物>
本発明において用いられるカルボン酸化合物は、一つ以上のカルボキシ基を有する化合物であり、通常、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸を用いる。カルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。上記カルボン酸の具体例として、例えば、脂肪族カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等が挙げられ、芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさの観点から脂肪族カルボン酸が好ましく、特に酢酸を用いるのが好ましい。カルボン酸化合物は1種類でも2種類以上を混合して用いてもよいが、1種類で使用することが好ましい。
カルボン酸化合物の使用量は、カルボン酸無水物に対して13〜24重量%である必要があり、好ましくは13.5重量%以上、より好ましくは14重量%以上である。一方、上限は、好ましくは23重量%以下、より好ましくは22重量%以下、更に好ましくは21重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。カルボン酸化合物の量が少なすぎるとポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が悪化し、カルボン酸化合物の量が多すぎると収率が低下する。尚、本発明におけるカルボン酸化合物の量とはカルボン酸無水物の一部が水和したものも含有する。
また、環状エーテル及び/又はその誘導体、カルボン酸無水物及び、カルボン酸化合物の和に対するカルボン酸化合物の量は特に制限されないが、通常1.5〜4.5重量%、好ましくは2.0〜4.3重量%、より好ましくは1.9〜4.0重量%である。環状エーテル及び/又はその誘導体、カルボン酸無水物及び、カルボン酸化合物の和に対するカルボン酸化合物の使用量が少なすぎると製造されるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が悪化する恐れがあり、多すぎると、収率が低下する恐れがある。
本発明において、開環重合反応時のカルボン酸無水物に対するカルボン酸の使用量を規定の範囲とすることで、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色を抑制することができた詳細な作用は不明であるが、仮説を以下に示す。
本発明のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法において、上述の通り固体酸触媒が好適に用いられる。固体酸触媒は酸点を有しており、例えば本発明の実施例で使用しているシリカとジルコニアの複合酸化物において、シリカとジルコニアが複合化して形成された−Si−O−Zr−O−構造のZr部分は強酸点として知られている。環状エーテルの開環重合反応時に十分な活性を発現させるためには上記強酸点が重要であるが、強酸点であるが故に望ましくない副反応を引き起こし、結果としてポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が生じたと考えられる。
カルボン酸化合物はその分子構造から金属カチオンに配位しやすい性質を有する。前述したシリカとジルコニアの複合酸化物の強酸点であるZr部分にカルボン酸化合物が配位すれば、−O−Zrの分極が緩和され、Zr部分のルイス酸性が弱くなることが考えられる。カルボン酸化合物の量が増えすぎると、固体酸触媒の活性が必要以上に低下して転化率が低下する懸念が生じる。また、過剰の酢酸由来の着色性化合物の生成が起こり、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相が悪化する懸念も存在する。今回の発明では、開環重合反応時のカルボン酸無水物に対するカルボン酸化合物の量を規定の範囲とすることで固体酸触媒の活性が最適化されたため、環状エーテルの重合反応を十分進行させるための活性は保持しつつ、前述したような望ましくない副反応が抑制され、収率を低下させることなくポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色を抑制することができたと考える。
本発明において、カルボン酸化合物の添加時期は限定されないが、開環重合反応開始前に添加することが好ましい。ここで開環重合反応開始とは、原料の環状エーテルとカルボン酸無水物が触媒に接触した状態で反応温度に到達した時点を言う。
カルボン酸化合物の添加方法は公知の方法であれば特に限定されないが、例えば、カルボン酸無水物に予めカルボン酸化合物を混合したカルボン酸無水物/カルボン酸混合原料を反応器に供給することもできるし、環状エーテルとカルボン酸無水物を反応器に仕込んだ後にカルボン酸化合物を添加してもよい。本発明において、重合原料の環状エーテル、カルボン酸無水物、カルボン酸化合物を添加する順序は特に限定されるものではなく、カルボン酸無水物に対するカルボン酸量が規定範囲となるようにカルボン酸を供給できればよい。
<開環重合反応触媒>
本発明に用いる開環重合触媒としては、環状エーテルを開環重合できる能力を持つ触媒であれば特に限定されないが、ルイス酸性を有する固体酸系触媒を用いるのが好ましい。固体酸系触媒としては、金属酸化物からなる固体酸触媒が好適に使用される。金属としては、好ましくは周期表(IUPAC 無機化学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第4族
、第13族もしくは第14族に属する金属元素からなる金属酸化物、または、これらの金属元素を含む複合酸化物が用いられる。具体的には酸化イットリウム、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの金属酸化物;またはジルコニアシリカ、ハフニアシリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、チタニアジルコニアのような複合酸化物が好ましい。また、これらの複合酸化物にさらに他の金属元素を含有する複合酸化物を用いてもよい。
本発明に用いる固体酸触媒を調製する方法としては、例えば、周期表(IUPAC 無機化
学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素から選ばれる1種類以上の金属の塩またはそのアルコキシドを含有する混合溶液に、必要により酸、アルカリ、又は水を添加することにより沈澱物、あるいはゲルを固体酸
触媒前駆体として形成させる方法が挙げられ、上記沈澱物またはゲルを得る方法として共沈殿法、ゾル−ゲル法、混練法、含浸法などが挙げられる。本発明においては、適当な担体上に金属塩及び/又は金属アルコキシドを担持させ、固相状態(実質的に水を含まない状態)においてアルカリやアミン等の塩基性物質を接触させる過程を経て固体酸触媒前駆体を得る方法が好ましく用いられる。
このようにして得られた固体酸触媒前駆体は、必要に応じてろ過、洗浄、乾燥を行った後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、空気あるいは希釈酸素ガス等の酸化性ガス雰囲気下で焼成し、所望の(複合)酸化物を得ることができる。加熱焼成温度としては通常600〜1150℃、好ましくは700〜1000℃の温度で行われる。上記温度範囲で焼成することにより活性、安定性に優れた固体酸触媒を得ることができる。
開環重合反応に用いる触媒の使用量は、反応形式が固定床であるか懸濁床であるかによって、あるいは連続反応であるか回分反応であるかによって異なるが、懸濁床連続反応の場合には、通常、反応系の全化合物中の0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜
30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%である。
<ポリアルキレンエーテルグリコールジエステル及びポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法>
本発明の製造方法において、原料に環状エーテル、カルボン酸無水物及びカルボン酸を使用することにより、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを得ることができる。上記ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは加水分解反応やエステル交換反応を行う等の公知の方法でポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。
例えば、環状エーテルとしてTHF、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用する場合には、PTMEが得られる。上記PTMEを炭素数1〜4の脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でのアルコリシス反応によりエステル交換を行うことで、PTMGを得ることができる。
本発明において開環重合反応を行う反応器は特に限定されないが、槽型、塔型等一般に用いられるものが使用される。また、反応方式も公知の方法であれば特に限定されない。具体的な反応方式として、環状エーテルとカルボン酸無水物、触媒をそれぞれ一定量測り取り、その量を反応器に仕込んで重合させる方法(回分方式)、環状エーテル、カルボン酸無水物及び触媒がそれぞれ反応器内で一定量存在するように連続的に供給すると同時に、目的生成物であるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を連続的に抜き取る方法(連続方式)が挙げられる。中でも、生産性に優れることから、連続方式が好ましい。
本発明に係る開環重合反応温度は、通常0〜200℃、好ましくは10〜80℃である。開環重合反応圧力は、反応系が液相を保持できるような圧力であればよく、通常常圧から10MPa、好ましくは常圧から5MPaの圧力の範囲から選択される。反応時間は特に限定されないが、触媒量と上記反応条件の双方を考慮し、PTMEの収率、経済性を考慮して0.1〜20時間の範囲、好ましくは0.5〜15時間の範囲が好ましい。ここで
言う反応時間とは、回分方式においては、反応温度まで上昇した時点から反応が終了して冷却を開始するまでの時間を示し、連続方式においては、反応器中での反応組成液の滞留時間のことを指している。また、開環重合反応温度とは、反応器内の液温を示す。
本発明の製造方法では必要に応じて、反応器の後段に、反応液から未反応環状エーテル、カルボン酸無水物及びカルボン酸等の未反応原料の分離回収工程、得られたポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の取りだし、及び加水分解工程、並びに触媒の再生工程等を加えてよい。回分反応方式の場合、反応終了後、先ず触媒と反応液を濾過分別
し、反応液より、未反応原料を溜去することで、重合体のみを容易に得ることができる。更に、反応後の触媒はよく洗浄後、付着した有機物を燃焼することにより容易に活性を回復することができる。
本発明の製造方法において、未反応原料の分離回収工程を加える場合は、気液分離装置や気液接触装置を用いる等公知の方法であれば特に限定されないが、気液接触装置にポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を供給し、未反応原料を分離回収する工程が含まれることが好ましい。また、これら未反応原料の分離回収工程は一種又は複数を組み合わせてもよい。
尚、気液接触装置とは、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液に対して不活性ガスを接触させる工程にて使用される装置を意味する。
本発明で用いてもよい気液接触装置は特に限定されないが、気体連続相中に液体を分散させる形式の気液接触装置として充填塔、スプレー塔、スクラバー、濡壁塔等;液体連続相中に気体を分散させる形式の気液接触装置として気泡塔、段塔、気泡攪拌槽等が挙げられ、単独又は複数で用いてもよい。中でも、液体/気体の比が小さく滞留時間が短くでき、重合物の加熱劣化を避けることができるため、気体連続相中に液体を分散させる形式の気液接触装置が好ましい。より好ましくは、気液接触面積が大きくできる充填塔、スプレー塔、スクラバーであり、特に制御が容易な充填塔が工業的に有利な傾向にある。上記充填塔における充填物は、ラシヒリングやポールリングに代表される不規則充填物でも規則充填物でもよい。
気液接触装置に用いる不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、二酸化炭素から選ばれる少なくとも一種が含まれることが好ましく、これらの中で、窒素がより好ましく用いられる。
仕込み液量に対する通気ガスの仕込み体積比は、塔内温度及び塔内段数によって変化するが、通常10〜100の体積比が用いられる。過大な体積比は、通気ガスの損失につながるので不利である。塔段数は、滞留時間に依存するが、5〜30段で好適に実施される。
本発明の製造方法において、気液接触装置を用いる場合、圧力は通常10〜200kPa、好ましくは20〜100kPa、処理温度は100〜200℃、好ましくは140〜180℃で運転される。上記処理温度が低すぎると、残存する未反応原料の十分な分離が行えない傾向にあり、高すぎるとカルボン酸無水物の分解が起こりやすくなり、分解生成物由来の着色がより顕在化しやすくなる傾向がある。また、処理時間は好ましくは10〜240分、より好ましくは15分〜180分、特に好ましくは30分〜120分である。処理時間が短すぎると未反応原料が十分に分離されない傾向があり、長すぎるとカルボン酸無水物の分解が進行し、分解生成物由来の着色が顕在化しやすい傾向となる。
このような気液接触装置の内部の材質としては特に限定されず、公知の材質が使用できるが、例えば、SUS製、ハステロイ(商標名)、チタン、ガラス等が挙げられ、中でも、耐腐食性の観点から好ましくは、SUS又はハステロイ(商標名)が好ましく用いられる。より具体的にはSUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS329J4L等が挙げられる。
本発明に係るエステル交換触媒としては、従来より加水分解反応やエステル交換反応に使用されている公知のものであれば特に限定されないが、通常はリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等のアルカリ金属アルコキシドが用いられ、中でも、ナトリウム、カリウムのアルコキシドが好ましく用いられる。具体的には、ナトリウムメト
キシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド等が挙げられる。汎用性が高く安価であることから、ナトリウムメトキシドがより好ましい。
上記、加水分解反応又はエステル交換反応は通常、常圧または加圧下で行うことができ、圧力は通常0.1〜2.0MPa、好ましくは1.0〜1.5MPaである。また、加水分解反応又はエステル交換反応における反応温度は通常60〜180℃の範囲で行われる。
<ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの分子量>
本発明の製造方法は、数平均分子量(Mn)200〜80,000、特に200〜40,000程度の低〜中分子量のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを得ることができる。特に数平均分子量300〜1300、好ましくは500〜1,200のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する際にその効果は顕著である。
更に、本発明の製造方法は重量平均分子量/数平均分子量で示される分子量分布(Mw/Mn)の狭いポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを容易に製造できることも特徴の一つである。環状エーテルとしてTHFを、助剤として無水酢酸を用いた場合、Mw/Mnが20未満、例えば1.0〜10.0のPTMEを製造することができ、工業的に需要が大きいMw/Mnが1.0〜3.0、さらには1.1〜2.5程度である分子量分布の狭いPTMEを得ることが可能である。
尚、本発明におけるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」
(カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した値を意味する。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社
のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用する。
本発明の方法により得られるポリアルキレンエーテルグリコールは、弾性繊維、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、コーティング材などの用途に使用できる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[ハーゼン色数]
本発明で得られるポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体(具体的にはPTME)の着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で表した。ハーゼン色数はキシダ化学社製 APHA色数標準液(N
0.500)を希釈して調製した標準液を使用し、JIS K0071−1に準じて比色して求めた。色差計は日本電色工業株式会社製 測色色差計ZE−2000を使用し、セ
ル厚み:10mmの条件で測定した。
[重量平均分子量・数平均分子量]
本発明におけるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社のPOLYTET
RAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用した。
<開環重合反応触媒>
本実施例で使用した開環重合反応触媒は、27.2%硝酸ジルコニア水溶液にCARiACTQ15(登録商標)(富士シリシア化学(株)製 シリカ担体)を含浸し乾燥処理を実施し、その後、重炭酸アンモニウム水溶液で中和・洗浄を行った後、乾燥および900℃で焼成処理を行ったものを用いた。
<無水酢酸>
本実施例で使用した無水酢酸は、以下の方法で調製した。工業グレードの無水酢酸を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、PK216LH)に通液して粗無水酢酸を取得した。ガラス製丸底フラスコに粗無水酢酸を1kg仕込み、オイルバスの温度を130℃まで上げて約60kPaの減圧下で蒸留し、回収率約95%で精製無水酢酸を取得した。
<実施例1>
撹拌装置を備え付けた0.5LのSUS流通反応装置(重合反応温度45℃、滞留時間6時間)に触媒を28g投入した。無水酢酸に対する酢酸量が14.9重量%となるように無水酢酸に酢酸を加え、無水酢酸/THF=0.12(mol/mol)となるように無水酢酸およびTHFを混合し、原料タンクに投入した。この原料タンクの溶液を87mL/hにて連続的に反応装置にフィードし、流通反応開始後、55〜70時間の間の流通反応液を製品タンクに溜め込んだ。この製品タンクに溜め込まれた重合反応液を、撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温170℃にて2時間加熱して未反応溶媒を留去し、PTMEを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)および比色分析を行い、得られたPTMEの数平均分子量及びAPHAを測定した。その結果、PTMEの数平均分子量は919、APHA値は14であった。
<比較例1>
無水酢酸に対する酢酸量を2.3重量%とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1099、APHA値は24であった。
<比較例2>
無水酢酸に対する酢酸量を6.9%とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1018、APHA値は24であった。
<比較例3>
無水酢酸に対する酢酸量を25.1%とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は812、APHA値は26であった。
Figure 0006263877
表1から、無水酢酸に対する酢酸使用量を増加させた場合に、着色が少ない高品質のPTMGを製造することができる。

Claims (4)

  1. 原料の環状エーテル及び/又はその誘導体並びに無水酢酸を、開環重合反応触媒の存在
    下で開環重合反応を行い、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液とし、該ポ
    リアルキレングリコールジエステルを含む反応液から未反応原料を分離回収する工程を含
    むポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、
    無水酢酸に対して13〜20重量%の酢酸共存下で該開環重合反応を行い、且つ該ポリ
    アルキレングリコールジエステルを含む反応液から未反応原料の分離回収を気液接触装置
    により、圧力10〜200kPa、処理温度100〜200℃で行うことを特徴とするポ
    リアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
  2. 環状エーテル及び/又はその誘導体、無水酢酸及び、酢酸の和に対して、酢酸の含有量
    が1.5〜4.5重量%である請求項1に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエ
    ステルの製造方法。
  3. ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量が300〜1300であ
    る請求項1又は2に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリコー
    ルジエステルに対して、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応を行う工程を含むポ
    リアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
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