JP3895697B2 - フレキシブル配線回路基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブル配線回路基板、詳しくは、電子部品が実装されるフレキシブル配線回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子部品の高密度化に伴なって、電子部品を実装するフレキシブル配線回路基板においても、導体配線パターンのファインピッチ化が進められている。
【0003】
導体配線パターンを、精度の高いファインピッチで形成するには、例えば、特開2000−124580号公報(特許文献1)において、(a)ポリイミドベースフィルム形成用容器の底面に、配線パターンに対応したレジストパターンを形成し、(b)ポリイミドベースフィルム形成用容器の中に、ポリアミック酸ワニスを均一に注入し、イミド化してポリイミドベースフィルムを形成し、(c)ポリイミドベースフィルムをポリイミドベースフィルム形成用容器から取り出し、(d)ポリイミドベースフィルムからレジストパターンを除去し、配線パターン溝を形成し、(e)配線パターン溝の中に導電体を配設することにより配線パターンを形成することにより、片面フレキシブルプリント配線板を製造することが提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−124580号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような方法によると、工数が多く生産性の向上を図れないという不具合がある。
【0005】
また、ファインピッチ化が進むに従って、例えば、導体配線パターンの配線間に微小な異物が少しでも存在すると、それに起因して配線間での短絡が生じるなど、欠陥が発生しやすくなり、フレキシブル配線回路基板の良品率(歩留まり)の低下、ひいては生産性の低下が顕著となる傾向にある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、高い良品率で生産性良く、導体配線パターンがファインピッチで形成されているフレキシブル配線回路基板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のフレキシブル配線回路基板は、電子部品に接続するための第1接続端子を有する第1フレキシブル配線回路基板と、電子部品に接続するための第2接続端子を有する第2フレキシブル配線回路基板と、前記第1フレキシブル配線回路基板および前記第2フレキシブル配線回路基板を、前記電子部品が実装される側と反対側から支持するための支持板とを備え、前記第1フレキシブル配線回路基板には、前記第2フレキシブル配線回路基板と対向する端部において、前記第1接続端子が並列される第1内側端子部がブロック単位で複数形成されるとともに、互いに隣り合う各前記第1内側端子部の間には、凹状に窪む凹部が形成されており、前記第2フレキシブル配線回路基板には、前記第1フレキシブル配線回路基板と対向する端部において、前記第2接続端子が並列される第2内側端子部がブロック単位で複数形成されるとともに、互いに隣り合う各前記第2内側端子部の間には、凸状に突出する凸部が形成されており、前記第1フレキシブル配線回路基板および前記第2フレキシブル配線回路基板が、前記第1フレキシブル配線回路基板の各前記凹部と前記第2フレキシブル配線回路基板の各前記凸部とが間隔を隔てて対向するように突合わせて配置され、かつ、前記第1接続端子と前記第2接続端子とが同一の電子部品に接続されるように、前記支持板上に隣接して設置されていることを特徴としている。
【0008】
このようなフレキシブル配線回路基板では、第1フレキシブル配線回路基板と第2フレキシブル配線回路基板とに分割して形成されているので、製造過程において、導体配線パターンをファインピッチで形成することにより、第1フレキシブル配線回路基板または第2フレキシブル配線回路基板に欠陥が生じやすくなっても、その欠陥が生じた第1フレキシブル配線回路基板または第2フレキシブル配線回路基板のみを不良品として、欠陥のない第1フレキシブル配線回路基板および第2フレキシブル配線回路基板を選別して組み合わせることができる。そのため、本発明のフレキシブル配線回路基板は、導体配線パターンをファインピッチで形成することができながら、高い良品率で生産性良く得ることができる。
【0009】
しかも、本発明のフレキシブル配線回路基板では、第1フレキシブル配線回路基板と第2フレキシブル配線回路基板とを支持板上に隣接して設置することにより、第1フレキシブル配線回路基板と第2フレキシブル配線回路基板とを確実に支持しつつ、第1接続端子と第2接続端子とを同一の電子部品に接続することにより、その電子部品を介して第1フレキシブル配線回路基板と第2フレキシブル配線回路基板とを電気的に接続することができる。そのため、フレキシブル配線回路基板のコンパクト化を図りつつ、第1フレキシブル配線回路基板と第2フレキシブル配線回路基板との直接的な接続を必要とせず構成の簡略化および製造工数の低減化を図ることができながら、支持板上での確実な設置により、フレキシブル配線回路基板の信頼性の向上を図ることができる。
さらに、本発明のフレキシブル配線回路基板では、第1フレキシブル配線回路基板の各凹部と、第2フレキシブル配線回路基板の各凸部とが間隔を隔てて対向するように、第1フレキシブル配線回路基板と第2フレキシブル配線回路基板とが突合わせて配置されている。そのため、各第1内側端子部の第1接続端子と、各第2内側端子部の第2接続端子とが同一の電子部品に接続されるように、簡易かつ確実に位置決めしつつ、第1フレキシブル配線回路基板および第2フレキシブル配線回路基板を支持板上に設置することができる。
【0010】
また、本発明のフレキシブル配線回路基板は、前記第1フレキシブル配線回路基板および/または前記第2フレキシブル配線回路基板が、150μm以下のピッチで形成されている導体配線パターンを有しているものに好適とされる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のフレキシブル配線回路基板の一実施形態を示す平面図、図2は、その側断面図である。
【0012】
図1および図2において、このフレキシブル配線回路基板1は、例えば、フラットパネルディスプレイなどに用いられ、第1フレキシブル配線回路基板2と、第1フレキシブル配線回路基板2とは別部材として形成される第2フレキシブル配線回路基板3と、電子部品Eが実装される側と反対側から第1フレキシブル配線回路基板2および第2フレキシブル配線回路基板3を支持するための支持板4とを備えている。
【0013】
第1フレキシブル配線回路基板2は、可撓性を有するフィルムからなり、図1に示すように、平面視において略台形状をなし、第1導体配線パターン部5と、その第1導体配線パターン部5の両側に連続して形成される第1内側端子部6および第1外側端子部7とを備えている。
【0014】
第1導体配線パターン部5には、複数の配線W1がファインピッチで並列する第1導体配線パターン8がブロック単位で複数(4つ)形成されている。各第1導体配線パターン8のピッチ(配線W1の幅と、互いに隣り合う各配線W1の間隔との合計)は、通常、150μm以下、好ましくは、100μm以下で、通常、20μm以上として形成されている。また、各第1導体配線パターン8における配線W1の幅は、10〜80μmであることが好ましく、互いに隣り合う各配線W1の間隔は、10〜80μmであることが好ましい。
【0015】
第1内側端子部6は、第1導体配線パターン8の配線W1が延びる方向(以下、長手方向とする。)の内側端部(第2フレキシブル配線回路基板3と対向する端部)において、ブロック単位で形成される各第1導体配線パターン8に対応して、幅方向(長手方向と直交する方向)に沿って複数(4つ)形成されている。各第1内側端子部6には、第1導体配線パターン8の配線W1の長手方向内側端部が後述する第1カバー絶縁層13から露出することにより形成される第1接続端子としての第1内側端子9が、幅方向に沿って互いに所定間隔を隔てて並列するように設けられている。なお、第1内側端子9は、後述する電子部品Eに接続される。
【0016】
また、図5に示すように、この第1フレキシブル配線回路基板2の長手方向内側端部において、幅方向において互いに隣り合う各第1内側端子部6の間には、長手方向外側に向かって凹状に窪む凹部15が形成されている。なお、各凹部15における開口側の幅方向両側部には、長手方向外側から内側に向かって幅広となる傾斜部16が形成されている。
【0017】
また、この第1フレキシブル配線回路基板2の長手方向内側端部において、幅方向両側部(幅方向最外側の第1内側端子部6と、第1フレキシブル配線回路基板2の幅方向外側端縁との間)には、長手方向内側に向かって突出する突起部17が形成されている。各突起部17の幅方向内側には、長手方向内側に向かって先細となる傾斜部18が形成されている。
【0018】
第1外側端子部7は、図1に示すように、第1導体配線パターン8の長手方向外側端部(第2フレキシブル配線回路基板3と対向する端部と反対側の端部)において、幅方向全体にわたって連続して形成されている。第1外側端子部7には、第1導体配線パターン8の配線W1の長手方向外側端部が後述する第1カバー絶縁層13から露出することにより形成される第1外側端子10が、幅方向に沿って互いに所定間隔を隔てて並列するように設けられている。なお、第1外側端子10は、例えば、フラットパネルディスプレイ装置などに接続される。
【0019】
なお、第1内側端子部6における第1内側端子9の総数と、第1外側端子部7における第1外側端子10の総数は、同数であり、特に限定されないが、例えば、100〜1000個程度である。
【0020】
また、この第1フレキシブル配線回路基板2は、図2に示すように、第1ベース絶縁層11と、その第1ベース絶縁層11の表面上に形成される第1導体層12と、その第1導体層12を被覆する第1カバー絶縁層13とを備えている。
【0021】
第1ベース絶縁層11としては、絶縁性および可撓性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの樹脂フィルムが用いられる。好ましくは、ポリイミド樹脂フィルムが用いられる。なお、第1ベース絶縁層11の厚みは、通常、10〜200μm、さらには、10〜75μmであることが好ましい。
【0022】
また、第1導体層12としては、導電性を有するものであれば、特に制限されないが、例えば、銅、クロム、ニッケル、アルミニウム、ステンレス、銅−ベリリウム、リン青銅、鉄−ニッケル、および、それらの合金などの金属箔が用いられる。好ましくは、銅箔が用いられる。また、第1導体層12の厚みは、通常、5〜100μm、さらには、5〜18μmであることが好ましい。
【0023】
また、第1カバー絶縁層13としては、第1ベース絶縁層11と同様の樹脂が用いられ、好ましくは、ポリイミド樹脂が用いられ、その厚みは、通常、10〜200μm、さらには、10〜75μmであることが好ましい。
【0024】
そして、このような第1フレキシブル配線回路基板2は、特に限定されず、例えば、図3に示す公知の方法によって製造することができる。なお、図3において、第1導体配線パターン8の配線W1の長手方向に沿う断面を「X軸方向」(図1の矢印Xで示す方向)の側断面図として、また、第1フレキシブル配線回路基板2の幅方向に沿う断面を「Y軸方向」(図1の矢印Yで示す方向)の正断面図として、それぞれ示している。
【0025】
図3において、この方法では、まず、図3(a)に示すように、第1ベース絶縁層11を用意して、図3(b)に示すように、その第1ベース絶縁層11上に、第1導体層12を積層する。第1ベース絶縁層11上に第1導体層12を積層するには、特に限定されず、例えば、フィルムからなる第1ベース絶縁層11に、公知の接着剤層(図示せず)を介して、金属箔からなる導体層12を貼着することにより、第1ベース絶縁層11上に接着剤層を介して第1導体層12を積層するか、あるいは、金属箔からなる導体層12の表面に、樹脂溶液を塗布して乾燥することにより、導体層12上に第1ベース絶縁層11を直接形成するか、または、金属箔からなる導体層12の表面に、粘着性を有するフィルムからなる第1ベース絶縁層11を直接貼着することにより、接着剤層を介さずに、第1ベース絶縁層11上に第1導体層12を直接積層すればよい。上記の接着剤層を設ける場合には、その厚みは、10〜35μmが好ましい。
【0026】
なお、予め第1ベース絶縁層11に第1導体層12が積層されている二層基材を用いて、この工程を省略することもできる。
【0027】
次いで、この方法では、図3(c)に示すように、第1導体層12をパターン化して、第1導体配線パターン8を形成する。第1導体層12のパターン化は、公知の方法でよく、例えば、サブトラクティブ法などが用いられる。サブトラクティブ法では、まず、第1導体層12上にフォトレジストなどからなるエッチングレジストを積層し、次いで、そのエッチングレジストを露光および現像することにより、第1導体配線パターン8に対応するパターンとして形成し、その後、エッチングレジストをレジストとして第1導体層12をエッチング(ウエットエッチング)した後、エッチングレジストを除去すればよい。
【0028】
なお、第1導体層12のパターン化は、サブトラクティブ法以外にも、その目的および用途によって、例えば、アディティブ法やセミアディティブ法などの公知のパターンニング法を用いることができる。
【0029】
そして、この方法では、図3(d)に示すように、第1導体配線パターン8に形成された第1導体層12を覆う状態で、第1ベース絶縁層11上に第1カバー絶縁層13を形成することにより、第1フレキシブル配線回路基板2を得る。
【0030】
第1カバー絶縁層13の形成は、特に制限されず、例えば、第1導体層12を含む第1ベース絶縁層11上に、フィルムからなる第1カバー絶縁層13を、公知の接着剤層(図示せず)を介して貼着することにより、第1導体層12を含む第1ベース絶縁層11上に接着剤層を介して第1カバー層13を積層するか、あるいは、第1導体層12を含む第1ベース絶縁層11上に、樹脂溶液を塗布して乾燥することにより、第1導体層12を含む第1ベース絶縁層11の表面に第1カバー絶縁層13を直接形成するか、または、第1導体層12を含む第1ベース絶縁層11の表面に、粘着性を有するフィルムからなる第1カバー絶縁層13を直接貼着することにより、接着剤層を介さずに、第1導体層12を含む第1ベース絶縁層11上に第1カバー絶縁層13を直接積層すればよい。上記の接着剤層を設ける場合には、その厚みは、10〜35μmが好ましい。また、第1導体層12を含む第1ベース絶縁層11上に、感光性樹脂溶液を塗布した後、露光および現像することにより、第1導体層12を含む第1ベース絶縁層11上に第1カバー絶縁層13を所定形状のパターンとして形成してもよい。
【0031】
また、この第1カバー絶縁層13の形成においては、第1導体配線パターン8の長手方向両端部(長手方向内側端部および外側端部)において、第1カバー絶縁層13を形成せずに、第1導体配線パターン8を露出させることによって、第1内側端子9および第1外側端子10をそれぞれ形成し、それらが露出される部分を、それぞれ第1内側端子部6および第1外側端子部7とする。
【0032】
このような第1内側端子部6および第1外側端子部7の形成は、より具体的には、例えば、感光性樹脂のパターンニングによる場合には、第1カバー絶縁層13の形成と同時に形成し、また、樹脂溶液を全面塗布する場合やフィルムからなる第1カバー絶縁層13を貼着する場合には、例えば、ドリル加工、パンチング加工、レーザ加工、エッチングなどの公知の方法によって、第1カバー絶縁層13の長手方向両端部を開口することにより、形成すればよい。
【0033】
第2フレキシブル配線回路基板3は、可撓性を有するフィルムからなり、図1に示すように、平面視において略T字形状をなし、第2導体配線パターン部21と、その第2導体配線パターン部21の両側に連続して形成される第2内側端子部22および第2外側端子部23とを備えている。
【0034】
第2導体配線パターン部21には、複数の配線W2が、第1導体配線パターン8の配線W1のピッチよりも粗いピッチで並列する第2導体配線パターン24がブロック単位で複数(4つ)形成されている。各第2導体配線パターン24のピッチ(配線W2の幅と、互いに隣り合う各配線W2の間隔との合計)は、通常、80〜500μm、好ましくは、80〜200μmとして形成されている。また、各第2導体配線パターン24における配線W2の幅は、40〜100μmであることが好ましく、互いに隣り合う各配線W2の間隔は、40〜100μmであることが好ましい。
【0035】
第2内側端子部22は、第2導体配線パターン24の配線W2が延びる方向(以下、長手方向とする。)の内側端部(第1フレキシブル配線回路基板2と対向する端部)において、ブロック単位で形成される各第2導体配線パターン24に対応して、幅方向(配線W2の長手方向と直交する方向)に沿って複数(4つ)形成されている。各第2内側端子部22には、第2導体配線パターン24の配線W2の長手方向内側端部が後述する第2カバー絶縁層29から露出することにより形成される第2接続端子としての第2内側端子25が、幅方向に沿って互いに所定間隔を隔てて並列するように設けられている。なお、第2内側端子25は、後述する電子部品Eに接続される。
【0036】
また、図5に示すように、この第2フレキシブル配線回路基板3の長手方向内側端部において、幅方向において互いに隣り合う各第2内側端子部22の間には、長手方向内側に向かって凸状に突出する凸部31が形成されている。なお、各凸部31における突出側の幅方向両側部には、長手方向外側から内側に向かって幅狭となる傾斜部32が形成されている。
【0037】
また、この第2フレキシブル配線回路基板3の長手方向内側端部において、幅方向両側部(幅方向最外側の第2内側端子部22と、第2フレキシブル配線回路基板3の幅方向外側端縁との間)には、長手方向内側に向かって突出する突起部33が形成されている。各突起部33の幅方向外側には、長手方向内側に向かって先細となる傾斜部34が形成されている。
【0038】
第2外側端子部23は、図1に示すように、第2導体配線パターン24の長手方向外側端部(第1フレキシブル配線回路基板2と対向する端部と反対側の端部)において、幅方向全体にわたって連続して形成されている。第2外側端子部23には、第2導体配線パターン24の配線W2の長手方向外側端部が後述する第2カバー絶縁層29から露出することにより形成される第2外側端子26が、幅方向に沿って互いに所定間隔を隔てて並列するように設けられている。なお、第2外側端子26は、例えば、制御回路などの外部回路などに接続される。
【0039】
なお、第2内側端子部22における第2内側端子25の総数と、第2外側端子部23における第2外側端子26の総数は、同数であり、特に限定されないが、例えば、1〜100個程度である。
【0040】
また、この第2フレキシブル配線回路基板3は、図2に示すように、第1フレキシブル配線回路基板2と同様に、第2ベース絶縁層27と、その第2ベース絶縁層27の表面上に形成される第2導体層28と、その第2導体層28を被覆する第2カバー絶縁層29とを備えている。
【0041】
第2ベース絶縁層27および第2カバー絶縁層29は、絶縁性および可撓性を有するものであれば、特に限定されず、第1ベース絶縁層11と同様の樹脂が用いられ、好ましくは、ポリイミド樹脂が用いられる。また、第2ベース絶縁層27の厚みは、通常、10〜200μm、さらには、10〜75μmであることが好ましく、第2カバー絶縁層29の厚みは、通常、10〜200μm、さらには、10〜75μmであることが好ましい。
【0042】
また、第2導体層28は、導電性を有するものであれば、特に制限されず、第1導体層12と同様の金属箔が用いられ、好ましくは、銅箔が用いられる。また、第2導体層28の厚みは、通常、5〜100μm、さらには、5〜18μmであることが好ましい。
【0043】
そして、このような第2フレキシブル配線回路基板3は、特に限定されず、第1フレキシブル配線回路基板2と同様に、例えば、図4に示す公知の方法によって製造することができる。なお、図4において、第2導体配線パターン24の配線W2の長手方向に沿う断面を「X軸方向」(図1の矢印Xで示す方向)の側断面図として、また、第2フレキシブル配線回路基板3の幅方向に沿う断面を「Y軸方向」(図1の矢印Yで示す方向)の正断面図として、それぞれ示している。
【0044】
図4において、この方法では、まず、図4(a)に示すように、第2ベース絶縁層27を用意して、図4(b)に示すように、その第2ベース絶縁層27上に、第2導体層28を積層する。第2ベース絶縁層27上に、第2導体層28を積層するには、第1ベース絶縁層11上に第1導体層12を積層する方法と同様の方法が用いられる。
【0045】
次いで、この方法では、図4(c)に示すように、第2導体層28をパターン化して、第2導体配線パターン24を形成する。第2導体層28のパターン化は、公知の方法でよく、第1導体層12と同様に、サブトラクティブ法などが用いられる。なお、その目的および用途によって、例えば、アディティブ法やセミアディティブ法などの公知のパターンニング法を用いることもできる。
【0046】
そして、この方法では、図4(d)に示すように、第2導体配線パターン24に形成された第2導体層28を覆う状態で、第2ベース絶縁層27上に第2カバー絶縁層29を形成することにより、第2フレキシブル配線回路基板3を得る。
【0047】
第2カバー絶縁層29の形成は、第1カバー絶縁層13を形成する方法と同様の方法が用いられる。
【0048】
また、第2カバー絶縁層29の形成は、第1カバー絶縁層13の形成と同様に、第2導体配線パターン24の長手方向両端部(長手方向内側端部および外側端部)において、第2カバー絶縁層29を形成せずに、第2導体配線パターン24を露出させることによって、第2内側端子25および第2外側端子26をそれぞれ形成し、それらが露出される部分を、それぞれ第2内側端子部22および第2外側端子部23とする。このような第2内側端子部22および第2外側端子部23の形成は、第1内側端子部6および第1外側端子部7の形成と同様の方法が用いられる。
【0049】
そして、このフレキシブル配線回路基板1は、図5に示すように、上記のようにして得られる第1フレキシブル配線回路基板2と、第2フレキシブル配線回路基板3とが、各第1内側端子部6の第1内側端子9と各第2内側端子部22の第2内側端子25とが同一(共通)の電子部品Eに接続されるように、支持板4上に隣接して設置されている。
【0050】
支持板4は、第1フレキシブル配線回路基板2の長手方向内側端部および第2フレキシブル配線回路基板3の長手方向内側端部と、ほぼ同様の幅を有する略矩形板状をなし、特に限定されないが、例えば、アルミニウム板、ステンレス板などの金属板、例えば、ガラス−エポキシ板などの繊維強化樹脂板、例えば、ポリイミド板、ポリエチレンテレフタレート(PET)板などの樹脂板などが用いられる。電子部品Eの接続信頼性を向上させる観点からは、アルミニウム板、ステンレス板などの金属板が好ましく用いられる。また、支持板4の厚みは、通常、50μm〜4mmである。
【0051】
そして、第1フレキシブル配線回路基板2と、第2フレキシブル配線回路基板3とを、各第1内側端子部6の第1内側端子9と各第2内側端子部22の第2内側端子25とが同一の電子部品Eに接続されるように支持板4上に隣接して設置するには、支持板4上において、第1フレキシブル配線回路基板2の各凹部15の傾斜部16と、第2フレキシブル配線回路基板3の各凸部31の傾斜部32とが、わずかな隙間を隔てて対向し、かつ、第1フレキシブル配線回路基板2の各突起部17の傾斜部18と、第2フレキシブル配線回路基板3の各突起部33の傾斜部34とが、わずかな隙間を隔てて対向するように、第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3とを突合せるように配置し、図2に示すように、接着剤層41を介して、これら第1フレキシブル配線回路基板2および第2フレキシブル配線回路基板3を、支持板4上に貼着すればよい。
【0052】
このように第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3とを突合せて配置すれば、各第1内側端子部6の第1内側端子9と各第2内側端子部22の第2内側端子25とが同一の電子部品Eに接続されるように、簡易かつ確実に位置決めしつつ、第1フレキシブル配線回路基板2および第2フレキシブル配線回路基板3を支持板4上に設置することができる。
【0053】
接着剤層41を形成する接着剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系接着剤やポリイミド系接着剤などの公知の接着剤が用いられる。なお、接着剤層41の厚みは、通常、10〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。
【0054】
また、第1フレキシブル配線回路基板2および第2フレキシブル配線回路基板3を、接着剤層41を介して支持板4上に貼着するには、特に限定されないが、例えば、第1フレキシブル配線回路基板2の第1ベース絶縁層11の内側端部および第2フレキシブル配線回路基板3の第2ベース絶縁層27の内側端部に、接着剤を塗布した後、支持板4上に接着するか、または、支持板4の表面に接着剤を塗布した後、第1フレキシブル配線回路基板2の第1ベース絶縁層11の内側端部および第2フレキシブル配線回路基板3の第2ベース絶縁層27の内側端部を、その接着剤が塗布された支持板4上に接着すればよい。なお、図2には、前者の態様が示されている。
【0055】
これによって、第1フレキシブル配線回路基板2の各第1内側端子部6と、第2フレキシブル配線回路基板3の各第2内側端子部22とが、所定間隔を隔てて対向配置され、これらに挟まれる平面視において略矩形状に形成される空間が、電子部品Eを実装するための電子部品実装部42とされる。
【0056】
このようなフレキシブル配線回路基板1では、電子部品実装部42を挟んで、第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3とに分割して形成されているので、製造過程において、第1フレキシブル配線回路基板2の第1導体配線パターン8をファインピッチで形成することにより、第1フレキシブル配線回路基板2に欠陥が生じやすくなっても、その欠陥が生じた第1フレキシブル配線回路基板2のみを不良品として、欠陥のない第1フレキシブル配線回路基板2を選別して第2フレキシブル配線回路基板3と組み合わせることができる。
【0057】
すなわち、例えば、図6に示すように、電子部品実装部42を打ち抜きにより形成した一体型のフレキシブル配線回路基板51では、第1導体配線パターン8をファインピッチで形成することにより欠陥が生じると、フレキシブル配線回路基板1が全体として不良品となるため、良品率(歩留まり)が低下し、ひいては生産性の顕著な低下を生じる。なお、図6においては、図1に示すフレキシブル配線回路基板1と同様の部材には、同一の符号を付して示している。
【0058】
しかるに、このフレキシブル配線回路基板1では、互いに独立する第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3とを組み合わせた複合型のフレキシブル配線回路基板1であるため、ファインピッチで形成される第1導体配線パターン8を有する第1フレキシブル配線回路基板2の良品を、常に、第2フレキシブル配線回路基板3と組み合わせることができるので、フレキシブル配線回路基板1を全体として、高い良品率で生産性良く得ることができる。
【0059】
そして、このようにして得られるフレキシブル配線回路基板1の電子部品実装部42には、図2の仮想線で示されるように、電子部品Eが実装される。
【0060】
電子部品Eは、例えば、半導体チップ、コンデンサあるいは抵抗など、その目的および用途により適宜選択される。このような電子部品Eは、例えば、各電子部品実装部42に設置され、第1フレキシブル配線回路基板2の第1内側端子9および第2フレキシブル配線回路基板3の第2内側端子25と、例えば、ワイヤーボンディング、異方向導電性接着剤による接合、はんだ接合などの公知の方法によって接続されることにより、このフレキシブル配線回路基板1に実装される。
【0061】
そして、このフレキシブル配線回路基板1では、第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3とを支持板4上に隣接して設置して、第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3とを確実に支持しつつ、互いに対向する各内側端子部6の第1内側端子9と各第2内側端子部22の第2内側端子25とを同一(共通)の電子部品Eに接続することにより、その電子部品Eを介して第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3とを電気的に接続することができる。そのため、フレキシブル配線回路基板1のコンパクト化を図りつつ、第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3との直接的な接続を不要として構成の簡略化および製造工数の低減化を図ることができながら、支持板4上での確実な設置により、フレキシブル配線回路基板1の信頼性の向上を図ることができる。
【0062】
また、このように電子部品Eが実装された後には、不要であれば支持板4を除去してもよい。
【0063】
なお、上記の説明では、第1フレキシブル配線回路基板2の第1導体配線パターン8をファインピッチに形成する一方、第2フレキシブル配線回路基板3の第2導体配線パターン24を第1導体配線パターン8のファインピッチよりも粗いピッチに形成したが、本発明のフレキシブル配線回路基板では、例えば、上記の逆、すなわち、第2フレキシブル配線回路基板3の第2導体配線パターン24をファインピッチに形成する一方、第1フレキシブル配線回路基板2の第1導体配線パターン8を第2導体配線パターン24のファインピッチよりも粗いピッチに形成してもよく、さらには、第1フレキシブル配線回路基板2の第1導体配線パターン8および第2フレキシブル配線回路基板3の第2導体配線パターン24を、ともに、例えば、150μm以下のファインピッチに形成してもよい。
【0064】
また、上記の説明では、第1フレキシブル配線回路基板2の第1内側端子部6における第1内側端子9の総数(例えば、100〜1000個程度)を、第2フレキシブル配線回路基板3の第2内側端子部22における第2内側端子25の総数(例えば、1〜100個程度)よりも多く形成したが、端子数は、特に限定されず、例えば、第1内側端子9の総数と第2内側端子25の総数とが同数であっても異なる数であってもよい。
【0065】
また、上記の説明では、第1フレキシブル配線回路基板2と第2フレキシブル配線回路基板3とを、電子部品Eを介して電気的に接続したが、必要により、例えば、ワイヤーボンディングなどによって、その他の接続配線を介してこれらを電気的に接続してもよい。
【0066】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、何ら以下の実施例に限定されるものではない。
【0067】
実施例1
1)第1フレキシブル配線回路基板の作製
まず、厚み25μmのポリイミド樹脂フィルムからなる第1ベース絶縁層と、厚み18μmの銅箔からなる第1導体層とが、直接積層されている二層基材を用意した(図3(b)参照)。
【0068】
次に、第1導体層を、サブトラクティブ法により、配線の幅75μm、間隔50μm、ピッチ125μm、第1内側端子および第1外側端子の数400個となる第1導体配線パターンに形成した(図3(c)参照)。
【0069】
その後、厚み25μmのポリイミド樹脂フィルムを第1内側端子および第1外側端子が露出される形状に予め打ち抜た第1カバー絶縁層を、厚み15μmのエポキシ系接着剤からなる接着剤層を介して、第1導体層を含む第1ベース絶縁層上に貼着することにより、第1フレキシブル配線回路基板を作製した(図3(d)参照)。なお、この第1フレキシブル配線回路基板の詳細な形状は、図1に示す第1フレキシブル配線回路基板と同様である。
【0070】
2)第2フレキシブル配線回路基板の作製
まず、厚み25μmのポリイミド樹脂フィルムからなる第2ベース絶縁層と、厚み18μmの銅箔からなる第2導体層とが、直接積層されている二層基材を用意した(図4(b)参照)。
【0071】
次に、第2導体層を、サブトラクティブ法により、配線の幅100μm、間隔100μm、ピッチ200μm、第2内側端子および第2外側端子の数25個となる第2導体配線パターンに形成した(図4(c)参照)。
【0072】
その後、厚み25μmのポリイミド樹脂フィルムを第2内側端子および第2外側端子が露出される形状に予め打ち抜た第2カバー絶縁層を、厚み15μmのエポキシ系接着剤からなる接着剤層を介して、第2導体層を含む第2ベース絶縁層上に貼着することにより、第2フレキシブル配線回路基板を作製した。なお、この第2フレキシブル配線回路基板の詳細な形状は、図1に示す第2フレキシブル配線回路基板と同様である。
【0073】
3)複合型フレキシブル配線回路基板の作製
厚み2mmのアルミニウム板(100mm×30mm)を支持板として用意し、上記により得られた第1フレキシブル配線回路基板の第1ベース絶縁層の内側端部および第2フレキシブル配線回路基板の第2ベース絶縁層の内側端部に、エポキシ系接着剤を厚み50μmで塗布した。次に,これらを、支持板上において、第1フレキシブル配線回路基板の各凹部の傾斜部と、第2フレキシブル配線回路基板の各凸部の傾斜部とが、わずかな隙間を隔てて対向し、かつ、第1フレキシブル配線回路基板の各突起部の傾斜部と、第2フレキシブル配線回路基板の各突起部の傾斜部とが、わずかな隙間を隔てて対向するように、第1フレキシブル配線回路基板と第2フレキシブル配線回路基板とを突合せた状態(図5参照)で、支持板上に貼着し(図2参照)、これによって、複合型フレキシブル配線回路基板を得た(図1参照)。
【0074】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のフレキシブル配線回路基板は、導体配線パターンをファインピッチで形成することができながら、高い良品率で生産性良く得ることができる。しかも、フレキシブル配線回路基板のコンパクト化を図りつつ、第1フレキシブル配線回路基板と第2フレキシブル配線回路基板との直接的な接続を必要とせず構成の簡略化および製造工数の低減化を図ることができながら、支持板上での確実な設置により、フレキシブル配線回路基板の信頼性の向上を図ることができる。さらに、本発明のフレキシブル配線回路基板では、各第1内側端子部の第1接続端子と、各第2内側端子部の第2接続端子とが同一の電子部品に接続されるように、簡易かつ確実に位置決めしつつ、第1フレキシブル配線回路基板および第2フレキシブル配線回路基板を支持板上に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフレキシブル配線回路基板の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示すフレキシブル配線回路基板の側断面図である。
【図3】図1に示すフレキシブル配線回路基板の第1フレキシブル配線回路基板の製造方法の一実施形態を示す、工程断面図であって
(a)は、第1ベース絶縁層を用意する工程、
(b)は、第1ベース絶縁層上に第1導体層を積層する工程、
(c)は、第1導体層を第1導体配線パターンに形成する工程、
(d)は、第1導体層を含む第1ベース絶縁層上に、第1カバー絶縁層を形成する工程を示す。
【図4】図1に示すフレキシブル配線回路基板の第2フレキシブル配線回路基板の製造方法の一実施形態を示す、工程断面図であって
(a)は、第2ベース絶縁層を用意する工程、
(b)は、第2ベース絶縁層上に第2導体層を積層する工程、
(c)は、第2導体層を第2導体配線パターンに形成する工程、
(d)は、第2導体層を含む第2ベース絶縁層上に、第2カバー絶縁層を形成する工程を示す。
【図5】図1に示すフレキシブル配線回路基板の要部平面図である。
【図6】一体型のフレキシブル配線回路基板を示す平面図である。
【符号の説明】
1 フレキシブル配線回路基板
2 第1フレキシブル配線回路基板
3 第2フレキシブル配線回路基板
4 支持板
8 第1導体配線パターン
9 第1内側端子
25 第2内側端子
E 電子部品
Claims (2)
- 電子部品に接続するための第1接続端子を有する第1フレキシブル配線回路基板と、電子部品に接続するための第2接続端子を有する第2フレキシブル配線回路基板と、前記第1フレキシブル配線回路基板および前記第2フレキシブル配線回路基板を、前記電子部品が実装される側と反対側から支持するための支持板とを備え、
前記第1フレキシブル配線回路基板には、前記第2フレキシブル配線回路基板と対向する端部において、前記第1接続端子が並列される第1内側端子部がブロック単位で複数形成されるとともに、互いに隣り合う各前記第1内側端子部の間には、凹状に窪む凹部が形成されており、
前記第2フレキシブル配線回路基板には、前記第1フレキシブル配線回路基板と対向する端部において、前記第2接続端子が並列される第2内側端子部がブロック単位で複数形成されるとともに、互いに隣り合う各前記第2内側端子部の間には、凸状に突出する凸部が形成されており、
前記第1フレキシブル配線回路基板および前記第2フレキシブル配線回路基板が、前記第1フレキシブル配線回路基板の各前記凹部と前記第2フレキシブル配線回路基板の各前記凸部とが間隔を隔てて対向するように突合わせて配置され、かつ、前記第1接続端子と前記第2接続端子とが同一の電子部品に接続されるように、前記支持板上に隣接して設置されていることを特徴とする、フレキシブル配線回路基板。 - 前記第1フレキシブル配線回路基板および/または前記第2フレキシブル配線回路基板は、150μm以下のピッチで形成されている導体配線パターンを有していることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル配線回路基板。
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