JP3864548B2 - 壁装材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低密度紙に裏紙を貼合した壁装材に関するものであり、特に隠蔽性が高く、かつ施工がし易く、また難燃性に優れた壁装材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住空間の高級化・多様化に伴い室内装飾用内装材としてビニル壁紙が多く使用されている。ビニル壁紙は価格が安く、印刷加工、発泡加工、エンボス加工等の加工が可能であるため、デザイン性の豊富さで優れている。しかしながらビニル壁紙はビニル化粧層中に可塑剤が含まれているため、その可塑剤による問題を有している。
【0003】
このような可塑剤の問題を有していない壁紙として、例えば特開平3ー241099号公報に見られる如くアクリル樹脂を化粧層とした壁紙や特開平9−31900号公報に記載されるが如く木材パルプにオレフィン繊維を混合抄紙する方法が開示されているがコストが高くなることは避けられない。さらに、これらの壁装材も従来の壁装材と変わらず、250μm以上の深いエンボスを施すことができず、豊富なデザイン性を付与することが困難であるという問題点を有している。
【0004】
特開平8−226097号公報に記載されている低密度紙はエンボスはきれいに付与できるが、湿式で含浸加工されるため樹脂が均一かつ完全に紙層内部迄浸透しやすく、層間剥離強度が高くなる。しかしながら、壁紙は貼り替え施工性の観点から紙層間できれいに剥がれることが望まれており、紙層間強度は高くない方が良い。また低密度紙一層での壁装材は、隠蔽性が不十分であるため、壁の色が透けて見えてしまいやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、隠蔽性が良好で、施工しやすい壁装材として、低密度紙と裏紙、例えば無機質紙を貼合した壁装材について研究を進めてきた。しかしながら、壁紙メーカーでは上記性能に加え、より難燃性の高い壁装材の開発を強く望んでいた。
本発明の目的は、エンボス加工性の高い低密度紙を用いた、隠蔽性、施工性が良好な壁装材を提供することにあり、さらに該特性に加えて難燃性が非常に高い壁装材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、エンボス加工性が良好で、隠蔽性が高く、紙層間剥離性に優れた壁装材を得るべく鋭意検討を行った結果、パルプ繊維層に均一分散保持された発泡体粒子を含有する低密度紙に裏紙を貼合することにより、従来のビニル壁紙に比べ、環境上安全で、優れたエンボス性、隠蔽性、施工性、紙層間剥離性、難燃性を備えた壁装材となることを見いだし本発明を完成させるに至った。
上記目的を達成することができる壁装材に関する本発明は、以下の各発明を包含する。
【0007】
(1)パルプ繊維層に均一に分散保持された発泡体粒子を含有する密度が0.1g/cm 3 以上、0.3g/cm 3 以下の低密度紙に、パルプと無機粉体を混抄した無機質紙からなり、前記低密度紙を貼合する面に表面塗布剤が塗布されている裏紙を貼合してなることを特徴とする壁装材。
(2)前記裏紙が、前記無機質紙に難燃剤を含有せしめた難燃紙であることを特徴とする(1)項に記載の壁装材。
(3)前記表面塗布剤が、スチレン−ブタジエンゴムラテックス及びポリアクリルアミドの混合水溶液からなることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の壁装材。
【0008】
(4)前記低密度紙は、その密度が0.1g/cm3以上、0.3g/cm3以下となるように、パルプに発泡性粒子を3重量%以上、20重量%以下混合抄紙し、発泡させた発泡体粒子を含有する低密度紙であることを特徴とする前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の壁装材。
(5)前記発泡性粒子が、熱膨張性マイクロカプセルであることを特徴とする前記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の壁装材。
(6)前記低密度紙が難燃処理されていることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の壁装材。
【0009】
(7)前記低密度紙と裏紙は、難燃剤を配合した熱可塑性樹脂により貼合されていることを特徴とする(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の壁装材。
(8) 前記熱可塑性樹脂が難燃剤を5〜30重量%配合されていることを特徴とする(7)項に記載の壁装材。
(9)前記熱可塑性樹脂がポリエチレンであることを特徴とする(7)又は(8)項に記載の壁装材。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の低密度紙を構成する主たる材料はパルプ、無機粉体、発泡性粒子、及び製紙用薬品である。パルプはNBKP、LBKP、NBSP、LBSPその他の木材パルプ又はリンターパルプの様な非木材パルプを挙げることができ、その内1種以上を使用する。また、目的に応じて適宜、ガラス繊維、ビニロン繊維、セピオライト等の鉱物繊維、合成繊維等を併用してもよい。
【0011】
無機粉体としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、各種無機水和物等の吸熱脱水反応を伴うもの、又は通常製紙産業で使用されている炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、酸化チタン等を挙げることができる。目的に応じて、前記無機粉体の1種又は2種以上を併用して使用してもよい。
【0012】
発泡体粒子は、発泡性粒子として熱膨張性マイクロカプセルを用いて発泡させたものが好ましい。熱膨張性マイクロカプセルには最適発泡温度が異なるものがあるが、抄紙機ドライヤーの温度条件を考慮して選定すれば良い。発泡性粒子の添加量は対パルプ3〜20重量%が好ましい。3重量%未満では生成する発泡体粒子の効果が不十分のため基紙の密度が0.3g/cm3 以下に低下しない。20重量%を越えるとコストアップ原因となる上に、高坪量の抄紙をする場合に、紙の厚さ方向への熱伝導率が不均一となり、巾方向の厚さコントロールが困難となる。
【0013】
製紙用薬品としては、通常の抄紙で用いられるサイズ剤、その定着剤、紙力剤、さらには無機粉体の歩留まり向上剤等が挙げられる。サイズ剤としてはアルキルケテンダイマー、スチレンアクリル樹脂、ロジン等の内添サイズ剤がある。その定着剤としてはカチオン系の薬品が選ばれる。例えば中性抄紙の場合にはポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂が好ましく使用されるが、酸性抄紙の場合には硫酸バンド等の薬品が使用される。紙力剤としてはポリアクリルアミド系の紙力剤がある。無機粉体の歩留まり向上剤としてはベントナイトクレーの様な両性の無機化合物等がある。もちろん本発明は前記薬品に限定されるものではない。
【0014】
上記材料からなる原料・薬品のスラリーを常法により抄紙する。抄紙は通常の長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、傾斜抄紙機、各種コンビネーション抄紙機等いずれでもよく、特に限定されるものではない。低密度紙の坪量は50〜200g/m2 が好ましい。50g/m2 以下では低密度紙の厚みが不足し壁装材としてのボリューム感に欠ける。200g/m2 以上では地合を均一に抄紙するのが困難となり発泡ムラが顕在化しやすくなる。発泡・乾燥は通常の多筒ドライヤー、ヤンキードライヤー、スルードライヤー等何れでもよく特に限定されないが、ドライヤー表面温度、熱風温度が高いほど低密度化し易い傾向がある。
【0015】
かくして得られた低密度紙に難燃剤等を含浸処理しても良い。難燃剤等の含浸方法は通常のオンマシンサイズプレス含浸、あるいはオフマシン含浸のいずれで行っても良い。難燃剤としては、例えばスルファミン酸グアニジン、りん酸グアニジン、硫酸グアニジン、スルファミン酸アンモニウム、りん酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0016】
また、含浸液中にはエンボス性を強化すべくデンプン、ポリビニルアルコール、メチロール化メラミン、SBRラテックス、NBRラテックス、エチレン・酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル・エチレン・塩化ビニル樹脂、エチレン・塩化ビニル樹脂、エチレン・塩化ビニル・アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メチルメタアクリレート・ブタジエン樹脂、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル樹脂等の天然又は合成樹脂の1種又は2種以上を併用してもよい。
【0017】
その他の製紙用薬品として、アルキルケテンダイマー、アクリル又はシリコーン系化合物等のサイズ剤、ジシアンジアミド、ジシアンジアミドのメチロール化物等の耐熱変色剤や、銀又は銅を配合した無機系抗菌防黴剤、ヒノキチオール、キトサン等の天然有機系抗菌剤、4級アンモニウム塩を付加した有機系抗菌剤等の抗菌防黴剤を1種以上配合してもよい。
【0018】
壁装材はサイズ性が必須の品質である。しかし、本発明の紙は低密度であるが故に、サイズ性が発現し難い。サイズ性が不足すると、壁装材を壁面に施工する際に塗布される糊が紙層内部まで浸透し、壁面に貼れなくなるというトラブルを誘発する恐れがある。糊をつけてから壁に施工するまでの時間をオープンタイムといい、オープンタイムが長い方が施工しやすい。本発明では裏紙を低密度紙の裏面に貼合し、糊のしみこみを防止する。また、壁紙には柄印刷に耐えうる表面強度と、耐水性が求められる。そのため、得られた低密度紙の表面にさらに耐水化剤、又は撥水剤の表面塗工を施してもよい。
【0019】
裏紙としては、紙に難燃剤を塗布あるいは含浸したもの、あるいはセルロースパルプに難燃性の有機物質や無機物質を湿式抄紙法により含有せしめたものが知られている。代表的はものとしては、難燃剤としてスルファミン酸グアニジンを紙に含浸処理した難燃紙や、無機粉体として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、各種無機水和物の吸熱脱水濃縮反応を伴うものをパルプと混抄した無機質紙が挙げられる。上記パルプと無機粉体を混合し、歩留り向上剤やバインダーを適宜選択し、通常の抄紙方法によって抄紙する。このような無機質紙、難燃紙が本発明の壁装材の裏紙として好ましく使用される。
【0020】
歩留まり助剤としては、例えばカチオン性高分子としてはカチオン化デンプン、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン等が挙げられる。またアニオン性高分子としては、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、酸化デンプンなどがあるが、特に限定されず、どれを用いても良い。上記歩留まり助剤の他にもベントナイトクレー型のクレーを併用することができる。また、原紙強度を保つ目的で接着剤、例えば繊維状熱溶融型ビニロン、ラテックスエマルジョンなどが用いられる。
【0021】
また表面塗布剤を塗布する時に塗布剤が原紙中に浸透しないようにするため、内添サイズ剤を添加して抄造される。表面塗布剤が原紙の中にしみ込むと、原紙の層間強度が上がり、壁紙に加工した後施工した場合に、壁紙の再剥離性が悪くなる。また、施工の際のオープンタイムを長くするためにも、裏紙を抄造する工程において1種又は2種以上の異なるサイズ剤を選択して添加することが好ましい。内添サイズ剤としては、アルキルケテンダイマー、スチレンアクリル系、スチレンアミド系などから1種又は2種以上が選択できる。
上記のようにして製造された原紙は、表面塗布剤を用いて表面塗布を行ことによって、無機粉体の紙匹からの脱落を防ぎ、低密度紙との密着性を良くすることができる。
【0022】
本発明に用いる表面塗布剤には、例えばラテックスエマルジョン、ポリアクリルエマルジョン、デンプン、PVA、スチレンアクリルエマルジョン、塩ビアクリルエマルジョン、塩ビエチレン酢ビエマルジョン、塩ビエチレンエマルジョンなどがあり、これらを適宜選択して増粘剤と混合して用いる。本発明において、上記の表面塗布剤を塗布する方法は、均一に塗布できれば特に限定されないが、ゲートロールコーター、サイズプレス等によるオンマシン塗布や、オフマシンコーター塗工などが好ましく適用できる。
【0023】
このようにして得られた低密度紙と裏紙を貼合するにあたっては、難燃性を重視する場合には水ガラスを基材とした無機系接着剤が使用できる。他方、難燃性を多少犠牲にできる場合には、接着剤の塗布量を少量に制限しながら、デンプン糊や酢酸ビニル樹脂系接着剤、ポリビニルアルコール、ニトリルゴム系の有機系高分子接着剤を使用することができる。また、低密度紙と裏紙という紙同士の接着なので熱可塑性樹脂によるドライラミでもかまわない。この場合、難燃性は低下するものの、壁に施工した場合、壁からの水分の進入を裏紙までで抑えられるので黴の発生が抑制される。
【0024】
より高いエンボス性と難燃性を付与するためには、熱可塑性樹脂に難燃剤を練り込んだコンパウンドを使用して、貼合機にて溶融、貼合する。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、エチレン酢ビ共重合体樹脂、ポリプロピレン等が挙げられ、配合する難燃剤の熱分解温度を考慮しながら、適宜選択できる。ただし接着性及び溶融のさせやすさから、ポリエチレンがより好ましい。また、難燃剤としては、貼合時の熱溶融に耐えられるもので、かつ水に不溶のものを選択して使用する。例えば臭素系難燃剤、硫酸メラミン等が挙げられる。難燃剤の配合量としては、熱可塑性樹脂に対し5〜30重量%が好ましい。5重量%未満では難燃性が不十分であり、30重量%を越えると低密度紙と裏紙の接着性が不十分となってしまう。
得られた壁装材はエンボス加工、プリント加工、表面処理加工など、通常の加工を任意に加えておくことができる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下において%及び部とあるのはそれぞれ重量%及び重量部を示す。
【0026】
実施例1
NBSPを常法によりフリーネス450csfまで叩解し、発泡性粒子として熱膨張性マイクロカプセル(マイクロスフェアーF−30、松本油脂(株)製)をパルプ重量に対して3%、製紙用薬品としてはサイズ剤としてアルキルケテンダイマー(サイズパイン:荒川化学(株)製)を0.3%、その定着剤としてポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(エピノックス:三井東圧(株)製)を0.3%、紙力剤としてはポリアクリルアミド(ポリストロン:荒川化学(株)製)0.3%をパルプ重量に対して添加して紙料を調製した。この紙料から坪量90g/m2 の紙を抄紙した。発泡性粒子は加熱乾燥時に発泡して低密度紙が得られた。なお、乾燥は140℃の熱風乾燥機で10分間行った。
【0027】
一方、裏紙としては、NBSPを常法によりフリーネス300mlcsfまで叩解し、無機粉体として水酸化アルミニウム(ハイジライト、昭和電工社製)を添加した。水酸化アルミニウムの粒径は1μm:8μm=5:5とし、原紙重量当たり70%となるように添加した。また合成繊維としてポリエステル繊維(1.4d×5mm、ユニチカ社製)を全重量当たり2%添加し、バインダー繊維として溶解性ビニロン繊維(1.5d×3mm、クラレ社製)を全重量当たり1.0%添加した。さらに歩留まり向上剤としてカチオン性高分子化合物ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(エピノックス、三井東圧(株)製)0.6%、アニオン性高分子化合物ポリアクリルアミド(パーコール173、アライコロイド社製)を0.01%添加した。また中性サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(CS−280、荒川化学社製)を0.25%添加して紙料を調製し、実験室手抄きマシンを用いて坪量110g/m2 のシートを作成した。
【0028】
次に、実験室サイズプレス機にて、紙表面にスチレン−ブタジエンゴムラテックス及びポリアクリルアミドからなる表面塗布剤を塗布した。表面塗布剤はスチレン−ブタジエンゴムラテックス(T−2418C、日本合成ゴム(株)製)とポリアクリルアミド(PC−305、荒川化学工業(株)製)を絶乾重量比で4:1に混合し、固形分濃度15%の水溶液とした。塗布量は両面にて6g/m2 であった。
このようにして得られた低密度紙と無機質紙とを、酢酸ビニル系接着剤(CF630、コニシ社製)を絶乾重量25g/m2 塗布して貼合し、乾燥して、低密度紙と無機質紙を貼合した壁装材を得た。
【0029】
得られた低密度紙壁装材のエンボス性、隠蔽性、施工性、剥離性を評価した。エンボス性は、エンボスプレートにより、型付けをした後のエンボスの入り方を観察し、きちんとエンボスパターンが入っているものを○とし、入っていないものを×とした。隠蔽性はJIS A 6921に準じ、4級合格を○とし、不合格は×とした。施工性は、壁装材の裏面に糊を塗布し、1時間放置した後に壁に張れるものを○とし、張れないものを×とした。剥離性は壁に張った壁装材を手で剥がした時にきれいに層間から剥がれるものを○とし、そうでないものを×とした。また難燃性は、JIS A1321規定の表面燃焼試験結果により判断した。
【0030】
実施例2
実施例1で使用したと同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して20重量%添加して低密度紙を抄紙した以外は実施例1と同様にして低密度紙壁装材を作製し、評価を行った。
【0031】
実施例3
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して10重量%添加して低密度紙を抄紙した以外は、実施例1と同様にして低密度紙壁装材を作製し、評価を行った。
【0032】
実施例4
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して10重量%添加して実施例1と同様に坪量90g/m2 の低密度紙を抄紙し、りん酸グアニジン系難燃剤(フレームガード5316S、大日本インキ化学工業(株)製):酢ビエチレン塩ビ樹脂(スミカフレックス830、住友化学(株)製)=50:50の液を低密度紙に対し20%含浸処理して難燃性低密度紙を作成した。無機質紙は実施例1と同様に作成した。貼合はポリエチレンによるラミにて接着した。ポリエチレンのラミ厚さは30μmとした。
【0033】
参考例
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して10重量%添加して坪量90g/m2の低密度紙を抄紙した。裏紙には、NBKPを常法により離解し、フリーネス550mlcsfまで叩解したパルプスラリーに実施例1と同様の薬品を添加して紙料を調製し、坪量120g/m2のシートを作製した。
このようにして得られた低密度紙と裏紙とを実施例1と同様に貼合して低密度紙壁装材を完成させた。
【0034】
実施例5
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して20%添加して坪量60g/m2の低密度紙を抄紙した以外は、実施例1と同様にして低密度紙を作製した。
裏紙は、NBKPを常法により離解し、フリーネス550mlcsfまで叩解したパルプスラリーに水酸化マグネシウムを25%添加した。さらに、ポリエステル繊維を1%添加した。上記繊維スラリーに歩留まり助剤として、実施例1と同様に薬品を添加した後、実験用手抄きマシンにて坪量100g/m2のシートを作成した。このシートに難燃剤としてりん酸グアニジン系難燃剤(フレームガード5316S、大日本インキ化学工業(株)製:酢ビエチレン塩ビ樹脂(スミカフレックス830、住友化学(株)製)=50:50の液)を15%含浸させた。このようにして得られた低密度紙と難燃紙は実施例1と同様に貼合し低密度紙壁装材を得た。
【0035】
実施例6
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して10重量%添加して実施例1と同様に坪量90g/m2の低密度紙を抄紙した。
裏紙に使用した無機質紙は実施例1と同様に作製した。
貼合は、難燃剤(CR−900、大八化学工業(株)製)を30重量%配合したポリエチレンによるラミにて接着した。ポリエチレンのラミ厚さは30μmとした。
【0036】
実施例7
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して10重量%添加して実施例1と同様に坪量90g/m2の低密度紙を抄紙し、燐・窒素系難燃剤(ノンネン6412、丸菱油化工業(株)製)を低密度紙に対して15%含浸処理して難燃性低密度紙を作製した。
また、無機質紙は実施例1と同様に作製した。貼合は、実施例6と同様の難燃剤を5重量%配合したポリエチレンによるラミにて接着した。
【0037】
実施例8
貼合に、難燃剤(CR-900、大八化学工業(株)製)を20重量%配合したエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(エバフレックス、三井・デュポンポリケミカル社製)を使用した以外は実施例6と同様にして低密度紙壁装材を作製した。
【0038】
比較例1
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して10%添加して坪量150g/m2 の低密度紙を抄紙し、この低密度紙一層のみで壁装材とした。
比較例2
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して10重量%添加して坪量40g/m2 の低密度紙を抄紙し、この一層のみで壁装材とした。比較例3
実施例1と同様の熱膨張性マイクロカプセルをパルプ重量に対して2重量%添加して坪量90g/m2 の低密度紙を作製し、実施例1と同様にして無機質紙を貼合して壁装材を得た。各実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から明らかなように所定内の発泡性粒子を添加して発泡させた低密度紙に裏紙を貼合した壁装材はエンボス性、隠蔽性、施工性、剥離性ともに良好である(実施例1〜8)。また、低密度紙に難燃処理したもの、貼合時の樹脂に難燃剤を配合したものは、低密度紙壁装材としての難燃性を向上させることができる。
(実施例4、6、7、8)
【0041】
これに対して、低密度紙一層で壁装材としたシートは、坪量が比較的高い低密度紙ではエンボス性が良好であるが、隠蔽性、施工性、剥離性、難燃性が不十分である(比較例1)。また坪量の低い低密度紙一層での壁装材はエンボス性も悪い(比較例2)。また発泡性粒子の添加量が少ない場合には、裏紙を貼合した壁装材でもエンボス性が悪い(比較例3)。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば木材パルプを主体とした発泡体を含有する低密度紙に裏紙を貼合して壁装材を構成すること、及び難燃剤を配合した熱可塑性樹脂を使用して該低密度紙と裏紙の貼合を行うことにより、優れた隠蔽性、エンボス性、施工性を有し、非常に高い難燃性が付与されている低密度紙壁装材を提供することができる。
Claims (9)
- パルプ繊維層に均一に分散保持された発泡体粒子を含有する密度が0.1g/cm 3 以上、0.3g/cm 3 以下の低密度紙に、パルプと無機粉体を混抄した無機質紙からなり、前記低密度紙を貼合する面に表面塗布剤が塗布されている裏紙を貼合してなることを特徴とする壁装材。
- 前記裏紙が、前記無機質紙に難燃剤を含有せしめた難燃紙であることを特徴とする請求項1記載の壁装材。
- 前記表面塗布剤が、スチレン−ブタジエンゴムラテックス及びポリアクリルアミドの混合水溶液からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁装材。
- 前記低密度紙は、その密度が0.1g/cm 3 以上、0.3g/cm 3 以下となるように、パルプに発泡性粒子を3重量%以上、20重量%以下混合抄紙し、発泡させた発泡体粒子を含有する低密度紙であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記発泡性粒子が熱膨張性マイクロカプセルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記低密度紙が難燃処理されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記低密度紙と裏紙は、難燃剤を配合した熱可塑性樹脂により貼合されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の壁装材。
- 前記熱可塑性樹脂が難燃剤を5〜30重量%配合されていることを特徴とする請求項7記載の壁装材。
- 前記熱可塑性樹脂がポリエチレンであることを特徴とする請求項7又は8に記載の壁装材。
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