JP4815629B2 - キャップライナー材用組成物及びキャップ並びに包装容器 - Google Patents

キャップライナー材用組成物及びキャップ並びに包装容器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品衛生性、キャップライナー成形性及びキャップへの密着性に優れるキャップライナー材用組成物及びそれをキャップライナーとして有するキャップ、並びにこのキャップを有する包装容器に関するものである。詳しくは、キャップライナー材用組成物は、押出成形性とキャップへの接着性を改善するものであり、なおかつ、油性分を含有する内容物を充填した容器のキャップに備え付けたキャップライナーとして使用したとき、キャップライナーからの溶出分を低レベルに抑えるものである。
このような特性により、本発明の組成物は、キャップライナーの生産性及び食品衛生上安全性に優位性を持ち、なおかつ、食料及び飲料の内容物の種類に関わらず、使用可能である。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、キャップのキャップライナーに用いられている材料として、ポリオレフィンに水素添加スチレン−共役ジエンブロック共重合体ゴム及び流動パラフィン等を加えた組成物(特公平6−88608号公報)が好適に用いられていた。
しかし、この組成物は、油成分に対し、溶出し易い流動パラフィンが添加されているために、食品衛生の指標として、通常用いられている「食品衛生法に基づく食品、添加物等の規格基準(厚生省告示第二十号:1982年2月16日)」内の溶出試験蒸発残留物(溶出用液:n−ヘプタン)の規格値150ppm以下(使用温度が100℃以下)をクリアーし難く、食品衛生上改善が望まれていた。
【0003】
また、容器内の内容物に対する味及び臭いの影響が少ないポリオレフィンのみで構成されているキャップライナーが特表平9−501721号公報に紹介されている。しかし、キャップライナー成形法で好適に用いられているインシェルモールド法(具体的には、キャップライナー材用組成物を押出機で樹脂温度210℃で溶融押出し、一定量(約300mg)をホットカットして、28mmφ樹脂製キャップのシェル内に落下させる。そして、すぐさま押型で加圧冷却させ、ライナー形状に整え、キャップを作製する。)で成形を行った時、押出部での負荷の増大という問題やホットカットペレットがキャップへ落下したとき、キャップ中央部に落下しても、そこからプレスされるまでに微小に動いてしまい適正なキャップライナー形状に成形できず、欠損部分が生じたり、キャップライナーの縁部分に時間の経過と伴に剥離部分が生じたりといった問題が発生した。
このため、キャップライナーの欠損部分や剥離部分から外気が容器内に入ることによる雑菌の繁殖などの食品衛生上の問題を防ぐことが要望されていた。
【0004】
現在用いられているキャップライナー材用組成物は、前記の食品衛生性、キャップライナー成形性の問題を抱えており、キャップライナー成形性に優れ、なおかつ食品衛生上安全であるキャップライナー材用組成物及びその組成物からなるキャップライナーを備え付けたキャップライナーが要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、キャップライナー成形性に優れ、なおかつ、食品衛生上安全であるキャップライナー材用組成物及びその組成物からなるキャップライナーが備え付けられたキャップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、メルトフローレート、結晶化温度及び単分散性(重量平均分子量/数平均分子量)が特定の範囲内であるエチレン・α−オレフィン共重合体、特定の分岐状低密度ポリエチレン及び特定の樹脂成分からなるキャップライナー材用組成物を用いることで、キャップライナー成形性に優れ、なおかつ、n−ヘプタンに対する溶出残留物を低いレベルに抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、メルトフローレート(JIS K7210−76;190℃−2.16kg荷重)が0.1〜50g/10min、結晶化温度70〜110℃、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー測定における単分散性(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜3.0の範囲であるエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)50〜98重量%、メルトフローレート(JIS K7210−76;190℃−2.16kg荷重)が0.3〜80g/10min、密度(JIS K6760−81)が0.910〜0.935g/cm3 、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー測定における単分散性(重量平均分子量/数平均分子量)が3〜12の範囲である分岐状低密度ポリエチレン(ロ)1〜30重量%及びポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種類以上の樹脂(ハ)1〜20重量%からなる(ただし、エラストマーを含む場合を除く)ことを特徴とするキャップライナー材用組成物及びその組成物からなるキャップライナーを有することを特徴とするキャップである。
【0008】
本発明に用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)は、メルトフローレート(JIS K7210−76;190℃−2.16kg荷重)が0.1〜50g/10min、結晶化温度70〜110℃、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー測定における単分散性(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜3.0の範囲である。
エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)は、メルトフローレート(JIS K7210−76;190℃−2.16kg荷重、以下MFRという。)が0.1〜50g/10minであり、好ましくは0.5〜30g/10minである。エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRが0.1g/10min未満ではキャップライナー成形時に押出負荷がかかりすぎ成形不良となり、50g/10minを越えると耐熱性に劣る。
【0009】
エチレン・α−オレフィン共重合体の結晶化温度は、70〜110℃であり、好ましくは75〜100℃である。エチレン・α−オレフィン共重合体の結晶化温度が70℃未満では耐熱性に劣り、110℃を越えると硬くなり、柔軟性に欠ける。尚、結晶化温度の測定方法は、走査型示差熱量計(DSC)(パーキンエルマー社製、装置名「DSC−7」)を用いて測定した。DSC炉内で試料を200℃で5分間溶融させた後、10℃/分の冷却速度で30℃まで下げて固化(結晶化)して得られる発熱曲線の最大ピーク位置の温度を結晶化温度として測定した。
【0010】
また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される単分散性(Mw/Mn)が1.5〜3.0の範囲であるという特性を有する。単分散性が1.5未満では、分子量分布が狭くなりすぎキャップライナー成形性に劣り、3.0を越えるとエチレン・α−オレフィン共重合体成分中に含まれる低分子量分の量が多く、食品衛生上問題がある。尚、MwとMnの測定方法は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(日本ミリポア社製、装置名「ALC/GPC150C」(カラム:東ソー株式会社製、商品名「GMHHR−H(S)」3本、溶媒:1,2,4−トリクロルベンゼン、温度:140℃、流量1.0ml/分、注入濃度1mg/1ml、注入量300μl)を用いて測定した。なお、東ソー株式会社製標準ポリスチレンを用いて、ユニバーサルキャリブレーション法によりカラム溶出体積は校正した。
【0011】
エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)は、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、チタン等の還移金属に少なくとも一つのシクロペンタジエニル基又は置換シクロペンタジエニル基を有するメタロセン触媒、チーグラー・ナッタ触媒、パナジウム触媒等を用い、エチレン及びα−オレフィンを共重合することにより製造することができる。
【0012】
ここで、エチレンとの共重合に用いられるα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセンなどを挙げることができ、α−オレフィンとしては、1種類以上を共重合したものでよい。また、エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)としては、1種又は2種以上のブレンド物を用いることができる。
【0013】
本発明に用いられる分岐状低密度ポリエチレン(ロ)は、MFRが0.3〜80g/10minであり、好ましくは1〜50g/10minである。分岐状低密度ポリエチレンのMFRが0.3g/10min未満では、流動性が不足し、成形性が劣り、80g/10minを越えると耐熱性が低下する。
分岐状低密度ポリエチレン(ロ)の密度(JIS K6760−81)は、0.910〜0.935g/cm3 であり、好ましくは0.915〜0.925g/cm3 である。分岐状低密度ポリエチレンの密度が0.910g/cm3 未満では、耐熱性が低下し、0.935g/cm3 を越えると、キャップライナー材用組成物が硬くなり、柔軟性に欠ける。
【0014】
また、分岐状低密度ポリエチレン(ロ)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される単分散性(Mw/Mn)が3〜12の範囲であるという特性を有する。単分散性が3未満では、分子量分布が狭くなりすぎキャップライナー成形性の改善効果が無く、12を越えると分岐状低密度ポリエチレン成分中に含まれる低分子量分の量が多く、食品衛生上問題がある。尚、MwとMnは、エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)に用いた測定方法と同様である。
【0015】
分岐状低密度ポリエチレン(ロ)としては、上記に示す条件を満足する分岐状低密度ポリエチレンであればいかなるものも用いることができ、そのような分岐状低密度ポリエチレンとしては、例えば、高圧法とよばれる方法で製造される。
【0016】
本発明に用いられるポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種類以上の樹脂(ハ)は、一般的なポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートを用いることができ、その中でも、キャップを構成する主成分と同様の樹脂成分であることが好ましく、そのようなものとしては、例えば、キャップを構成する主成分がポリプロピレンであれば、ホモ、ブロック、ランダム重合されたポリプロピレンよりなる樹脂であり、高密度ポリエチレンであれば、高密度ポリエチレンよりなる樹脂であり、ポリエチレンテレフタレートであれば、ポリエチレンテレフタレートよりなる樹脂である。
【0017】
本発明のキャップライナー材用組成物は、前記のエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)が50〜98重量%、好ましくは、70〜95重量%、分岐状低密度ポリエチレン(ロ)が1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%及びポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種類以上の樹脂(ハ)が1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%から構成されている。
【0018】
エチレン・α−オレフィン共重合体(イ)が50重量%未満では、食品衛生上問題が発生する可能性があり、98重量%を越えるとキャップライナー成形性に劣る。
分岐状低密度ポリエチレン(ロ)が1重量%未満では、キャップライナー成形時の押出負荷の低減の効果に乏しく、成形性に劣り、30重量%を越えると食品衛生上好ましくない。
【0019】
また、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1以上の樹脂(ハ)が1重量%未満では、樹脂キャップへの接着性が十分でなく、20重量%を越えると一般的に高剛性である同系樹脂の割合が大きくなりすぎ、硬く、柔軟性に欠ける。
【0020】
本発明のキャップライナー材用組成物及びキャップ成形品を得るには、前記のエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)、分岐状低密度ポリエチレン(ロ)及びポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種類以上の樹脂(ハ)を前記の範囲で公知な種々の方法、例えば、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、一軸押出機、二軸押出機、ニーダー及びバンバリーミキサー等で溶融混練し、造粒あるいは粉砕する方法か、もしくは事前に溶融混練せずにドライブレンド品又はオートフィーダーによる方法を用い、インシェルモールド法によりキャップライナー材用組成物及びその組成物をキャップライナーとして備え付けたキャップを得るという方法を採用すれば良い。
【0021】
本発明のキャップライナー材用組成物は、必要に応じて熱可塑性樹脂、耐熱安定剤、耐侯安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤、界面活性剤、防曇剤、流滴剤、可塑剤、核剤、顔料、染料、シリカ、タルク、マイカ、カーボン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属ステアレート、木粉、コルク粉末、セルロースパウダー等の無機あるいは、有機の添加剤、充填剤を本発明の目的を損なわない範囲で添加しても良い。
【0022】
スリップ剤もキャップ開栓トルクを調整するために必要な場合が多く、一般的に好適に用いられている。例えば、高級脂肪酸アマイド、高級脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステル及びエチレンビス高級脂肪酸アマイド等が用いられ、好適には、高級脂肪酸アマイドが用いられ、具体的に示すと、カプリル酸アマイド、カプリン酸アマイド、ラウリン酸アマイド、ミリスチン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、アラキド酸アマイド、べヘン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リノール酸アマイド、リノレン酸アマイドが挙げられる。
【0023】
本発明のキャップライナー材用組成物の特徴は、メルトフローレート、結晶化温度及び単分散性(重量平均分子量/数平均分子量)を特定範囲に限定したエチレン・α−オレフィン共重合体に特定の分岐状低密度ポリエチレン及びキャップを構成する同系統の樹脂成分を添加するという方法で、従来のキャップライナー材用組成物にはない、キャップライナー成形性が優れ、食品衛生上安全なキャップライナー材用組成物である。
上記の特徴より本発明のキャップライナー材用組成物からなるキャップライナーを備え付けたキャップは、清涼飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ミネラルウォーター、ノンオイルドレッシングのような水系食料及び飲料用の包装容器用キャップとして使用でき、更には、焼き肉等用タレ、ドレッシング、調味用ソース、マヨネーズ、サラダ油及びゴマ油のような内容物が油成分である包装容器用キャップとしても、食品衛生上問題なく、安全に使用できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
【0025】
【実施例】
実施例及び比較例で用いたエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法を以下に示す。
<エチレン・α−オレフィン共重合体の製造例>
ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド:N,N−ジメチルアリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート:トリイソブチルアルミニウム=1:2:250(モル比)よりなる重合触媒を調製した。該重合触媒を用い、重合温度150〜175℃、重合圧力900kgf/cm2 でエチレンと1−ヘキセンの共重合を行い、エチレン・1−ヘキセンの共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体を得た。
【0026】
実施例及び比較例における、エチレン・α−オレフィン共重合体及び分岐状低密度ポリエチレンのMw/Mn測定及び結晶化温度測定の方法を以下に示す。
<Mw/Mn(単分散性)の測定>
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(日本ミリポア社製、装置名「ALC/GPC150C」(カラム:東ソー株式会社製、商品名「GMHHR−H(S)」3本、溶媒:1,2,4−トリクロルベンゼン、温度:140℃、流量1.0ml/分、注入濃度1mg/1ml、注入量300μl)を用いて測定した。なお、東ソー株式会社製標準ポリスチレンを用いて、ユニバーサルキャリブレーション法によりカラム溶出体積は校正した。
【0027】
<結晶化温度測定>
走査型示差熱量計(DSC)(パーキンエルマー社製、装置名「DSC−7」)を用いて測定した。DSC炉内で試料を200℃で5分間溶融させた後、10℃/分の冷却速度で30℃まで下げて固化(結晶化)して得られる発熱曲線の最大ピーク位置の温度を結晶化温度として測定した。
【0028】
また、本発明で用いた試験測定方法は次の通りである。
<油成分溶出量測定>
食品衛生法に基づく食品、添加物等の規格基準(厚生省告示第二十号:1982年2月16日)に準ずる方法で行った。
150×150×2mmのプレス金型を用いプレス温度200℃、樹脂圧75kg/cm2 でプレスを行い、平板サンプルを作成した。その平板サンプルを100×50×2mmに切り取り、試験片とした。
上記、試験片を水でよく洗い、試料の表面積1cm2 につき2ml割合(全量200ml)のn−ヘプタンに浸積し、25℃に保ちながら1時間放置した。
試験溶液200mlをナス型フラスコに移し、減圧濃縮して数mlとしたその濃縮液及びそのフラスコをn−ヘプタン約5mlずつで2回洗ったその洗液をあらかじめ105℃で乾燥した重量既知の石英製の蒸発皿に採り、水浴上で乾燥させた。次いで105℃で2時間乾燥した後、デシケーター中で放冷した。
冷却後、秤量して蒸発皿の前後の重量差a(mg)を求め、次式により蒸発残留物を求めた。(ただし、b:試験溶液と同量のn−ヘプタンについて得た空試験値(mg))
蒸発残留物(ppm)=(a−b)÷(n−ヘプタンの採取量(ml))×1000
求めた蒸発残留物が50ppm以下であれば、内容物への香味阻害が少なく、食品衛生上安全とし、合格とみなした。
【0029】
<ライナー成形性評価>
L/D=25mm、40mmφの田辺プラスチックス機械株式会社製単軸押出機を用い、キャップライナー材用組成物を樹脂温度210℃、スクリュ回転数100rpm、吐出量15kg/hで溶融混練させ、ダイヘッド部に開けられた8mmφの穴から1本のストランドを出す。ダイヘッド部より出てきたストランドをそのまま300mgとなるようにカッターを用い、ホットカットする。ホットカットした溶融ペレットを28mmφ各種樹脂製キャップに落下させ、すぐさま圧力2kg/cm2 で加圧冷却し、キャップライナー形状に整える。押出部先端部の樹脂圧力と、100個キャップライナー成形し、48時間23℃で放置した後の正確な形状のキャップライナーになる成功率(キャップライナー縁の剥離は、不成功)を測定する。
【0030】
<水ボトルの落下試験>
キャップライナー材用組成物の耐衝撃性を比較する試験として、下記の試験方法を実施した。
500ml用PET製ボトルに熱水を75℃で500ml充填を行い、キャップライナー成形性評価で作製した良好なキャップを用い、キャップ巻き締めを15kg−cmのトルクで行った。その後、キャップの天面から80℃の熱水を3分間シャワーし、十分に常温に冷却してテストPET製ボトルを得た。
1箱24本入り(4本×6段)の段ボール製カートンケースにダミーボトル(テストPET製ボトルと同様のものに500mlの水を単に入れ、キャップを巻き締めたもの)を20本入れ、上段4本のみキャップを巻き締めたテストPET製ボトルを入れた。
テストPET製ボトル4本が上段となるようカートンケースを置き、キャップ天面側が衝撃面になるように徐々にカートンケースを自重で倒れるよう傾け、落下させた。
液漏れするまで落下を繰り返し、漏れたテストPET製ボトルはそれまでの落下回数を落下回数値とし、カートンケースから抜き出しダミーボトルと入れ換え、テストPET製ボトル全数漏れるまで繰り返した。(但し、最大落下数を20回とした。)
【0031】
実施例1
ポリプロピレン製樹脂キャップのキャップライナー材用組成物として、エチレン・α−オレフィン共重合体(MFR7g/10min、結晶化温度79.3℃、Mw/Mn2.0、以下PE−1という)を85重量%、分岐状低密度ポリエチレン系樹脂(東ソー株式会社製;商品名ペトロセン203:MFR8g/10min、密度(JIS K6760−81)0.919g/cm3 、Mw/Mn8.8、以下LD−1という)が10重量%及びポリプロピレン(チッソ株式会社製;商品名チッソポリプロK1008:メルトフローレート(JIS K7210−76;230℃、2.16kg荷重)11g/10min、以下PP−1という)が5重量%の混合物100重量部に対し、エルカ酸アマイドを0.3重量部添加し、タンブラーブレンダーで15分混合後、L/D=36mm、57mmφの東芝機械株式会社製二軸押出機で樹脂温度190℃で溶融混練、造粒し、組成物を得た。その組成物を用い、油成分溶出量測定、ライナー成形性評価及び水ボトルの落下試験を行い、試験結果を表1に示す。
【0032】
実施例2
実施例1において、PE−1が75重量%、LD−1が20重量%及びPP−1が5重量%に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0033】
実施例3
実施例1において、PE−1が90重量%、LD−1が5重量%及びPP−1が5重量%に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0034】
実施例4
実施例1において、PE−1をエチレン・α−オレフィン共重合体(MFR5g/10min、結晶化温度90.3℃、Mw/Mn1.9、以下PE−2という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0035】
実施例5
実施例1において、PE−1をエチレン・α−オレフィン共重合体(MFR5g/10min、結晶化温度84.1℃、Mw/Mn2.4、以下PE−3という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0036】
実施例6
実施例1において、LD−1を分岐状ポリエチレン(東ソー株式会社製;商品名ペトロセン205:MFR3g/10min、密度(JIS K6760−81)0.925g/cm3 、Mw/Mn7.6、以下LD−2という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0037】
実施例7
高密度ポリエチレン製樹脂キャップのキャップライナー材用組成物として、実施例1のPP−1を高密度ポリエチレン(東ソー株式会社製;商品名ニポロンハード1200:MFR21g/10min、密度(JIS K6760−81)0.951g/cm3、以下HD−1という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0038】
実施例8
ポリエチレンテレフタレート製樹脂キャップのキャップライナー材用組成物として、実施例1のPP−1をポリエチレンテレフタレート(三菱レイヨン株式会社製;商品名ダイヤナイトHR−710、以下PET−1という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表1に示す。
【0039】
比較例1
PP−1 20重量%、水添スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体ゴム(シェルジャパン製;商品名クレイトンG1651、以下SEBS−1という)40重量%、流動パラフィン(エッソ石油株式会社製;商品名クリストールJ−262;粘度(JIS K2283−83)51mm2 /S(40℃)、以下流パラ−1という)を40重量%の混合物100重量部に対しエルカ酸アマイドを0.3重量部添加し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表2に示す。
【0040】
比較例2
PE−1の100重量部に対し、エルカ酸アマイドを0.3重量部添加し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表2に示す。
【0041】
比較例3
実施例1において、PE−1をエチレン・α−オレフィン共重合体(東ソー株式会社製ルミタック22−1:MFR2g/10min、結晶化温度102℃、Mw/Mn4.5、以下PE−4という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表2に示す。
【0042】
比較例4
実施例1において、PE−1をエチレン・α−オレフィン共重合体(MFR2.5g/10min、結晶化温度115℃、Mw/Mn2.0、以下PE−5という)に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表2に示す。
【0043】
比較例5
実施例1において、PE−1が50重量%、LD−1が45重量%及びPP−1が5重量%に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表2に示す。
【0044】
比較例6
実施例1において、PE−1が60重量%、LD−1が10重量%及びPP−1が30重量%に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表2に示す。
【0045】
比較例7
PE−1が85重量%及びLD−1が15重量%に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表2に示す。
【0046】
比較例8
PE−1が95重量%及びPP−1が5重量%に変更し、実施例1の要領で組成物を得た。試験結果を表2に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004815629
【0048】
【表2】
Figure 0004815629
【0049】
【発明の効果】
本発明のキャップライナー材用組成物は、従来公知のキャップライナー材用組成物には無い、キャップライナー成形性に優れ、なおかつ、油成分に対し、キャップライナーからの溶出分を低レベルに抑えることができるので、食品衛生上安全で、有用である。

Claims (4)

  1. メルトフローレート(JIS K7210−76;190℃−2.16kg荷重)が0.1〜50g/10min、結晶化温度70〜110℃、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー測定における単分散性(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜3.0の範囲であるエチレン・α−オレフィン共重合体(イ)50〜98重量%、
    メルトフローレート(JIS K7210−76;190℃−2.16kg荷重)が0.3〜80g/10min、密度(JIS K6760−81)が0.910〜0.935g/cm3 、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー測定における単分散性(重量平均分子量/数平均分子量)が3〜12の範囲である分岐状低密度ポリエチレン(ロ)1〜30重量%
    及びポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれた少なくとも1種類以上の樹脂(ハ)1〜20重量%からなる(ただし、エラストマーを含む場合を除く)ことを特徴とするキャップライナー材用組成物。
  2. 請求項1に記載のキャップライナー材用組成物からなるキャップライナーを有することを特徴とするキャップ。
  3. インシェルモールド法によりキャップライナー成形されることを特徴とする請求項2に記載のキャップ。
  4. 請求項2又は3のいずれかに記載のキャップを有することを特徴とする包装容器。
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