JP3897577B2 - ガラスクロス及びその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特にプリント配線板用として使用されるガラスクロス、及び該ガラスクロスの製造法に関するものである。特に本発明は絶縁信頼性を特に要求する層間厚みの薄いプリント配線板用として使用されるガラスクロス、及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器に使用されるプリント配線板においてパターン間及び層間等の絶縁信頼性が極めて重要な因子として要求される。
絶縁信頼性に関する現象として、これまで取り上げられてきた、基材として用いられるガラスクロス関連の問題は主として下記の3項目が上げられる。
1)基板を形成するガラスクロスの糸束中の樹脂未含浸部分であるボイドに起因する絶縁不良
2)ドリル加工など機械的加工時に発生する応力によりガラスクロス界面等に発生するクラックを起因とする絶縁不良
これらはいずれもメッキ液の侵入、水分の侵入により引き起こされると考えられる。
3)樹脂とガラス界面の不適合によって発生する、長期的な加温、加湿、通電などによって発生する界面導通。いわゆるCAF現象
【0003】
これら問題に対して、ガラスクロスへの開繊加工の実施、ガラスクロス表面処理の適化等の工夫により、ボイドの発生を低減し、ガラスクロスとマトリックス樹脂との接着性を改善するなどし、絶縁信頼性の向上を図ってきた。
しかしながら、最近の電子機器の軽薄短小化の中で、該機器に使用されるプリント配線板の厚みも必然的に薄型化することが要求されており、特にこのような分野で使用される多層板の層間厚みはより薄型化が要求されている。また、一方で、配線の高密度化も進み、パターン間の間隔が極めて狭くなってきている。このように、最近のプリント配線板では層間及びパターン間の絶縁信頼性確保が重要な課題となってきている。
【0004】
通常、ガラスクロス使いでプリント配線板の層間を形成する場合、ほとんどが絶縁信頼性のために、各層の最外部には5〜10μmの樹脂層を配置するように設計される。これはガラスクロスとパターン回路との接触を防ぐことを目的の一つとしており、銅箔のピール強度を向上させる目的で、銅箔のプロファイルが長い場合、特に問題視されるようになる。また、層を形成するガラスクロスが1枚の場合、層間の絶縁性を確保するために、ガラスクロス表層の樹脂厚みは重要な制御因子となる。
最近の層間の薄型化により、薄いガラスクロスへの要求があると同時に、さらに薄型化のために層間を形成するマトリックス樹脂の量を減らす必要がでてきた。そのため、基材であるガラスクロスと回路を形成する主として銅パターンとの接触、または極近接化による絶縁破壊が極めて問題となってきている。
すなわち、図1に示される独立した回路パターンA、B、Cにおいて、層間を形成するガラスクロスと各回路パターンA、B、Cの接触、または極近接化により、層間A−B間、B−C間、及び表面のA−C間の絶縁性が問題となってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決することを目的とするものである。すなわち、ガラスクロスと回路パターンの接触及びまたは極近接に対しても、パターン間のZ方向及びXY方向の絶縁信頼性を維持するプリント配線板用ガラスクロス及びその製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ガラスクロス表面にCステージ化した樹脂層を形成することで、後のプリプレグ工程及び積層成型の工程で、薄型化のために樹脂量を減らした場合でも、絶縁信頼性を維持することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は:
1)ガラスクロスと回路を形成する銅箔との最近接間隔が5μm以下であるプリント配線板用ガラスクロスであって、該ガラスクロスが付着量0.1〜15重量%のCステージ化された樹脂によりコーティングされていることを特徴とするプリプレグ用ガラスクロス
2)該Cステージ化された樹脂のガラス転移温度が100℃以上であること特徴とする1)記載のプリプレグ用ガラスクロス
3)該Cステージ化された樹脂がカップリング機能を有する処理剤で表面処理されていることを特徴とする1)又は2)に記載のプリプレグ用ガラスクロス
4)該ガラスクロスの製造方法であって、水溶性、及び/または水分散性の熱硬化性樹脂をコーティングし、該樹脂をCステージ化することを、特徴とする1)〜3)のいずれかに記載プリプレグ用ガラスクロスの製造方法
5)ガラスクロスとマトリックス樹脂からなるプリプレグに銅箔を重ねて成形した積層板であって、ガラスクロスと回路を形成する銅箔との最近接間隔が5μm以下であり、該ガラスクロスが1)〜3)のいずれかに記載のプリプレグ用ガラスクロスであることを特徴とする積層板、である。
【0007】
また、以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における樹脂とは、熱硬化性樹脂、または熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との混合物を意味し、例えば、エポキシ基を有する化合物を、アミン基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、フェノール基を有する化合物、イミダゾール基を有する化合物、ジシアンジアミド、ヒドラジド基を有する化合物、酸無水物、カルボキシル基を有する化合物等で硬化させるエポキシ樹脂;エポキシアクリレートや不飽和ポリエステルを、熱重合及び/またはベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物で硬化させる樹脂;水酸基及び/またはアミノ基を有する化合物を、イソシアネート基を有する化合物により硬化させるウレタン樹脂;メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂等が挙げられる。
【0008】
更に、本発明に使用できる樹脂の形態は特に限定されるものではなく、溶剤希釈系の樹脂や、樹脂成分の分子骨格内に親水性基を有する水溶性樹脂や;親水基を持たない樹脂に乳化剤を加え強制的に乳化した水分散樹脂のいずれも使用できる。例えば、水溶性及び/または水分散性エポキシ基を有する化合物を水溶性及び/または水分散性のアミン化合物、ブロックイソシアネート化合物、フェノール化合物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、ヒドラジド基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物等で硬化させるエポキシ樹脂;水溶性及び/または水分散性エポキシアクリレートや不飽和ポリエステルを、熱重合及び/またはベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物で硬化させる樹脂;水溶性及び/または水分散性の水酸基及び/またはアミノ基を有する化合物を水溶性及び/または水分散性ブロックイソシアネートにより硬化させるウレタン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0009】
本発明でいう樹脂のCステージ化状態とは、樹脂を10.0〜15.0重量%含浸、付着、硬化させたガラスクロスを5cm角に切断し、25℃のアセトン100mLに10分浸漬後、100℃で乾燥させたときの、ガラスクロスの重量減少率が1.0%以下の状態まで樹脂が硬化した状態を意味する。ガラスクロスにコ−ティングさせた樹脂(以下、コ−ティング樹脂という。)がCステージ化していない場合、ガラスクロス使い樹脂プリント配線板用プリプレグ製造工程時にガラスクロス糸束内のコ−ティング樹脂がプリプレグ用のマトリックスとなる樹脂(以下、マトリックス樹脂という。)に混入したり、ガラスクロス糸束内のコ−ティング樹脂が経時変化を起こして、安定したプリプレグの製造ができない等の問題を生じる恐れがある。また、マトリックス樹脂塗工時に該マトリックス樹脂の希釈溶剤により、また後の積層成型工程時に熱及び圧力により、該コーティング樹脂が溶解したり、形成したコーティング被膜が薄くなるなど、絶縁効果を損なう可能性がある
【0010】
また、本発明においてコ−ティング樹脂のガラス転移温度は100℃以上であることが好ましい。ここでいうガラス転移温度とは、樹脂を5.0〜15.0重量%含浸、付着させたガラスクロスを、RDAII〔レオメトリックス(株)製〕で粘弾性挙動を測定したtanδのピークの示す温度を意味する。ガラス転移温度が100℃未満の樹脂では、ガラスクロス使い樹脂プリント配線板の基本的性能である吸湿耐熱性、電食性の低下が生じるため、コ−ティング樹脂のガラス転移温度は100℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上、さらに130〜250℃であることが望ましい。
さらに、コーティング樹脂はガラスクロス糸束内部に含浸させ、ガラス繊維全体をコーティングさせる必要があり、その方法としては、浸漬法、噴霧法、バーコート法等の、任意の公知の方法でコーティング樹脂処理液を塗布する方法を採用できる。
【0011】
また、ガラスクロスに含浸させた後のコーティング樹脂処理液を乾燥、硬化する方法としては、熱風、電磁波、等公知の方法が可能であり、特に適用方法が限定されるものでは無い。
また、コーティング樹脂溶液を塗布する前にコロナ放電処理、プラズマ放電処理等の前処理をガラスクロスに行うと、ガラス表面が活性化され、ガラスクロスを構成する糸束内部へのコーティング樹脂溶液の浸透が改善され、該樹脂の含浸性が改善される。例えば、コロナ放電処理の場合、印荷電力が0.1kW〜40.0kW、好ましくは0.3kW〜20.0kW、周波数が1kHz〜120kHz、好ましくは5kHz〜50kHz、処理時間は少なくとも、0.05秒〜5秒、好ましくは0.1秒〜3秒である。
【0012】
さらに、乾燥前及び/または乾燥中にコーティング樹脂付着ガラスクロスをプレスロールにより加圧したり、減圧装置内で脱泡するようにして強制含浸を行うこともできる。この際、用いられるコーティング樹脂処理液は、樹脂を有機溶媒に溶解させた液、樹脂を水に溶解させた液、樹脂に乳化剤を加え強制的に有機溶媒及び/または水に乳化分散させた液、無希釈樹脂の液状樹脂、常温で固形の樹脂を熱で溶解させた液等が使用できる。本発明において、コーティング樹脂として水溶性及び/または水分散性の熱硬化性樹脂の使用は、ガラスクロスを構成する糸束内への該樹脂の含浸に必要な粘度の樹脂液が水希釈により得られ、乾燥、加熱工程における排気物も水蒸気のみであることから、従来の有機溶剤で溶解または分散させた熱硬化性樹脂とは異なり、安全で、環境への悪影響がなく、かつ作業環境の向上につながるものである。
【0013】
また、コーティング樹脂のガラスクロスへの付着量(ガラスクロス重量に対して)は、ガラスクロスの糸使い、織り密度によっても異なるが、0.1〜15.0重量%、好ましくは0.5〜5.0重量%である。該樹脂のガラス繊維への付着量が0.1重量%未満であると、ガラス表面のコーティング樹脂層厚みが薄く、絶縁効果が不十分であり、15.0重量%より多いとガラスクロス糸束の外まで完全にコーティング樹脂に覆われてしまうため、マトリックス樹脂を塗工することができなくなる。
コーティング樹脂のガラスクロスへの付着量(ガラスクロス重量に対して)を0.1〜15.0重量%とすることにより、このガラスクロスを用いて作製したプリント配線板において、ガラスクロスと回路を形成する銅箔との最近接間隔を5μm以下(但し、該最近接間隔は、ガラスクロス表面を被覆するコーティング樹脂厚み以上である。)とすることができ、これにより優れた絶縁効果を維持しつつ薄層化が達成される。
【0014】
また、コーティング樹脂とマトリックス樹脂との接着性改良のため、コーティング樹脂とマトリックス樹脂との両方に反応性を有する化合物、いわゆるカップリング機能を有する処理剤で表面処理することも好ましい。カップリング機能を有する処理剤の使用量は、ガラスクロスの重量に対して、1.0重量%以下、好ましくは0.5〜0.02重量%が望ましい。表面処理に使用できる化合物としては、コーティング樹脂とマトリックス樹脂の双方に反応性を有するものであれば特に限定されず、例えば、コーティング樹脂及びマトリックス樹脂がそれぞれエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂のいずれかの組み合わせである場合に、
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、
N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン等のシラン化合物:ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン等のアミン化合物:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールのジグリシジル化物:ソルビトールのポリグリシジル化物、等のグリシジル化合物の単体または混合物が使用できる。
【0015】
コーティング樹脂がエポキシアクリレートや不飽和ポリエステルを、熱重合及び/またはベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物で硬化させる樹脂で、かつマトリックス樹脂がエポキシアクリレートや不飽和ポリエステルを、熱重合及び/またはベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物で硬化させる樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂のいずれかの組み合わせである場合には、
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン等のシラン化合物:ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン等のアミン化合物:アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ジグリシジルビスフェノールAジアクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、等のアクリル酸塩類モノマー:メタクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、ジグリシジルビスフェノールAジメタクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリル酸塩類モノマー:等の化合物の単体または混合物が使用できる。
【0016】
コーティング樹脂とマトリックス樹脂双方を反応性を有する化合物で処理する方法としては、浸漬法、噴霧法、バーコート法等の任意の公知の表面処理方法が採用できる。
その後の乾燥方法としては、熱風、電磁波等公知の方法が適用可能であり、特に適用方法が限定されるものでは無い。
また、ガラスクロス糸束内部に含浸させるコーティング樹脂とガラスとの接着性を向上させるため、コーティング樹脂をガラスクロス糸束内部に含浸させる前にガラスクロスに予めシラン化合物処理を施したり、含浸させる際のコーティング樹脂液にシラン化合物を混合しても良い。
【0017】
このとき使用できるシラン化合物としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン等のシラン化合物が使用できる。
【0018】
さらに、本発明のガラスクロスに、柱状流或いは高周波振動法による水流で開繊加工することも可能である。さらに、本発明に適用するガラスクロスは、Eガラス、Aガラス、Dガラス、Sガラス等のいずれのガラスクロスでも良い。また、ガラスクロスとしては、織り密度は10〜200本/25mm、好ましくは15〜100本/25mmであり、質量は5〜400g/m2 、好ましくは10〜300g/m2 である。織り組織は平織り、朱子織り、綾織り、ななこ織り等が使用できる。また、双方または一方がテクスチャード加工を施されたガラス繊維で製織されたガラスクロスであっても良い。
【0019】
次に実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(ガラスクロス)
焼却法により製織用集束剤を除去したスタイル2116(旭シュエ−ベル株式会社製)を使用した。
(シランカップリング剤処理ガラスクロス)
ガラスクロスを、酢酸0.5重量%とN−β−(N−ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(商品名:SZ6032 東レダウコ−ニング株式会社 登録商標)0.5重量%とを水に溶解したシランカップリング剤処理液に浸漬した後、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤処理ガラスクロスを得た。
【0020】
【実施例1】
1)予備樹脂処理液
4,4‘−ジアミノジシクロヘキシルメタン(試薬 BASF株式会社製)11.0gを、N,N−ジメチルホルムアミド50.0gに溶解させ、これにHLB値が13.3のノニルフェノ−ルのエチレンオキシド付加物(商品名:ノニポ−ル100 三洋化成株式会社 登録商標)1.0gを添加した溶液を、攪拌中の800gの水に添加し、乳化液を得た。
2)樹脂処理液
1)予備樹脂処理液を攪拌しながら、自己乳化型ビスフェノ−ルAエポキシ樹脂(商品名:エピレッツ3522W60 ジャパンエポキシレジン株式会社 登録商標)140gを添加して水分散液化し、樹脂処理液を得た。
3)樹脂処理ガラスクロス作製
シランカップリング剤処理ガラスクロスを2)樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、本発明のガラスクロスを得た。
【0021】
【実施例2】
1)予備樹脂処理液
4,4‘−ジアミノジシクロヘキシルメタン(試薬 BASF株式会社製)11.0gを、N,N−ジメチルホルムアミド50.0gに溶解させ、これにHLB値が13.3のノニルフェノ−ルのエチレンオキシド付加物(商品名:ノニポ−ル100 三洋化成株式会社 登録商標)1.0gを添加した溶液を、攪拌中の800gの水に添加し、乳化液を得た。
2)樹脂処理液
1)予備樹脂処理液を攪拌しながら、自己乳化型o−クレゾ−ルノボラックエポキシ樹脂(商品名:エピレッツ6006W70 ジャパンエポキシレジン株式会社 登録商標)140gを添加して水分散液化し、樹脂処理液を得た。
3)樹脂処理ガラスクロス作製
シランカップリング剤処理ガラスクロスを2)樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、本発明のガラスクロスを得た。
【0022】
【実施例3】
1)予備樹脂処理液
4,4‘−ジアミノジシクロヘキシルメタン(試薬 BASF株式会社製)5.0gを、N,N−ジメチルホルムアミド50.0gに溶解させ、これにHLB値が13.3のノニルフェノ−ルのエチレンオキシド付加物(商品名:ノニポ−ル100 三洋化成株式会社 登録商標)1.0gを添加した溶液を、攪拌中の870gの水に添加し、乳化液を得た。
2)樹脂処理液
1)予備樹脂処理液を攪拌しながら、自己乳化型o−クレゾ−ルノボラックエポキシ樹脂(商品名:エピレッツ6006W70 ジャパンエポキシレジン株式会社 登録商標)70gを添加して水分散液化し、樹脂処理液を得た。
3)樹脂処理ガラスクロス作製
シランカップリング剤処理ガラスクロスを2)樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、本発明のガラスクロスを得た。
【0023】
【実施例4】
1)樹脂処理液
o−クレゾ−ルノボラックエポキシ樹脂(商品名:エピコ−ト180S65B75 ジャパンエポキシレジン株式会社 登録商標)150g、4,4‘−ジアミノジシクロヘキシルメタン(試薬 BASF株式会社製)11.0gを、N,N−ジメチルホルムアミド840.0gに溶解し、樹脂処理液を得た。
2)樹脂処理ガラスクロス作製
シランカップリング剤処理ガラスクロスを1)樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、本発明のガラスクロスを得た。
【0024】
【実施例5】
1)樹脂処理液
800gの水を攪拌しこれに、エポキシアクリレ−ト樹脂の水分散物(昭和高分子株式会社製 リポキシEM−204)200g、硬化触媒として1,4(or1,3)−ビス((t−ブチルジオキシ)イソプロピル)ベンゼン(パ−ブチルP(登録商標)日本油脂(株)製)10gを添加して樹脂処理液を得た。
2)樹脂処理ガラスクロス作製
シランカップリング剤処理ガラスクロスを1)樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、樹脂処理ガラスクロスを得た。
3)カップリング剤処理
2)樹脂処理ガラスクロスを、酢酸0.5重量%とN−β−(N−ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(商品名:SZ6032 東レダウコ−ニング株式会社 登録商標)0.5重量%を水に溶解したシランカップリング剤処理液に浸漬した後、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させて、本発明のガラスクロスを得た。
【0025】
【比較例1】
ガラスクロスを、酢酸0.5重量%とN−β−(N−ジ(ビニルベンジル)アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩(商品名:SZ6032 東レダウコ−ニング株式会社 登録商標)0.5重量%を水に溶解したシランカップリング剤処理液に浸漬した後、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させて、シランカップリング剤処理ガラスクロスを得た。
【0026】
【比較例2】
1)予備樹脂処理液
4,4‘−ジアミノジフェニルメタン(試薬 BASF株式会社製)11.0gを、N,N−ジメチルホルムアミド50.0gに溶解させ、これにHLB値が13.3のノニルフェノ−ルのエチレンオキシド付加物(商品名:ノニポ−ル100 三洋化成株式会社 登録商標)1.0gを添加した溶液を、攪拌中の840gの水に添加して、乳化液を得た。
2)樹脂処理液
1)予備樹脂処理液を攪拌しながら、自己乳化型o−クレゾ−ルノボラックエポキシ樹脂(商品名:エピレッツ6006W70 ジャパンエポキシレジン株式会社 登録商標)140gを添加して水分散液化し、樹脂処理液を得た。
3)樹脂処理ガラスクロス作製
シランカップリング剤処理ガラスクロスを2)樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて樹脂処理ガラスクロスを得た。
この樹脂処理ガラスクロスは、上記4,4‘−ジアミノジフェニルメタン(硬化剤)の硬化速度が非常に遅いことから処理樹脂がCステ−ジ化されていなかった。
【0027】
【比較例3】
1)予備樹脂処理液
4,4‘−ジアミノジシクロヘキシルメタン(試薬 BASF株式会社製):0.2gを、N,N−ジメチルホルムアミド:50.0gに溶解させ、これにHLB値が13.3のノニルフェノ−ルのエチレンオキシド付加物(商品名:ノニポ−ル100 三洋化成株式会社 登録商標):1.0gを添加した溶液を、攪拌中の920gの水に添加して、乳化液を得た。
2)樹脂処理液
1)予備樹脂処理液を攪拌しながら、自己乳化型o−クレゾ−ルノボラックエポキシ樹脂(商品名:エピレッツ6006W70 ジャパンエポキシレジン株式会社 登録商標)3.0gを添加して水分散液化し、樹脂処理液を得た。
3)樹脂処理ガラスクロス作製
シランカップリング剤処理ガラスクロスを2)樹脂処理液に浸漬し、ガラスクロスに対して処理液が25重量%の付着量になるようにマングルを用いて余剰な樹脂処理液を絞り落とし、125℃で10分間乾燥させた後、流水で洗浄し再度125℃で10分間乾燥させて、処理樹脂の付着量が0.1重量%未満の樹脂処理ガラスクロスを得た。
【0028】
(ガラスクロスの検証)
下記の方法で実施例1から比較例3について、ガラスクロスの処理樹脂の硬化状態、表面処理、樹脂の付着量、ガラス転移温度を測定した。
(1)Cステージ状態の評価
樹脂処理ガラスクロスを、5cm角に切断し、25℃のアセトン100mLに1分浸漬後、清浄なアセトンで洗浄し、100℃で乾燥させたときの、ガラス繊維織物の重量減少率を評価し、重量減少が1.0%以下をCステ−ジ状態とした。
(2)ガラスクロスの表面処理付着量(シランカップリング剤+樹脂)(重量%)(尚、表2では、表面処理付着量(%)と表記)
樹脂処理ガラスクロスを110℃20分間乾燥後の重量(乾燥重量)と、630℃20分間加熱処理剤焼却後の重量(焼却後重量)の差から、次式(1)で確認した。
Figure 0003897577
【0029】
(3)表面処理樹脂付着量(重量%)(尚、表2では、処理樹脂付着量(%)と表記)
樹脂処理ガラスクロスの表面処理付着量と、シランカップリング剤処理ガラスクロスの表面処理付着量の差を、樹脂の付着量(重量%)とした。
(4)ガラス転移温度(℃)
実施例1〜5、比較例2、3に使用したそれぞれ樹脂処理液を、ガラスクロスに樹脂付着量5.0重量%になるように塗布し、これを125℃で10分間乾燥させてテスト用ガラスクロスを作製し、RDAII(レオメトリックス(株)製)で、昇温速度3℃/分で粘弾性挙動を測定し、tanδのピークの現れる温度をガラス転移温度(℃)とした。
【0030】
(ガラスクロスを使用した樹脂積層板の特性評価方法)
1.エポキシ樹脂積層板作成
1−1.エポキシ樹脂ワニス作成
次の表1に示す組成のエポキシ樹脂ワニスを作成した。樹脂はすべてジャパンエポキシレジン株式会社製(登録商標)である。
【0031】
【表1】
Figure 0003897577
【0032】
1−2.プリプレグ作成
1−1の樹脂ワニスに、実施例1〜5、比較例1〜3のガラスクロスを浸漬し、0.30mmの隙間のスリットで余剰樹脂ワニスを掻き落とし、170℃で3分間乾燥しエポキシ樹脂プリプレグを得た。
1−3.積層板成型
1−2.のプリプレグ1枚の両表層に厚さ18μmの銅箔を重ねて、190℃、120M・Paの条件で180分間加圧加熱成形し、成形後の積層板の厚さは、0.135mmであった。
1−4.積層板加工
1−3.の両面銅張り積層板を常用の方法でエッチングして、図2に示す形態に加工した。サンプルは6個作製した。
【0033】
1−5.積層板におけるガラスクロスと銅箔間距離測定
1−4.のサンプルの1個を対角線に切断し、断面を研磨して、電子顕微鏡で観察し、銅箔とガラスクロスの距離(μm)の最短値を測定した。
1−6.絶縁信頼性試験
1−4.のサンプルを、85℃、相対湿度85%の雰囲気に暴露し、端子に10Vの直流電圧をかけ、その暴露状態で4時間毎に絶縁抵抗を測定し、絶縁抵抗が急激に低下するまでの時間を測定した。サンプル5個について測定した。
1−7.判定
2000時間の暴露でも全サンプルで短絡が認められなかったものを(優)とし、最短短絡暴露時間が2000時間未満1500時間以上のものを(良)、同じく1500時間未満1000時間以上のものを(普通)、同じく1000時間未満のものを(劣)とした。
実施例1〜5、比較例1〜3について試験結果を次の表2に示した。
【0034】
【表2】
Figure 0003897577
【0035】
表2で明らかなように、本発明のガラスクロスは、樹脂コ−ティングのない比較例1のガラスクロス、Cステ−ジ状態でない樹脂がコ−ティングされた比較例2のガラスクロス、Cステ−ジ化された樹脂が0.1重量%未満の量でコ−ティングされた比較例3のガラスクロスに比較して、絶縁信頼性に優れる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガラスクロス、及びその製造方法を使用すれば、ガラスクロスと回路パターンの接触及びまたは極近接に対しても、パターン間のZ方向及びXY方向の絶縁信頼性を維持するガラスクロス得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラスクロスと回路パターンの接触及び/又は極近接を示す概念図(断面図)である。
【図2】絶縁信頼性試験用のサンプルを示す図(平面図)である。

Claims (5)

  1. ガラスクロスと回路を形成する銅箔との最近接間隔が5μm以下であるプリント配線板用ガラスクロスであって、該ガラスクロスが付着量0.1〜15重量%のCステージ化された樹脂によりコーティングされていることを特徴とするプリプレグ用ガラスクロス。
  2. 該Cステージ化された樹脂のガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1記載のプリプレグ用ガラスクロス。
  3. 該Cステージ化された樹脂がカップリング機能を有する処理剤で表面処理されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプリプレグ用ガラスクロス。
  4. 該ガラスクロスの製造方法であって、水溶性、及び/または水分散性の熱硬化性樹脂をコーティングし、該樹脂をCステージ化することを、特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ用ガラスクロスの製造方法。
  5. ガラスクロスとマトリックス樹脂からなるプリプレグに銅箔を重ねて成形した積層板であって、ガラスクロスと回路を形成する銅箔との最近接間隔が5μm以下であり、該ガラスクロスが請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ用ガラスクロスであることを特徴とする積層板。
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