JP3890738B2 - 軟質重合体配合樹脂組成物 - Google Patents
軟質重合体配合樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は軟質重合体を配合した脂環式構造含有重合体樹脂組成物からなる精密電子部品用絶縁材料に関し、さらに詳しくは耐ソルベントクラック性、プレッシャー・クッカー(PCT)試験やヒートサイクル(TCT)試験における耐クラック性などに優れ、しかも、低誘電特性、耐熱性にも優れた精密電子部品用絶縁材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノルボルネン系重合体に代表される脂環式構造含有重合体樹脂は、優れた低誘電特性、耐熱性などのため各種用途に使用されているが、電子部品の絶縁材料として用いる場合は、メッキ等との密着性に劣り、PCT等への信頼性試験が充分でなく、また、耐ソルベントクラック性についても充分でないという欠点を有していた。
従来、密着性の改善では特開平5−148347号公報にノルボルネン系単量体とエチレンとの付加(共)重合体にアミノ基含有エチレン不飽和化合物をグラフト反応させる例が開示されている。しかしPCT等への長期信頼性は充分でなく、また、ソルベントクラックも充分でない。
応力緩和の改善では、脂環式構造含有重合体樹脂に軟質重合体成分を特定量配合して機械特性を向上させる検討が多くなされており、(1)特許2653707号には、0.8重量%無水マレイン酸変性したテトラシクロドデセン/エチレン付加共重合体(重合体全繰り返し構造単位あたり0.6%無水マレイン酸変性)にナイロンやエチレンプロピレンゴム(EPR)を混練した樹脂組成物を射出成形した成形物が、(2)特開平3−72558号公報には、エステル基を有するノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物にスチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系ゴムを混練した組成物がそれぞれ開示されている。このようにノルボルネン系樹脂にゴム成分などの軟質重合体を配合して耐衝撃性などの機械強度を改良する技術は従来から公知であるが、これらの処方は主として、外的な力が加わった場合の衝撃強度等を改良するものであり、電子部品に要求されるようなヒート・サイクル試験(TCT)やプレッシャー・クッカー試験(PCT)などの信頼性試験における耐クラック性や、さらには、フィルム等を形成した際の耐ソルベントクラック性の点では十分に満足のいく性能のものではなかった。
具体的には、前記(1)の方法では、ノルボルネン系重合体の極性基の導入率が十分でないために、耐ソルベントクラック性、TCTにおける耐クラック性が不十分であり、(2)の方法では、逆にノルボルネン系重合体の全繰り返し単位に極性基を有しているために、重合体の吸水率が大きく、PCTにおける耐クラック性、耐ソルベントクラック性が不十分であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低誘電特性、耐熱性に優れ、PCTやTCTなどの信頼性試験やソルベントに対する耐クラック性に優れる精密電子部品用絶縁材料を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定範囲の極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂に、軟質重合体成分を配合した樹脂組成物は、低誘電特性、耐熱性に優れ、さらにPCT,TCTなどの信頼性試験やソルベントに対する耐クラック性に優れており、電子部品の絶縁材料として好適な材料でもあることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
かくして、本発明によれば、下記(1)〜(5)が提供される。
(1)極性基を重合体全繰り返し構造単位当たり3〜50モル%含有する極性基含有脂環式構造含有重合体樹脂と、30℃以下のガラス転移温度を有する軟質重合体成分を含んでなる樹脂組成物からなる精密電子部品用絶縁材料。
(2)該樹脂組成物が、さらに硬化剤を含むものである(1)記載の精密電子部品用絶縁材料。
(3)軟質重合体成分が極性基を有するものである(1)または(2)のいずれかに記載の精密電子部品用絶縁材料。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を有機溶媒に溶解させてなる液組成物からなる電子部品の絶縁用ワニス。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる精密電子部品の絶縁用シート。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態について、項目に分けて説明する。
【0007】
(極性基含有脂環式構造含有重合体樹脂)
本発明においては、特定範囲の変性率で極性基を含有する脂環式構造含有重合体樹脂が用いられる。極性基の種類としてはメッキ等との密着性を改善し得るような極性基であれば特に限定はなく、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などを含有する極性基が挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子などが挙げられるが、密着性等の観点から、酸素原子や窒素原子が好ましい。このような極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられ、中でも密着性に優れ、後述の硬化剤と容易に硬化反応し、架橋密度が向上できる多官能の極性基としてカルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基が好ましい。
上記このような極性基を有する極性基含有脂環式構造含有重合体としては、例えば、(1)脂環式構造含有重合体に変性反応により極性基を導入した変性重合体、(2)極性基含有の繰り返し単位を有する脂環式構造含有重合体などが挙げられる。これらの中でも、(1)の脂環式構造構造含有重合体に変性反応により極性基を導入した変性重合体が、上記好ましい極性基を高い変性率で導入できるため好適である。
【0008】
本発明における、変性反応により極性基を導入する脂環式構造含有重合体樹脂としては、主鎖及び/または側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。重合体の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造を有するものが最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性、及び成形性の特性が高度にバランスされ好適である。
本発明に使用される脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%である。脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性に劣り好ましくない。脂環式構造含有重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択される。
かかる脂環式構造を有する重合体樹脂の具体例としては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役系ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物、環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物などが好ましく、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物がより好ましい。
【0009】
(1)ノルボルネン系重合体
ノルボルネン系重合体としては、格別な制限はなく、例えば、特開平3−14882号公報や特開平3−122137号公報などで開示される方法によってノルボルネン系モノマーを重合したものが用いられる。具体的には、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びその水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとビニル化合物の付加型重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性や誘電特性を高度にバランスさせる上で、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加型重合体、ノルボルネン系モノマーと共重合体可能なビニル化合物の付加型重合体などが好ましく、ノルボルネン系モノマーの開重合体水素添加物が特に好ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、トリシクロ[4.3.12,5.01,6]デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.12,5.01,6]ウンデカ−3,8−ジエン、トリシクロ[4.3.12,5.01,6]ウンデカ−3−エン、5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン; テトラシクロ[7.4.110,13.01,9.02,7]トリデカ−2,4,6,11−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.111,14.01,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)、ペンタシクロ[6.5.11,8.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−3,10−ジエン、ペンタシクロ[7.4.13,6.110,13.01,9.02,7]ペンタデカ−4,11−ジエン、シクロペンタジエンの4量体以上の付加物、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[6.5.12,5.01,6.08,13]トリデカ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[6.6.12,5.01,6.08,13]テトラデカ−3,8,10,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンともいう)などの極性基を有さないノルボルネン系モノマーが挙げられる。
ノルボルネン系モノマーとしては、また、極性基を有するものであってもよいが、前述(1)の脂環式構造含有重合体に変性反応により極性基を導入した変性重合体を製造するためには必須成分ではないが、(2)の極性基含有の繰り返し単位を有する脂環式構造含有重合体を製造するためには必須成分として用いられなければならない。極性基の種類としては、前述の極性基として、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子などが挙げられるが、接着性の観点から、酸素原子や窒素原子が好ましい。かかる極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
かかる極性基を有するノルボルネン系モノマーの具体例としては、例えば、5−メトキシ−カルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シアノ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン; 5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルプロピオネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エニル−2−メチルオクタネイト、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−i−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン; 5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸イミド、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシメチルテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エン、8−カルボキシテトラシクロ[4.4.12,5.17,10.0]−ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。ノルボルネン系重合体中のノルボルネン系モノマー結合量の割合は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上であるものが機械強度、耐熱性が高度にバランスされ好適である。
【0010】
共重合可能なビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン類;などが挙げられる。これらのビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ノルボルネン系モノマーまたはノルボルネン系モノマーと共重合可能なビニル系化合物との重合方法及び水素添加方法は、格別な制限はなく公知の方法に従って行うことができる。
ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体は、ノルボルネン系モノマーを、開環重合触媒として、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金などの金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系、あるいは、チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒系を用いて、溶媒中または無溶媒で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2 の重合圧力で開環(共)重合させることにより得ることができる。触媒系に、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などの第三成分を加えて、重合活性や開環重合の選択性を高めることができる。
水素添加ノルボルネン系重合体は、常法に従って、開環(共)重合体を水素添加触媒の存在下に水素により水素化する方法により得ることができる。
ノルボルネン系モノマーとビニル系化合物との付加共重合体は、例えば、モノマー成分を、溶媒中または無溶媒で、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系の存在下で、通常、−50℃〜100℃の重合温度、0〜50kg/cm2の重合圧力で共重合させる方法により得ることができる。
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、特開昭64−66216号公報に開示されているシクロロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、特開平6−136057号公報や特開平7−258318号公報に開示されているシクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素添加物などを用いることができる。
(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体
ビニル系環状炭化水素系重合体としては、例えば、特開昭51−59989号公報に開示されているビニルシクロヘキセンやビニルシクロヘキサンなどのビニル系環状炭化水素系単量体の重合体及びその水素添加物、特開昭63−43910号公報や特開昭64−1706号公報などに開示されているスチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体及びその水素添加物などを用いることができる。
【0011】
上記脂環式構造含有重合体樹脂への極性基の導入方法としては、例えば、(1)前記ノルボルネン系モノマーの中で、極性基を有しないモノマーを重合して得られる未変性重合体に、極性基を有する化合物を反応(変性反応)させる方法、(2)前述の極性基を有しないノルボルネン系モノマーと極性基を有するノルボルネン系モノマーとを共重合する方法などが挙げられるが、該極性基含有重合体をその後に、後述する硬化剤を用いて硬化させる場合に、好ましい硬化剤(熱によりイオン架橋反応をし得る硬化剤)と容易に反応し、且つ架橋密度を向上できる観点から好ましい極性基を高変性率で導入し易い方法としては、(1)の方法が好ましい。
後変性により極性基を導入した極性基含有脂環式構造含有重合体樹脂は、脂環式構造含有重合体樹脂に、極性基を有する化合物を反応させたものであれば特に限定はなく、極性基の種類としては、前記同様に、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子などが挙げられるが、相溶性の観点から、酸素原子や窒素原子が好ましい。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、カルボニルオキシカルボニル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられ、中でも後述の硬化剤と容易に硬化反応し、架橋密度が向上できる多官能の極性基としてカルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基が好ましい。
【0012】
後変性反応による極性基の導入方法としては、格別な制限はなく常法変性反応を行ったものが用いられる。具体的には、脂環式構造含有重合体樹脂の塩素化物、クロロスルフォン化物、極性基含有不飽和化合物のグラフト変性物などが挙げられ、好ましくは極性含有不飽和化合物のグラフト変性物である。
極性基含有不飽和化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリジルメタクリレート、p−スチリルカルボン酸グリシジル、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、o−アリルフェノールのグリシジルエーテル、m−アリルフェノールのグリシジルエーテル、p−アリルフェノールのグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、メチル−エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸化合物;無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水シトラコン酸などの不飽和無水カルボン酸化合物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどの不飽和エステル化合物;アリルアルコール、2−アリル−6−メトキシフェノール、4−アリロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、3−アリロキシ−1,2−プロパンジオール、2−アリルシフェノール、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オールなどの不飽和アルコール化合物;クロロジメチルビニルシラン、トリメチルシリルアセチレン、5−トリメチルシリル−1,3−シクロペンタジエン、3−トリメチルシリルアリルアルコール、トリメチルシリルメタクリレート、1−トリメチルシリロキシ−1,3−ブタジエン、1−トリメチルシリロキシ−シクロペンテン、2−トリメチルシリロキシエチルメタクリレート、2−トリメチルシリロキシフラン、2−トリメチルシリロキシプロペン、アリロキシ−t−ブチルジメチルシラン、アリロキシトリメチルシランなどの不飽和シラン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、不飽和エポキシ化合物や不飽和無水カルボン酸化合物が、後述の硬化剤との反応性において好適である。
極性基含有不飽和化合物を効率よくグラフト共重合させるためには、通常ラジカル開始剤の存在下に反応を実施することが好ましい。
ラジカル開始剤としては、例えば、有機ペルオキシド、有機ペルエステルなどが好ましく使用される。このようなラジカル開始剤の具体的な例としては、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン−3,1,4−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルベルフェニルアセテート、tert−ブチルペルイソブチレ−ト、tert−ブチルペル−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピパレート、クミルペルピパレート及びtert−ブチルペルジエチルアセテートを挙げることができる。
【0013】
極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂中の極性基の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、重合体全繰り返し単位当り、通常3〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは5〜30モル%の範囲であるときに、TCTやPCTにおける耐クラック性、耐ソルベントクラック性に優れ好適である。
また上記極性基の割合は、前述(1)の変性反応の場合には、極性基含有不飽和化合物の変性による導入率により、(2)の場合には共重合する極性基含有モノマーの共重合の割合により、適宜コントロールすることができる。
本発明で使用される極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムなどから樹脂が溶解する溶媒を任意に選択すればよい。)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算の数平均分子量で、1,000〜1,000,000、好ましくは2,000〜800,000、より好ましくは5,000〜500,000、特に好ましくは8,000〜400,000の範囲であるときに、TCT,PCTにおける耐クラック性、耐ソルベントクラック性に優れ好適である。
本発明で用いられる極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜400℃、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃であるときにTCT,PCTにおける耐クラック性、耐ソルベントクラック性に優れ好適である。
【0014】
(軟質重合体成分)
本発明に用いられる軟質重合体成分とは、極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂に配合した場合に、TCT,PCTにおける耐クラック性、耐ソルベントクラック性を付与し得る軟質重合体成分であれば特に限定はないが、具体的には30℃以下のガラス転移温度を有する重合体のことをいい、例えば、室温で一定の応力によって容易に変形し、該応力を除去すると原形に回復するような性質、即ちゴム状弾性を有するような無定形(非晶性)ドメインを有する軟質重合体である。Tgが複数存在する重合体やTgと融点(Tm)の両方を有する重合体の場合にも、最も低いTgが30℃以下であれば、該軟質重合体に含まれる。
【0015】
このような軟質重合体としては、(a)エチレンや、プロピレンなどのα−オレフィンから主としてなるオレフィン系軟質重合体、(b)イソブチレンから主としてなるイソブチレン系軟質重合体、(c)ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエンから主としてなるジエン系軟質重合体、(d)ノルボルネン、シクロペンテンなどの環状オレフィンから主としてなる環状オレフィン系開環重合体、(e)けい素−酸素結合を骨格とする軟質重合体(有機ポリシロキサン)、(f)α,β−不飽和酸とその誘導体から主としてなる軟質重合体、(g)不飽和アルコールおよびアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールから主としてなる軟質重合体、(h)エポキシ化合物の重合体、(i)その他の軟質重合体、などが挙げられる。
これらの軟質重合体の具体例としては、例えば、(a)としては、液状ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−デセンなどの単独重合体; エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)、エチレン・環状オレフィン共重合体およびエチレン・プロピレン・スチレン共重合体などの共重合体が挙げられる。(b)としては、ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などが挙げられる。(c)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレンなどの共役ジエンの単独重合体; ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体の水素添加物、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体などの共役ジエンのランダム共重合体; ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などの共役ジエンと芳香族ビニル系炭化水素のブロック共重合体、およびこれらブロック共重合体の水素添加物などが挙げられる。(d)としては、ノルボルネン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどのノルボルネン系モノマー、またはシクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィンのメタセシス開環重合体およびその水素添加物が挙げられる。(e)としては、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、などのシリコーンゴムなどが挙げられる。(f)としては、ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリルなどのアクリルモノマーの単独重合体; ブチルアクリレート・スチレン共重合体などのアクリルモノマーとその他のモノマーとの共重合体が挙げられる。(g)としては、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニルなどの(エステル化)不飽和アルコールの単独重合体; 酢酸ビニル・スチレン共重合体などの(エステル化)不飽和アルコールとその他のモノマーとの共重合体などが挙げられる。(h)としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロロヒドリンゴム、などが挙げられる。(i)としては、天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、などが挙げられる。
これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性により官能基を導入したものであってもよい。
【0016】
さらに、上記軟質重合体の中でも(a)、(b)、(c)の軟質重合体が、特にゴム弾性に優れ、機械強度、柔軟性に優れるため好ましい。なかでも、これら(a)、(b)、(c)に該当する軟質重合体であって、さらに重合体繰り返し単位中に芳香族ビニル系単量体を有する軟質重合体が、耐熱性、相溶性に優れるためにより好ましく、このような軟質重合体の具体例としては、例えば、エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、イソブチレン・スチレン共重合体などのランダム共重合体および該共重合体の水素添加物; ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などのブロック共重合体および該共重合体の水素添加物; などが挙げられる。さらにこの中でも、耐熱性、耐候性の点で、主鎖に二重結合を全く含まないか、少量しか含んでいない重合体(上記重合体の水素添加物)が最も好ましい。
【0017】
上記これらの軟質重合体は、極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂との相溶性を向上させ、ミクロ分散することによってTCT,PCTにおける耐クラック性、耐ソルベントクラック性をより向上させるために、さらに極性基を有しているものが好ましい。極性基の種類は特に限定はされないが、極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂中にミクロ分散する際に形成されたミクロドメイン界面における密着性を向上させ得る極性基が好ましく、本発明の極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂が有している極性基と、化学結合、水素結合などの相互作用を形成し得る極性基が最も好ましい。
極性基の具体例としては、例えば、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、カルボニルオキシカルボニル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。これらの極性基は、本発明で用いられる極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂の極性基に応じて、選択することができるが、強固な相互作用を形成する極性基としては、カルボキシル基およびカルボニルオキシカルボニル基が好ましい。
このような極性基を有する軟質重合体の具体例としては、例えば、上記ブタジエン・スチレンブロック共重合体水素添加物、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体水素添加物、イソプレン・スチレンブロック共重合体水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体水素添加物、ブタジエン・スチレンランダム共重合体水素添加物、イソプレン・スチレンランダム共重合体水素添加物などのマレイン酸変性物が挙げられる。なかでも、マレイン酸変性ブタジエン・スチレンブロック共重合体水素添加物、マレイン酸変性スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体水素添加物、マレイン酸変性イソプレン・スチレンブロック共重合体水素添加物、マレイン酸変性スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体水素添加物が特に好ましい。
【0018】
本発明で用いられる上記極性基を有する軟質重合体の極性基含有量は、通常、軟質重合体の繰り返し構造単為あたり0.1%〜100%が好ましく、0.2%〜50%がより好ましく、0.3%〜20%が特に好ましい。
本発明で用いられる軟質重合体(極性基を有する軟質重合体を含む)の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量で、1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲にあるときに機械強度、柔軟性に優れ、好適である。
本発明における軟質重合体の配合量は、極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部の範囲であるときに、耐クラック性、耐ソルベントクラック性に優れ好適である。
【0019】
(硬化剤)
本発明における脂環式構造含有重合体樹脂は耐クラック性、耐ソルベントクラック性、耐熱性、耐溶剤性をさらに向上させるために、硬化剤を配合するのが好ましい。硬化剤の種類としては、(1)有機過酸化物などの熱や光によりラジカルを発生する硬化剤、(2)熱や光によりイオンを生成する硬化剤が挙げられるが、架橋密度が向上し、前記耐クラック性、耐ソルベントクラック性、耐熱性、耐溶剤性も向上させることができ、且つ、より低温硬化が可能な硬化剤としては、(2)の熱や光によりイオンを生成する硬化剤が好ましい。
硬化剤の具体例としては、例えば、(1)の有機過酸化物などの熱や光によりラジカルを発生する硬化剤としてメチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、オクタノイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、ペルオキシジカーボネートなどの有機過酸化物が挙げられる。
(2)の熱や光によりイオンを生成する硬化剤として、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミン;ジアミノシクロヘキサン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカン;1,3−(ジアミノメチル)シクロヘキサン、メンセンジアミン、イソホロンジアミンN−アミノエチルピペラジン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ポリアミン;4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、メタフェニレンジアミン、メタキシシリレンジアミンなどの芳香族ポリアミン;4,4′−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4′−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)−4−メチル−シクロヘキサノン、4,4′−ジアジドジフェニルスルホン、4,4′−ジアジドジフェニルメタン、2,2′−ジアジドスチルベンなどのビスアジド;無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの酸無水物;フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸などのジカルボン酸;1,3′−ブタンジオール、1,4′−ブタンジール、ヒドロキノンジヒドロキシジエチルエーテル、トリシクロデカンジメタノール、1,1,1−トリメチロールプロパン等のポリオール;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などの多価フェノール;ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−612、ナイロン−12、ナイロン−46、メトキシメチル化ポリアミド、ポリヘキサメチレンジアミンテレフタルアミド、ポリヘキサメチレンイソフタルアミドなどのポリアミド;ヘキサメチレンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどのジイソシアネート;などが挙げられる。
これらの硬化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化剤の配合割合は、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部の範囲である。
【0020】
本発明においては、脂環式構造含有重合体樹脂と硬化剤とを含む樹脂組成物の硬化性をさらに高めるために、硬化促進剤や硬化助剤を使用することができる。硬化促進剤としては、例えば、ピリジン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、ジメチルホルムアミド、イミダゾールなどのアミン類;などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化促進剤の配合割合は、環構造含有重合体100重量部に対して、通常0.1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部の範囲である。
【0021】
硬化助剤としては、特に限定されるものではないが、特開昭62−34924号公報等に開示されている公知のものでよく、例えば、キノンジオキシム、ベンゾキノンジオキシム、p−ニトロソフェノール等のオキシム・ニトロソ系硬化助剤;N,N−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系硬化助剤;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系硬化助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のメタクリレート系硬化助剤;ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどのビニル系硬化助剤;等が例示される。
これらの硬化助剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。硬化助剤の配合割合は、硬化剤100重量部に対して、通常1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部の範囲である。
【0022】
(配合剤)
該脂環式構造含有重合体樹脂は、場合によっては、有機または無機の充填剤を配合することによって、機械強度をさらに補強することができる。有機または無機の充填剤としては、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドワマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリシロキサン粒子、ポリシルセキオキサン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリカーボネート粒子、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などを例示できる。
【0023】
(絶縁材料)
上記の樹脂組成物は、精密電子部品の絶縁材料として有用である。樹脂組成物の絶縁材料としての使用形態は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、液組成物(ワニス)やシートの形状で用いるのが好適である。
(1)絶縁材料の使用形態としてはワニスを基板上にコーティングして、溶媒除去によって膜を形成して使用する方法、(2)シートの形態で使用する方法が挙げられる。
(1)の場合には、例えばガラスエポキシ基板、セラミック基板、シリコンウェハ基板などの配線形成された基板上に前記ワニスをスピンコーターやロールコーター等を用いて塗布し、溶媒除去によって絶縁塗膜を形成する。
(2)の場合には、(1)で用いたものと同様の基板上に、前記シートを加熱溶融圧着したり、接着剤を用いて接着することによって絶縁膜を形成する。
【0024】
(ワニス)
本発明のワニスは、前記樹脂組成物を有機溶媒に溶解または分散させて調製される。有機溶媒としては、成分を溶解または分散させるものであれば格別な限定はないが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素;n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;クロロベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;メチルエチルケトン、2−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;エーテル類;アルコール類;等が挙げられる。これらの有機溶媒のは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。有機溶媒の使用量は、脂環式構造含有重合体樹脂、および必要に応じて含有されるその他の成分を溶解ないしは分散するに足りる量比であればよいが、通常固形分濃度が1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%になる範囲で用いられる。
【0025】
(シート)
シートの成形方法としては、常法に従えばよく、例えば、上記本発明のワニスを鏡面処理した金属板や樹脂製のキャリアフィルム等の平滑面に塗布した後溶媒を乾燥させる方法、または、前記本発明の樹脂組成物を溶融押出する方法などが選択される。本発明のシートの厚みは、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜100μmの範囲であるときに、接着性と長期信頼性が高度にバランスされ、好適である。
【0026】
【実施例】
以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
(1)ガラス移転温度は、示差走査熱量法(DSC法)により測定した。
(2)分子量は、特に断りのない限り、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。
(3)共重合比率は、1H−NMRにより測定した。
(4)エポキシ基含有率は、1H−NMRにより測定した。
(5)カルボキシ基含有率は、1H−NMRにより測定した。
(6)プレッシャークッカー試験PCT(160℃×20時間、4気圧)にかけ、高温下での信頼性を評価した。(工程中で変形、クラック等の発生したものは信頼性試験で不良となるため、その不良率を測定した。)
(7)温度サイクル試験(TCT)は−55℃(30min)〜室温(5min)〜160℃(30min)〜室温(5min)の温度サイクルを500回繰り返すことで温度衝撃を加え、クラック発生の有無を調べた。(工程中で変形、微細クラック等の発生したものは信頼性試験でクラックが増大して不良となるため、その不良率を測定した。)
【0027】
[合成例1]
窒素で置換した1リットルのフラスコに、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(すなわち、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン;以下、ETDと略す)5g、トルエン120gを加え、重合触媒として、トリイソブチルアルミニウム0.287mmolとイソブチルアルコール0.287mmol、分子量調整剤として1−ヘキセン3.83mmolを添加した。ここに、六塩化タングステン0.057mmolを添加し、40℃で5分間撹拌した。その後、ETD45gと、六塩化タングステン0.086mmolを約30分間で連続的に系内に滴下し、滴下終了後、さらに30分間撹拌して重合を終了した。
この重合反応液を1リットルのオートクレーブに移し、トルエン160gを加え、さらに、ニッケルアセチルアセトナート0.5gとトリイソブチルアルミニウムの30重量%トルエン溶液5.15gを混合したものを加え、反応器内を水素置換した後、撹拌しながら80℃に昇温した。温度が安定した所で水素圧力を30kg/cm2に昇圧し反応過程で消費される水素を補充しながら3時間反応させた。次いで、4.2gの水と、活性アルミナ(表面積320cm2/g、細孔容量0.8cm3/g、平均粒径15μm、水澤化学製、ネオビードD粉末)を2.5gを加え、80℃にて1時間撹拌した後、固形分をろ過して除去した水素添加反応液を、3リットルのイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、ろ別して回収した。回収した樹脂を100℃、1Torr以下で48時間乾燥させた。 得られたポリマーの物性は、水素化率≧99%、Tg=138℃、Mn=18,500、Mw=31,600であった。
【0028】
[合成例2]
(変性ポリマー(A)の合成)
合成例1で得られた未変性ポリマー100重量部に対して、無水マレイン酸18重量部、ジクミルパーオキシド0.05重量部、tert−ブチルベンゼン200重量部を混合し、オートクレーブ中にて135℃、2時間反応を行った後、多量のイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、ろ別して回収した。回収した樹脂を100℃、1Torr以下で48時間乾燥させ、無水マレイン酸変性ポリマー(A)105重量部を得た。
得られた変性ポリマー(A)の物性は、Tg=150℃、Mn=22,100、Mw=49,500、変性ポリマー中の無水マレイン酸変性率は1H−NMR測定にて26モル%であった。
【0029】
[合成例3]
(変性ポリマー(B)の合成)
合成例1で得られた未変性ポリマー100重量部に対して、アリルグリシジルエーテル18重量部、ジクミルパーオキシド0.04重量部、tert−ブチルベンゼン200重量部を混合し、オートクレーブ中にて135℃、2時間反応を行った後、多量のイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、ろ別して回収した。回収した樹脂を100℃、1Torr以下で48時間乾燥させ、アリルグリシジルエーテル変性ポリマー(B)を101重量部得た。
得られた変性ポリマー(B)の物性は、Tg=147℃、Mn=18,300、Mw=46,100、変性ポリマー中のアリルグリシジルエーテル変性率は1H−NMR測定にて15モル%であった。
【0030】
[合成例4]
(変性ポリマー(C)の合成)
合成例1で得られた未変性ポリマー100重量部に対して、無水マレイン酸3.5重量部、ジクミルパーオキシド0.01重量部、tert−ブチルベンゼン200重量部を混合し、オートクレーブ中にて135℃、2時間反応を行った後、多量のイソプロピルアルコール中に注いで析出させ、ろ別して回収した。回収した樹脂を100℃、1Torr以下で48時間乾燥させ、無水マレイン酸変性ポリマー(C)を100重量部得た。
得られた変性ポリマー(C)の物性は、Tg=139℃、Mn=19,200、Mw=38,400、変性ポリマー中の無水マレイン酸変性率は1H−NMR測定にて5モル%であった。
【0031】
[合成例5]
(変性ポリマー(D)の合成)
特開平3−45612号公報に記載されている公知の方法によって、ノルボルネン(NB)とエチレンの付加共重合体(NB組成52モル%、Mn=68,200、Mw=140,100、Tg=154℃)を得た。
得られたノルボルネン/エチレン共重合体30重量部、5,6−エポキシ−1−ヘキセン10重量部及びジクミルパーオキシド2重量部をt−ブチルベンゼン130重量部に溶解し、140℃で6時間反応を行った。得られた反応生成物溶液を300重量部のメタノール中に注ぎ、反応生成物を凝固させた。凝固したエポキシ変性重合体を100℃で20時間真空乾燥し、エポキシ変性重合体を29重量部を得た。この変性ポリマー(D)の分子量は、Mn=72,400、Mw=152,300でTgは155℃であった。この樹脂の1H−NMRにて測定した無水マレイン酸変性率は、ポリマーの繰り返し構造単位当たりで0.5モル%であった。
【0032】
[合成例6]
(極性基含有ポリマー(E)の合成)
特開平3−72558号公報に記載されている公知の方法によって、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.13,5,17,10]−3−ドデセンの開環重合体水素添加物を得た。このポリマー(E)の分子量は、Mn=8,900、Mw=24,100で、Tgは168℃であった。
【0033】
[実施例1]
合成例2で得られた無水マレイン酸変性ポリマー(A)35重量部と軟質重合体としてマレイン酸変性スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体水素添加物(マレイン化SEBS:マレイン酸変性率1.3%)3.5重量部をキシレン52重量部とシクロヘキサノン13重量部の混合溶媒に溶解し、硬化剤としてα,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンを、3.5重量部になるように添加して均一に溶解させた後、0.22ミクロンのテフロンフィルターを用いて濾過して均一の溶液を得た。
得られたポリマー溶液を、スピンコーターを用いて配線形成された0.6mmガラスエポキシ4層多層基板上に塗布し、110℃、20分間、さらに150℃、10分加熱して溶媒を乾燥、除去した後、250℃、3時間ポリマーを完全硬化させて60ミクロンの塗膜を形成した。この形成された膜の、誘電率、誘電正接はともに良好な値を示した。
この基板にトルエンの液滴を滴下したところ、クラックの発生はみられなかった。さらに、PCT試験、ヒートサイクル試験における不良率はいずれも0%であった。
【0034】
[実施例2]
得られたアリルグリシジルエーテル変性ポリマー(B)35重量部と軟質重合体としてマレイン化SEBS3.5重量部をキシレン52重量部とシクロヘキサノン13重量部の混合溶媒に溶解し、硬化剤としてα,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンを、3.5重量部になるように添加して均一に溶解させた後、0.22ミクロンのテフロンフィルターを用いて濾過して均一の溶液を得た。
得られたポリマー溶液を、スピンコーターを用いて配線形成された0.6mmガラスエポキシ4層多層基板上に塗布し、110℃、20分間、さらに150℃、10分加熱して溶媒を乾燥、除去した後、250℃、3時間ポリマーを完全硬化させて60ミクロンの塗膜を形成した。この形成された膜の、誘電率、誘電正接はともに良好な値を示した。
この基板にトルエンの液滴を滴下したところ、クラックの発生はみられなかった。さらに、PCT試験、ヒートサイクル試験における不良率はいずれも0%であった。
【0035】
[実施例3]
得られた無水マレイン酸変性ポリマー(A)35重量部と軟質重合体としてマレイン酸変性スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体水素添加物(マレイン化SEBS)3.5重量部をキシレン52重量部とシクロヘキサノン13重量部の混合溶媒に溶解し、硬化剤としてα,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンを、1.0重量部になるように添加して均一に溶解させた後、0.22ミクロンのテフロンフィルターを用いて濾過して均一の溶液を得た。
得られたポリマー溶液を、スピンコーターを用いて配線形成された0.6mmガラスエポキシ4層多層基板上に塗布し、110℃、20分間、さらに150℃、10分加熱して溶媒を乾燥、除去した後、250℃、3時間ポリマーを完全硬化させて60ミクロンの塗膜を形成した。この形成された膜の、誘電率、誘電正接はともに良好な値を示した。
この基板にトルエンの液滴を滴下したところ、クラックの発生はみられなかった。さらに、PCT試験、ヒートサイクル試験における不良率はいずれも0%であった。
【0036】
[比較例1]
マレイン化SEBSを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、ガラスエポキシ基板上に60ミクロンの塗膜を形成した。
この基板にトルエンの液滴を滴下したところ、無数のクラックが発生した。PCT試験、ヒートサイクル試験でも多数のクラックが発生した。
【0037】
[比較例2]
変性ポリマー(A)に代えて合成例5の変性ポリマー(D)を用いた以外は、実施例1と同様にして、キシレンとシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解させたところ、溶液は二層に分離した。ガラスエポキシ基板上に塗布したところ、重合体とマレイン化SEBSが分離し、重合体部分に無数のクラックが発生した。
【0038】
[比較例3]
変性ポリマー(A)に代えて合成例6の極性基含有ポリマー(E)を用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラスエポキシ基板上に60ミクロンの塗膜を形成した。
この基板にトルエンの液滴を滴下したところ、無数のクラックが発生した。PCT試験でも多数のクラックが発生した。
【0039】
以上、実施例1〜3、比較例1〜3の結果により、軟質重合体成分を配合しなかった場合や、極性基の含有量が適当な範囲にない場合は、耐クラック性、耐ソルベントクラックが著しく低下するのに比較して、本発明で用いる樹脂組成物は、耐クラック性、耐ソルベントクラック性が高度にバランスされて好適である。
【発明の効果】
本発明によれば、耐ソルベントクラック性、プレッシャー・クッカー試験、ヒートサイクル試験に対する耐クラック性に優れた樹脂組成物からなる精密電子部品用絶縁材料が提供される。
Claims (5)
- 極性基を重合体全繰り返し構造単位当たり3〜50モル%含有する極性基含有脂環式構造含有重合体樹脂と、30℃以下のガラス転移温度を有する軟質重合体成分を含んでなる樹脂組成物からなる精密電子部品用絶縁材料。
- 該樹脂組成物が、さらに硬化剤を含むものである請求項1記載の精密電子部品用絶縁材料。
- 軟質重合体成分が極性基を有するものである請求項1または2のいずれかに記載の精密電子部品用絶縁材料。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を有機溶媒に溶解させてなる液組成物からなる精密電子部品の絶縁用ワニス。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を成形してなる精密電子部品の絶縁用シート。
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