JP3881463B2 - 蒸着プラスチックフイルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸着プラスチックフイルム(以下「蒸着フイルム」ということがある)に関し、詳しくは、金属や金属酸化物の薄膜を形成してなる蒸着プラスチックフイルムであって、接着性およびボイル処理後のガスバリアー性に優れた蒸着フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
蒸着フイルムは、蒸着する金属および/または金属酸化物を選択することにより、ガスバリアー性、水分不透過性、可視・紫外光の遮断性、熱線反射性、導電性、透明導電性、磁気記録性などの特性を種々に変更し得るため、各種の用途に利用されている。例えば、包装材料、装飾用材料、窓ガラスの遮断用材料、金・銀糸用材料、コンデンサー材料、表示材料、配線基板材料、磁気記録材料などに利用されている。更に、近年、液晶表示素子、太陽電池、電磁波シールド、タッチパネル、EL用基板、カラーフィルター等で使用する透明導電シートの一部などの新しい用途にも注目されている。
【0003】
しかしながら、蒸着フイルムは、特に、フイルムの加工工程中や水分との接触により、蒸着膜の部分的な剥離を惹起し、蒸着膜としての特性、例えば、ガスバリアー性が低下する問題がある。
【0004】
従来、ガスバリアー性の低下を防止するため、蒸着ポリエステルフイルムの基材ポリエステルフイルムと蒸着層との間に、各種ポリウレタン、各種ポリエステル、または、ポリウレタンとポリエステルの混合物から成る塗布層(下塗り層)を設ける方法が知られている(例えば、特開平2−50837号公報)。更に、耐水接着性および耐溶剤性を改良するため、特殊なポリウレタン、ポリエステル及びエポキシ化合物とを含有する塗布液が提案されている(特開平4−176858号公報)。
【0005】
しかしながら、上記の蒸着フイルムの多くは、高温下における耐水性(耐熱水性)及び耐溶剤性が不十分であり、例えば、最も汎用される可能性の高い蒸着ポリエステルフイルムを食品包装用とした場合、ボイル処理後や溶剤系のインキによる印刷後のガスバリアー性が必ずしも十分ではない。特に、ポリエステルフイルム屑を再利用した蒸着ポリエステルフイルムでは、ガスバリアー性が著しく低下する欠点がある。更に、蒸着ポリエステルフイルムの用途が広がるにつれ、より強い接着性や信頼性の高いガスバリアー性を有する蒸着ポリエステルフイルムが求められている。
【0006】
また、アンカーコート剤による塗布層は、フイルムの製膜後に設けてもよいが、フイルムの製膜工程で設けるインラインコート法も可能である。例えば、フイルムが二軸延伸フイルムの場合、一軸延伸したフイルムにアンカーコート剤を塗布し、乾燥または未乾燥の状態で横方向に延伸し、次いで、熱処理を施す方法は、製膜、塗布および乾燥を同時に行えることから、製造コスト面において大きなメリットが期待できる。しかしながら、このインラインコート法で塗布層を設けた蒸着用の基材フイルムとしては適当なものは知られておらず、当該基材フイルムより得られる蒸着フイルムは、通常の方法により得られる蒸着フイルム以上に、耐溶剤性や耐熱水性が不十分であり、印刷後や或いはボイル及びレトルト等の熱水処理後のガスバリア性が著しく低下するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、基材フイルムと蒸着層との接着性およびボイル処理後や印刷後のガスバリアー性に優れた蒸着フイルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的達成のために種々検討を重ねた結果、ある特殊な樹脂を含有する塗布液の使用により、優れた特性を有する蒸着フイルムが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、プラスチックフイルムの少なくとも片面に塗布層が形成され且つ当該塗布層の表面に酸化珪素を蒸着して成る蒸着プラスチックフイルムであって、前記塗布層が、オキサゾリン基含有量が0.4〜5.0mmol/gであるオキサゾリン基含有水溶性ポリマーを10〜80重量%、水性アクリル系樹脂を10〜80重量%、水性ポリウレタン系樹脂および/または水性ポリエステル系樹脂を10〜70重量%含有する樹脂混合物を硬化させて成ることを特徴とする蒸着プラスチックフイルムに存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のプラスチックフイルムで使用する原料はフイルムとして利用される様なプラスチック原料であれば特に制限はない。具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体などのポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、三フッ化塩化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル三元共重合体などのフッ素系樹脂、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物より成る樹脂組成物、このアクリレー化合物とチオール基を有するメルカプト化合物より成る樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶融せしめた樹脂組成物などの光硬化性樹脂、これらの混合物などが挙げられる。これらの中では、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物が好ましく、ポリエステルが特に好ましい。
【0011】
また、本発明のプラスチックフイルムで使用する原料として特に好適であるポリエステルとは、その構成単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートであるポリエチレンテレフタレート、その構成単位の80モル%以上がエチレンナフタレートであるポリエチレンナフタレート、その構成単位の80モル%以上が1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートであるポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等である。
【0012】
そして、上記の構成成分以外の共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール成分、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体のジカルボン酸成分、オキシ安息香酸およびそのエステル形成性誘導体のオキシモノカルボン酸などを使用することが出来る。
【0013】
本発明におけるプラスチックフイルムは、フイルム表面の突起を形成する添加粒子、析出粒子、その他の触媒残渣を用途に応じて当業者が常用する量の範囲で含有していてもよい。また、上記の突起形成剤以外の添加剤として、必要に応じて、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などを含有していてもよい。
【0014】
本発明におけるプラスチック原料は再生原料でも特に支障はなく、例えば、ポリエステルフイルム製品の製造過程で発生するスクラップフイルムのチップ状に加工した再生ポリエステルを省資源化の観点から使用してもよい。斯かる再生ポリエステルの使用割合は、特に制限されないが、原料ポリエステル中の割合として、好ましくは10〜100重量%の範囲とされる。
【0015】
本発明における塗布層は、その硬化させる構成樹脂混合物中の6〜80重量%がオキサゾリン基含有水溶性ポリマーでなければならず、その具体例としては、10〜80重量%のオキサゾリン基含有水溶性ポリマーと10〜80重量%の水性アクリル系樹脂と10〜70重量%の水性ポリウレタン系樹脂の樹脂混合物などが例示される。
【0016】
上記のオキサゾリン基含有水溶性ポリマーとは、下記の一般式(I)〜(III)で表される何れかの付加重合性オキサゾリン(a)及び必要に応じて少なくとも1種の他のモノマー(b)を重合して得られる重合体である。
【0017】
【化1】
【0018】
上記の重合体は、水と水溶性有機溶剤の混合溶媒に溶解して使用され、また、通常、乳化剤を含有しないため、オキサゾリン基の架橋による耐水性および耐溶剤性の効果を十分に発揮することが出来る。
【0019】
上記の式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、フェニル基または置換フェニル基であり、R5は付加重合性不飽和結合を持つ非環状有機基である。
【0020】
上記のハロゲン原子としては、通常、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられるが、好ましくは、塩素原子または臭素原子である。上記のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、へキシル基などが挙げられる。上記のアラルキル基としては、アルキル鎖の炭素数が1〜5のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。上記の置換フェニル基としては、例えば、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、メチルアミノフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、メチルエチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基などが挙げられる。上記の付加重合性不飽和結合を持つ非環状有機基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基などが挙げられる。
【0021】
上記の付加重合性オキサゾリン(a)としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。特に、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンは、工業的にも入手し易く好適に使用される。
【0022】
上記のモノマー(b)しては、付加重合性オキサゾリン(a)と共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などの不飽和カルボン酸類、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、メタクリルアミド、N−メチロール化メタクリルアミド等の不飽和アミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類、スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等が挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。
【0023】
オキサゾリン基含有水溶性ポリマーの重合方法としては、例えば、前記の付加重合性オキサゾリン(a)と必要に応じて少なくとも1種の上記のモノマー(b)とベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤とを水溶性有機溶剤に溶解して加熱する方法が挙げられる。オキサゾリン基含有ポリマーの水溶性塗料は、得られた重合体溶液に水を加えて加熱蒸留し、一部または全部の溶剤を除去することにより得られる。また、上記の水溶性ポリマーの重合方法は、n−ブチルリチウム等を触媒として使用するアニオン重合方法であってもよい。
【0024】
塗布層を構成する樹脂中のオキサゾリン基含有水溶性ポリマーの割合は、前述の通り、6〜80重量%であるが、好ましくは10〜80重量%、特に好ましくは15〜60重量%である。オキサゾリン基含有水溶性ポリマーの配合割合が6重量%未満の場合はオキサゾリン基による架橋が不十分であり、80重量%を超える場合は塗布層の耐熱水性および耐溶剤性が不十分である。なお、オキサゾリン基含有水溶性ポリマー中のオキサゾリン基含有量は通常0.4〜5.0mmol/g、特に0.5〜4.0mmol/gであり、これに対応して、塗布層を構成する樹脂中のオキサゾリン基含有水溶性ポリマーが通常10〜80重量%となるが、オキサゾリン基含有量が8ないし9mmol/g程度まで多くした水溶性ポリマーを調製することが出来れば、オキサゾリン基含有水溶性ポリマーの割合を6重量%程度まで下げることが可能となる。
【0025】
前記の水性アクリル系樹脂は、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートを主要な成分とする樹脂であり、具体的には、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレート成分の含有割合が通常40〜95モル%、共重合可能で且つ官能基を有するビニル単量体成分の含有割合が通常5〜60モル%の水溶性または水分散性樹脂である。
【0026】
上記のビニル単量体における官能基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキロール化されたアミノ基またはそれらの塩、水酸基、エポキシ基などが挙げられ、特に、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基などが好ましい。これらの基は、樹脂中に2種類以上含有されていてもよい。
【0027】
前記の水性アクリル系樹脂において、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートの含有量を40モル%以上にすることにより、塗布性、塗膜の強度、耐ブロッキング性が特に良好になる。そして、アルキルアクリレート及び/又はアルキルメタクリレートを95モル%以下とし、共重合成分として特定の官能基を有する化合物を水性アクリル系樹脂に5モル%以上導入することにより、水溶化ないし水分散化を容易にすると共にその状態を長期にわたり安定化することが出来る。その結果、塗布層とポリエステルフイルム層との接着性の改善、塗布層内での反応による塗布層の強度、耐水性、耐薬品性の改善などを図ることが出来る。
【0028】
上記のアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートのアルキル基としては、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。カルボキシル基や酸無水物などを有する化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸など、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩などが挙げられ、さらに、無水マレイン酸が挙げられる。スルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、これらスルホン酸のナトリウム等の金属塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
【0029】
上記のアミド基またはアルキロール化されたアミド基を有する化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド、ウレイドビニルエーテル、β−ウレイドイソブチルビニルエーテル、ウレイドエチルアクリレート等が挙げられる。
【0030】
上記のアミノ基やアルキロール化されたアミノ基またはそれらの塩を有する化合物としては、例えば、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、それらのアミノ基をメチロール化したもの、ハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、サルトン等により4級化したもの等が挙げられる。
【0031】
上記の水酸基を有する化合物としては、例えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。エポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0032】
更に、併用し得る化合物としては、例えば、アクリロニトリル、スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モノ又はジアルキルエステル、フマル酸モノ又はジアルキルエステル、イタコン酸モノ又はジアルキルエステル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0033】
上記の水性アクリル系樹脂としては、何れのタイプのアクリル系樹脂であってもよいが、乳化剤を含まないタイプのアクリル系樹脂が好適に使用される。その理由は、前記のオキサゾリン基含有水溶性ポリマーの耐水性が乳化剤によって阻害されないからである。
【0034】
従って、水性アクリル系樹脂は、反応性乳化剤を使用して合成された自己分散タイプの水性アクリル系樹脂や高分子量の界面活性剤を使用して合成された水性アクリル系樹脂であってもよい。その理由は、前記のオキサゾリン基含有水溶性ポリマーの耐水性が反応した乳化剤や高分子量の界面活性剤によって阻害されないからである。
【0035】
塗布層を構成する樹脂中の水性アクリル系樹脂の配合割合は、通常10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%の範囲とされる。水性アクリル系樹脂の配合割合が10重量%未満の場合は、耐水性、耐溶剤性の効果が十分に発揮されない傾向にあり、80重量%を超える場合は、バリアー層の接着性が悪化する傾向にある。そして、水性アクリル系樹脂は、好ましくは後述の水性ポリウレタン系樹脂と共に使用される。
【0036】
水性アクリル系樹脂は、オキサゾリン基含有水溶性ポリマーの耐水性や耐溶剤性の低下を防止する。上記の低下防止効果は、次の理由によると考えられる。アクリル系樹脂の被膜には、ポリエチレンテレフタレート表面にオリゴマーが析出するのを防止する効果がある。斯かるオリゴマー析出の防止効果により、オリゴマー塊によって形成された欠陥バリアー層に浸入した水分や溶剤の塗布層への攻撃が阻止される。従って、水性アクリル系樹脂は、オキサゾリン基含有水溶性ポリマーの耐水性および耐溶剤性を十分に発揮させると考えられる。
【0037】
前記の水性ポリウレタン系樹脂は、特に制限されないが、低分子の親水性分散剤などを含有しないものが好適に使用される。水性ポリウレタン系樹脂は、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とを常法に従って反応させることにより製造される水溶性または水分散性樹脂である。水性ポリウレタン系樹脂は、水媒体との親和性を高めるため、カルボキシル基またはその塩(以下、単にカルボキシル基と省略)を含有するものが好ましい。
【0038】
上記のポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリテトラメチレンセバケート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。
【0039】
上記のポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などが挙げられる。
【0040】
ポリウレタン側鎖へのカルボキシル基の導入は、例えば、ポリウレタン合成の際、原料ポリヒドロキシ化合物の1つとしてカルボキシル基含有ポリヒドロキシ化合物を使用するか、または、未反応イソシアネート基を有するポリウレタンのイソシアネート基に水酸基含有カルボン酸やアミノ基含有カルボン酸を反応させ、次いで、反応生成物を高速攪拌下でアルカリ水溶液中に添加して中和する等の方法によって容易に行うことが出来る。
【0041】
上記のカルボキシル基含有ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール吉草酸、トリメリット酸ビス(エチレングリコール)エステル等が挙げられる。また、水酸基含有カルボン酸としては、例えば、3−ヒドロキシプロピオン酸、γ−ヒドロキシ酪酸、p−(2−ヒドロキシエチル)安息香酸、リンゴ酸など、アミノ基含有カルボン酸としては、例えば、β−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、p−アミノ安息香酸などが挙げられる。
【0042】
水性ポリウレタン系樹脂のカルボキシル基は対イオンを有していてもよく、斯かる対イオンとしては、通常一価イオン、好ましくは水素イオン又はアンモニウムイオンを含むアミン系オニウムイオンが挙げられる。
【0043】
塗布層を構成する樹脂中の水性ポリウレタン系樹脂の配合割合は、通常10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲とされる。水性ポリウレタン系樹脂の配合割合が10重量%未満の場合は、バリアー層が塗布層と共に剥離する傾向にあり、70重量%を超える場合は、耐水性を悪化させる傾向にある。そして、水性ポリウレタン系樹脂は、好ましくは水性アクリル系樹脂と共に使用される。
【0044】
本発明における塗布層は、前記のオキサゾリン基含有水溶性ポリマー、水性アクリル系樹脂および水性ポリウレタン系樹脂の他に、水性ポリエステル系樹脂を含有することが出来る。水性ポリエステル系樹脂は、特に制限されないが、好ましくは低分子の親水性分散剤などを含有しない水溶性または水分散性の飽和または不飽和ポリエステルの何れをも使用し得る。
【0045】
上記の飽和ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリ(オキシアルキレン)グリコール等が挙げられる。
【0046】
上記の飽和ポリエステルは線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を使用して分岐状ポリエステルとすることも出来る。一方、上記の不飽和ポリエステルとしては、例えば、次の(1)及び(2)で示されるものが挙げられる。
【0047】
(1)特公昭45−2201号公報、46−2050号公報、44−7134号公報、特開昭48−78233号公報、50−58123号公報などで知られている様に、共重合性不飽和基を含有する原料成分と他の原料成分とを反応させて得られる樹脂骨格中に共重合性不飽和基を有する不飽和ポリエステル。
【0048】
(2)特公昭49−47916号公報、50−6223号公報などで知られている様に、共重合性不飽和基を持たない飽和ポリエステルを得た後、その飽和ポリエステル中に存在する水酸基またはカルボキシル基などの官能基と反応性を有する官能基とビニル基を有するビニル系モノマーを飽和ポリエステルに付加して得られる不飽和ポリエステル。
【0049】
上記のビニル系モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基とビニル基を有する化合物、ビニルメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラノール基とビニル基を有する化合物、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などの酸無水基とビニル基を有する化合物、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート付加物などのイソシアネート基とビニル基を有する化合物などが挙げられる。
【0050】
水性ポリエステル系樹脂は、水媒体との親和性を高めるため、カルボキシル基を含有するものが好ましい。飽和または不飽和ポリエステルの側鎖へのカルボキシル基の導入は、カルボン酸を有するジオキサン化合物をポリエステルと反応させる方法(特開昭61−228030号公報)、不飽和カルボン酸をポリエステルにラジカル的にグラフトする方法(特開昭62−225510号公報)、ポリエステルとハロゲノ酢酸を反応させて芳香族環に置換基を導入する方法(特開昭62−225527号公報)、ポリエステルと多価無水カルボン酸化合物とを反応させる方法(特開昭62−240318号公報)等により容易に行うことが出来る。
【0051】
水性ポリエステル系樹脂のカルボキシル基は対イオンを有していてもよく、斯かる対イオンとしては、通常一価イオン、好ましくは水素イオン又はアンモニウムイオンを含むアミン系オニウムイオンが挙げられる。
【0052】
塗布層を構成する樹脂中の水性ポリエステル系樹脂の配合割合は、通常10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲とされる。水性ポリエステル系樹脂の配合割合が10重量%未満の場合は、バリアー層が塗布層と共に剥離する傾向にあり、70重量%を超える場合は、耐水性を悪化させる傾向にある。
【0053】
本発明における塗布液は、塗布層の固着性(ブロッキング性)、耐水性、耐溶剤性、機械的強度の改良のため、架橋剤として、例えば、エポキシ系、メチロール化またはアルキロール化した尿素系、メラミン系、グアナミン系、アクリルアミド系、ポリアミド系などの化合物、アジリジン化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコーアルミネートカップリング剤、過酸化物、光反応性のビニル化合物や感光性樹脂などを接着性を悪化させない範囲内で少量含有していてもよい。特に、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物を併用すると、樹脂化合物におけるカルボキシル基等の側鎖に架橋して蒸着膜との接着性を高めることが出来るので好ましい。
【0054】
本発明における塗布液は、固着性や滑り性の改良のため、無機系微粒子として、例えば、シリカ、シリカゾル、アルミナ、アルミナゾル、ジルコニウムゾル、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩、カーボンブラック、硫化モリブデン、酸化アンチモンゾル等を含有してもよく、さらに、必要に応じて、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料などを含有していてもよい。
【0055】
ポリエステルフイルムに塗布液を塗布する方法としては、「コーティング方式」(原崎勇次著、槙書店、1979年発行)に示されるリバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクタコーター又はこれら以外の塗布装置を使用してフイルム製造工程内で塗布を行う。塗布層は、フイルムの製膜後に設けてもよいが、フイルムの製膜工程で設けるのが好ましい。フイルムが二軸延伸フイルムの場合は、好ましくは縦方向に一軸延伸したフイルムに塗布液を塗布し、乾燥または未乾燥の状態で横方向に延伸し、次いで、熱処理を施すのが好ましい。
【0056】
上記の方法は、製膜、塗布および乾燥を同時に行えることから、製造コスト面においてメリットが大きく、特に好ましく採用される。塗布層は、片面または両面に設けることが出来、また、両面に設ける場合、塗布層は同一でも異なっていてもよい。なお、フイルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にフイルムの表面に化学処理、放電処理などを施してもよい。
【0057】
プラスチックフイルムの厚さは、特に制限はないが、通常2〜500μm、特に5〜200μmである。塗布層の厚さは、通常0.01〜5μmの範囲、好ましくは0.02〜1μmの範囲とされる。樹脂層の厚さが0.01μm未満の場合は、均一な樹脂層が得難い傾向にあり、また、5μmを超える場合は、滑り性が低下してフイルムの取扱いが困難となる傾向にある。
【0058】
また、上記の様にして形成された塗布層の水滴接触角は、60゜以上であることが好ましい。一般的に、乳化剤、親水性化合物、親水性基を多く有する水溶性樹脂塗布層は、水滴接触角を低下させ、金属蒸着薄膜との耐水接着性を悪化させる傾向があるので注意を要する。
【0059】
本発明において、蒸着膜としては、珪素の酸化物を使用する。蒸着の方法は、一般には真空蒸着によるが、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD等の方法によってもよい。蒸着膜は、塗布層の表面に形成される。蒸着膜の厚さは、蒸着フイルムの最終用途によって適宜選択されるが、通常5〜500nm、好ましくは10〜200nmである。なお、蒸着後に接着性、特に、耐水接着性や耐擦傷性などを付与するため、蒸着面に樹脂保護層を設けてもよい。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されない。以下の各例中の評価方法は次の通りである。
【0061】
(1)接着性評価:
蒸着フイルムの蒸着面に基材ポリエステルフイルムと同一厚さのポリエステルフイルムを通常のドライラミネート法により積層した後、エージング処理を行った。得られた積層体を幅15mmの短冊状とし、その端部を一部剥離し、剥離試験機により100mm/分の速度でT型剥離を行った。接着性評価は、下記の表1に示す基準で判定した。
【0062】
【表1】
A:200g以上
B:100g以上200g未満
C:100g未満
【0063】
(2)水滴接触角:
蒸着する前のサンプルの蒸着予定面について、接触角計(協和界面化学(株)社製「CA−DT−A型接触角計」)により、温度23℃、湿度50%RHで試料フイルムと蒸留水との接触角を測定した。接触角は、左右2点、試料数3で計6点測定し、平均値を求め接触角とした。なお、水滴の直径は2mmとし、滴下後1分後の数値を読み取った。
【0064】
(3)ガスバリアー性:
(a)透湿度
透湿度は、蒸着後の試料について、透湿度測定装置(モダンコントロールズ社製「W−1型透湿度測定装置」)により、温度40℃、湿度90%RHの条件下で測定した。透湿度(g/m2・24hr)の評価は、下記の表2に示す基準で判定した。
【0065】
【表2】
A:1未満
B:1以上2未満
C:2以上
【0066】
(b)酸素透過度
酸素透過度は、試料1として蒸着後の試料、試料2として試料1の蒸着面にグラビアインキ(東洋インキ製「NEW LP スーパー白」)を2μm厚印刷した試料、試料3として試料2をボイル処理(90℃、30分)した試料を使用した。試料1〜3について、酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製「OX−TRN100型酸素透過率測定装置」)により、温度30℃、湿度90%RHの条件下で酸素透過度(cc/m2・24hr・atm)を測定した。酸素透過度の評価は、下記の表3に示す基準で判定した。
【0067】
【表3】
A:1未満
B:1以上10未満
C:10以上
【0068】
実施例1〜6及び比較例1〜6
再生ポリエチレンテレフタレートを50重量%含有した固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートを280〜300℃の温度で押出機の口金より押し出し、静電密着法を併用しつつ冷却ドラム上にキャストし、厚さ約150μmの無定形ポリエステルシートを得た。上記のシートを95℃で縦方向に3.5倍延伸した後、下記の表4及び5に示す成分を含有し、且つ、塗布層を構成する樹脂が下記の表6に示す配合割合になる水媒体塗布液を前記縦延伸後のフイルムの片面に塗布し、さらに、110℃で横方向に3.5倍延伸し、230℃で熱処理して、塗布層の厚さ0.1μm、基体のポリエステルフイルムの厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフイルムを得た。次いで、上記のフイルムの塗布面側に、CVD法により500Åの厚さの酸化珪素蒸着膜を設けた。得られた蒸着フイルムの接着性、水滴接触角、透湿度、酸素透過度などの評価結果を下記の表4に示す。
【0069】
樹脂A:
オキサゾリン基含有水溶性ポリマー(オキサゾリン基含有量4.5mmol/g)の40重量%溶液(水/1−メトキシ−2−イソプロパノール=1/2容量比)として、日本触媒(株)社製「エポクロスWS−500」を使用した。
【0070】
樹脂B:
オキサゾリン基含有水難溶性ポリマー(オキサゾリン基含有量0.9mmol/g)の水分散体として、日本触媒(株)社製「エポクロスK1020」を使用した。
【0071】
樹脂C:
水性アクリル系樹脂水性塗料(無乳化剤タイプ)として、次の方法で得られた水性アクリル系樹脂水性塗料を使用した。すなわち、アクリル酸エチル40重量部、メタクリル酸メチル30重量部、メタクリル酸20重量部、グリシジルメタクリレート10重量部の混合物をエチルアルコール中で溶液重合し、重合後水を加えつつ加熱しエチルアルコールを除去した。アンモニア水でpH7.5に調節し、水性アクリル系樹脂水性塗料(無乳化剤タイプ)を得た。
【0072】
樹脂D:
水性アクリル系樹脂水性塗料(乳化剤含有タイプ)として、次の方法で得られた水性アクリル系樹脂水性塗料を使用した。すなわち、アクリル酸エチル40重量部、メタクリル酸メチル30重量部、メタクリル酸20重量部、グリシジルメタクリレート10重量部、乳化剤ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1重量部の混合物を水媒体中で乳化重合し、アンモニア水でpH7.5に調節し、水性アクリル系樹脂水性塗料(乳化剤含有タイプ)を得た。
【0073】
樹脂E:
水性ポリウレタン系樹脂水性塗料として、次の方法で得られた水性ポリウレタン系樹脂水性塗料を使用した。すなわち、先ず、テレフタル酸664部、イソフタル酸631部、1,4−ブタンジオール472部、ネオペンチルグリコール447部から成るポリエステルポリオールを得た。次いで、得られたポリエステルポリオールに、アジピン酸321部、ジメチロールプロピオン酸268部を加え、ペンダントカルボキシル基含有ポリエステルポリオールAを得た。更に、上記のポリエステルポリオールA1880部にヘキサメチレンジイソシアネート160部を加えて水性ポリウレタン系樹脂水性塗料を得た。
【0074】
樹脂F:
水性ポリエステル系樹脂水性塗料として、日本合成化学工業(株)社製「ポリエスターWR−961」を使用した。
【0075】
【表4】
【0076】
実施例7及び比較例7
再生ナイロン6含有量50重量のナイロン6を230℃の温度で押出機のTダイより押し出して冷却ドラムで急冷し、厚さ144μmの未延伸ナイロンシートを得た。上記のシートを60℃で縦方向に3倍延伸した後、下記の表7に示す配合割合の水媒体塗布液をシートの片面に塗布し、90℃で縦方向に3倍延伸し、205℃で熱処理し、フイルム厚16μmの2軸延伸ナイロンフイルムを得た。実施例1と同様に酸化珪素の蒸着膜を設け、厚さ50μのLLDPEと接着剤で張り合わせたフイルムについて、接着性、ガスバリアー性、接触角を測定し、結果を表5に示す。
【0077】
実施例8及び比較例8
再生ポリプロピレン含有量50重量のポリプロピレンを210℃の温度で押出機のTダイより押し出して冷却ドラムで急冷し、厚さ1mmの未延伸ポリプロピレンシートを得た。上記のシートを150℃で縦方向に5倍延伸した後、下記の表7に示す配合割合の水媒体塗布液をシートの片面に塗布し、155℃で縦方向に10倍延伸し、160℃で熱処理し、フイルム厚20μmの2軸延伸ポリプロピレンフイルムを得た。実施例1と同様に酸化珪素の蒸着膜を設け、厚さ50μのLLDPEと接着剤で張り合わせたフイルムについて、接着性、ガスバリアー性、接触角を測定し、結果を表5に示す。
【0078】
【表5】
【0079】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、基材フイルムと蒸着層との間の接着性およびガスバリアー性、特に、ボイル処理後および印刷後のガスバリアー性に優れた蒸着プラスチックフイルムが提供され、本発明の工業的価値は非常に大きい。
Claims (7)
- プラスチックフイルムの少なくとも片面に塗布層が形成され且つ当該塗布層の表面に酸化珪素を蒸着して成る蒸着プラスチックフイルムであって、前記塗布層が、オキサゾリン基含有量が0.4〜5.0mmol/gであるオキサゾリン基含有水溶性ポリマーを10〜80重量%、水性アクリル系樹脂を10〜80重量%、水性ポリウレタン系樹脂および/または水性ポリエステル系樹脂を10〜70重量%含有する樹脂混合物を硬化させて成ることを特徴とする蒸着プラスチックフイルム。
- 水性アクリル系樹脂が乳化剤を含有しない水性塗料である請求項1に記載の蒸着プラスチックフイルム。
- プラスチックフイルムがポリエステルより成る請求項1又は2に記載の蒸着プラスチックフイルム。
- ポリエステルフイルムを構成するポリエステルの10〜100重量%が再生ポリエステルである請求項3に記載の蒸着プラスチックフイルム。
- プラスチックフイルムが、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物の何れかより成る請求項1又は2に記載の蒸着プラスチックフイルム。
- 塗布層が、塗布液の塗布後に少なくとも1方向に延伸して形成されたものである請求項1〜5の何れかに記載の蒸着プラスチックフイルム。
- 塗布層の水滴接触角が60°以上である請求項1〜6の何れかに記載の蒸着プラスチックフイルム。
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