JP3892123B2 - 自動二輪車用ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、走行時と駐車時とに使用される自動二輪車のブレーキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動二輪車には、後輪に機械式ドラムブレーキが設けられたものがあり、ハンドルの左グリップ部に設けられたブレーキレバーを握ることにより、ワイヤが引かれ、カムレバーが回動されて、ブレーキシューがブレーキドラムに圧接される。これで、走行中等に後輪が制動されてブレーキが掛けられることとなる。
【0003】
また、駐車時には、そのように左グリップ部のブレーキレバーを握り、ブレーキを掛けた状態で、そのブレーキレバーをロック手段にてロックするようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、走行時おける後輪の制動性を向上させるには、機械式ドラムブレーキよりも油圧式ディスクブレーキを用いるのが望ましいが、駐車時等、長時間に渡って、ブレーキを掛けている場合には、油圧の圧力低下が考えられるため、これを防止するのに、シール性能を向上させたり、油圧管に低膨張率のものを使用したりする必要があり、高価なものとなると共に、そのような対策を施しても、まだ不十分な場合がある。
【0005】
そこで、この発明は、走行時おける後輪の制動性を向上させると共に、駐車時における後輪の安定した制動性を確保できる自動二輪車用ブレーキ装置を提供することを課題としている。
【0006】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、車両前部側で運転者の前側にレッグシールドを有すると共に、駐車時にブレーキを掛けた状態で維持可能なパーキングブレーキを有する自動二輪車用ブレーキ装置であり、ハンドルの右側部分にアクセルが設けられるとと共に、左グリップ部にブレーキレバーが設けられ、前記ブレーキレバーとは別に前記パーキングブレーキの操作部を備え、該操作部は、車体中心に対してアクセル側の前記レッグシールドに配設されると共に、前記レッグシールド内に延長されてパーキングブレーキワイヤに連結され、前記操作部を操作することにより、前記パーキングブレーキワイヤを介して前記パーキングブレーキが作動するように構成されたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、後輪に機械式ドラムブレーキと油圧式ディスクブレーキとが配設され、前記操作部は、前記パーキングブレーキワイヤを介して前記機械式ドラムブレーキを作動可能に構成され、前記ブレーキレバーは、前記油圧式ディスクブレーキを作動可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1乃至図12には、この発明の実施の形態を示す。
【0010】
まず構成について説明すると、図1中符号1は自動二輪車の後輪で、この後輪1は、リヤタイヤ2及びリヤホイール3を有し、このリヤホイール3にリヤシャフト4が挿通されて固定されている。
【0011】
このリヤシャフト4は、エンジン5により回転駆動されるようになっており、クランクケース7にベアリング8を介して回転自在に支持されると共に、先端部4a側がリヤアーム9にベアリング10を介して回転自在に支持されている。
【0012】
そして、その後輪1の図1中左側(エンジン5側)には、機械式ドラムブレーキ12が、又、後輪1の図1中右側(マフラー14側)には、油圧式ディスクブレーキ13が配設されている。
【0013】
その機械式ドラムブレーキ12は、図1及び図2に示すように、一対のブレーキシュー15がピボットシャフト6を中心に回動自在に設けられることにより、拡径・縮径自在に設けられ、両ブレーキシュー15に一対のスプリング17,18が掛け渡されて、縮径方向に付勢されている。また、一対のブレーキシュー15の先端部の間には、カムシャフト19が回動自在に設けられ、このカムシャフト19が図2に示す状態から回動されることにより、両ブレーキシュー15が拡径され、このブレーキシュー15の周縁部に設けられたライニング15aが、後輪リヤホイール3に形成されたブレーキドラム20の内面に圧接されて後輪1が制動されるようになっている。そのカムシャフト19は、以下のような機構により回動されるようになっている。
【0014】
すなわち、そのカムシャフト19には、カムレバー23が固定され、このカムレバー23に図2に示すようにパーキングブレーキワイヤ24が連結されており、このパーキングブレーキワイヤ24は、図3及び図4に示すように、パーキングブレーキホース25に挿通されると共に、ハンドル26のアクセル27側に設けられた「操作部」としてのレバー部材28に連結されている。
【0015】
そのパーキングブレーキホース25等は、後方から前方に向けて図3中斜線に示すように、車体後方から見て車体の左側を通って延長され、ハンドル26の前側の部位Aから、図4の部位Aに連続して車体後方から見て車体右側に回され、前記レバー部材28に以下のように接続されている。
【0016】
すなわち、図5乃至図7に示すように、レッグシールド30にブラケット31が固定され、このブラケット31にカム部材32が回動軸33にて回動自在に配設され、このカム部材32にレバー部材28の先端部28aが軸35により回動自在に取り付けられている。このカム部材32は、図8等に示すように2分割され、両側面の一方に、ハート型カム溝32aが形成され、他方に円弧状カム溝32bが形成されている。
【0017】
そして、それらカム溝32a,32bに棒状スプリング36が係合されている。この棒状スプリング36は、略コ字状を呈し、図6,図7及び図9に示すように、中間部36aがブラケット31の円弧状の保持部31aに回動自在に取り付けられる一方、このコ字状の先端部に内側に向けて係止部36b,36cが突設され、一方の係止部36bがハート型カム溝23aに移動自在に挿入され、他方の係止部36cが円弧状カム溝32bに移動自在に挿入されている。
【0018】
また、前記カム部材32には、係止切欠部32dが形成され、この係止切欠部32dにパーキングブレーキワイヤ24の引掛け部24bが挿入係止されている。さらに、このワイヤ24が挿入されたパーキングブレーキホース25の端部が、図6及び図10に示すように、ブラケット31に形成されたフック31bに係止されている。なお、動きは作用の欄で説明する。
【0019】
一方、油圧式ディスクブレーキ13は、図1及び図11に示すように、後輪1のリヤホイール3にディスクプレート39が固定される一方、リヤアーム9にキャリパ40が固定されている。このキャリパ40には、油圧により作動して両側からディスクプレート39を挟持するパッド41が設けられ、そのキャリパ40に油圧を付与するブレーキホース42が図4及び図11に示すように、接続されている。このブレーキホース42は、図4中黒塗りで示すように、キャリパ40接続部(後端部)から前方に向けて車両後方から見て車体の右側を通って延長され、途中で、図4のXから図12のXへ連続し、図12に示すように、鉄パイプ43の中を通って、車体の右側から左側に抜け、図12のYから図3のYへ連続し、図3中黒塗りで示すように、ハンドル26の左側に配設された油圧ポンプ44に接続されている。この油圧ポンプ44は、その左グリップ45のブレーキレバー46を握ることにより、油圧が上昇して、キャリパ40のパッド41により、ディスクプレート39が挟持されるようになっている。
【0020】
次に、作用について説明する。
【0021】
車両走行中において、後輪1の動きを制動するには、ハンドル26の左グリップ部45に設けられたブレーキレバー46を握ることにより、油圧ポンプ44からブレーキホース42を介して油がキャリパ40に送られる。これにより、キャリパ40内に油圧が上昇し、一対のパッド41がディスクプレート39側に向けて移動することにより、これらパッド41でディスクプレート39が挟持されて動きが規制されることとなる。このように油圧式ディスクブレーキ13を使用することにより、機械式ドラムブレーキ12を使用するものと比較すると、後輪1の制動性が向上する。このように走行中に制動性の良好な油圧式ディスクブレーキ13を使用することは極めて運転性が向上する。
【0022】
一方、自動二輪車を駐車する場合には、例えば、上記のように左手で、左グリップ部45を握り、油圧式ディスクブレーキ13を掛けた状態で、右手をアクセル27から離して、このアクセル27側に設けられたレバー部材28を図4及び図6中二点鎖線に示すように引く。
【0023】
すると、カム部材32が図6に示すように回動し、棒状スプリング36の一方の係止部36bが、ハート型カム溝32aの上辺部32e内を移動する。これは、棒状スプリング36の他方の係止部36cが、円弧状カム溝32b内を移動することにより、棒状スプリング36の一方の係止部36b側に上方に向かう付勢力が作用することから、その一方の係止部36bが、ハート型カム溝32aの下辺部32cから上辺部32eに移動して行く。そして、この一方の係止部36dが上辺部32eの端部32fに達すると、この一方の係止部36dには、他方の係止部36cが円弧状カム溝32aに挿入されていることから、下方に向かう付勢力が作用しているため、その一方の係止部36dは、上辺部32eからU字状のストッパ部32gに移動して係止され、カム部材32はこの回動位置で停止される。
【0024】
このように、カム部材32が回動されることにより、パーキングブレーキワイヤ24が図3に示すコイルスプリング48の付勢力に抗して引っ張られ、機械式ドラムブレーキ12が作動してブレーキが掛かると共に、そのカム部材32がその回動位置で停止されるため、そのブレーキが掛かった状態が維持されることとなる。パーキングブレーキワイヤ24が引っ張られると、カムレバー23を介してカムシャフト19が回動されることにより、一対のブレーキシュー15がピボットシャフト16を中心に外側に向けて回動され、ライニング15aがブレーキドラム20の内壁面に押し付けられる。これで、いわゆるパーキングブレーキが作動することとなる。
【0025】
また、このパーキングブレーキ状態を解除するには、レバー部材28を再度引くことにより、棒状スプリング36の係止部36bがストッパ部32gから抜け出し、ハート型カム溝32aの下辺部32cに至る。すると、コイルスプリング48の付勢力により、カム部材32が図6中実線に示す位置まで復帰することとなり、カムシャフト19が元の回動位置に戻り、一対のスプリング17,18の付勢力により、一対のブレーキシュー15が閉じる方向に回動されて、ライニング15aがブレーキドラム20から離間してパーキングブレーキ状態が解除されることとなる。
【0026】
このような機械式ドラムブレーキ12は、制動性能が、それ程、高精度ではないが、油圧式のように、圧力低下を考慮する必要が無く、長時間ブレーキを掛けた状態でも、安定した制動力を維持できることから、パーキングブレーキには最適である。
【0027】
このように、高精度の制動性能が要求される走行時には、油圧式ディスクブレーキ13を使用することにより、制動性能の要求を充足し、又、長時間に渡り安定した制動力が要求される駐車時には、機械式ドラムブレーキ12を使用することにより、長時間に渡る安定した制動力の要求を充足することができる。
【0028】
また、機械式ドラムブレーキ12のレバー部材28をアクセル27側に設定することにより、右手で操作し易いことから、左手で油圧式ディスクブレーキ13を作動させた状態で、機械式ドラムブレーキ12の作動又は解除を行うことができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明してきたように、各請求項に記載の発明によれば、「操作部」としてのレバー部材をアクセル側に設定することにより、右手で操作し易いことから、左手でブレーキレバーを操作した状態で、いわゆるパーキングブレーキの「操作部」としてのレバー部材を操作できる、という実用上有益な効果を発揮する。
【0030】
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、高精度の制動性能が要求される走行時には、油圧式ディスクブレーキを使用することにより、制動性能の要求を充足し、又、長時間に渡り安定した制動力が要求される駐車時には、機械式ドラムブレーキを使用することにより、長時間に渡る安定した制動力の要求を充足することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る腰部を示す後輪部分の車両後方から見た断面図である。
【図2】同実施の形態に係る機械式ドラムブレーキを示す図である。
【図3】同実施の形態に係る自動二輪車の右側面図である。
【図4】同実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図5】同実施の形態に係るレバー部材の配設部分を示す図である。
【図6】同実施の形態に係る図6のA−A線に沿う断面図である。
【図7】同実施の形態に係るレバー部材等の分解斜視図である。
【図8】同実施の形態に係るカム部材の分解斜視図である。
【図9】同実施の形態に係る棒状スプリングの取付部分の分解斜視図である。
【図10】同実施の形態に係るブラケットへのパーキングブレーキホース等の取付状態を示す斜視図である。
【図11】同実施の形態に係る油圧式ディスクブレーキや後輪を示す正面図である。
【図12】同実施の形態に係る油圧式ディスクブレーキのブレーキホースの配索状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 後輪
2 リヤタイヤ
3 リヤホイール
12 機械式ドラムブレーキ
13 油圧式ディスクブレーキ
26 ハンドル
27 アクセル
28 レバー部材(操作部)
45 左グリップ部

Claims (2)

  1. 車両前部側で運転者の前側にレッグシールドを有すると共に、駐車時にブレーキを掛けた状態で維持可能なパーキングブレーキを有する自動二輪車用ブレーキ装置であり、
    ハンドルの右側部分にアクセルが設けられるとと共に、左グリップ部にブレーキレバーが設けられ、
    前記ブレーキレバーとは別に前記パーキングブレーキの操作部を備え、該操作部は、車体中心に対してアクセル側の前記レッグシールドに配設されると共に、前記レッグシールド内に延長されてパーキングブレーキワイヤに連結され、
    前記操作部を操作することにより、前記パーキングブレーキワイヤを介して前記パーキングブレーキが作動するように構成されたことを特徴とする自動二輪車用ブレーキ装置。
  2. 後輪に機械式ドラムブレーキと油圧式ディスクブレーキとが配設され、前記操作部は、前記パーキングブレーキワイヤを介して前記機械式ドラムブレーキを作動可能に構成され、前記ブレーキレバーは、前記油圧式ディスクブレーキを作動可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車用ブレーキ装置。
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