JP2015017238A - ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法 - Google Patents

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貴紀 谷口
小林 信行
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Abstract

【課題】色相に優れ、生産性に優れた低分子量ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】原料の環状エーテル及びその誘導体並びにカルボン酸無水物を、開環重合反応触媒の存在下で開環重合反応を行うことにより、数平均分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、環状エーテル及びその誘導体の合計1モルに対して0.03〜0.30モルのカルボン酸無水物を原料として用い、開環重合反応温度が37〜50℃であることを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法に関する。詳しくは環状エーテルをカルボン酸無水物と開環重合反応触媒の存在下で開環重合し、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法に関する。
ポリオキシアルキレンエーテルグリコールは一般式HO−[(CHO]−H(mは2以上の整数、nは1以上の整数を表す。) で示される両末端に一級水酸基を有する直鎖ポリエーテルグリコールであり、一般的に環状エーテルの開環重合により製造される。中でも、特にテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略記する)の開環重合反応により得られるポリテトラメチレンエーテルグリコールのジエステル体(以下、「PTME」と略記する場合がある)をエステル交換することで得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略記する)は、水酸基を両末端に持つ直鎖ポリエーテルグリコールであり、一般式HO−[(CHO]−H(nは2以上の整数を表す。) で表され、伸縮性や弾力性が要求されるウレタン系樹脂や弾性繊維の原料として極めて有用である。
PTMGの製造法としては、例えば、シリカ−アルミナなどの金属酸化物の群から選ばれる複合金属酸化物からなる固体酸触媒の存在下で、テトラヒドロフランを無水酢酸と開環重合させてポリオキシテトラメチレングリコールジエステルを製造し、次いで、アルカリ触媒存在下で加水分解もしくは低級アルコールとエステル交換してPTMGを製造する方法が知られている(特許文献1)。
また、イオン交換樹脂により精製した無水酢酸を使用し、環状エーテルに対する無水酢酸の使用比率が高い重合反応条件で低分子量のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法が報告されている(特許文献2)。
特開平4−306228号公報 特開2012−153667号公報
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記特許文献2に記載の方法で低分子量ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造すると、重合反応後の未反応原料留去時に無水酢酸の分解生成物由来の着色によってポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相が悪化し、さらに転化率低下に伴う生産量低下が生じることが判明した。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、色相に優れ、生産性に優れた低分子量ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、環状エーテルの開環重合反応を行う際の反応温度および環状エーテルに対するカルボン酸無水物の使用量を特定の範囲とすることで、色調に優れた数平均分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグ
リコールジエステルを高い生産性で製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[5]に存する。
「[1] 原料の環状エーテル及びその誘導体並びにカルボン酸無水物を、開環重合反応触媒の存在下で開環重合反応を行うことにより、数平均分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、環状エーテル及びその誘導体の合計1モルに対して0.03〜0.30モルのカルボン酸無水物を原料として用い、開環重合反応温度が37〜50℃であることを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[2] ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値が35以下であることを特徴とする[1]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[3] ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を気液接触装置に供給し、未反応原料を分離回収する工程を含む[1]又は[2]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[4] 気液接触工程を経たポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値が35以下であることを特徴とする[3]に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
[5] [1]〜[4]に記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルに対して、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応を行うことを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。」
本発明によれば、ウレタン系樹脂や弾性繊維の原料として極めて有用な、分子量分布が狭く色調に優れた数平均分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを高い生産性で製造することができる。特に原料としてTHFを、助剤として無水酢酸を用いて、分子量300〜1300のポリテトラメチレンエーテルグリコールを製造する際にその効果は顕著である。
以下に、本発明を具体的に記載するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に記載の態様に限定されない。
<環状エーテル>
本発明において、開環重合反応の原料となる環状エーテル及びその誘導体は特に限定されないが、環状エーテルを構成する炭素原子数として、通常2〜10であり、好ましくは3〜7である。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。これらの中でもTHFは反応性や製造物の工業的需要の点から好ましい。また、環状の炭化水素の一部がアルキル基、ハロゲン原子などで置換された環状エーテルも使用することができる。具体的に環状エーテルがTHFの場合は、3−メチル−テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。これら環状エーテルは1種又は2種以上を混合して用いてもよいが、1種類で使用することが好ましい。
一般に環状エーテルは酸化されやすく過酸化物を形成しやすい。本発明に係る環状エーテル中の過酸化物濃度は特に制限されないが、重合時の着色や副反応を抑制するために、通常50ppm以下で用いられる。環状エーテル中の過酸化物濃度は2,6−ジ−(t−ブチル)−p−クレゾール等の酸化防止剤を添加することでも制御することができる。
<カルボン酸無水物>
本発明における開環重合反応では、助剤(重合反応開始剤)としてカルボン酸無水物が使用されるが、通常、炭素数2〜12、好ましくは2〜8の脂肪族又は芳香族カルボン酸から誘導されるカルボン酸無水物が挙げられる。無水物の原料となるカルボン酸はモノカルボン酸であるのが好ましいが、ポリカルボン酸を用いてもよい。上記カルボン酸の具体例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、マレイン酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸;安息香酸、フタル酸、ナフタリン酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。これらの中でも価格や入手のしやすさから脂肪族カルボン酸から誘導される無水物を用いるのが好ましく、反応性や製造物の需給の観点から無水酢酸が好ましく用いられる。
カルボン酸無水物の使用量としては、原料の環状エーテル及びその誘導体の合計1モルに対して0.03〜0.30モルの量を使用する必要があり、好ましくは0.04モル以上、より好ましくは0.05モル以上、更に好ましくは0.06モル以上、一方上限は、好ましくは0.28モル以下、より好ましくは0.26モル以下、更に好ましくは0.25モル以下、特に好ましくは0.22モル以下である。上記上限値を超えると、重合時または未反応原料留去時等にカルボン酸無水物由来の着色が起こりやすくなり、製造されるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相が悪化し、転化率低下に伴う生産量低下が生じる。また、上記下限値未満では、十分に開環重合反応が進行せず、本発明が目的とする分子量のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造することができない。
<開環重合反応触媒>
本発明に用いる開環重合触媒としては、環状エーテルを開環重合できる能力を持つ触媒であれば特に限定されないが、ルイス酸性を有する固体酸系触媒を用いるのが好ましい。固体酸系触媒としては、金属酸化物からなる固体酸触媒が好適に使用される。金属としては、好ましくは周期表(IUPAC 無機化学命名法改訂版(1998)による)の第3族、第4族
、第13族もしくは第14族に属する金属元素からなる金属酸化物、または、これらの金属元素を含む複合酸化物が用いられる。具体的には酸化イットリウム、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカなどの金属酸化物;またはジルコニアシリカ、ハフニアシリカ、シリカアルミナ、チタニアシリカ、チタニアジルコニアのような複合酸化物が好ましい。また、これらの複合酸化物にさらに他の金属元素を含有する複合酸化物を用いてもよい。
本発明の固体酸触媒を調製する方法としては、例えば、周期表(IUPAC 無機化学命名
法改訂版(1998)による)の第3族、第4族、第13族もしくは第14族に属する金属元素から選ばれる1種類以上の金属の塩またはそのアルコキシドを含有する混合溶液に、必要により酸、アルカリ、又は水を添加することにより沈澱物、あるいはゲルを固体酸触媒前駆体として形成させる方法が挙げられ、上記沈澱物またはゲルを得る方法として共沈殿法、ゾル−ゲル法、混練法、含浸法などが挙げられる。本発明においては、適当な担体上に金属塩及び/又は金属アルコキシドを担持させ、固相状態(実質的に水を含まない状態)においてアルカリやアミン等の塩基性物質を接触させる過程を経て固体酸触媒前駆体を得る方法が好ましく用いられる。
このようにして得られた固体酸触媒前駆体は、必要に応じてろ過、洗浄、乾燥を行った後、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、空気あるいは希釈酸素ガス等の酸化性ガス雰囲気下で焼成し、所望の(複合)酸化物を得ることができる。加熱焼成温度としては通常600〜1150℃、好ましくは700〜1000℃の温度で行われる。上記温度範囲で焼成することにより活性、安定性に優れた固体酸触媒を得ることができる。
開環重合反応に用いる触媒の使用量は、反応形式が固定床であるか懸濁床であるかによ
って、あるいは連続反応であるか回分反応であるかによって異なるが、懸濁床連続反応の場合には、通常、反応系の全化合物中の0.001〜50重量%、好ましくは0.01〜
30重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%である。
<ポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法>
本発明において、原料に環状エーテル、助剤としてカルボン酸無水物を使用することにより、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを得ることができる。上記ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルは加水分解反応やエステル交換反応を行う等の公知の方法でポリアルキレンエーテルグリコールに変換することができる。
例えば、環状エーテルとしてTHF、カルボン酸無水物として無水酢酸を使用する場合には、PTMEが得られる。上記PTMEを炭素数1〜4の脂肪族アルコールと混合し、エステル交換触媒存在下でのアルコリシス反応によりエステル交換を行うことで、PTMGを得ることができる。
本発明の開環重合反応を行う反応器は特に限定されないが、槽型、塔型等一般に用いられるものが使用される。また、反応方式も公知の方法であれば特に限定されない。具体的な反応方式として、環状エーテルとカルボン酸無水物、触媒をそれぞれ一定量測り取り、その量を反応器に仕込んで重合させる方法(回分方式)、環状エーテル、カルボン酸無水物及び触媒がそれぞれ反応器内で一定量存在するように連続的に供給すると同時に、目的生成物であるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を連続的に抜き取る方法(連続方式)が挙げられる。中でも、生産性に優れることから、連続方式が好ましい。
本発明に係る開環重合反応温度は、37〜50℃である必要があり、好ましくは40℃以上、より好ましくは41℃以上、一方上限は好ましくは49℃以下である。
開環重合反応温度が上記上限温度を超えると、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が悪化する。また、前記下限温度未満では、収率が低下するだけでなく、低分子量体製造時の無水酢酸使用比率が高くなるので無水酢酸回収コストも増大する。なお、本発明における開環重合反応温度とは、反応器内の液温を意味する。
本発明に係る反応圧力は、反応系が液相を保持できるような圧力であればよく、通常常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaの圧力の範囲から選択される。反応時間に特に限定はないが、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの収率、経済性の観点から通常0.1〜20時間、好ましくは0.5〜15時間の範囲である。ここで言う反応時
間とは、回分方式においては、反応温度まで上昇した時点から反応が終了して冷却を開始するまでの時間を意味し、連続方式においては、反応器中での重合反応液の滞留時間のことを意味する。
本発明では必要に応じて、反応器の後段に、反応液から未反応原料(原料に用いた環状エーテル及びカルボン酸無水物のうち、未反応のまま残存している原料を意味する。)の回収工程、得られたポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体の取りだし、及び加水分解工程、並びに触媒の再生工程等を加えてもよい。回分反応方式の場合、反応終了後、先ず触媒と反応液を濾過分別し、反応液より、未反応原料を溜去することで、重合体のみを容易に得ることができる。更に、反応後の触媒はよく洗浄後、付着した有機物を燃焼することにより容易に活性を回復することができる。
本発明の製造方法において、未反応原料の分離回収工程を加える場合は、気液分離装置や気液接触装置を用いる等公知の方法であれば特に限定されないが、気液接触装置にポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を供給し、未反応原料を分離回収する工程が含まれることが好ましい。また、これら未反応原料の分離回収工程は一種又は
複数を組み合わせてもよい。
尚、気液接触装置とは、ポリアルキレングリコールジエステルを含む反応液に対して不活性ガスを接触させる工程にて使用される装置を意味する。
本発明で用いてもよい気液接触装置は特に限定されないが、気体連続相中に液体を分散させる形式の気液接触装置として充填塔、スプレー塔、スクラバー、濡壁塔等;液体連続相中に気体を分散させる形式の気液接触装置として気泡塔、段塔、気泡攪拌槽等が挙げられ、単独又は複数で用いてもよい。中でも、液体/気体の比が小さく滞留時間が短くでき、重合物の加熱劣化を避けることができるため、気体連続相中に液体を分散させる形式の気液接触装置が好ましい。より好ましくは、気液接触面積が大きくできる充填塔、スプレー塔、スクラバーであり、特に制御が容易な充填塔が工業的に有利な傾向にある。上記充填塔における充填物は、ラシヒリングやポールリングに代表される不規則充填物でも規則充填物でもよい。
気液接触装置に用いる不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、二酸化炭素から選ばれる少なくとも一種が含まれることが好ましく、これらの中で、窒素がより好ましく用いられる。
仕込み液量に対する通気ガスの仕込み体積比は、塔内温度及び塔内段数によって変化するが、通常10〜100の体積比が用いられる。過大な体積比は、通気ガスの損失につながるので不利である。塔段数は、滞留時間に依存するが、5〜30段で好適に実施される。
本発明の製造方法において、気液接触装置を用いる場合、圧力は通常10〜200kPa、好ましくは20〜100kPa、処理温度は100〜200℃、好ましくは140〜180℃で運転される。上記処理温度が低すぎると、残存する未反応原料の十分な分離が行えない傾向にあり、高すぎるとカルボン酸無水物の分解が起こりやすくなり、分解生成物由来の着色がより顕在化しやすくなる傾向がある。また、処理時間は好ましくは10〜240分、より好ましくは15分〜180分、特に好ましくは30分〜120分である。処理時間が短すぎると未反応原料が十分に分離されない傾向があり、長すぎるとカルボン酸無水物の分解が進行し、分解生成物由来の着色が顕在化しやすい傾向となる。
気液接触装置の内部の材質としては特に限定されず、公知の材質が使用できるが、例えば、SUS製、ハステロイ(商標名)、チタン、ガラス等が挙げられ、中でも、耐腐食性の観点から好ましくは、SUS又はハステロイ(商標名)が好ましく用いられる。より具体的にはSUS304、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS329J4L等が挙げられる。
このような気液接触処理を行うことで、得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの品質劣化を引き起こすことなく効率よく未反応原料を回収することができる。
本発明に係るエステル交換触媒としては、従来より加水分解反応やエステル交換反応に使用されている公知のものであれば特に限定されないが、通常はリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等のアルカリ金属アルコキシドが用いられ、中でも、ナトリウム、カリウムのアルコキシドが好ましく用いられる。具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムイソプロポキシド等が挙げられる。汎用性が高く安価であることから、ナトリウムメトキシドがより好ましい。
上記、加水分解反応又はエステル交換反応は通常、常圧または加圧下で行うことができ、圧力は通常0.1〜2.0MPa、好ましくは1.0〜1.5MPaである。また、加
水分解反応又はエステル交換反応における反応温度は通常60〜180℃の範囲で行われる。
<ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの分子量>
本発明の製造方法は、重合反応温度と環状エーテルに対するカルボン酸無水物量の量比を調整することで、数平均分子量300〜1300かつ低着色のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造することができる。中でも、数平均分子量500〜1200のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを好ましく製造することができる。
更に、重量平均分子量/数平均分子量で示される分子量分布(Mw/Mn)の狭いポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを容易に製造できることも本発明の特徴の一つである。環状エーテルとしてTHFを、助剤として無水酢酸を用いた場合、Mw/Mnが20未満、例えば1.0〜10.0のPTMGを製造することができ、工業的に需要が大きいMw/Mnが1.0〜3.0、さらには1.1〜2.5程度である分子量分布の狭いPTMGを得ることが可能である。従って、本発明によれば、工業的に極めて利用価値が高い分子量分布の非常に狭い分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグリコールを製造することができる。
尚、本発明におけるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」
(カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した値を意味する。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社
のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用する。
本発明におけるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で示すことが出来る。APHA値は特に限定されないが、通常35以下、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
さらに、上記ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルから得られるポリアルキレンエーテルグリコールは、弾性繊維、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、コーティング材などの用途に使用することができる。
一般的に、環状エーテルの開環重合反応では、重合反応温度が高くなるほどポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの着色が悪化すると考えられる。このため、数平均分子量300〜1300の色相に優れたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造するためには、重合反応温度を下げて環状エーテルに対するカルボン酸無水物の使用量比を高める必要があった。しかし、このような低温・高カルボン酸無水物条件下で重合反応を行うと、環状エーテルの転化率が減少して生産性が悪化するだけでなく、特に未反応原料留去時にカルボン酸無水物由来の着色が顕在化し、得られるポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの色相が悪化することが判明した。
本発明では通常よりも高温条件下で環状エーテルに対するカルボン酸無水物の使用量を低減することにより、数平均分子量300〜1300の色相に優れたポリアルキレンエーテルグリコールを製造することができた。本現象の詳細な機構は不明であるが、仮説を以下に示す。
ポリアルキレンエーテルグリコールの目標分子量が低い場合、一般的には重合反応温度を低くして助触媒のカルボン酸無水物の使用量を多くすることにより、着色の少ないポリ
アルキレンエーテルグリコールジエステルを製造するが、同条件下では、重合反応温度を低下させるので収率が低下する。また、重合反応時のカルボン酸無水物使用比率が高いため、無水酢酸中不純物による副反応が起こりやすくなるだけでなく、未反応原料留去時に無水酢酸の分解反応が起こって着色性高沸点化合物が生成しやすくなるため、ポリアルキレンエーテルグリコールの色相が悪化する。
一方、転化率を下げずに低分子量体を製造する場合には、高温・高カルボン酸無水物条件で反応を行えば良いが、重合原料中不純物由来の副反応や未反応原料留去工程でのカルボン酸無水物の分解反応が促進されやすくなり着色が生じる。また、転化率を下げずに着色を抑制するためには、低温・低カルボン酸無水物条件を採用すれば良いが、この場合には分子量が十分下がらないという問題が生じる。
本発明では、通常よりも開環重合反応温度を上げてカルボン酸無水物使用量を下げた高温・低無水酢酸条件にて重合反応を行うことにより、生産性を低下させずに着色の少ない低分子量ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造することができた。カルボン酸無水物使用量の低減により、未反応原料留去時のカルボン酸無水物の分解反応に伴う着色性高沸物の生成を抑制できたことに加え、重合反応温度が高いので、高い転化率を保持することができたと考えられる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[ハーゼン色数]
本発明で得られるポリアルキレンエーテルグリコールのジエステル体(具体的にはPTME)の着色の程度は、ハーゼン色数米国公衆衛生協会の規格に規定されているハーゼン色数(APHA値)で表した。ハーゼン色数はキシダ化学社製 APHA色数標準液(N
0.500)を希釈して調製した標準液を使用し、JIS K0071−1に準じて比色
して求めた。色差計は日本電色工業株式会社製 測色色差計ZE−2000を使用し、セ
ル厚み:10mmの条件で測定した。
[重量平均分子量・数平均分子量]
ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER LABORATORIES社のPOLYTETRAHYDRO
FURANキャリブレーションキットを使用した。
<開環重合反応触媒>
本実施例で使用した開環重合反応触媒は、27.2%硝酸ジルコニア水溶液にCARiACTQ15(登録商標)(富士シリシア化学(株)製 シリカ担体)を含浸し乾燥処理を実施し、その後、重炭酸アンモニウム水溶液で中和・洗浄を行った後、乾燥および900℃で焼成処理を行ったものを用いた。
<無水酢酸>
本実施例で使用した無水酢酸は、以下の方法で調製した。工業グレードの無水酢酸を陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、PK216LH)に通液して粗無水酢酸を取得した。ガラス製丸底フラスコに粗無水酢酸を1kg仕込み、オイルバスの温度を130℃まで上げて約60kPaの減圧下で蒸留し、回収率約95%で精製無水酢酸を取得した。
<実施例1>
1−1.重合反応
撹拌装置を備え付けた0.52LのSUS流通反応装置(重合反応温度48℃、滞留時間6時間)に触媒を28g投入した。無水酢酸/THF=0.08(mol/mol)となるように無水酢酸およびTHFを混合し、原料タンクに投入した。この原料タンクの溶液を87mL/hにて連続的に反応装置にフィードし、流通反応開始後、55〜70時間の間の流通反応液を製品タンクに回収した。
1−2.気液接触処理
撹拌子を備えたガラス製丸底フラスコに上記重合反応液を100g入れて、500cc/minの流量で窒素をバブリングさせながら、常圧下でバス温170℃にて2時間加熱して未反応原料を留去し、PTMEを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)および比色分析を行い、得られたPTMEの品質を確認した。数平均分子量は1129、転化率は39.4%、APHAは22であった。
<実施例2>
反応温度を45℃、無水酢酸/THF比率を0.12とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1099、転化率は38.2%、APHAは20であった。
<実施例3>
反応温度を42℃、無水酢酸/THF比率を0.16とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1150、転化率は38.0%、APHAは23であった。
<実施例4>
反応温度を42℃、無水酢酸/THF比率を0.20とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は980、転化率は35.1%、APHAは22であった。
<実施例5>
反応温度を38℃、無水酢酸/THF比率を0.24とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は1101、転化率は33.9%、APHAは33であった。
<比較例1>
反応温度を35℃とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は2154、転化率は32.9%、APHAは10であった
<比較例2>
反応温度を42℃、無水酢酸/THF比率を0.35とした以外は実施例1と同様に重合反応を行った。結果を表1に示す。得られたPTMEの数平均分子量は762、転化率は26.5%、APHAは42であった
Figure 2015017238
表1の比較例1より、開環重合温度及び無水酢酸使用比率が低すぎると目的とする分子量のPTMEを得ることができず、比較例2より環状エーテルに対するカルボン酸無水物の使用量が多すぎると、転化率が低く、色相が悪化していることがわかる。対して、実施例1〜5は色相に優れた分子量300〜1300のPTMEを高い転化率で製造することができた。

Claims (5)

  1. 原料の環状エーテル及びその誘導体並びにカルボン酸無水物を、開環重合反応触媒の存在下で開環重合反応を行うことにより、数平均分子量300〜1300のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを製造する方法であって、環状エーテル及びその誘導体の合計1モルに対して0.03〜0.30モルのカルボン酸無水物を原料として用い、開環重合反応温度が37〜50℃であることを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
  2. ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値が35以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
  3. ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルを含む反応液を気液接触装置に供給し、未反応原料を分離回収する工程を含む請求項1又は2に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
  4. 気液接触工程を経たポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのAPHA値が35以下であることを特徴とする請求項3に記載のポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られたポリアルキレンエーテルグリコールジエステルに対して、エステル交換触媒存在下でエステル交換反応を行うことを特徴とするポリアルキレンエーテルグリコールの製造方法。
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