JP3870513B2 - キャップライナー材用組成物及びキャップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャップライナー材用組成物及びキャップに関するもので、キャップライナー材用組成物の流動性を向上させることにより、キャップライナー成形性が改良でき、キャップライナー成形を容易に行うことが可能であり、なおかつ耐熱性、耐衝撃性が高いため、キャップライナー材用組成物をキャップライナーとしてキャップに備え付けたとき、密封性に優れている特性を有する。
【0002】
このような特性により、本発明の組成物は、キャップライナー成形を容易に行うことを可能にさせ、なおかつ飲料用ボトルの輸送中における振動、衝撃及び落下等において漏れを防止し、有用である。
【0003】
【従来の技術】
キャップライナーの成形方法は、一般的にキャップライナー材用組成物を押出機等にて溶融混練りした後、一定量を溶融状態のまま、キャップ内側天面に切り出す。この切り出した組成物をすぐさま型押し、冷却して、キャップライナー形状に成形を行うという直接押出プレス法(インシェルモールド法)が好適に用いられており、成形性が良好であることが生産性、食品衛生の面において非常に重要である。
【0004】
また、キャップライナー材用組成物の他の重要な性能として、耐熱性がある。これは、高温充填、高温殺菌等による熱履歴のため、かなりの耐熱性が必要である場合が多いためである。キャップライナー材用組成物の耐熱性を向上させるために、組成物に弾力性付与のために一般的に添加されている熱可塑性エラストマー成分の分子量を上げ、耐熱性を向上させるという手法(特公平6−88608号公報)が採られた。
【0005】
しかしながら、特公平6−88608号公報に記載されているキャップライナー材用組成物は、高分子量タイプの熱可塑性エラストマーを用いるため、その組成物の流動性が損なわれる。上記で説明したキャップライナー成形に用いられているインシェルモールド法の成形にその組成物を使用すると、流動性が十分でないため、押出不良、型押し形状不良が発生する。
【0006】
また、高分子量タイプの熱可塑性エラストマーを用いて、流動性を改良するには、組成物に添加されている流動パラフィンの添加量を多くする必要があったが、流動パラフィンがキャップライナーから内容物に溶出し、内容物の表面に油膜を形成するワックスフロートと呼ばれる現象が発生し、食品衛生上問題があった。
【0007】
しかし、キャップライナー材用組成物には、食品衛生上安全であることはもとより、耐熱性も必要であり、キャップライナー材用組成物の耐熱性すなわちエラストマー成分の耐熱性が低いとキャップライナーの圧縮歪みが大きく、弾性回復力がなくなり開栓トルクの低下、更には、密封性の低下がみられ、漏れを生じることもあったため、キャップライナー材用組成物の流動性を犠牲にして、高分子量タイプの熱可塑性エラストマーを用い、キャップライナー成形性が不良になることを余儀なくされた。
【0008】
そこで、食品衛生上安全で耐熱性、耐衝撃性が高く、密封性に優れ、かつキャップライナー成形を行うのにキャップライナー材用組成物の流動性が十分であるキャップライナー材用組成物が要望されていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術課題を背景になされたもので、食品衛生上安全で、耐熱性、耐衝撃性が高く、密封性に優れ、キャップライナー成形を行うのに流動性が十分であるキャップライナー材用組成物及びその組成物からなるキャップライナーが備え付けられたキャップを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らが食品衛生上安全で、耐熱性、耐衝撃性が高く、密封性に優れ、十分な流動性があるという特性を併せ持たせることを目的とし鋭意検討した結果、ポリエチレン系樹脂にスチレン含有量、メルトフローレート(JIS K7210−76;230℃、2.16kg荷重、以下MFR(230℃、2.16kg荷重)という)を限定させた水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムと水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴムを併用させるという方法で、具体的には、低流動性水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム成分で耐熱性の保持をさせ、スチレン含有量を比較的高くし、耐熱性の低下を抑えた高流動性水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム成分で流動性の改良を行う手法で、従来の高分子量タイプの水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムを用いたキャップライナー材用組成物と耐熱性、耐衝撃性を示す落下試験において同等レベルであり、かつ流動パラフィンを比較的低い添加量で抑えることができ、キャップライナー材用組成物の流動性は格段に向上することを見い出し、発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、(イ)ポリエチレン系樹脂12〜70重量%、(ロ)スチレン含有量が5〜35重量%、MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min未満の水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム3〜50重量%、(ハ)スチレン含有量が10〜50重量%、MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜100g/10minの水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム3〜20重量%及び(ニ)30〜550mm2/S (40℃)の粘度(JIS K2283−83)を有する流動パラフィン1〜18重量%からなるキャップライナー材用組成物である。
【0012】
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂(イ)としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、エチレンの単独重合体あるいはエチレンと1種以上のα−オレフィンまたは酢酸ビニルとの共重合体で、1種または2種以上のブレンド物を用いることができる。
【0013】
ここで、エチレンとの共重合に用いられるα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ノネン及び4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。
【0014】
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体の場合は、酢酸ビニルモノマー含量は、20重量%以下が耐熱性の面から好ましい。
【0015】
ポリエチレン系樹脂(イ)のメルトフローレート(JIS K7210−76;190℃、2.16kg荷重、以下MFR(190℃、2.16kg荷重)という)は、1.0〜100g/10min、密度(JIS K6760−81)は、0.850〜0.965g/cm3のものが、機械的強度及び流動性の面から好ましい。
【0016】
本発明に用いられる水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(ロ)は、ブロック構造としては、A:スチレン重合体ブロック、B:ブタジエン重合体ブロックと表すとA−B−A型もしくはA−B型であり、1種または2種以上のブレンド物である。水素添加物とは、ブタジエン部分を水素添加したものである。
【0017】
水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムとしては、商品名「セプトン」(株式会社クラレ製SEBS)、商品名「クレイトンG」(シェルジャパン株式会社製SEBS、SEBS/SEBブレンド物)、および商品名「タフテック」(旭化成工業株式会社製SEBS)等が挙げられる。
【0018】
ここで、スチレン重合体ブロックに使用されるスチレンモノマーとしては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ビニルピリジンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0019】
スチレンの含有量は、5〜35重量%で、好ましくは10〜32重量%であり、5重量%未満では、耐熱性が劣ってしまい圧縮歪みが大きくなり、35重量%を越えると硬くなってしまい弾力性に欠けてしまう。
【0020】
また、MFR(230℃、2.16kg荷重)は、0.1g/10min未満であり、0.1g/10min以上では、耐熱性が劣り、圧縮歪みが大きくなる。MFRの下限値は、MFR測定時の採取量がほとんどなく、MFRが限りなく0に近いものでも好適に用いられ、例えば、シェルジャパン株式会社製SEBSのクレイトンG1654X(MFR測定不能、流動せず)等が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム(ハ)は、具体的に水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム及び水素添加スチレン−イソプレン/ブタジエンブロック共重合体ゴムと呼ばれるものである。
【0022】
水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム(ロ)は、ブロック構造としては、A:スチレン重合体ブロック、B:共役ジエン重合体ブロックと表すとA−B−A型もしくはA−B型であり、1種または2種以上のブレンド物である。水素添加物とは、共役ジエン部分を水素添加したものである。
【0023】
水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムとしては、商品名「セプトン」(株式会社クラレ製SEBS)、商品名「クレイトンG」(シェルジャパン株式会社製SEBS、SEBS/SEBブレンド物)、および商品名「タフテック」(旭化成工業株式会社製SEBS)等が挙げられ、また水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴムとしては、商品名「セプトン」(株式会社クラレ製SEP、SEPS)及び商品名「クレイトンG」(シェルジャパン株式会社製SEP)等が挙げられる。
【0024】
また、スチレン重合体ブロックに使用されるスチレンモノマーとしては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン及びN,N−ビニルピリジンなどが挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0025】
水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム(ハ)のスチレン含有量は、10〜50重量%であり、スチレン含有量が10重量%未満では、耐熱性に劣り、50重量%を越えると硬くなってしまい弾力性に欠けてしまう。
【0026】
また、MFR(230℃、2.16kg荷重)は、0.1〜100g/10minであり、MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min未満では、キャップライナー材用組成物としたとき、流動性の向上効果が少なく、100g/10minを越えると耐熱性が著しく低下する。
【0027】
このような水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴムを用いると、耐熱性の指標となる後述する水入りボトル落下試験で、従来のキャップライナー材用組成物と同等レベルであり、しかも良好なキャップライナー成形を行うのに十分な流動性が得られ、キャップライナー成形性の善し悪しを評価する方法を後述するが、押出機のスクリュトルク値が50アンペア以下と成形時の負荷が少なく、なおかつプレス成形性が良好となり、生産性が向上する。
【0028】
本発明に用いられる流動パラフィン(ニ)は、石油の潤滑油留分に含まれる芳香族炭化水素やイオウ化合物等の不純物を除去、精製した飽和炭化水素からなるものである。
【0029】
流動パラフィンとしては、商品名「クリストール」(エッソ石油株式会社製流動パラフィン)、商品名「モレスコ・ホワイト」(株式会社松村石油研究所製流動パラフィン)等が挙げられる。
【0030】
流動パラフィンの粘度は、30〜550mm2/S(40℃)で、好ましくは、50〜300mm2/S(40℃)で、30mm2/S未満では耐熱性が低く、低粘度のためキャップライナー材より流動パラフィンが内容物に溶出するワックスフロート現象が発生し不良であり、550mm2/Sを越えるとキャップライナー材用組成物の流動性が不足し、加工性不良となる。
【0031】
本発明のキャップライナー材用組成物は、前記のポリエチレン系樹脂(イ)が12〜70重量%、好ましくは、15〜50重量%、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(ロ)が3〜50重量%、好ましくは、5〜40重量%、水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム(ハ)が3〜20重量%、好ましくは、5〜15重量%及び流動パラフィン(ニ)が1〜18重量%、好ましくは、5〜18重量%から構成されている。
【0032】
ポリエチレン系樹脂(イ)が12重量%未満では、流動性が劣り、70重量%を越えると硬くなってしまい弾力性に欠ける。
【0033】
水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(ロ)が3重量%未満では、弾力性付与、耐熱性保持の効果が少なく、50重量%を越えると流動性の低下が著しく、不良である。
【0034】
水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム(ハ)が3重量%未満では、流動性改良効果が少なく、20重量%を越えると耐熱性が劣るため好ましくない。
【0035】
また、キャップライナー材用組成物に添加されているMFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min未満の水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(ロ)とMFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜100g/10minの水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム (ハ)のみブレンドにおいて、そのブレンド物のMFR(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜3.0g/10minの範囲であることが耐熱性の面からより好ましい。
【0036】
流動パラフィン(ニ)が1重量%未満では、流動性、弾力性に欠け、18重量%を越えると内容物へのワックスフロートが発生し易くなり、不良である。
【0037】
本発明のキャップライナー材用組成物およびキャップ成形品を得るには、前記のポリエチレン系樹脂(イ)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(ロ)、水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム(ハ)及び流動パラフィン(ニ)を前記の範囲で公知な種々の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー及びバンバリーミキサー等で溶融混練し、造粒あるいは粉砕する方法か、もしくは事前に溶融混練せずにドライブレンド品、もしくはオートフィーダーによる方法を用い、直接押出プレス法(インシェルモールド法)によりキャップライナー材用組成物及びその組成物をキャップライナーとして備え付けたキャップを得るという方法を採用すれば良く、樹脂製キャップおよび金属製キャップへの接着性も良好で好適に用いられる。
【0038】
本発明のキャップライナー材用組成物には必要に応じて熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、界面活性剤、防曇剤、流滴剤、核剤、顔料、染料、シリカ、タルク、マイカ、カーボン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属ステアレート、木粉、コルク粉末、セルロースパウダー等の無機あるいは、有機の添加剤、充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合しても良い。
【0039】
その中でもスリップ剤は、キャップ開栓トルクを調整するために必要な場合が多く、とりわけ高級脂肪酸アマイド、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステル及びエチレンビス高級脂肪酸アマイド等が用いられ、好適には、高級脂肪酸アマイドが用いられる。具体的に示すと、カプリル酸アマイド、カプリン酸アマイド、ラウリン酸アマイド、ミリスチン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、アラキド酸アマイド、ベヘン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リノール酸アマイド、リノレン酸アマイドが挙げられ、特にステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド及びエルカ酸アマイドが好ましい。
【0040】
本発明のキャップライナー材用組成物は、ポリプロピレン系樹脂(ホ)を耐熱性を向上させるということからポリエチレン系樹脂(イ)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(ロ)、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(ハ)及び流動パラフィン(ニ)の合計100重量部に対して1〜60重量部添加することが可能である。
【0041】
ポリプロピレン系樹脂(ホ)は、プロピレンの単独重合体あるいはプロピレンと少量の他の1種以上のα−オレフィンとの共重合体で、ホモ、ランダム及びブロック共重合体である。
【0042】
α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテン等の例を挙げることができる。プロピレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、0.1〜6モル%のエチレンを含有するプロピレン・エチレン共重合体、0.1〜6モル%の1−ブテンを含有するプロピレン・1−ブテン共重合体、0.1〜6モル%のエチレンと0.1〜6モル%の1−ブテンを含有するプロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。
【0043】
また、プロピレンの単独重合体およびプロピレン・α−オレフィン共重合体の1種または2種以上のブレンド物又はこれらのカルボン酸誘導体あるいはエポキシ誘導体等による変性物を含むものであっても良い。
【0044】
本発明のキャップライナー材用組成物の特徴は、スチレン含有量、MFRの異なる水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム及び水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴムを用い、従来のキャップライナー材用組成物にはない、食品衛生上安全で、耐熱性、耐衝撃性が高いため、密封性に優れ、かつキャップライナー成形を行うのに流動性が十分であるキャップライナー材用組成物である点にある。
【0045】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
【0046】
本発明で用いた試験測定方法は次の通りである。
【0047】
<押出機スクリュトルク>
L/D=25mm、40mmφの田辺プラスチックス機械(株)製単軸押出機を用い、キャップライナー材用組成物を樹脂温度210℃、スクリュ回転数50rpm、吐出量15kg/hで溶融混練させ、ダイヘッド部に開けられた8mmφの穴から1本のストランドを出すという条件下で、その時の押出機のスクリュにかかる電流値を測定し、押出成形時の負荷を求めた。
【0048】
<プレス成形性>
押出機スクリュトルクの評価の時にダイヘッド部より出てきたストランドをそのまま300mgとなるようにカッターを用い、ホットカットする。ホットカットした溶融ペレットを28mmφ樹脂製キャップに落下させ、すぐさま圧力2kg/cm2で加圧冷却し、キャップライナー形状に整える。100個キャップライナー成形したときのキャップライナー形状の不良率を測定する。
【0049】
<水入りボトルの落下試験>
キャップライナー材用組成物の耐熱性、耐衝撃性を比較する試験として、下記の試験方法を実施した。
【0050】
500ml用PET製ボトルに熱水を95℃で500ml充填を行い、プレス成形性評価で作製したキャップを用い、キャップ巻き締めを15kg−cmのトルクで行った。その後、キャップの天面から90℃の熱水を3分間シャワーし、十分に常温に冷却してテストPET製ボトルを得た。
【0051】
1箱24本入り(4本×6段)の段ボール製カートンケースにダミーボトル (テストPET製ボトルと同様のものに500mlの水を単に入れ、キャップを巻き締めたもの)を20本入れ、上段4本のみキャップを巻き締めたテストPET製ボトルを入れた。
【0052】
テストPET製ボトル4本が上段となるようカートンケースを置き、キャップ天面側が衝撃面になるように徐々にカートンケースを自重で倒れるよう傾け、落下させた。
【0053】
液漏れするまで落下を繰り返し、漏れたテストPET製ボトルはそれまでの落下回数を落下回数値とし、カートンケースから抜き出しダミーボトルと入れ換え、テストPET製ボトル全数漏れるまで繰り返した。(但し、最大落下回数を30回とした。)
実施例1
ポリエチレン系樹脂(東ソー株式会社製:ペトロセン202(低密度ポリエチレン):MFR(190℃、2.16kg荷重)24g/10min、密度(JIS K6760−81)0.918g/cm3、以下PE−1という)が37重量%、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(シェルジャパン株式会社製クレイトンG1650:スチレン含有量29重量%、MFR(230℃、2.16kg荷重)測定不可、流動せず、以下SEBS−1という)が30重量%、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(旭化成工業株式会社製タフテックH1041:スチレン含有量30重量%、MFR(230℃、2.16kg荷重)5g/10min、以下SEBS−2という)が18重量%及び流動パラフィン(エッソ石油株式会社製クリストールJ−262;粘度51mm2/S(40℃)、以下流パラ−1という)15重量%の100重量部に対し、、エルカ酸アマイドを0.5重量部添加し、タンブラーブレンダーで15分混合後、L/D=36mm、57mmφの東芝機械(株)二軸押出機で樹脂温度210℃で溶融混練、造粒し、組成物を得た。その組成物を用い、押出機スクリュトルク測定、プレス成形性及び水入りボトルの落下試験を行い、試験結果を表1に示す。
【0054】
実施例2
実施例1において、PE−1が37重量%、SEBS−1が30重量%、SEBS−2が18重量%及び流パラ−1が15重量%の100重量部に対し、エルカ酸アマイドを0.5重量部及びポリプロピレン系樹脂(チッソ株式会社製:チッソポリプロK1035:MFR(230℃、2.16kg荷重)35g/10min、以下PP−1という)を20重量部を添加し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0055】
実施例3
実施例2において、PE−1が50重量%、SEBS−1が15重量%、SEBS−2が20重量%及び流パラ−1が15重量%の100重量部に対し、エルカ酸アマイドを0.5重量部及びPP−1を20重量部とし、実施例1の要領で組成物を得た。物性の測定結果を第1表に示す。
【0056】
実施例4
実施例2において、PE−1が20重量%、SEBS−1が40重量%、SEBS−2が25重量%及び流パラ−1が15重量%の100重量部に対し、エルカ酸アマイドを0.5重量部及びPP−1を20重量部添加し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0057】
実施例5
実施例2において、PE−1が60重量%、SEBS−1が10重量%、SEBS−2を変更した水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(旭化成工業株式会社製タフテックH1051:スチレン含有量40重量%、MFR (230℃、2.16kg荷重)0.8g/10min、以下SEBS−3という)が20重量%及び流パラ−1が10重量%の100重量部に対し、エルカ酸アマイドを0.5重量部及びPP−1を20重量部添加し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0058】
実施例6
実施例2において、SEBS−2を水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(シェルジャパン株式会社製クレイトンG1657:スチレン含有量13重量%、MFR(230℃、2.16kg荷重)8g/10min、以下SEBS−4という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0059】
実施例7
実施例2において、SEBS−2を水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(旭化成工業株式会社製タフテックH1042:スチレン含有量20重量%、MFR(230℃、2.16kg荷重)30g/10min、以下SEBS−5という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0060】
実施例8
実施例2において、SEBS−2を水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム(株式会社クラレ製セプトン2063:スチレン含有量13重量%、MFR(230℃,2.16kg荷重)7g/10min、以下SEPS−1という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0061】
比較例1
PE−1が37重量%、SEBS−1が48重量%及び流パラ−1が15重量%の100重量部に対し、エルカ酸アマイドを0.5重量部及びPP−1を20重量部添加し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0062】
比較例2
比較例1において、SEBS−1をSEBS−2に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0063】
比較例3
比較例1において、SEBS−1をSEBS−3に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0064】
比較例4
比較例2において、PE−1が80重量%、SEBS−1が6重量%、SEBS−2が4重量%及び流パラ−1が10重量%の100重量部に対し、エルカ酸アマイドを0.5重量部及びPP−1を20重量部添加し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】
本発明のキャップライナー材用組成物は、従来公知のキャップライナー材用組成物には無い、食品衛生上安全で、耐熱性、耐衝撃性が高く、密封性に優れ、かつキャップライナー成形を行うに流動性が十分であるという特性を併せ持っているので、キャップライナー成形が容易に行え、飲料用及び食品用のボトル輸送中等における振動、衝撃及び落下等において漏れを防止し、有用である。
【0067】
Claims (4)
- (イ)ポリエチレン系樹脂12〜70重量%、(ロ)スチレン含有量が5〜35重量%、メルトフローレート(JIS K7210−76;230℃、2.16kg荷重)が0.1g/10min未満の水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム3〜50重量%、(ハ)スチレン含有量が10〜50重量%、メルトフローレート(JIS K7210−76;230℃、2.16kg荷重)が0.1〜100g/10minの水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム3〜20重量%及び(ニ)30〜550mm2/S(40℃)の粘度(JIS K2283−83)を有する流動パラフィン1〜18重量%からなるキャップライナー材用組成物。
- キャップライナー材用組成物に添加されているメルトフローレート(JIS K7210−76;230℃、2.16kg荷重)0.1g/10min未満の水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム(ロ)とメルトフローレート(JIS K7210−76;230℃、2.16kg荷重)0.1〜100g/10minの水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム(ハ)のみのブレンドにおいて、そのブレンド物のメルトフローレート(JIS K7210−76;230℃、2.16kg荷重)が0.1〜3.0g/10minの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のキャップライナー材用組成物。
- 請求項1又は2に記載の組成物100重量部に対し、ポリプロピレン系樹脂(ホ)を1〜60重量部添加してなるキャップライナー材用組成物。
- 請求項1、2又は3に記載のキャップライナー材用組成物からなるキャップライナーが備え付けられたキャップ。
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