JPWO2015016165A1 - 電子材料用基板 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ガラス製のコア基板と、コア基板上に形成される電気絶縁層と、を備える電子材料用基板であって、コア基板は、ガラス基材と、ガラス基材の少なくとも一方の面に形成される表面処理層とを備え、電気絶縁層は、硬化性樹脂組成物により形成される接着層を含み、表面処理層は表面処理層用組成物により形成される層を含み、硬化性樹脂組成物は、極性基Aを含有する極性基含有脂環式オレフィン重合体と、極性基Aとの反応性を有する官能基Xを含有する硬化剤とを含み、表面処理層用組成物は、極性基Aとの反応性を有する官能基Yを含有するシランカップリング剤を含む。

Description

本発明は、電子材料用基板に関し、特に、ガラス製のコア基板との密着性に優れる電気絶縁層を備える電子材料用基板に関する。
電子機器の小型化、多機能化、通信高速化などの追求に伴い、電子機器中の半導体素子などに使用される回路基板のさらなる高密度化が要求されており、このような要求に応えるため、多層構造を有する回路基板(以下、多層回路基板という)が使用されている。このような多層回路基板は、例えば、表面に導体層が形成されたコア基板の上に電気絶縁層を積層して電子材料用基板を得、この電子材料用基板の上に導体層を形成させ、さらに、これら電気絶縁層の積層と、導体層の形成と、を繰り返し行なうことにより形成される。
前記コア基板を構成する基材には、一般に、無機充填剤を含む樹脂組成物をガラスクロスに含浸させたプリプレグを複数枚積層した多層積層基板(複合材料)が用いられる。このような複合材料からなる基材に対して、近年、高密度にスルーホールを作製することや、より一層熱膨張係数を低減させる等の要求がさらに高まってきている。このような高い要求に応えるために、たとえば特許文献1には、コア基板を構成する基材の材料としてガラスを用い、このガラス基材の上に電気絶縁層を形成し、その電気絶縁層の上に導体層を形成してコア基板を得ることが提案されている。
特開2013−521663号公報
しかしながら、多層回路基板を構成する前記電気絶縁層を形成するための材料としては、一般に、熱硬化性エポキシ樹脂組成物が多用されるが、当該樹脂組成物はガラスとの密着性に劣るという問題がある。
本発明の目的は、ガラス製のコア基板を用いた際に、当該コア基板と電気絶縁層との密着性に優れる電子材料用基板を提供することである。
本発明によれば、以下の〔1〕〜〔8〕の各発明が提供される。
〔1〕ガラス製のコア基板と、このコア基板上に形成される電気絶縁層と、を備える電子材料用基板であって、前記コア基板は、ガラス基材と、このガラス基材の少なくとも一方の面に形成される表面処理層と、を備え、前記電気絶縁層は、硬化性樹脂組成物により形成される接着層を含み、前記表面処理層は、表面処理層用組成物により形成される層を含み、前記硬化性樹脂組成物は、極性基Aを含有する極性基含有脂環式オレフィン重合体と、前記極性基Aとの反応性を有する官能基Xを含有する硬化剤と、を含み、前記表面処理層用組成物は、前記極性基Aとの反応性を有する官能基Yを含有するシランカップリング剤を含む。
〔2〕前記極性基Aは、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、フェノール性ヒドロキシル基、およびエポキシ基からなる群より選択される基を少なくとも1つ含む前記電子材料用基板。
〔3〕前記官能基Xは、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびイミダゾール基からなる群より選択される基を少なくとも1つ含む前記電子材料用基板。
〔4〕前記官能基Yは、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびイミダゾール基からなる群より選択される基を少なくとも1つ含む前記電子材料用基板。
〔5〕前記電気絶縁層は、前記接着層の上に形成される他の層をさらに有する積層体である前記電子材料用基板。
〔6〕前記他の層は、硬化性エポキシ組成物より形成される前記電子材料用基板。
〔7〕前記コア基板および前記電気絶縁層を貫通する貫通孔を有する前記電子材料用基板。
〔8〕前記貫通孔は、レーザー光を照射することにより形成される前記電子材料用基板。
本発明によれば、ガラス製のコア基板を用いた際に、当該コア基板と電気絶縁層との密着性に優れる電子材料用基板を提供できる。
以下、本発明の電子材料用基板について、その実施形態を例示して具体的に説明する。
本発明の電子材料用基板は、ガラス製のコア基板と、このコア基板上に形成される電気絶縁層とを備える。なお、以下、本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含むものとする。
前記電気絶縁層は、硬化性樹脂組成物により形成される接着層を含み、前記硬化性樹脂組成物は、極性基Aを含有する極性基含有脂環式オレフィン重合体と、前記極性基Aとの反応性を有する官能基Xを含有する硬化剤と、を含む。なお、前記硬化性樹脂組成物において、得られる硬化物の電気特性、耐水性及び耐熱性を向上させる観点から、当該硬化物(後述する接着層)を構成する樹脂の50重量%以上が前記極性基含有脂環式オレフィン重合体からなるものが好ましい。
<極性基含有脂環式オレフィン重合体>
極性基含有脂環式オレフィン重合体は、単量体単位の一部または全部に脂環式構造を含み、かつ、重合体分子中に少なくとも1つの極性基Aを有する。脂環式構造を有することにより、硬化性樹脂組成物から形成される硬化物の電気特性が良好となり、前記極性基Aと後述する硬化剤の官能基Xとの反応により、得られる硬化物の機械的強度を高めることができる。
前記脂環式構造としては、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造などが挙げられるが、脂環式オレフィン重合体を含む硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の機械的強度や耐熱性などの観点からは、シクロアルカン構造が好ましい。また、脂環式構造としては、特に限定されないが、単環、多環、縮合多環、橋架け環、及び、これらを組合せてなる多環などが挙げられる。脂環式構造を構成する炭素原子数は特に限定されないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であり、環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にある場合に、機械的強度、耐熱性、及び成形性の諸特性が高度にバランスされ好適である。
脂環式オレフィン重合体の脂環式構造は、炭素原子で形成される脂環構造を有するオレフィン単量体単位、すなわち、脂環式オレフィン単量体単位よりなる。脂環式オレフィン重合体は、脂環式オレフィン単量体単位の他、その他の単量体単位を含んでいてもよい。脂環式オレフィン重合体中の脂環式オレフィン単量体単位の割合は、特に限定されないが、通常30〜100質量%、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%である。脂環式オレフィン単量体単位の割合が30質量%以上であることで、得られる硬化物の耐熱性に優れる。脂環式オレフィン単量体単位以外の単量体単位としては、格別な限定はなく、目的に応じて適宜選択される。
極性基Aとしては、特に限定されないが、アルコール性ヒドロキシル基、フェノール性ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。これらの中でも、極性基Aとしては、硬化剤の官能基Xと反応して得られる硬化物の機械的強度、耐熱性を優れたものとする観点から、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、フェノール性ヒドロキシル基、及び、エポキシ基からなる群から選択される基を少なくとも1つ含むものが好ましい。なお、脂環式オレフィン重合体は、極性基を1種含んでもよく2種以上含有してもよい。
また、脂環式オレフィン重合体が含有する極性基Aは、重合体の主鎖を構成する原子に直接結合していてもよいし、メチレン基、オキシ基、オキシカルボニルオキシアルキレン基、フェニレン基などの他の二価の基を介して結合してもよい。脂環式オレフィン重合体中の極性基Aを有する単量体単位の含有率は、特に制限されないが、脂環式オレフィン重合体を構成する全単量体単位100モル%中、4モル%以上が好ましく、8モル%以上がより好ましく、また、60モル%以下が好ましく、50モル%以下が好ましい。
ここで、脂環式オレフィン重合体は、極性基A及び脂環式構造に加え、芳香環を有していてもよい。脂環式オレフィン重合体として、極性基Aを有する芳香環含有脂環式オレフィン重合体を使用すれば、当該重合体の剛直さが増加し、該樹脂組成物を用いて形成したフィルムの強度が増加するからである。また、極性基Aを有する芳香環含有脂環式オレフィン重合体は、硬化性樹脂組成物に配合し得る他の化合物との相溶性に優れるからである。
脂環式オレフィン重合体は、例えば、以下の方法により得ることができる。すなわち、(1)極性基Aを有する脂環式オレフィンを、必要に応じて他の単量体を加えて、重合する方法、(2)極性基Aを有しない脂環式オレフィンを、極性基Aを有する単量体と共重合する方法、(3)極性基Aを有する芳香族オレフィンを、必要に応じて他の単量体を加えて、重合し、これにより得られる重合体の芳香環部分を水素化する方法、(4)極性基Aを有しない芳香族オレフィンを、極性基Aを有する単量体と共重合し、これにより得られる重合体の芳香環部分を水素化する方法、又は、(5)極性基Aを有しない脂環式オレフィン重合体に極性基Aを有する化合物を変性反応により反応させて、重合体に極性基Aを導入する方法、もしくは、(6)上述の(1)〜(5)のようにして得られる極性基(例えばカルボン酸エステル基など)を有する脂環式オレフィン重合体の極性基を、例えば加水分解することなどにより他の極性基A(例えばカルボキシル基)に変換する方法、などにより得ることができる。これらのなかでも、脂環式オレフィン重合体に極性基Aを容易な反応条件で効率よく導入できるという観点から、(1)の方法によって得られる重合体が好適である。
また、脂環式オレフィン重合体を得る重合法は開環重合や付加重合が用いられるが、開環重合の場合には得られた開環重合体を水素添加することが好ましい。極性基Aを有する芳香環含有脂環式オレフィン重合体は、例えば(7)上述の(1)の方法の極性基Aを有する脂環式オレフィンとして、極性基Aを有する芳香環含有脂環式オレフィンを用いて重合する方法、(8)上述の(2)の方法の極性基Aを有しない脂環式オレフィンとして、極性基Aを有しない芳香環含有脂環式オレフィンを用いて重合する方法、により得ることができる。
極性基Aを有する脂環式オレフィンの例としては、特に限定されないが、5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシメチル−5−ヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチル−9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−カルボキシメチル−9−ヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、5−エキソ−6−エンド−ジヒドロキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−エキソ−10−エンド−ジヒドロキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、などのカルボキシル基を有する脂環式オレフィン;ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン−9,10−ジカルボン酸無水物、ヘキサシクロ[10.2.1.13,10.15,8.02,11.04,9]ヘプタデカ−6−エン−13,14−ジカルボン酸無水物、などのカルボン酸無水物基を有する脂環式オレフィン;9−メチル−9−メトキシカルボニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、などのカルボン酸エステル基を有する脂環式オレフィン;(5−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、9−(4−ヒドロキシフェニル)テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、N−(4−ヒドロキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどのフェノール性ヒドロキシル基を有する脂環式オレフィン;5−エポキシエチルー2−ノルボルネン、9−エポキシエチルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンなどのエポキシ基を有する脂環式オレフィン、などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
極性基Aを有しない脂環式オレフィンの例としては、特に限定されないが、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、9−メチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メチリデン−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデン−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−メトキシカルボニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−ビニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−プロペニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン、シクロペンテン、シクロペンタジエンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
極性基Aを有しない芳香族オレフィンの例としては、特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらの具体例が前記極性基Aを有する場合、極性基Aを有する芳香族オレフィンの例として挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
極性基Aを有する芳香環含有脂環式オレフィンの例としては、特に限定されないが、フェノール性ヒドロキシル基を有する脂環式オレフィンや、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロジベンゾフラン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロジベンゾチアジン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール、1,4−メタノ−9−フェニル−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール、4−カルボキシフェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン、N−(4−カルボキシフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドなどが挙げられる。
極性基Aを有しない芳香環含有脂環式オレフィンの例としては、特に限定されないが、9−フェニル−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エンや、5−(4−メチルフェニル−2−ノルボルネン、5−(1−ナフチル)−2−ノルボルネン、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(MTF)、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレンなどが挙げられる。
極性基Aを有する単量体としては、特に限定されないが、極性基Aを有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。極性基Aを有するエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸化合物;無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水シトラコン酸などの不飽和カルボン酸無水物;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
極性基Aを有しない単量体としては、極性基Aを有しないエチレン性不飽和化合物が挙げられる。極性基Aを有しないエチレン性不飽和化合物の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレン又はα−オレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
脂環式オレフィン重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、硬化して得られる硬化物の機械的強度を良好とするためには、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、3,000以上であることが特に好ましく、また、硬化性樹脂組成物からなるフィルム(接着層)を成形する際の作業性を良好とするためには、1,000,000以下であることが好ましく、500,000以下であることがより好ましく、300,000以下であることが特に好ましい。なお、本発明において、重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒として使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量を指す。
脂環式オレフィン重合体を、開環重合法により得る場合の重合触媒としては、例えば国際公開第2012/090980号に記載の従来公知のメタセシス重合触媒を用いることができる。メタセシス重合触媒としては、Mo,W,Nb,Ta,Ruなどの原子を含有してなる遷移金属化合物が例示され、なかでも、Mo,WまたはRuを含有する化合物は重合活性が高くて好ましい。特に好ましいメタセシス重合触媒の具体的な例としては、<1>ハロゲン基、イミド基、アルコキシ基、アリロキシ基またはカルボニル基を配位子として有する、モリブデンあるいはタングステン化合物を主触媒とし、有機金属化合物を第二成分とする触媒や、<2>Ruを中心金属とする金属カルベン錯体触媒を挙げることができる。なお、脂環式オレフィン重合体の重合は、特に限定されることなく、例えば国際公開第2012/090980号に記載の方法を用いて行うことができる。
脂環式オレフィン重合体の分子量を調整する方法としては、ビニル化合物又はジエン化合物を適当量添加する方法を挙げることができる。分子量調整に用いるビニル化合物は、ビニル基を有する有機化合物であれば特に限定されないが例えば国際公開第2012/090980号に記載の化合物を挙げることができる。ビニル化合物又はジエン化合物の添加量は、目的とする分子量に応じて、重合に用いる単量体に対して、0.1〜10モル%の間で任意に選択することができる。
脂環式オレフィン重合体を、付加重合法により得る場合の重合触媒としては、例えば国際公開第2012/090980号に記載の、チタン、ジルコニウムまたはバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が好適に用いられる。これらの重合触媒は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
脂環式オレフィン重合体として、開環重合体の水素添加物を用いる場合の、開環重合体に対する水素添加は、通常、水素添加触媒を用いて行われる。水素添加触媒は特に限定されず、オレフィン化合物の水素添加に際して一般的に使用されているものを適宜採用すればよい。水素添加触媒としては、例えば、国際公開第2012/090980号に記載の公知の触媒を用いることが可能である。
水素添加反応は、通常、有機溶媒中で行う。有機溶媒は生成する水素添加物の溶解性により適宜選択することができ、上述した重合反応に用いる有機溶媒と同様の有機溶媒を使用することができる。したがって、重合反応後、有機溶媒を入れ替えることなく、そのまま水素添加触媒を添加して反応させることもできる。さらに、上述した重合反応に用いる有機溶媒の中でも、水素添加反応に際して反応しないという観点から、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族エーテル系溶媒が好ましく、芳香族エーテル系溶媒がより好ましい。なお、水素添加反応条件は、使用する水素添加触媒の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、国際公開第2012/090980号に記載の条件を用いることができる。
脂環式オレフィン重合体は、重合反応後や水素添加反応後の重合体溶液として使用しても、溶媒を除去した後に使用してもどちらでもよいが、硬化性樹脂組成物を調製する際に添加剤の溶解や分散が良好になるとともに、工程が簡素化できるため、重合体溶液として使用するのが好ましい。
<硬化剤>
硬化剤としては、加熱等により、極性基Aを有する脂環式オレフィン重合体に架橋構造を形成させることができる化合物であれば特に限定されず、一般の電気絶縁層形成用の樹脂組成物に配合される硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、極性基含有脂環式オレフィン重合体の極性基Aとの反応性を有する官能基Xを一分子中に好ましくは2個以上有する化合物を好適に用いることができる。官能基Xとしては、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびイミダゾール基からなる群より選択される基を少なくとも1つ含むことが好ましい。
官能基Xを1分子中に2以上有する硬化剤としては、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、多価イミダゾール化合物、多価アミン化合物、多価ヒドラジド化合物、アジリジン化合物、塩基性金属酸化物、有機金属ハロゲン化物などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。また、これらの化合物と、過酸化物とを併用することで硬化剤として用いてもよい。中でも、硬化剤としては、脂環式オレフィン重合体が含有する極性基Aとの反応性の観点から、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、多価イミダゾール化合物、多価アミン化合物が好ましく、脂環式オレフィン重合体が含有する極性基Aとの反応性が緩やかであり、硬化性樹脂組成物の扱いが容易になることから、多価エポキシ化合物が好ましい。
多価エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、が挙げられる。また、前記エポキシ化合物の骨格として脂環式オレフィン、芳香環、縮合芳香環やフルオレン構造などを有するものが挙げられる。これらのなかでも、得られる硬化性樹脂組成物、当該硬化性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物、積層体、及び複合体の機械物性を良好なものとすることができるという点より、ビスフェノールA型エポキシ化合物や、脂環式オレフィン構造またはフルオレン構造を有するノボラック型エポキシ化合物が好ましい。さらに、硬化性樹脂組成物の電気特性や耐熱性を良好とする点から、脂環式オレフィン構造を有するエポキシ化合物が特に好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
脂環式オレフィン構造を有する多価エポキシ化合物としては、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂〔たとえば、商品名「エピクロン(登録商標)HP7200L、エピクロン(登録商標)HP7200、エピクロン(登録商標)HP7200H、エピクロン(登録商標)HP7200HH」(以上、DIC社製);商品名「Tactix(登録商標)558」(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製);商品名「XD−1000−1L、XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)〕を挙げることができる。
硬化性樹脂組成物中における、硬化剤の配合量は、極性基Aを有する脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、好ましくは、1〜100重量部、より好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは10〜50重量部の範囲である。硬化剤の配合量を上記範囲とすることにより、当該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度及び電気特性を良好なものとすることができる。
また、硬化性樹脂組成物には、上記成分以外に、ヒンダードフェノール化合物やヒンダードアミン化合物を含有していてもよい。
ヒンダードフェノール化合物とは、ヒドロキシル基を有し、かつ、該ヒドロキシル基のβ位の炭素原子に水素原子を有さないヒンダード構造を分子内に少なくとも1つ有するフェノール化合物である。ヒンダードフェノール化合物の具体例としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチル・フェニル)プロピオネート、テトラキス−〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンなどが挙げられる。
硬化性樹脂組成物中における、ヒンダードフェノール化合物の配合量は、特に限定されないが、極性基Aを有する脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、好ましくは0.04〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部の範囲である。ヒンダードフェノール化合物の配合量を上記範囲とすることにより、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度を良好とすることができる。
また、ヒンダードアミン化合物とは、4−位に2級アミン又は3級アミンを有する2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン基を分子中に少なくとも一個有する化合物である。アルキルの炭素数としては、通常、1〜50である。ヒンダードアミン化合物としては、4−位に2級アミン又は3級アミンを有する2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基を分子中に少なくとも一個有する化合物が好ましい。なお、本発明においては、ヒンダードフェノール化合物と、ヒンダードアミン化合物とを併用することが好ましく、これらを併用して用いることにより、本発明の積層フィルムを硬化して得られる硬化物について過マンガン酸塩の水溶液などを用いて、表面粗化処理を行なった場合に、表面粗化処理条件が変化した場合でも、表面粗化処理後の硬化物を表面粗度の低いものに保つことが可能となる。
ヒンダードアミン化合物の具体例としては、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1〔2−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−{3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオンなどが挙げられる。
ヒンダードアミン化合物の配合量は、特に限定されないが、極性基Aを有する脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、通常、0.02〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、より好ましくは0.25〜3重量部である。ヒンダードアミン化合物の配合量を上記範囲とすることにより、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度を良好とすることができる。
また、硬化性樹脂組成物には、上記成分以外に、硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、一般の電気絶縁膜形成用の樹脂組成物に配合される硬化促進剤を用いればよいが、例えば、第2級アミン、第3級アミン、酸無水物、イミダゾール誘導体、有機酸ヒドラジド、ジシアンジアミド及びその誘導体、尿素誘導体などが挙げられる。硬化促進剤としては、硬化性樹脂組成物をワニスとした際の保存安定性を高めるという観点から、イミダゾール誘導体が好ましい。
前記イミダゾール誘導体としては、イミダゾール骨格を有する化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ビス−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのアルキル置換イミダゾール化合物;2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2’−シアノエチル)イミダゾールなどのアリール基やアラルキル基などの環構造を含有する炭化水素基で置換されたイミダゾール化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
硬化促進剤の配合量は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、極性基Aを有する脂環式オレフィン重合体100重量部に対して、好ましくは0.001〜30重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、さらに好ましくは0.03〜5重量部である。
また、硬化性樹脂組成物は、上記成分以外に、充填剤を含有するのが好ましい。充填剤としては、公知の無機充填剤及び有機充填剤のいずれをも用いることができるが、無機充填剤が好ましい。無機充填剤の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、水和アルミナ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレーなどを挙げることができる。これらの中でも、レーザーの波長帯に強い吸収ピークを持つものが好ましく、炭酸ガスレーザーにより貫通孔を形成する場合はシリカ、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等が好ましく、耐水性や電気特性の観点でシリカを含有することがより好ましい。なお、用いる充填剤は、シランカップリング剤等の表面処理剤により予め表面処理されたものであってもよい。硬化性樹脂組成物中の充填剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、固形分換算で、1〜50重量%とすることができ、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは15〜35重量%である。
また、硬化性樹脂組成物は、上記成分以外に、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤(レーザー加工性向上剤)、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤、靭性剤などの公知の成分を適宜配合してもよい。これらの任意成分の配合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択すればよい。
硬化性樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、上記各成分を、そのまま混合してもよいし、有機溶剤に溶解若しくは分散させた状態で混合してもよいし、上記各成分の一部を有機溶剤に溶解若しくは分散させた状態の組成物を調製し、当該組成物に残りの成分を混合してもよい。
<接着層>
前記接着層は、前記硬化性樹脂組成物をシート状又はフィルム状に成形してなる層(硬化性樹脂組成物の成形体)を硬化させた層(硬化物)である。硬化性樹脂組成物を、シート状又はフィルム状に成形する際には、この硬化性樹脂組成物を、所望により有機溶剤を添加して、支持体に塗布、散布又は流延し、次いで乾燥することより得ることが好ましい。また、前記硬化性樹脂組成物を所望により有機溶剤を添加して、ガラス製のコア基板に塗布、散布又は流延し、次いで所望により乾燥することより得てもよい。シート状又はフィルム状に成形してなる層の厚みは、0.05〜10μmであることが樹脂層厚さの均一性の観点で好ましい。
前記支持体としては、樹脂フィルムや金属箔などが挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられる。これらのフィルムのうち、耐熱性、耐薬品性、及び剥離性などに優れることから、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などが挙げられる。
なお、本発明においては、シート状又はフィルム状の成形体としては、前記硬化性樹脂組成物が未硬化又は半硬化の状態であることが好ましい。ここで未硬化とは、成形体を、該組成物の調製に用いた極性基Aを含有する極性基含有脂環式オレフィン重合体を溶解可能な溶剤に浸けたときに、実質的に該極性基Aを含有する極性基含有脂環式オレフィン重合体の全部が溶解する状態をいう。また、半硬化とは、さらに加熱すれば硬化しうる程度に途中まで硬化された状態であり、好ましくは、該組成物の調製に用いた極性基Aを含有する極性基含有脂環式オレフィン重合体を溶解可能な溶剤に該極性基Aを含有する極性基含有脂環式オレフィン重合体の一部(具体的には7重量%以上の量であり、かつ、一部が残存するような量)が溶解する状態であるか、又は、溶剤中に成形体を24時間浸漬した後の体積が、浸漬前の体積の200%以上(膨潤率)になる状態をいう。
また、硬化性樹脂組成物を、支持体上に塗布した後、所望により、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、硬化性樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、通常、20〜300℃、好ましくは30〜200℃である。乾燥温度が高すぎると、硬化反応が進行しすぎて、得られる成形体が未硬化又は半硬化の状態とならなくなるおそれがある。また、乾燥時間は、通常、30秒間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間である。本発明で用いるシート状又はフィルム状の成形体は、支持体上に付着させた状態で、又は支持体からはがして得ることができる。
接着層は、前記硬化性樹脂組成物から形成される成形体を硬化した硬化物として得ることができる。硬化処理は、通常、上述したシート状又はフィルム状の成形体を加熱することにより行うことができる。硬化処理における加熱温度は、通常30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。また、硬化時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブンなどを用いて行えばよい。
<積層体>
また、前記電気絶縁層は、前記接着層に加えて、この接着層の上に形成される他の層をさらに備える積層体とすることもできる。なお、前記接着層は、電子材料用基板を構成するガラス製のコア基板に積層される層である。
前記他の層は、他の層用硬化性組成物により形成される層であり、他の層用硬化性組成物は、特に限定されないが、たとえば、熱硬化性樹脂(B1)と、充填剤(B2)とを含むものを好適に用いることができる。
<熱硬化性樹脂(B1)>
熱硬化性樹脂(B1)は、熱硬化性樹脂(B1)単独で、もしくは後述する硬化剤(B3)との組み合わせで熱硬化性を示し、電気絶縁性を有するものであれば特に制限されない。熱硬化性樹脂(B1)としては、例えば、エポキシ樹脂、マレイミドトリアジン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル樹脂、およびポリイミドなどを挙げることができる。これらの熱硬化性樹脂(B1)は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。熱硬化性樹脂(B1)としては、エポキシ基を含有するもの(即ちエポキシ樹脂)が好ましく、架橋密度を増加させて樹脂強度を向上させる観点から、少なくとも2つのエポキシ基を有するもの(多価エポキシ化合物)がより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とはメタクリルまたはアクリルを意味する。
熱硬化性樹脂(B1)に好適に用いることができる多価エポキシ化合物としては、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ化合物やクレゾールノボラック型エポキシ化合物が挙げられ、その骨格としては脂環式オレフィン構造を有する化合物を挙げることができる。少なくとも2つのエポキシ基を含有する脂環式オレフィン構造を有する化合物としては、たとえば、商品名「EPICLON(登録商標) HP7200L」、「EPICLON HP7200」、「EPICLON HP7200H」、「EPICLON HP7200HH」(以上、DIC社製);商品名「Tactix(登録商標)558」(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製);商品名「XD−1000−1L」、「XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)などのジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂が挙げられる。
<硬化剤(B3)>
また、他の層用硬化性組成物には、必要に応じて硬化剤(B3)を含めてもよい。硬化剤(B3)は、使用する熱硬化性樹脂(B1)の種類に応じて適宜公知のものを選択して使用すればよく、即ち、熱硬化性樹脂(B1)と反応性を有する基を含有するものを使用すればよい。以下、熱硬化性樹脂(B1)としてエポキシ基を含有するもの(エポキシ樹脂)を用いた場合を例示して、好適な硬化剤(B3)について説明する。ここでエポキシ樹脂とはエポキシ基を有していれば特に限定されず、エポキシ基を含有する脂環式オレフィン重合体も含まれるものである。
エポキシ樹脂に対して用いる硬化剤(B3)としては、当該エポキシ樹脂を硬化させることができれば特に限定されず、例えば、エポキシ基と反応する基を有する脂環式オレフィン重合体、ジシアンジアミド、アミン化合物、アミン化合物から合成される化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、活性エステル化合物、ベンゾオキサジン化合物、マレイミド化合物、熱潜在性カチオン重合触媒、光潜在性カチオン重合開始剤又はシアネート樹脂等が挙げられる。これらの硬化剤の誘導体を用いてもよい。硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、硬化剤とともに、アセチルアセトン鉄等の硬化触媒を用いてもよい。上述のアミン化合物、アミン化合物から合成される化合物、ヒドラジド化合物、メラミン化合物、酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、フェノール化合物としては、例えば国際公開第2010/035451号に記載のものを用いることができる。
これらエポキシ樹脂に対して用いる硬化剤(B3)としては、電気特性や耐水性の観点から、エポキシ基と反応する基を有する脂環式オレフィン重合体、活性エステル化合物が好ましい。
上記エポキシ基と反応する基を有する脂環式オレフィン重合体中の、「エポキシ基と反応する基」としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、フェノール性水酸基等の極性基が好ましく挙げられ、これらの中でも酸無水物基が特に好ましい。エポキシ基と反応する基を有する脂環式オレフィン重合体は、前述した接着層に用いられる極性基含有脂環式オレフィン重合体と同様の方法を用いて製造することができる。
また、上記活性エステル化合物は、活性エステル基を有するものであれば特に限定されないが、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する化合物が好ましい。活性エステル化合物としては、耐熱性等の観点から、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物とを反応させて得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物と、フェノール化合物、ナフトール化合物及びチオール化合物からなる群から選択される1種又は2種以上とを反応させて得られる活性エステル化合物がより好ましく、カルボン酸化合物とフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族化合物とを反応させて得られ、かつ、分子内に少なくとも2つの活性エステル基を有する芳香族化合物が特に好ましい。活性エステル化合物は、直鎖状であっても多分岐状であってもよい。活性エステル化合物が、少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物に由来する場合を例示すると、このような少なくとも2つのカルボン酸を分子内に有する化合物が、脂肪族鎖を含む場合には、エポキシ樹脂との相溶性を高くすることができ、また、芳香族環を有する場合には、得られる硬化物の耐熱性を高くすることができる。
活性エステル化合物を形成するためのカルボン酸化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、チオール化合物としては、特開2012−153885号公報に記載のものを用いることができる。
ここで、活性エステル化合物としては、たとえば、特開2002−12650号公報に記載されている活性エステル基を持つ芳香族化合物及び特開2004−277460号公報に記載されている多官能性ポリエステル、あるいは、市販のものを用いることができる。市販されている活性エステル化合物としては、たとえば、商品名「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EPICLON HPC−8000−65T」(以上、DIC社製)、商品名「DC808」(三菱化学社製)、商品名「YLH1026」(三菱化学社製)などが挙げられる。
活性エステル化合物の製造方法は特に限定されず、公知の方法により製造ができるが、たとえば、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得ることができる。
ここで、硬化剤(B3)の配合量は、エポキシ樹脂100重量部当たり、好ましくは20〜120重量部、より好ましくは40〜100重量部、さらに好ましくは50〜90重量部の範囲である。また、硬化剤(B3)として活性エステル化合物を使用した場合を例示すると、エポキシ樹脂および活性エステル化合物等を含む他の層用硬化性組成物中、エポキシ樹脂由来のエポキシ基と、活性エステル化合物由来の活性エステル基との比率は、「エポキシ基/活性エステル基」の当量比で、好ましくは0.5〜1.25、より好ましくは0.7〜1.1、さらに好ましくは0.8〜1.05である。活性エステル化合物の配合量を上記範囲とすることにより、硬化物としての電気特性、及び耐熱性を向上させ、熱膨張率を小さく抑えることができる。
<充填剤(B2)>
また、他の層用硬化性組成物には、必要に応じて充填剤(B2)を含めてもよい。充填剤(B2)としては、前記接着層を構成する充填剤と同様のものを用いることができる。充填剤(B2)の配合量は、熱硬化性樹脂(B1)100重量部当たり、50重量部以上が好ましく、60重量部以上がより好ましく、85重量部以下が好ましく、80重量部以下がより好ましい。上記の範囲で充填剤(B3)を配合することにより、得られる硬化物の線膨張係数を小さくでき、かつ積層性を向上できる。
また、他の層用硬化性組成物には、上記成分以外に、上述した接着層用の硬化性樹脂組成物と同様に、硬化促進剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤(レーザー加工性向上剤)、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤、靭性剤などの任意成分を適宜配合してもよい。
本発明で用いる他の層用硬化性組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、上記各成分を、そのまま混合してもよいし、有機溶剤に溶解もしくは分散させた状態で混合してもよいし、上記各成分の一部を有機溶剤に溶解もしくは分散させた状態の組成物を調製し、当該組成物に残りの成分を混合してもよい。
ガラス製のコア基板上への積層体形成方法としては、例えば以下の方法:(A)ガラス製の基板上に接着層用の硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥し、ついで他の層用の硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥する方法;(B)ガラス製の基板上に接着層用の硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥し、ついで別の支持体上に用意した他の層を積層する方法;(C)ガラス製の基板上へ支持体上に用意した接着層を積層し、ついで他の層を塗布・乾燥する方法;(D)ガラス製の基板上へ支持体上に用意した接着層を積層し、ついで別の支持体に用意した他の層を積層する方法;(E)支持体に他の層用の硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥し、ついでその上に接着層用の硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥し調製した積層体をガラス製の基板上へ積層する方法;(F)支持体に接着層用の硬化性樹脂組成物を塗布・乾燥し、ついでその上に別の支持体上に用意した他の層を積層したのち、ガラス製の基板上に積層する方法;があげられる。これらの製造方法の内、より容易なプロセスであり生産性に優れることから、上記(E)の製造方法が好ましい。
また、前記積層体は、接着層用の硬化性樹脂組成物と、前記他の層用樹脂組成物とを用いて製造される。具体的には、積層体は、例えば、以下の2つの方法:(1)上述した他の層用樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、所望により乾燥させ、次いで、その上に、上述した接着層用の硬化性樹脂組成物をさらに塗布又は流延し、所望により乾燥させることにより製造する方法;(2)上述した他の層用樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、所望により乾燥させて得られたシート状又はフィルム状に成形してなる他の層用成形体と、上述した接着層用の硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延し、所望により乾燥させて、シート状又はフィルム状に成形してなる接着層用成形体と、を積層し、これらの成形体を一体化させることにより製造する方法、により製造することができる。これらの製造方法の内、より容易なプロセスであり生産性に優れることから、上記(1)の製造方法が好ましい。
上述の(1)の製造方法において、他の層用樹脂組成物を支持体に塗布、散布又は流延する際、及び塗布、散布又は流延された他の層用樹脂組成物に、接着層用の硬化性樹脂組成物を塗布、散布又は流延する際、あるいは上述の(2)の製造方法において、他の層用樹脂組成物及び接着層用の硬化性樹脂組成物をシート状又はフィルム状に成形して他の層用成形体及び接着層用成形体とする際には、他の層用樹脂組成物又は接着層用の硬化性樹脂組成物を、所望により有機溶剤を添加して、支持体に塗布、散布又は流延することが好ましい。
その際に用いる支持体としては、樹脂フィルムや金属箔などが挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられる。これらのフィルムのうち、耐熱性、耐薬品性、剥離性などの観点から、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などが挙げられる。なお、支持体の表面平均粗さRaは、通常、300nm以下、好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下である。
上述の(1)の製造方法における、他の層用樹脂組成物及び接着層用の硬化性樹脂組成物の厚み、あるいは上述の(2)の製造方法における他の層用成形体及び接着層用成形体の厚みは、特に限定されないが、積層体とした際における、他の層の厚みが、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜60μm、さらに好ましくは15〜40μm、また、接着層の厚みが、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1.5〜8μm、さらに好ましくは2〜5μmとなるような厚みとすることが好ましい。接着層の厚みが薄すぎると、ガラス製のコア基板との積層体が工程中で割れるおそれがあり、一方、接着層の厚みが厚すぎると、積層体を硬化して得られる硬化物の線膨張が大きくなるおそれがある。
他の層用樹脂組成物及び接着層用の硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート、グラビアコートなどが挙げられる。
また、上述の(1)の製造方法における、他の層用の樹脂組成物を支持体上に塗布、散布又は流延した後、あるいは接着層用の硬化性樹脂組成物を他の層用樹脂組成物上に塗布、散布又は流延した後、あるいは上述の(2)の製造方法における、他の層用樹脂組成物及び接着層用の硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布した後、所望により、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、他の層及び接着層の各組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、通常、20〜300℃、好ましくは30〜200℃である。また、乾燥時間は、通常、30秒間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間である。
前記その他の層には、必要に応じて、繊維基材を含んだ構成とすることができる。繊維基材としては、ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維やポリエステル繊維などの有機繊維や、ガラス繊維、カーボン繊維等などの無機繊維が挙げられる。また、繊維基材の形態としては、平織りもしくは綾織りなどの織物の形態、又は不織布の形態等が挙げられる。繊維基材の厚さは、その取り扱いを容易とする観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、また、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
接着層および他の層は、これらを構成する樹脂組成物を硬化することにより得ることができる。硬化処理は、通常、上述したフィルムまたは積層体中のフィルム等を加熱することにより行うことができる。硬化温度は、通常30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。また、硬化時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブンなどを用いて行えばよい。
ここで、コア基板上に積層したフィルム又は積層体を硬化させて形成した電気絶縁層の平坦性を向上させる目的や、電気絶縁層の厚みを増す目的で、コア基板上にフィルム又は積層体を2以上接して貼り合わせて積層してもよい。
なお、本発明の電子材料用基板における電気絶縁層の上に導体層を形成してもよい。かかる導体層としては金属めっきを使用することができる。金属めっきの材料としては、金、銀、銅、ロジウム、パラジウム、ニッケル又はスズなどが挙げられる。
<コア基板>
前記コア基板は、主としてガラスにより形成される基板であって、ガラス基材と、ガラス基材の少なくとも一方の面に形成される表面処理層とを備える。前記ガラス基材を構成する材料の種類としては、無アルカリ又は低アルカリガラス、例えば石英ガラス又はホウケイ酸ガラスなどが挙げられ、実装基板(マザー基板)へのはんだ実装リフロー時の熱(240〜260℃)に耐える耐熱ガラスであればよい。特に、前記ガラス基材を構成する材料としては、線膨張係数が半導体チップと実装基板との中間の値である無アルカリ又は低アルカリガラスが信頼性上望ましい。ガラス基材の厚みは、通常0.01〜5mmである。ガラス基材の厚さが5mmよりも厚くなると、貫通孔の形成に時間がかかり電気絶縁層が剥離してしまうおそれがあり、また0.01mm未満になると、加工の際にワレなどの問題が生じるおそれがある。ガラス基材の厚みは、0.02〜3mmであることがより好ましく、0.02〜1mmであることがさらに好ましい。ガラス基材の表面粗さRaは、0.05〜50nmのものを好適に用いることができる。
前記表面処理層は、表面処理層用組成物により形成される層を含み、この表面処理層用組成物は、前記極性基Aとの反応性を有する官能基Yを含有するシランカップリング剤を含む。このようなシランカップリング剤を用いてガラス基板の表面を表面処理することにより、シランカップリング剤を構成するアルコキシシランの部分がガラスと密着し、他方、シランカップリング剤に含まれる官能基Yが、極性基含有脂環式オレフィン重合体における極性基Aと反応することにより、ガラス基材と接着層との密着性を高めることができ、ひいては、ガラスと電気絶縁層との密着性を高めることができる。
シランカップリング剤に含まれる官能基Yとしては、極性基Aとの反応性を有する官能基であれば特に限定されないが、たとえば、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびイミダゾール基からなる群より選択される基を少なくとも1つ含むことが好ましい。このような官能基Yを有するシランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、[3−(1H−イミダゾール−1−イル)プロピル]トリエトキシシラン等をあげることができる。
次に、本発明の電子材料用基板の製造方法について説明する。
まず、ガラス製のガラス基材の表面に前記極性基Aとの反応性を有する官能基Yを含有するシランカップリング剤を散布または塗布・乾燥等させて、コア基板を作成する。次いで、表面処理層の上に、前記フィルム(接着層、または積層体)等を積層し、前記フィルムを硬化させて電気絶縁層を形成した硬化物に、電気絶縁層およびコア基板を貫通するビアホールやスルーホール(貫通孔)を形成する。ビアホールは、多層回路基板を形成した場合に、多層回路基板を構成する各導体層を連結するために形成される。ビアホールやスルーホールは、フォトリソグラフィ法のような化学的処理により、又は、ドリル、レーザー光の照射、プラズマエッチングなどの物理的処理などにより形成することができる。この中でも、簡便に小径のスルーホールを形成できるという点からレーザー光を照射してスルーホールをあけることが望ましい。また、前記フィルムを得る際に、支持体を用いた場合には、支持体を剥離する前に、支持体側からレーザー光を照射することで、スルーホールを形成するような態様としてもよい。
あるいは、本発明の電子材料用基板は、次の方法により製造してもよい。すなわち、ガラス製のガラス基材の表面に前記極性基Aとの反応性を有する官能基Yを含有するシランカップリング剤を塗布・乾燥等させて、コア基板を作成する。次いで、コア基板に前述と同様にしてビアホールやスルーホールを形成する。次いで、表面処理層の上に、前記フィルム(接着層、または積層体)等を積層し、硬化させて電気絶縁層を形成する構成としてもよい。
次に、硬化物の電気絶縁層、具体的には、硬化したフィルムの接着層またはその他の層の表面を粗化する表面粗化処理を行う。表面粗化処理は、電気絶縁層上に形成する導体層との接着性を高めるために行う。電気絶縁層の表面平均粗さRaは、好ましくは0.3μm未満、より好ましくは0.2μm未満である。なお、電気絶縁層の表面平均粗度Raの下限値は0.05μm以上とすることができる。また、表面十点平均粗さRzjisは、好ましくは0.3μm以上4μm未満、より好ましくは0.5μm以上2μm以下である。なお、本明細書において、RaはJIS B0601−2001に示される算術平均粗さであり、表面十点平均粗さRzjisは、JIS B0601−2001付属書1に示される十点平均粗さである。
表面粗化処理方法としては、特に限定されないが、電気絶縁層表面と酸化性化合物とを接触させる方法などが挙げられる。酸化性化合物としては、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物などの酸化能を有する公知の化合物が挙げられる。電気絶縁層の表面平均粗さの制御の容易さから、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いるのが特に好ましい。無機酸化性化合物としては、過マンガン酸塩、無水クロム酸、重クロム酸塩、クロム酸塩、過硫酸塩、活性二酸化マンガン、四酸化オスミウム、過酸化水素、過よう素酸塩などが挙げられる。有機酸化性化合物としてはジクミルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、オゾンなどが挙げられる。
無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いて電気絶縁層表面を表面粗化処理する方法に格別な制限はなく、例えば国際公開第2012/090980号に記載の方法を用いることができる。
次いで、電気絶縁層について表面粗化処理を行った後、電気絶縁層の表面及びビアホールやスルーホールの内壁面に導体層を形成する。導体層の形成方法は、特に限定されないが、密着性に優れる導体層を形成できるという観点より、無電解めっき法により行なうことが好ましい。
たとえば、無電解めっき法により導体層を形成する際においては、まず、金属薄膜を電気絶縁層の表面に形成させる前に、電気絶縁層上に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの触媒核を付着させるのが一般的である。触媒核を電気絶縁層に付着させる方法は特に制限されず、例えば、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの金属化合物やこれらの塩や錯体を、水又はアルコールもしくはクロロホルムなどの有機溶剤に0.001〜10質量%の濃度で溶解した液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤などを含有していてもよい。)に浸漬した後、金属を還元する方法などが挙げられる。
無電解めっき法に用いる無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いればよく、めっき液中に含まれる金属種、還元剤種、錯化剤種、水素イオン濃度、溶存酸素濃度などは特に限定されない。
金属薄膜を形成した後、基板表面を防錆剤と接触させて防錆処理を施すことができる。また、金属薄膜を形成した後、密着性向上などのため、金属薄膜を加熱することもできる。加熱温度は、通常、50〜350℃、好ましくは80〜250℃である。なお、この際において、加熱は加圧条件下で実施してもよい。このときの加圧方法としては、例えば、熱プレス機、加圧加熱ロール機などの物理的加圧手段を用いる方法が挙げられる。加える圧力は、通常、0.1〜20MPa、好ましくは0.5〜10MPaである。この範囲であれば、金属薄膜と電気絶縁層との高い密着性が確保できる。
このようにして形成された金属薄膜上にめっき用レジストパターンを形成し、更にその上に電解めっきなどの湿式めっきによりめっきを成長させ(厚付けめっき)、次いで、レジストを除去し、更にエッチングにより金属薄膜をパターン状にエッチングして導体層を形成する。従って、この方法により形成される導体層は、通常、パターン状の金属薄膜と、その上に成長させためっきとからなる。
このようにして得られる複合体(複合体の一例としての多層回路基板)は、本発明の電子材料用基板を構成する電気絶縁層を有してなり、該電気絶縁層は、優れた密着性を備えたものであり、本複合体は、各種用途に好適に用いることができる。
電子材料用基板は、携帯電話機、PHS、ノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯テレビ電話機、パーソナルコンピューター、スーパーコンピューター、サーバー、ルーター、液晶プロジェクタ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などの各種電子機器に好適に用いることができる。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(極性基含有脂環式オレフィン重合体の合成例1)
重合1段目として5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(EdNB)35モル部、1−ヘキセン0.9モル部、アニソール340モル部及び4−アセトキシベンジリデン(ジクロロ)(4,5−ジブロモ−1,3−ジメシチル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(C1063、和光純薬社製)0.005モル部を、窒素置換した耐圧ガラス反応器に仕込み、攪拌下に80℃で30分間の重合反応を行ってノルボルネン系開環重合体の溶液を得た。
次いで、重合2段目として重合1段目に得た溶液中にテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(MTF)35モル部、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物(NDCA)30モル部、アニソール250モル部及びC1063 0.01モル部を追加し、攪拌下に80℃で1.5時間の重合反応を行ってノルボルネン系開環重合体の溶液を得た。この溶液について、ガスクロマトグラフィーを測定したところ、実質的に単量体が残留していないことが確認され、重合転化率は99%以上であった。
次いで、窒素置換した攪拌機付きオートクレーブに、得られた開環重合体の溶液を仕込み、C1063 0.03モル部を追加し、150℃、水素圧7MPaで、5時間攪拌させて水素添加反応を行って、ノルボルネン系開環重合体の水素添加物である脂環式オレフィン重合体(P−1)の溶液を得た。得られた重合体(P−1)の重量平均分子量は60,000、数平均分子量は30,000、分子量分布は2であった。また、水素添加率は95%であり、カルボン酸無水物基を有する単量体単位の含有率は30モル%であった。重合体(P−1)の溶液の固形分濃度は20質量%であった。
(接着層用の硬化性樹脂組成物の調製)
合成例1で得られた脂環式オレフィン重合体(P−1)の溶液500重量部(重合体(P−1)固形分として100重量部)、及びジシクロペンタジエン骨格エポキシ樹脂(EPICLON HP−7200L、DIC社製、エポキシ当量250g/eq)32重量部(エポキシ化合物固形分として32重量部)、無機充填剤としての未処理球状シリカ(アドマファイン(登録商標)SO−C1、アドマテックス社製、体積平均粒径0.25μm)40重量部、レーザー加工性向上剤として2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール1重量部、老化防止剤としてトリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(IRGANOX(登録商標)3114、BASF社製)1重量部、老化防止剤としてテトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート(アデカスタブ(登録商標)LA52、ADEKA社製)0.5重量部を混合し高圧ホモジナイザーで分散処理した。さらに、これに、硬化促進剤として1−べンジル−2−フェニルイミダゾールをアニソールに50%溶解した溶液1重量部を混合、攪拌機で5分間攪拌して接着層用の硬化性樹脂組成物のワニスを得た。
(その他の層用の樹脂組成物の調製)
熱硬化性樹脂(B1)としてのジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(EPICLON HP7200HH、DIC社製、エポキシ基当量280g/eq)100重量部、硬化剤(B3)としての活性エステル化合物(EPICLON HPC−8000−65T、不揮発分65質量%のトルエン溶液、DIC社製、活性エステル基当量223g/eq)121重量部(活性エステル化合物79重量部)、無機充填剤としてのシリカ(SC2500−SXJ、平均粒径0.5μm、アミノシランカップリング剤表面処理、アドマテックス社製)352重量部、老化防止剤としてのヒンダードフェノール系酸化防止剤(IRGANOX3114、BASF社製)1重量部、及びアニソール110重量部を混合し、高圧ホモジナイザーで分散処理した。さらにこれに、硬化促進剤として1−べンジル−2−フェニルイミダゾールをアニソールに50質量%溶解した溶液を5.4重量部(硬化促進剤2.7重量部)混合し、攪拌機で5分間攪拌してその他の層用の樹脂組成物のワニスを得た。
(支持体付きフィルム成形体の作製)
上記にて得られたその他の層用の樹脂組成物のワニスを、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)上にワイヤーバーを用いて塗布し、次いで、窒素雰囲気下、85℃で5分間乾燥させて、未硬化のその他の層用の樹脂組成物からなる、その他の層形成用成形体1(厚み17μm)が形成された支持体付きフィルム成形体の中間体を得た。
次に、得られた支持体付きフィルム成形体の中間体における前記その他の層形成用成形体1の表面に、上記にて得られた接着層用の硬化性樹脂組成物のワニスを、ドクターブレード(テスター産業社製)とオートフィルムアプリケーター(テスター産業社製)を用いて塗布し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥させて、総厚みが20μmである積層体(その他の層形成用成形体1と接着層形成用成形体2との積層体)が形成された支持体付きフィルム成形体を得た。当該支持体付きフィルム成形体は、支持体、その他の層形成用成形体1、接着層形成用成形体2の順で形成された。
(積層体の作製)
次いで、上記とは別に、ガラス基材(D263、ショット社製、厚み100μm)の表面をアセトンにより超音波洗浄した後、このガラス基材を100℃で10分間乾燥させ、シランカップリング剤としての3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM903」、信越シリコーン社製)を含む溶液を飽和させた環境の容器内に60分間放置した後、120℃に設定されたオーブンにて15分間加熱処理を行った。これにより、ガラス基材の表面に表面処理層を有するコア基板を得た。
このコア基板の両面に、上記にて得られた支持体付きフィルム成形体を125mm角に切断したものを、接着層用の硬化性樹脂組成物側の面(接着層形成用成形体2側の面)がコア基板側となるようにして貼り合わせた後、一次プレスを行った。一次プレスは、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下、温度110℃、圧力0.1MPaで90秒間の加熱圧着である。さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度110℃、圧力1MPaで90秒間、加熱圧着した。次いで支持体を剥がすことにより、コア基板と積層体からなる複合体を得た。次いで、得られた複合体を空気雰囲気下、180℃で60分間放置して、前記積層体における各樹脂組成物からなる層をそれぞれ硬化させて、コア基板上に積層体の硬化物を有する硬化処理済複合体を得た。
得られた硬化処理済複合体における電気絶縁層の表面に2mm格子状に切り込みを入れ、この硬化処理済複合体を、25℃と80℃の水浴に2分ずつ10サイクル浸漬した後、JIS K5600−5−6 付着性(クロスカット法)に基づいてピール強度試験(密着性試験1)を実施した。以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:ピール強度が4N/cm以上
×:ピール強度が4N/cm未満
Figure 2015016165
(膨潤処理工程)
ここで、前記硬化処理済複合体における電気絶縁層の表面に前述と同様にして2mm格子状に切り込みを入れ、この硬化処理済複合体を、25℃と80℃の水浴に2分ずつ10サイクル浸漬した。次いで、この水浴処理済みの硬化処理済複合体を、膨潤液(「スウェリング ディップ セキュリガント P」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)500mL/L、水酸化ナトリウム3g/Lになるように調製した60℃の水溶液に15分間揺動浸漬した後、水洗した。
(粗化処理工程)
次いで、膨潤処理済の複合体を、過マンガン酸塩の水溶液(「コンセントレート コンパクト CP」、アトテック社製)500mLと水酸化ナトリウム40gとの混合物に、合計で1Lとなるよう水を加えて調製した水溶液を80℃とし、この水溶液に20分間揺動浸漬をした後、水洗した。
(中和還元処理工程)
次いで、膨潤処理済みの複合体を、硫酸ヒドロキシアミン水溶液(「リダクション セキュリガント P 500」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)100mL/L、硫酸35mL/Lになるように調製した60℃の水溶液に、5分間浸漬し、中和還元処理をした後、水洗した。
得られた中和還元処理済複合体について、JIS K5600−5−6 付着性(クロスカット法)に基づいてピール強度試験(密着性試験2)を実施した。以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:ピール強度が4N/cm以上
×:ピール強度が4N/cm未満
硬化処理済複合体に対して、COレーザー装置(装置:HITACHI LC2E21B/1C、出力0.95W、パルス幅5μs、15ショット)を用いて、コア基板および電気絶縁層を貫通するスルーホール(直径80μm、ピッチ400μm)を形成した。次いで、前述した膨潤処理工程、粗化処理工程、中和還元処理工程と同じ処理を施した。
(クリーナー・コンディショナー工程)
次いで、中和還元処理済みの複合体を、クリーナー・コンディショナー水溶液(「アルカップ MCC−6−A」、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)を濃度50ml/Lとなるよう調整した50℃の水溶液に5分間浸漬した後、さらに、処理済みの複合体を40℃の水洗水に1分間浸漬した後、水洗した。
(ソフトエッチング処理工程)
次いで、クリーナー・コンディショナー処理済みの複合体を、硫酸濃度100g/L、過硫酸ナトリウム100g/Lとなるように調製した水溶液に浸漬しソフトエッチング処理を行った後、水洗した。
(酸洗処理工程)
次いで、ソフトエッチング処理済みの複合体を、硫酸濃度100g/Lなるよう調製した水溶液に1分間浸漬し酸洗処理を行った後、水洗した。
(触媒付与工程)
次いで、酸洗処理済みの複合体を、アルカップ アクチベータ MAT−1−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が200mL/L、アルカップ アクチベータ MAT−1−B(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が30mL/L、水酸化ナトリウムが0.35g/Lになるように調製した60℃のPd塩含有めっき触媒水溶液に5分間浸漬した後、水洗した。
(活性化工程)
次いで、触媒付与処理済みの複合体を、アルカップ レデユーサ− MAB−4−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が20mL/L、アルカップ レデユーサ− MAB−4−B(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が200mL/Lになるように調整した水溶液に、35℃で、3分間浸漬し、めっき触媒を還元処理した後、水洗した。
(アクセレレータ処理工程)
次いで、活性化処理済みの複合体を、アルカップ アクセレレーター MEL−3−A(商品名、上村工業社製、「アルカップ」は登録商標)が50mL/Lになるように調製した水溶液に25℃で、1分間浸漬した。
(無電解めっき工程)
このようにして得られた各種処理済みの複合体を、スルカップ PEA−6−A(商品名、上村工業社製、「スルカップ」は登録商標)100mL/L、スルカップ PEA−6−B−2X(商品名、上村工業社製)50mL/L、スルカップ PEA−6−C(商品名、上村工業社製)14mL/L、スルカップ PEA−6−D(商品名、上村工業社製)15mL/L、スルカップ PEA−6−E(商品名、上村工業社製)50mL/L、37%ホルマリン水溶液5mL/Lとなるように調製した無電解銅めっき液に空気を吹き込みながら、温度36℃で、20分間浸漬して無電解銅めっき処理し、電気絶縁層およびスルーホールの表面に無電解めっき膜を形成した。次いで、空気雰囲気下において150℃で30分間アニール処理を行った。
アニール処理が施された複合体に、電解銅めっきを施し厚さ30μmの電解銅めっき膜を形成させた。次いで当該電解銅めっき膜を形成した電気絶縁層を180℃で60分間加熱処理することにより、電気絶縁層およびスルーホールの表面に前記金属薄膜層及び電解銅めっき膜からなる導体層を形成した多層回路基板を得た。
得られた多層回路基板について、スルーホール近傍に電気絶縁層の剥がれ等の不具合が生じているか否かスルーホールの断面研磨を行い、光学顕微鏡を用いて確認した。以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:剥がれなし
×:剥がれ有り
<実施例2>
その他の層用の樹脂組成物のワニスを塗布(積層)しなかったこと以外は実施例1と同様にして硬化処理済複合体を得た。
<比較例1>
接着層用の硬化性樹脂組成物のワニスを塗布(積層)しなかったこと以外は実施例1と同様にして硬化処理済複合体を得た。
<比較例2>
ガラス基材への表面処理をしなかったこと以外は比較例1と同様にして硬化処理済複合体を得た。
表1に示すように、実施例1,2に示す電子材料用基板は、ガラス製のコア基板と、電気絶縁層との密着性に優れることが分かった。他方、比較例1、2は、ガラス製のコア基板と電気絶縁層との密着性に劣るとともに、スルーホール近傍に剥がれが生じていた。

Claims (8)

  1. ガラス製のコア基板と、このコア基板上に形成される電気絶縁層と、を備える電子材料用基板であって、
    前記コア基板は、ガラス基材と、このガラス基材の少なくとも一方の面に形成される表面処理層と、を備え、
    前記電気絶縁層は、硬化性樹脂組成物により形成される接着層を含み、
    前記表面処理層は、表面処理層用組成物により形成される層を含み、
    前記硬化性樹脂組成物は、極性基Aを含有する極性基含有脂環式オレフィン重合体と、前記極性基Aとの反応性を有する官能基Xを含有する硬化剤と、を含み、
    前記表面処理層用組成物は、前記極性基Aとの反応性を有する官能基Yを含有するシランカップリング剤を含む、電子材料用基板。
  2. 前記極性基Aは、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、フェノール性ヒドロキシル基、およびエポキシ基からなる群より選択される基を少なくとも1つ含む、請求項1に記載の電子材料用基板。
  3. 前記官能基Xは、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびイミダゾール基からなる群より選択される基を少なくとも1つ含む、請求項1または2に記載の電子材料用基板。
  4. 前記官能基Yは、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、およびイミダゾール基からなる群より選択される基を少なくとも1つ含む、請求項1〜3のいずれかに記載の電子材料用基板。
  5. 前記電気絶縁層は、前記接着層の上に形成される他の層をさらに有する積層体である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子材料用基板。
  6. 前記他の層は、硬化性エポキシ組成物より形成される、請求項5に記載の電子材料用基板。
  7. 前記コア基板および前記電気絶縁層を貫通する貫通孔を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の前記電子材料用基板。
  8. 前記貫通孔は、レーザー光を照射することにより形成される、請求項1〜7のいずれかに記載の前記電子材料用基板。
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