JP4193425B2 - 車両用制動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、先行車両等の対象物と接触する可能性があると予測される場合に、制動力を強制的に発生させ、接触を回避するようにした車両用制動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両走行時の安全性向上を図るべく数々の装置が開発されており、車両に搭載したレーダ装置によって先行車両との車間距離を検出し、衝突の可能性がある場合に、制動力を自動的に発生させるようにした装置等が提案されている。
【0003】
例えば、特開平6−298022号公報には、車両前方の障害物に対して、ブレーキ操作による衝突回避可能距離と、操舵による衝突回避可能距離と、を算出し、障害物と自車両との距離が、算出した何れの衝突回避可能距離よりも下回ったときに自動制動を行うことによって、不要な自動制動を行うことを回避するようにしたものが提案されている。
【0004】
また、例えば、特開平7−69188号公報には、前方障害物との衝突の可能性がある場合にドライバの意志とは無関係に制動力を発生させて減速を行うが、この制動力を発生させる前に、ドライバに自動制動を行うことを知らしめる目的で予備制動を行うようにしている。この予備制動が行われることによって、ドライバは予め身構えることができ、急接近に気づいて何らかの対応ができるようにしたものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の特開平6−298022号公報に記載されたように、ブレーキ操作及び操舵操作による衝突回避可能距離を検出し、障害物との距離がこれら衝突回避可能距離を下回る場合に自動制動を行うようにした方法においては、操舵による衝突回避可能距離を演算する際に、自車両に発生する横加速度を固定値として取り扱い、幾何学的な関係のみから衝突回避可能距離を演算するようにしている。
【0006】
しかしながら、操舵特性は、実際には、タイヤ特性或いはヨー方向の車両慣性モーメント、車両重量、車速、ホイールベース、トレッド、さらには、ドライバの操舵特性等によって異なるため、衝突回避可能距離が本来の距離よりも大きく又は小さく演算されてしまうという問題がある。
また、車両がカーブ路を走行中に、車両前方の障害物検出装置の誤検出によって、誤って自動制動を行う場合がある。また、前方障害物の検出を車載の検出手段のみで行わなければならないので、緊急度の判断を行うことができず、自動制動の印加タイミングを操舵回避と制動回避とが共に不可能となる時点まで待たなければならない。このため、万が一障害物に接触した時の速度低減量が小さなものとなってしまう。
【0007】
また、予め弱い制動力を発生させるようにした方法においては、急制動前の弱い制動力は、三角波状の制動液圧を作用させて制動力を発生させるようにしているため、一旦制動液圧が零となった後に再度急制動を行うことになり、制動液圧の立ち上がりが遅れるという問題がある。また、制動液圧が零の状態から急制動を行うため、制動力の変動が大きく、ドライバに与える違和感が大きいという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、ドライバに違和感を与えることなく、且つ的確なタイミングで制動力を発生させることの可能な車両用制動制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用制動制御装置は、自車両前方の障害物を検出する障害物検出手段と、ブレーキペダルの操作とは独立に制動力を発生する制動力発生手段と、自車両の走行路前方の障害物の存在地点及び当該障害物の存在地点環境に関する情報を収集する障害物情報収集手段と、前記障害物情報収集手段で収集した障害物情報に基づき、前記障害物が直線道路にあるか又は前記障害物がカーブ路にあり且つ当該カーブ路において前記障害物検出手段が障害物を検出することの可能な最遠検出距離が、前記カーブ路の開始地点から前記障害物の存在地点までの道なりの距離以上であると判定されるとき、前記障害物検出手段による障害物検出の信頼性が高いと判断し、そうではないとき信頼性が低いと判断する信頼性判断手段と、当該信頼性判断手段で信頼性が高いと判断されるとき、前記障害物情報収集手段で収集した障害物情報及び自車速に基づいて、予め設定した大きさの車速低減制動力を発生させることにより、前記障害物の存在地点に達したときの自車速を、目標低減率を満足する車速にまで低減し得る制動開始地点を算出する制動開始地点算出手段と、前記信頼性判断手段で信頼性が低いと判断されるとき、前記障害物情報収集手段で収集した障害物情報及び自車速に基づいて、前記障害物の存在地点よりも前記最遠検出距離だけ手前の地点から制動力を発生させた状態で前記障害物の存在地点に達したときの自車速を、目標低減率を満足する車速にまで低減し得る低信頼性時の制動力を算出する制動力算出手段と、前記カーブ路のカーブ半径に基づき、当該カーブ路への適正進入速度を算出する適正進入速度算出手段と、前記制動力発生手段を制御し所望の大きさの制動力を発生させる制御手段と、を備え、当該制御手段は、前記信頼性判断手段で前記信頼性が高いと判断した場合は、前記障害物情報に基づき走行路前方に障害物があることを検出し且つ自車両が前記制動開始地点を通過しさらに前記障害物検出手段で障害物を検出した時点から前記車速低減制動力を発生させ、前記信頼性判断手段で前記信頼性が低いと判断した場合は、自車両が前記カーブ路の開始地点を通過した時の自車速が前記適正進入速度以下のときには、自車両が前記障害物の存在地点から前記最遠検出距離だけ手前の地点を通過し且つ前記障害物検出手段で障害物を検出した時点から、前記制動力算出手段で算出した低信頼性時の制動力を発生させ、自車両が前記カーブ路の開始地点を通過した時の自車速が前記適正進入速度を越えるときには、自車両が前記カーブ路の開始地点を通過した時点から、前記低信頼性時の制動力以下の制動力を発生させることを特徴としている。
【0011】
【発明の効果】
本発明に係る車両用制動制御装置によれば、障害物が直線道路にあるか又は障害物がカーブ路にあり且つ当該カーブ路において障害物検出手段が障害物を検出することの可能な最遠検出距離が、カーブ路の開始地点から障害物までの道なりの距離以上であるときには、障害物検出手段による障害物検出の信頼性が高いとし、障害物情報収集手段で収集した障害物情報に基づき走行路前方に障害物があることを検出し且つ障害物検出手段で障害物を検出したとき、つまり、障害物検出手段で検出された障害物が真の障害物である可能性が高いとみなすことができるときであり、さらに自車両が制動開始地点算出手段で算出した制動開始地点を通過した時点から車速低減制動力を発生させ、このとき、前記制動開始地点は、車速低減制動力を発生させたときに目標低減率を満足し得る、前記車速低減制動力による制動を開始する地点として算出するようにしたから、この制動開始地点を通過した後に車速低減制動力を発生させることにより、的確なタイミングで、且つ過不足なく制動力を印加することができる。
【0012】
また、このとき、障害物情報に基づき障害物が走行路前方に障害物があることを検知し且つ障害物検出手段で障害物を検出したときに制動力を印可させるようにしているから、障害物検出手段で検出した障害物が真の障害物であるとみなすことが可能な時点で制動力を印加させることになり、障害物検出手段で誤検知したときに不要な制動力を発生させることを回避することができる。
また、このとき、障害物がカーブ路にあり、且つ、カーブ路において、障害物検出手段が障害物を検出することの可能な最遠検出距離が、カーブ路の開始地点から障害物までの道なりの距離より小さいとき、すなわち、障害物検出手段では、この障害物を、カーブ路の開始地点では検出することができないときには、障害物検出手段による障害物検出の信頼性が低いと判断し、自車両がカーブ路の開始地点を通過した時の自車速が適正進入速度以下のときには、自車両が障害物から最遠検出距離だけ手前の地点を通過し且つ障害物検出手段で障害物を検出した時点から、低信頼性時の制動力を発生させ、一方、自車両がカーブ路の開始地点を通過した時の自車速が適正進入速度を越えるときには、自車両がカーブ路の開始地点を通過した時点から、低信頼性時の制動力以下の制動力を発生させ、カーブ路のため、直線道路を走行している場合よりも障害物を検出するタイミングが遅れると予測される場合には、障害物検出手段で障害物を検出する以前に、前以って制動力を発生させることで、障害物の存在地点に達したときの自車速を、十分低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した車両用制動制御装置の一実施形態を示すブロック図である。
図中1は、車間距離センサとしてのスキャニング式のレーザレーダであって、車幅中央の、車両前方の障害物を検出することの可能な位置に設けられている。そして、一定角度ずつ水平方向にずれながら周期的に車両の前方方向にレーザ光を照射し前方物体から反射して戻ってくる反射光を受光して、出射タイミングから反射光の受光タイミングまでの時間差に基づいて、各角度における物体までの距離を検出するようになっている。2は、車速センサであって、これらレーザレーダ1及び車速センサ2の検出信号は、制御装置10に入力される。
【0014】
また、車両には、前記制御装置10で実行される後述の自動制動制御処理或いはインフラ情報受信時の割り込み処理で検出される障害物の有無、或いは車両前方の道路形態情報等を、乗員、特にドライバに提示するための情報提示ディスプレイ3、また音声によってこれを通知するための音声発生機4、警報を発生するための警報アラーム5を備えている。
【0015】
車両には、さらに、例えば図2に示すような道路側に配置されたインフラ側システムと情報の通信を行うための路車間通信機8や、制御装置10での自動制動制御処理において、制動力を発生する必要がある場合に、制御装置10からの指令に応じて、所定の制動力を発生させる制動力制御装置15を備えている。
前記インフラ側システムは、図3及び図4に示すように、例えば、上り車線LN1と下り車線LN2とを有する直線道路或いはカーブ道路に、予め設定された所定間隔で配置され、特に、カーブ路においては、その進入位置手前等に配置され、予め設定された監視領域Mについて監視を行っている。そして、図2に示すように、監視領域M内に位置する障害物を検出する、例えば可視画像センサやレーザレーダセンサ等の道路状況把握センサ21及びこの道路状況把握センサ21から得られた道路状況を処理するための路側情報処理装置22等を備え、道路状況把握センサ21から得られた道路状況や、記憶装置23に記憶されている道路形状情報を、道路側路車間通信機24によって送信し、この道路側路車間通信機24と前記車両側の路車間通信機8とが通信を行うことによって、インフラ側システムの情報を、車両側で獲得するようになっている。図3及び図4の場合には、上り車線LN1を走行する車両に対し、その進行方向前方の監視領域Mの情報を提供するようになっている。
【0016】
前記道路側路車間通信機21から送信される情報としては、情報提供地点から障害物までの距離D0、車両進行方向前方のカーブ半径R、情報提供地点からカーブ開始地点までの距離d、道路の縦勾配、道路表面の滑り易さに関する情報からなる路面状況情報等を送信する。なお、前記情報提供地点は、インフラ側システムにおいて障害物までの距離検出の基準となる地点であり、且つ、走行車両が路車間通信によってインフラ情報を受信する地点であることを意味する。
【0017】
図5は、制御装置10で実行される自動制動制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
制御装置10では、自動制動制御処理を開始すると、まず、ステップS1において、レーザレーダ1の検出信号を読み込み、自車両前方の障害物と自車両との間の自車両の進行方向における相対距離d、及び相対速度Vrを検出し、さらに、レーザレーダ1の検出信号に基づいて、自車両前方の障害物の左右エッジまでの距離及び角度を検出する。また、これらに基づいて自車両が前方の障害物との接触を回避するために必要な横移動量Yを算出する。
【0018】
前記相対速度Vrは、例えば、前記相対距離dに対し、微分演算或いはバンドパスフィルタ処理を行うことにより算出する。
また、前記横移動量Yは、レーザレーダ1の検出信号に基づいて障害物の左右エッジを検出し、この左右エッジ位置における角度に基づいて検出する。つまり、図6に示すように、レーザレーダ1の検出信号及びそのスキャニング角度に基づいて、自車両の進行方向を基準とし、これに対する障害物の左右エッジの角度θ1及びθ2を検出する。そして、図6に示すように、自車両前方の障害物に対し、障害物の左右エッジの角度θ1及びθ2のうち、何れか小さい方(図6の場合には、θ1)を選択し、これをθとして次式(1)に基づいて、横移動量Yを算出する。
【0019】
Y=d・sin(θ)+Lw/2 ……(1)
なお、式中のLwは自車両の車幅である。また、本実施の形態においては、レーザレーダ1を車両の車幅中央の位置に設けた場合について説明しているが、車幅中央から左右の何れかの方向にオフセットして取り付けられている場合には、前記(1)式においてオフセット分を考慮する必要がある。
【0020】
また、障害物の中心位置に対し、自車両の中心位置が比較的ずれている場合等、左右エッジの角度θ1及びθ2のうち何れか一方のエッジを検出することができない場合には、エッジを検出することができた側のエッジ角度をθとして上記式(1)により、横移動量Yを算出する。
このようにして、横移動量Yを算出することによって、自車両に対する障害物のオフセット量が異なる場合においても、それぞれの場合に応じて必要な操舵回避のための横移動量を算出し、操舵回避が可能であるか否かの演算を高精度に行うことができるようになっている。
【0021】
次いで、ステップS2に移行し、自車両前方の障害物との接触を、制動操作を行うことによって回避することができるかどうかの判定を行う。この判定条件は、次のように設定される。
図6に示すように、自車両と自車両前方の障害物との距離がdであり、相対速度がVrであるものとする。このとき、制動によって接触を回避する場合に発生する減速度をa(例えば、8.0〔m/s2 〕)とし、ドライバがブレーキペダルを踏み込んだ場合に減速度が発生するまでの無駄時間をTd(例えば、0.2秒)とすると、制動によって障害物との接触を回避するためには、相対速度Vrと、障害物との距離dとの関係が次式(2)を満足すればよい。
【0022】
d<−Vr・Td+(Vr)2 /(2・a) ……(2)
したがって、ステップS1で検出した障害物との間の距離dと相対速度Vrとが前記(2)式を満足するかどうかを判定する。
続いて、ステップS3に移行し、障害物との接触を、操舵操作を行うことによって回避することができるか否かを判定する。
【0023】
まず、ステップS1で算出した、障害物との接触を回避するために必要な横移動量Yだけ横移動するのに必要な時間Tyを算出する。ここで、車両の操舵特性は次のように表すことができる。
Figure 0004193425
なお、(3)及び(4)式中の、mは車両重量、IZ は車両ヨー方向の慣性モーメント、Vは車速、rはヨーレート、βは車体スリップ角、lF は車両重心から前輪までの距離、lR は車両重心から後輪までの距離、YF 及びYR は、前輪及び後輪にそれぞれ発生する横力である。また、θF は、前輪舵角であって、緊急時にはドライバは例えば図7に示すように、ある操舵速度で操舵を行い且つある操舵量最大値で操舵すると仮定する。なお、図7において、横軸は時間、縦軸は舵角であって、時間の経過に伴ってある傾きで舵角が直線的に増加し、つまりある操舵速度で舵角が操舵量最大値まで増加し以後、操舵量最大値を維持するようになっている。
【0024】
また、fF 及びfR はタイヤスリップ角と、タイヤ横力との対応を表す関数であって、例えば図8に示すように設定される。なお、図8において、横軸はタイヤスリップ角、縦軸はタイヤ横力であって、タイヤスリップ角が大きくなるほどタイヤ横力は大きくなり、且つタイヤスリップ角が小さいほどタイヤスリップ角の変化に対するタイヤ横力の変化量が大きくなるように設定される。
【0025】
ここで、横移動量Yは、車速Vとヨーレートrと、車体スリップ角βとから次式(5)で表すことができる。
Y=∫〔V・sin(∫rdt+β)〕dt ……(5)
したがって、前記(3)〜(5)式から、回避に必要な横移動量Yだけ自車両が横移動する際の所要時間を算出することができる。
【0026】
なお、(3)〜(5)式の演算をオンラインで実行するには、計算時間が非常にかかるため、予めオフラインで演算を行い、その演算結果を、例えば図9に示すようにマップ化しておいてもよい。
なお、図9において、横軸は、操舵回避に必要な横移動量、縦軸は操舵回避にかかる時間である。操作回避に必要な横移動量が増加するほど、操舵回避にかかる時間も増加し、且つ、車速が低くなるほど、操作回避に係る時間が増加するように設定される。したがって、障害物を回避するために必要な横移動量Yだけ横移動するのに必要な時間、つまり、操舵操作による接触回避に要する所要時間Tyを算出する場合には、車速Vと横移動量Yとに対応するマップの値を検索すればよい。
【0027】
そして、接触までの推定時間d/Vrと、操舵回避にかかる時間Tyとの間に、次式(6)が成り立つとき、操舵操作による障害物との接触は回避不可能であると判断する。
d/Vr<Ty ……(6)
ここで、前記(3)〜(6)式に基づいて、操舵操作による接触回避が可能であるか否かを判定することによって、車両の操舵特性の違いに応じて操舵回避時間を演算し、車両毎に異なる操舵特性や車速域で異なる操舵特性によらず、操舵回避が可能か不可能かを正確に演算するようになっている。また、ドライバの緊急時のステアリング操作の特性も加味して車両の操舵回避時間を演算することによって、より正確に緊急時の操舵回避時間を演算するようになっている。
【0028】
次いで、ステップS4に移行し、自車両前方の障害物との接触に対する、ステップS2での制動による回避可能判断及びステップS3での操舵による回避可能判断の結果に基づき、制動による接触回避が不可能であり、且つ操舵による接触回避が不可能であると判断される場合には、ステップS5に移行し、予め設定した大きさF3の制動力を発生させるための制動力指令値を、制動力制御装置15に出力する。また、警報アラーム5を作動させ、ドライバに注意を促す等の処理を行った後、図示しない上位プログラムに戻る。
【0029】
一方、ステップS4で、制動及び操舵操作共に回避不可能ではないと判定される場合にはステップS6に移行し、制動による回避が不可能であるか、又は操舵による回避が不可能であるか、つまり、制動及び操舵の何れか一方による接触回避は可能であるかどうかを判定する。そして、何れか一方のみによる接触回避が可能であると判定される場合には、ステップS7に移行し、予め設定した大きさF2の制動力を発生させるための制動力指令値を、制動力制御装置15に出力する。そして、図示しない上位プログラムに戻る。
【0030】
一方、ステップS6の処理で、制動又は操舵の何れか一方による接触回避が不可能でない場合、つまり、制動及び操舵の何れにおいても接触回避が可能であると判定される場合には、ステップS8に移行し、後述のインフラ情報受信時の割り込み処理により、制動力F1又は制動力F1′による制動が行われている状態であるかどうかを判定する。そして、制動力F1又はF1′による制動中である場合には、ステップS9に移行し、自車両がインフラ情報を受信した地点から、インフラ側システムによる情報提供地点から障害物が存在する地点までの距離D0を、走行したかどうかを判定する。つまり、自車両が、障害物が存在する地点に達したかどうかを判定する。この判定は、例えば、インフラ側から障害物情報を受信した時、この地点からの走行距離の計測を開始し、この計測値と、インフラ側システムから通知される障害物情報中の障害物までの距離D0とを比較することによって行う。
【0031】
そして、障害物までの距離D0を自車両が走行したと判定される場合には、ステップS10に移行し、制動力制御解除処理を行う。この制動力制御解除処理は、例えば、予め設定した傾きで徐々に制動力が小さくなるよう制動力制御装置15への制動力の指令信号を制御し、制動力制御装置15で発生する制動力を徐々に小さくし制動力の発生を停止させる。
【0032】
一方、自車両が障害物までの距離D0を走行していない場合には、そのまま処理を終了し、上位プログラムに戻る。
ここで、制動力F1、F2及びF3は、図10に示すように、これら制動力F1〜F3の大きさをf1〜f3としたとき、f1<f2<f3を満足する制動力であって、制動力F1は、予め設定された所定の傾きで大きさf1に達するように発生され、同様に、制動力F3は、予め設定された所定の傾きで大きさf3に達するように発生されるようになっている。そして、前記制動力F1の大きさfは、ドライバの操舵操作の自由を奪わず且つ違和感を与えることのない値に設定され、また、前記制動力F3の大きさf3は、例えば、制動操作及び操舵操作を行っても障害物との接触を回避することのできない状況にある場合に、自車両を十分減速させることの可能な値に設定される。
【0033】
また、制動力F2は、大きさf1の制動力F1から予め設定された所定の傾きαで徐々に増加するように発生され、その傾きαは、制動力がF2からF3に移行する際に、その制動力の差Δfが予め設定したしきい値以下となるように演算されるようになっている。前記差Δfは、自車両に作用する制動力がF2からF3に変化したときに、ドライバに違和感を与えることのない値に設定される。具体的には、次のようにして算出する。
【0034】
まず、制動力F2が作用し始めてから制動力F3が作用するまでの所要時間T を推定する。つまり、制動による接触回避が不可能となってから操舵による接触回避が不可能となる場合には、その所要時間Tは、次式(7)と表すことができる。なお、式(7)中の、Tyは、ステップS3で算出した操舵回避にかかる時間Tyである。
【0035】
=d/Vr−Ty ……(7)
一方、操舵による接触回避が不可能となってから制動による接触回避が不可能となる場合には、その所要時間T は、次式(8)と表すことができる。なお、式(8)中のTd及びaは、ステップS2で算出した、ドライバのブレーキ操作時の無駄時間と、発生減速度である。
【0036】
=−(d−Vr2 /2・a+Vr・Td)/Vr ……(8)
前記Tから制動力の傾きαを次式(9)に基づいて算出する。
α=(f3−Δf+f1)/T ……(9)
そして、このようにして算出した傾きαで制動力F2を徐々に上昇させる。
【0037】
また、制御装置10では、路車間通信機8を介して、インフラ側システムからのインフラ情報を入力した場合には、割り込み処理によって、図11に示す、インフラ情報受信時の割り込み処理を行う。
なお、既に自動制動を印加中、つまり、前回受信時のインフラ情報に基づいて既に制動力F1或いはF1′を発生させている場合には、新たに割り込み処理は行わず、引き続き制動力F1或いはF1′を発生させる。
【0038】
このインフラ情報受信時の割り込み処理では、まず、ステップS21で、通知されたインフラ情報が、自車両前方の障害物の存在を表す障害物情報であるのか、或いはその他の路面状況等の情報であるのかを判断する。そして、障害物情報でない場合には、インフラ情報受信時の処理を終了する。
なお、インフラ情報が障害物情報である場合、この障害物の位置すなわち、情報提供地点からの距離D0、この障害物がカーブ路上に存在する場合には、情報提供地点からカーブの開始地点までの距離D1、さらに、このカーブ路のカーブ半径R及び道路の縦勾配、路面状況情報等が提供されるようになっている。そして、インフラ情報としてカーブ路情報を受け取った場合には、これと同時にこのカーブ路を通過する際の上限横加速度を仮に0.3〔G〕とした場合の適正進入速度Vaを算出する。
【0039】
一方、インフラ情報が障害物の情報である場合には、ステップS21からステップS22に移行し、インフラ側システムから障害物情報が通知されたことに対して、ドライバに注意を促すため、前記情報提示ディスプレイ3や音声発生機4によって、画像や音声により障害物の存在をドライバに通知する。なお、報知内容としては、障害物の存在情報、障害物までの距離情報、障害物の存在する車線情報等を報知する。
【0040】
次いで、ステップS23に移行し、障害物が存在する位置がカーブ路上であるのか、或いは直線路上であるのかを判断する。なお、カーブ路、直線路の判断は、インフラ情報として提供されたカーブ半径Rを、規定値R1と比較することにより行い、カーブ半径Rが規定値R1よりも小さいとき、カーブ路であると判断する。
【0041】
そして、障害物がカーブ路上にあると判定されるときには、ステップS24に移行し、インフラ情報として通知されたカーブ半径Rに基づいて、カーブ路上の障害物の最遠検出距離Lcを算出する。つまり、図12に示すように、自車両がこのカーブ路を走行したときに、自車両が検出することの可能な障害物までの最遠距離Lcを検出する。図12に示すように、カーブ半径Rが小さいほど、遠方がより見えにくくなるから、最遠検出距離Lcは短くなり、逆にカーブ半径Rが大きければ、より遠方まで見え易くなるため障害物も検出しやすくなり、最遠検出距離Lcは大きくなる。したがって、カーブ路上の最遠検出距離Lcは、直線路上に位置する障害物の最遠検出距離Lsよりも短くなる。なお、最遠検出距離Lcは、例えば、カーブ半径Rとレーザレーダ1の性能とに基づいて算出する。
【0042】
次いで、ステップS25に移行し、ステップS24で算出したカーブ路上における前方障害物の最遠検出距離Lcと、カーブ路上に存在する障害物の、カーブ開始地点からの距離D2とを比較する。このカーブ開始地点から障害物までの距離D2は、インフラ情報として通知される情報提供地点から障害物までの距離D0とインフラ情報として通知される情報提供地点からカーブ開始地点までの距離D1との差から算出する。そして、最遠検出距離Lcが障害物のカーブ開始地点からの距離D2よりも小さい場合(Lc<D2)にはステップS26に移行し、逆に、最遠検出距離Lcが障害物のカーブ開始地点からの距離D2以上である場合(Lc≧D2)には、後述のステップS41に移行する。
【0043】
前記ステップS26では、自車両がカーブ開始地点を通過したかどうかを監視し、自車両がカーブ開始地点を通過したことを検出したとき、この時点での車速Vcを検出する。次いで、ステップS27に移行し、制動力F1よりも制動力の大きい制動力F1′を算出する。
つまり、最遠検出距離Lcが、障害物のカーブ開始地点からの距離D2よりも短い場合は、通常の直線路の場合に比較して障害物の検出が遅れ、自動制動制御処理による制動力の印加開始が遅れるため、結果的に衝突速度の低減量が小さくなってしまう。そこで、最遠検出距離Lcが、障害物のカーブ開始地点からの距離D2よりも短い状況においては、カーブ開始地点の進入車速Vcが当該カーブ路の適正進入速度Vaよりも速い場合に限り、車載のレーザレーダ1が障害物を検出するよりも以前に制動力を印加させ始める。
【0044】
このとき、制動力F1と同じ大きさの制動力では、目標とする最終的な衝突速度低減率X〔%〕を満足することができない。そこで、カーブ路上の障害物から最遠検出距離Lcだけ手前の地点に自車両が達した時点から、制動力の印加を開始すると仮定した場合に、図13に示すように、制動力F1よりも制動力の大きい、衝突速度をX〔%〕低減することの可能な制動力F1′を算出する。この制動力F1′の大きさは、例えば、最遠検出距離Lcと、カーブ進入速度Vcとに基づいて算出する。
【0045】
次いで、ステップS28に移行し、カーブ開始地点進入時の車速Vcと、ステップS21で算出した適正進入速度Vaとを比較する。そして、Vc>Vaである場合には、ステップS29に移行し、ステップS27で算出した大きさf1′の制動力F1′よりも小さく且つ大きさ一定の制動力を発生するように、制動力制御装置15に対して指示を行う。そして、割り込み処理を終了する。
【0046】
なお、前記制動力F1′よりも小さな制動力とは、例えば、0.03〔G〕〜0.08〔G〕程度の制動力を発生させるようにすればよく、これは障害物までの距離とカーブ進入速度Vcに基づいて算出するようにすればよい。
一方、前記ステップS28で、カーブ開始地点進入時の車速Vcと適正進入速度VaとがVc>Vaでない場合には、ステップS31に移行し、カーブ路上で、障害物よりも最遠検出距離Lcだけ手前の地点を車両が通過し、且つレーザレーダ1によって障害物を検出したかどうかを監視し、これらを満足しない間は、ステップS31の処理を繰り返し行い、これらを満足するときステップS32に移行する。
【0047】
このステップS32では、前記ステップS27で算出した制動力F1′を発生するよう制動力制御装置15に指示を行った後、割り込み処理を終了する。
一方、前記ステップS23でインフラ情報に基づいて障害物がカーブ路上にないと判定されるとき、また、前記ステップS25の処理で、ステップS24で算出した最遠検出距離Lcが障害物のカーブ開始地点からの距離D2以上である場合(Lc≧D2)には、ステップS41に移行し、自動制動開始可能地点Bsを算出する。つまり、現時点での車速Vよりも、障害物到達時点での車速をX〔%〕低減するために必要な、制動力F1を印加し続ける距離を算出し、得られた距離だけ障害物から手前の地点を自動制動開始可能地点Bsとする。
【0048】
次いで、ステップS42に移行し、ステップS41で算出した障害物よりも手前の自動制動開始可能地点Bsを自車両が通過したかどうかを検出し、自車両が通過し、且つレーザレーダ1によって前方障害物を検出したとき、ステップS43に移行する。そして、制動力F1を発生させるよう、制動力制御装置15に対して指示を行い、割り込み処理を終了する。
【0049】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
制御装置10では、予め設定された所定周期で自動制動制御処理を実行するが、自車両前方に先行車両や障害物等が存在しない状況では、制動力を発生させない。
この状態から、自車両側の路車間通信機8が道路側に設置された路車間通信機21との通信を行って、インフラ情報を受信すると、制御装置10では、インフラ情報受信時の割り込み処理を実行する。このとき、受信したインフラ情報に障害物情報が含まれない場合には、そのまま処理を終了する。そして、所定のタイミングで自動制動制御処理を行う。
【0050】
一方、インフラ情報が障害物情報である場合には、ステップS21からステップS22に移行し、情報提示ディスプレイ3或いは音声発生機4によって、ドライバに対し、車両前方に障害物が存在することを通知する。
このとき、図3に示すように障害物が直線路上に存在する場合には、インフラ情報として通知されるカーブ半径Rがしきい値R1よりも大きいから、障害物はカーブ路にないと判断されてステップS23からステップS41に移行し、現時点での車速Vと、インフラ情報として通知された情報提供地点から障害物までの距離D0とに基づき、制動力F1を印加した場合に、現時点における車速Vを障害物に達したときにX〔%〕低減することの可能な制動距離を算出し、障害物の存在地点から算出した制動距離だけ手前の位置を自動制動開始可能地点Bsとして算出する。そして、図10に示すように、時点tでこの自動制動開始可能地点Bsを自車両が通過し且つレーザレーダ1で障害物を検出したときに、大きさf1の制動力F1が発生される。
【0051】
そして、図11のインフラ情報受信時の割り込み処理を終了し、図5の自動制動制御処理を実行する。まず、レーザレーダ1の検出信号を読み込み、この検出信号に基づいて、先行車両との車間距離d及び相対速度Vrを算出し、さらに、先行車両の左右エッジ角度を検出する。
ここで、例えば自車両前方に先行車両が存在し、この先行車両が図6に示すように、自車両前方のやや左よりに位置する場合には、レーザレーダ1の検出信号に基づいて左右のエッジ角度θ1 及びθ2 が検出され、より小さい方のθ1 が選択されてこれに基づいて横移動量Yが算出される(ステップS1)。
【0052】
このとき、例えば先行車両との間の距離dが十分大きい場合等、先行車両との間の距離d及び相対速度Vrが前記(2)式を満足しない場合には、制動によって障害物を回避することができると判定し(ステップS2)、さらに、先に算出した横移動量Yだけ移動するのに必要な時間Tyを算出し、これと、自車両が先行車両に接触するまでの推定時間d/Vrとが前記(6)式を満足しないときには、操舵操作によって障害物との接触は回避可能であると判断する。したがって、ステップS4からステップS6を経てステップS8に移行し、このとき制動力F1による制動が行われているから、ステップS9に移行する。
【0053】
そして、インフラ情報が通知された情報伝達地点から障害物が存在する位置までの距離D0を自車両が走行していない間は、ステップS1に戻って、引き続き、制動及び操舵による障害物の回避が可能であるかどうかの判断が行われる。
このとき、例えば、図11のステップS22での情報提示ディスプレイ3又は音声発生機4による障害物の通知を受けて、ドライバが車線変更をした場合には、自車両が情報伝達地点から障害物が存在する位置までの距離D0を走行したとき、つまり、障害物が存在する地点を自車両が通過したときに、ステップS9からステップS10に移行して制動力F1の発生が終了されることになる。
【0054】
また、インフラ情報受信時の割り込み処理によって、制動力F1を発生させている状態で、自車両が次の道路側路車間通信機21の設置位置に到達し、再度インフラ情報を受信した場合には、既に制動力F1が発生されている状態であるから、新たに割り込み処理を開始せずに引き続き制動力F1を発生させる。
一方、制動力F1が印加された状態でさらに自車両が障害物に接近し、車間距離dが前記(2)式は満足しないが、横移動量Yに基づき算出される操舵回避にかかる時間Tyが前記(6)式を満足するようになると(ステップS1〜S3)、制動による接触回避は可能であるが、操舵による接触回避は不可能であると判定されるから、ステップS4からステップS6を経てステップS7に移行し、大きさf2の制動力F2を発生するよう制動力制御装置15が制御される。
【0055】
このとき、制動力F2は、傾きαで徐々に増加するように設定され、この傾きαは、前記(9)式に示すように、制動力F2から制動力F3に移行する際に、その制動力の差Δfが所定値以下となるように演算される。操舵による接触回避が不可能となった後、制動による接触回避が不可能となった場合の、制動力F3が作動するまでの所要時間T は、前記(8)式で表すことができるから、算出した所要時間T に基づいて前記(9)式から、制動力F2の傾きが算出され、これに基づいて、制動力制御装置15が制御される。
【0056】
したがって、図10に示すように、操舵回避が不可能となった時点tで、制動力制御装置15から、傾きαで増加する制動力F2が発生され、自車両に作用する制動力はf1から傾きαで増加することになる。
そして、制動による接触回避は可能であるが操舵による接触回避は不可能な状態である間は、制動力F2が発生され、且つこの制動力F2は徐々に大きくなっていく。
【0057】
この状態から、自車両が障害物にさらに接近し、車間距離dが短くなり、時点t で、車間距離dが前記(2)式を満足し、制動によっても接触回避が不可能と判定されると、制動回避不可能であり且つ操舵回避不可能であることから、ステップS4からステップS5に移行し、制動力F3を発生するよう制動力制御装置15を制御する。
【0058】
これによって、図10に示すように、操舵及び制動共に障害物を回避不可と判断された時点tで、制動力F2よりも制動力の大きい制動力F3が発生される。したがって、制動によっても操舵によっても先行車両との接触回避が不可能であり、すなわちドライバによる操作によっては接触を回避することができないと判断されたときに、強制的に制動力を発生させ、且つこのとき、これまでよりも大きな制動力F3を発生させることによって、先行車両との接触が回避されることになる。
【0059】
このとき、時点tで、制動力F2よりも大きな制動力F3が作用することになるが、時点tで操舵による接触回避が不可能となった時点で制動力F2を発生させ、且つこの制動力F2を徐々に大きくするようにし、さらに時点tでより大きな制動力F3が作用するときに、それまでの制動力F2と制動力F3との差が、予め設定したしきい値Δfよりも小さくなるように制動力F2を制御しているから、時点tで制動力F2から制動力F3に切り替わり、より大きな制動力F3が作用したとしても、ドライバに違和感を与えることはない。
【0060】
一方、時点tで、操舵による接触回避は可能であるが制動による接触回避が不可能となった場合には、上記と同様に、ステップS4からステップS6を経てステップS7に移行し、制動力F2を発生するよう制動力制御装置15を制御するが、この場合、操舵による接触回避は可能であるから、前記(7)式から、制動力F3が作動するまでの所要時間T を算出する。そして、この所要時間Tに基づいて前記(9)式に基づいて制動力の傾きαを算出する。
【0061】
そして、この傾きαで増加する制動力F2を発生させ、制動及び操舵による接触回避が共に不可能となった時点で、制動力F3を発生させるが、制動力F3は制動力F2との差がしきい値Δfよりも小さくなるように設定されているから、急に大きな制動力F3を発生させてもドライバに違和感を与えることはない。
そして、この状態から、制動力F3が作用し、これに伴って、先行車両との距離dが確保され、前記(2)式及び(6)式を満足しなくなると、ステップS4からステップS6、S8を経てステップS10に移行し、制動力制御装置15で発生される制動力が、F3から所定の傾きで減少するように、制動力制御装置15を制御する。
【0062】
これによって、図10に示すように、大きさf3で発生されていた制動力が所定の傾きで減少することになる。このとき、印加している制動力を徐々に減少させるようにしているから、制動力の付与を停止する際に、ドライバに与える違和感を低減することができる。
この状態から、自車両側の路車間通信機8が道路側に設置された、新たな路車間通信機21との通信を行って、インフラ情報を受信すると、制御装置10では、インフラ情報受信時の割り込み処理を実行する。このとき、受信したインフラ情報に障害物情報が含まれ、且つ、図4に示すように障害物がカーブ路内に存在すると通知された場合には、ステップS21からステップS22に移行し、情報提示ディスプレイ3や音声発生機4を作動させ、画像や音声により障害物の存在をドライバに通知した後、ステップS23からステップS24に移行し、インフラ情報に基づき、障害物が、図4に示すように、カーブ半径Rに基づいて最遠検出距離Lcを算出する。図12に示すように、最遠検出距離Lcは、カーブ半径Rが小さいほど短く、カーブ半径Rが大きいほど長くなる。
【0063】
ここで、障害物が、比較的カーブ開始地点よりに存在し、最遠検出距離Lcに比較して、カーブ路上に存在する障害物のカーブ開始地点からの距離D2の方が短いときには、遅くとも自車両がカーブ開始地点に達するまでに、レーザレーダ1によって障害物を検出することができるから、障害物を検出した時点で制動力の発生を開始すればよいとして、ステップS25からステップS41に移行し、自動制動開始可能地点Bsを通過し且つ障害物を検出した時点tで制動力F1を発生させる。
【0064】
そして、割り込み処理を終了して、図5の自動制動制御処理に戻り、制動による障害物の回避及び操舵による障害物の回避が可能な間はステップS1〜S4、S6を経てステップS8に移行し、このとき、制動力F1を発生させているから、ステップS8からステップS9に移行する。そして、インフラ側からの情報提供地点から障害物までの距離D0に基づき、障害物が存在すると通知された地点まで自車両が達したかどうかを判断し、自車両が達していない間は、制動力F1を継続して発生させる。そして、自車両が障害物に接近し、障害物を制動により回避不可又は操舵により回避不可であると判断された時点で、ステップS4からステップS6を経てステップS7に移行し、傾きαで増加する制動力F2が発生され、さらに、制動及び操舵共に障害物を回避不可と判定された時点で、より強い制動力F3が発生される。
【0065】
一方、ドライバが車線変更を行う等によって自車両が操舵及び制動共に、障害物を回避可能と判断されるときには、自車両が障害物の存在地点に達したと推測される時点で、制動力F1の発生が解除される。
この状態から、インフラ側システムとの通信によって、障害物の存在が通知され、且つこの障害物がカーブ路に存在し、自車両の最遠検出距離Lcよりも手前に障害物が位置する場合には、ステップS21〜ステップS23、ステップS24、ステップS25を経てステップS26に移行し、自車両がカーブ開始地点を通過したときの車速Vcに基づいて制動力F1′が算出される。この制動力F1′は、障害物の存在地点から最遠検出距離Lcだけ手前の位置に自車両が到達するまでに、この最遠検出距離Lcだけ手前の地点から大きさf1の制動力F1を印加した場合に、自車両が障害物に達するまでに目標とする低減量を満足することの可能な車速まで、車速を低減し得るように算出される。そして、このカーブ開始地点通過時の車速Vcが予めカーブ半径Rに基づいて算出したカーブ路への適正進入速度Vaを超えるときには、この時点から大きさf1′以下の制動力が発生され、逆に車速Vcがカーブ路への適正進入速度Vaを超えないときには、障害物の存在位置から最遠検出距離Lcだけ手前の地点を通過後、障害物をレーザレーダ1が検出したときに、大きさf1′の制動力が発生される。
【0066】
したがって、最遠検出距離LcがD2よりも短い場合は、通常の直線道路の場合に比較して障害物の検出が遅れ、自動制動の印加開始が遅れて結果的に衝突速度の低減量が小さくなってしまうから、最遠検出距離LcがD2よりも短い状況においては、カーブ開始地点の進入車速Vcが当該カーブ路の適正進入速度Vaよりも速い場合に限り、車載のレーザレーダ1が障害物を検出するよりも以前に自動制動を発生させることにより、衝突速度の低減量を十分確保することができる。また、カーブ路上の障害物よりも最遠検出距離Lcだけ手前の位置を自車両が通過した時点から、自動制動を印加できるものと仮定した場合に、衝突速度をX〔%〕低減することの可能な制動力F1′を算出し、この制動力F1よりも大きく且つ制動力F1′よりも小さな制動力を発生させるようにしたから、衝突速度を十分低減することができる。
【0067】
そして、図13に示すように、時点t11で制動力F1又はF1′以下の制動力を印加している状態から、自車両が障害物に接近し、障害物を制動又は操舵により回避不可能と判断されると、ステップS4からステップS6を経てステップS7に移行し、前記(9)式から、発生すべき制動力の傾きαが算出され、所要時間T経過後に、制動力F2から制動力F3に移行したときに、その制動力の偏差Δfがしきい値以下となり得る傾きαが算出される。そして、この時点t12で徐々に増加する制動力F2が印加され、さらに、この状態から時点t12で制動及び操舵共に障害物を回避不可と判断されたときには、より大きな制動力F3が発生される。したがって、自車両が障害物に衝突することを確実に回避することができる。
【0068】
一方、自車両が障害物をよけた場合等には、制動及び操舵による障害物の回避は共に可能と判断されるから、ステップS4からステップS6、S8を経てステップS9に移行し、自車両が、インフラ情報の情報提供地点から、障害物までの距離D0を走行し、障害物に到達したと予測される時点で制動力F1又はF1′が解除される。
【0069】
そして、この状態から例えば、インフラ側システムが設置されていない走行路に進入した場合等には、図5の自動制動制御処理を所定周期で実行し、自車両前方に障害物を検知した場合には、上記と同様にして、この障害物を操舵操作及び制動操作によって回避することができるかどうかを判定し、操舵操作或いは制動操作の何れか一方によって回避することができなくないと判定された場合には、例えば図10に一点鎖線で示すように、操舵操作或いは制動操作の何れかに一方によって回避することが不可能であると判定された時点t′で零から増加する場合の制動力F2の傾きαを算出し、算出した傾きαで増加する制動力F2を発生させる。そして、時点tで制動及び操舵共に障害物を回避不可となったとき、制動力F3を発生させる。また、障害物を検知した時点で、この障害物を制動及び操舵の何れによっても回避不可と判定されるときには、例えば図10に一点鎖線で示すように、障害物を制動及び操舵の何れによっても回避不可と判定された時点t′で速やかに最も強い制動力F3を発生させ、障害物との接触回避を図る。
【0070】
このように、道路側に設けられたインフラ側システムからのインフラ情報に基づいて自車両前方の障害物の存在を認識し、最遠検出距離Lcがカーブ開始地点から障害物までの距離D2よりも短く、自車両がカーブ路に進入した時点で、障害物をレーザレーダ1によって検出できない状況であり、且つ、カーブ路への進入の車速Vcが、カーブ路への適正進入速度Vaを超える場合には、障害物を検出していない状況であってもこの時点で制動力F1′の制動力f1′以下の大きさの制動力を発生させるようにしたから、カーブ路であるために障害物の検出が直線路に比較して遅れた場合であっても、自車両が障害物に達するまでに車速を十分低減することができる。
【0071】
また、このとき、制動力F1′は、自車両が、カーブ路上の障害物から最遠検出距離Lcだけ手前の地点に自車両が達した時点から制動力F1の印加を開始すると仮定したときに自車両が障害物に到達したときの車速が目標とする車速の低減量を満足し得る値となるような大きさf1′に設定したから、自車両が障害物に到達したときの車速を、目標とする低減量を満足し得る値まで十分低減することができる。
【0072】
また、このとき、カーブ開始地点通過時の車速Vcが、カーブ半径Rに応じたカーブ路への適正進入速度Vaを超えないときには、障害物の存在位置よりも最遠検出距離Lcだけ手前の位置を通過し、且つレーザレーダ1で障害物を検出したときに、制動力F1′を印加させるようにしている。
ここで、カーブ路である場合には、レーザレーダ1によって路壁等を検出する場合があるため、インフラ情報によって、自車両前方に障害物が存在することが通知されたとしても、障害物である可能性は小さいが、障害物よりも最遠検出距離Lcだけ手前の地点を通過した後、検知された障害物は、真の障害物である可能性が高い。したがって、障害物よりも最遠検出距離Lcだけ手前の地点を通過した後、レーザレーダ1によって障害物が検知されたときに、制動力を発生させることによって、真の障害物ではないにも関わらず制動力を発生させるといった不要な制動を行うことを回避することができる。また、このとき、カーブ路上の障害物から最遠検出距離Lcだけ手前の地点に自車両が達した時点から制動力F1の印加を開始すると仮定したときに自車両が障害物に到達したときの車速が目標とする車速の低減量を満足し得る値となるような大きさf1′の制動力F1′を発生させるようにしているから、自車両が障害物に到達する時点の車速を目標とする減速率を満足し得る速度まで十分減速することができる。
【0073】
また、最遠検出距離Lcがカーブ開始地点から障害物までの距離D2以上であるときには、レーザレーダ1によって障害物を検知した時点で、制動力を印加するようにしているから、十分な低減量を得るために真に必要な時点で制動力の印加を開始することができ、不必要に制動力を印加することを回避することができる。
【0074】
このとき、最遠検出距離Lcがカーブ開始地点から障害物までの距離D2より短く且つカーブ開始地点通過時の車速Vcが、カーブ半径Rに応じたカーブ路の適正進入速度Vaを超えないときには、最遠検出距離Lcがカーブ開始地点から障害物までの距離D2以上であるときに印加する制動力F1よりも大きな制動力F1′を発生させるようにしている。したがって、最遠検出距離Lcがカーブ開始地点から障害物までの距離D2よりも短い場合には、障害物の検知タイミングが遅れることになるが、その分、より大きな制動力F1′を発生させるようにしているから、十分な制動力を印加することができ、車速を十分低減することができる。
【0075】
また、カーブ路を走行している場合には、そのカーブ半径Rに応じてレーザレーダ1の最遠検出距離Lcは変化するが、カーブ路のカーブ半径Rに応じて最遠検出距離Lcを算出し、この最遠検出距離Lcとカーブ路への自車両の進入車速に応じて、印加する制動力及びこの制動力の発生開始地点つまり制動時間を可変とする構成としたので、カーブ路においてはそのカーブ半径Rに応じて、レーザレーダ1の検出性能が変化するような場合であっても、目標とする低減率を満足し得る車速にまで自車速を十分低減することができる。
【0076】
また、自車両前方に障害物が存在するが、これがカーブ路内に存在しないとき、また、障害物がカーブ路内に存在するが、カーブ開始地点から障害物までの距離が最遠検出距離Lcよりも小さいとき、すなわち、自車両がカーブ開始地点を通過する以前に障害物を検出することができる状況であるときには、大きさf1の制動力F1を発生させた場合に、自車両が障害物に到達する時点での車速を十分低減することの可能な自動制動開始可能地点Bsを算出し、自車両がこの自動制動開始可能地点Bsを通過した後、障害物を検出した時点で、制動力F1を発生させるようにしている。このとき、予めインフラ情報で障害物の存在が通知されているから、レーザレーダ1によって何らかを検知したとき、これはインフラ情報で通知された障害物である可能性が高く、ほぼ障害物であるとみなすことができる。
【0077】
従来、レーザレーダ1で物体を検知した場合であっても、これが真の障害物であるかどうかは不明であるため、操舵或いは制動により障害物を回避することができないと判断された時点で、制動力を発生させるようにしている。しかしながら、上述のように、インフラ情報で障害物の存在が通知された状態でレーザレーダ1で何らかを検知した場合には、このレーザレーダ1で検知した物体は障害物である可能性が高く、この時点で制動力F1を発生させるようにしているから、従来よりも早い時点で制動力の発生を開始することができ、自車両が障害物に達した時点の車速を十分低減することができる。また、このとき、レーザレーダ1で検知した物体は、インフラ情報で通知された障害物である可能性が高いから、実際には障害物が存在しないにも関わらず、制動力F1を印加させるといった、制動力を不必要に印加させることはない。
【0078】
また、このとき、障害物到達時点での車速をX〔%〕低減するために必要な、制動力F1を印加し続ける距離を算出し、得られた距離だけ障害物から手前の地点を自動制動開始可能地点Bsとし、この自動制動開始可能地点Bsを基準とし、この地点を自車両が通過後、レーザレーダ1で障害物を検知したときに制動力F1を発生させるようにしている。ここで、レーザレーダ1で障害物を検知した時点から制動力F1を発生させた場合、制動力F1は予め設定した一定値であるため、場合によっては、必要以上の制動力を印加することになり、自車両が障害物に達するよりも手前の地点で、車速が必要以上に低減される場合がある。しかしながら、制動力F1を印加した状態で自車両が障害物に達したときに所定の減速率を満足し得る地点を通過した後に、制動力F1を発生させるようにしているから、不必要に制動力を発生させ必要以上に車速を低減することを回避することができ、的確なタイミングで制動力を発生させることができる。
【0079】
また、操舵或いは制動によって障害物を回避することができないと判断される以前に制動力F1或いはF1′を発生させた場合には、障害物を制動及び操舵により共に回避可能であり、且つ、自車両が、情報提供地点から障害物が存在する地点までの距離D0を走行したとき、つまり、自車両が障害物の存在地点に到達したとみなされるときに、これら制動力F1或いはF1′の発生を解除するようにしたから、自車両が障害物に達する前に制動力の発生が解除されたり、或いは自車両が障害物に達した後も制動力を発生させる等不必要に制動力を継続して印加することを回避することができ、的確なタイミングで制動力の印加を停止することができる。
【0080】
また、インフラ情報に基づいて発生させる制動力F1は、その制動力が弱く、且つ一定の値としたため、レーザレーダ1で障害物を検出した時点で制動力F1を発生させたとしても、ドライバに違和感を与えることはない。また、制動力F1′は、一定の値であって、また、ステップS32で発生される制動力F1′、また、ステップS29で発生される制動力F1′よりも小さな制動力は、最遠検出距離Lcや車速に応じて変化するものの、最遠検出距離Lcを走行する間に車速を低減することの可能な値であるから、制動力F3に比較して小さな制動力であり、且つ一定の値であるから、この場合も、これら制動力を発生させたとしても、ドライバに違和感を与えることはない。
【0081】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図11に示すインフラ情報受信時の割り込み処理の処理手順が異なること以外は同様であるので、同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明を省略する。
この第2の実施の形態では、図14に示す手順で、インフラ情報受信時の割り込み処理を行う。なお、この第2の実施の形態においても、既に自動制動を印加中、つまり、前回受信時のインフラ情報に基づいて既に制動力F1或いはF1″を発生させている場合には、新たに割り込み処理は行わず、引き続き制動力F1或いはF1″を発生させる。
【0082】
すなわち、まず、ステップS21で、上記第1の実施の形態と同様に、路車間通信によってインフラ側システムによって通知されたインフラ情報が、自車両前方の障害物の存在を表す障害物情報であるかどうかを判定し、障害物情報でない場合にはそのままインフラ情報受信時の割り込み処理を終了する。
そして、ステップS21からS22に移行し、情報提示ディスプレイ3や音声発生機4によって、画像や音声により障害物の存在をドライバに通知した後、ステップS51に移行する。
【0083】
このステップS51では、インフラ情報として通知された障害物情報に基づいて車両前方の障害物の存在する位置が、上り勾配であるか下り勾配であるかを判定する。なお、インフラ側システムにおいては、走行路前方に障害物が存在する場合には、情報提供地点から障害物までの距離、障害物の存在位置が上り勾配であるか下り勾配であるのか、また、上り勾配である場合には、情報提供地点から上り勾配の頂上までの距離等といった、後述の処理で必要な情報を送信するようになっている。
【0084】
そして、障害物が上り勾配に存在すると判断される場合には、ステップS41aに移行し、上記第1の実施の形態と同様にして自動制動開始可能地点Bs′を算出するが、この第2の実施の形態においては、障害物が存在する位置までの道路勾配をも考慮して算出する。そして、自動制動開始可能地点Bs′を算出した後、ステップS42aに移行し、以後、上記第1の実施の形態と同様に、自車両が自動制動開始可能地点Bs′を通過後にレーザレーダ1で障害物を検出したかどうかを監視し、自車両が、自動制動開始可能地点Bs′を通過し、且つ、レーザレーダ1で障害物を検知したとき、ステップS42aからステップS43に移行し、予め設定された大きさf1の制動力F1を発生させるよう、制動力制御装置15に対して指示を行う。そして、インフラ情報受信時の割り込み処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS51で、障害物が下り勾配に存在すると判断される場合には、ステップS52に移行し、現在自車両は登坂中であるのか下り坂の途中であるのかを判断する。この判断は、例えば、ジャイロセンサ、ナビゲーションシステムの地図情報、車速に対するアクセル開度等の、車載の縦勾配検出手段の検出結果に基づいて行う。
【0086】
そして、自車両が登坂中でないと判断されるとき、つまり、下り坂の途中であるときには、前記ステップS41aに移行し、一方、自車両が登坂中であると判断されるときには、ステップS53に移行する。このステップS53では、インフラ情報の障害物情報として通知された、情報提供地点から障害物までの距離及び情報提供地点から登坂路頂上までの距離に基づき算出される、登坂路頂上から下り勾配に存在する障害物までの距離、下り勾配の勾配率、また、インフラ情報受信時の自車両の車速Viに基づいて、自車両が障害物に達するときの目標とする車速の低減量を満足するために必要な制動力F1″の大きさと、自動制動開始可能地点Bs″とを算出する。なお、前記制動力F1″の最大値は、前記図5の自動制動制御処理において発生される制動力F2の大きさf2よりも小さくなるような値に設定される。前記自動制動開始可能地点Bs″及び制動力F1″は、例えば、下り勾配の開始点から障害物までの距離とレーザレーダの最遠検出距離を比較し、いずれか短い方の距離分だけ障害物から離れた地点を自動制動開始可能地点Bs″とする。また、Bs″地点から制動を開始したと仮定し、最終的に制動力F3で自動制動した場合に障害物到達時点の車速をX[%]低減するのに不足すると予想される制動量を制動距離Bs″と勾配率を考慮して算出すればよい。
【0087】
次いで、ステップS54に移行し、自車両が登坂路の頂上を通過したかを監視し、自車両が頂上を通過したときの車速Vsを検出する。なお、前記自車両が登坂路の頂上を通過したかどうかの判定は、情報提供地点、つまりインフラ情報を受信した地点からの走行距離を積算することによって算出する。
次いで、ステップS55に移行し、前記ステップS54で検出した車速Vsと、前記ステップS53での制動力F1″の算出に用いたインフラ情報受信時の車速Viとを比較し、Vs>ViでないときステップS56に移行する。
【0088】
このステップS56では、障害物の存在位置からステップS53で算出した自動制動開始可能地点Bs″よりも手前の地点を自車両が通過したかどうかを監視し、自車両が障害物から自動制動開始可能地点Bs″だけ手前の位置を通過し、且つレーザレーダ1によって障害物を検知したときに、ステップS57に移行し、ステップS53で算出した制動力F1″を発生するよう、制動力制御装置15に指示する。
【0089】
一方、前記ステップS55で、ステップS54で検出した登坂路頂上通過時の車速Vsがインフラ情報受信時の車速Viよりも大きい(Vs>Vi)ときにはそのままステップS57に移行し、制動力F1″を発生するよう制動力制御装置15に指示する。
次に、上記第2の実施の形態の動作を説明する。
【0090】
今、図15に示すように、下り勾配路の途中に障害物が存在し、自車両が、この登坂路の手前で、インフラ側システムと通信を行って、インフラ情報を受信したものとする。
制御装置10では、インフラ情報を受信すると、自動制動制御処理に代えて、図14に示すインフラ情報受信時の割り込み処理を開始し、このとき、インフラ情報として下り勾配途中の障害物の位置等を表す情報が通知された場合には、ステップS21からステップS22に移行し、情報提示ディスプレイ3や音声発生機4を操作し、ドライバに対して障害物の存在を通知する。
【0091】
そして、この場合、障害物は、下り勾配に存在するから、ステップS51からステップS52に移行し、自車両はこれから登坂路を走行するから、ステップS53に移行し、登坂路の頂上から障害物までの距離、下り勾配の勾配率、インフラ情報受信時の車速に基づいて、自動制動開始可能地点Bs″及び制動力F1″を算出する。そして、情報提供地点を通過した時点からの走行距離に基づき自車両が登坂路の頂上に達したことを検出したときの車速Vsが、情報提供地点における車速Viよりも大きくないときには(ステップS54、S55)、自車両が自動制動開始可能地点Bs″を通過し、レーザレーダ1で障害物を検出した時点で制動力F1″を発生させる(ステップS57)。この制動力F1″は、インフラ情報を受信したときの車速Viに基づき、この車速で走行したときに、自車両が障害物に達したときの車速を、目標とする車速の低減量を満足するに十分な大きさの制動力であるから、自車両が障害物の存在位置に達したときの車速は、目標とする低減量を満足し得る車速となり、車速を十分低減することができることになる。
【0092】
一方、制動力F1″は、情報提供地点における車速Viに基づいて算出した値であるから、自車両が登坂路の頂上に達したときの車速Vsが、情報提供地点における車速Viよりも大きいときには、障害物を検出した時点で制動力F1″を発生させたとしても車速を十分低減することはできない。しかしながら、Vs>Viである場合には、ステップS55からステップS57に移行し、障害物を検知する以前に制動力F1″の印加を開始するようにしているから、障害物に達したときの自車両の車速を十分低減することができる。
【0093】
このように、第2の実施の形態においては、障害物が存在する道路の縦勾配にを考慮して制動力を発生させるようにしたから、図15に示すように、登坂路頂上からさらに下った地点に障害物が存在する場合のように、レーザレーダ1による障害物の検出タイミングが遅れるような場合であっても、障害物を検知した時点で、自車両車速を十分低減することができ、自車両が障害物に到達した時点における車速を十分低減することができる。
【0094】
また、障害物が登坂路頂上を超えた下り坂に存在する場合であっても、下り坂の勾配率と、障害物までの距離とに基づいて、目標とする車速の低減量を満足し得る制動力を発生させるようにしているから、車速が下り坂の影響を受ける場合であっても、車速を十分低減することができる。
また、このとき、自車両が、登坂路頂点に達したときの車速が、インフラ情報を受信した情報提供地点における車速よりも加速されている場合、制動力F1″は、情報提供地点における車速に基づいて算出した大きさを有する制動力であるから、自車両が障害物を検出した時点で制動力F1″を発生させたのでは、十分な制動力を得ることができない可能性がある。しかしながら、このように、自車両が登坂路頂上に達した時点における車速が、情報提供地点における車速よりも大きい場合には、レーザレーダ1が障害物を検出する時点以前に制動力F1″を発生させるようにしているから、この場合であっても車速を十分低減することができる。
【0095】
また、このとき、十分な減速を行うことの可能な前記制動力F1″を算出し、この制動力F1″の算出の基準となる自動制動開始可能地点Bs′を通過した後、障害物を検出した時点で、制動力F1″を発生させるようにしたから、的確なタイミングで制動力の発生を開始させることができ、また、必要以上に制動力を印加することを回避することができる。
【0096】
また、この第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、インフラ情報に基づいて発生させる制動力F1及びF1″は、一定の値であり比較的大きさの小さい制動力であるから、これら制動力を発生させたとしてもドライバに違和感を与えることはなくまた、操舵操作の自由を奪うこともない。
また、障害物が上り勾配に存在するとき、また、障害物が下り坂に存在するが自車両が登坂中でないとき、つまり自車両も下り坂を走行中であり、レーザレーダ1による障害物の検出タイミングがそれほど遅れないとみなすことが可能であるときには、前記自動制動開始可能地点Bs′を算出し、この自動制動開始可能地点Bs′を通過後、レーザレーダ1によって障害物を検出した時点で、制動力F1を発生させるようにしたから、この場合も上記第1の実施の形態と同様に、レーザレーダ1で検出した障害物が、真の障害物であるとみなすことの可能な時点で制動力F1を発生させることができ、また、必要以上の大きさの制動力を印加させることを回避することができ、的確なタイミングで的確な大きさの制動力を発生させることができる。
【0097】
なお、上記第2の実施の形態においては、ステップS43の処理で制動力F1を発生させるようにした場合について説明したが、障害物が下り勾配に位置する場合には、制動力F1を印加したとしても十分に車速を低減することができないことも予測される。したがって、障害物が下り勾配に存在するときには十分な減速率を得ることのできる制動力F1αと、その自動制動開始地点とを算出し、この自動制動開始地点を通過した後、レーザレーダ1で障害物を検出したときに、制動力F1αを発生させるようにしてもよい。このようにすることによって、下り勾配に障害物が存在する場合であってもより確実に車速を低減することができる。
【0098】
また、上記第2の実施の形態においては、登坂路に続く下り坂に障害物が存在する場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、勾配のない走行路に続く下り勾配に障害物が存在する場合であっても適用することができる。この場合、インフラ情報の登坂路の頂上から障害物までの距離として、下り坂の開始地点から障害物までの距離を送信するようにし、ステップS51の処理では、障害物が下り勾配の手前の勾配のない走行路にあるときにはステップS41aに移行するようにし、また、ステップS52の処理では、自車両が、登坂中或いは勾配のない走行路上に位置するときにステップS53に移行し、自車両が、障害物が存在する下り坂に存在するときにのみステップS41aに移行するようにすればよい。そして、ステップS53では、前記自動制動開始可能地点Bs″及び制動力F1″を、下り勾配の開始地点から障害物までの距離に基づいて算出し、ステップS54では、自車両が下り勾配の開始地点を通過するときの車速を検出するようにすればよい。
【0099】
このようにすることによって、障害物が、勾配のない走行路に続く下り勾配に存在し、レーザレーダ1による障害物の検出タイミングが直線路の場合に比較して遅れる場合であっても、上記第2の実施の形態と同様に、自車両が障害物に到達する時点での車速を十分減速することができる。
また、上記各実施の形態においては、制動力制御装置15によって制動力を作用させる場合には、突然大きな制動力F3を作用させるのではなく、制動力F2徐々に増加させて作用させ、作用させる制動力が制動力2から制動力3に切り替わったとしてもその制動力の差Δfがドライバに違和感を与えないしきい値以下となるように制動力F2を作用させ。また、制動力の発生を停止する場合にも徐々に制動力を低減させるようにしているから、制動力の付加及びその停止に伴ってドライバに与える違和感を低減することができる。
【0100】
また、このとき、制動力を作用させるタイミングを、先行車両との車間距離d及び相対速度Vrだけでなく、車両の操舵特性等車両特性をも考慮して特定するようにしているから、車両毎に異なる操舵特性や車速域で異なる操舵特性によらず、操舵回避が可能か不可能かをより的確に算出することができる。また、ドライバの緊急時のステアリング操作の特性をも考慮して車両の操舵回避時間を算出するようにしているから、より高精度に緊急時の操舵回避時間を算出することができる。
【0101】
また、このとき、インフラ情報として障害物の存在が通知された場合には、その存在位置に応じて制動力F2よりも、より制動力の小さい制動力を、障害物を検出した時点或いはそれ以前に発生させるようにし、さらに、操舵及び制動による接触回避が共に不可能であると判定され、強い制動力F3を発生させる必要のある時点よりも前の、操舵或いは制動による接触回避が不可能であると判定された時点で予め弱い制動力F2を発生させておき、この制動力F2を徐々に大きくし、強い制動力を発生させる必要のある時点で制動力F3を発生させるようにしているから、この制動力F3を発生させる時点では、制動力は予め立ち上がっているので、制動力F3を発生させるべき時点での制動力の立ち上がりの遅れを低減することができる。よって、速やかに制動力を作用させることができ、安全性をより向上させることができる。
【0102】
また、障害物を制動操作により回避することができるか、また、操舵操作により回避することができるかを個別に判断し、制動操作を行っても操舵操作を行っても障害物との接触を回避することができないと判定されるときに制動力F3を発生させるようにしているから、何れかのセンサが誤検知した場合、或いは、操舵操作を行うことによって障害物を回避することのできるような場合に不必要に大きな制動力を発生させることを回避することができる。
【0103】
また、操舵操作によって障害物との接触を回避することができるか否かを判定する際に、横移動量を検出しこれに基づき判定するようにしたから、自車両と障害物とにオフセットが生じている場合であっても、オフセット量を考慮して的確に操舵回避判定を行うことができる。また、この横移動量に基づき操舵回避判定を行う際に、車両諸元や車両の操舵特性、ドライバの操舵諸元等をも考慮して判定するようにしたから、車両毎に異なる操舵特性や運手者の操舵諸元等に関わらず、的確に操舵回避判定を行うことができる。したがって、的確なタイミングで制動力を発生させることができる。
【0104】
また、横移動量を設定する際に、障害物の左右エッジ角度θ1及びθ2の何れか小さい方を選択し、この方向に操舵した場合に障害物を回避することができるかどうかを判定するようにしている。よって、左右方向のうち操舵回避を行うことができる可能性がより高い方について操舵回避判定を行うことになるから、操舵判定を的確に行うことができ、また、この判定の結果、操舵回避可能である場合には、制動力を発生させないようにし、左右のうち何れか一方の方向に操舵回避可能である場合には、制動力を発生させないから、操舵回避可能であるにも関わらず、不必要に制動力を発生させることを確実に回避することができる。
【0105】
なお、上記第2の実施の形態においては、障害物が登坂路に存在する場合に、その存在位置に応じて制動力を発生させるようにした場合について説明したが、上記第1の実施の形態と組み合わせ、インフラ情報として障害物情報が通知された場合、障害物がカーブ路に存在する場合には、上記第1の実施の形態にしたがって制動力を印加し、障害物が登坂路を超えた下り勾配に存在する場合には上記第2の実施の形態にしたがって、制動力を発生させるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0106】
また、上記各実施の形態において、インフラ情報として、障害物情報と共に、路面状態として、湿潤や凍結、積雪等の情報が提供された場合には、例えばステップS21の処理で、路面状態情報が通知されたことを検出したときに、目標減速率X〔%〕を路面状態情報に応じた規定値に修正し、以後、この修正した目標減速率X〔%〕に基づいて処理を行うようにし、高摩擦係数路面を走行している場合に比較して、より早い時点から弱い制動力を作用させ始めるようにしてもよい。このようにすることによって、障害物付近の路面μが小さい場合には、通常よりも早い時点から制動力を作用させることができ、路面μによる衝突速度低減量の減少を補うことができる。
【0107】
また、上記各実施の形態においては、既に自動制動を印加中、つまり、前回受信時のインフラ情報に基づいて既に制動力F1或いは、F1′、F″を発生させている状態で、新たにインフラ情報を受信した場合には、新たに割り込み処理は行わず、引き続き制動力F1或いはF1′、F″を発生させるようにした場合について説明したが、これら制動力を発生させている状態で新たにインフラ情報を受信した場合には、受信したインフラ情報に基づいて上記第1或いは第2の実施の形態と同様に処理を行い、現在発生させている制動力よりも大きな制動力を発生させる必要がある場合には、この新たに受信したインフラ情報に基づく割り込み処理に切り替え、現在発生させている制動力よりも大きな制動力を発生させる必要がないときには、新たに受信したインフラ情報に基づく割り込み処理を終了し、引き続き既に発生させている制動力を発生させるようにしてもよい。
【0108】
ここで、レーザレーダ1が障害物検出手段に対応し、制動力制御装置15が制動力発生手段に対応し、路車間通信機8が障害物情報収集手段に対応し、図11及び図14のインフラ情報受信時の割り込み処理が制御手段に対応し、図11において、ステップS23〜S25の処理が信頼性判断手段、ステップS41の処理が制動開始地点算出手段に対応し、ステップS21の処理で適正進入速度Vaを算出する処理が適正進入速度算出手段に対応している。また、図14において、ステップS51及びS52の処理が信頼性判断手段、ステップS41aの処理が制動開始地点算出手段に対応し、制動力F1が車速低減制動力に対応している。また、図5のステップS2及びステップS3の処理が障害物回避判定手段に対応し、制動力F2が第2の制動力に対応し、制動力F3が第3の制動力に対応し、ステップS2の処理が制動回避判定手段、ステップS3の処理が操舵回避判定手段に対応している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した、制動制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】インフラ側システムの一例を示す概略構成図である。
【図3】インフラ側システムによる障害物の検知領域を説明するための図である。
【図4】最遠検出距離Lcを説明するための説明図である。
【図5】図1の制御装置10における自動制動制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】スキャニング方式のレーザレーダを用いた場合の、自車両と、自車両前方障害物との位置関係を示す説明図である。
【図7】緊急時のドライバの操舵特性を表す特性図である。
【図8】タイヤスリップ角とタイヤ横力との関係を表す特性図である。
【図9】横移動量Yと操舵回避に要する所要時間Tyと車速との関係を表す特性図である。
【図10】第1の実施の形態の動作説明に供する、車両に印加される制動力の変化を表す図である。
【図11】第1の実施の形態におけるインフラ情報受信時の割り込み処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図12】カーブ半径Rに対する、最遠検出距離Lcの変化を表す説明図である。
【図13】第1の実施の形態の動作説明に供する、車両に印加される制動力の変化を表す図である。
【図14】第2の実施の形態におけるインフラ情報受信時の割り込み処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の動作説明に供する説明図である。
【符号の説明】
1 レーザレーダ
2 車速センサ
3 情報提示ディスプレイ
4 音声発生機
5 警報アラーム
8 車両側路車間通信機
10 制御装置
15 制動力制御装置
21 道路状況把握センサ
22 路側情報処理装置
24 道路側路車間通信機

Claims (13)

  1. 自車両前方の障害物を検出する障害物検出手段と、
    ブレーキペダルの操作とは独立に制動力を発生する制動力発生手段と、
    自車両の走行路前方の障害物の存在地点及び当該障害物の存在地点環境に関する情報を収集する障害物情報収集手段と、
    前記障害物情報収集手段で収集した障害物情報に基づき、前記障害物が直線道路にあるか又は前記障害物がカーブ路にあり且つ当該カーブ路において前記障害物検出手段が障害物を検出することの可能な最遠検出距離が、前記カーブ路の開始地点から前記障害物の存在地点までの道なりの距離以上であると判定されるとき、前記障害物検出手段による障害物検出の信頼性が高いと判断し、そうではないとき信頼性が低いと判断する信頼性判断手段と、
    当該信頼性判断手段で信頼性が高いと判断されるとき、前記障害物情報収集手段で収集した障害物情報及び自車速に基づいて、予め設定した大きさの車速低減制動力を発生させることにより、前記障害物の存在地点に達したときの自車速を、目標低減率を満足する車速にまで低減し得る制動開始地点を算出する制動開始地点算出手段と、
    前記信頼性判断手段で信頼性が低いと判断されるとき、前記障害物情報収集手段で収集した障害物情報及び自車速に基づいて、前記障害物の存在地点よりも前記最遠検出距離だけ手前の地点から制動力を発生させた状態で前記障害物の存在地点に達したときの自車速を、目標低減率を満足する車速にまで低減し得る低信頼性時の制動力を算出する制動力算出手段と、
    前記カーブ路のカーブ半径に基づき、当該カーブ路への適正進入速度を算出する適正進入速度算出手段と、
    前記制動力発生手段を制御し所望の大きさの制動力を発生させる制御手段と、を備え、
    当該制御手段は、前記信頼性判断手段で前記信頼性が高いと判断した場合は、前記障害物情報に基づき走行路前方に障害物があることを検出し且つ自車両が前記制動開始地点を通過しさらに前記障害物検出手段で障害物を検出した時点から前記車速低減制動力を発生させ、
    前記信頼性判断手段で前記信頼性が低いと判断した場合は、
    自車両が前記カーブ路の開始地点を通過した時の自車速が前記適正進入速度以下のときには、自車両が前記障害物の存在地点から前記最遠検出距離だけ手前の地点を通過し且つ前記障害物検出手段で障害物を検出した時点から、前記制動力算出手段で算出した低信頼性時の制動力を発生させ、
    自車両が前記カーブ路の開始地点を通過した時の自車速が前記適正進入速度を越えるときには、自車両が前記カーブ路の開始地点を通過した時点から、前記低信頼性時の制動力以下の制動力を発生させることを特徴とする車両用制動制御装置。
  2. 自車両前方の障害物を検出する障害物検出手段と、
    ブレーキペダルの操作とは独立に制動力を発生する制動力発生手段と、
    自車両の走行路前方の障害物の存在地点及び当該障害物の存在地点環境に関する情報を収集する障害物情報収集手段と、
    前記障害物情報収集手段で収集した障害物情報及び自車速に基づいて、前記障害物の存在地点に達したときの自車速を、目標低減率を満足する車速にまで低減し得る車速低減制動力及び当該車速低減制動力による制動開始地点を検出する制動条件検出手段と、
    前記制動力発生手段を制御し所望の大きさの制動力を発生させる制御手段と、を備え、
    当該制御手段は、前記障害物情報に基づき走行路前方に障害物があることを検出し且つ自車両が前記制動開始地点を通過しさらに前記障害物検出手段で障害物を検出した時点から、前記車速低減制動力を発生させる車両用制動制御装置であって、
    前記障害物情報は、前記障害物が縦勾配路に存在するときには当該勾配路の頂上地点及び勾配率を表す情報を含み、
    前記制動条件検出手段は、前記勾配路の頂上地点から障害物までの距離と、前記勾配率と、自車速とに基づいて、前記車速低減制動力及び前記制動開始地点を算出し、
    前記制御手段は、前記障害物情報に基づき障害物が下りの勾配路に存在することを検出し且つ自車両が前記制動開始地点を通過しさらに前記障害物検出手段で障害物を検出した時点から、前記車速低減制動力を発生させることを特徴とする車両用制動制御装置。
  3. 前記制動条件検出手段は、前記車速低減制動力を検出するときの自車速に基づいて当該車速低減制動力を検出し、
    前記制御手段は、前記下り勾配路の頂上を通過したときの自車速が、前記車速低減制動力検出時の自車速よりも大きいときには、自車両が前記下り勾配路の頂上を通過した時点から前記車速低減制動力を発生させることを特徴とする請求項2記載の車両用制動制御装置。
  4. 前記障害物検出手段による障害物検出の信頼性が高いとみなすことができるかどうかを判断する信頼性判断手段を備え、
    前記制御手段は、前記障害物情報に基づき走行路前方に障害物があることを検出し、且つ前記信頼性判断手段で前記障害物検出の信頼性が高いと判断されるときには、前記障害物検出手段で障害物を検出した時点から、所定の制動力を発生させることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両用制動制御装置。
  5. 前記信頼性判断手段は、前記障害物が下り勾配路に存在しないと判断されるとき、及び自車両が前記障害物と同じ下り勾配路に存在すると判断されるときに、信頼性が高いと判断することを特徴とする請求項記載の車両用制動制御装置。
  6. 前記障害物情報は、自車両の走行路前方の路面状況を表す路面状態情報を含み、
    前記目標低減率を、前記路面状態情報に応じて補正することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。
  7. 前記障害物検出手段は、前記障害物を検出すると共に自車両と障害物との相対関係を検出し、
    前記障害物検出手段で検出した相対関係に基づいて前記障害物を、操舵操作及び制動操作の何れにより回避可能であるかを判定する障害物回避判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記障害物回避判定手段で、前記操舵操作及び制動操作の何れか一方のみによって障害物を回避可能であると判定されたときには、前記車速低減制動力よりも大きな第2の制動力を発生させ、
    前記操舵操作及び制動操作共に障害物を回避不可能であると判定されたときには、前記第2の制動力よりも大きい第3の制動力を発生させることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。
  8. 前記障害物回避判定手段は、前記障害物を、操舵操作により回避可能であるかを判定する操舵回避判定手段及び制動操作により回避可能であるかを判定する制動回避判定手段を備え、
    前記操舵回避判定手段は、前記障害物検出手段で検出される相対関係に基づいて自車両が前記障害物を操舵により回避するために必要な横移動量を算出し、算出した必要横移動量だけ移動するのに要する操舵回避時間を算出すると共に、自車両が前記対象物と接触するまでの接触所要時間を算出し、前記操舵回避時間が前記接触所要時間よりも大きいとき、操舵操作による回避が不可能であると判定することを特徴とする請求項記載の車両用制動制御装置。
  9. 前記操舵回避判定手段は、前記横移動量を、自車両の進行方向に対して垂直方向における前記障害物のエッジ位置と、自車両との位置関係に基づいて検出することを特徴とする請求項記載の車両用制動制御装置。
  10. 前記操舵回避判定手段は、前記障害物のエッジ位置と自車両との位置関係に基づいて、前記障害物を左右何れの方向に回避可能であるかを検出し、左右何れの方向にも回避可能であるときの前記障害物を右方向に操舵して回避する場合の横移動量及び左方向に操舵して回避する場合の横移動量のうち何れか小さい方を、前記必要横移動量とすることを特徴とする請求項記載の車両用制動制御装置。
  11. 前記接触所要時間を、自車両の車両諸元に基づいて算出することを特徴とする請求項8から請求項10の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。
  12. 前記接触所要時間を、緊急時のドライバの操舵特性に基づいて算出することを特徴とする請求項8から請求項16の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。
  13. 前記第2の制動力は、徐々に増加するように設定され且つ前記制動力発生手段で発生する制動力が前記第2の制動力から前記第3の制動力に切り換わるときにこれらの偏差が予め設定したしきい値以下となるようにその増加割合が設定されることを特徴とする請求項7から請求項12の何れか1項に記載の車両用制動制御装置。
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