JP3885227B2 - 非水系二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素材料を活物質とする負極を備えた非水系二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯用無線電話、携帯用パソコン、携帯用ビデオカメラ等の電子機器が開発され、各種電子機器が携帯可能な程度に小型化されている。それに伴って、内蔵される電池としても、高エネルギー密度を有し、かつ軽量なものが採用されている。そのような要求を満たす典型的な電池は、正極活物質にLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等のリチウム含有遷移金属複合酸化物を使用し、負極活物質にリチウム金属、リチウム合金、またはリチウムイオンをホスト物質(ここでホスト物質とは、リチウムイオンを吸蔵及び放出できる物質をいう)である炭素質材料に吸蔵させたリチウムインターカレーション化合物を負極材料とし、LiClO4、LiPF6等のリチウム塩を溶解した非プロトン性の有機溶媒を電解液とする非水電解質二次電池である。
【0003】
このような携帯機器用の非水系二次電池には、小型化・薄型化のため、平面上に巻回された発電要素が用いられている。また、電池容器も小型軽量化・薄型化が進められている。
【0004】
一方、非水系二次電池を据置型電源や移動体用電源に利用するためには、大容量電池とする必要があり、単電池の放電容量が10Ah以上である大型非水系二次電池の開発も進められている。大型非水系二次電池では、正極板、セパレータ(隔離体)、負極板を、正極板−セパレータ−負極板−セパレータの順に巻回した円形や長円形の巻開型または平板状に積層した積層型の発電要素を形成している。この発電要素を鉄やアルミニウムの合金からなる金属缶ケースに挿入することにより電池が作製されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
正極活物質にリチウム遷移金属複合酸化物、負極活物質に炭素質材料を用いた非水系二次電池は、エネルギー密度は非常に大きいが、充放電サイクル特性が劣るという問題があった。その原因が、正極活物質である活性の高いリチウム遷移金属複合酸化物の表面での電解液の分解が考えられ、この正極表面での電解液の分解を防止する方法として、特開平8−236114号に、正極表面に、BeO、MgO、CaO、SrOなどの酸化物からなる被膜を形成することが提案されている。この方法により、充放電サイクル特性は一定改善された。
【0006】
しかし、上記非水系二次電池においては、電解液は炭素質材料の表面においても分解し、特に炭素質材料として黒鉛を用いた場合には、電解液はより分解しやすくなる。そして、電解液の分解に伴い、電池内部では局部的に温度が上昇し、セパレータの融点以上になるとセパレータが溶解し、セパレータが破膜して、電池内では正極と負極とが短絡し、電池が充電状態の場合には熱暴走を引き起こすという問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、電池の熱暴走を抑制することにより、安全性の高い非水系二次電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、正極と、炭素材料を活物質とする負極とを備えた非水系二次電池において、前記負極表面に酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層が形成されているか、または前記負極表面および正極表面に酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層が形成され、前記酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層の厚みが1〜30μmの範囲にあることを特徴とする非水系二次電池。
【0009】
請求項1の発明によれば、電解液の分解などで電池内部の温度が上昇し、セパレータが溶解した場合でも、正極と負極の短絡を防止することができ、安全性に優れた非水系二次電池を得ることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の非水系二次電池において、負極表面または正極表面に形成された酸化マグネシウムを含む層がシャットダウン機能をもつ物質を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明によれば、電池内部の温度が上昇した場合、シャットダウン機能をもつ物質が溶解することにより、酸化マグネシウムを含む層による短絡防止作用を高めることができ、より安全性に優れた非水系二次電池を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、詳細に説明する。
【0017】
本発明は、炭素材料を活物質とする負極とを備えた非水系二次電池において、負極表面に酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層が形成されているか、または前記負極表面および正極表面に酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層が形成され、前記酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層の厚みが1〜30μmの範囲にあることを特徴とするものである。
【0018】
負極活物質に炭素材料を使用した非水系二次電池においては、炭素質材料の表面において電解液が分解し、特に炭素質材料として黒鉛を用いた場合には、電解液はより分解しやすくなる。そして、電解液の分解に伴い、電池内部では局部的に温度が上昇し、セパレータの融点以上の温度に達するとセパレータが溶解する。
【0019】
そして、シャットダウン機能をもたないセパレータの場合には、セパレータが破れて、正極と負極とが短絡するようになる。また、シャットダウン機能をもつセパレータの場合には、一旦セパレータの微細孔が閉塞するため、短絡は防止できるが、セパレータの融点以上の温度に長くおかれると、ついにはセパレータが部分的に収縮して破れ、この場合にも正極と負極とが短絡する。
【0020】
なお、ここで「シャットダウン機能」とは、電池温度が異常に上昇した(例えば120℃以上)とき、セパレータが熱収縮してイオンの通路である孔を塞ぎ、それ以降の短絡電流の流れを止め、発熱を抑える機能をいう。
【0021】
セパレータが破れて、正極と負極とが短絡した場合、大電流が流れ、さらに電池温度が上昇し、さらなる電解液の分解等を引き起こし、ついには熱暴走を引き起こし、電池が危険な状態に陥る可能性がある。特に、電池が充電状態の場合には、短絡によって大電流が流れやすい。
【0022】
本発明は、負極表面に酸化マグネシウムを含む層を形成することにより、負極活物質である炭素材料と電解液の接触面積を少なくして、さらに、電池内部の電解液量をできるだけ少なくすることにより、電解液の分解を抑制し、さらに、電池内部が高温になってセパレータの破れが発生した場合でも、酸化マグネシウムによって正極と負極の短絡を防止することができ、安全性に優れた非水系二次電池を得ることができる。なお、酸化マグネシウムは非水系二次電池内部では電池反応にまったく関与せず、きわめて安定な化合物である。
【0023】
本発明に使用する酸化マグネシウムとしては、純度99.9%以上のもので、平均粒子径が5〜50μmの範囲のものが好ましく、特に10〜30μmの範囲のものがより好ましい。酸化マグネシウムの平均粒子径が1μmより小さい場合には、粒子同士が詰まりすぎて、酸化マグネシウム層の多孔度が小さくなり、逆に抵抗層となっていまう。
【0024】
負極板の表面に酸化マグネシウムを含む層を設ける方法としては、塗布形成方法が最も一般的である。この塗布形成方法は、酸化マグネシウムと結着剤とを混合し、これに適当な溶媒を加えてペースト状とし、このペーストを負極表面に塗布し、乾燥するという方法であり、本発明においてもこの方法を用いることができる。その他の方法としては、CVD(Chemical Vaper Deposition)法、蒸着法、スパッタリング法なども採用することができる。
【0025】
塗布形成方法に使用する結着剤としては、薄膜化が可能という点から、特にゴム系のスチレン−ブタジエン共重合体を使用する。
【0026】
負極表面に形成された酸化マグネシウムを含む層において、酸化マグネシウムと結着剤との混合比としては、酸化マグネシウムと結着剤の合計重量に対する酸化マグネシウの含有量を70〜100wt%とすることが好ましい。酸化マグネシウの含有量が70wt%よりも小さい場合には、密着性および機械的強度が弱くなり、短絡防止効果が小さくなる。
【0027】
また、酸化マグネシウムを含む層の厚みとしては1〜30μmの範囲とする。厚みが1μm以下では、短絡防止効果がなく、また、30μmよりも大きくなると、電池の内部抵抗が大きくなって、高率放電特性が低下するためである。
【0028】
なお、負極表面に形成された酸化マグネシウムを含む層には、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウムなどの、酸化マグネシウム以外の電池内部で安定な酸化物を混入してもよい。
【0029】
また、本発明は、上記非水系二次電池において、負極表面に形成された酸化マグネシウムを含む層がシャットダウン機能をもつ物質を含ませることにより、電池内部の温度が上昇した場合、シャットダウン機能をもつ物質が溶解し、酸化マグネシウム粒子間をシャットダウン機能をもつ物質で結合することにより、酸化マグネシウムを含む層の短絡防止作用を高めることができ、より安全性に優れた非水系二次電池を得ることができる。
【0030】
ここでシャットダウン機能をもつ物質としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを使用し、これらのポリオレフィンは単独でも、また2種類以上混合して使用してもよい。
【0031】
また、酸化マグネシウムを含む層中のシャットダウン機能をもつ物質の量としては、酸化マグネシウムと結着剤とシャットダウン機能をもつ物質の合計重量に対し1〜50wt%とすることが好ましい。1wt%より小さい場合はシャットダウン機能が有効に働かず、また、50wt%より大きくなると、酸化マグネシウムの含有量が少なくなって、酸化マグネシウムによる短絡防止効果が減少するためである。
【0032】
本発明は、負極表面に酸化マグネシウムを含む層を備えることにより、安全性に優れた電池を得るものであるが、同時に、酸化マグネシウムを含む層を正極表面にも形成することにより、正極表面においても負極表面と同様の効果により、セパレータが溶解した場合でも、正極と負極の短絡を確実に防止することができる。
【0033】
さらに、正極表面に形成された酸化マグネシウムを含む層がシャットダウン機能をもつ物質を含むことにより、酸化マグネシウムを含む層による短絡防止作用をより高めることができ、より安全性に優れた非水系二次電池を得ることができる。
【0034】
本発明において、正極板は、正極材料と導電助剤と結着剤とを含む正極合剤層を正極集電体上に塗布したものである。正極活物質たるリチウムを吸蔵放出可能な化合物としては、無機化合物としては、組成式LixMO2、またはLiyM2O4(ただしM は遷移金属、0≦x≦1、0≦y≦2)で表される複合酸化物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物を用いることができる。その具体例としては、LiCoO2 、LiNiO2、LiMn2O4、Li2Mn2O4、MnO2、FeO2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2等が挙げられる。また、有機化合物としては、例えばポリアニリン等の導電性ポリマー等が挙げられる。さらに、無機化合物、有機化合物を問わず、上記各種活物質を混合して用いてもよい。
【0035】
本発明になる非水電解質二次電池に使用する電解液溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテート等の極性溶媒を単独でまたは2種類以上の混合物として使用できる。
【0036】
また、有機溶媒に溶解するリチウム塩としては、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3CO2、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2CF2CF3)2、LiN(COCF3)2およびLiN(COCF2CF3)2などの塩またはこれらの2種類以上の混合物を使用できる。
【0037】
本発明の非水系二次電池において、発電要素としては、シート状正極とシート状負極とをセパレータを介して巻回した円筒型または長円筒型、あるいは平板状正極と平板状負極とを、平板状のセパレータを介して積層した積層型などを用いることができる。また、電池の形状としては、円筒型、長円筒型、角型など、種々の形状のものを用いることができる。
【0038】
【実施例】
次に、本発明を好適な実施例にもとづき説明する。
【0039】
[実施例1]
負極表面に酸化マグネシウムを含む層を形成した場合の、結着剤の種類の影響を比較した。
【0040】
負極板は、ホスト物質としてのグラファイト92wt%と、結着剤としてのスチレン−ブタジエン共重合体+カルボキシメチルセルロース8wt%とを混合し、精製水を適宜加えてペースト状に調製したものを、厚さ14μmの銅箔からなる集電体の両面に塗布し、150℃で乾燥し、加圧することによって製作した。得られた負極板は、幅49mm、長さ340mm、片面の合剤層の厚さが73μm、極板の合計厚さが160μmであり、プレスして多孔度を30%となるようにした。これを負極板Naとした。
【0041】
ここでは、酸化マグネシウム層の結着剤の種類を変えた場合の、負極板と酸化マグネシウムを含む層との密着性および機械的強度を測定した。酸化マグネシウムと表1に示す各種結着剤とを混合し、それぞれ粘度調整溶媒を適宜加えてペースト状に調製した。このペーストを負極板Naの表面に、所定重量塗布した。なお、酸化マグネシウムと結着剤とを含むペースト塗布後は、孔が塞がり、充放電特性に悪影響が生じるため、再度のプレスは行なわなかった。得られた酸化マグネシウムと結着剤とを含む層の、乾燥後の厚さは25μmとした。
【0042】
また、密着性については、負極板の表面10mm四方中に、縦横1mmの間隔でカッターで切り込みを入れ、メンディングテープを貼り付けて、その後、剥した場合の剥離状態を観察した。また、機械的強度は、酸化マグネシウムを含む層を塗布後の負極を、180°折り曲げて、曲げた部分の状態を観察した。密着性と機械的強度測定の結果を表1にまとめた。
【0043】
【表1】
【0044】
表1からわかるように、結着剤にスチレン−ブタジエン共重合体を使用した場合に、密着性および機械的強度が優れていた。
【0045】
[実施例2]
つぎに、負極板Naを用いて、表2に示すように、酸化マグネシウムを含む層の、酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)との混合比を変化させた場合の、密着性、機械的強度および放電特性との関係を検討した。
【0046】
酸化マグネシウム層は、酸化マグネシウムと結着剤との混合比率を変えた以外は、実施例1と同様に作製した。作製した6種類の電極は、実施例1と同様に、密着性試験と機械的強度試験と単極試験を実施した。単極試験は、対極と参照極に金属リチウムを用いた三極式ガラスセルを用いておこなった。この時の充放電条件は、0.5mA/cm2の定電流で、0〜1.3V vs Li/Li+で実施した。
【0047】
なお、「初期クーロン効率」は、1サイクル目の充電容量に対する1サイクル目の放電容量の比(%)とした。表2に、酸化マグネシウムと結着剤の混合比および試験結果をまとめた。なお、表2における「塗布層の組成」の欄において、「MgO」は酸化マグネシウムを、「SBR」はスチレン−ブタジエン共重合体を表す。また、「密着性」および「機械的強度」の欄において、記号○は良好、記号△は一部剥離あり、記号×は剥離ありを表す。さらに、「1サイクル目放電容量」の値は、黒鉛1g当たりの放電容量とし、また、「1サイクル目放電容量」と「初期クーロン効率」は2セルの平均値を示した。
【0048】
【表2】
【0049】
表2から明らかなように、酸化マグネシウムを含む塗布層において、酸化マグネシウムが90重量%以上の場合に、密着性および機械的強度が優れ、1サイクル目放電容量や初期クーロン効率が優れていることがわかった。
【0050】
[実施例3]
さらに、酸化マグネシウムを含む層の厚みを変化させた場合の、密着性、機械的強度および放電特性との関係を検討した。結着剤としてはスチレン−ブタジエン共重合体を使用し、酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体の混合比は9:1(重量比)とした。
【0051】
そして、酸化マグネシウムを含む層の厚みを変化させた6種類の電極を作製し、実施例2と同様の条件で、密着性試験と機械的強度試験を実施後、25℃で1サイクルのみ充放電特性を測定した。その結果を表3にまとめた。なお、表3の記号および値は表2と同様とした。
【0052】
【表3】
【0053】
表3から明らかなように、酸化マグネシウムを含む塗布層の厚みが30μm以下の場合に、密着性および機械的強度が優れ、1サイクル目放電容量や初期クーロン効率が優れていることがわかった。
【0054】
[実施例4]
まず正極板と負極板を作製し、つぎにその表面に酸化マグネシウムを含む層および酸化マグネシウムとシャットダウン機能をもつ物質とを含む層を形成した。そして、これらの正極板と負極板とを組み合わせて非水系二次電池を作製し、安全性試験を行い、その結果を比較した。なお、シャットダウン機能をもつ物質としてはポリエチレンを使用した。
【0055】
正極板は集電体に活物質としてのリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)を保持したものであり、集電体としては厚さ20μmのアルミニウム箔を用いた。正極板は、活物質91wt%と結着剤としてのPVdF6wt%と導電としてのアセチレンブラック3wt%とを混合し、これにN−メチルピロリドンを適宜加えてペースト状に調製した後、アルミニウム箔の両面に塗布し、150℃で乾燥し、加圧することによって製作した。得られた正極板は、幅48mm、長さ300mm、片面の合剤層の厚さが65μm、極板の合計厚さが150μmであった。これを正極板Paとした。負極板としては、実施例1で用いたのと同じ負極板Naを使用した。
【0056】
次に、正極板Paおよび負極板Naの表面に、酸化マグネシウムを含む層を形成した。まず、酸化マグネシウム(ナカライ製、純度98%、平均粒子径15μm)70wt%と結着剤としてのスチレン−ブタジエン共重合体30wt%を混合し、精製水を適宜加えてペースト状に調製したものを正極板Paおよび負極板Naの表面に塗布し、150℃で乾燥した。得られた正極板をPb、負極板をNbとした。なお、極板表面の酸化マグネシウムを含む層の厚さはいずれも26μmとした。
【0057】
さらに、正極板Paおよび負極板Naの表面に、酸化マグネシウムとポリエチレンとを含む層を形成した。ポリエチレン粉末(ALDRICH社製、融点100℃)を使用し、酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とポリエチレン粉末とを54:23:23(wt%)の割合で混合し、N−メチルピロリドンを適宜加えてペースト状に調製したものを正極板Paおよび負極板Naの表面に塗布し、150℃で乾燥した。得られた正極板をPc、負極板をNcとした。なお、極板表面の酸化マグネシウムを含む層の厚さはいずれも26μmとした。なお、この場合、融点(分子量)の異なるポリエチレンを2種類以上混合してもよい。
【0058】
そして、これら正極板と負極板とを、ポリエチレン製の長方形状の巻芯を中心として、長辺が発電要素の巻回中心軸と平行になるよう、その周囲に長円渦状に巻回して、大きさ50×35×3mmの発電要素とした。このようにして得られた巻回型発電要素を、アルミニウム製電池容器に収納し、電解液を注液した。電解液にはLiPF6を1mol/l含むエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの4:6(体積比)の混合溶液を用いた。
【0059】
このようにして、端子部分を含まない大きさが、長さ62mm、幅22mm、高さ100mmの、長円筒型非水系二次電池を6種類作製した。各電池の設計容量は10Ahとした。
【0060】
作製した非水系二次電池の外観を図1に示す。図1において、1は非水系二次電池、2は発電要素、3は電池ケース、4は電池蓋、5は正極端子、6は負極端子、7は注液口、8は側面平坦部の中央である。
【0061】
つぎに、6種類の非水系二次電池各10セルについて、25℃でサイクル特性を測定した。充電は、2A定電流で4.1Vまで、さらに4.1定電圧で、合計8間行い、放電は2A定電流で2.7Vまで行った。充放電サイクルは300サイクル行い、1〜5サイクル目の平均放電容量を初期放電容量とし、初期放電容量に対する300サイクル目の放電容量を「容量維持率(%)」とした。
【0062】
20サイクルの充放電サイクル試験の後、各電池5セルを、2A定電流で4.1Vまで、さらに4.1V定電圧で、合計8時間充電して、100%充電状態とし、長円筒型電池の側面平坦部の中央(図1で示した8)を直径5mmの釘で貫通するという「釘刺試験」を行い、その時の電池の状態を観察した。
【0063】
また、各電池5セルを、2A定電流で4.1Vまで、さらに4.1V定電圧で、合計8時間充電して、100%充電状態とし、さらに5A定電流で3時間充電を続行するという「過充電試験」を行い、その時の電池の状態を観察した。
【0064】
試験した電池に使用した正極板と負極板の種類、300サイクル目の放電容量、容量維持率および釘刺試験結果を表3にまとめた。なお、表3において、放電容量および容量維持率は10セルの平均値を示し、また、釘刺試験結果および過充電試験結果は、5セルのうち結果が悪かった個数を示す。
【0065】
【表4】
【0066】
表3の結果から、正極および負極の表面に酸化マグネシウムを含む層を形成していない電池Oでは、釘刺試験において5セルのうち3セルで結果が悪く、また、過充電試験において5セルのうち4セルで結果が悪かったのに対し、負極の表面に酸化マグネシウムを含む層を形成した電池Pと電池Q、および正極および負極の表面に酸化マグネシウムを含む層を形成した電池R、電池S、電池Tにおいては、釘刺試験や過充電試験においては電池に変化は観察されなかった。このように、本発明の非水系二次電池においては、放電容量や容量維持率が大きく、しかも安全性に優れた電池が得られることがわかった。
【0067】
【発明の効果】
本発明は、正極と、炭素材料を活物質とする負極とを備えた非水系二次電池において、負極表面に酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層が形成されているか、または前記負極表面および正極表面に酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層が形成され、前記酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層の厚みが1〜30μmの範囲にあることを特徴とし、さらに、負極表面または正極表面に形成された酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層がシャットダウン機能をもつ物質を含むことを特徴とする。
【0068】
本発明によれば、電解液の分解などで電池内部の温度が上昇し、セパレータが溶解した場合でも、正極と負極の短絡を防止することができ、安全性に優れた非水系二次電池を得ることができる。
【0069】
さらに、酸化マグネシウムは、電池内の水を吸収してヒドロオキシ炭酸マグネシウムに変化することによって水分を除去したり、また、電池内のフッ化水素(HF)を吸収するという効果を示すものである。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる長円筒型非水系二次電池の外観を示す図。
【符号の説明】
1 非水系二次電池
2 発電要素
3 電池ケース
4 電池蓋
5 は正極端子
6 負極端子
7 注液口
8 側面の平坦部
Claims (2)
- 正極と、炭素材料を活物質とする負極とを備えた非水系二次電池において、前記負極表面に酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層が形成されているか、または前記負極表面および正極表面に酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層が形成され、前記酸化マグネシウムとスチレン−ブタジエン共重合体とを含む層の厚みが1〜30μmの範囲にあることを特徴とする非水系二次電池。
- 負極表面または正極表面に形成された酸化マグネシウムを含む層がシャットダウン機能をもつ物質を含むことを特徴とする請求項1記載の非水系二次電池。
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