JP3897699B2 - ガラスクロスとその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラスクロス、特にプリント配線基板に使用されるガラスクロス補強樹脂積層板を作るためのガラスクロス及びプリント配線基板に用いるプリプレグに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板は、マトリックス樹脂との親和性、接着性を向上させることを目的として、予めシランカップリング剤、界面活性剤等による表面処理が施された表面処理ガラスクロスを用いて製作される。一般に、プリント配線基板は、表面処理ガラスクロスにエポキシ樹脂等の合成樹脂を塗工したプリプレグを調製し、加熱、加圧工程を経て、ガラスクロス補強樹脂銅張り積層板を調製し、更にパターン、スルーホール形成、多層化等の加工諸工程を経て製造されている。
近年、移動体通信機器、コンピューター等の軽薄短小化の要求から、プリント配線基板も軽薄短小化が進んでいる。薄く製作されたプリント配線基板は、搭載部品の重量でたわむ現象が生じ易く、搭載部品とのハンダ接合部の劣化要因となる。そこで、このたわみ現象を抑制すべく、マトリックス樹脂の構造改良、無機粉体の混合による高弾性率化が必要とされている。
【0003】
電子機器における演算速度の向上及び安定した信号伝達を確保するために、プリント基板の低誘電率化、低誘電正接化等が望まれている。この要求に応えるため、マトリックス樹脂の低誘電率化、低誘電正接化が検討されており、樹脂骨格中の水酸基等の極性官能基を減少させた樹脂が必要とされている。
さらには、プリント基板には環境に悪影響が懸念される鉛を含まない鉛フリーハンダ化により、搭載部品のハンダ付け工程の温度が高く設定される傾向にあり、この温度上昇にも耐えうる熱特性をマトリックス樹脂に付与するため、マトリックス樹脂の高ガラス転移濃度化が必要とされている。
【0004】
上述した理由で、プリント配線基板に使用されるマトリックス樹脂は、樹脂のa)高弾性率化、b)極性官能基の低減化、c)高ガラス転移温度化が急速に進行している。当然のことながら、プリント配線基板用のガラスクロスには下記する問題の解決が求められている。
i)ガラスクロスのガラスとマトリックス樹脂の接着性の低下、靱性、可とう性の低下を招き、プリント配線基板の穴あけ加工、パンチング加工におけるクラックの発生頻度を高める。
ii)ハンダ耐熱性低下現象と呼ばれる、吸湿状態のプリント配線基板がハンダ付け工程の熱衝撃、水分の急激膨張により、プリント配線基板の積層板の層間にクラック、フクレが発生する現象が生じやすくなる。特に、このハンダ耐熱性低下現象はプリント配線基板の層間に回路を有する多層プリント配線基板において特に顕著である。
【0005】
これらの課題を解決するため、エポキシ樹脂では一分子内のエポキシ基の数を多くした多官能エポキシ樹脂構造化、分子内に剛直、嵩高な骨格を導入したエポキシ樹脂等の構造改良や、その硬化剤として、多官能性であるフェノールノボラック樹脂、酸無水物、を導入する試みがなされている。多官能樹脂の応用は、樹脂の架橋密度を上げ、高ガラス転移温度化に大きな効果を有する。しかしながら、多官能樹脂の使用は、靱性の低下、架橋間の自由体積の増加に伴う吸湿性の増加を伴う。それに対して剛直、嵩高骨格を導入した樹脂は靱性向上、吸湿性の低減に効果を有する反面、高ガラス転移温度化効果が小さく、ガラスクロス表面処理との反応に乏しいので、接着性の向上効果が小さい。このように、マトリックス樹脂に要求される特性向上と、それに付随する弊害を防ぐ改良は、樹脂構成上相反する部分があり、課題を解決するに至っていない。また、硬化系を一新したビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、サイアネート樹脂、ポリイミド樹脂、高耐熱性の熱可塑性樹脂と先に例示した熱硬化性樹脂との併用樹脂等の新規な樹脂の使用による高耐熱化の改良が試みられているが、エポキシ樹脂の改良と同様に課題解決には不十分である。
【0006】
一方、ガラスクロスの表面処理としては、シランカップリング剤等の耐熱性、接着性、耐吸湿性改良を行うことによって、マトリックス樹脂の特性改良に伴う、i)機械加工時のクラック発生、ii)ハンダ耐熱性低下を解決することが試みられている。改良されたシランカップリング剤としては、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシランの塩酸塩等が例示される。しかし、シランカップリング剤のガラスと反応する無機官能基は、ガラス、シランカップリング剤同士の縮合反応により、ガラスとの強固な接着を得られる反面、靱性付与効果は小さく、課題解決には至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、a)高弾性率化、b)極性官能基の低減化、c)高ガラス転移温度化された高機能マトリックス樹脂を用いるプリント配線基板における機械加工時のクラック発生並びにハンダ耐熱性低下が抑制された高度な特性と基本特性を兼ね備えたプリント配線基板を得ることができるガラスクロスを提供することにある。
本発明の他の目的は、高度な使用性能と加工特性を兼備した高弾性、高ガラス転移温度を有するマトリクス樹脂とするプリント配線基板製作用プリプレグを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ガラスクロスの表面処理において、表面処理剤組成物としてシランカップリング剤に加えて、硬化物のガラス転移温度が130℃以上の樹脂でマトリックス樹脂と反応するエポキシ基、フェノール基、アリル基から選ばれる1種以上の官能基を有した樹脂、又はそれらの混合樹脂を含む樹脂を主成分とした処理樹脂で構成される組成物を用いることにより、ガラスクロスに特に下記する作用効果を付与できることを見出し、本発明に到達した。
i)靱性を有し、かつ耐熱性を有する処理樹脂を界面に配するため界面の靱性改良効果が得られること
ii)まずシランカップリング剤と処理樹脂の反応、次いでマトリックス樹脂と処理樹脂とが反応するので、マトリックス樹脂の硬化反応と同じ反応でガラスクロスに付着した処理樹脂とマトリックス樹脂とが反応して内部応力の残留が少ない接着接合が形成されること
iii)ガラスクロスに対する処理樹脂とシランカップリング剤の界面における付着量を制御することで、複合される高弾性率、高耐熱、電気特性等のマトリックス樹脂特性を損うことなく所定の表面処理層を形成することができること
【0009】
すなわち、本発明は、
1.表面処理されたガラスクロスにおいて、シランカップリング剤と、硬化物のガラス転移温度が140℃以上、かつマトリックス樹脂と反応するエポキシ基、フェノール基、アリル基から選ばれる1種以上の官能基を有する処理樹脂又は処理混合樹脂とを主成分とする表面処理剤組成物で処理され、該表面処理剤組成物の付着固形分が表面処理されたガラスクロス全体に対する重量分率で0.10重量%以上、1.00重量%未満で付着されてなることを特徴とするプリント配線基板用ガラスクロス。
【0010】
2.表面処理されたガラスクロスにおいて、処理樹脂を含む組成物が、硬化物のガラス転移温度が140℃以上の熱硬化性樹脂と、ガラス転移温度130℃以上の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする上記1.に記載のプリント配線基板用ガラスクロス。
3.表面処理されたガラスクロスにおいて、表面処理が、シランカップリング剤と、硬化物のガラス転移温度が140℃以上のナフトールアラルキル型エポキシ樹脂を含む処理樹脂とから形成される表面処理剤組成物で行われ、かつ表面処理剤組成物の付着量が表面処理されたガラスクロス全体に対する重量分率で0.10重量%以上、1.00重量%未満で付着されてなることを特徴とする上記1.に記載のプリント配線基板用ガラスクロスガラスクロス。
【0011】
4.表面処理されたガラスクロスにおいて、表面処理が水を主溶媒として、(1)予め処理樹脂に界面活性剤を添加して乳化した処理樹脂の乳化液を水で希釈して得た処理液、(2)処理樹脂に界面活性剤を添加し直接又は水溶性有機溶媒に溶解した後、水に投入して得た処理液、または(3)粉体状の処理樹脂を水に分散させたディスパージョン状態の処理液、のいずれかで処理されていることを特徴とする上記1.、上記2.、または上記3.のいずれかに記載されたプリント配線基板用ガラスクロス。
5.プリント配線基板に用いるプリプレグにおいて、上記1.、上記2.または上記3.のいずれかに記載された表面処理されたプリント配線基板用ガラスクロス及びガラスクロスに付着している処理樹脂よりもガラス転移温度が高いマトリックス樹脂からなることを特徴とするプレプリグ。
かくして、本発明は、表面処理されたガラスクロス及び、該ガラスクロスに付着している処理樹脂よりもガラス転移温度が高いマトリックス樹脂からなるプリント配線基板に用いるプリプレグを提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のガラスクロスについて詳細に説明する。
(A)ガラスクロス
本発明に適用するガラスクロスは、Eガラス、Aガラス、Dガラス、Sガラス等のいずれのガラスを用いたガラスクロスでもよい。また、ガラスクロスとしては、織り密度は10〜200本/25mm、好ましくは15〜100本/25mmであり、質量は5〜400g/m2、好ましくは10〜300g/m2であり、織り方は平織り、朱子織り、綾織り、ななこ織り等が使用できる。また、双方またはいっぽうがテクスチャード加工を施されたガラス糸で製織されたガラスクロスであっても良い。また、製織に必要な集束剤が付着している段階のガラスクロスや集束剤を除去した段階のガラスクロス、あるいは集束剤が焼却、洗浄により除去されたガラスクロスのいずれでも良い。また、表面処理する前、及び又は後に、柱状流、高周波振動法による水流で開繊等の物理加工を施したガラスクロスであってもよい。
【0013】
(B)処理樹脂
本発明に用いられる処理樹脂は、エポキシ基、フェノール基、アリル基から選ばれる1種以上の官能基を有する樹脂、又はそれらの混合樹脂を含み、かつ硬化物のガラス転移温度が130℃以上を有する樹脂であれば使用できる。すなわち硬化物のガラス転移温度が130℃以上を示す樹脂を適宜選択して用いる。
エポキシ基を有する処理樹脂としては、エポキシ基を有し、かつ硬化物のガラス転移温度が130℃以上の樹脂であれば使用できる。例えば、次の一般式(1)、(2)で示される多官能フェノールを原料とする化合物が挙げられる。
【0014】
【化1】
一般式(1)
【0015】
【化2】
一般式(2)
【0016】
【化3】
また、次に例示される一般式(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)で示される化合物も用いることができる。
一般式(3)
【0017】
【化4】
一般式(4)
【0018】
【化5】
一般式(5)
【0019】
【化6】
一般式(6)
【0020】
【化7】
一般式(7)
【0021】
【化8】
一般式(8)
【0022】
これらの化合物は、水分散化変性したものであることもできる。特に、界面の靱性付与効果、及び低吸湿性付与効果を得るためには、樹脂骨格に嵩高な、ジシクロペンタジエン、ナフタレン環、ベンゼン環、等を有している樹脂を処理樹脂として選択することが好ましく、これらの樹脂は次の一般式(9)、一般式(10)、一般式(11)などで例示される。特に一般式(10)で現されるナフトールアラルキル型エポキシ樹脂は、樹脂骨格に嵩高いナフタレン環を有し、かつ、水分散性がよいために最も好ましく使用することができる。
【0023】
【化9】
一般式(9)
【0024】
【化10】
一般式(10)
【0025】
【化11】
一般式(11)
【0026】
【化12】
また、フェノール基を有する処理樹脂としては、フェノール基を有し、かつ硬化物のガラス転移温度が130℃以上の樹脂であれば使用できる。例えば、次の一般式(12)、(13)で示されるノボラック型多官能フェノール樹脂が挙げられる。
一般式(12)
【0027】
【化13】
一般式(13)
【0028】
【化14】
また、次の一般式(14)、(15)で示される化合物ももちいることができる。
一般式(14)
【0029】
【化15】
一般式(15)
【0030】
【化16】
また次の一般式(16)に示されるような、加熱によりフェノール基を発生する化合物(潜在型フェノール樹脂ともいう)ももちいることができる。
一般式(16)
【0031】
【化17】
また、アリル基を有する処理樹脂としては、アリル基を有し、かつ硬化物のガラス転移温度が130℃以上の樹脂であれば使用できる。例えば、次の一般式(17)、(18)、(19)、(20)で示されるアリル樹脂系モノマーを例示することができる。
一般式(17)
【0032】
【化18】
一般式(18)
【0033】
【化19】
一般式(19)
【0034】
【化20】
一般式(20)
【0035】
【化21】
また、次の一般式(21)で示されるアリル系樹脂プレポリマーなどが例示される。
一般式(21)
【0036】
処理樹脂の有すべき官能基の選択は、プリント配線基板に使用されるマトリックス樹脂の硬化反応を考慮することが好ましい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の場合、エポキシ基、フェノール基を有する樹脂を処理樹脂として選択するのが好ましく、エポキシアクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアネート等の、ラジカル重合により硬化するマトリックス樹脂に対しては、アリル基を有する樹脂を処理樹脂として選択することが好ましい。又、処理樹脂にエポキシ基を有した樹脂、フェノール基を有した樹脂、アリル基を有した樹脂を混合した樹脂を使用することも可能である。そして処理樹脂は、エポキシ基、フェノール基、アリル基から選ばれる2種以上の基を同時に有していてもよく、又エポキシ基、フェノール基、アリル基以外の官能基を有していてもよい。
さらに、マトリックス樹脂との濡れ性等を改善する目的で、処理樹脂は本発明で指定したエポキシ基、フェノール基、アリル基から選ばれる1種以上の官能基を有した樹脂、又はそれらの混合樹脂とアミノ基、メタクリル基、カルボキシル基、水酸基等の官能基を有する化合物とを併用しても良い。
【0037】
また、本発明のガラス転移温度130℃以上の処理樹脂とは、処理樹脂がエポキシ基を有する場合、軟化点80℃のフェノールノボラック樹脂を硬化剤として疑似樹脂を調製し、その硬化物のガラス転移温度が130℃以上であることを示し、処理樹脂がフェノール基を有する場合、融点75℃のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂と疑似樹脂を調製し、その硬化物のガラス転移温度が130℃以上であることを示す。また、処理樹脂がアリル基を有する樹脂の場合、有機過酸化物で硬化させた硬化物のガラス転移温度が、130℃以上であることを示す。処理樹脂がエポキシ基、フェノール基を有する場合の疑似樹脂の硬化物は、エポキシ基とフェノール基を当量配合し、2−エチル−4−メチルイミダゾール:1.0重量部を添加した配合で、その硬化条件は180℃で3時間加圧の条件で得られた硬化物である。また、処理樹脂がアリル基を有する場合は、有機過酸化物:
1,4(or1,3)−ビス((t−ブチルジオキシ)イソプロピル)ベンゼンを樹脂に対して20重量部添加し、180℃で3時間加圧の硬化条件で硬化物を調製する。また、ここでいうガラス転移温度は、粘弾性測定法によるtanδのピークの温度である。エポキシ基、フェノール基、アリル基を有した樹脂を併用した場合は、混合した状態で上記に示した条件にそって、それぞれの官能基が硬化反応する疑似樹脂を調製し、そのガラス転移温度を測定する。
【0038】
プリント配線基板のマトリックス樹脂のガラス転移温度は、用途により異なるが130℃〜300℃であり、処理樹脂のガラス転移温度が130℃未満の場合、接着強度の向上は認められても、ハンダ耐熱性の低下を生じる為、処理樹脂のガラス転移温度は130℃以上である必要があり、好ましくは135℃以上、より好ましくは140℃以上である。処理樹脂のガラス転移温度の上限は限定されるものではないが、一般にガラス転移温度が高いほど接着性が低下する傾向にあるため、350℃以下が好ましく、325℃以下であればより好ましい。
また、接着性、靱性を処理樹脂に付与するため、単体の硬化物のガラス転移点が130℃未満の樹脂であっても、処理樹脂としてガラス転移点が130℃以上になる範囲で官能基を有する化合物を混合することが可能である。例えば、この官能基を有する化合物としては、次の一般式(22)で示されるビスフェノールA、及び/又はテトラブロモビスフェノールAを原料とするエポキシ基を有する化合物を例示することができる。
【0039】
【化22】
一般式(22)
【0040】
【化23】
また、次の一般式(23)、(24)、(25)で示される化合物などが例示される。
一般式(23)
【0041】
【化24】
一般式(24)
【0042】
【化25】
一般式(25)
【0043】
また、靱性向上、低吸湿性を処理樹脂に付与するために、処理樹脂のガラス転移点が130℃以上の範囲で、処理樹脂に熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては、マトリックス樹脂と反応する官能基がない熱可塑性樹脂、反応する官能基を有する熱可塑性樹脂の何れも、使用することができる。特に、熱可塑性樹脂自体のガラス転移温度が130℃以上の熱可塑性樹脂を処理樹脂に混合することで、マトリックス樹脂の耐熱性に悪影響を与えず、処理樹脂の低吸湿性、靱性向上による効果が顕著となり、ハンダ耐熱性、接着性が向上する。この為、処理樹脂に熱可塑性樹脂を配合する場合には、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が130℃以上であることが好ましく、より好ましくは150℃以上である。130℃以上のガラス転移点を有する熱可塑性樹脂としては、次の一般式(26)、(27)、(28)、(29)、(30)、(31)、(32)で示される熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0044】
【化26】
一般式(26):ポリフェニレンエーテル
【0045】
【化27】
一般式(27):変性ポリフェニレンエーテル
【0046】
【化28】
一般式(28):ポリフェニレンサルファイド
【0047】
【化29】
一般式(29):ポリスルホン
【0048】
【化30】
一般式(30):ポリエーテルスルフォン
【0049】
【化31】
一般式(31):ポリアリレート
【0050】
【化32】
一般式(32):芳香族ポリアミド
【0051】
その中でも吸湿性の低いポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレートが好ましく、特にポリフェニレンエーテルが好ましい。
処理樹脂にガラス転移点が130℃以上の熱可塑性樹脂を配合する場合、その配合量は処理樹脂の総量:100重量部に対して、5重量部以上70重量部以下が好ましく、10重量部以上60重量部以下であればより好ましい。熱可塑性樹脂が5重量部未満では靱性向上、低吸湿効果は現れず、70重量部を越えるとマトリックス樹脂と処理樹脂の反応が乏しくなるため、接着力の低下が起こるので熱可塑性樹脂の配合量は、処理樹脂の総量:100重量部に対して、5重量部以上70重量部以下が好ましい。
【0052】
(C)シランカップリング剤
本発明に使用できるシランカップリング剤は、次の一般式(33)で示されるシラン化合物で示されるシランカップリング剤を使用することができる。
【0053】
【化33】
一般式(33)
【0054】
式中Xはアルコキシ基、Yは官能基、Rは炭素数6以下の炭化水素基、nは0又は1を表わす。アルコキシ基としては、何れの形態も使用でき、ガラスクロスへの安定処理化のためには、炭素数5以下のアルコキシ基が好ましい。以下は、具体的に使用できるシランカップリング剤の例である。これらは、単体でも、混合物でも用いることができる。
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、
N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、
N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、
N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン及びその塩酸塩、
N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、
N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−N−γ−(N−ビニルベンジル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、
N−β−(N−ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、
N−β−(N−ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)−N−γ−(N−ビニルベンジル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
【0055】
シランカップリング剤の選択は特に限定されるものではないが、処理樹脂との反応、マトリックス樹脂の硬化反応を考慮し、選択することが好ましい。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の場合、処理樹脂にエポキシ基、フェノール基を有する樹脂を選択し、シランカップリング剤の官能基としてはアミノ基、エポキシ基、メルカプト基を有するシランカップリング剤を選択するのが好ましい。また、マトリックス樹脂がエポキシアクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアネート等の、ラジカル重合により硬化するマトリックス樹脂の場合、処理樹脂にアリル基を有する樹脂を選択することが好ましく、シランカップリング剤の官能基としては、ビニルベンジル基、メタクリル基、アクリル基、アミノ基を有するシランカップリング剤を選択することが好ましい。
【0056】
(D)表面処理方法
本発明では、ガラスクロスにシランカップリング剤、処理樹脂を表面処理する手順として、ガラスクロスにシランカップリング剤を処理した後、処理樹脂を処理する手順、ガラスクロスにシランカップリング剤と処理樹脂を混合処理液化し同時に処理する手順、さらにガラスクロスにシランカップリング剤を処理した後、シランカップリング剤と処理樹脂を混合処理液化し同時に処理する手順で処理することができる。
ガラスクロスにシランカップリング剤及び処理樹脂を処理する際には、処理樹脂を溶媒に溶解又は分散させた処理液(以下処理液)を処理し、乾燥して溶媒成分を除去する方法が好ましい。溶媒は、水、有機溶媒等が使用でき限定されるものではないが、安全性、地球環境保護の観点から、水を主溶媒として用いることが好ましい。
【0057】
処理樹脂の処理液を得る方法において、水を主溶媒として処理液を得る場合、予め処理樹脂に界面活性剤を添加して乳化した処理樹脂の乳化液を水で希釈して処理液を得る方法、処理樹脂に界面活性剤を添加し、直接、又は水溶性有機溶媒に溶解した後、水に投入し処理液を得る方法等、何れの方法も可能である。さらに、粉体状の処理樹脂を水に分散させたディスパージョン状態の処理液を使用することも可能である。処理樹脂の処理液が、水中に樹脂の粒子が乳化、粉体で分散されている場合、糸束内部への処理樹脂液の浸透を考慮して、その最大粒子径は50μm以下が好ましく、40μm以下であればより好ましい。また、最小の粒子経は特に限定されるものではないが、水分散状態で処理樹脂の官能基と水との接触による劣化を抑制する意味で、10nm以上が好ましく、20nm以上であればより好ましい。
【0058】
シランカップリング剤の水を主溶媒として処理液を得る方法としては、直接水に投入す
る方法、水溶性有機溶媒に溶解した後、水に投入し処理液を得る方法等、何れの方法も可能である。また、シランカップリング剤の処理液の水分散性安定性を向上させるために、界面活性剤を併用することも可能である。処理液中のシランカップリング剤、処理樹脂濃度は特に限定されるものではなく、塗布方法により適した濃度を選択する必要がある。
処理液を、ガラスクロスに塗布する方法には、(a)処理液をバスに溜め、ガラスクロスを通過させた後、ガラスクロスに処理液が所定量含浸、塗布されるようにスリット、又はマングルで余剰処理液を除去し一定量の処理液塗布量を得る方法、(b)ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等でガラスクロスに直接一定量の処理液を含浸、塗工する方法、等が可能である。
【0059】
また、ガラスクロスに処理液を塗布した後、溶媒を乾燥させる方法としては、熱風、電磁波、等公知の方法が可能であり、特に適用方法が限定されるものではない。加熱乾燥する場合の、ガラスクロスの温度も特に限定されるものではないが、シランカップリング剤のガラスとの反応を考慮して、90℃以上が好ましく、100℃以上であればより好ましい。また、加熱乾燥する場合、シランカップリング剤の官能基、処理樹脂のエポキシ基、フェノール基、アリル基の劣化を考慮して、300℃以下が好ましく、200℃以下であればより好ましい。
【0060】
本発明では、処理されたガラスクロスの状態で、処理樹脂とシランカップリング剤を含む表面処理剤組成物の付着量がガラスクロス全体に対する重量分率:0.10重量%以上1.00重量%未満である必要がある。表面処理剤組成物の付着量が0.10重量%未満では、界面への処理樹脂の効果が得られず、1.0重量%以上ではマトリックス樹脂の高弾性率化、高耐熱化、電気特性向上等のマトリックス樹脂特有の特性向上に影響を及ぼす為、表面処理剤組成物の付着量は重量分率:0.10重量%以上1.00重量%未満である必要があり、0.12重量%以上0.90重量%未満であれば好ましく、0.13重量%以上0.80重量%未満であればより好ましい。
【0061】
本発明では、処理されたガラスクロスの状態で、シランカップリング剤と処理樹脂のそれぞれの付着量は特に限定されるものではないが、シランカップリング剤の官能基と処理樹脂のエポキシ基、フェノール基、アリル基が反応し、マトリックス樹脂との反応性が低下することを考慮し、シランカップリング剤100重量部に対し、処理樹脂50重量部以上1000重量部未満であることが好ましく、処理樹脂75重量部以上500重量部未満であればより好ましい。
表面処理剤組成物のガラスクロス全体に対するの付着量の確認方法としては、処理ガラスクロスを110℃20分間乾燥後の重量(乾燥重量)と、630℃20分間加熱処理剤焼却後の重量(焼却後重量)の差から次の式(1)で確認する方法(焼却重量測定)が可能である。
【0062】
【数1】
【0063】
(E)プリプレグの調製
本発明のプリプレグは、前述の表面処理を施されたガラスクロスに、浸漬、搾液等の常法手段を用いて、処理樹脂よりもガラス転移温度が高いマトリックス樹脂のワニスを所定量飽充させ、所定の乾燥を経て、調製される。
プリプレグは、所望枚数重ねて、所望の面に所定の厚みをもつ銅箔を貼付した後、加圧加熱を適用して積層しプリント配線基板に加工される。
【0064】
【実施例】
以下に詳述する本発明の実施例及び比較例は、本発明の着想を具体的に説明するものであって、本発明を限定するものではない。
(ガラスクロス)
焼却法により製織用集束剤を除去したスタイル2116(旭シュエーベル(株)製)を使用した。
【0065】
・シランカップリング剤処理ガラスクロスの調製
ガラスクロスを、酢酸:0.5重量%、N−β−(N−ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(商品名:SZ6032、東レダウコーニング株式会社製)0.5重量%を水に溶解したシランカップリング剤処理液に浸漬した後、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤処理ガラスクロスを得た。
【0066】
・樹脂処理液用混合界面活性剤の調製
HLB値が18.8のノニルフェノールのエチレンオキシド付加物(商品名:ノニポール(登録商標)800、三洋化成株式会社製)、HLB値が13.3のノニルフェノールのエチレンオキシド付加物(商品名:ノニポール(登録商標)100、三洋化成株式会社製)、HLB値が8.9のノニルフェノールのエチレンオキシド付加物(商品名:ノニポール(登録商標)40、三洋化成株式会社)をそれぞれ、重量比で同量を混ぜた混合界面活性剤を調製した。
【0067】
実施例1
(1)樹脂予備溶解液の調製
o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:180℃商品名:エピコート(登録商標)180S65、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、上記混合界面活性剤を5重量部添加して樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0068】
実施例2
(1)樹脂予備溶解液の調製
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:160℃、商品名:HP−7200、大日本インキ化学工業株式会社)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0069】
実施例3
(1)樹脂予備溶解液の調製
ナフタレン型エポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:150℃商品名:HP−4032、大日本インキ化学工業株式会社)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0070】
実施例4
(1)樹脂予備溶解液の調製
ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:160℃、商品名:ESN−170、新日鐵化学株式会社)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0071】
実施例5
(1)樹脂予備溶解液作成
ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:160℃、商品名:ESN−170、新日鐵化学株式会社)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を作成した。
(2)樹脂処理液作成
水を撹拌しながら、樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で2.40重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調整した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂が処理され、表面処理を形成する有機物の付着量がガラスクロスに対して0.500重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0072】
実施例6
(1)樹脂予備溶解液の調製
(a)ナフタレン型エポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:150℃、商品名:ESN−170、新日鐵化学株式会社)70重量部と、(b)ビスフェノールA型エポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:125℃ 商品名:エピコート(登録商標)1001、ジャパンエポキシレジン株式会社)30重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。このとき、(a)、(b)の混合物のガラス転移温度は140℃であった。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0073】
実施例7
(1)樹脂予備溶解液の調製
ナフタレン型エポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:150℃商品名:HP−4032、大日本インキ化学工業株式会社)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.50重量%になるように水に添加して水分散液化し、高分子型界面活性剤(ディスコート(登録商標)N−14、第一工業製薬(株)製)を0.05重量%添加した後、JIS・Z8801の目の開き20ミクロンを通過するポリフェニレンエーテル粉末(ガラス転移温度:210℃、数平均分子量7000)を0.50重量%添加して、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂、及びガラス転移温度が210℃である熱可塑性樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.300重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0074】
実施例8
(1)樹脂予備溶解液の調製
ポリ−パラ−ビニルフェノール(硬化物ガラス転移温度:190℃ 商品名:マルカリンカ(登録商標)−M、丸善石油化学株式会社)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でフェノール基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0075】
実施例9
(1)樹脂処理液の調製
自己乳化型−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:180℃、商品名:エピレッツ(登録商標)6006W70、ジャパンエポキシレジン株式会社)を、水を撹拌しながら、樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散樹脂処理液を調製した。
(2)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(1)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0076】
実施例10
(1)樹脂予備溶解液の調製
ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸(硬化物ガラス転移温度:180℃、商品名:DA−MGIC、四国化成工業株式会社)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.50重量%になるように水に添加して水分散液化し、高分子型界面活性剤(ディスコート(登録商標)N−14、第一工業製薬(株)製)を0.05重量%添加した後、JIS・Z8801の目の開き20ミクロンを通過するポリフェニレンエーテル粉末(ガラス転移温度:210℃ 数平均分子量7000)を0.50重量%添加して、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基とアリル基を有する樹脂、及びガラス転移温度が210℃である熱可塑性樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.300重量%である表面処理ガラスクロスを得た。
【0077】
実施例11
(1)樹脂予備溶解液の調製
B−a型ベンゾオキサジン(硬化物ガラス転移温度:180℃、商品名:B−a型ベンゾオキサジン、四国化成工業株式会社)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上で潜在型のフェノール基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0078】
実施例12
(1)樹脂予備溶解液の調製
イソフタル酸ジアリルのプレポリマー(硬化物ガラス転移温度:250℃、商品名:ダイソーイソダップ(登録商標)、ダイソー株式会社製)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でアリル基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物付着量がガラスクロスに対して0.200重量%である本発明のガラスクロスを得た。
【0079】
比較例1
シランカップリング剤処理ガラスクロスを流水で洗浄し、再度125℃で10分間乾燥させて、樹脂が処理されていないシランカップリング剤処理ガラスクロスを得た。
比較例2
(1)樹脂予備溶解液の調製
o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:180℃商品名:エピコート(登録商標)180S65、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.10重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.070重量%であるガラスクロスを得た。
【0080】
比較例3
(1)樹脂予備溶解液の調製
o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:180℃、商品名:エピコート(登録商標)180S65、ジャパンエポキシレジン株式会社製)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で5.00重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して1.500重量%であるガラスクロスを得た。
【0081】
比較例4
(1)樹脂予備溶解液の調製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(硬化物ガラス転移温度:125℃ 商品名:エピコート(登録商標)1001 ジャパンエポキシレジン株式会社製)100重量部を、300重量部のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ、該混合界面活性剤を5重量部添加した樹脂予備溶解液を調製した。
(2)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、(1)の樹脂予備溶解液を該樹脂固形分濃度で0.80重量%になるように水に添加して水分散液化し、樹脂処理液を調製した。
(3)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(2)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が125℃でエポキシ基を有する樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%であるガラスクロスを得た。
【0082】
比較例5
(1)樹脂処理液の調製
水を撹拌しながら、高分子型界面活性剤(ディスコート(登録商標)N−14、第一工業製薬(株)製)を0.05重量%添加した後、JIS・Z8801の目の開き20ミクロンを通過するポリフェニレンエーテル粉末(ガラス転移温度:210℃ 数平均分子量7000)を0.80重量%添加して、樹脂処理液を調製した。
(2)樹脂処理
シランカップリング剤処理ガラスクロスを(1)の樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃以上でマトリックス樹脂と反応する有機官能基のない樹脂で処理され、表面処理剤組成物の付着量がガラスクロスに対して0.200重量%であるガラスクロスを得た。
【0083】
ガラスクロスの使用例
(1)ガラスクロスを使用した樹脂積層板の特性評価方法)
<1>エポキシ樹脂積層板調製
1−1.エポキシ樹脂ワニス調製
第1表に示す組成のエポキシ樹脂ワニスを調製した。樹脂はすべてジャパンエポキシレジン株式会社製(登録商標)である。
【0084】
【表1】
【0085】
1−2.プリプレグ調製
1−1.の樹脂ワニスに、ガラスクロスを浸漬し、0.35mmの隙間のスリットで余剰樹脂ワニスを掻き落とし、170℃で3分間乾燥しエポキシ樹脂プリプレグを得た。
1−3.積層板の成型
プリプレグを4枚重ね、その両表層に厚さ18μmの銅箔を重ねて、190、120M・Paの条件で180分間加圧加熱成形し、厚さ0.8mmの両面銅張り積層板を調製した。
【0086】
<2>ジアリルフタレート樹脂積層板の調製
2−1.樹脂ワニスの調製
第2表に示す組成のジアリルフタレート樹脂ワニスを調製した。
【0087】
【表2】
【0088】
2−2.プリプレグの調製
2−1.の樹脂ワニスに、ガラスクロスを浸漬し、0.35mmの隙間のスリットで余剰樹脂ワニスを掻き落とし、90℃で5分間乾燥しジアリルフタレート樹脂プリプレグを得た。
2−3.積層板の成型
プリプレグを4枚重ね、その両表層に厚さ18μmの銅箔を重ねて、190℃、120M・Paの条件で180分間加圧加熱成形し、厚さ0.8mmの両面銅張り積層板を調製した。
【0089】
<3>吸湿ハンダ耐熱性の評価
3−1.サンプルの調製
積層板の銅箔をエッチングにより除去、水洗した後、50mm×50mmに切断し、130℃で2時間加熱乾燥した。
3−2.吸湿
40℃で関係湿度90%の条件に一定時間暴露した。
3−3.ハンダ試験
288℃の溶融ハンダに20秒間浸漬した際の発生する欠点状況を、○:変化無し、△:小さなフクレ発生、×:フクレ発生に分類、評価した。
【0090】
<4>層間剥離強度の評価
4−1.サンプル形状
積層板をガラスクロスの横糸方向(幅)1cm×経糸方向(長さ)15cmに切断した。
4−2.サンプルの調製
4−1.のサンプルのガラスクロス4層からなる積層板の片側最外層のガラスクロス1層と2層の間をカッターナイフを用いて長さ方向5cm剥離させた。
4−3.強度の測定
オートグラフ(島津製作所株式会社製 登録商標)を用いて、5.0cm/分の速度で90度方向に、4−2で剥離した最外層側を5.0cm剥離させた際の強度を測定した。出力強度は、高低のピークを有する波形状を示すため、最低点からの5点と、最高点からの5点のピーク値の平均値とした。
【0091】
<5>積層板のガラス転移温度の評価
5−1.サンプルの調製
積層板の銅箔をエッチングにより除去、水洗した後、ガラスクロスの横糸方向10mm×経糸方向50mmに切断し、130℃で2時間加熱乾燥した。
5−2.ガラス転移温度の測定
RDAII(レオメトリックス(株)製)で、昇温速度3℃/分で粘弾性挙動を測定し、tanδのピークの現れる温度をガラス転移温度とした。
実施例1〜10、比較例1〜5におけるエポキシ樹脂積層板の試験結果を第3表〜第6表に、実施例9、実施例11,比較例1におけるジアリルフタレート樹脂積層板の評価結果を第7表にそれぞれ示す。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
第3表、第4表、第5表、第5表、第6表及び第7表において明らかなように、実施例1〜12で得られた、表面処理剤組成物が従来のシランカップリング剤に加えて、(a)硬化物のガラス転移温度が130℃以上の樹脂で(b)マトリックス樹脂と反応するエポキシ基、フェノール基、アリル基から選ばれる1種以上の官能基を有した樹脂、又はそれらの混合樹脂を含有する樹脂を主成分とした処理樹脂で構成され、(c)該表面処理剤組成物がガラスクロス全体に対する重量分率:0.10重量%以上、1.00重量%未満の範囲で付着した本発明のガラスクロスを使用して調製された積層板は、比較例1のシランカップリング剤を主成分とし、処理樹脂が含有されていない処理液で処理されたガラスクロスを使用した積層板、比較例2の表面処理剤組成物がガラスクロスに対する重量分率:0.10重量%未満で付着されたガラスクロスを使用した積層板、比較例3の表面処理剤組成物がガラスクロスに対する重量分率1.00重量%以上付着されたガラスクロスを使用した積層板、比較例4のシランカップリング剤と硬化物のガラス転移温度が130℃未満の樹脂で処理されたガラスクロスを使用した積層板、比較例5の表面処理剤組成物が、従来のシランカップリング剤に加えて、(a)硬化物のガラス転移温度が130℃以上の樹脂で(b)マトリックス樹脂と反応する官能基を持たない樹脂を主成分とした有機物で構成されているガラスクロスを使用した積層板に比較して、積層板ハンダ耐熱性、層間剥離強度に優れており、なおかつ積層板のガラス転移温度の低下も認めらない。
以上の比較から、本発明のガラスクロスを使用することで、積層板の諸特性を向上させながら、かつマトリックス樹脂の特徴的性能が損なわれない積層板が生産できることが理解される。
【0098】
【発明の効果】
本発明のガラスクロスは、高弾性率、高ガラス転移温度マトリックス樹脂を用いるプリント配線基板におけるマトリックス樹脂の機械的強度を維持したままガラスクロスとの接着性を高めて、プリント配線基板のスルーホール加工、はんだ付け加工等の加工性能を高める表面処理ガラスクロスである。本発明のガラスクロスを用いることで、プリント配線基板を構成するマトリックス樹脂の高弾性率化、極性官能基の低減化、高ガラス転移温度化の結果として誘発されるi)機械加工時のクラック発生、ii)ハンダ耐熱性低下を抑制することができるので、高度な特性と、基本特性を兼ね備えたプリント配線基板を得ることができる。
Claims (5)
- 表面処理されたガラスクロスにおいて、シランカップリング剤と、硬化物のガラス転移温度が140℃以上、かつマトリックス樹脂と反応するエポキシ基、フェノール基、アリル基から選ばれる1種以上の官能基を有する処理樹脂又は処理混合樹脂とを主成分とする表面処理剤組成物で処理され、該表面処理剤組成物の付着固形分が表面処理されたガラスクロス全体に対する重量分率で0.10重量%以上、1.00重量%未満で付着されてなることを特徴とするプリント配線基板用ガラスクロス。
- 表面処理されたガラスクロスにおいて、処理樹脂を含む組成物が、硬化物のガラス転移温度が140℃以上の熱硬化性樹脂と、ガラス転移温度130℃以上の熱可塑性樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板用ガラスクロス。
- 表面処理されたガラスクロスにおいて、表面処理が、シランカップリング剤と、硬化物のガラス転移温度が140℃以上のナフトールアラルキル型エポキシ樹脂を含む処理樹脂とから形成される表面処理剤組成物で行われ、かつ表面処理剤組成物の付着量が表面処理されたガラスクロス全体に対する重量分率で0.10重量%以上、1.00重量%未満で付着されてなることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板用ガラスクロスガラスクロス。
- 表面処理されたガラスクロスにおいて、表面処理が水を主溶媒として、(1)予め処理樹脂に界面活性剤を添加して乳化した処理樹脂の乳化液を水で希釈して得た処理液、(2)処理樹脂に界面活性剤を添加し直接又は水溶性有機溶媒に溶解した後、水に投入して得た処理液、または(3)粉体状の処理樹脂を水に分散させたディスパージョン状態の処理液、のいずれかで処理されていることを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3のいずれかに記載されたプリント配線基板用ガラスクロス。
- プリント配線基板に用いるプリプレグにおいて、請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載された表面処理されたプリント配線基板用ガラスクロス及びガラスクロスに付着している処理樹脂よりもガラス転移温度が高いマトリックス樹脂からなることを特徴とするプレプリグ。
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