JP5070948B2 - 衝突緩和装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両が衝突する際の被害を緩和させる車両用の衝突緩和装置に関する。
従来、上記のような衝突緩和装置としては、車両の進路上の障害物を検出し、車両がこの障害物との衝突を免れない場合に自動ブレーキを作動させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような衝突緩和装置において、自動ブレーキを作動させる際には、予め設定された要求加速度(減速度)になるように一気にブレーキを作動させるものが一般的である。
特開2006−298315号公報
しかしながら、従来構成の衝突緩和装置では、要求加速度になるよう一気にブレーキを作動させるので、加速度の変化が大きくなる。よって、自動ブレーキが誤作動を起こすような場合には、乗員にとって車両の乗り心地が悪くなるという問題点があった。
そこでこのような問題点を鑑み、車両が衝突する際の被害を緩和させる車両用の衝突緩和装置において、自動ブレーキが作動したときに乗員にとって車両の乗り心地が悪くなること防止できるようにすることを本発明の目的とする。
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の衝突緩和装置において、加速度設定手段は、障害物検出手段により検出された障害物と車両とが衝突すると判定された場合に、予め設定された加速度勾配に沿って、制動手段を作動させる際の設定加速度を設定する。そして、作動制御手段は、加速度設定手段により設定された設定加速度で制動手段を作動させる。
従って、このような衝突緩和装置によれば、設定加速度が加速度勾配に沿って設定されるので、突然、設定加速度が大きく変更される場合と比較して、車両の加速度の変化を小さくすることができる。よって、自動ブレーキが作動したときに乗員にとって車両の乗り心地が悪くなってしまうこと防止することできる。
また、作動制御手段としては、運転者の回避操作を支援するために制動手段を作動させる衝突回避支援手段と、車両が衝突する際の被害を緩和させるために制動手段を作動させる衝突被害軽減手段と、を備えておき、加速度設定手段は、前記衝突回避支援手段が制動手段を作動させるときにおける設定加速度の絶対値の上限値である目標加速度を、前記衝突被害軽減手段が制動手段を作動させるときにおける目標加速度よりも、絶対値が小さくなるよう設定する。
このような衝突緩和装置によれば、衝突回避支援のために制動手段を作動しているときにおける加速度のそのものを小さくすることができるので、運転者が操舵等の回避操作を実施し易くすることができる。
更に、このような衝突緩和装置は、解除検出手段が障害物と車両との衝突を回避するための運転者による回避操作を制動手段の作動を解除する解除指令として検出した場合には、解除設定手段が衝突回避支援手段においては予め設定された加速度勾配に沿って制動手段の作動を解除させる際の設定加速度を設定し、衝突被害軽減手段においては制動手段の作動を継続する。
これによれば、運転者が回避操作を実施して、衝突を回避できるときには運転者の操作を優先させ、衝突を回避できないときには衝突の被害を緩和するように、適切に制動手段の作動を優先させることができる。
ところで、請求項1に記載の衝突緩和装置においては、請求項2に記載のように、加速度設定手段は、衝突回避支援手段が制動手段を作動させるときと、衝突被害軽減手段が制動手段を作動させるときとで、異なる加速度勾配に基づいて各設定加速度を設定するようにしてもよい。
このような衝突緩和装置によれば、制動手段を、被害緩和の機能だけでなく、衝突回避支援の機能にも利用することができる。また、それぞれの機能で必要とされる加速度に応じた加速度勾配を設定することができる。
また、請求項2に記載の衝突緩和装置において、加速度設定手段は、請求項3に記載の
ように、衝突回避支援手段が制動手段を作動させるときに、衝突被害軽減手段が制動手段を作動させるときよりも、緩やかな加速度勾配に基づいて各設定加速度を設定するようにしてもよい。
このような衝突緩和装置によれば、衝突回避支援のために制動手段を作動しているときにおける加速度の変化を小さくすることができるので、運転者が操舵等の回避操作を実施し易くすることができる。
た、上記目的を達成するために成された請求項に記載の衝突緩和装置において、解除検出手段が障害物と当該車両との衝突を回避するための運転者による回避操作を制動手段の作動を解除する解除指令として検出すると、解除設定手段は、衝突回避支援手段においては予め設定された加速度勾配に沿って、制動手段の作動を解除させる際の設定加速度を設定し、衝突被害軽減手段においては制動手段の作動を継続する。そして、作動制御手段は、解除指令が検出された場合には、解除設定手段により設定された設定加速度で制動手段を作動させる。
従って、このような衝突緩和装置によれば、衝突回避支援手段においては制動手段の作動を解除させる際の設定加速度を設定するため、衝突を回避できるときには運転者の操作を優先させ、衝突被害軽減手段においては制動手段の作動を継続するため、衝突を回避できないときには衝突の被害を緩和するように、適切に制動手段の作動を優先させることができる。
更に、制動手段を解除する際の設定加速度が加速度勾配に沿って設定されるので、突然、制動手段の作動が解除される場合と比較して、車両の加速度の変化を小さくすることができる。よって、自動ブレーキの作動が解除されたときに乗員にとって車両の乗り心地が悪くなってしまうこと防止することできる。
また、請求項1請求項4の何れかに記載の衝突緩和装置においては、請求項5に記載のように、解除設定手段は、制動手段の作動開始時において設定された設定加速度の加速度勾配よりも絶対値が小さな加速度勾配に沿って設定加速度を設定するようにしてもよい。
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用されたプリクラッシュセーフティシステム(以下、PCSという。本発明でいう衝突緩和装置)1の概略構成を示すブロック図である。
PCS1は、例えば、乗用車等の車両に搭載され、車両が衝突することを検出し、車両が衝突する際にその被害を緩和させるシステムである。具体的には、図1に示すように、PCS1は、衝突緩和コントローラ10と、各種センサ30と、被制御対象40(本発明でいう制動手段)とを備えている。
各種センサ30としては、例えば、歩行者、路上障害物や他車両等の対象物(本発明でいう障害物)を、その位置(自車両に対する相対位置)とともに検出するレーダセンサ31(本発明でいう障害物検出手段)、車両の旋回角速度を検出するヨーレートセンサ32、車輪の回転速度を検出する車輪速センサ33等を備えている。これらの各種センサ30による検出結果は、衝突緩和コントローラ10によって取得される。
なお、レーダセンサ31は、予め設定された所定の周期(例えば100ms)毎に車両の進行方向に位置する対象物の検出を実施する。
衝突緩和コントローラ10は、CPU11,ROM12,RAM13等を備えた周知のマイクロコンピュータとして構成されている。そして、衝突緩和コントローラ10は、各種センサ30による検出結果等に基づいてROM12に格納されたプログラムを実行することによって、後述する衝突緩和処理等の各種処理を実施する。
衝突緩和コントローラ10は、このような処理を実施し、これらの処理による処理結果に応じて被制御対象40を作動させる。この結果、車両が衝突する際の被害を緩和させることができる。
なお、被制御対象40としては、例えば、ブレーキや、ステアリング、シートベルト等を駆動するアクチュエータが挙げられる。以下、本実施形態においては、被制御対象40がブレーキである場合について説明する。
ここで、本実施形態のPCS1においては、被制御対象40を作動させる際の機能として、ドライバ(運転者)に車両と対象物とが衝突する虞がある際にドライバの回避操作を支援する衝突回避支援ブレーキ(自動ブレーキ1)としての機能と、ドライバに車両と対象物とが衝突する際の被害を軽減するための被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ2)としての機能とを有する。
なお、自動ブレーキ1は、回避支援を目的とし、ドライバの回避操作を支援するためのブレーキであるため、CPU11が自動ブレーキ1を作動する際には、被害を軽減する目的である自動ブレーキ2の減速度と比較して、小さな減速度で制動を行う。一方、CPU11が自動ブレーキ2を作動する際には、減速度被害を軽減するために、自車両が発揮しうる最大の減速度で制動を行う。
このように、CPU11が各自動ブレーキとしての機能を作動する際には、車輪速センサ33からの検出信号に応じて、予め設定された減速度となるように、被制御対象40を作動させる。
このように、自動ブレーキ1、2を実施する際の処理である衝突緩和処理について図2〜図4を用いて説明する。
図2は衝突緩和コントローラ10のCPU11が実行する衝突緩和処理を示すフローチャートである。また、図3は衝突緩和処理のうち作動判定処理を示すフローチャート、図4は衝突緩和処理のうち作動制御処理を示すフローチャートである。
衝突緩和処理は、予め設定された所定周期(例えば約50ms)毎に起動される処理である。具体的には図2に示すように、衝突緩和処理においては、対象物選択処理(S110:衝突判定手段)、ドライバ操作判定処理(S120)、作動判定処理(S130)、調停処理(S140:解除検出手段)、作動制御処理(S150:衝突回避支援手段およ
び衝突被害軽減手段)、を順に実施する。
対象物選択処理(S110)では、自車両(当該PCS1が搭載された車両)が走行する車線(自車線)に割り込んでくる他車両や、自車両の進路上に位置する歩行者や路上障害物等の対象物を検出する。なお、この対象物選択処理では、対象物の進路を推定する処理や、レーダセンサ31による検出結果を用いて対象物との相対速度の演算する処理等を実施し、これらの処理に基づいて、自車両と衝突する可能性がある対象物を選択する。
ドライバ操作判定処理(S120)では、自車両のドライバが対象物との衝突を回避する操作(衝突回避操作)を実施したか否かを判定する。この処理では、例えばブレーキが操作されたか否かを検出し、ブレーキが操作されたことを検出した場合に衝突回避操作が実施されたものとして、この結果をRAM13に記録する。
作動判定処理(S130)では、対象物選択処理によって推定された対象物の進路、対象物との相対速度等に基づいて、被制御対象40を作動させるタイミングであるか否かを判定し、被制御対象40を作動させるタイミングであれば作動指示を生成し、RAM13に記録する。
調停処理(S140)では、実際に被制御対象40を作動させるか否かを最終的に判断する。続いて、作動制御処理(S150)では、生成された作動指示に基づいて、被制御対象40に対応する作動指令を被制御対象40に対して(被制御対象40が複数の場合にはそれぞれの被制御対象40に対して)送信する。
次に、作動判定処理の詳細について説明する。なお、調停処理および作動制御処理の詳細については後に詳述する。
作動判定処理においては、図3に示すように、対象物選択処理において検出された対象物の挙動や相対速度に基づいて、自車両と対象物とが衝突するまでの時間を表す衝突時間を演算する(S210)。そして、自動ブレーキ(制動手段)を作動させるか否かの判断基準となる閾値を演算する閾値演算処理を実施する(S220)。
この閾値演算処理においては、自動ブレーキ1を作動させるか否かの判断基準となる自動ブレーキ1判断ライン(の設定時間)と、自動ブレーキ2を作動させるか否かの判断基準となる自動ブレーキ2判断ライン(の設定時間)とを演算する。これらの判断ラインは、対象物との相対速度等に基づいて演算される。なお、自動ブレーキ1は、自動ブレーキ2と同じか、自動ブレーキ2よりも先に作動するように、各判断ラインが設定される。
なお、閾値演算処理における各演算結果は、RAM13に記録される。このような閾値演算処理が終了すると、S210にて演算した衝突時間が、自動ブレーキ2判断ライン未満であるか否かを判定する(S230)。衝突時間が自動ブレーキ2判断ライン未満であれば(S230:YES)、自動ブレーキ2作動指令を生成し(S240:衝突被害軽減手段)、作動判定処理を終了する。
また、衝突時間が自動ブレーキ2判断ライン以上であれば(S230:NO)、S210にて演算した衝突時間が、自動ブレーキ1判断ライン未満であるか否かを判定する(S250)。衝突時間が自動ブレーキ1判断ライン未満であれば(S250:YES)、自動ブレーキ作動指令を生成し(S260:衝突回避支援手段)、作動判定処理を終了する。
また、衝突時間が自動ブレーキ1判断ライン以上であれば(S230:NO)、直ちに
作動判定処理を終了する。
次に、作動判定処理に続いて実施される調停処理(S140)では、作動判定処理において、被制御対象40を作動させる作動指示がRAM13に記録されていたとしても、S120にてドライバにより衝突回避操作が実施されていることがRAM13に記録されていれば、調停処理(S140)では、当該衝突緩和処理では被制御対象40を作動させないようにすることがある。
具体的には、作動判定処理において、自動ブレーキ1に対する作動指示がRAM13に記録され、かつドライバにより衝突回避操作が実施されていることがRAM13に記録されていれば、ドライバ自身が衝突回避を実施したものとして、自動ブレーキ1として被制御対象40(ブレーキ)を作動させることを禁止する。一方、自動ブレーキ2に対する作動指示がRAM13に記録され、かつドライバにより衝突回避操作が実施されていることがRAM13に記録されていたとしても、既に衝突を回避することができないので、自動ブレーキ2として被制御対象40(ブレーキ)を作動させる。
つまり、調停処理では、自動ブレーキ1については作動をキャンセルすることがあるが、自動ブレーキ2については作動を継続するような処理を実施する。この結果、作動制御処理(S150)では、衝突を回避できるときにはドライバの操作を優先するとともに、衝突を回避できないときには衝突の被害を緩和するように、適切に被制御対象40の作動を優先させることができるようになる。
次に、作動制御処理について図4を用いて説明する。なお、作動制御処理におけるS320,S340,S360,S380の処理は本発明でいう加速度設定手段に相当し、S390の処理は作動制御手段に相当する。
作動制御処理では、まず、作動判定処理および調停処理において、自動ブレーキ1を作動する要求が設定されているか否かを判定する(S310)。この要求が設定されていれば(S310:YES)、自動ブレーキ1の加速度(減速度)を設定し(S320)、設定した加速度でブレーキを作動させ(S390)、作動制御処理を終了する。
また、自動ブレーキ1を作動する要求が設定されていなければ(S310:NO)、自動ブレーキ2を作動する要求が設定されているか否かを判定する(S330)。この要求が設定されていれば(S330:YES)、自動ブレーキ2の加速度(減速度)を設定し(S340)、設定した加速度でブレーキを作動させ(S390)、作動制御処理を終了する。
また、自動ブレーキ2を作動する要求が設定されていなければ(S330:NO)、自動ブレーキ1加速度が設定されているか(前回の処理にて0以外の加速度が設定されているか)否かを判定する(S350)。自動ブレーキ1加速度が設定されていれば(S350:YES)、自動ブレーキ1の加速度を設定し(S360)、設定した加速度でブレーキを作動させ(S390)、作動制御処理を終了する。
自動ブレーキ1加速度が設定されていなければ(S350:NO)、自動ブレーキ2加速度が設定されているか(前回の処理にて0以外の加速度が設定されているか)否かを判定する(S370)。自動ブレーキ2加速度が設定されていれば(S370:YES)、自動ブレーキ2の加速度を設定し(S380)、設定した加速度でブレーキを作動させ(S390)、作動制御処理を終了する。
自動ブレーキ2加速度が設定されていなければ(S30:NO)、直ちに作動制御処理を終了する。
さて、作動制御処理におけるS320,S340,S360,S380にて加速度を設定する際には、予め設定された加速度勾配に沿った加速度が設定される。つまり、自動ブレーキを要求された際には、加速度が予め設定された目標加速度(上限加速度)に到達するまで、加速度勾配に沿って設定加速度を随時変更する。
また、自動ブレーキを解除する際にも、加速度が0になるまで(ブレーキが完全に解除されるまで)、加速度勾配に沿って設定加速度を随時変更する。また、PCS1においては、自動ブレーキ1,2で、それぞれ異なる目標加速度および加速度勾配を設定している。
具体的には、自動ブレーキ1を作動させる際(S310:YESの場合)には、例えば、目標加速度を−5[m/s2]に設定するとともに、設定加速度を、加速度勾配−10[m/s3]に沿って設定する。即ち、作動制御処理が50ms毎に起動される場合には、S320にて設定される設定加速度を、作動制御処理が実施される毎に−0.05[m/s2]だけ増加させ、設定加速度が目標加速度になると、その後は一定とされる。
また、自動ブレーキ2を作動させる際(S330:YESの場合)には、例えば、目標加速度を−8[m/s2]に設定するとともに、設定加速度を、加速度勾配−20[m/s3]に沿って設定する。即ち、作動制御処理が50ms毎に起動される場合には、S340にて設定される設定加速度を、作動制御処理が実施される毎に−0.1[m/s2]だけ増加させ、設定加速度が目標加速度になると、その後は一定とされる。
また、自動ブレーキ1を解除させる際(S350:YESの場合)には、例えば、目標加速度を0に設定するとともに、設定加速度を、加速度勾配5[m/s3]に沿って設定する。
また、自動ブレーキ2を解除させる際(S370:YESの場合)には、例えば、目標加速度を0に設定するとともに、設定加速度を、加速度勾配20[m/s3]に沿って設定する。
つまり、自動ブレーキ1は、回避支援を目的とするブレーキであるため、回避支援としての機能(ドライバの操作によって衝突を回避できる時間を長くする)を達成することができる程度の加速度勾配に設定されている。このため、自動ブレーキ1の加速度勾配は、衝突の被害の緩和を目的とする自動ブレーキ2における加速度勾配よりも緩やかな値に設定されている。
また、自動ブレーキ1を解除させる際の加速度勾配は、自動ブレーキ1を作動させる際の加速度勾配よりも緩やかな値(加速度勾配の絶対値が小さな値)に設定されている。このため、ドライバの回避操作を検出し、自動ブレーキ1を解除する際に、突然ブレーキが解除されることにより乗員が違和感を覚えることを防止できるようにしている。
次に、自動ブレーキ1,2の作動例について図5を用いて説明する。図5は時間[s]と設定加速度[m/s2]との関係を示すグラフである。
PCS1を搭載した車両の走行中において、1秒後に自動ブレーキ1が作動し、1.75秒後に自動ブレーキ2が作動したとすると、従来構成においては、設定加速度を速やかに目標加速度としたのであるが(図5における破線参照)、本実施形態においては、設定加速度を加速度勾配に沿って設定している。このため、自動ブレーキ1が作動したときに
は、設定加速度は、自動ブレーキ1の作動開始後0.5秒後に目標加速度に到達する。
また、自動ブレーキ1の作動中に自動ブレーキ2が作動したときには、自動ブレーキ2の作動後0.15秒後に目標加速度に到達する。なお、その後、自動ブレーキ2が解除されると、0.4秒を要してブレーキが解除される。
また、自動ブレーキ1の作動中(目標加速度に到達後)に自動ブレーキ1が解除されると、1秒を要してブレーキが解除される(図5における一点鎖線参照)。
以上のように詳述したPCS1において、衝突緩和コントローラ10のCPU11は、衝突緩和処理にて、レーダセンサ31により検出された障害物と車両とが衝突すると判定された場合に、予め設定された加速度勾配に沿って、被制御対象40(ブレーキ)を作動させる際の設定加速度を繰り返し設定する。そして、衝突緩和処理の度に設定された設定加速度で被制御対象40を作動させる。
従って、このようなPCS1によれば、設定加速度が加速度勾配に沿って設定されるので、突然、設定加速度が大きく変更される場合と比較して、車両の加速度の変化を小さくすることができる。よって、自動ブレーキが作動したときに乗員にとって車両の乗り心地が悪くなってしまうこと防止することできる。
また、衝突緩和コントローラ10のCPU11は、ドライバの回避操作を支援するために被制御対象40を作動させる機能(自動ブレーキ1)と、車両が衝突する際の被害を緩和させるために被制御対象40を作動させる機能(自動ブレーキ2)と、を備えている。そして、衝突緩和コントローラ10のCPU11は、自動ブレーキ1を作動させるときと自動ブレーキ2を作動させるときとで、異なる加速度勾配に基づいて各設定加速度を設定する。
従って、このようなPCS1によれば、被制御対象40を、被害緩和の機能だけでなく、回避支援の機能にも利用することができる。また、それぞれの機能で必要とされる加速度に応じた加速度勾配を設定することができる。
また、衝突緩和コントローラ10のCPU11は、自動ブレーキ1を作動させるときに、自動ブレーキ2を作動させるときよりも、緩やかな加速度勾配に基づいて各設定加速度を設定するようにしてもよい。
このようなPCS1によれば、回避支援のために被制御対象40を作動しているときにおける加速度の変化を小さくすることができるので、ドライバが操舵等の回避操作を実施し易くすることができる。
さらに、衝突緩和コントローラ10のCPU11は、自動ブレーキ1を作動させるときにおける設定加速度の絶対値の上限値である目標加速度を、衝突緩和コントローラ10のCPU11が自動ブレーキ2を作動させるときにおける設定加速度の絶対値の上限値である目標加速度よりも、絶対値が小さくなるよう設定している。
従って、このようなPCS1によれば、回避支援のために被制御対象40を作動しているときにおける加速度のそのものを小さくすることができるので、ドライバが操舵等の回避操作を実施し易くすることができる。
また、衝突緩和コントローラ10のCPU11は、被制御対象40の作動を解除する解除指令を検出すると、予め設定された加速度勾配に沿って、被制御対象40の作動を解除
させる際の設定加速度を設定する。
従って、このようなPCS1によれば、被制御対象40を作動させるときだけでなく、被制御対象40を解除する際にも、設定加速度が加速度勾配に沿って設定されるので、突然、被制御対象40の作動が解除される場合と比較して、車両の加速度の変化を小さくすることができる。よって、自動ブレーキの作動が解除されたときに乗員にとって車両の乗り心地が悪くなってしまうこと防止することできる。
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうることは言うまでもない。
本発明が適用されたPCSの概略構成を示すブロック図である。 衝突緩和処理を示すフローチャートである。 作動判定処理を示すフローチャートである。 作動制御処理を示すフローチャートである。 目標加速度を示すグラフである。
符号の説明
1…PCS、10…衝突緩和コントローラ、11…CPU、12…ROM、13…RAM、31…レーダセンサ、32…ヨーレートセンサ、33…車輪速センサ、34…ブレーキスイッチ、35…スロットルセンサ、36…ステアリングセンサ、40…被制御対象。

Claims (5)

  1. 車両に搭載され、当該車両を制動する制動手段を作動させることによって当該車両が衝突する際の被害を緩和させる車両用の衝突緩和装置であって、
    当該車両の周囲に位置する障害物を検出する障害物検出手段と、
    前記障害物検出手段により検出された障害物と当該車両とが衝突するか否かを判定する衝突判定手段と、
    前記衝突判定手段により前記障害物と当該車両とが衝突すると判定された場合に、予め設定された加速度勾配に沿って、前記制動手段を作動させる際の設定加速度を設定する加速度設定手段と、
    前記加速度設定手段により設定された設定加速度で前記制動手段を作動させる作動制御手段と、
    を備え、
    前記作動制御手段として、
    当該車両が衝突する際の被害を緩和させるために前記制動手段を作動させる衝突被害軽減手段と、
    運転者の回避操作を支援するために前記衝突被害軽減手段の作動前に前記制動手段を作動させる衝突回避支援手段と、
    を備え、
    前記障害物と当該車両との衝突を回避するための運転者による回避操作を前記制動手段の作動を解除する解除指令として検出する解除検出手段と、
    前記解除検出手段により解除指令が検出された場合に、前記衝突回避支援手段においては予め設定された加速度勾配に沿って前記制動手段の作動を解除させる際の設定加速度を設定し、前記衝突被害軽減手段においては前記制動手段の作動を継続する解除設定手段と、
    を備え、
    前記加速度設定手段は、前記衝突回避支援手段が制動手段を作動させるときにおける設定加速度の絶対値の上限値である目標加速度を、前記衝突被害軽減手段が制動手段を作動させるときにおける目標加速度よりも、絶対値が小さくなるよう設定すること
    を特徴とする衝突緩和装置。
  2. 前記加速度設定手段は、前記衝突回避支援手段が制動手段を作動させるときと、前記衝突被害軽減手段が制動手段を作動させるときとで、異なる加速度勾配に基づいて各設定加速度を設定すること
    を特徴とする請求項1に記載の衝突緩和装置。
  3. 前記加速度設定手段は、前記衝突回避支援手段が制動手段を作動させるときに、前記衝突被害軽減手段が制動手段を作動させるときよりも、緩やかな加速度勾配に基づいて各設定加速度を設定すること
    を特徴とする請求項2に記載の衝突緩和装置。
  4. 車両に搭載され、当該車両を制動する制動手段を作動させることによって当該車両が衝突する際の被害を緩和させる車両用の衝突緩和装置であって、
    当該車両の周囲に位置する障害物を検出する障害物検出手段と、
    前記障害物検出手段により検出された障害物と当該車両とが衝突するか否かを判定する衝突判定手段と、
    前記衝突判定手段により前記障害物と当該車両とが衝突すると判定された場合に、予め設定された設定加速度で前記制動手段を作動させ、当該車両が衝突する際の被害を緩和させるために前記制動手段を作動させる衝突被害軽減手段と、運転者の回避操作を支援するために前記衝突被害軽減手段の作動前に前記制動手段を作動させる衝突回避支援手段とを有する作動制御手段と、
    前記障害物と当該車両との衝突を回避するための運転者による回避操作を前記制動手段の作動を解除する解除指令として検出する解除検出手段と、
    前記解除検出手段により解除指令が検出された場合に、前記衝突回避支援手段においては予め設定された加速度勾配に沿って、前記制動手段の作動を解除させる際の設定加速度を設定し、前記衝突被害軽減手段においては前記制動手段の作動を継続する解除設定手段と、
    を備え、
    前記作動制御手段は、前記解除検出手段により解除指令が検出された場合には、前記解除設定手段により設定された設定加速度で前記制動手段を作動させること
    を特徴とする衝突緩和装置。
  5. 前記解除設定手段は、前記制動手段の作動開始時において設定された設定加速度の加速度勾配よりも絶対値が小さな加速度勾配に沿って設定加速度を設定すること
    を特徴とする請求項1請求項4の何れかに記載の衝突緩和装置。
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