JP4377192B2 - 耐熱性金属ppキャップ用ライナー付キャップの製法 - Google Patents
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Description
たしかに、この方法により前記特許文献1のワックスフロートの問題は解消し、しかも90℃の熱水シャワーで3分間の殺菌処理には充分耐えられるが、この樹脂組成物を用いたライナーは、125℃で30分間の殺菌条件を要求されている用途には使用することができない。また特許文献2記載の発明とほぼ同一の発明として特許文献3記載の発明があるが、この発明においても、130℃で30分間の殺菌条件に耐えられるようなライナーは得られていない。
この理由は、未だ十分に明らかでないが、使用された水素添加スチレン/ブタジエンブロック共重合体が、比較的耐熱性に優れているとしても、上述した130℃という高温領域では圧縮永久歪や永久伸びが大きいため、容器口部と容器蓋との間に無視し得ない熱変形乃至熱収縮によるズレを生じ、密封部に微小な間隙を生じるためと思われる。
(A)230℃で荷重が21.18N(2.16kgf)におけるメルトフローレートが
0(すなわち、この条件では流動しない)、溶液粘度20〜300mPa・s(40℃)であり、スチレン含有率が15〜40重量%である水素添加スチレン/イソプレン系ブロック共重合体30〜40重量%、
(B)粘度20〜400mPa・s(40℃)の流動パラフィン40〜50重量%、
(C)MFR5〜40、ロックウェル硬度(R型)80〜120のポリプロピレン系樹脂10〜30重量%、
(D)動粘度100〜10000cst(20℃)のシリコーンオイル0.2重量%以上
〔以上いずれの重量%も(A)+(B)+(C)+(D)の合計量に対するものである。〕、
を含むライナー用樹脂組成物であって、そのメルトフローレート(230℃、21.18Nの荷重下)が1.0g/10分以上である前記ライナー用樹脂組成物を軟化状態ないし溶融状態で金属製キャプ内面側に所定量供給し、冷却下にある型面で押圧してライナー形状に成型した後、80〜170℃で1分間〜24時間加熱処理することを特徴とする耐熱性金属PPキャップ用ライナー付キップの製法
に関する。
本発明は、このような組成物を用いてライナーを成形後、特定条件を満たした加熱処理を施すことにより、何の添加材も使用することなく、金属PPキャップ用ライナー付キャップの強度向上および耐熱性の向上を達成することができた。
ところで、この流動性のない水素添加スチレン/イソプレン系ブロック共重合体は、最終的な組成物にした時は弾性に富んでいるものの、流動性が無いため加熱溶融押出し成形をすることが出来ない。この水素添加スチレン/イソプレン系ブロック共重合体に流動パラフィンとプロピレン系樹脂、さらにシリコーンオイルとを組み合わせて配合することにより、130℃における圧縮応力が大きく低下すること無しに、優れた加熱溶融押出し成形性を得られることを見出した。流動パラフィンは組成物に柔軟性及び加熱成形性を付与するのに効果があり、また、流動パラフィンは他の油剤と比較して無味、無臭であるので食品内容物のフレーバーへの影響が極めて少なく有効である。プロピレン系樹脂は130℃における圧縮応力を低下すること無しに、加熱成形性を付与する効果がある。
加熱処理時間は、1分〜24時間であることが重要であり、好ましくは10分〜3時間(経済性の上限で判断する。)である。
成分(B)が前記範囲より少ないと、良好な加熱溶融押出成形性が得られず、また25℃における圧縮応力が大きくなり保管時および取り扱い時の落下衝撃により漏洩しやすくなる。前記範囲より多いと130℃における圧縮応力が大きく低下し、130℃で30分間の加熱殺菌時に漏洩しやすくなる。成分(C)が前記範囲より少ないと良好な加熱溶融押出成形性が得られず、前記範囲より多いと、25℃における圧縮応力が大きくなり保管時および取り扱い時の落下衝撃により漏洩しやすくなる。成分(D)が前記範囲より少ないと、各成分を混合、均一分散する場合に極めて混合性が悪くなり、また良好な加熱溶融押出成形性が得られない傾向がある。
スチレン重合体ブロックに使用されるスチレンモノマーとしては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ビニルピリジン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
好ましい水素添加スチレン/イソプレン系ブロック共重合体は下記の物性を持つものである。
スチレン含有量 10〜65重量%
好ましくは15〜40重量%
比 重 0.87〜0.98
好ましくは0.88〜0.94
溶液粘度(5重量%トルエン溶液)
20〜300mPa(ミリパスカル)・s
好ましくは20〜200mPa・s
なお、エラストマーの硬さを確保し、ライナーの耐熱密封性を高めるという点からスチレン含有量は、15重量%以上とすることがとくに好ましく、一方、エラストマーの弾性を確保し、ライナーの落下密封性を安定化するという点からスチレン含有量は40重量%以下とすることがとくに好ましい。
さらに、前記溶液粘度が20mPa・sを下まわると230℃においてエラストマーに流動性が生じてしまう可能性が高く、また300mPa・s以上になるとエラストマーが硬くなり、樹脂組成物として流動性、成形加工性が悪くなる傾向が生じるので、とくに20〜200mPa・sが好ましい。
流動パラフィンの粘度は、通常20〜400mPa・s(40℃)で、好ましくは、40〜200mPa・s(40℃)で、20mPa・s未満では、耐熱性が低く、低粘度のためキャップライナー材より流動パラフィンが内容物に溶出するワックスフロート現象が発生するおそれがあり、400mPa・sを越えるとキャップライナー材用組成物の流動性が不足し、加工性不良となることがある。
とくに粘度が40〜200mPa・sの範囲にあると、樹脂組成物の流動性がよく、ブリードせず、成形加工性も良好であり、大へん好ましい。
好ましいポリプロピレン系樹脂は、下記の物性をもつものである。
MFR〔230℃、21.18N(2.16kgf)/10分〕
(JIS K7210 表1、No.14の試験条件)
1〜60、好ましくは5〜40
比 重 0.89〜0.92、好ましくは0.90〜0.91
硬度(ロックウェル R型)
80〜120、好ましくは85〜115
熱変形温度〔0.45MPa(メガパスカル)、ASTM D648〕
100〜150℃、好ましくは105〜145℃
なお、MFRについては、とくに5〜40の範囲にあると、樹脂組成物の成形性がよく、またキャップとしての耐衝撃性、落下密封性の点でもすぐれており、とくに好ましい。また、熱変形温度もとくに105℃〜145℃の範囲のものが、キャップの耐熱密封性と耐衝撃性の点からもっとも好ましい。
シリコーンオイルの配合量は少なくとも0.2重量%を必要とするが、通常0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。0.5重量%以上であれば、エラストマー〔成分(A)〕が多い場合でも、その分散性がよく、また5重量%以下の方が流動パラフィンの多い場合でもブリードが発生せず、内容物のフレーバーが悪くなるおそれはない。
(メルトインデックス)
樹脂組成物を、メルトインデクサー(安田精機製作所製)にかけ、230℃、21.18N(2.16kgf)荷重の条件で10分間に押出される試料の重量を測定する。
(押出成形性試験)
樹脂組成物を押出機で溶融押出し、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φ(外径28mm)PPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押し供試キャップを連続して1分間当り1000回以上作製する。キャップ内のライナー材のキズ、型崩れの有無、塗布量のばらつきを調べる(100個)。
○:すべて良品
×:良品率99%以下
(圧縮応力試験)
150×150×2mmのプレス金型を用い、プレス温度230℃、プレス圧19.61MPa(200kg/cm2)でプレスを行い、樹脂組成物の平板サンプルを作製した。この平板サンプルを16mmφ×2mmに切り取り、2枚重ねて圧縮応力試験の試験片とし25℃及び130℃で圧縮試験を行い10%圧縮時の応力を測定する。
(耐熱気密性)
樹脂組成物を押出機で溶融押出し、一定量(約0.4g)をホットカットして外径約28mmのアルミPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押し供試キャップを各樹脂組成物毎に10個作製する。
口部の外径が約28mmのアルミニウムボトル缶(450ml入り)に液体窒素を滴下しながら〔常温での内圧が約0.098MPa(1kg/cm2)になるように調整〕90℃の熱水を詰めて供試キャップにてキャッピング(キャッピング荷重105kgf、柴崎製作所#501キャッパー使用)し、130℃で30分間のレトルト殺菌を行い、冷却後の漏れの有無を調べる(10個)。
○:漏れ無し
×:漏れ1缶以上
(落下密封性)
上記の方法で試験缶を作製し、冷却後角度10°の鉄面に10cm、20cm、30cmの高さから倒立落下させた後、漏れの有無を調べる(10個)。
○:落下高さ30cmで漏れなし
△:落下高さ30cmで漏れ、20cmで漏れなし
×:落下高さ20cm以下で漏れ発生
(開栓性)
上記の方法で試験缶を10個作製し、冷却後開栓し、開栓トルクを測定する。
○:0.7〜1.2Nm未満
△:1.2〜1.7Nm未満
×:1.7Nm以上
水素添加スチレン/イソプレン系ブロック共重合体〔スチレン含有量30重量%、230℃、21.18N(2.16kgf)で流動せず、以下、これをSEPS−Aと略記〕が35重量%、ポリプロピレン系樹脂〔230℃、21.18N(2.16kgf)のメルトフローレートMFRが24、ロックウェル硬度 R90°、以下、これをPP−Aと略記〕が20重量%、流動パラフィン(粘度、68mPa・s、40℃、以下、これを流パラ−Aと略記)44重量%、シリコーンオイル(20℃における動粘度350cst、以下、これをシリコーンオイル−Aと略記)1重量%よりなる組成物100重量部に対して、エルカ酸アミド(滑剤)0.5重量部、酸化チタン(充填剤)0.6重量部、高分子量フェノール系酸化防止剤0.1重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで2分間混合後、2軸押出機で230℃において溶融混練、造粒し、樹脂組成物(ライナー材組成物)を得た。この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、140℃で30分間加熱処理し、試験キャップを作製する。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
実施例1と同様のライナー材組成物を作製し、この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、90℃で10時間加熱処理し、試験キャップを作製する。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
実施例1と同様のライナー材組成物を作製し、この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、160℃で1分間加熱処理し、試験キャップを作製する。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
実施例1と同様のライナー材組成物を作製し、この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、120℃で10分間加熱処理し試験キャップを作製する。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
実施例1と同様のライナー材組成物を作製し、この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、70℃で10時間加熱処理し、試験キャップを作製する。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
実施例1と同様のライナー材組成物を作製し、この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、70℃で24時間加熱処理し、試験キャップを作製する。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
実施例1と同様のライナー材組成物を作製し、この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、175℃で10分間加熱処理し試験キャップを作製する。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
実施例1と同様のライナー材組成物を作製し、この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、140℃で30秒間加熱処理し、試験キャップを作製する。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
実施例1と同様のライナー材組成物を作製し、この組成物を押出し機で溶融押出しし、一定量(約0.4g)をホットカットしてアルミ28φPPキャップのシェル内に挿入し、冷却下の押型で型押しし、試験キャップを作製する。この試験キャップは加熱処理を行わない。この組成物及びキャップを用い、メルトインデックス測定、押出し成形性試験、圧縮応力試験、耐熱気密性試験、落下密封性試験、開栓性試験を行い、試験結果を表1に示す。
Claims (1)
- (A)230℃で荷重が21.18N(2.16kgf)におけるメルトフローレートが
0(すなわち、この条件では流動しない)、溶液粘度20〜300mPa・s(40℃)であり、スチレン含有率が15〜40重量%である水素添加スチレン/イソプレン系ブロック共重合体30〜40重量%、
(B)粘度20〜400mPa・s(40℃)の流動パラフィン40〜50重量%、
(C)MFR5〜40、ロックウェル硬度(R型)80〜120のポリプロピレン系樹脂10〜30重量%、
(D)動粘度100〜10000cst(20℃)のシリコーンオイル0.2重量%以上
〔以上いずれの重量%も(A)+(B)+(C)+(D)の合計量に対するものである。〕、
を含むライナー用樹脂組成物であって、そのメルトフローレート(230℃、21.18Nの荷重下)が1.0g/10分以上である前記ライナー用樹脂組成物を軟化状態ないし溶融状態で金属製キャプ内面側に所定量供給し、冷却下にある型面で押圧してライナー形状に成型した後、80〜170℃で1分間〜24時間加熱処理することを特徴とする耐熱性金属PPキャップ用ライナー付キップの製法。
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