JP3890967B2 - 車両用制動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、先行車両等の障害物と接触する可能性があると予測される場合に、制動力を強制的に発生させ、接触を回避するようにした車両用制動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両走行時の安全性向上を図るべく数々の装置が開発されており、車両に搭載したレーダ装置によって先行車両との車間距離を検出し、衝突の可能性がある場合に、制動力を自動的に発生させるようにした装置等が提案されている。
例えば、特開平6−298022号公報には、車両前方の障害物に対して、ブレーキ操作による衝突回避可能距離と、操舵による衝突回避可能距離と、を算出し、障害物と自車両との距離が、算出した何れの衝突回避可能距離よりも下回ったときに自動制動を行うことによって、不要な自動制動を行うことを回避するようにしたものが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブレーキ操作及び操舵操作による衝突回避可能距離を検出し、障害物との距離がこれら衝突回避可能距離を下回る場合に自動制動を行うようにした方法においては、車間距離検出手段によって障害物との距離つまり車間距離を検出し、この車間距離に基づいてブレーキ操作による衝突回避可能距離及び操舵操作による衝突回避可能距離を算出し、車間距離検出手段で検出された車間距離が、前記ブレーキ操作及び操舵操作による衝突回避可能距離の何れよりも下回ったとき自動制動を開始し、衝突回避可能距離の何れかよりも大きい場合には、自動制動を行わないようにしている。
【0004】
このため、例えば、車間距離検出手段が障害物でないものを障害物として誤検知し、これによって自動制動が開始された場合等には、運転者は障害物を認識しておらず操舵操作或いは制動操作を行わないため、障害物を誤検知した状態が維持され、自動制動が継続して行われることになる。つまり、不要な制動力が発生され続けてしまうという問題がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、運転者に違和感を与えることなく、不要な制動力が発生され続けてしまうことを回避することの可能な車両用制動制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る車両用制動制御装置は、自車両と障害物との相対関係を検出する相対関係検出手段と、操舵量を検出する操舵量検出手段と、ブレーキペダルの操作とは独立に制動力を発生させる制動力発生手段と、前記相対関係検出手段で検出した相対関係に基づいて前記障害物との接触を回避可能であるかどうかを判定する接触回避判定手段と、前記制動力発生手段を制御し、前記接触回避判定手段での判定結果に応じて制動力を発生させる制御手段と、前記制動力発生手段による制動力の発生を停止させる制動解除意志が運転者にあるか否かを判定する制動解除意志検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記制動解除意志検出手段で制動解除意志があることが検出されたとき、前記接触回避判定手段での判定結果に関わらず、前記制動力の発生を停止させるようにした車両用制動制御装置であって、前記制動解除意志検出手段は、前記操舵量検出手段で検出した操舵量が操舵量のしきい値以上であり且つ操舵速度が所定のしきい値以下であることを検出したとき、制動解除意志があると判定するようになっていることを特徴としている。
【0007】
また、請求項2に係る車両用制動制御装置は、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、前記制動解除意志検出手段は、前記アクセル操作量検出手段で検出したアクセルペダルの操作量に基づき、予め設定したしきい値以上のアクセルペダルの踏込みが行われたことを検出したとき、制動解除意志があると判定するようになっていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項3に係る車両用制動制御装置は、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキ操作量検出手段を備え、前記制動解除意志検出手段は、前記ブレーキ操作量検出手段で検出したブレーキペダルの操作量に基づき、ブレーキペダルの踏込み方向への操作が行われたときの踏込み方向への速度変化の最大値がしきい値以下であることを検出したとき、制動解除意志があると判定するようになっていることを特徴としている。
また、請求項4に係る車両用制動制御装置は、前記接触回避判定手段は、前記相対関係検出手段で検出した相対関係に基づいて前記障害物との接触を、操舵操作及び制動操作の何れにより回避可能であるかを判定し、前記制御手段は、前記接触回避判定手段で、前記操舵操作及び制動操作の何れか一方のみによって接触を回避可能であると判定されるとき第1の制動力を発生させ、前記操舵操作及び制動操作共に接触を回避不可能であると判定されるとき、前記第1の制動力よりも大きい第2の制動力を発生させるようになっていることを特徴としている。
【0009】
また、請求項5に係る車両用制動制御装置は、前記接触回避判定手段は、前記相対関係検出手段で検出される相対関係に基づいて自車両が前記障害物を操舵により回避するために必要な横移動量を算出し、算出した必要横移動量だけ移動するのに要する操舵回避時間を算出すると共に自車両が前記障害物と接触するまでの接触所要時間を算出し、前記操舵回避時間が前記接触所要時間よりも大きいとき、操舵操作による接触回避が不可能であると判定するようになっていることを特徴としている。
【0010】
また、請求項6に係る車両用制動制御装置は、前記接触回避判定手段は、前記横移動量を、自車両の進行方向に対して垂直方向における前記障害物のエッジ位置と、自車両との位置関係に基づいて検出するようになっていることを特徴としている。
また、請求項7に係る車両用制動制御装置は、前記接触回避判定手段は、前記障害物のエッジ位置と自車両との位置関係に基づいて、前記障害物を左右何れの方向に回避可能であるかを検出し、左右何れの方向にも回避可能であるときの前記障害物を右方向に操舵して回避する場合の横移動量及び左方向に操舵して回避する場合の横移動量のうちの何れか小さい方を、前記必要横移動量とするようになっていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項8に係る車両用制動制御装置は、前記接触所要時間を、自車両の車両諸元に基づいて算出するようになっていることを特徴としている。
また、請求項9に係る車両用制動制御装置は、前記接触所要時間を、緊急時の運転者の操舵特性に基づいて算出するようになっていることを特徴としている。
さらに、請求項10に係る車両用制動制御装置は、前記第1の制動力は、徐々に増加するように設定され且つ前記制動力発生手段で発生する制動力が前記第1の制動力から前記第2の制動力に切り換わるときにこれらの偏差が予め設定したしきい値以下となるようにその増加割合が設定されることを特徴としている。
さらにまた、請求項11に係る車両用制動制御装置は、自車両と障害物との相対関係を検出する相対関係検出手段と、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、ブレーキペダルの操作とは独立に制動力を発生させる制動力発生手段と、前記相対関係検出手段で検出した相対関係に基づいて前記障害物との接触を回避可能であるかどうかを判定する接触回避判定手段と、前記制動力発生手段を制御し、前記接触回避判定手段での判定結果に応じて制動力を発生させる制御手段と、前記制動力発生手段による制動力の発生を停止させる制動解除意志が運転者にあるか否かを判定する制動解除意志検出手段と、を備え、前記制御手段は、前記制動解除意志検出手段で制動解除意志があることが検出されたとき、前記接触回避判定手段での判定結果に関わらず、前記制動力の発生を停止させるようになっている車両用制動制御装置であって、前記制動解除意志検出手段は、前記アクセル操作量検出手段で検出したアクセルペダルの操作量に基づき、予め設定したしきい値以上のアクセルペダルの踏み込みが行われたことを検出したとき、制動解除意志があると判定し、且つ、前記ブレーキ操作量検出手段で検出したブレーキペダルの操作量に基づき、ブレーキペダルの踏込み方向への操作が行われたときの踏込み方向への速度変化の最大値がしきい値以下であることを検出したときにも、制動解除意志があると判定するようになっていることを特徴としている。
【0013】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る車両用制動制御装置によれば、接触回避判定手段での判定結果に応じて制動力を発生させるが、運転者に制動解除意志があるかどうかを検出し、制動解除意志があると判定されたときには、接触回避判定手段での判定結果に関わらず、制動力の発生を停止するようにしたから、相対関係検出手段が障害物ではないものを障害物として検知した場合等であっても、運転者に制動解除意志があると判定された時点で制動力の発生は停止されるため、誤検知にも関わらず制動力が発生され続けることを回避することができる。
【0014】
このとき、しきい値以上の操舵が行われ且つそのときの操舵速度がしきい値以下であるとき、つまり、比較的ゆっくり大きな操舵が行われたときに制動解除意志があると判定するようにしたから、カーブ路における路壁を障害物として誤検知した場合等には、カーブ路走行に伴ってゆっくり大きな操舵が行われた時点で制動解除意志があると判定されることになり、制動解除意志の検出を容易的確に行うことができる。
また、請求項2に係る車両用制動制御装置によれば、しきい値以上のアクセルペダルの踏み込みが行われたとき、つまり、運転者に加速意志があるとみなすことができるときに制動解除意志があると判定するようにしたから、制動解除意志の検出を容易的確に行うことができる。
【0015】
また、請求項3に係る車両用制動制御装置によれば、ブレーキペダルの踏込み方向への操作が行われたときの踏み込み方向への速度変化の最大値がしきい値以下であるとき、つまり、ブレーキペダルがゆっくり踏み込まれたときに、制動解除意志があると判定するようにしたから、カーブ路における路壁を障害物として誤検知した場合等には、カーブ路走行に伴ってゆっくりブレーキペダルを踏み込んだ時点で制動解除意志があると判定されることになり、制動解除意志の検出を容易的確に行うことができる。
【0016】
また、請求項4に係る車両用制動制御装置によれば、操舵操作及び制動操作の何れか一方のみによって接触を回避可能であると判定されるときに第1の制動力を発生させ、操舵操作及び制動操作を行っても障害物を回避することができないと判定されるときに第1の制動力よりも大きな第2の制動力を発生させるようにしたから、障害物を操舵操作によって回避可能であるような場合に不必要に制動力を発生させることはなく、的確なタイミングで制動力を発生させることができると共に、第2の制動力を発生させる時点つまり制動及び操舵操作共に回避不可能である緊急時には、既に第1の制動力が発生されており制動力を発生させるための制動流体圧はある程度立ち上がっているから、速やかに第2の制動力を発生させることができる。
【0017】
また、請求項5に係る車両用制動制御装置によれば、自車両が前記障害物を操舵により回避するために必要な横移動量を算出し、算出した必要横移動量だけ移動するのに要する操舵回避時間を算出し、接触回避時間が、自車両が前記障害物と接触するまでの接触所要時間よりも大きいときに、操舵操作による接触回避が不可能であると判定するようにしたから、操舵操作による接触回避判定を的確に行うことができる。
【0018】
また、請求項6に係る車両用制動制御装置によれば、横移動量を、自車両の進行方向に対して垂直方向における障害物のエッジ位置と、自車両との位置関係に基づいて検出するようにしたから、自車両に対する障害物のオフセット量が異なる場合であってもそれぞれの位置関係に応じて横移動量を高精度に検出することができ、操舵回避判定を的確に行うことができる。
また、請求項7に係る車両用制動制御装置によれば、障害物を右方向に操舵して回避する場合の横移動量及び左方向に操舵して回避する場合の横移動量のうち何れか小さい方を、必要横移動量としこれに基づき操舵操作による接触回避判定を行うようにしたから、必要横移動量を的確に設定することができ、運転者の操舵操作によって障害物を回避することが可能である場合に、不必要に制動力を発生させることを回避することができる。
【0019】
また、請求項8に係る車両用制動制御装置によれば、接触所要時間を、自車両の車両諸元に基づいて算出するようにしたから、車両の操舵特性や車速域で異なる操舵特性に関わらず、より的確に操舵回避判定を行うことができる。
また、請求項9に係る車両用制動制御装置によれば、接触所要時間を、緊急時の運転者の操舵特性に基づいて算出するようにしたから、より的確に操舵回避判定を行うことができる。
【0020】
さらに、請求項10に係る車両用制動制御装置によれば、第1の制動力を、徐々に増加するように設定し且つ第2の制動力に切り換わるときにこれらの偏差が予め設定したしきい値以下となるようにその増加割合を設定するようにしたから、第1の制動力から第2の制動力への切換を、運転者に違和感を与えることなく行うことができる。
さらにまた、請求項11に係る車両用制動制御装置によれば、接触回避判定手段での判定結果に応じて制動力を発生させるが、運転者に制動解除意志があるかどうかを検出し、制動解除意志があると判定されたときには、接触回避判定手段での判定結果に関わらず、制動力の発生を停止するようにしたから、相対関係検出手段が障害物ではないものを障害物として検知した場合等であっても、運転者に制動解除意志があると判定された時点で制動力の発生は停止されるため、誤検知にも関わらず制動力が発生され続けることを回避することができる。
また、このとき、しきい値以上のアクセルペダルの踏み込みが行われたとき、つまり、運転者に加速意志があるとみなすことができるときに制動解除意志があると判定するようにしたから、制動解除意志の検出を容易的確に行うことができる。さらに、ブレーキペダルの踏込み方向への操作が行われたときの踏み込み方向への速度変化の最大値がしきい値以下であるとき、つまり、ブレーキペダルがゆっくり踏み込まれたときにも、制動解除意志があると判定するようにしたから、カーブ路における路壁を障害物として誤検知した場合等には、カーブ路走行に伴ってゆっくりブレーキペダルを踏み込んだ時点で制動解除意志があると判定されることになり、この場合も制動解除意志の検出を容易的確に行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態における車両用制動制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
図中1は、車間距離センサとしてのスキャニング式のレーザレーダであって、車幅中央の、車両前方の障害物を検知することの可能な位置に設けられている。そして、一定角度ずつ水平方向にずれながら周期的に車両の前方方向にレーザ光を照射し前方物体から反射して戻ってくる反射光を受光して、出射タイミングから反射光の受光タイミングまでの時間差に基づいて、各角度における物体までの距離を検出するようになっている。2は、車速センサであって、これらレーザレーダ1及び車速センサ2の検出信号は、コントローラ10に入力される。
【0022】
そして、コントローラ10では、予め設定された所定周期で自動制動制御処理を実行し、前記レーザレーダ1及び車速センサ2の検出信号に基づいて、自動制動を行う必要があるか否かを判定し、自動制動を行う必要があると判定されるとき、制動力制御装置15を制御して制動力を発生させる。なお、前記制動力制御装置15は、ブレーキペダルとは切り離されており、いわゆるブレーキバイワイヤ方式の構成を備えている。
【0023】
図2は、コントローラ10で実行される自動制動制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
コントローラ10では、自動制動制御処理を実行すると、まず、ステップS1において、レーザレーダ1の検出信号を読み込み、自車両前方の障害物と自車両との間の自車両の進行方向における相対距離d、及び相対速度Vrを検出し、さらに、レーザレーダ1の検出信号に基づいて、自車両前方の障害物の左右エッジまでの距離及び角度を検出する。また、これらに基づいて自車両が前方の障害物との接触を回避するために必要な横移動量Yを算出する。
【0024】
前記相対速度Vrは、例えば、前記相対距離dに対し、微分演算或いはバンドパスフィルタ処理を行うことにより算出する。
また、前記横移動量Yは、レーザレーダ1の検出信号に基づいて障害物の左右エッジを検出し、この左右エッジ位置における角度に基づいて検出する。つまり、図3に示すように、レーザレーダ1の検出信号及びそのスキャニング角度に基づいて、自車両の進行方向を基準とし、これに対する障害物の左右エッジの角度θ1 及びθ2 を検出する。そして、図3に示すように、自車両前方の障害物に対し、障害物の左右エッジの角度θ1 及びθ2 のうち、何れか小さい方(図3の場合には、θ1 )を選択し、これをθとして次式(1)に基づいて、横移動量Yを算出する。
【0025】
Y=d・sin(θ)+Lw/2 ……(1)
なお、式中のLwは自車両の車幅である。また、本実施の形態においては、レーザレーダ1を車両の車幅中央の位置に設けた場合について説明しているが、車幅中央から左右の何れかの方向にオフセットして取り付けられている場合には、前記(1)式においてオフセット分を考慮する必要がある。
また、障害物の中心位置に対し、自車両の中心位置が比較的ずれている場合等、左右エッジの角度θ1 及びθ2 のうち何れか一方のエッジを検出することができない場合には、エッジを検出することができた側のエッジ角度をθとして上記式(1)により、横移動量Yを算出する。
【0026】
ここで、上述の場合、レーザレーダ1としてスキャニング式のレーザレーダを用いた場合について説明しているが、ある幅を持った複数本のビームを出力可能なビーム式のレーザレーダを用いる場合には、図4に示すように、レーザレーダ1の検出信号に基づいて、前方障害物は、ある幅をもった範囲内に存在するとして検出される。図4の場合には、自車両の進行方向に対し右方向に、角度θ1 からθ2 だけずれた位置の間に障害物の右端が存在すると判定する。
【0027】
この場合には、前方障害物の右エッジ位置は、最小値であるθ1 であるとし、これをθとして前記(1)式に基づいて横移動量Yを算出する。
また、この場合にも、自車両の進行方向に対し、右方向又は左方向のみについて障害物のエッジが検出された場合には、エッジを検出することができた側のエッジ角度をθとし、上記(1)式に基づいて横移動量Yを算出する。
また、この場合も、レーザレーダ1が車両中央に配設されておらず、左右何れかにオフセットして取り付けられている場合には、前記(1)式を、オフセット分を考慮して補正する。
【0028】
このようにして、横移動量Yを算出することによって、自車両に対する障害物のオフセット量が異なる場合においても、それぞれの場合に応じて必要な操舵回避のための横移動量を算出し、操舵回避が可能であるか否かの演算を高精度に行うことができるようになっている。
次いで、ステップS2に移行し、自車両前方の障害物との接触を制動操作を行うことによって回避することができるかどうかの判定を行う。この判定条件は、次のように設定される。
【0029】
図3に示すように、自車両と自車両前方の障害物との距離がdであり、相対速度がVrであるものとする。このとき、制動によって接触を回避する場合に発生する減速度をa(例えば、8.0〔m/s2 〕)とし、運転者がブレーキペダルを踏み込んだ場合に減速度が発生するまでの無駄時間をTd (例えば、0.2秒)とすると、制動によって障害物との接触を回避するためには、相対速度Vrと、障害物との距離dとの関係が次式(2)を満足すればよい。
【0030】
d<−Vr・Td +(Vr)2 /(2・a) ……(2)
したがって、ステップS1で検出した障害物との間の距離dと相対速度Vrとが前記(2)式を満足するかどうかを判定する。
続いて、ステップS3に移行し、障害物との接触を操舵操作を行うことによって回避することができるか否かを判定する。この判定は次のように行う。
まず、ステップS1で算出した、障害物との接触を回避するために必要な横移動量Yだけ横移動するのに必要な時間Tyを算出する。ここで、車両の操舵特性は次のように表すことができる。
【0031】
m・v・(r+dβ/dt)=2・YF +2・YR ……(3)
IZ ・dr/dt=2・lF ・YF −2・lR ・YR ……(4)
YF =fF 〔β+(lF /v)・r−θF 〕
YR =fR 〔β−(lR /v)・r〕
なお、(3)及び(4)式中の、mは車両重量、IZ は車両ヨー方向の慣性モーメント、vは車速、rはヨーレート、βは車体スリップ角、lF は車両重心から前輪までの距離、lR は車両重心から後輪までの距離、YF 及びYR は、前輪及び後輪にそれぞれ発生する横力である。また、θF は、前輪舵角であって、緊急時には運転者は例えば図5に示すように、ある操舵速度で操舵を行い且つある操舵量最大値で操舵すると仮定する。なお、図5において、横軸は時間、縦軸は舵角であって、時間の経過に伴ってある傾きで舵角が増加し、つまりある操舵速度で舵角が操舵量最大値まで増加し、以後、操舵量最大値を維持するように設定されている。
【0032】
また、fF 及びfR はタイヤスリップ角と、タイヤ横力との対応を表す関数であって、例えば図6に示すように設定される。なお、図6において、横軸はタイヤスリップ角、縦軸はタイヤ横力であって、タイヤスリップ角が大きくなるほどタイヤ横力は大きくなり、且つタイヤスリップ角が小さいほどタイヤスリップ角の変化に対するタイヤ横力の変化量が大きくなるように設定される。
ここで、横移動量Yは、車速vとヨーレートrと、車体スリップ角βとから次式(5)で表すことができる。
【0033】
Y=∫〔v・sin(∫rdt+β)〕dt ……(5)
したがって、前記(3)〜(5)式から、回避に必要な横移動量Yだけ自車両が横移動する際の所要時間を算出することができる。
なお、(3)〜(5)式の演算をオンラインで実行するには、計算時間が非常にかかるため、予めオフラインで演算を行い、その演算結果を、例えば図7に示すようにマップ化しておいてもよい。
【0034】
なお、図7において、横軸は、操舵回避に必要な横移動量、縦軸は操舵回避にかかる時間である。操作回避に必要な横移動量が増加するほど、操舵回避にかかる時間も増加し、且つ、車速が低くなるほど、操作回避に係る時間が増加するように設定される。したがって、障害物を回避するために必要な横移動量Yだけ横移動するのに必要な時間、つまり、操舵操作による接触回避に要する所要時間Tyを算出する場合には、車速vと横移動量Yとに対応するマップの値を検索すればよい。
【0035】
そして、接触までの推定時間d/Vrと、操舵回避にかかる時間Tyとの間に、次式(6)が成り立つとき、操舵操作による障害物との接触は回避不可能であると判断する。
d/Vr<Ty ……(6)
ここで、前記(3)〜(6)式に基づいて、操舵操作による接触回避が可能であるか否かを判定することによって、車両の操舵特性の違いに応じて操舵回避時間を演算し、車両毎に異なる操舵特性や車速域で異なる操舵特性によらず、操舵回避が可能か不可能かを正確に演算するようになっている。また、運転者の緊急時のステアリング操作の特性も加味して車両の操舵回避時間を演算することによって、より正確に緊急時の操舵回避時間を演算するようになっている。
【0036】
次いで、ステップS4に移行し、自車両前方の障害物との接触に対する、ステップS2での制動による回避可能判断及びステップS3での操舵による回避可能判断の結果に基づき、制動による接触回避が不可能であり、且つ操舵による接触回避が不可能であると判断される場合には、ステップS5に移行し、予め設定した傾きで速やかに大きさFH の制動力を発生させるための制動力指令値を、制動力制御装置15に出力する。そして、ステップS11に移行する。
【0037】
一方、ステップS4で、制動及び操舵操作共に回避不可能ではないと判定される場合にはステップS6に移行し、制動操作による接触回避が不可能、又は操舵操作による接触回避が不可能であるかどうかを判定する。そして、何れか一方のみによる接触回避が不可能であると判定される場合には、ステップS7に移行し、予め設定した大きさFL の制動力を発生させるための制動力指令値を、制動力制御装置15に出力する。そして、ステップS11に移行する。
【0038】
ここで、前記制動力FL は、図8に示すように、零から一定の傾きαで徐々に大きくなる値であって、前記制動力FH は、前記制動力FL よりも大きい一定値に設定され、例えば、制動操作及び操舵操作を行っても障害物との接触を回避することのできない状況にある場合に、自車両を十分減速させることの可能な値に設定される。
また、前記制動力FL の傾きαは、制動力が制動力FL から制動力FH に移行する際に、その制動力の差ΔFが所定値以下となるように演算される値である。前記差ΔFは、自車両に作用する制動力がFL からFH に変化したときに、運転者に違和感を与えることのない値に設定される。具体的には、次のようにして算出する。
【0039】
まず、制動力FL が作用し始めてから制動力FH が作用するまでの所要時間T1 を推定する。つまり、制動による接触回避が不可能となってから操舵による接触回避が不可能となる場合には、その所要時間T1 は、次式(7)と表すことができる。なお、式(7)中の、Tyは、ステップS3で算出した操舵回避にかかる時間Tyである。
T1 =d/Vr−Ty ……(7)
一方、操舵による接触回避が不可能となってから制動による接触回避が不可能となる場合には、その所要時間T1 は、次式(8)と表すことができる。なお、式(8)中のTd及びaは、ステップS2で算出した、運転者のブレーキ操作時の無駄時間と、発生減速度である。
【0040】
T1 =−(d−Vr2 /2・a+Vr・Td)/Vr ……(8)
前記T1 から制動力の傾きαを次式(9)に基づいて算出する。
α=(FH −ΔF)/T1 ……(9)
そして、このようにして算出した傾きαで制動力FL を徐々に上昇させる。
一方、前記ステップS6の処理で、制動操作による接触回避が不可能、又は操舵操作による接触回避が不可能であると判定されない場合、つまり、制動及び操舵の何れにおいても接触回避が可能であると判定される場合には、ステップS8に移行し、制動力制御解除処理を行う。すなわち、制動力制御装置15で制動力を発生させていない場合には、引き続き制動力を発生させず、制動力を発生させている場合には、速やかに制動力が小さくなるよう制動力制御装置15への制動力の指令信号を制御し、制動力制御装置15で発生する制動力を速やかに小さくて制動力の発生を停止させる。そして、ステップS9に移行し、自動制動中フラグFをF=0に設定した後、図示しない上位プログラムに戻る。
【0041】
なお、前記ステップS8の処理では、速やかに制動力が小さくなるよう制御するようにしているが、制動力の変動によって運転者に違和感を与えない程度の割合で制動力を減少させるようにしてもよく、このようにすることによって、制動力が急に減少することによって運転者に違和感を与えることを回避することができる。
一方、前記ステップS11では、自動制動中フラグFがF=1であるかどうかを判定し、F=1でない場合にはステップS12に移行し、自車両が前方の障害物に到達するまでの到達予測時間Tの算出を行う。
【0042】
ここでは、図9に示すように、自動制動開始と同時に制動力FH が発生され、また、減速度aG も同時に発生するものと仮定し、到達予測時間を算出する。
t秒後の相対速度Vr(t)及びt秒後の相対距離d(t)は、次式(10)で算出される。
Vr(t)=Vr−aG ・t
d(t)=d−Vr・t+(aG /2)・t2 ……(10)
自車両が障害物に到達するときには、d(t)=0であるから、到達予測時間Tは、次式(11)で表すことができる。
【0043】
T={Vr−(Vr2 −2・aG ・d)1/2 }/aG ……(11)
このように、制動力制御装置15による制動力の発生開始と同時に、図9に示すように制動力及び減速度が作用するものと仮定して到達予測時間Tを算出することによって、実際の到達時間よりも到達予測時間が長くなるようにしている。
なお、ここでは、図9に示すように制動力制御装置15による制動力の発生開始と同時に制動力及び減速度が作用するものとして到達予測時間Tを算出するようにしているが、図8に示すように、予測される制動力の発生パターンに基づいて到達予測時間を算出するようにしてもよい。また、応答特性等を加味した、より実際に近い制動力及び減速度を検出し、これに基づいて到達予測時間を算出するようにしてもよい。
【0044】
次いで、ステップS13に移行し、自動制動が開始されたことを表す自動制動中フラグFをF=1に設定する。自動制動中フラグFがF=1に設定されてからの経過時間のカウントを開始する。そして、図示しない上位プログラムに戻る。
一方、前記ステップS11で、自動制動中フラグFがF=1である場合には、ステップS14に移行し、前述の自動制動中フラグFがF=1に設定されてからの経過時間が、ステップS12で予測した、到達予測時間Tを経過したかどうかを判定する。そして、到達予測時間Tが経過した場合には前述のステップS8に移行し、到達予測時間Tが経過していない場合には、そのまま処理を終了して図示しない上位プログラムに戻る。
【0045】
次に、上記第1の実施の形態を説明する。
今、自車両前方に先行車両が存在するものとすると、コントローラ10では、図2の自動制動制御処理にしたがって、レーザレーダ1の検出信号を読み込み、この検出信号に基づいて、先行車両との車間距離d及び相対速度Vrを算出し、さらに、先行車両の左右エッジ角度を検出する。
ここで、先行車両が図3に示すように、自車両前方のやや左よりに位置する場合には、レーザレーダ1の検出信号に基づいて左右のエッジ角度θ1 及びθ2 が検出され、より小さい方のθ1 が選択されてこれに基づいて横移動量Yが算出される(ステップS1)。
【0046】
このとき、例えば先行車両との間の距離dが十分大きい場合等、先行車両との間の距離d及び相対速度Vrが前記(2)式を満足する場合には、制動によって障害物を回避することができると判定し(ステップS2)、さらに、先に算出した横移動量Yだけ移動するのに必要な時間Tyを算出し、これと、自車両が先行車両に接触するまでの推定時間d/Vrとが前記(6)式を満足しないときには、操舵操作によって障害物との接触は回避可能であると判断するから、ステップS4からステップS6を経てステップS8に移行し、制動力制御装置15による制動力の発生は行わず、自動制動中フラグFはF=0に設定される。
【0047】
したがって、先行車両との間の車間距離dが比較的大きく、運転者の操舵操作及び制動操作によって先行車両との接触を回避可能であると判定されるときには、制動力制御装置15によって制動力は発生されない。よって、運転者の操舵操作及び制動操作によって先行車両を回避可能である場合に、不要な制動力が発生されることはない。
この状態から、例えば先行車両との車間距離dが短くなり、車間距離dが前記(2)式は満足するが、横移動量Yに基づき算出される操舵回避にかかる時間Tyが前記(7)式を満足しなくなると、制動による接触回避は可能であるが、操舵による接触回避は不可能であると判定されるから、ステップS4からステップS6を経てステップS7に移行し、大きさFL の制動力を発生するよう制動力制御装置15が制御される。
【0048】
このとき、制動力FL は、零から傾きαで徐々に増加するように設定され、操舵による接触回避が不可能となった後、制動による接触回避が不可能となった場合には、制動力FH が作動するまでの所要時間T1 は、前記(8)式で表すことができるから、算出した所要時間T1 に基づいて前記(9)式に基づいて、制動力FL の傾きが算出され、これに基づいて、制動力制御装置15が制御される。
したがって、制動力制御装置15から、図10に示すように、時点t1 で操舵回避が不可能となった時点で、零から傾きαで増加する制動力FL が発生されることになる。
【0049】
そして、制動による接触回避は可能であるが操舵による接触回避は不可能な状態である間は、制動力FL が発生され、且つこの制動力FL は徐々に大きくなっていく。
そして、自動制動中フラグFはF=0であるから、ステップS11からステップS12に移行し、図9に示すように、制動力制御装置15での制動力の発生開始時点から、制動力FH 及び減速度aG が作用しているものと仮定し、前記(11)式に基づいて到達予測時間Tを算出し、自動制動中フラグFをF=1に設定し、経過時間のカウントを開始する(ステップS13)。
【0050】
この状態から車間距離dが短くなり、時点t2 で、車間距離dが前記(2)式を満足しなくなり、制動によっても接触回避が不可能と判定されると、制動回避不可能であり且つ操舵回避不可能であることから、ステップS4からステップS5に移行し、制動力FH を発生するよう制動力制御装置15を制御する。
これによって、図10に示すように、時点t2 で、制動力FL よりも大きい制動力FH が発生される。したがって、制動によっても操舵によっても先行車両との接触回避が不可能であり、すなわち運転者による操作によっては接触を回避することができないと判断されたときに、強制的に制動力を発生させ、且つこのとき、これまでよりも大きい制動力FH を発生させることによって、先行車両との接触が回避されることになる。
【0051】
このとき、時点t2 で、制動力FL よりも大きな制動力FH が作用することになるが、時点t1 で操舵による接触回避が不可能となった時点で制動力FL を発生させ、且つ徐々に作用する制動力を大きくするようにし、さらに時点t2 でより大きな制動力FH が作用するときに、それまでの制動力FL と制動力FH との差が、予め設定したしきい値ΔFよりも小さくなるようにしているから、時点t2 でより大きな制動力FH が作用したとしても、運転者に違和感を与えることはない。
【0052】
一方、時点t1 で、操舵による接触回避は可能であるが制動による接触回避が不可能となった場合には、上記と同様に、ステップS4からステップS6を経てステップS7に移行し、制動力FL を発生するよう制動力制御装置15を制御するが、この場合、操舵による接触回避が可能であるから、前記(7)式から、制動力FH が作動するまでの所要時間T1 を算出する。そして、この所要時間T1 に基づいて前記(9)式に基づいて制動力の傾きαを算出する。
【0053】
そして、この傾きαで増加する制動力FL を発生させ、時点t2 で制動及び操舵による接触回避が共に不可能となった時点で、制動力FH を発生させるが、制動力FH は制動力FL との差がしきい値ΔFよりも小さくなるように設定されているから、急に大きな制動力FH を発生させても運転者に違和感を与えることはない。
そして、到達予測時間Tが経過するまでの間は、ステップS11からステップS14を経て、上位プログラムに戻るから、制動操作或いは操舵操作による接触回避の可/不可に応じて、制動力FL 又は制動力FH が発生される。
【0054】
そして、この状態から制動力FH が作用し、制動力FH が発生されている状態で、運転者が操舵或いは制動を行うことによって、先行車両との距離dが確保され、時点t3 で前記(2)式及び(6)式が成立するようになると、ステップS4からステップS6を経てステップS8に移行し、制動力制御装置15で発生される制動力が、速やかに減少するように制動力制御装置15が制御され、図10に示すように、制動力制御装置15で発生される制動力は速やかに減少する。
【0055】
このとき、例えば、レーザレーダ1が、障害物でないものを誤って障害物として誤検知し、運転者による制動操作或いは操舵操作が行われないことから、誤検知した状態を維持すると、制動力FH が発生された状態が継続されることになる。しかしながら、時点t1 で自動制動が開始された時点からの経過時間が、ステップS12で算出した到達予測時間Tを超えると、この時点t4 で、ステップS14からステップS8に移行し、制動力制御解除処理が行われ、制動力制御装置15で発生される制動力は速やかに減少する。そして、自動制動中フラグFはF=0に設定される。
【0056】
そして、例えば、以後、制動による回避可能判断及び操舵による回避可能判断の判断結果が共に回避可能となるまでの間は、その判断結果に関わらず制動力を発生させない等といった誤作動時の処理を行ったり、或いは、所定時間は自動制動制御処理を行わず、所定時間が経過しレーザレーダ1による誤検知の対象物がなくなったと予測されるとき、或いは、制動による回避可能判断及び操舵による回避可能判断の判断結果が共に回避可能となり、障害物が存在しなくなったときに、自動制動制御処理を再開し、上記と同様に処理を行う。
【0057】
このように、レーザレーダ1の誤検知に起因して、制動力制御装置15による自動制動が開始されたとしても、到達予測時間Tが経過した時点で、自動制動が解除されるから、障害物が存在しないにも関わらず自動制動が継続して行われることを回避することができ、運転者に違和感を与えることを回避することができる。
また、このとき、到達予測時間Tを予測し、前方障害物に到達すると予測される時間が経過した時点で自動制動を解除するので、自動制動の制動性能を確保した上で、運転者への違和感を最小限に抑えることができる。
【0058】
また、到達予測時間Tを算出する際に、自動制動の開始時点から制動力FH が作用し且つ減速度aG が発生すると仮定して算出するようにしているから、到達予測時間Tを長めに設定することができる。したがって、到達予測時間Tが短めに設定されることによって、制動力が十分作用していない状態で、自動制動が解除されこのためにその後障害物に接近するといったことが発生することを防止することができる。
【0059】
また、制動力制御装置15によって制動力を作用させる場合には、突然大きな制動力FH を作用させるのではなく、制動力FL を零から徐々に増加させて作用させ、また、制動力の付加を中止する場合には、制動力FH から徐々に減少させて中止するようにしているから、制動力の付加及びその停止に伴って運転者に与える違和感を低減することができる。
また、このとき、制動力を作用させるタイミングを、先行車両との車間距離d及び相対速度Vrだけでなく、車両の操舵特性等車両特性をも考慮して特定するようにしているから、車両毎に異なる操舵特性や車速域で異なる操舵特性によらず、操舵回避が可能か不可能かをより的確に算出することができる。また、運転者の緊急時のステアリング操作の特性をも考慮して車両の操舵回避時間を算出するようにしているから、より高精度に緊急時の操舵回避時間を算出することができる。
【0060】
また、操舵及び制動による接触回避が共に不可能であると判定され、強い制動力FH を発生させる必要のある時点よりも前の、操舵或いは制動による接触回避が不可能であると判定された時点で予め弱い制動力FL を発生させておき、この制動力FL を徐々に大きくし、強い制動力を発生させる必要のある時点で制動力FH を発生させるようにしているから、この制動力FH を発生させる時点では、制動力は予め立ち上がっているので、制動力FH を発生させるべき時点での制動力の立ち上がりの遅れを低減することができる。よって、速やかに制動力を作用させることができ、安全性をより向上させることができる。
【0061】
また、障害物を制動操作により回避することができるか、また、操舵操作により回避することができるかを個別に判断し、制動操作を行っても操舵操作を行っても障害物との接触を回避することができないと判定されるときに制動力FH を発生させるようにしているから、操舵操作を行うことによって障害物を回避することのできるような場合に不必要に大きな制動力を発生させることを回避することができる。
【0062】
また、操舵操作によって障害物との接触を回避することができるか否かを判定する際に、横移動量を検出しこれに基づき判定するようにしたから、自車両と障害物とにオフセットが生じている場合であっても、オフセット量を考慮して的確に操舵回避判定を行うことができる。また、この横移動量に基づき操舵回避判定を行う際に、車両諸元や車両の操舵特性、運転者の操舵諸元等をも考慮して判定するようにしたから、車両毎に異なる操舵特性や運手者の操舵諸元等に関わらず、的確に操舵回避判定を行うことができる。したがって、的確なタイミングで制動力を発生させることができる。
【0063】
また、横移動量を設定する際に、障害物の左右のエッジ角度θ1 及びθ2 の何れか小さい方を選択し、この方向に操舵した場合に障害物を回避することができるかどうかを判定するようにしている。よって、左右方向のうち操舵回避を行うことができる可能性がより高い方について操舵回避判定を行うことになるから、操舵判定を的確に行うことができ、また、この判定の結果、操舵回避可能である場合には、制動力を発生させないようにし、左右のうち何れか一方の方向に操舵回避可能である場合には、制動力を発生させないから、操舵回避可能であるにも関わらず、不必要に制動力を発生させることを確実に回避することができる。
【0064】
ここで、制動力制御装置15が制動力発生手段に対応し、レーザレーダ1及び図2のステップS1の処理が相関関係検出手段に対応し、ステップS2及びステップS3の処理が接触回避判定手段に対応し、ステップS4からステップS14の処理が制御手段に対応している。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0065】
この第2の実施の形態は、図11に示すように、上記第1の実施の形態における図1に示す構成において、図示しないアクセルペダルの操作量を検出するためのアクセルペダルセンサ4が追加されている。そして、コントローラ12での自動制動制御処理の処理手順が異なること以外は同一であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
この第2の実施の形態における自動制動制御処理では、図12に示すように、起動されるとまず、ステップS21で、アクセルペダルセンサ4からの検出信号をもとに、アクセル開度を算出する。そして、ステップS1に移行し、上記第1の実施の形態と同様にして、前方の障害物を計測し、ステップS2で制動による回避可能判断を行い、ステップS3で操舵による回避可能判断を行う。
【0066】
そして、制動及び操舵操作による接触回避が共に可能である場合には、ステップS4からS6を経てステップS8に移行し、制動力制御装置15による制動力の発生は行わない。また、制動回避又は操舵回避の何れかが不可能である場合には、ステップS6からステップS7に移行し、予め設定された傾きαで徐々に増加する制動力FL を発生させた後、ステップS22に移行する。また、操舵及び制動による操舵回避が共に不可能であると判定される場合には、ステップS4からステップS5に移行し、前記制動力FL よりも値の大きい制動力FH を発生させた後、ステップS22に移行する。
【0067】
このステップS22では、自動制動中のアクセル操作量を算出する。つまり、自動制動が開始された時点でのアクセル開度θ0 を記憶しておく。そして、以後、自動制動制御処理の処理実行周期毎にステップS21で読み込まれるアクセル開度θをもとに、自動制動中のアクセル操作量ΔAをΔA=θ−θ0 から算出する。
次いで、ステップS23に移行し、自動制動中のアクセル操作量ΔAが予め設定したしきい値θTH以上であるかどうかを判定し、θTH以上である場合には、運転者に加速意志があると判断してステップS8に移行し、自動制動を解除する。
【0068】
一方、ステップS23で自動制動中のアクセル操作量ΔAがしきい値θTH以上でない場合には、運転者に加速意志がないと判断してそのまま継続して自動制動を行う。そして、上位プログラムに戻る。
ここで、前記しきい値θTHは、例えば次のように設定する。つまり、通常運転者は、一定速度で走行している場合であっても無意識にアクセルペダルを操作しており、この無意識に操作しているアクセルペダルの変化量の最大値をしきい値θTHと設定する。これによって、しきい値θTHを超えるアクセルペダルの操作があった場合には、運転者の無意識な操作ではなく、明らかに加速意志があるとみなすことができる。
【0069】
したがって、この第2の実施の形態では、レーザレーダ1の誤検知に起因して、制動力制御装置15による自動制動が開始されたとしても運転者がアクセルペダルの操作を行った時点で自動制動が解除されるから、誤まって自動制動が継続して行われることを回避することができる。また、このときアクセルペダルの操作量から運転者の加速意志を判断しこれに基づいて自動制動を解除するようにしているから、運転者の運転感覚と合致して解除することができ、運転者に違和感を与えることを防止することができる。
【0070】
なお、上記第2の実施の形態において、アクセルペダルセンサ4がアクセル操作量検出手段に対応し、図12のステップS22及びS23が制動解除意志検出手段に対応している。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
この第3の実施の形態は、図13に示すように、上記第1の実施の形態における図1に示す構成において、ステアリング角度を検出するステアリングセンサ6が追加されている。そして、コントローラ12での自動制動制御処理の処理手順が異なること以外は同一であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0071】
この第3の実施の形態における自動制動制御処理では、図14に示すように、起動されるとまず、ステップS31で、ステアリングセンサ6からの検出信号を読み込み、これをもとにステアリング舵角を算出する。そして、ステップS1に移行し、上記第1の実施の形態と同様にして、前方の障害物を計測し、ステップS2で制動による回避可能判断を行い、ステップS3で操舵による回避可能判断を行う。
【0072】
そして、制動及び操舵操作による接触回避が共に可能である場合には、ステップS4からS6を経てステップS8に移行し、制動力制御装置15による制動力の発生は行わない。また、制動回避又は操舵回避の何れかが不可能である場合には、ステップS6からステップS7に移行し、予め設定された傾きαで徐々に増加する制動力FL を発生させた後、ステップS32に移行する。また、操舵及び制動による操舵回避が共に不可能であると判定される場合には、ステップS4からステップS5に移行し、前記制動力FL よりも値の大きい制動力FH を発生させた後、ステップS32に移行する。
【0073】
このステップS32では、自動制動中の操舵量ΔSと操舵速度dSとを算出する。つまり、自動制動が開始された時点でのステアリング舵角S0 を記憶しておく。そして、以後、自動制動制御処理の処理実行周期毎にステップS31で読み込まれるステアリング舵角Sをもとに、自動制動中の操舵量ΔSをΔS=|S−S0 |から算出する。また、今回検出したステアリング舵角Sと前回検出時に所定の記憶領域に記憶している前回のステアリング舵角とをもとに、単位時間あたりの変化量を算出し、その絶対値を変化速度dS/dtとする。そして、この変化速度dS/dtを、所定の記憶領域に記憶しておいた、操舵速度dSの前回値と比較して大きい方を選択し、これを自動制動中の操舵速度dSの今回値として設定する。
【0074】
次いで、ステップS33に移行し、ステップS32で算出した自動制動中の操舵量ΔSが予め設定したしきい値ΔSTHより大きいかどうかを判定し、しきい値ΔSTHよりも大きくない場合には、そのまま継続して自動制動を行い、上位プログラムに戻る。
一方、ステップS33で、自動制動中の操舵量ΔSが予め設定したしきい値ΔSTHよりも大きい場合には、ステップS34に移行し、次に、自動制動中の操舵速度dSが予め設定したしきい値dSTH以下であるかどうかを判定する。そして、しきい値dSTH以下でない場合には、ゆっくりした操舵ではなく速やかに操舵が行われ、つまり緊急時の操舵が行われたものと判断し、引き続き自動制動を継続する。そして、上位プログラムに戻る。
【0075】
一方、自動制動中の操舵速度dSがしきい値dSTH以下である場合には、ゆっくりした操舵が行われ、すなわち、緊急時の操舵ではないものと判断し、ステップS8に移行して、自動制動を解除する。
ここで、前記操舵量のしきい値ΔSTHとしては、例えば、図5に示す、緊急時の運転者の回避操舵状況の、操舵量最大値を設定する。また、前記操舵速度のしきい値dSTHとしては、例えば、通常走行時の操舵速度の最大値を設定する。
【0076】
なお、通常、前方障害物との接触目前での緊急操舵は早い操舵速度で行われるが、このとき、操舵量が大きすぎると、自車両の挙動が不安定となるため、このような緊急回避時に行われる操舵量には上限が設けられており、それを示しているのが、図5に示す操舵量最大値である。
また、運転者が接触目前でその危険を発見した場合には、回避操舵を行う間もなく接触する場合もある。この場合には、操舵量、操舵速度共に小さい値となる。したがって、操舵量ΔSが前記操舵量最大値を超えており、且つそれまでの操舵速度dSが通常走行時の操舵速度最大値以下の場合には、緊急時の回避操舵ではないとみなすことができる。
【0077】
なお、前記しきい値ΔSTH及びdSTHは、車速に応じて変化させてもよい。
したがって、この第3の実施の形態では、例えば、カーブ手前を走行中に、カーブの壁をセンサが誤検知して自動制動が作動しても、その後、カーブを曲がる為に運転者が操舵を行うと、通常ゆっくり操舵を行い、また、カーブ曲率に応じた操舵量となるから、自動制動は解除される。したがって、誤検知に伴って自動制動が継続して行われることを回避することができると共に、運転者の違和感を最小限に抑えることができる。
【0078】
また、このとき、操舵が行われた場合であっても、その操舵量ΔSがしきい値ΔSTHよりも大きく、且つ、操舵速度dSがしきい値dSTHよりも小さく、明らかに緊急時の操舵が行われているのではないと判定されるときにのみ、自動制動を解除するようにしているから、緊急時であるにも関わらず自動制動が解除されてしまうことを回避することができ、的確なタイミングで自動制動を解除し、安全性を確保することができる。
【0079】
なお、上記第3の実施の形態において、ステアリングセンサ6が操舵量検出手段に対応し、図14のステップS32〜S34の処理が制動解除意志検出手段に対応している。
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
この第4の実施の形態は、図15に示すように、上記第1の実施の形態における図1に示す構成において、図示しないブレーキペダルの操作量を検出するためのブレーキペダルセンサ8が追加されている。そして、コントローラ12での自動制動制御処理の処理手順が異なること以外は同一であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0080】
この第4の実施の形態における自動制動制御処理では、図16に示すように、起動されるとまず、ステップS41で、ブレーキペダルセンサ8からの検出信号を読み込み、これをもとにブレーキペダル操作量を算出する。そして、ステップS1に移行し、上記第1の実施の形態と同様にして、前方の障害物を計測し、ステップS2で制動による回避可能判断を行い、ステップS3で操舵による回避可能判断を行う。
【0081】
そして、制動及び操舵操作による接触回避が共に可能である場合には、ステップS4からS6を経てステップS8に移行し、制動力制御装置15による制動力の発生は行わない。また、制動回避又は操舵回避の何れかが不可能である場合には、ステップS6からステップS7に移行し、予め設定された傾きαで徐々に増加する制動力FL を発生させた後、ステップS42に移行する。また、操舵及び制動による操舵回避が共に不可能であると判定される場合には、ステップS4からステップS5に移行し、前記制動力FL よりも値の大きい制動力FH を発生させた後、ステップS42に移行する。
【0082】
このステップS42では、自動制動中の運転者のブレーキ操作速度dBを算出する。つまり、自動制動が開始された時点でのブレーキ操作量B0 を記憶しておく。そして、以後、自動制動制御処理の処理実行周期毎にステップS41で読み込まれるブレーキ操作量Bをもとに、自動制動中のブレーキ操作量ΔBをΔB=B−B0 から算出する。また、今回検出したブレーキ操作量ΔBと処理実行時に記憶している前回検出時のブレーキ操作量ΔBとの差から、ブレーキ操作量ΔBの時間変化量を演算してブレーキ操作速度dBを算出する。
【0083】
次いで、ステップS43に移行し、ブレーキ操作速度dBがしきい値dBTHを超えている場合には、自動制動後に運転者のブレーキ操作が開始されたと判断してステップS44に移行し、ブレーキ操作フラグFB をFB =1に設定する。次いで、ステップS45に移行し、運転者によるブレーキ操作が行われている間のブレーキ操作速度の最大値dBmax を演算する。つまり、自動制動制御処理の処理実行周期毎にステップS43で算出されるブレーキ操作速度をその前回値と比較し、大きい方をブレーキ操作速度最大値とする。そして、処理を終了し図示しない上位プログラムに戻る。
【0084】
一方、前記ステップS43で、ブレーキ操作速度dBがしきい値dBTHよりも小さい場合には、ブレーキ操作が行われない、或いは踏み込み操作が終了したと判定しステップS46に移行する。そして、ブレーキ操作フラグFB がFB =1であるかどうかを判定し、FB =1でない場合には、自動制動を継続し、図示しない上位プログラムに戻る。一方、ブレーキ操作フラグFB がFB =1である場合には、ステップS47に移行し、ブレーキ操作フラグFB をFB =0に設定した後、ステップS48に移行し、ステップS45で算出されたブレーキ操作速度最大値dBmax が、しきい値dBmaxTH 以下であるかどうかを判定する。そして、dBmax ≦dBmaxTH である場合には、ゆっくりしたブレーキ操作が行われたので緊急時ではないと判断し、ステップS8に移行して、自動制動を解除する。一方、dBmax ≦dBmaxTH でない場合には、ゆっくりしたブレーキ操作とは判断できない、つまり緊急時でないと判断できないため、継続して自動制動を行う。
【0085】
なお、前記ブレーキ操作速度dBのしきい値dBTHは、例えば零に設定され、ブレーキ踏み込み方向の操作速度が発生した場合には、運転者のブレーキ操作が開始されたと判断する。一方、ブレーキ操作速度dBが負値の場合には、ブレーキ操作が行われていないか、或いは踏み込み操作終了、つまり、ブレーキペダルを踏み込んだ位置で固定しているかブレーキペダルを戻し始めていると判断する。
【0086】
また、前記ブレーキ操作速度の最大値dBmax のしきい値dBmaxTH は、例えば、通常走行時に行われるブレーキ操作速度の最大値に設定される。
したがって、この第4の実施の形態では、例えば、カーブ手前を走行中に、カーブの壁をセンサが誤検知して自動制動が作動しても、その後、カーブを曲がる為に運転者がブレーキ操作を行うと、通常、後続車の追突を考慮して、急制動は行わないから、ゆっくりしたブレーキ操作が行われる。このとき、自動制動が行われている場合には、ステップS43からステップS46、S47を経てステップS8に移行し、自動制動が解除される。よって、誤検知に伴って自動制動が継続して行われることを回避することができると共に、運手者の違和感を最小限に抑えることができる。
【0087】
なお、上記第4の実施の形態において、ブレーキペダルセンサ8がブレーキ操作量検出手段に対応し、図16のステップS42〜ステップS48の処理が制動解除意志検出手段に対応している。
また、上記各実施の形態のうち、全部、或いは複数を組み合わせて行うようにしてもよいことはいうまでもなく、このようにすることによって、誤検知に伴う自動制動をより速やかに解除することができると共に、運転者に与える違和感をより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した、第1の実施の形態における制動制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1のコントローラ10における、第1の実施の形態における自動制動制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】スキャニング方式のレーザレーダを用いた場合の、自車両と、自車両前方障害物との位置関係を示す説明図である。
【図4】複数本のビームを備えたビーム方式のレーザレーダを用いた場合の、自車両と、自車両前方障害物との位置関係を示す説明図である。
【図5】緊急時の運転者の操舵特性を表す特性図である。
【図6】タイヤスリップ角とタイヤ横力との関係を表す特性図である。
【図7】横移動量Yと操舵回避に要する所要時間Tyと車速との関係を表す特性図である。
【図8】制動力FL とFH との関係を表す説明図である。
【図9】到達予測時間Tの算出方法の説明に供する説明図である。
【図10】第1の実施の形態の動作説明に供する説明図である。
【図11】第2の実施の形態における制動制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図12】第2の実施の形態における自動制動制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第3の実施の形態における制動制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図14】第3の実施の形態における自動制動制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】第4の実施の形態における制動制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図16】第4の実施の形態における自動制動制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 レーザレーダ
2 車速センサ
4 アクセルペダルセンサ
6 ステアリングセンサ
8 ブレーキペダルセンサ
10 コントローラ
15 制動力制御装置
Claims (11)
- 自車両と障害物との相対関係を検出する相対関係検出手段と、
操舵量を検出する操舵量検出手段と、
ブレーキペダルの操作とは独立に制動力を発生させる制動力発生手段と、
前記相対関係検出手段で検出した相対関係に基づいて前記障害物との接触を回避可能であるかどうかを判定する接触回避判定手段と、
前記制動力発生手段を制御し、前記接触回避判定手段での判定結果に応じて制動力を発生させる制御手段と、
前記制動力発生手段による制動力の発生を停止させる制動解除意志が運転者にあるか否かを判定する制動解除意志検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記制動解除意志検出手段で制動解除意志があることが検出されたとき、前記接触回避判定手段での判定結果に関わらず、前記制動力の発生を停止させるようにした車両用制動制御装置であって、
前記制動解除意志検出手段は、前記操舵量検出手段で検出した操舵量が操舵量のしきい値以上であり且つ操舵速度が所定のしきい値以下であることを検出したとき、制動解除意志があると判定するようになっていることを特徴とする車両用制動制御装置。 - アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段を備え、
前記制動解除意志検出手段は、前記アクセル操作量検出手段で検出したアクセルペダルの操作量に基づき、予め設定したしきい値以上のアクセルペダルの踏込みが行われたことを検出したとき、制動解除意志があると判定するようになっていることを特徴とする請求項1記載の車両用制動制御装置。 - ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキ操作量検出手段を備え、
前記制動解除意志検出手段は、前記ブレーキ操作量検出手段で検出したブレーキペダルの操作量に基づき、ブレーキペダルの踏込み方向への操作が行われたときの踏込み方向への速度変化の最大値がしきい値以下であることを検出したとき、制動解除意志があると判定するようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両用制動制御装置。 - 前記接触回避判定手段は、前記相対関係検出手段で検出した相対関係に基づいて前記障害物との接触を、操舵操作及び制動操作の何れにより回避可能であるかを判定し、
前記制御手段は、前記接触回避判定手段で、前記操舵操作及び制動操作の何れか一方のみによって接触を回避可能であると判定されるとき第1の制動力を発生させ、前記操舵操作及び制動操作共に接触を回避不可能であると判定されるとき、前記第1の制動力よりも大きい第2の制動力を発生させるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。 - 前記接触回避判定手段は、前記相対関係検出手段で検出される相対関係に基づいて自車両が前記障害物を操舵により回避するために必要な横移動量を算出し、算出した必要横移動量だけ移動するのに要する操舵回避時間を算出すると共に自車両が前記障害物と接触するまでの接触所要時間を算出し、前記操舵回避時間が前記接触所要時間よりも大きいとき、操舵操作による接触回避が不可能であると判定するようになっていることを特徴とする請求項4記載の車両用制動制御装置。
- 前記接触回避判定手段は、前記横移動量を、自車両の進行方向に対して垂直方向における前記障害物のエッジ位置と、自車両との位置関係に基づいて検出するようになっていることを特徴とする請求項5記載の車両用制動制御装置。
- 前記接触回避判定手段は、前記障害物のエッジ位置と自車両との位置関係に基づいて、前記障害物を左右何れの方向に回避可能であるかを検出し、左右何れの方向にも回避可能であるときの前記障害物を右方向に操舵して回避する場合の横移動量及び左方向に操舵して回避する場合の横移動量のうちの何れか小さい方を、前記必要横移動量とするようになっていることを特徴とする請求項6記載の車両用制動制御装置。
- 前記接触所要時間を、自車両の車両諸元に基づいて算出するようになっていることを特徴とする請求項5から請求項7の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。
- 前記接触所要時間を、緊急時の運転者の操舵特性に基づいて算出するようになっていることを特徴とする請求項5から請求項8の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。
- 前記第1の制動力は、徐々に増加するように設定され且つ前記制動力発生手段で発生する制動力が前記第1の制動力から前記第2の制動力に切り換わるときにこれらの偏差が予め設定したしきい値以下となるようにその増加割合が設定されることを特徴とする請求項4から請求項9の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。
- 自車両と障害物との相対関係を検出する相対関係検出手段と、
アクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキ操作量検出手段と、
ブレーキペダルの操作とは独立に制動力を発生させる制動力発生手段と、
前記相対関係検出手段で検出した相対関係に基づいて前記障害物との接触を回避可能であるかどうかを判定する接触回避判定手段と、
前記制動力発生手段を制御し、前記接触回避判定手段での判定結果に応じて制動力を発生させる制御手段と、
前記制動力発生手段による制動力の発生を停止させる制動解除意志が運転者にあるか否かを判定する制動解除意志検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記制動解除意志検出手段で制動解除意志があることが検出されたとき、前記接触回避判定手段での判定結果に関わらず、前記制動力の発生を停止させるようになっている車両用制動制御装置であって、
前記制動解除意志検出手段は、前記アクセル操作量検出手段で検出したアクセルペダルの操作量に基づき、予め設定したしきい値以上のアクセルペダルの踏み込みが行われたことを検出したとき、制動解除意志があると判定し、
且つ、前記ブレーキ操作量検出手段で検出したブレーキペダルの操作量に基づき、ブレーキペダルの踏込み方向への操作が行われたときの踏込み方向への速度変化の最大値がしきい値以下であることを検出したときにも、制動解除意志があると判定するようになっていることを特徴とする車両用制動制御装置。
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