JP3631820B2 - ポリカーボネート樹脂押出発泡体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、独立気泡率、気泡構造をコントロールし、発泡シート自体に透湿性、透気性及び剛性を要求される建材などの用途に好適なポリカーボネート樹脂押出発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂発泡体は、耐熱性、耐老化性、耐水性等が高く、電気的及び機械的性質も良好であり、自動車や建築用内装材、包装材、各種容器への用途展開が期待されている。特に、耐熱性が要求される電子レンジ用や、レトルト食品用の容器材料として、また、高い耐熱性、耐老化性、耐水性、自消性及び優れた機械的性質の要求される、建材用途の内装材等に幅広く用途が期待されている。
【0003】
建材用途として、グラスウール等の断熱材の押さえ板が市場から要求されているが、現在住宅用断熱材として使われているグラスウールの問題点として、湿気を吸ってしまうと、自重のためにだんだんと下に落ちてしまい断熱性が低下するという欠点が挙げられている。そこで、透湿性があり、尚且つ剛性があるグラスウールを押さえる板が要求されており、板状ポリスチレン系樹脂発泡シートに貫通孔を有するものが使用されているが、釘打ちやグラスウールを支える上での剛性、建材としての夏、冬の寒暖に対する耐熱性、吸音性等の面で不十分なものであった。
また、現在ポスター等の台紙に使われている発泡パネルもそのまま使用すると発泡パネルに透気性が無いために空気だまりができてしまうという欠点があり、その対策としてポスターと発泡パネルの間に紙を貼着する等の工夫がされている。
また、自動車内装材用途、特に自動車天井材として、スチレン−アクリル酸系共重合体や、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンとの混合物等の耐熱性ポリスチレン系樹脂が使用されているが、耐熱性、通気性、取付作業時の加工性、剛性の面で不十分なものであった。
この様な問題点を解決するために、断熱性および透湿性があり、且つベニア板と同等以上の剛性、更に表面平滑性に優れた発泡プラスチック板が求められていた。
【0004】
ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐老化性、耐水性等が高く電気的及び機械的性質にも優れており、熱成形も可能であることから、その発泡体は自動車や建造物の内装材、包装材、各種容器等への用途展開が期待されている。しかし、ポリカーボネート樹脂は流動開始点が高く、溶融粘度も高いため、高温、高圧条件下での押出発泡を強いられ、一方該条件下では溶融張力が小さいため通常の押出発泡法では所望の発泡シートを得るのは困難である。
そのため、従来から、ポリカーボネート樹脂の押出発泡については、種々検討されている。例えば、沸点50〜150℃のイソパラフィン系炭化水素を発泡剤として使用したポリカーボネート発泡体及びその製造方法(特公昭47−43183号公報)、粒子径50μ以下の有機又は無機気泡調整剤及びエポキシ化合物を用いた比重0.6〜1.1程度の特に耐衝撃性を改良したポリカーボネート発泡体及びその製造方法(特公昭59−23336号公報)、及び溶解度係数6.5以上の有機物を発泡剤として使用し、独立気泡率80%以上の表面性を改良したポリカーボネート発泡板状体及びその製造方法(特開平2−261836号公報)等が提案されている。
しかしながら、これらの発泡体は、機械的強度に欠ける、密度の点で満足できない、また透湿性が低い、厚みや幅において不十分なものである等、種々の問題を有していた。
【0005】
ところで、独立気泡率の高い発泡シートは透湿度や透気度の値が低いために上記建材用途などで透湿性を求められる物に対しては、わざわざ発泡シートに二次加工で針穴などを開け透湿性を確保する必要があった。そこで、ポリカーボネート樹脂発泡体自体に透湿性を付与するために、連続気泡、即ち独立気泡率の低い発泡シートにすると発泡倍率の高いものが得られなかったり、綺麗な表面を有する物や、充分な剛性を有する物は得られておらず、建材用途等には不適当なものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透湿性、透気性に優れ、しかも表面状態、耐熱性、吸音性、断熱性、特に圧縮強度等の剛性に優れたポリカーボネート樹脂押出発泡体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み前記問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、使用する発泡剤の蒸気圧等を選択することによって、発泡体の独立気泡率、発泡倍率等を調整し、熱成形が可能であり、表面状態、透湿性、透気性、吸音性、耐熱性、断熱性、更に剛性に優れたポリカーボネート樹脂押出発泡体が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明によれば、厚さ0.5〜10mm、密度0.03〜0.6g/cm3、独立気泡率5%以上、80%未満の発泡体であって、該発泡体の気泡が、該発泡体断面の切断された気泡骨格の一部に破線部を有し、該骨格が座屈することなく形状を維持していることを特徴とするポリカーボネート樹脂押出発泡体が提供される。
特に、該発泡体の気泡の平均気泡径が、下記条件式を満足することを特徴とする前記ポリカーボネート樹脂押出発泡体、
1<X/Z≦3
1<Y/Z≦5
(X+Y+Z)/3≧0.1mm
{但し、式中、Xは発泡体幅方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Yは発泡体押出し方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Zは発泡体断面の厚み方向の平均気泡径(mm)を表す。}
また、ポリカーボネート樹脂を溶融し、得られた溶融物に蒸気圧が37℃で1〜10kg/cm2の発泡剤を、0.1〜1.7〔モル/kg(樹脂)〕の割合で圧入し、210℃以上、225℃より低い温度で押出発泡させた後、発泡体の内、外両表面を冷却することを特徴とする前記ポリカーボネート樹脂押出発泡体の製造方法が提供される。
また、前記発泡体が板状の建築用内張材であることを特徴とする前記ポリカーボネート樹脂押出発泡体が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
ポリカーボネート樹脂は、その特性として、溶融張力の値が非常に低いことが挙げられる。溶融張力が低いと、発泡剤を含んだ樹脂がサーキュラーダイス出口から大気圧に放出され発泡する際、その発泡力に気泡膜が追従できず、気泡が破壊してしまい満足な発泡シートが得られない。プラスチックの発泡の場合、溶融張力が低い場合は大気中に放出された瞬間に気泡破壊をおこして連通化し、図3の発泡体断面にみられるような、気泡骨格の座屈が確認される。図3のような連続気泡構造の発泡体は、透気性、透湿性は得られるものの気泡構造上の理由から圧縮強度等の剛性の面で充分良好な発泡体を得ることは困難である。一方、独立気泡構造の発泡体は、逆に透気性及び透湿性(以下、併せて透湿性という)は得られないが、剛性面においては気泡構造上、気泡骨格には座屈の発生はほとんど見られず緊張した気泡骨格により気泡が形成されているため、充分な剛性が得られる。そこでポリカーボネート樹脂の場合はTgが150℃と高いために押出発泡条件次第で気泡の固化と破壊のタイミングにおいて微妙なバランスをとることにより、透湿性があり、且つ充分な剛性を有する図1に示す特別な気泡構造を有する発泡体を得ることができる。
【0010】
本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡体は、例えばダイスを温調することにより、押出時の樹脂温度を極力下げ、気泡の破壊による近接する気泡との合体が原因の巨大気泡の形成や、気泡破壊が原因の発泡剤の抜けによる気泡の潰れや気泡骨格の座屈を抑え均一な気泡を形成することができる。その上で、発泡剤の使用量を少なく調整したり、発泡剤の蒸気圧を低く調整すること、押出発泡後の発泡体の冷却を充分行なうことにより、気泡形状を均一に保ちながら、しかも、気泡骨格の破線部で示される気泡膜に適度な大きさの孔を形成させることが可能であり、発泡体の独立気泡率も調整することができる。尚、押出発泡後の発泡体の冷却方法は、エアーによる間接冷却や、冷却ガイダーによる接触冷却方法等が採用される。
【0011】
本発明における気泡構造は気泡膜に孔が形成されている以外は、従来の独立気泡構造と同様であり、具体的には、図1または2のように発泡体断面の気泡骨格が一部に破線部を有する直線又は弧による線で表わされる気泡膜によって構成される気泡構造であって、気泡骨格が不規則な蛇行を繰り返す曲線で表わされる座屈した図3のような連続気泡構造のものとは区別されるものであり、且つ、気泡膜に孔を有するものである。気泡膜に形成される孔は最大径を代表径として求めた平均径が50〜650μm、更に好ましくは100〜400μmである。発泡体断面において任意面積に存在する全気泡数に対して孔を有する気泡数が5〜50%になるように、上述の通り発泡体製造時に調整することが好ましい。孔の平均径が50μm未満の場合や孔を有する気泡数が5%未満の場合は透湿性、吸音性等が不充分なものとなる可能性があり、一方、孔の平均径が650μmを超える場合や孔を有する気泡数が50%を超える場合は、圧縮強度等の発泡体の剛性が不充分となるおそれがあり好ましくない。
【0012】
また、本発明の発泡体の気泡の平均気泡径は、下記条件式を満足するものが、熱成形時のドローダウン防止の点で好ましい。
1<X/Z≦3
1<Y/Z≦5
(X+Y+Z)/3≧0.1mm
{但し、式中、Xは発泡体幅方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Yは発泡体押出し方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Zは発泡体断面の厚み方向の平均気泡径(mm)を表す。}
【0013】
また、本発明の目的の一つである透湿性を達成するためには、発泡体表皮にも孔が存在することが好ましく(但し、表皮に孔が存在しない発泡体であっても表皮をスライス加工することによって気泡膜に孔が形成されていれば透湿性の効果は達成することができる。)、表皮の孔の平均径は500μm以下、表皮の孔の数は20〜4000個/cm2であることが好ましい。表皮の孔の平均気泡径が500μmを超える場合や、該孔の数が4000個/cm2を超える場合は外観、表面硬度等が不充分なものとなり易く、一方、該孔の数が20個/cm2未満の場合は、孔の平均径にも左右されるが、透湿性、吸音性等が不充分になるおそれがある。尚、上述の表皮に存在する孔は表裏両面において上記範囲の平均径及び個数を有するものが好ましい。
表皮の孔の平均径及び個数の調整は、主にポリカーボネート樹脂押出発泡時、押出直後に発泡体表面をエアー又は冷却ガイダーで冷却し、冷却量を調整することにより、好ましい範囲とすることができる。
【0014】
本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡体は、密度が0.03〜0.6g/cm3、好ましくは0.06〜0.24g/cm3である。密度が0.03g/cm3より小さいと、気泡の破壊の方が速く進んでしまい独立気泡率のコントロールが難しくなってしまい、0.6g/cm3より大きいと、断熱性の低下や、重量増加となり好ましくない。
また厚みは0.5〜10mmである。厚みが0.5mmより薄いと強度が小さく、厚みが10mmを超えるものは、当然それに必要なダイスのクリアーに設定しなければならないが、そうすると、ダイス先端での圧力保持が難しく、落圧等により凹凸のある外観の悪い発泡体となってしまう。
発泡体厚みが0.5〜10mmのものは吸音性、透湿性に加えて、機械的強度、特に曲げ弾性率、耐衝撃強度に優れているため、壁内側に断熱材として使用されるグラスウールの押え板等の建築用内張材に好適である。
更に、厚みが3〜8mmのものについては、吸音性、透湿性、機械的強度に加えて、耐熱性も必要な自動車天井材等の自動車内装材に好適である。
【0015】
本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡体の製造は、例えば蒸気圧が37℃で1〜10kg/cm2の範囲にある発泡剤を用い、これを0.1モル〜1.7〔モル/kg(樹脂)〕の範囲で押出機内の溶融樹脂中に圧入し、樹脂温度を210℃以上にコントロールすることにより行なうことができる。
【0016】
本発明で用いる蒸気圧が37℃で1〜10kg/cm2の範囲にある発泡剤として、ブタン、i−ブタン、エチクロ、1,1−ジフルオロエタン(HFC152a),1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、ペンタン、i−ペンタン等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、二種以上組み合わせてもよい。更に、他の発泡剤も少量の範囲で添加してもよい。
蒸気圧が1kg/cm2未満の物を使用した場合は、かなり独立気泡率が高くなってしまい、透湿性が劣ってしまう。逆に10kg/cm2を超える物を使用した場合は、発泡力が強すぎ気泡の破壊を優先させてしまい本発明の目的とする発泡体が得られなくなり易い。つまり、発泡剤の蒸気圧等、前述の押出発泡条件をコントロールすることにより、独立気泡率を調整し、その気泡膜に孔を有する独立気泡率の高い物とほぼ同様の剛性を保ちつつ透湿性の高い押出発泡体を得ることができるのである。
【0017】
本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡体は、独立気泡率5%以上、80%未満である。独立気泡率が5%未満のものは、発泡体自身の剛性が弱くなってしまい、また、80%を超えるものは剛性はあるが透湿性の値が低くなってしまう。好ましくは、40〜60%の範囲である。
【0018】
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂としては、例えば2,2ビス(4−オキシフェニル)プロパン、2,2ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1ビス(4−オキシフェニル)エタン等から製造される芳香族ポリカーボネートや、それらを分岐化剤により分岐化させて得られる分岐化ポリカーボネートが例示される。
本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡シートに適する原料としては、粘度平均分子量20000以上、250℃における溶融張力が1.7g以上の物が適している。好ましくは、粘度平均分子量20000〜29000、溶融張力1.7〜2.7のものが適している。このようなポリカーボネートとしては、三菱ガス化学社製ユーピロンS−3000(粘度平均分子量21000、溶融張力1.7)、ユーピロンS−1000(粘度平均分子量26000、溶融張力2.4)、ユーピロンE−2000(粘度平均分子量29000、溶融張力2.6)等が例示される。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
【0020】
実施例1
ビスフェノールAから誘導される粘度平均分子量29000のポリカーボネート樹脂100重量部に、気泡調整剤としてタルク0.02重量部を加え、これを押出機内で加熱、溶融、混合してから、n−ペンタンを0.60〔モル/kg(樹脂)〕となる様に押出機内に圧入し、樹脂温度220℃で押出機先端のサアーキュラーダイから発泡剤を含浸した樹脂を管状に押出し、押出された管状発泡体の内外表面をエアーにより冷却しながら直径200mmのマンドレルで引き取ってから、流れ方向に沿って切り開いて、シート状発泡体を得た。尚、サーキュラーダイの直径は65mmである。また、円筒状発泡体の押出速度は50kg/h、引取速度は5m/minとした。得られた発泡体の密度、厚み、独立気泡率等を表1に示す。この時の気泡断面写真を見ると、気泡の構造は図1のように気泡骨格の一部に破線部が形成され、該骨格が座屈することなく形状を維持している気泡構造のものであった。気泡膜に平均径390μmの孔が見られ、孔を有する気泡数は全体の17.5%であった。また、得られた発泡体の剛性、透湿度、外観について評価を表1に併せて示す。
【0021】
実施例2
発泡剤をブタンとした以外は実施例1の場合と同様にして発泡体を作成した。得られた発泡体の密度、厚み、独立気泡率等を表1に示す。この発泡体の気泡断面写真を見ると、図2のよう骨格の一部に破線部が形成され、座屈のない気泡構造であり、気泡膜に平均径300μmの孔が見られ、孔を有する気泡数は全体の23%であった。
【0022】
実施例3
発泡剤として、1,1−ジフルオロエタン(HFC152a)を0.90〔モル/kg(樹脂)〕、樹脂温度及び引取速度を表1に示す値とした以外は実施例1の場合と同様にして発泡体を作成した。得られた発泡体の密度、厚み、独立気泡率等を表1に示す。この発泡体の気泡断面写真を見ると骨格の一部に破線部が形成され、座屈のない気泡構造であり、気泡膜に平均径290μmの孔が見られ、孔を有する気泡数は全体の41%であった。
【0023】
比較例1
発泡剤として、塩化メチルを0.9〔モル/kg(樹脂)〕とした以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。但し、塩化メチルはポリカーボネート樹脂の可塑化効果が高くリップ口での保圧が困難なためリップクリア狭くしなければならず、広幅シートを得ようとすると十分に厚みを出すことは困難であった。そのために、マンドレルは直径100mmの物を用いて、狭幅シートしか得ることが出来なかった。また、表1に示す通りシートが軟らかいためにシート表面にかけるエアーを増量して引き取らなければならなかった。その他、樹脂温度は209℃であった。得られた発泡体の密度、厚み、独立気泡率等の物性を表1に示す。この発泡体の気泡断面写真を見ると周知のポリスチレン系樹脂発泡体に見られる独立気泡構造と同様の構造を有し気泡骨格の一部に破線部は確認されなかった。また気泡膜に孔もほとんど確認されず透気性、透湿性に劣るものであった。
【0024】
比較例2
樹脂温度を225℃とし、引取速度を6m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。得られた発泡体の密度、厚み、独立気泡率等の物性を表1に示す。
【0025】
比較例3
発泡剤量を1.8〔モル/kg(樹脂)〕とし、外表面のエアー量を0.8m3/minとした以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。但し、発泡剤の可塑化効果のために樹脂温度は215℃となり、また発泡が早くなるために引取速度を15m/minとした。得られた発泡体の密度、厚み、独立気泡率等の物性を表1に示す。
【0026】
比較例4
エアー量を最小にし、引取速度を7m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。得られた発泡体の密度、厚み、独立気泡率等の物性を表1に示す。
【0027】
尚、比較例2〜4で得られた発泡体の気泡断面写真を見ると、気泡構造は図3のように気泡骨格が座屈した形状の一般的な連続気泡構造を呈し、気泡膜に孔が見られ、孔を有する気泡数は全体の65%以上であった。
実施例及び比較例で得られた発泡シートの物性の測定方法及び評価は以下のとおりである。
〔独立気泡率〕
縦25mm×横25mmの発泡体を積み重ね厚みが約30mmになる枚数の測定サンプルを使用してASTM D2856のエアピクノメーター法によりVxを求める。
以下、次式に従って独立気泡率Fc(%)を求める。
Fo=[(Va−Vx)/Va]×100
Fc=100−Fo
Fo(%):連続気泡率
Va(cm3):測定サンプルの外寸から求められるみかけ容積
Vx(cm3):測定サンプルの実容積
〔透湿度〕
JIS Z0208(1976)に準拠し、条件Bにて求められる値である。
【0028】
〔剛性〕
発泡体を断熱壁のグラスウール押さえ板として使用し、以下の基準にて評価する。
○:押さえ板がたわむことなく平坦な状態である。
△:押さえ板の中央部が多少たわんでいる状態である。
×:押さえ板がたわんでいる状態である。
〔外観〕
発泡体を表裏面を目視により検査し、以下の基準にて評価する。
○:光沢が有り、表面荒れも見られない。
△:表面荒れが多少見られる。
×:表面荒れがひどく凹凸が見られる。
〔密度〕
発泡体の重量(g)をその見かけ体積(cm3)で割って求められる値である。
【0029】
〔平均気泡径〕
Xは発泡体幅方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Yは発泡体押出し方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Zは発泡体断面の厚み方向の平均気泡径(mm)を表しており、発泡体幅方向断面の顕微鏡拡大図を基に拡大図上の全ての気泡について(最低でも100個以上の気泡について)厚み方向と直交する方向の気泡径X1、X2、…Xn及び厚み方向の気泡径Z1、Z2、…Znを求める(図4(b)参照)。
また同様に押し出し方向断面についても厚み方向と直交する方向の気泡径Y1、Y2、…Yn及び厚み方向の気泡径Zn、Zn+1、…Z2nを求める(図4(c)参照)。 求めた各方向の気泡径の平均値を下式により求めX、Y、Zを算出した。
尚、発泡体断面における気泡の骨格が破線部を有し、気泡径の測定が難しい気泡については無視することとする。
【0030】
〔表皮孔〕
表皮孔については外表面、内表面の各々における顕微鏡拡大図を基に4mm2当りの孔の数を5ヵ所以上についてカウントし、その平均値を25倍して1cm2当りの孔の数とした値である。
また、平均径については上記顕微鏡拡大図を基に孔の最大径を代表径として拡大図上の全ての孔について(最低でも100個以上の孔について)孔径を求め、その平均値をもって孔の平均径とした。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡体は、前記した如く密度を0.03〜0.6g/cm3、厚みを0.5〜10mm、独立気泡率を5%以上、80%未満としたものであり、特に該発泡体は、独立気泡発泡体と同様に発泡体断面の気泡骨格が座屈することなく形状を維持し、該骨格の一部に破線部を有するものであるため、透湿性、透気性を有する上に、外観、耐熱性、剛性にも優れ、特に建築用内張材用や、自動車内装材用として極めて好適な発泡体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡体の気泡の断面写真模式図である。
【図2】実施例2で得られた本発明のポリカーボネート樹脂押出発泡体の気泡の断面写真模式図である。
【図3】従来の連続気泡構造を有するポリカーボネート樹脂押出発泡体の気泡の断面写真模式図である。
【図4】発泡体の平均気泡径の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1:気泡骨格
2:破線部
Claims (4)
- 厚さ0.5〜10mm、密度0.03〜0.6g/cm3、独立気泡率5%以上、80%未満の発泡体であって、該発泡体断面の切断された気泡骨格が直線又は弧による線で表わされる気泡膜によって構成される気泡構造であり、気泡膜には最大径を代表径として求めた平均径が50〜650μmの孔が形成され、発泡体断面において任意面積に存在する全気泡数に対して孔を有する気泡数が5〜50%になるように、形状を維持していることを特徴とするポリカーボネート樹脂押出発泡体。
- 該発泡体の気泡の平均気泡径が、下記条件式を満足することを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂押出発泡体。
1<X/Z≦3
1<Y/Z≦5
(X+Y+Z)/3≧0.1mm
{但し、式中、Xは発泡体幅方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Yは発泡体押出し方向断面の厚み方向と直交する方向の平均気泡径(mm)を、Zは発泡体断面の厚み方向の平均気泡径(mm)を表す。} - ポリカーボネート樹脂を溶融し、得られた溶融物に、蒸気圧が37℃で1〜10kg/cm2の発泡剤を、0.1〜1.7〔モル/kg(樹脂)〕の割合で圧入し、210℃以上、225℃より低い温度で押出発泡させた後、発泡体の内、外両表面を冷却することを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂押出発泡体の製造方法。
- 前記発泡体が、板状の建築用内張材であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリカーボネート樹脂押出発泡体。
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1995
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