JP2015017238A - ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料の環状エーテル及びその誘導体並びにカルボン酸無水物を、開環重合反応触媒の存在下で開環重合反応を行うことにより、数平均分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、環状エーテル及びその誘導体の合計1モルに対して0.03〜0.30モルのカルボン酸無水物を原料として用い、開環重合反応温度が37〜50℃であることを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
【選択図】なし
Description
リコールジエステルを高い生産性で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
「[1] 原料の環状エーテル及びその誘導体並びにカルボン酸無水物を、開環重合反応触媒の存在下で開環重合反応を行うことにより、数平均分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、環状エーテル及びその誘導体の合計1モルに対して0.03〜0.30モルのカルボン酸無水物を原料として用い、開環重合反応温度が37〜50℃であることを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[2] ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値が35以下であることを特徴とする[1]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[3] ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を気液接触装置に供給し、未反応原料を分離回収する工程を含む[1]又は[2]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[4] 気液接触工程を経たポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値が35以下であることを特徴とする[3]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[5] [1]〜[4]に記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルに対して、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応を行うことを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。」
本発明において、開環重合反応の原料となる環状エーテル及びその誘導体は特に限定されないが、環状エーテルを構成する炭素原子数として、通常2〜10であり、好ましくは3〜7である。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。これらの中でもTHFは反応性や製造物の工業的需要の点から好ましい。また、環状の炭化水素の一部がアルキル基、ハロゲン原子などで置換された環状エーテルも使用することができる。具体的に環状エーテルがTHFの場合は、3−メチル−テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。これら環状エーテルは1種又は2種以上を混合して用いてもよいが、1種類で使用することが好ましい。
本発明における開環重合反応では、助剤(重合反応開始剤)としてカルボン酸無水物が使用されるが、通常、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物が挙げられる。無水物の原料となるカルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。上記カルボン酸の具体例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさから脂肪族カルボン酸から誘導される無水物を用いるのが好ましく、反応性や製造物の需給の観点から無水酢酸が好ましく用いられる。
本発明に用いる開環重合触媒としては、環状エーテルを開環重合できる能力を持つ触媒であれば特に限定されないが、ルイス酸性を有する固体酸系触媒を用いるのが好ましい。固体酸系触媒としては、金属酸化物からなる固体酸触媒が好適に使用される。金属としては、好ましくは周期表(IUPAC 無機化学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第4族
、第13族もしくは第14族に属する金属元素からなる金属酸化物、または、これらの金属元素を含む複合酸化物が用いられる。具体的には酸化イットリウム、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの金属酸化物;またはジルコニアシリカ、ハフニアシリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、チタニアジルコニアのような複合酸化物が好ましい。また、これらの複合酸化物にさらに他の金属元素を含有する複合酸化物を用いてもよい。
法改訂版(1998)による)の第3族、第4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素から選ばれる1種類以上の金属の塩またはそのアルコキシドを含有する混合溶液に、必要により酸、アルカリ、又は水を添加することにより沈澱物、あるいはゲルを固体酸触媒前駆体として形成させる方法が挙げられ、上記沈澱物またはゲルを得る方法として共沈殿法、ゾル−ゲル法、混練法、含浸法などが挙げられる。本発明においては、適当な担体上に金属塩及び/又は金属アルコキシドを担持させ、固相状態(実質的に水を含まない状態)においてアルカリやアミン等の塩基性物質を接触させる過程を経て固体酸触媒前駆体を得る方法が好ましく用いられる。
って、あるいは連続反応であるか回分反応であるかによって異なるが、懸濁床連続反応の場合には、通常、反応系の全化合物中の0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜
30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%である。
本発明において、原料に環状エーテル、助剤としてカルボン酸無水物を使用することにより、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを得ることができる。上記ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは加水分解反応やエステル交換反応を行う等の公知の方法でポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。
例えば、環状エーテルとしてTHF、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用する場合には、PTMEが得られる。上記PTMEを炭素数1〜4の脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でのアルコリシス反応によりエステル交換を行うことで、PTMGを得ることができる。
開環重合反応温度が上記上限温度を超えると、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が悪化する。また、前記下限温度未満では、収率が低下するだけでなく、低分子量体製造時の無水酢酸使用比率が高くなるので無水酢酸回収コストも増大する。なお、本発明における開環重合反応温度とは、反応器内の液温を意味する。
間とは、回分方式においては、反応温度まで上昇した時点から反応が終了して冷却を開始するまでの時間を意味し、連続方式においては、反応器中での重合反応液の滞留時間のことを意味する。
複数を組み合わせてもよい。
尚、気液接触装置とは、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液に対して不活性ガスを接触させる工程にて使用される装置を意味する。
上記、加水分解反応又はエステル交換反応は通常、常圧または加圧下で行うことができ、圧力は通常0.1〜2.0MPa、好ましくは1.0〜1.5MPaである。また、加
水分解反応又はエステル交換反応における反応温度は通常60〜180℃の範囲で行われる。
本発明の製造方法は、重合反応温度と環状エーテルに対するカルボン酸無水物量の量比を調整することで、数平均分子量300〜1300かつ低着色のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造することができる。中でも、数平均分子量500〜1200のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを好ましく製造することができる。
(カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した値を意味する。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社
のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用する。
アルキレンエーテルグリコールジエステルを製造するが、同条件下では、重合反応温度を低下させるので収率が低下する。また、重合反応時のカルボン酸無水物使用比率が高いため、無水酢酸中不純物による副反応が起こりやすくなるだけでなく、未反応原料留去時に無水酢酸の分解反応が起こって着色性高沸点化合物が生成しやすくなるため、ポリアルキレンエーテルグリコールの色相が悪化する。
本発明では、通常よりも開環重合反応温度を上げてカルボン酸無水物使用量を下げた高温・低無水酢酸条件にて重合反応を行うことにより、生産性を低下させずに着色の少ない低分子量ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造することができた。カルボン酸無水物使用量の低減により、未反応原料留去時のカルボン酸無水物の分解反応に伴う着色性高沸物の生成を抑制できたことに加え、重合反応温度が高いので、高い転化率を保持することができたと考えられる。
[ハーゼン色数]
本発明で得られるポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体(具体的にはPTME)の着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で表した。ハーゼン色数はキシダ化学社製 APHA色数標準液(N
0.500)を希釈して調製した標準液を使用し、JIS K0071−1に準じて比色
して求めた。色差計は日本電色工業株式会社製 測色色差計ZE−2000を使用し、セ
ル厚み:10mmの条件で測定した。
ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社のPOLYTETRAHYDRO
FURANキャリブレーションキットを使用した。
本実施例で使用した開環重合反応触媒は、27.2%硝酸ジルコニア水溶液にCARiACTQ15(登録商標)(富士シリシア化学(株)製 シリカ担体)を含浸し乾燥処理を実施し、その後、重炭酸アンモニウム水溶液で中和・洗浄を行った後、乾燥および900℃で焼成処理を行ったものを用いた。
本実施例で使用した無水酢酸は、以下の方法で調製した。工業グレードの無水酢酸を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、PK216LH)に通液して粗無水酢酸を取得した。ガラス製丸底フラスコに粗無水酢酸を1kg仕込み、オイルバスの温度を130℃まで上げて約60kPaの減圧下で蒸留し、回収率約95%で精製無水酢酸を取得した。
1−1.重合反応
撹拌装置を備え付けた0.52LのSUS流通反応装置(重合反応温度48℃、滞留時間6時間)に触媒を28g投入した。無水酢酸/THF=0.08(mol/mol)となるように無水酢酸およびTHFを混合し、原料タンクに投入した。この原料タンクの溶液を87mL/hにて連続的に反応装置にフィードし、流通反応開始後、55〜70時間の間の流通反応液を製品タンクに回収した。
1−2.気液接触処理
撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに上記重合反応液を100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温170℃にて2時間加熱して未反応原料を留去し、PTMEを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)および比色分析を行い、得られたPTMEの品質を確認した。数平均分子量は1129、転化率は39.4%、APHAは22であった。
反応温度を45℃、無水酢酸/THF比率を0.12とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1099、転化率は38.2%、APHAは20であった。
<実施例3>
反応温度を42℃、無水酢酸/THF比率を0.16とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1150、転化率は38.0%、APHAは23であった。
<実施例4>
反応温度を42℃、無水酢酸/THF比率を0.20とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は980、転化率は35.1%、APHAは22であった。
<実施例5>
反応温度を38℃、無水酢酸/THF比率を0.24とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1101、転化率は33.9%、APHAは33であった。
反応温度を35℃とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は2154、転化率は32.9%、APHAは10であった
<比較例2>
反応温度を42℃、無水酢酸/THF比率を0.35とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は762、転化率は26.5%、APHAは42であった
Claims (5)
- 原料の環状エーテル及びその誘導体並びにカルボン酸無水物を、開環重合反応触媒の存在下で開環重合反応を行うことにより、数平均分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、環状エーテル及びその誘導体の合計1モルに対して0.03〜0.30モルのカルボン酸無水物を原料として用い、開環重合反応温度が37〜50℃であることを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
- ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値が35以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
- ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を気液接触装置に供給し、未反応原料を分離回収する工程を含む請求項1又は2に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
- 気液接触工程を経たポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値が35以下であることを特徴とする請求項3に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルに対して、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応を行うことを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
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