JP3900005B2 - オーナメントを備えたエアバッグカバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、折り畳まれて収納されたエアバッグを覆うエアバッグカバーであって、オーナメントを備えたエアバッグカバーに関する。エアバッグカバーを備えたエアバッグ装置は、自動車のステアリングホイール・助手席前方部位・ドア・シート等に搭載されている。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、オーナメントを備えたエアバッグカバーとしては、特開2001−354098(特に図3)に示す構成のものがあった。
【0003】
上記公報に記載のエアバッグカバーでは、扉部の表面側に配設される装飾部と、装飾部から下方へ延びる複数の取付脚部と、を備えたオーナメントが、各取付脚部を扉部に設けられた取付孔に貫通させて、取付孔近傍における扉部の裏面側の第1折曲部で折曲させることにより、扉部に取り付けられていた。そして、各取付脚部における扉部の裏面側で折曲された第1折曲部より先端付近には、各取付脚部の先端側を折曲させる第2折曲部が、それぞれ、配設され、エアバッグカバーの形成材料と相溶性を有して溶融固化された被覆部により、各取付脚部の第2折曲部付近が、被覆される構成であった。
【0004】
このような構成では、オーナメントの取付脚部の第2折曲部付近が、被覆部により被覆されることから、オーナメントの取付脚部が、展開膨張するエアバッグと干渉せず、エアバッグにダメージを与える虞れがなく、さらに、被覆部が第2折曲部のはね上げを抑えて、エアバッグカバーの扉部が開く際のオーナメントの取付強度を向上させていた。
【0005】
しかし、例えば、エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとして、出力の大きなインフレーターを使用する場合には、膨張するエアバッグがエアバッグカバーの扉部を押し開く際に、扉部に大きな力が作用することから、オーナメントにおける取付脚部のエアバッグカバーへの取付強度を、一層、高める必要が生じていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグカバーに対して強固に取付可能なオーナメントを備えたエアバッグカバーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るオーナメントを備えたエアバッグカバーは、折り畳まれたエアバッグを覆い、かつ、エアバッグの展開膨張時に開く扉部を備えた合成樹脂製のエアバッグカバーであって、
扉部の表面側に配設される装飾部と、装飾部から下方へ延びる複数の取付脚部と、を備えたオーナメントが、各取付脚部を扉部に設けられた取付孔に貫通させて、取付孔近傍となる第1折曲部により、扉部の裏面側で折曲させることにより、前記扉部に取り付けられるとともに、
各取付脚部における扉部の裏面側で折曲された部位の先端付近に、各取付脚部の先端側を折曲させる第2折曲部が、それぞれ、配設され、
エアバッグカバーの形成材料と相溶性を有して溶融固化された被覆部により、各取付脚部の先端付近が、被覆される構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、
各取付脚部において、第2折曲部により折曲された際の第2折曲部より先端側となる先端部位が、第2折曲部の部位を扉部側に向け、先端を扉部から離れた側に向けるように、配置されるとともに、各取付脚部における第1折曲部で折曲された際の第1折曲部と第2折曲部との間の部位の軸方向となる第2折曲部から第1折曲部に向かう方向に略沿う抜き方向に対して係止されるように、第1折曲部側となる面を、被覆部により、被覆されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーでは、各取付脚部において、第2折曲部により折曲された際の第2折曲部より先端側となる先端部位が、第2折曲部の部位を扉部側に向け、先端を扉部から離れた側に向けるように、配置されるとともに、各取付脚部における第1折曲部で折曲された際の第1折曲部と第2折曲部との間の部位の軸方向となる第2折曲部から第1折曲部に向かう方向に略沿う抜き方向に対して係止されるように、第1折曲部側となる面を、被覆部により、被覆されていることから、仮に、エアバッグの展開膨張時に、扉部に大きな力が作用して、各取付脚部の折曲状態を解除させるような、各取付脚部に対して取付孔から抜く方向の力が作用しても、第2折曲部により折曲された取付脚部の先端が被覆部から抜け難い。そのため、各取付脚部の先端側からの抜けが、被覆部によって的確に規制され、各取付脚部全体のエアバッグカバーから抜けるような変形や移動を防止できて、オーナメントのエアバッグカバーへの取付強度を向上させることができる。
【0009】
従って、本発明では、エアバッグカバーに対して強固に取付可能なオーナメントを備えたエアバッグカバーを提供することができる。
【0010】
また、上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、各第2折曲部に、折曲作業の起点となる脆弱部が、形成されている構成とすることが好ましい。
【0011】
オーナメントを備えたエアバッグカバーを上記のような構成とすれば、第2折曲部における取付脚部の折曲作業が容易となる。また、各取付脚部における第2折曲部から先端付近までの寸法を略一定とすることができることから、被覆部に対して抜けないように配設される各取付脚部における先端の長さ寸法を、一定して確保し易く、オーナメントを、取付強度を安定させて、エアバッグカバーに取り付けることができる。
【0012】
さらに、上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、扉部の裏面側における各取付脚部の先端付近には、第2折曲部を折曲させない状態で、第1折曲部を折曲させた際、各取付脚部の先端付近だけを当接支持可能に、下方へ突出する当接部が、それぞれ、配設され、
当接部に、取付脚部の先端付近を当接させた状態で、第2折曲部となる部位を扉部側に向かって押圧して曲げ変形させることにより、第2折曲部が、形成されていることが、好ましい。
【0013】
オーナメントを備えたエアバッグカバーを上記のような構成とすれば、当接部に各取付脚部の先端付近を当接させた状態で、各取付脚部における第2折曲部の部位を、治具等により扉部側に向かって押圧すれば、第2折曲部を形成することができる。そのため、オーナメントの取付作業性を向上させることができる。
【0014】
さらにまた、上記構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、扉部の裏面側における各第2折曲部付近となる部位に、溶融時に各取付脚部の先端付近を被覆可能として被覆部を形成可能な溶融固化予定部が、それぞれ、配設されている構成とすることが好ましい。
【0015】
オーナメントを備えたエアバッグカバーを上記のような構成とすれば、扉部の裏面側における各第2折曲部付近となる部位に予め配設されている溶融固化予定部を溶融固化させることで、各取付脚部の先端付近を容易に被覆させることができる。そのため、被覆部の材料を別途用意する必要がなく、被覆作業性が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
実施形態のオーナメント31を備えたエアバッグカバーは、図1・2に示すように、3本スポークタイプのステアリングホイールWの中央のボス部Bの上部に配置されるエアバッグ装置1に使用されるものである。エアバッグ装置1は、折り畳まれて収納されるエアバッグ2と、エアバッグ2に膨張用ガスを供給するインフレーター4と、エアバッグ2・インフレーター4・エアバッグカバー12を保持するバッグホルダ5と、支持プレート9と、を備えて構成されている。そして、エアバッグ装置1は、支持プレート9に支持される構成であり、エアバッグ装置1と支持プレート9との間には、ホーンスイッチ機構10が、配設されている。
【0018】
エアバッグ2は、下部に開口2aを備えた袋状としている。インフレーター4は、上部にガス吐出口4bを備えた略円柱状の本体4aと、本体4aの外周面から突出するフランジ部4cと、を備えて構成されている。
【0019】
バッグホルダ5は、中央にインフレーター本体4aを下方から挿入させる挿通孔6aを配置させた底壁部6と、底壁部6の外周縁から上方へ延びる側壁部7と、を備えて構成されている。この側壁部7はスポーク部S(図2参照)が配設される部位付近の3箇所に、それぞれ、形成されている。底壁部6の前縁側には、下方へ延びて上方へ反転する連結部6bが形成され、連結部6bの先端には、下方へ反転する係止爪6cが形成されている。この連結部6bは、スポーク部Sが配置されていない部位、すなわち、ステアリングホイールWの前側と、後方側左右と、の3箇所に、それぞれ、形成されている。そして、各連結部6bは、エアバッグカバー12の側壁部29における係止溝29bを係止爪6cで係止するとともに、側壁部29をリベット44止めして、エアバッグカバー12をバッグホルダ5に取り付けている。
【0020】
バッグホルダ5の各側壁部7は、底壁部6から上方へ延びて、上端に、外方へ延びる取付部7aを備えて構成されている。各取付部7aは、ナット7bを固着させており、ナット7bに螺合されるホーンスイッチ機構10の段付きボルト10aにより、ホーンスイッチ機構10を介在させて、支持プレート9の支持部9aに連結支持されている。
【0021】
エアバッグ2とインフレーター4とのバッグホルダ5への取り付けは、エアバッグ2の開口2a周縁に配設される円環状のリテーナ3において下方に突出するように配設される図示しないボルトを、エアバッグ開口2aの周縁・バッグホルダ5の底壁部6における挿通孔6aの周縁・インフレーター4のフランジ部4cを貫通させて、ナット止めすることにより、行なわれている。
【0022】
エアバッグカバー12は、ポリオレフィン系やスチレン系等の熱可塑性エラストマーから形成されて、折り畳まれたエアバッグ2の上方を覆う天井壁部13と、天井壁部13の下面から下方へ突出する略三角筒形状の側壁部29と、を備えて構成されている。
【0023】
側壁部29の所定位置には、カバー12をバッグホルダ5の連結部6bにリベット44止めするための取付孔29aが、複数形成されている。
【0024】
天井壁部13は、扉部14と、扉部14の周囲に配設される破断予定部15と、扉部14の開き時のヒンジとなるヒンジ部16と、を備えて構成されている。扉部14は、図2に示すように、車両の前方側に位置する大扉部14aと、後方側の左右に位置する2つの小扉部14b・14bと、から構成されている。そして、大扉部14aの後方側中央付近には、略楕円形のオーナメント31が、配設されている。破断予定部15は、扉部14a・14bの周囲において、オーナメント31を取り付ける取付部位17を迂回するようにして、配設されている。実施形態の場合、破断予定部15は、図2に示すように、上方から見て略U字形状と略逆T字形状とが車両前後方向で結合された形状とされている。そして、U字状部位15aが破断することにより、大扉部14aが前方側に開くように構成され、U字状部位15aと逆T字状部位15bとが破断することにより、小扉部14b・14bが、それぞれ、左右方向における斜め後方側に開くように構成されている。そして、実施形態の場合、各扉部14(14a・14b)の開く際のヒンジ部16は、各側壁部29の近傍部位となる(図1参照)。
【0025】
オーナメント31を取り付ける取付部位17は、図3・4に示すように、オーナメント31の後述する装飾部32を収納させる収納凹部18と、オーナメント31の後述する4本の取付脚部35を、それぞれ、挿通させる4つの取付孔19と、大扉部14aの裏面側に形成されて各取付脚部35を固定する4つの固定部22と、を備えている。収納凹部18は、大扉部14aの表面を、略楕円形の装飾部32を収納可能に、略楕円形状に凹ませるようにして形成されている。実施形態の場合、取付部位17は、収納凹部18を構成する部位の肉厚を、大扉部14aの肉厚と略同一として、大扉部14aの裏面側に突出するように、形成されている。各固定部22は、収納凹部18の裏面側となる部位に配設されている。各取付孔19は、収納凹部18の周縁付近において、各固定部22と連通するように、表裏を貫通して配設されている。実施形態の場合、各取付孔19は、各取付脚部35を挿通可能に、略矩形状に開口している。
【0026】
各固定部22は、オーナメント31取付時における各取付脚部35の後述する中間部位35bと先端部位35cとの周囲を全周にわたって囲うこととなる周壁部23を備えて構成されている。この周壁部23は、図5・6に示すように、略四角筒状とされて、下方に突出するように、配設されている。この周壁部23は、オーナメント31取付時において、下端から取付脚部35を突出させない高さ寸法に設定されている。各取付孔19は、各固定部22の周壁部23における外周側壁部23aに隣接して、配設されている。そして、各固定部22における取付孔19の内周側には、下方へ突出する突起部25が、取付孔19に沿って、配設されている。この突起部25は、オーナメント31の取付作業時において、オーナメント31の各取付脚部35における後述する第1折曲部37を折曲させる際の支点となると同時に、オーナメント31の各取付脚部35における後述する第2折曲部38を折曲させる際に、各取付脚部35の第1折曲部37付近を支持することとなる部位である。
【0027】
また、周壁部23における内周側壁部23bには、取付部位17の中央側の縁部に、図5・6に示すように溶融固化予定部26が、下方に突出するように、形成されている。ちなみに、図5は、オーナメント31を取り付ける前の取付部位17の底面図であり、図6は、オーナメント31を取付部位17に取り付けて、被覆部27を形成する前の状態の底面図である。この溶融固化予定部26は、オーナメント31取付時には、図3・4に示すように、溶融されて被覆部27を形成することとなる。被覆部27は、図3・4に示すように、周壁部23と取付脚部35との隙間を埋めるように形成されるもので、実施形態の場合、取付脚部35の先端部位35cを覆うとともに中間部位35bの先端側を半分程度被覆するように、形成されることとなる。また、周壁部23における内周側壁部23b(特に、その取付孔19側の縁部23c)は、オーナメント31取付作業時において、第2折曲部38を折曲させない状態で、第1折曲部37を折曲させた際、各取付脚部35の先端部位35cを当接支持することとなる部位(当接部)である。
【0028】
オーナメント31は、大扉部14aの表面側において、収納凹部18に収納されて配設される略楕円形状の装飾部32と、装飾部32の外周縁から下方へ延び、各取付孔19を貫通して扉部14aの裏面側で折曲されることとなる4本の取付脚部35と、を備えている。装飾部32は、平面視の状態で文字や模様等を表現する装飾本体部33を備えている。
【0029】
各取付脚部35は、図4・6・7に示すように、それぞれ、元部側に配設されて取付孔19を貫通する貫通部位35aと、扉部14aの裏面側において中心側に向かって折曲される中間部位35bと、先端側に配設されて下方に向かって折曲されることとなる先端部位35cと、を備えて構成されている。すなわち、実施形態の各取付脚部35では、貫通部位35aと中間部位35bとの間に第1折曲部37が形成され、中間部位35bと先端部位35cとの間に第2折曲部38が形成されることとなる。第2折曲部38の部位には、各取付脚部35の幅方向の両縁部を略楔状に切り欠いて形成される脆弱部としての切欠部39・39が、形成されている。この切欠部39は、折曲作業の起点とされるもので、先端部位35cを中間部位35bに対して容易に折曲可能とするために配設されるとともに、第2折曲部38の位置決めとなる部位である。なお、図7には、エアバッグカバー12に取り付けられる前の状態のオーナメント31が示されている。各取付脚部35は、取付前の状態では、貫通部位35a、中間部位35b、及び、先端部位35cを、全て直線状に形成しており、オーナメント31取付時に、第1折曲部37及び第2折曲部38の部位で、それぞれ、折曲されることとなる。なお、第1折曲部37は、オーナメント31のエアバッグカバー12への取付時において、図4に示すように、取付孔19近傍の突起部25付近に、位置することとなる。
【0030】
各先端部位35cは、図4に示すように、オーナメント31をエアバッグカバー12に取り付けた状態では、先端側を下方に向けるように第2折曲部38を折曲させて、配設されることとなる。この先端部位35cは、中間部位35bと先端部位35cとの間の角度θを、90゜以下とするように、折曲されている(図4参照)。そして、各先端部位35cは、取付脚部35における第1折曲部37と第2折曲部38との間の部位となる中間部位35bの軸方向に略沿う抜き方向に対して係止されるように、第1折曲部37側の面35d(アンダーカット部位)を、被覆部27により、覆われている。実施形態の場合、被覆部27は、図3・4に示すように、先端部位35cの第1折曲部37側の面35dから中間部位35bの先端側にかけてを、覆っている。
【0031】
なお、このオーナメント31は、アルミニウムやステンレス等の1枚の板金素材(実施形態では0.5mm程度の厚さのアルミニウム板)を、打ち抜きや絞り等のプレス加工することにより、形成されている。
【0032】
次に、オーナメント31のエアバッグカバー12への取り付けについて説明をする。まず、図8のAに示すように、オーナメント31の各取付脚部35を各取付孔19に挿通させるようにして、装飾部32を収納凹部18内に収納させる。次いで、図8のBに示すように、治具Tを利用して、中間部位35bを中心側に向かわせるようにして、各取付脚部35を、突起部25付近となる第1折曲部37の部位により折曲させる。このとき、先端部位35cの先端は、周壁部23における内周側壁部(当接部)23b(23c)に、当接支持されている。
【0033】
その後、図9のAに示すように、各取付脚部35における第2折曲部38の部位を、治具Tを利用して、扉部14a側に向かって押圧し、先端部位35cの先端側が下方に位置するように、第2折曲部38を折曲させる。このとき、中間部位35bの元部側が突起部25に支持され、先端部位35cの先端側が内周側壁部23bに支持されることから、第2折曲部38の部位を治具Tにより押圧するだけで、容易に折曲させることができる。そして、図9のBに示すように、内周側壁部23bに配設される溶融固化予定部26を、加熱等することにより溶融させ、その後、冷却固化させて、先端部位35cの下部側の面から中間部位35bの先端側にかけてを被覆する被覆部27を形成すれば、オーナメント31のエアバッグカバー12への取付固定が完了する。
【0034】
次に、エアバッグ装置1の組み付けについて説明する。まず、エアバッグ2内にリテーナ3を配置させてエアバッグ2を折り畳み、挿通孔6a内に下方からインフレーター本体4aを挿入させ、リテーナ3の図示しないボルトをバッグホルダ5の底壁部6とインフレーター4のフランジ部4cとに挿通させて、ナット止めする。その後、オーナメント31を取付固定したエアバッグカバー12を、折り畳まれたエアバッグ2に被せ、係止溝29bに係止爪6cを挿入させ、側壁部29をバッグホルダ5の底壁部6における連結部6bにリベット44止めする。そして、バッグホルダ5の側壁部7における取付部7aに配設されるナット7bに、支持プレート9を配置させたホーンスイッチ機構10の段付きボルト10aを螺合させて、支持プレートの支持部9aを各取付部7aに連結させることにより、エアバッグ装置1の組み付けが完了する。
【0035】
上記構成のエアバッグ装置1を取付固定したステアリングホイールWを車両に搭載した後、インフレーター4のガス吐出口4bから膨張用ガスが吐出されれば、膨張するエアバッグ2が破断予定部15を破断させ、扉部14(14a・14b)を押し開き、天井壁部13から突出して、大きく膨張することとなる。
【0036】
そして、実施形態のオーナメント31を備えたエアバッグカバー12では、第2折曲部38により折曲された各取付脚部35の先端部位35cが、各取付脚部35において、第1折曲部37で折曲された際の第1折曲部37と第2折曲部38との間の中間部位35bの軸方向となる第2折曲部38から第1折曲部37に向かう方向に略沿う抜き方向に対して係止されるように、被覆部27により、被覆されている。すなわち、実施形態では、各取付脚部35の先端部位35cが、アンダーカット部位となる第1折曲部37側の面35dを、被覆部27により被覆されていることから、エアバッグ2の展開膨張時に、扉部14aに大きな力が作用して、各取付脚部35の折曲状態を解除させるような、各取付脚部35に対して取付孔19から抜く方向の力が作用しても、第2折曲部38により折曲された各取付脚部35の先端部位35cが、被覆部27から抜け難い。そのため、各取付脚部35の先端部位35c側からの抜けが、被覆部27によって的確に規制され、各取付脚部35全体のエアバッグカバー12から抜けるような変形や移動を防止できて、オーナメント31のエアバッグカバー12への取付強度を向上させることができる。
【0037】
従って、実施形態では、エアバッグカバー12に対して強固に取付可能なオーナメント31を備えたエアバッグカバー12を提供することができる。
【0038】
また、実施形態の場合、各取付脚部35の先端部位35cが、下部側を被覆部27により覆われることとなるため、各取付脚部35の先端部位35cが扉部14a裏面から離れるようなはね上げも、被覆部27により抑えられることとなる。
【0039】
さらに、実施形態のオーナメント31を備えたエアバッグカバー12では、各第2折曲部38に、折曲作業の起点となる脆弱部としての切欠部39・39が、形成されている構成である。そのため、第2折曲部38における取付脚部35の折曲作業が容易となる。また、各取付脚部35における第2折曲部38から先端付近までの寸法、すなわち、先端部位35cの長さ寸法を略一定とすることができることから、被覆部27に対して抜けないように配設される各取付脚部35における先端部位35cの長さ寸法を、一定して確保し易く、オーナメント31を、取付強度を安定させて、エアバッグカバー12に取り付けることができる。
【0040】
なお、第2折曲部38に形成される脆弱部の形状は、実施形態の切欠部39の形状に限られるものではなく、例えば、第2折曲部の部位に、断続的に切り込みを形成したり、第2折曲部の部位の肉厚を薄くすること等により、脆弱部を形成してもよい。
【0041】
さらに、実施形態のオーナメント31を備えたエアバッグカバー12では、扉部14aの裏面側における各取付脚部35の先端部位35c付近には、第2折曲部38を折曲させない状態で、第1折曲部37を折曲させた際の各取付脚部35の先端部位35aを当接支持可能な当接部としての内周側壁部23b(23c)が、配設されている構成である。そのため、各内周側壁部23b(23c)に各取付脚部35の先端部位35aを当接させた状態で、各取付脚部35における第2折曲部38の部位を、治具T等により扉部14a側に向かって押圧すれば、第2折曲部38を形成することができる。その結果、オーナメント31の取付作業性を向上させることができる。
【0042】
勿論、この点を考慮しなければ、エアバッグカバー12側に当接部を配設させなくともよく、さらには、取付脚部の折曲形状を上述した形状としなくともよい。すなわち、実施形態の各取付脚部35では、先端部位35cの先端側が下方に位置するように、第2折曲部38を折曲させているが、例えば、図10に示すように、各取付脚部35を、先端部位35cの先端側が上方に位置するように、第2折曲部38を折曲させて、オーナメント31を取り付ける構成としてもよい。このとき、取付脚部35は、図10の二点鎖線に示すように、第2折曲部38をあらかじめ折曲させて先端部位35cを中間部位35bに対して折曲させた後、第1折曲部37を折曲させて、取り付けられることとなる。このような構成の場合にも、図10に示すように、先端部位35cの折曲時における第1折曲部37側となる面35d(アンダーカット部位)を被覆部27により被覆させれば、先端部位35cが被覆部27から抜け難く、オーナメント31がエアバッグカバー12から外れることを、極力防止することが可能となる。また、図10の二点鎖線に示すように、被覆部27により、中間部位35bの下面側を被覆させる構成とすれば、各取付脚部35の先端部位35cが扉部14a裏面から離れるようなはね上げも、被覆部27により抑えることができる。
【0043】
さらにまた、実施形態のオーナメント31を備えたエアバッグカバー12では、扉部14aの裏面側における各第2折曲部38付近となる部位に、溶融固化予定部26が、それぞれ、配設されている構成である。そのため、扉部14aの裏面側における各第2折曲部38付近となる部位に予め配設されている溶融固化予定部26を溶融固化させることで、各取付脚部35の先端部位35c付近を容易に被覆させることができる。そのため、被覆部27の材料を別途用意する必要がなく、被覆作業性が向上する。勿論、この点を考慮しなければ、溶融固化予定部26をエアバッグカバー12と一体に形成しなくともよく、例えば、オーナメント31取付後に、エアバッグカバー12の形成材料と相溶性を有する別部材を、溶着等によりエアバッグカバー12に固定して、各取付脚部35の先端部位35c付近に被覆部27を形成する構成としてもよい。
【0044】
また、実施形態では、溶融固化予定部26を当接部としての内周側壁部23b近傍に配設させている構成である。そのため、各取付脚部35の先端部位35cを内周側壁部23bに当接させて第2折曲部38の部位を折曲させる際に、仮に、内周側壁部23bに傷や凹凸等が発生しても、被覆部27成形時に、先端部位35c付近とともに内周側壁部23b表面も被覆させることができる。その結果、エアバッグ2の展開膨張時に、仮に、内周側壁部23bの部位がエアバッグ2に干渉することとなっても、内周側壁部23bによりエアバッグ2にダメージを与える虞れがない。なお、実施形態では、溶融固化予定部26を周壁部23における内周側壁部23bに配設させているが、溶融固化予定部26を配設させる位置は、第2折曲部38の近傍であれば、これに限られるものではなく、例えば、溶融固化予定部26を、周壁部23の内周側壁部23bと直交して配設される壁部の第2折曲部38近傍となる部位に、配設させてもよい。
【0045】
さらに、実施形態では、オーナメント31の各取付脚部35における中間部位35bと先端部位35cとが、周囲を全周にわたって周壁部23に覆われるとともに、周壁部23は、下端から取付脚部35を突出させない高さ寸法に設定されている。そのため、実施形態のごとく、取付脚部35の中間部位35bが、被覆部27により覆われていなくとも、中間部位35bの縁部が、展開膨張するエアバッグ2に干渉する虞れがない。なお、実施形態では、被覆部27は、周壁部23における内周側の半分程度の部位を被覆しているが(図3参照)、被覆部27により、先端部位35c付近のみを被覆させる構成としてもよく、さらには、被覆部27により、中間部位35bと先端部位35cとをほぼ全面にわたって被覆させる構成としてもよい。
【0046】
なお、実施形態では、ステアリングホイールW用のエアバッグカバー12に、オーナメント31が取り付けられる構成のものを例示して説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、助手席前方部位・ドア・シート・車内壁等に搭載されるエアバッグ装置のエアバッグカバーにオーナメントが取り付けられる場合、それらのエアバッグカバーに、本発明を適用することができる。
【0047】
また、実施形態では、オーナメント31として、装飾部32が略楕円形で取付脚部35を4本備えているものが用いられているが、オーナメントにおける装飾部の形状及び取付脚部の本数はこれに限られるものではない。また、オーナメント31における取付脚部35の折曲方向も、実施形態では中央側に向かって折曲されているが、外方側に向かって折曲させる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるオーナメントを備えたエアバッグカバーの使用態様を示す断面図であり、図2のI−I部位に対応する。
【図2】同実施形態のオーナメントを備えたエアバッグカバーの平面図である。
【図3】同実施形態のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、オーナメントの取付部位付近の部分拡大底面図である。
【図4】図3のIV−IV部位の拡大断面図である。
【図5】同実施形態において使用されるエアバッグカバーのオーナメント取付部位付近の部分拡大底面図であり、オーナメント取付前の状態を示す。
【図6】同実施形態において使用されるエアバッグカバーのオーナメント取付部位付近の部分拡大底面図であり、被覆部成形前の状態を示す。
【図7】同実施形態において使用されるオーナメントの斜視図である。
【図8】同実施形態において、オーナメントのエアバッグカバーへの取付工程を示す概略図である。
【図9】同実施形態において、オーナメントのエアバッグカバーへの取付工程を示す概略図であり、図8の後の工程を示す図である。
【図10】他の実施形態を示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
2…エアバッグ、
12…エアバッグカバー、
14(14a・14b)…扉部、
17…取付部位、
18…収納凹部、
19…取付孔、
22…固定部、
23…周壁部、
23b…内周側壁部(当接部)、
26…溶融固化予定部、
27…被覆部、
31…オーナメント、
32…装飾部、
35…取付脚部、
35c…先端部位、
37…第1折曲部、
38…第2折曲部、
39…切欠部(脆弱部)、
T…治具。

Claims (4)

  1. 折り畳まれたエアバッグを覆い、かつ、該エアバッグの展開膨張時に開く扉部を備えた合成樹脂製のエアバッグカバーであって、
    前記扉部の表面側に配設される装飾部と、該装飾部から下方へ延びる複数の取付脚部と、を備えたオーナメントが、前記各取付脚部を前記扉部に設けられた取付孔に貫通させて、前記取付孔近傍となる第1折曲部により、前記扉部の裏面側で折曲させることにより、前記扉部に取り付けられるとともに、
    前記各取付脚部における前記扉部の裏面側で折曲された部位の先端付近に、前記各取付脚部の先端側を折曲させる第2折曲部が、それぞれ、配設され、
    該エアバッグカバーの形成材料と相溶性を有して溶融固化された被覆部により、前記各取付脚部の先端付近が、被覆される構成のオーナメントを備えたエアバッグカバーにおいて、
    記各取付脚部において、前記第2折曲部により折曲された際の前記第2折曲部より先端側となる先端部位が、前記第2折曲部の部位を前記扉部側に向け、先端を前記扉部から離れた側に向けるように、配置されるとともに、前記各取付脚部における前記第1折曲部で折曲された際の前記第1折曲部と前記第2折曲部との間の部位の軸方向となる前記第2折曲部から前記第1折曲部に向かう方向に略沿う抜き方向に対して係止されるように、前記第1折曲部側となる面を、前記被覆部により、被覆されていることを特徴とするオーナメントを備えたエアバッグカバー。
  2. 前記各第2折曲部に、折曲作業の起点となる脆弱部が、形成されていることを特徴とする請求項1記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
  3. 前記扉部の裏面側における前記各取付脚部の先端付近には、前記第2折曲部を折曲させない状態で、前記第1折曲部を折曲させた際、前記各取付脚部の先端付近だけを当接支持可能に、下方に突出する当接部が、それぞれ、配設され、
    該当接部に、前記取付脚部の先端付近を当接させた状態で、前記第2折曲部となる部位を前記扉部側に向かって押圧して曲げ変形させることにより、前記第2折曲部が、形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
  4. 前記扉部の裏面側における前記各第2折曲部付近となる部位に、溶融時に前記各取付脚部の先端付近を被覆可能として前記被覆部を形成可能な溶融固化予定部が、それぞれ、配設されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のオーナメントを備えたエアバッグカバー。
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