JP3861188B2 - ポリカーボネート系樹脂押出発泡体 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂押出発泡体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート系樹脂押出発泡体に関するものであり、更に詳しくは耐加水分解性が良好で発泡体の強度低下や外観低下が改善されたポリカーボネート系樹脂押出発泡体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート系樹脂発泡体は、耐低温脆性、耐熱性、耐老化性、耐水性、電気特性、機械的物性に優れていることから、自動車や建造物の内装材、食品や機械部品の包装材等への用途展開が期待されている。
ところが、このように期待されているポリカーボネート系樹脂発泡体においても、耐加水分解性が劣ると云う未だに解決されていない課題がある。
【0003】
樹脂自体の耐加水分解性を改善したものとしては、例えば住友ダウ社製ポリカーボネート系樹脂にみられるように、該樹脂中の残存塩化メチレン量を低減することにより改善する方法等が挙げられる。
しかし、ポリカーボネート系樹脂自体の耐加水分解性は上記の方法等で改善されてはいるものの、押出機を使用して得られた発泡体においては、たとえ耐加水分解性に優れる樹脂を使用しても、耐加水分解性は改善されず、経時とともに発泡体の機械的物性低下、発泡体表面の黄変という問題を有するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリカーボネート系樹脂押出発泡体の加水分解が原因と考えられる、経時による機械的強度の低下及び発泡体表面の黄変による外観低下が改善されたポリカーボネート系樹脂押出発泡体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリカーボネート系樹脂自体において耐加水分解性が改善されているにもかかわらず、ポリカーボネート系樹脂押出発泡体(以下、発泡体、或いはポリカーボネート系樹脂発泡体ともいう)においては耐加水分解性が十分なものが得られない原因を検討した結果、耐加水分解性が不十分なものは、発泡体中のビスフェノールA等のビスフェノール系化合物成分の含有量が多いことを突き止め、このビスフェノール系化合物成分が経時による加水分解を進行させ発泡体の機械的物性の低下等を引き起こしていることを見い出した。また、発泡体中のビスフェノール系化合物成分の含有量を低下させるためには、ポリカーボネート系樹脂と特定の樹脂との混合樹脂を基材とすることにより、発泡体中のビスフェノール系化合物成分の含有量が飛躍的に減少し、耐加水分解性が改善されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明によれば、芳香族ポリカーボネート系樹脂を主成分とする基材からなる密度0.04〜0.5g/cmの押出発泡体であって、該発泡体中のビスフェノール系化合物の含有量が500ppm以下であり、該基材が、芳香族ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂であることを特徴とするポリカーボネート系樹脂押出発泡体が提供される。また、本発明によれば、前記混合樹脂の芳香族ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂との混合割合が、芳香族ポリカーボネート系樹脂100重量部に対してアクリル系樹脂が0.3〜10重量部であることを特徴とする前記ポリカーボネート系樹脂押出発泡体が提供される。更に、本発明によれば、厚みが0.3〜7mmの押出発泡体であることを特徴とする前記ポリカーボネート系樹脂押出発泡体が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。本発明におけるポリカーボネート系樹脂押出発泡体の基材は、前記したように芳香族ポリカーボネート系樹脂を主成分とし、アクリル系樹脂を副成分とする混合樹脂からなるものである。アクリル系樹脂は発泡体中のビスフェノール系化合物の含有量の低減・抑制効果を有するため、芳香族ポリカーボネート系樹脂を主成分とし、少なくともアクリル系樹脂を副成分とする混合樹脂は好ましいものである更に、該混合樹脂には、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、その他の樹脂から選ばれる1種以上を混合することができる。尚、上記基材中の主成分である芳香族ポリカーボネート系樹脂の含有量は、基材の50重量%以上、好ましくは70〜100重量%である。
【0008】
本発明のポリカーボネート系樹脂発泡体の基材の主成分として使用される芳香族ポリカーボネート系樹脂は、炭酸成分と、少なくともビスフェノール系化合物を含む芳香族ジオール成分またはこれを主とするジオール成分から形成されるポリ炭酸エステル、或いはそれらの混合物である。この内、分子鎖にジフェニルアルカンを有する芳香族ポリカーボネート系樹脂は結晶性が高く高融点の上に、耐熱性、耐侯性及び耐酸性に優れている点で好適である。
このようなポリカーボネート系樹脂としては、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノール系化合物から形成されるポリカーボネート系樹脂が例示される。
【0009】
また、上記ポリカーボネート系樹脂を主成分とする基材は、動的粘弾性試験によって与えられる貯蔵弾性率が特定の値を示すものが押出発泡において発泡性、目的寸法等の制御性の面で優れるため好ましい。
すなわち、250℃の温度条件下で振動歪みを与える動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率G’〔dyn/cm2〕と角周波数ω〔rad/sec〕との関係を下記回帰式(1)で表した場合、角周波数ω=100〜101〔rad/sec〕の範囲における貯蔵弾性率G'の傾きBが0〜2.0の範囲にあり、切片A(ω=10゜の時のG'の値)が2.0〜5.0の範囲にあるものが好ましい。
G'=A×ωB ・・・(1)
【0010】
上記貯蔵弾性率:G'の傾き値は、動的粘弾性測定機(例えばレオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製のダイナミックアナライザーSR200型等)により測定することができる。貯蔵弾性率:G'の傾き値とは、250℃に温度を保持した状態で、線形領域内において角周波数:ωを変化させて動的粘弾性測定を行って得た貯蔵弾性率:G'の対数値を縦軸に、G'に対応するωの対数値を横軸にプロットした結果より求めることができる。
【0011】
本発明において動的粘弾性の測定は、厚さ2mmの測定用サンプル樹脂板を調製し、このサンプルを動的粘弾性測定機の直径25mmのパラレルプレート間に挟んで250℃に昇温し、更に約10分間放置した後、線形領域内(応力1×104dyn/cm2)で行った。本発明における貯蔵弾性率:G'の傾き値とは、上記のようにして求めたG'の対数値を縦軸に、G'に対応するωの対数値を横軸にプロットし、ベキ乗回帰計算により、前記回帰式のAの値として切片が、Bの値として傾きが求められる。尚、ω=100〜101の範囲におけるωとG'との値は対数値のグラフ上においてほぼ等間隔に選択される5点以上のデータを基に算出するものとする。
【0012】
尚、本発明者等が貯蔵弾性率の測定温度として250℃を選定した理由は次の通りである。即ち、ダイスリップ内での発泡剤を含む樹脂の粘性挙動より求められる樹脂のダイスリップ内の見かけ粘度とフローテスタの等速昇温試験(装置:島津フローテスタCFT−500、オリフィス:直径1mm、ランド長:2mm、荷重:10kg、昇温速度:5℃/分)によって求められる樹脂の250℃における見かけ粘度とがほぼ一致するため、動的粘弾性の測定温度を250℃に選定した。
【0013】
上記G'の切片Aが2.0未満の場合は樹脂が発泡する際に形成される気泡が破れ良好な発泡体を得ることが困難となる可能性があり、一方、切片Aが5.0を越える場合は、樹脂の弾性が大きすぎる為、発泡が困難となる可能性がある。又、上記G'の傾きBが0未満の場合はなく、Bが2.0を越える場合は、気泡を維持する力が急激に低下することにより破泡を起こし満足な発泡体を得られなくなるおそれがある。
更に、上記切片Aの好ましい範囲は2.5〜4.0であり、傾きBの好ましい範囲は1.0〜2.0、更に好ましくは1.5〜2.0であり、切片A及び傾きBがこのような範囲にある場合は、気泡の均一性、独立気泡率等の発泡体物性に影響する気泡構造において、より良好な発泡体を得ることができる。
【0014】
本発明において、芳香族ポリカーボネート系樹脂と混合されるアクリル系樹脂としては、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸、またはアクリル酸メチル等のアクリル酸エステルを原料単量体とする単独重合体、或いはこれら単量体を原料単量体の主成分とする共重合体、及びそれらの変性物、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体等が挙げられる。
【0015】
本発明において、上記芳香族ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂との混合割合は、芳香族ポリカーボネート系樹脂100重量部に対してアクリル系樹脂が0.3〜10重量部であることが好ましい。アクリル系樹脂が0.3重量部未満の場合は、飛躍的な耐加水分解性改善効果が発揮されない可能性があり、一方、10重量部を越えるとポリカーボネート系樹脂の流動性が変化してしまい安定した発泡ができなくなるおそれがある。
【0016】
本発明のポリカーボネート系樹脂発泡体を製造するために使用される発泡剤は、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれも使用可能であるが、押し出し発泡法の場合は分解型発泡剤を使用すると発泡倍率の高い発泡体を得ることが難しいため、無機発泡剤や揮発性発泡剤を使用するのが好ましい。
無機発泡剤としては、二酸化炭素、空気、窒素等が好ましく用いられる。
揮発性発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の低級脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタン等の低級肪環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール等の脂肪族低級一価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン等の低沸点ハロゲン化炭化水素;等が例示される。
【0017】
以上詳記した発泡剤は、単独又は2種以上混合して使用可能であり、例えば無機発泡剤と揮発性発泡剤のように異なった型の発泡剤の併用も可能である。
発泡剤の使用量は発泡剤の種類や所望する発泡倍率によっても異なり、発泡倍率によって該発泡体の密度が定まるから、主に所望する発泡体の密度によって発泡剤の使用量を定める。
そして、本発明の発泡体は密度0.04〜0.5g/cm3、好ましくは0.06〜0.5g/cm3である。また、耐加水分解性に影響するビスフェノール系化合物の含有量が多くなりやすい高密度のもの程、耐加水分解性改善効果が顕著である為、発泡体密度を0.15〜0.5g/cm3とするのが更に望ましい。なお、本発明の発泡体密度が0.04g/cm3未満では成形品の強度が小さすぎるし、密度が0.5g/cm3を超えると断熱性低下や重量増加の上に製造原価も増加する。
このような点から必要な発泡剤量は樹脂1kg当り揮発性発泡剤では0.05〜2.0モル、無機発泡剤では0.05〜7モル程度である。
【0018】
本発明では、芳香族ポリカーボネート系樹脂を円滑に発泡させるために、樹脂と発泡剤との溶融混練物中に必要に応じて気泡調整剤を添加することができる。この場合の気泡調整剤としては、タルクやシリカ等の無機粉末、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの混合物等が好ましい。その添加量は、樹脂100重量部当り0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが良い。
【0019】
また、本発明では、難燃剤、熱安定剤、耐侯性向上剤、着色剤、ゴム成分等のように、通常の発泡体に添加される公知の添加剤を添加することができる。
【0020】
本発明のビスフェノール系化合物含有量が500ppm以下であるポリカーボネート系樹脂発泡体は、例えば基材の芳香族ポリカーボネート系樹脂を主成分とする基材を押出機を使用して高温高圧下で前記発泡剤と溶融混練し発泡性溶融体とし、該溶融体を押出機先端のダイス部より低圧域に押出して発泡体とする。また、押出機ダイス部形状は目的の発泡体形状に応じて任意に選択すればよく、例えば、板状発泡体を得ようとする場合は、フラットダイスを使用し、また、シート状発泡体を得ようとする場合はサーキュラーダイスやフラットダイスの中でも特にT型ダイスを使用すれば良い。
特に発泡シートを製造する場合はサーキュラーダイスを使用して押出発泡する方法が広幅のものが得られる為好ましい。
【0021】
本発明のポリカーボネート系樹脂発泡体のビスフェノール系化合物含有量は、前記したように500ppm以下であり、好ましくは350ppm以下、更に好ましくは100ppm以下である。このように、ポリカーボネート系樹脂発泡体のビスフェノール系化合物の含有量を低減・抑制する方法は、前記したように、芳香族ポリカーボネート系樹脂にアクリル系樹脂を混合したものを基材として押出発泡する方法を使用することである。この場合は、他の方法と比較して格段に発泡体中のビスフェノール系化合物の含有量を低減・抑制する効果がある。但し、低剪断型デザインの押出機スクリューを使用する方法、ポリカーボネート系樹脂をドライホッパー等を使用して十分乾燥させて押出機に供給する方法、押出機に真空ベントを単数もしくは複数設けて吸引する方法等を使用することができる。そして、これらの方法を組み合わせて行なうことにより、発泡体中のビスフェノール系化合物の含有量を低減・抑制する効果を更に向上させることができる。
【0022】
また、本発明により得られる発泡体の厚みは0.3〜50mmが好ましく、特に発泡シートにおいては0.3〜7mmであることが好ましい。発泡体の厚みが0.3mm未満の場合は発泡体及びその成形体の強度において不十分なものとなり、発泡体厚みが7mmを越える場合は熱成形が難かしく、主に板状発泡体としての用途に使用される。発泡体の厚みが50mmを越える場合は発泡体の表面状態等の不良が生じ良好なものが得られない。
【0023】
このようにして得られた本発明の発泡体は、耐加水分解性に悪影響を与えるビスフェノール系化合物の含有量が少ないものであるため、耐加水分解性に優れ、加水分解が原因と考えられる発泡体の経時による機械的強度の低下、黄色に着色して行く黄変が改善される。
【0024】
以上のようにして得られた本発明のポリカーボネート系樹脂発泡体は、ポリカーボネート系樹脂本来の特性を十分発揮した発泡体であり、そのままでも板材やシート材として使用することができる。
しかし、更に発泡体の機械的強度を強くする必要がある場合には、該発泡体の両面又は一方の面に熱可塑性樹脂を積層するのが好ましい。そして、この場合の熱可塑性樹脂としては、発泡体との接着性が良いポリカーボネート系樹脂を使用するのが好ましく、該ポリカーボネート系樹脂には回収樹脂を使うことができる。すなわち、この場合の積層樹脂として新樹脂を使っても回収樹脂を使っても発泡体強度はほとんど変らない。
また、同様の目的で、本発明のポリカーボネート系樹脂発泡体とガラス繊維や炭素繊維等で強化された不飽和ポリエステル樹脂や熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる積層材とを積層することもできる。
【0025】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0026】
実施例1〜6
ビスフェノールAから誘導される250℃条件下での動的粘弾性測定における角周波数ω=100〜101〔rad/sec〕の範囲における貯蔵弾性率G'〔dyn/cm2〕がG'=AωB(A=3.3、B=1.7)の関係にあるポリカーボネート系樹脂100重量部に表1に示す量のメタクリル酸メチル樹脂を混合し、更にタルクを0.02重量%加えて押出機内で加熱、溶融、混練し、発泡剤としてn−ペンタンを混合樹脂1kgに対して0.23モル押出機内へ圧入し、樹脂温度210〜220℃で押出機先端のサーキュラーダイスより発泡剤を含有した溶融樹脂を押出し、管状発泡体とし、該発泡体の内部及び外部を空気により冷却しながら円柱状の冷却装置外周側面上に引き取り、その後押し出し方向に切り開いてシート状の発泡体とした。尚、各実施例において運転条件として押出機に設けられているベント口からの真空ベントの有無、押出機供給原料乾燥の有無、押出機のスクリュー形状として低剪断タイプのものと通常使用される高剪断タイプのものを使用し低剪断スクリュー使用と高剪断スクリュー使用(表1には低剪断スクリュー未使用と表示)とに分け、それぞれを表1に示した。得られた発泡体の密度、厚み、引張り伸び、YI値を以下の測定方法により測定、評価し、表1に示す。
【0027】
〈ビスフェノール系化合物の含有量〉
発泡体1.0gを200mlの三角フラスコにいれジクロロメタン20mlを加える。発泡体を溶解させた後に撹拌しながらアセトン100mlを滴下し、3000rpmで10分間遠心分離を行なう。その後、上澄液を減圧濃縮器にて約2mlになるまで濃縮をする。次いでアセトニトリル10mlを加え、更に水を加え20mlとする。その溶液より1mlを採取し孔径0.5μm以下のメンブランフィルターでろ過し、試験溶液とする。この試験溶液中のビスフェノール系化合物量を液体クロマトグラフィー装置を使用し検量線に基づき定量する。
〈引張り伸び及びYI値〉
加水分解性テスト条件として、温度120℃、相対湿度99%の条件下で0時間(ブランク)、72時間、132時間放置後の発泡体の引張り伸び及び黄変の度合(YI値:値が大きい程、黄色の着色度が大きい)を調べた。測定条件については以下の通りである。
引張り伸び
JIS K6767に準拠し、標線間40mm、つかみ治具間70mm、引張り速度100mm/minの条件で(株)東洋ボールドウィン社製UTMIII型の装置にて測定した。
YI値
ASTM E313に準拠し、(株)カラーテクノシステム社製コンパクト色彩計X−Rite948Lにて測定した。
【0028】
参考例1及び比較例1〜3
アクリル系樹脂を使用しなかった以外は実施例1〜6と同様にしてシート状の各発泡体を得た。これらの発泡体の物性についても実施例1〜6と同様に測定し、表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003861188
【0030】
表1において、実施例1〜6及と比較例1〜3で得られたシート状発泡体とを比較すると、両者は一見全く遜色ないものであったが、スチーム等条件下での加水分解性テスト結果を示す0時間、72時間、132時間後の発泡シートの引張り伸びやYI値のデータより明らかなように、比較例のものが経時とともに、黄変の度合が大きくなり外観が低下し、また、引張り伸びの値も低下の度合が大きく機械的物性の低下が見られるのに対し、実施例のものは、このような外観の低下や機械物性の低下の度合が極めて少なく、耐加水分解性に優れていることが判る。そして、比較例のシート状発泡体は発泡体中のビスフェノールA成分の含有量が多く、発泡体中のビスフェノールA成分の含有量が多いものは、加水分解が促進され、外観、発泡体物性の低下が起きていると考えられる。また、実施例、比較例より、発泡体中のビスフェノールA含有量と押出発泡操作における原料乾燥、真空ベント、押出機スクリューによる剪断の運転条件との関係において、運転条件を変えるとビスフェノールA含有量が変化していることより、これらは関連性があることが判るが、実施例1〜6、特に実施例6より、アクリル系樹脂を混合することにより、運転条件の影響を上回る飛躍的なビスフェノールA含有量低減・抑制効果が得られることが判る。
【0031】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート系樹脂押出発泡体は、発泡体を得る際に発生し、発泡体の耐加水分解性低下の原因となる発泡体中のビスフェノール系化合物含有量を低減・抑制したものである為、発泡体の耐加水分解性を向上させることができ、発泡体の経時による黄変による外観低下、引張り伸び等の機械的物性低下を改善することができる。また、芳香族ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂を基材とすることにより、発泡体中のビスフェノール系化合物含有量を飛躍的に低減・抑制された発泡体となり、外観低下、機械的物性低下に対し飛躍的な改善効果が得られる。

Claims (3)

  1. 芳香族ポリカーボネート系樹脂を主成分とする基材からなる密度0.04〜0.5g/cmの押出発泡体であって、該発泡体中のビスフェノール系化合物の含有量が500ppm以下であり、該基材が、芳香族ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂との混合樹脂であることを特徴とするポリカーボネート系樹脂押出発泡体。
  2. 前記混合樹脂の芳香族ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂との混合割合が、芳香族ポリカーボネート系樹脂100重量部に対してアクリル系樹脂が0.3〜10重量部であることを特徴とする請求項記載のポリカーボネート系樹脂押出発泡体。
  3. 厚みが0.3〜7mmの押出発泡体であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリカーボネート系樹脂押出発泡体。
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