JP3882291B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ鏡筒に関し、特に光学系を光軸方向に移動制御させるカム機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のカム機構は、図4、図5、および図6に示す如く構成されていた。以下図面を参照して従来の技術を説明する。
図4は従来のレンズ鏡筒の縦断面図、図5は従来のレンズ鏡筒のカム部材近傍の展開図、図6は従来のレンズ鏡筒のカム部材近傍の拡大展開図である。
【0003】
図4において、フォーカスレンズ群L1を保持するフォーカスレンズ群移動枠3は、固定筒101の内筒外周面に回動可能に嵌合している。フォーカスレンズ群移動枠3には、フォーカス量を制御するためのカム溝3aが、円周方向等分に3箇所形成されている。固定筒101の内筒外周面には、第1のカムフォロワー9が円周方向等分に3箇所植設されており、この第1のカムフォロワー9は、カム溝3aに摺動可能に嵌入している。また、フォーカスレンズ群移動枠3の内周面には、付勢部材保持筒104が回動可能に嵌合しており、その外周面には、円周方向等分に3箇所、第2のカムフォロワー8が植設されている。そして、第2のカムフォロワー8は、第1のカムフォロワー9と同様に、カム溝3aに摺動可能に嵌入している。付勢部材保持筒104の端面には、周方向3等分位置に光軸方向に延在するピン部材6が植設されており、その先端部は、固定筒101の内筒部から光軸方向に伸びる鍔部に形成された3カ所の貫通孔101aに貫通している。ピン部材6のそれぞれには、圧縮バネ5が挿入されており、付勢部材保持筒104と、これを介して固定筒101を付勢している。この付勢力によって、付勢部材保持筒104は固定筒101に対して離間する方向に押圧される。従って、付勢部材保持筒104に植設されている第2のカムフォロワー8が、カム溝3a内で固定筒101に植設された第1のカムフォロワー9に対して離間する方向に移動し、第1のカムフォロワー9はカム溝3aの一方のカム面に当接し、第2のカムフォロワー8は他方のカム面に当接する。
【0004】
フォーカスレンズ群移動枠3には、直進溝3bが形成されており、この直進溝3bに、外部操作可能なマニュアル操作環2にビス10によって固設された連結部材7の先端部が嵌入している。
この様に構成されたレンズ鏡筒のフォーカス動作を説明する。
マニュアルフォーカス環2を回転させると、連結部材7を介してフォーカスレンズ群移動枠3が回転する。フォーカスレンズ移動枠3のカム溝3aが、固定筒101に植設された第1のカムフォロワー9に当接しているので、カム溝3aに沿って回転しながら光軸方向に移動する。これによって、フォーカスレンズ群L1が光軸方向に移動してフォーカスがなされる。
【0005】
以下、図5、図6の展開図によって詳細に説明する。尚、図4にて説明した部品に関しては同一符号を付して説明を省略する。
図5はカム溝3aを含む近傍を説明する展開図である。図5において、ピン部材6にその内径部を支持された圧縮バネ5は、その付勢力によって第2のカムフォロワー8を、カム溝3aの他方のカム面3cに適度な押圧力で当接させている。また、第1のカムフォロワー9は固定筒101の内筒部外周に植設されているので、圧縮バネ5の付勢力によってカム溝3aの一方のカム面3dに当接する。
【0006】
図6は図5を更に拡大した展開図である。図6において、カム溝3aを有する付勢部材保持筒104が受ける付勢力の大きさ及び方向を、矢印によって示している。圧縮バネ5によって光軸方向にFなる付勢力を受ける。この付勢力を傾斜角θのカム溝3aの一方のカム面3dで、付勢力Fとは傾斜角θ分だけ傾いた方向にN’なる力で受ける。ここでN’の光軸方向の成分は付勢力Fと釣り合っている。しかし力Fと直交する方向成分の力Pが発生する。この力Pを固定筒101の鍔部に形成された貫通孔101aで受けることにより、付勢部材保持筒104の回転を押さえる如く構成している。
【0007】
以上のような構成によって、カム溝3aとカムフォロワー8,9との嵌合ガタを抑えることにより、より高い精度での制御を可能としていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この様な従来の構成においては、カムフォロワーとカム溝との嵌合ガタを除去するために、付勢部材保持筒を用い、光軸と平行な方向に圧縮バネの付勢力を働かせてカムフォロワーでカム溝のカム面を押圧していた。この様な構成にあっては、光軸と平行に付勢力を働かせると、カム溝の傾斜角に影響されて、その影響分だけカム面を押圧する必要方向と、付勢部材保持筒を回転させる不必要方向に力が働く。その結果、何らかの手段を講じないと付勢部材保持筒を回転させてしまうという問題点があった。
【0009】
この問題点を解決するために、従来の技術では、固定筒の鍔部に形成された貫通孔に、圧縮バネを支持するピン部材を嵌合させることで回転力を受けるようにして、付勢部材保持筒の回転を阻止するように構成していた。しかしながらこのような構成では、ピン部材と貫通孔との間に、前記の不必要な方向の力の作用による圧縮バネ付勢方向の摩擦を生じてしまい、必要な付勢力を確実に伝達することが難しくなり(概算で傾斜角30度において1割、傾斜角45度で2割程度の付勢力のロスが発生する)、ガタ取りが十分に行われない恐れが生じるという問題点があった。
【0010】
また、カム溝の傾斜角の変化によって、第1カムフォロワーと第2カムフォロワーとの間隔が変わる場合には摩擦損失となるため、フォーカストルクの増大を引き起こしてしまうという問題点もあった。
本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カム溝とカムフォロワーとの嵌合ガタを抑える構成において、付勢部材の付勢力によるカム部材の回転力を極力発生させず、しかも、回転力が発生する場合でもあっても、それによる付勢力のロスが起こらないように構成し、、よってカム溝に対するカムフォロワーの押圧力を効率良く伝達可能としたカム機構を備えたレンズ鏡筒を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明ではレンズ群の光軸方向の移動を制御するカムが形成されたカム部材と、前記カムに当接する第1カムフォロワーが固設された保持部材と、前記カムに当接する第2カムフォロワーが固設された固定部材と、前記保持部材と前記固定部材に挟持される付勢部材とを備え、前記付勢部材の付勢力によって前記保持部材が前記固定部材から離間させられ、前記カムの一方面に前記第1カムフォロワーが当接し、他方面に前記第2カムフォロワーが当接するレンズ鏡筒において、前記一方の面及び前記他方の面は、前記光軸と交差する方向に沿って互いに平行に備えられ、前記付勢部材は、前記一方の面及び前記他方の面と直交する方向の付勢力を与えるように配置されていることを第1の課題解決の手段とするものである。
【0012】
また、前記保持部材及び前記固定部材は、前記一方の面及び前記他方の面と略同一方向に備えられた付勢部材保持面を含み、前記付勢部材は、前記保持部材の付勢部材保持面と前記固定部材の付勢部材保持面との間に付勢力を与えることを第2の課題解決の手段とし、前記保持部材の付勢部材保持面と前記固定部材の付勢部材保持面との間に備えられ、前記付勢部材を支持する付勢部材支持部材を含むことを第3の課題解決の手段とし、更に、前記付勢部材は、前記カムの前記一方の面及び前記他方の面と直交する方向の付勢力を与えるコイルバネであることを第4の課題解決の手段とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する、
図1は本発明の第1の実施形態を示すレンズ鏡筒の縦断面図、図2は第1の実施形態のカム部材近傍の展開図、図3は第1の実施形態のカム部材近傍の拡大展開図である。
【0014】
図1において、フォーカスレンズ群L1を保持するフォーカスレンズ群移動枠3は、固定筒1の内筒外周面に回動可能に嵌合している。フォーカスレンズ群移動枠3には、フォーカス量を制御するためのカム溝3aが、円周方向等分に3箇所形成されている。固定筒1の内筒外周面には、第1カムフォロワー9が円周方向等分に3箇所植設されており、この第1カムフォロワー9は、カム溝3aの端面に沿って摺動可能に嵌入している。また、フォーカスレンズ群移動枠3の内周面には、付勢部材保持筒4が回動可能に嵌合しており、その外周面には、円周方向等分に3箇所、第2カムフォロワー8が植設されている。そして、第2カムフォロワー8は、第1カムフォロワー9と同様に、カム溝3aに摺動可能に嵌入している。付勢部材保持筒4の端面には、カム溝3aの端面に対して直交する方向にピン部材6が周方向3等分に植設されている。また、ピン部材6には圧縮バネ5が挿入されている。そして圧縮バネ5は、付勢部材保持筒4と固定筒1との間に挟持されており、固定筒1に形成されたカム溝3aの端面と同方向の胴付面を支点として、付勢部材保持4を付勢している。この付勢力によって、付勢部材保持筒4は固定筒1に対して離間する方向に押圧される。従って、付勢部材保持筒4に植設されている第2カムフォロワー8がカム溝3a内で固定筒1に植設された第1カムフォロワー9に対して離間する方向に移動し、第1カムフォロワー9はカム溝3aの一方のカム面に当接し、第2カムフォロワー8は他方のカム面に当接する。
【0015】
フォーカスレンズ群移動枠3には、直進溝3bが形成されており、この直進溝3bに、外部操作可能なマニュアル操作環2にビス10によって固設された連結部材7の先端部が嵌入している。
この様に構成されたレンズ鏡筒のフォーカス動作を説明する。
マニュアルフォーカス環2を回転させると、連結部材7を介してフォーカスレンズ群移動枠3が回転する。フォーカスレンズ移動枠3のカム溝3aが、固定筒1に植設された第1カムフォロワー9に当接しているので、カム溝に沿って回転しながら光軸方向に移動する。これによって、フォーカスレンズ群L1が光軸方向に移動してフォーカスがなされる。
【0016】
以下、図2、図3の展開図によって詳細に説明する。尚、図1にて説明した部品に関しては同一符号を付して説明を省略する。
図2はカム溝3aを含む近傍を展開している。図2において、付勢部材保持筒4に形成された、カム面3c、3dと同一方向の端面4aに植設されたピン部材6に、その内径部を支持された圧縮バネ5は、固定筒に形成された、前記端面4aに対向する胴付面を支点とする付勢力によって第2カムフォロワー8を、カム溝3aの他方のカム面3cに必要な押圧力で当接させている。また、この作用に関連して、第1カムフォロワー9は固定筒1の内筒部外周に植設されているので、圧縮バネ5の付勢力によってカム溝3aの一方のカム面3dに当接する。
【0017】
図3は図2を更に拡大している。図3において、カム溝3aを有する付勢部材保持筒4が受ける付勢力の大きさ及び方向を矢印によって表している。圧縮バネ5によって付勢部材保持筒4はカム溝3aのカム面3c,3dに対して直交する方向にFなる付勢力を受ける。この付勢力をカム溝3aの一方のカム面3dで、付勢力Fと同一方向にNなる力で受ける。ここでNの付勢力F方向の成分は付勢力Fと釣り合っている。そして付勢力Fと垂直方向成分の力は発生しない。
【0018】
上記の如く第1の実施形態にあっては、付勢部材保持筒4に回転力が発生しないので、それを阻止するための構成を必要としない。
図7は本発明の第2の実施形態を示すレンズ鏡筒の縦断面図である。尚、第2の実施形態を説明するにあたって、図1と同一部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0019】
図7において、固定筒1と付勢部材保持筒4との間には、図8に示す如きコイルバネ11が配置されている。コイルバネ11は、両端部にバネ掛け部11a,11bが形成されており、それぞれ固定筒1と付勢部材保持筒4に支持されている。これにより、コイルバネ11の弾性によって発生する光軸方向の付勢力で、カム溝3aとカムフォロワー8,9との間のガタが抑えられる。この様な構成にあっては、上述と同様に付勢部材保持筒4は回転力を受けるが、その回転力は、コイルバネ11の光軸回りのねじり弾性力によって打ち消すことを可能としている。従って、付勢部材保持筒4は回転しない。
【0020】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、カムが形成されたカム部材と、カムに当接する第1カムフォロワーが固設された保持部材と、カムに当接する第2カムフォロワーが固設された固定部材と、保持部材と固定部材に挟持される付勢部材とを備え、
付勢部材の付勢力によって保持部材が固定部材から離間させられ、カムの一方の面に第1カムフォロワーが当接し、他方の面に第2カムフォロワーが当接するレンズ鏡筒において、付勢部材の付勢力を保持部材を回転させることなく効率よく第1カムフォロワー、第2カムフォロワーに伝達する付勢手段を有する如くなしたので、付勢力をカム溝に対するガタ取りに確実に作用させることが出来るという効果を奏するものである。
【0021】
また、付勢手段は、保持部材と固定部材とに対向する如くそれぞれに形成された、カムの一方の面及び他方の面のいずれか一方の面と略同一方向の付勢部材保持面と、保持部材及び固定部材に形成された付勢部材保持面のいずれか一方の面に垂直に植設された付勢部材を支持する付勢部材支持部材とを備えたので、付勢部材の付勢力はカム面に直交に作用して、保持部材に回転力を与えない。従って、回転力を打ち消すための構成を必要としないので、構成が簡略化されるという効果もある。
【0022】
更に、付勢手段は、両端に固定部が形成され一方は保持部材に、他方は固定部材に固設される光軸を巻線中心とするコイルバネとしたので、そのねじり弾性力によって保持部材の回転力を吸収するようになっているので、部品点数の削減をすることが出来るという効果を奏する。
また、カムの傾斜角の変化によって、第1カムフォロワーと第2カムフォロワーとの間隔が変わる場合でも摩擦損失となることがなく、フォーカストルクの増大を引き起こす心配もないという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すレンズ鏡筒の縦断面図である。
【図2】第1の実施形態のカム部材近傍の展開図である。
【図3】図2を拡大した拡大展開図である。
【図4】従来のレンズ鏡筒の縦断面図である。
【図5】従来のレンズ鏡筒のカム部材近傍の展開図である。
【図6】従来のレンズ鏡筒のカム部材近傍の拡大展開図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を示すレンズ鏡筒の縦断面図である。
【図8】第2の実施形態の付勢部材を説明する図である。
【符号の説明】
1 固定筒
1a 胴付面
2 マニュアル操作環
3 フォーカスレンズ移動枠
3a カム溝
3b 直進溝
3c 他方のカム面
3d 一方のカム面
4 付勢部材保持筒
4a 端面
5 圧縮バネ
6 ピン部材
7 連結部材
8 第2カムフォロワー
9 第1カムフォロワー
Claims (4)
- レンズ群の光軸方向の移動を制御するカムが形成されたカム部材と、前記カムに当接する第1カムフォロワーが固設された保持部材と、前記カムに当接する第2カムフォロワーが固設された固定部材と、前記保持部材と前記固定部材に挟持される付勢部材とを備え、
前記付勢部材の付勢力によって前記保持部材が前記固定部材から離間させられ、前記カムの一方の面に前記第1カムフォロワーが当接し、他方の面に前記第2カムフォロワーが当接するレンズ鏡筒において、
前記一方の面及び前記他方の面は、前記光軸と交差する方向に沿って互いに平行に備えられ、
前記付勢部材は、前記一方の面及び前記他方の面と直交する方向の付勢力を与えるように配置されていることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 前記保持部材及び前記固定部材は、前記一方の面及び前記他方の面と略同一方向に備えられた付勢部材保持面を含み、
前記付勢部材は、前記保持部材の付勢部材保持面と前記固定部材の付勢部材保持面との間に付勢力を与えるように配置されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。 - 前記保持部材の付勢部材保持面と前記固定部材の付勢部材保持面との間に備えられ、前記付勢部材を支持する付勢部材支持部材を含むことを特徴とする請求項2記載のレンズ鏡筒。
- 前記付勢部材は、前記カムの前記一方の面及び前記他方の面と直交する方向の付勢力を与えるコイルバネであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のレンズ鏡筒。
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JP28684897A JP3882291B2 (ja) | 1997-10-20 | 1997-10-20 | レンズ鏡筒 |
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JP28684897A JP3882291B2 (ja) | 1997-10-20 | 1997-10-20 | レンズ鏡筒 |
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