JP4816853B2 - ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子に関する。より詳細には、使用される発泡剤の種類が限定されることなく、ポリ乳酸系樹脂組成物への発泡剤の含浸が水懸濁系又は水が混和された混合系で行われ、かつ発泡核剤の添加なしに、発泡後に微細で均一性の高い適正なセルサイズを持つ発泡成形品を得ることができるポリ乳酸系発泡性樹脂粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽量性、緩衝性、成形加工性を生かしたプラスチック発泡体が多量に使用されており、その用途も家電製品用等の梱包材、建築用ボード及び断熱ブロック、魚箱等の断熱容器、即席食品用のカップ類、或いは道路等の土木工事における埋設ブロック等様々である。しかし、その素材は主としてポリスチレンやポリオレフィン等の石油を原料とする化学製品で、焼却すれば燃焼カロリーが高く焼却炉を傷め、又埋め立てをしても分解しない上に容積が大きい為にその置き場の確保が難しい等使用後の処分が非常に困難であり、大きな社会問題となっている。その上、処分されずに投棄された発泡成形体による河川や海洋等の汚染等、自然態系への影響も目立ち始めている。そこで、微生物の体内で合成されるポリヒドロキシブチレート系樹脂、脂肪族グリコールと脂肪族カルボン酸からなるポリエステル又はカプロラクトンを主成分とするポリエステル系樹脂等、生態系の中で分解し、環境への悪影響が少ない生分解性樹脂が開発された。しかしながら、前者は微生物によって作り出される為に純度が低い上に極めて生産性が悪く、利用が制限される。そして後者は原料が石油や天然ガス等安価で多量に入手できるものであるので生産性は良好であるが、結晶性樹脂である上にガラス転移点が低い為に生分解性発泡樹脂としては実用性に乏しい。さらに、石油や天然ガスを原料としている為に分解後に炭酸ガスを発生し、環境に与える影響も少なくない。
近年、このような観点から、ポリ乳酸を主体とした発泡性樹脂粒子及びその発泡体が注目されてきている。このポリ乳酸系の発泡体は、微生物により殆ど分解され、使用後の処分に際しても環境への悪影響が非常に少ないだけでなく、かつ安価で高い生産性と実用性を有し、さらにはポリスチレン系の発泡体と同様に発泡性粒子の状態で加工業者へ搬送でき、該業者側で該発泡性粒子を予備発泡し、得られた発泡粒子を型枠成形することができる等、従来の発泡体の利点をも有する。
【0003】
ところで、ポリ乳酸系発泡性粒子、又はポリ乳酸系発泡性樹脂組成物に関して、以下の技術が知られている。
例えば、特開平2000−17039号公報には、L体とD体のモル比が95/5〜60/40、又は40/60〜5/95で溶融粘度がメルトインデックス値で1〜10の範囲にある直鎖状ポリ乳酸にイソシアネート基≧2.3当量/モルのポリイソシアネート化合物を該ポリ乳酸に対して0.7〜5重量%配合し、且つ、反応させた樹脂組成物の溶融温度がメルトインデックス値(MI)で3以下であることを特徴とする生分解性を有する発泡性樹脂組成物が開示されている。その中で、L体とD体が90/10〜70/30、又は30/70〜10/90のモル比を有し、直鎖状ポリ乳酸が1〜5のMIを示すことが好ましく、また、イソシアネート化合物がイソシアネート基≧2.7当量/モルであり、その配合量が1〜3重量%である態様も好ましいとしている。そしてさらなる好ましい態様は、前記生分解性を有する発泡性樹脂組成物はMIが0.5以下であることを記載している。このように該公報に関しては、発泡性樹脂組成物を形成し得る樹脂組成物の組成に関しての記述であり、さらに実施例において、発泡剤のポリ乳酸系樹脂組成物への含浸は非水系で行われている。また、適正なセルを形成する為に発泡核剤の添加が好ましいこととしている。
また、特開平8−253617号公報には、重量平均分子量2万〜40万の、乳酸成分とジカルボン酸成分とジオール成分とを構造単位として含む乳酸系ポリエステル共重合体に揮発性化合物を吸収させた乳酸系ポリエステルの発泡性粒子が開示されている。その中で、重量平均分子量2万〜40万の、乳酸成分とジカルボン酸成分とポリオキシアルキレンエーテルジオール成分とを構造単位として含む乳酸系ポリエステル共重合体に揮発性化合物を吸収させた態様が好ましく、乳酸系ポリエステル中の乳酸成分の重量割合が、乳酸系ポリエステルの50〜98%であることを特徴とする乳酸系ポリエステルの発泡性粒子が好ましいとしている。さらに、使用される揮発性化合物はペンタン、ブタン、およびプロパン、またはこれらの混合物が好ましいとしている。乳酸系ポリエステルの発泡性粒子の製造方法としては、有機溶媒中に溶解していた乳酸系ポリエステルを冷却することによって粒子を得、さらに揮発性化合物を吸収させること、又は乳酸系ポリエステルを粉砕することによって粒子を得、さらに揮発性化合物を吸収させることに続いて、その乳酸系ポリエステルと揮発性化合物とを押出機内において混練後、押出し、次いで切断することを特徴とする。或いは乳酸系ポリエステルと揮発性化合物とを混練し、次いでこれをダイヘッドの押出孔から加圧液中に押出し、即時切断した後、冷却する方法も挙げられている。さらに詳細には、乳酸系ポリエステルと、揮発性化合物と、乳酸系ポリエステル100重量部に対して1.5重量部以下の無機質粉末とを混練し、次いでこれをダイヘッドの押出孔から加圧液中に押出し、即時切断した後、冷却する方法が好ましい態様の一つとしている。乳酸系ポリエステルの発泡性粒子の別の好ましい製造方法として、乳酸系ポリエステルと、揮発性化合物と、および必要に応じ無機質粉末とを混練し、次いでこれをダイヘッドの押出孔から発泡性乳酸系ポリエステルのガラス転移温度−5℃以上の加熱加圧液中に押出し、切断して得た粒子を加熱加圧液中で徐冷するか、又は同温度以上に保持した後、冷却する方法が挙げられている。このように該公報に関しては、乳酸系ポリエステルの発泡性粒子の組成とその製造方法に関する記載である。
【0004】
ポリ乳酸系樹脂組成物に発泡剤を含浸させ、発泡性樹脂粒子とした後、予備発泡を経て発泡成形品とする過程は、ポリスチレン系樹脂組成物のそれと次の点で大きく異なっている。通常、ポリスチレン系の発泡粒子を形成する場合において、微細で均一性が高い適正なセルを得る為には、発泡剤をポリスチレン系樹脂組成物に含浸させて発泡性樹脂粒子とした後、熟成を行うことが重要である。ポリスチレン系樹脂組成物に発泡剤を含浸し、発泡性樹脂粒子とした後、室温又は20℃以下の温度で数日間以上熟成を行った後に発泡すると、発泡粒子中に数百μm以下の良好なセルが形成し、また添加された発泡剤の量に応じた倍率にまで発泡された良好な発泡粒子となる。
これに対し、ポリ乳酸系樹脂組成物の場合、発泡剤を含浸させた後に熟成を行ってもセルサイズは殆ど変化せず、その均一化が図られず、例えば室温もしくは20℃以下の温度にて10日以上の長期熟成を行った後で発泡を行った場合であっても微細で均一性の高い適正なセルを形成させることは困難である。さらに、ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度は、ポリスチレン系樹脂組成物のガラス転移温度(100〜110℃)に比較して40℃以上低く(50〜60℃)、さらに発泡剤が含浸されると前記温度は室温近くまで低下する。このようにガラス転移温度が低いポリ乳酸系発泡性樹脂粒子を水蒸気で発泡すると、極めて短時間で発泡が起こるが、該樹脂粒子の内部が空洞になり、発泡粒子は極めて歪な形状となり、発泡完了後に著しい収縮をも伴う等の問題を引き起こす。結果として微細で均一性の高いセルが殆ど形成されず、発泡体製品として全く実用性に欠ける。
また、ポリスチレン系樹脂組成物に発泡剤を含浸させる系に水が存在していても、得られたポリスチレン系発泡性樹脂粒子は、発泡過程に何ら支障はなく、良好な発泡体が形成される。しかしながらポリ乳酸系樹脂組成物に発泡剤を含浸させる段階において水が存在している場合、含浸後のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子は、発泡段階での温度や加熱条件を変えても殆ど又は全く発泡が起こらず、発泡体を得ることが事実上不可能であった。
このような問題点を解消する為に、ポリ乳酸系樹脂組成物を使用する場合には、発泡剤の該樹脂組成物への含浸方法を非水系とし、さらに均一性の高い適正なセル形成の為の多量の核剤(セル形成剤)の添加や、高い発泡倍率の達成や均一性の高いセル形成の為にある特定の発泡剤・発泡助剤を使用する等の工夫がこれまでなされてきた。
【0005】
こうした技術背景により、上述した特開2000−17039号公報や特開平8−253617号公報の他に、特開2000−17038号公報、特開2000−17039号公報、特開2001−98104号公報に開示されている技術においても、発泡剤のポリ乳酸系樹脂組成物への含浸方法はいずれも非水系である。また、特開2001−164027号公報に開示されている、ブタン化合物、例えばn−ブタン、イソブタン等の炭素数3〜4の炭化水素化合物を発泡剤とし、これと共に発泡助剤を必須成分として、生分解性樹脂組成物に含浸して発泡性粒子を製造する技術は、使用する発泡剤・発泡助剤の種類を特定している。さらに、上述したこれら公報は、適正なセルを形成する為にセル形成剤(核剤)の添加が必須、もしくは好ましいこととしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリ乳酸系樹脂組成物への発泡剤の含浸方法が非水系の場合、下記のような問題がある。発泡剤等をポリ乳酸系の樹脂組成物に直接に含浸させることになるが、含浸を効率良く行う為には、ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度以上に温度を上げて該樹脂組成物を軟化させ、発泡剤が該樹脂組成物に含浸しやすくする必要がある。ところが含浸時の温度をガラス転移温度以上に設定した場合においては、ポリ乳酸系樹脂組成物は軟化すると同時に発泡剤が該樹脂組成物中に混合されて膨潤しやすくなる為に、逆にポリ乳酸系樹脂組成物同士が再び互いに付着し合い、いわゆる集塊物となってしまう傾向がある。このうち一部の集塊物は、発泡から成形までの工程において、送粒中にパイプラインを詰まらせてしまう等のトラブルを引き起こすことがあり、さらにこれら集塊物が多くなると、発泡剤の含浸中にポリ乳酸系樹脂組成物が全て固まってしまうことがあり得る。
また、発泡過程において高い発泡効率や発泡後のセルの微細化・均一性を求めると、使用され得る発泡剤は炭素数3〜4の炭化水素、例えばブタン等に限定されてしまい、選択の余地が事実上なくなると共に、発泡助剤の添加が不可欠となる。ブタン等の場合、常温で気体であることから、ハンドリング上の問題の他、含浸での加熱時に圧力が高くなる事から、より耐圧性のある含浸槽が必要となる等、総じて設備費が多くかかり、好ましいとは言えない。
さらに、適正なセルを得る為にタルク等の核剤の多量の添加が必要となり、これは発泡成形品の表面外観を悪化させ、その上、成形品内部のセル間の融着性を著しく低下させる。また、製造工程面においても作業が煩雑になるなど、生産性の点においても満足のいくものではない。
このように、非水系においてポリ乳酸系樹脂組成物に発泡剤を含浸させて発泡体を得る手段は多くの課題を残し、微細で均一性の高い良好なセルを有する発泡粒子、及び表面外観の美麗な発泡成形品を効率的に形成するには十分とは言い難い。
【0007】
一方、発泡剤を水系で樹脂組成物に含浸せしめた例としては、本発明者らによる特開平9−124831号公報において、発泡性スチレン系樹脂粒子の切断面において、存在する微孔の数及び大きさが一定の範囲内にあり、かつ該樹脂粒子が厚さ10mmのガラスセル中に媒体の水とともに充満された試料を使用しそして透過形積分球を用いて該試料内を透過散乱する光について測定される吸光度と、前記樹脂粒子の平均粒子径との間に一定の式で表される関係が成立するとき、それより得られる予備発泡粒子について、特別なセル形成剤の添加無しに、さらに熟成処理を施さなくとも均一で良好なセル構造を形成することができることを開示している。
しかしながら、上記公報に開示された技術は、上述したようにポリスチレン系樹脂組成物を対象としたものであって、開示されている技術がそのままポリ乳酸系樹脂組成物に適用されるとは限らない。そして、特開2000−17038号公報や特開2001−98104号公報、特開2001−164027号公報は、発泡性樹脂組成物として使用し得る樹脂組成物や発泡粒子、それらからなる発泡成形体、又はそれらの製造方法に関して記載があるだけで、さらに、上述した特開平8−253617号公報や特開2000−17039号公報においては、ポリ乳酸系発泡性樹脂組成物もしくはポリ乳酸系発泡性樹脂粒子における樹脂や発泡剤の組成に関しての記載はあるが、発泡性樹脂粒子の内部構造に関しては何ら記載も示唆もしていない。
本発明は、以上の事情を背景としてなされたものであって、その課題とするところは、ポリ乳酸系樹脂組成物への発泡剤の含浸が水懸濁系又は水を混和した混合系で行われ、そして使用される発泡剤の種類が限定されることなしにその後の発泡が支障なく行われ、発泡成形後に微細で均一性の高いセルを持つ実用性の優れた発泡成形品を核剤の添加なしに得ることができるポリ乳酸系発泡性樹脂粒子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究し、種々検討した結果、水懸濁系において又は水を混和させた混合系において、発泡剤をポリ乳酸系樹脂組成物に含浸させ、その後得られるポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中に微量含まれる水分、具体的には樹脂粒子内の微孔に充満されている水分を適宜除去することにより、上記の問題点を解決し得る発泡性樹脂粒子を得ることができ、かつ発泡後においては微細で均一性の高い適正なセルを有する発泡粒子となすことを見出した。詳細には、上述のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の発泡にあたって、発泡剤の種類にかかわらず良好な発泡粒子を形成することができ、さらにはタルクのような核剤を添加しなくても微細で均一性の高い適正なセルサイズを有する発泡粒子を得ることに成功し、本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明は、ポリ乳酸系樹脂組成物と水との混合系であってポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対して水を1重量部以上含む系において、発泡剤を該ポリ乳酸系樹脂組成物に対し3重量%以上含浸し、次いで25℃乃至40℃の温度下で乾燥させて得られるポリ乳酸系発泡性樹脂粒子であって、残存水分量が0.5%以下である該ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の切断面において、微孔が断面積1mm2あたり5000個乃至30000個存在することを特徴とするポリ乳酸系発泡性樹脂粒子に関する。さらに前記微孔は、平均で1μm乃至10μmの直径を有することを特徴とするものである。本発明の好ましい態様は、前記ポリ乳酸系樹脂組成物は、L体とD体のモル比が95/5〜60/40、又は40/60〜5/95であるポリ乳酸に、イソシアネート基≧2.0当量/モルのポリイソシアネート化合物を該ポリ乳酸に対して0.5〜5重量%配合し反応させてなることを特徴とするものである。本発明は又、上記ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子を予備発泡させ、次いでそれを発泡成形して得られる発泡成形品にも関する。
【0010】
本発明において、微細で均一性の高い適正なセルを有する発泡粒子を形成する為には、水懸濁系又は水を混和させた混合系においてポリ乳酸系の樹脂組成物に発泡剤を含浸せしめて形成された発泡性樹脂粒子の切断面について、微孔が、平均1μm乃至10μmの直径で、断面積1mm2あたり5000個乃至30000個存在することが望ましい。これにより、発泡を行った場合、微孔が発泡の起点となり、セル形成剤(核剤)の添加がなくとも、微細で均一性の高い適正な発泡粒子が形成される。
微孔が断面積1mm2あたり5000個以下であると、得られる発泡粒子は粗大なセル構造を有するものとなり、発泡成形品を切断したときのその切断面の性状が粗悪で見た目も悪く、さらに成形品の断熱性能が低下する。一方、微孔が断面積1mm2あたり30000個以上であると、発泡成形時に収縮が起きやすくなり、所望の型に正確に成形することが困難となって実用性が低下する。
【0011】
また、微孔の直径は、1μm以下であると、得られるセルが微細の構造のものになりすぎる傾向にあり、又10μmを越えると、得られるセルが粗大な構造を有するものとなって製品としての実用性が低下することから、平均して1μmないし10μmの範囲にあることが好ましい。さらに好ましい前記微孔の直径は、平均して2ないし5μmである。
【0012】
ポリ乳酸系樹脂組成物に発泡剤を含浸する過程において、発泡剤は前記ポリ乳酸系樹脂組成物に対して3重量%以上含有していれば十分である。発泡剤がポリ乳酸系樹脂組成物に対して3重量%未満の含有量である場合、その後の発泡が不十分となり、成形品の倍率も低くなることから、製品としての実用性が低下する。
【0013】
発泡剤の例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、又は塩化メチル、フレオン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。これら発泡剤は単独で使用しても、又は2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。この中で、発泡剤が含浸されたポリ乳酸系の樹脂組成物中の内部に含まれる水分を除去する際に、発泡剤の逸散がより少ないということから、ブタン又はペンタンがさらに好ましい。樹脂組成物中のこれら発泡剤の含有量は、発泡倍率との関係にもよるが、3ないし25重量%が好ましく、5ないし15重量%がさらに好ましい。
【0014】
本発明において、ポリ乳酸系樹脂組成物に対し発泡剤を含浸させる過程は、前記ポリ乳酸系樹脂組成物に水を混和させた混合系において行われる。ここで、本発明において言及する水を混和させた混合系とは、水が存在する系一般を含み、ポリ乳酸系樹脂組成物に水を添加し均質化した系の他、水中にポリ乳酸系樹脂組成物を分散させた状態の水懸濁系を含むものとする。
水を混和させた混合系においては、ポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対し、水を1重量部以上混和させることが好ましい。水の1重量部以下の混和量では、上述したところのポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔の数が所定の値に達することができない。一方、水の混和量が1重量部から増加するに従い、形成する微孔の数も増加する傾向にあり、該微孔の数を所望の水準に調整することも可能である。水の混和量が50重量部を超えたあたりから、形成する微孔の数が殆ど増加しなくなる。さらに、水の混和量が300重量部を超えると、形成される微孔の数及び大きさにはそれ程影響がないが、前記混合系中においてポリ乳酸系樹脂組成物の濃度がかなり希薄となり、発泡剤の含浸過程等における作業性が悪くなり、生産性が低下する。したがって、水の混和量の上限は、生産性の観点から定められるべきものであり、それが極端に低下するような水の混和量でなければ構わない。好ましくは、ポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対し水を3〜200重量部混和させた系である。
【0015】
図1は、ポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対し水を50重量部混和させた混合系において、発泡剤を含浸させて得られたポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の切断面であるが、多数の微孔が形成されていることがわかる。さらに、ポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対し水を5重量部混和させた混合系において、発泡剤を含浸させて得られたポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の切断面では、図1に示す、水を50重量部混和させた混合系の場合よりも、微孔の数は若干減少してはいたものの、その大きさは良好であった。一方、発泡剤の含浸において、非水系とした場合に得られたポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の切断面には、微孔は殆ど観察されなかった。これらの事実から、本発明において注目しているところの微孔の形成には、ポリ乳酸系樹脂組成物に発泡剤を含浸させるに際し、水の存在が不可欠であり、特にその添加量の大小が重要な点となっていることがわかる。
【0016】
水懸濁系において又は水を混和させた混合系において発泡剤をポリ乳酸系樹脂組成物に含浸させた場合、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中には、上述したように多数の微孔が形成されるが、この時点においては、前記微孔中には水分が充満されている状態である。そして、直接この微孔が水で充満されている状態の前記樹脂組成物を水蒸気等により発泡せしめようとしても、全く或いは殆ど発泡されない。これは、発泡させるに必要な加熱に対し、大きな潜熱を持つ微孔中の水が一種の吸熱作用を示す為にその発泡を阻害するものと考えられる。発泡を可能にし、そして発泡後に微細で均一性の高い適正なセルを有する発泡粒子を得る為には、発泡の前に、微孔中の水を適宜除去し、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の残存水分量として0.5%以下の状態にしておくことが必要である。したがって、水分が充満されている状態の微孔もまた、その後の水分が除去された微孔と同様に、当然、発泡性樹脂粒子の切断面について、断面積1mm2あたり5000個乃至30000個存在することが望ましい。
【0017】
かかる発泡剤が含浸されたポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔の数は、前記ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子を予備発泡させて形成された発泡粒子のセルの大きさと密接な関係がある。すなわち、微孔の数が多いほど発泡粒子のセルは微細となり、微孔の数が少ないほど発泡粒子のセルは粗大となる傾向を示す。このポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔の数は、水の存在下においての発泡剤の含浸工程における各種条件(添加した水分量、発泡剤の添加量、分散剤の種類及び添加量、含浸温度、含浸時間、昇温及び冷却速度)等によって左右されるが、本発明では特に、発泡剤の含浸後においてポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の内部水分を逸散させる工程での温度が極めて重要であることを見出した。
【0018】
本発明においては、発泡剤含浸後のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の内部水分を逸散させる為、乾燥工程が必要となる。この時、ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度(50〜60℃)よりもかなり高い温度で乾燥を行うと、発泡が一部始まってしまうので好ましくない。該ガラス転移温度より少し高い温度で乾燥を行うと、それまで存在していたポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔の数が大幅に減少し、乾燥工程終了後の予備発泡により形成される発泡粒子のセル径が極めて粗大となる他、発泡剤の逸散も多くなってその後の発泡が不十分となる等の問題を生じる。かかる問題を回避する為には、乾燥温度は、ポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度以下、好ましくは40℃以下である必要がある。また、前記乾燥温度が5℃以下であると、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の内部水分の逸散が極めて遅く、非常に効率が悪い。すなわち、発泡剤含浸後のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の内部水分を逸散させる為の乾燥は、5℃以上で、且つポリ乳酸系樹脂組成物のガラス転移温度以下、好ましくは40℃以下で行われる。さらに好ましくは5℃ないし35℃である。5℃ないし35℃以下の範囲で、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の水分を逸散させ、発泡を行うと、大きさ、数ともに特に良好なセルを得ることができる。
【0019】
発泡粒子のセルの大きさは、乾燥温度と密接に関係している為、この乾燥温度を変化させることで所望する大きさのセルを得ることができる。乾燥温度が高いと、乾燥工程前に存在していたポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔数が減少するので、前記発泡性樹脂粒子を発泡させると、形成する発泡体のセルは大きくなる。一方、乾燥温度が低ければ、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔数は減少することがないので、形成する発泡体のセルは小さくなる。このポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔数の変化は乾燥温度の影響を受けるが、詳細には、前記ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の水分の逸散速度及びポリ乳酸系樹脂組成物の柔らかさが直接関与しているものと推定される。すなわち、乾燥温度が比較的高く、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子が柔らかい状態となって乾燥が行われると、微孔中の水分が急激に除去されやすくなり、該微孔内が減圧された状態となって該微孔はその形状を保持することができずに押しつぶされてしまう事から、微孔の数が減少するものと考えられる。反対に、乾燥温度が比較的低く、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子がやや硬めの状態で乾燥が行われると、前記ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔内の水分は急激に除去されることがないので、前記微孔内が減圧されて押しつぶされることがないことから、微孔の数は減少することはないと考えられる。
【0020】
水分が充満されている微孔からその水分を除去し、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の残存水分量として0.5%以下の微孔となす為の方法としては特に決まってはいないが、微孔を破壊したり、その数を極端に増減させる等の好ましくない影響を与えるものでなければ構わない。例えば、表面水分を遠心分離工程等で脱水したポリ乳酸系発泡性粒子を5℃ないし40℃の乾燥された空気に5ないし48時間の通風状態に晒して乾燥させる等の方法の他、真空乾燥、デシケーター中でシリカゲル等の脱水剤を使用した乾燥等によっても可能である。
【0021】
上述したように、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔から乾燥等により水分が除去される過程において、最終的には、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中に残存する水分量は、0.5%以下が好ましく、0.1%以下がさらに好ましい。前記発泡性樹脂粒子中に水分が0.5%以上残存していると、発泡の際に水蒸気の温度や加熱条件等をどのように変化させても発泡が殆ど又は全く起こらない。
【0022】
ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の水分の除去操作後に前記発泡性樹脂粒子中に残存する水分量は、その除去の際の条件はもちろん、発泡剤の含浸時における水の量や、発泡剤の含浸時での粒子同士の凝集・融着を阻止するに必要な分散安定剤として添加される界面活性剤、難水溶性の無機分散剤、ポリビニルアルコール等に代表される水溶性高分子系安定剤の種類、量によっても調節され得る。
【0023】
本発明におけるさらに好ましい態様は、L体とD体のモル比が95/5〜60/40、又は40/60〜5/95であるポリ乳酸に、イソシアネート基≧2.0当量/モルのポリイソシアネート化合物を該ポリ乳酸に対して0.5〜5重量%配合し反応させてなるポリ乳酸系樹脂組成物の使用である。該樹脂組成物に発泡剤を含浸させることにより、優れた発泡性を有する発泡性樹脂粒子となり得る。L体とD体のモル比が95/5を越えるもの、或いは5/95未満のものは結晶性が高く、発泡倍率が上がらなかったり、発泡が不均一になる為使用できない。また、該樹脂組成物を使用する場合において発泡性の良否を決定するメルトインデックス値(MI)に影響を与えるイソシアネート化合物の添加量は、前記ポリ乳酸に対して0.5重量%未満であると、ポリ乳酸樹脂組成物のMIがあまり上昇せず、5重量%を越えると発泡性を低下させる。
【0024】
上述したように、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の切断面において、微孔が直径1ないし10μm、1mm2あたり5000個乃至30000個存在する条件下では、発泡剤の種類が限定されることなく、微細で均一性の高い適正な発泡粒子が得られる。
【0025】
本発明のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子には、必要に応じてトルエン、キシレン、メタノール、アセトン等の発泡助剤、DOP、DOA、DBP、ヤシ油、パーム油等の可塑剤、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA等の難燃剤等を含有することができる。
【0026】
これら発泡剤、発泡助剤等の樹脂組成物への含浸は、水系又は水懸濁系において、高圧下、加熱して行うことができる。すなわち、樹脂のガラス転移温度以上の含浸温度が選ばれるので、通常、70ないし110℃において、0.5ないし3時間の条件にて含浸され得る。
【0027】
本発明は、従来より慣用されているセル形成剤(核剤)の添加が不要になるという利点を有するものであるが、もっとも、そのようなセル形成剤を添加することは何ら差し支えないが、表面外観を悪化させたり、成形品内部のセル間の融着性を著しく低下させない程度の量で添加されることが望ましい。適するセル形成剤としては、例えば、タルク、クエン酸ナトリウム、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
【0028】
しかして得られた本発明の発泡性樹脂粒子から成形体を得るまでの工程は、通常行われている方法でよく、特に限定されるものではないが、例えばあらかじめ水蒸気を当てて加熱発泡するか、60〜120℃の温風によって予備発泡性粒子とし、次いでこの予備発泡性粒子を小さな孔やスリットが設けられている閉鎖型金型の型内に充填し、さらに水蒸気又は温風によって加熱再発泡することにより、個々の粒子を融着一体化した成形体とする方法等が挙げられる。
【0029】
なお、本発明における「微孔」とは、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の内部に存在する平均で直径1ないし10μm程度の小孔を指す。微孔の中には、ポリ乳酸系樹脂以外の物質、すなわち水、発泡剤、溶剤、可塑剤等の添加剤等が含まれていてもよい。
【0030】
【実施例】
以下に実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。尚、評価は下記の方法で行った。
【0031】
1.ポリ乳酸系組成物のメルトインデックス(MI)値
JISK7210に準拠した方法で測定した(測定温度190℃、オリフィス径2mm、荷重2.16Kg)。
【0032】
2.ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中の微孔の観察及び数の計量
試料のポリ乳酸系発泡性粒子を液体窒素中に浸漬して凍結させ、次いで鋭利な刃を使用して凍結状態のポリ乳酸系発泡性粒子を切断し、その切断面を電子顕微鏡で観察すると共に写真を撮影し、得られた電子顕微鏡写真より、断面積1mm2あたりの、直径1ないし10μmの微孔の個数を算出した。
【0033】
3.ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の水分測定
試料約1グラムを精秤した後、水分気化装置において、試料を190℃にて15分間加熱し、その間に発生する水分量をカールフィッシャー水分計(MKC−210 京都電子工業株式会社製)を使用して測定した。
【0034】
4.ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の発泡剤測定
試料約1グラムを精秤した後、トルエンに溶解し、ガスクロマトグラフを使用して定量した。
【0035】
5.予備発泡及び発泡倍率
ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子は、85℃ないし95℃の水蒸気により、30秒加熱して予備発泡粒子とした。また、発泡ポリスチレンの場合は、100℃の水蒸気にて2分間加熱して予備発泡粒子とした。得られた予備発泡粒子は、メスシリンダーを使用して体積を測り、嵩倍率を求めた。
【0036】
ポリ乳酸系樹脂組成物の製造
ポリ乳酸系樹脂組成物(1)の製造:
市販のL−ラクチド、D−ラクチドをそれぞれ酢酸エチルを使用して再結晶して精製した。精製したL−ラクチド、D−ラクチド及び触媒としてオクチル酸スズをスズとして10ppm添加し、D体比率が10モル%になるように攪拌機付きオートクレーブに仕込み、減圧脱気した後、N2雰囲気下で開環重合した。反応終了後、オートクレーブよりポリマーを取り出した。次いで、該ポリマーを水分1000ppm以下になるまで乾燥させた後、粘度増加剤として官能基2.8当量のジフェニルメタンポリイソシアネートを該ポリマーに対して1重量%をブレンドした後、2軸混練機に供給し、回転数100rpm、溶融温度180℃、滞留時間3ないし5分、吐出量10kg/時の条件下で反応混練した後、ダイスより押出しカットして、直径約1mmの粒子を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂組成物は、MI値0.2を有していた。
【0037】
ポリ乳酸系樹脂組成物(2)の製造:
市販のL−ラクチド、D−ラクチドをそれぞれ酢酸エチルを使用して再結晶して精製した。精製したL−ラクチド、D−ラクチド及び触媒としてオクチル酸スズをスズとして10ppm添加し、D体比率が10モル%になるように攪拌機付きオートクレーブに仕込み、減圧脱気した後、N2雰囲気下で開環重合した。反応終了後、オートクレーブよりポリマーを取り出した。次いで、該ポリマーを水分1000ppm以下になるまで乾燥させた後、粒径約2.5ないし3μmのタルクを3重量%添加し、粘度増加剤として官能基2.8当量のジフェニルメタンポリイソシアネートを該ポリマーに対して1重量%をブレンドした後、2軸混練機に供給し、回転数100rpm、溶融温度180℃、滞留時間3ないし5分、吐出量10kg/時の条件下で反応混練した後、ダイスより押出しカットして、直径約1mmの粒子を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂組成物は、MI値0.2を有していた。
【0038】
ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の製造
上記で得られたポリ乳酸系樹脂組成物(1)、(2)それぞれ100部に対して、表−1に示す添加量の水が含まれるポリ乳酸系樹脂組成物と水の混合系において、ポリ乳酸系樹脂組成物(1)、(2)それぞれ100部について、表−1に示す配合にて発泡剤の含浸を行った。含浸は、攪拌機付きオートクレーブにて90℃で約1時間保持することによって行った。
【表1】
Figure 0004816853
注意)参考−1のスチレンビーズは、スチレンの懸濁重合によって得られたビーズに、水懸濁系において発泡剤(n−ペンタン)を含浸したもので、分散安定剤としてポリビニルアルコールを加えて110℃にて4時間含浸している。
【0039】
表1の配合で発泡剤が含浸されたポリ乳酸系発泡性樹脂粒子は、各々下記の条件下で乾燥された。
乾燥条件(1):ポリエチレン袋に密封し、15℃の温度下において10日間保管した。
乾燥条件(2):25℃の乾燥空気を、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子1kg当り、2L/分の量で通風して12時間乾燥を行った。
乾燥条件(3):30℃の乾燥空気を、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子1kg当り、2L/分の量で通風して12時間乾燥を行った。
乾燥条件(4):35℃の乾燥空気を、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子1kg当り、2L/分の量で通風して12時間乾燥を行った。
乾燥条件(5):40℃の乾燥空気を、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子1kg当り、2L/分の量で通風して12時間乾燥を行った。
乾燥条件(6):45℃の乾燥空気を、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子1kg当り、2L/分の量で通風して12時間乾燥を行った。
そして、上記の各々の条件で乾燥した後、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子を水蒸気により予備発泡した。このときの微孔の数、発泡倍率、及びセルの大きさ等については表2に記載した。
【表2】
Figure 0004816853
【0040】
結 果
例番号−1:タルクを添加しないポリ乳酸組成物に、水を50重量部添加しイソペンタンを発泡剤として含浸した系であるが、例番号1−1では、微孔の数は19000個/mm2であった。これを乾燥した粒子は、内部水分量は0.08%と0.1%以下にまで低下したが、これを予備発泡すると、発泡倍率35倍でセルの大きさが70μmの良好な発泡粒子となった。さらに、例番号1−2、1−3、1−4、1−5と、乾燥空気の温度が30℃、35℃、40℃、45℃と上昇するにつれ、形成された微孔の数は15000個、11000個、6000個、1000個と減少し、例番号1−5では、予備発泡後の発泡粒子中のセルの大きさは、直径600μmとやや粗大となり、前記発泡粒子の形状もやや歪となった。
例番号−2、3、4:水の量を100、200、300重量部とし、例番号−1に準じて含浸した例であるが、例番号−1の結果と比較して、微孔の数が若干増加している程度で、セルの大きさ、発泡粒子の形状に大きな変化はなかった。
例番号−5:水の量を30部にして、例番号−1に準じて含浸した例であるが、乾燥を密封状態で行った5−1では、内部水分が0.5%を超えており、セルは極めて粗大で発泡後に収縮して歪な形となり、発泡倍率は9倍と低いものであった。一方、乾燥を開放状態で行った5−2においては、内部水分が0.06%と低い値となった粒子は、良好に発泡した。
例番号−6:タルクを所定量添加して行った例であるが、6−1のように密封状態で乾燥したものは、内部水分が2.4%と極めて多く、全く発泡しない状態であった。一方、開放状態で乾燥した6−2では、内部水分が0.28%と減少した為発泡はできたが、中心部と外部においてセルの大きさが異なり、不均一な状態であった。
例番号−7、8:イソペンタンに代えてn−ペンタン、イソブタンを発泡剤とした例である。いずれも微孔の数は5000〜30000個/mm2の範囲であり、開放状態での乾燥を行うことで水分の量が減少し、良好なセル、そして発泡状態であった。
例番号−9、10:水の添加量を5部、2部とした例であるが、含浸直後の水分量が減少し、微孔の数も減少してきている。それに従い、セルの大きさも増大してきている。
例番号−11:さらに水の量を減少した例であるが、微孔の数が減少しており、セルは1000μm以上の大きさとなり、発泡後の粒子は歪に収縮し、適正な倍率を得ることが出来なかった。
例番号−12、13:含浸中に水を添加しなかった系であるが、水が存在しないと、ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子中に微孔は全く形成されない。このことは、乾燥の条件、発泡剤の種類によっても変わらず、適正な発泡は行われなかった。
例番号−14:核剤が添加された例であるが、セル径が大きく、適正な発泡は出来なかった。
【発明の効果】
以上に説明した本発明のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子は、発泡剤をポリ乳酸系樹脂組成物に対して3重量%以上含有するポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の切断面について、残存水分量が0.5%以下である微孔が断面積1mm2あたり5000個乃至30000個存在することを特徴とするものである。このポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の使用により、ポリ乳酸系樹脂組成物への発泡剤の含浸が、上述した問題点のある非水系でなく、水系又は水懸濁系で行うことが可能となった。さらにタルク等の核剤を添加する必要がなくなり、同時に発泡剤がその種類が制限されることなく使用でき、発泡後には微細で均一性の高い適正なセルを有する発泡体を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水50部を添加したときのポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の内部の外表面近くを倍率500倍で撮影した電子顕微鏡写真を示す。

Claims (4)

  1. ポリ乳酸系樹脂組成物と水との混合系であってポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対して水を1重量部以上含む系において、発泡剤を該ポリ乳酸系樹脂組成物に対し3重量%以上含浸し、次いで25℃乃至40℃の温度下で乾燥させて得られるポリ乳酸系発泡性樹脂粒子であって、残存水分量が0.5%以下である該ポリ乳酸系発泡性樹脂粒子の切断面において、微孔が断面積1mm2あたり5000個乃至30000個存在することを特徴
    とするポリ乳酸系発泡性樹脂粒子。
  2. 前記微孔は、平均で1μm乃至10μmの直径を有することを特徴とする、請求項1記載のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子。
  3. 前記ポリ乳酸系樹脂組成物は、L体とD体のモル比が95/5〜60/40、又は40/60〜5/95であるポリ乳酸に、イソシアネート基≧2.0当量/モルのポリイソシアネート化合物を該ポリ乳酸に対して0.5〜5重量%配合し反応させてなる樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1記載のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子。
  4. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のポリ乳酸系発泡性樹脂粒子を予備発泡させ、次いでそれを発泡成形して得られる発泡成形品。
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