JP2003327737A - 生分解性ポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体およびその製造方法 - Google Patents

生分解性ポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体およびその製造方法

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JP2003327737A JP2002133678A JP2002133678A JP2003327737A JP 2003327737 A JP2003327737 A JP 2003327737A JP 2002133678 A JP2002133678 A JP 2002133678A JP 2002133678 A JP2002133678 A JP 2002133678A JP 2003327737 A JP2003327737 A JP 2003327737A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特定の分子量、嫌気性分解可能で、かつ微生物
から生産される優れた生分解性樹脂であるポリヒドロキ
シアルカノエートを使用し、環境適合性に優れた発泡体
を得る。 【解決手段】特に特定の構造、分子量、溶融粘度のポリ
ヒドロキシアルカノエートと、環境適合性の高い揮発性
発泡剤を使用し、製造することにより、本発明を創出す
るに至った。さらには、ポリヒドロキシアルカノエート
が溶融混練時に分子量低下しにくく発泡適性を有する状
態を詳細に検討した結果、本発明を創出するに至った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性を有する
ポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体、及び該発泡
体の製造方法に関する。さらに詳しくは、廃棄時に好気
性、嫌気性環境下での生分解性に優れ、焼却処理したと
しても発熱量が少なく、微生物が生産した天然のポリヒ
ドロキシアルカノエートを使用し、ハロゲン原子を含ま
ない環境適合性の高い揮発性発泡剤を使用する場合に
は、地球環境に優しい、例えば緩衝材、発泡シート、発
泡ボード、フィルター等として包装材料、食器材料、建
築・土木・農業・園芸材料、吸着・担体・濾過材等に応
用可能なポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体、及
び該発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチックは加工や使用しやす
さや、再利用の困難さ、衛生上問題などから使い捨てさ
れてきた。しかし、プラスチックが多量に使用、廃棄さ
れるにつれ、その埋め立て処理や焼却処理に伴う問題が
クローズアップされており、ゴミ埋め立て地の不足、非
分解性のプラスチックスが環境に残存することによる生
態系への影響、燃焼時の有害ガス発生、大量の燃焼熱量
による地球温暖化等、地球環境への大きな負荷を与える
原因となっている。近年、プラスチック廃棄物の問題を
解決できるものとして、生分解性プラスチックの開発が
盛んになっている。一般的に生分解性プラスチックは、
ポリヒドロキシアルカノエートといった微生物生産系
脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸やポリカプロラクトン
等の化学合成系脂肪族ポリエステル、澱粉や酢酸セル
ロース等の天然高分子物といった、3種類に大別され
る。化学合成系脂肪族ポリエステルのなかでもポリ乳
酸、ポリカプロラクトンは耐熱性に問題があり、特にポ
リ乳酸は加工温度と分解温度が近接しており成形加工が
困難であるといった問題がある。また、天然高分子物は
非熱可塑性であることや耐水性に劣るといった問題があ
る。
【0003】一方、ポリヒドロキシアルカノエートは好
気性、嫌気性下での分解性に優れ、燃焼時には有毒ガス
を発生せず、加工性に優れ、微生物由来であるため天然
成分で高分子量化が可能であるといった優れた特徴を有
している。特に嫌気性下で分解する性質や高分子量化が
可能で有る点は特筆すべき性能である。該ヒドロキシア
ルカノエートは脂肪族ポリエステルに分類されるが先に
述べた化学合成系の脂肪族ポリエステルとは、ポリマー
の性質が大きく異なる。生分解性プラスチックの重要な
用途として使い捨て製品があるが、使い捨て製品の多く
には多孔質製品が使用されている。これまでポリヒドロ
キシアルカノエートの多孔質体として、特表2001−
527101号公報に開示される多孔質体があるが、該
多孔質体は水溶性化合物、例えば無機塩及び糖類などと
ポリヒドロキシアルカノエートを混合した後、混合物を
水洗し水溶性化合物を除去する方法や、凍結乾燥法とい
った方法が例示されている。しかしこれらの方法は、得
られる多孔質体が高密度で、大量生産に不向きで製造に
時間と手間を要し、生産性が悪く、高額な設備が必要と
いった問題がある。さらに、このようにして得られるポ
リヒドロキシアルカノエート多孔質体は非常に高価なも
のとなる。
【0004】また、汎用ポリマーや脂肪族ポリエステル
の多孔質体として物理発泡剤を使用した押出発泡体が知
られているが、脂肪族ポリエステル押出発泡体は殆どが
化学合成系のものである。例えば、特開平10−152
572号公報に開示される脂肪族ポリエステル押出発泡
体に関しては、実質的に化学合成系の脂肪族ポリエステ
ルを使用することを想定し、発泡適性を得るためにイソ
シアネート架橋等による高分子量化等が詳細に説明され
ている。ポリヒドロキシアルカノエートは架橋無しに高
分子量化が可能である点で、脂肪族ポリエステルとして
化学合成系のものとは異なる性質を有する。実質的にポ
リヒドロキシアルカノエートの多孔質体については特表
2001−527101号公報に記載されている多孔質
や特開2000−319438記載の発泡粒子がある
が、ポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体の製造に
関しては考慮されていなかった。ポリヒドロキシアルカ
ノエートから押出発泡体を得る際には特定の条件を満た
さない場合、溶融混練時に熱分解し、発泡体が得られな
いといった問題がある。更に、従来の汎用樹脂を用いた
押出発泡体にはフロンを含有しているものも多く、フロ
ン類はオゾン層保護や地球温暖化防止などの観点から、
代替していくことが望まれている。この様なことから、
天然成分からなり、廃棄物の問題が解決され、環境適合
性に優れ、包装材料、食器材料、建築・土木・農業・園
芸材料、吸着・担体・濾過材等に応用可能なポリヒドロ
キシアルカノエート押出発泡体が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特定の生分
解性ポリマー及び発泡剤を使用することにより、廃棄処
分手段の1つとして生分解性、すなわち、微生物などに
よる分解も可能な、使用後廃棄処分がしやすく、かつ、
オゾン層など地球環境を破壊しない低環境負荷の発泡剤
を用いた環境適合性に優れた発泡体およびその製造方法
を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
の解決のため鋭意研究の結果、揮発性発泡剤と環境適合
性及び生分解性に非常に優れたポリヒドロキシアルカノ
エートよりなる押出発泡体、特に特定の構造、分子量、
溶融粘度のポリヒドロキシアルカノエートと、環境適合
性の高い揮発性発泡剤を使用し、製造することにより、
本発明を完成するに至った。さらには、ポリヒドロキシ
アルカノエートが溶融混練時に分子量低下しにくく発泡
適性を有する状態を詳細に検討した結果、押出機の加熱
温度をポリヒドロキシアルカノエートの融解温度+40
℃以下の温度に調整することによって本発明を完成する
に至った。
【0007】即ち本発明の第一は、式(1)で示され
る、3ヒドロキシアルカノエートよりなる繰り返し構造
を有し、かつ微生物から生産されるポリヒドロキシアル
カノエートとハロゲン原子を含まない揮発性発泡剤を溶
融混練して混合物を作成し、該混合物を成形ダイを通じ
て低圧領域に押し出すことで得られる生分解性ポリヒド
ロキシアルカノエート押出発泡体に関する。 [−CHR−CH2−CO−O−]・・・・・・・・・・・式(1) ここに、RはCn2n+1で表されるアルキル基で、n=
1〜15である。
【0008】好ましい実施態様としては、前記ポリヒド
ロキシアルカノエートの重量平均分子量が5万以上であ
り、剪断速度122sec-1、融解温度+10℃および
融解温度+40℃の条件下で測定される溶融粘度が3×
102〜1×104Pa・sである前記に記載の生分解性
ポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体に関する。
【0009】より好ましい実施態様としては、前記ポリ
ヒドロキシアルカノエートがn=1,3のポリ(3ヒド
ロキシブチレート−コ−3ヒドロキシヘキサノエート)
である前記いずれか1項に記載の生分解性ポリヒドロキ
シアルカノエート押出発泡体に関する。
【0010】さらに好ましい実施態様としては、前記揮
発性発泡剤が二酸化炭素、水、炭素数3〜4の脂肪族飽
和炭化水素、ジメチルエーテルからなる群より選ばれる
1以上であることを特徴とする前記いずれか1項に記載
の生分解性ポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体に
関する。
【0011】また、本発明の第二は、前記いずれか1項
に記載の生分解性ポリヒドロキシアルカノエート押出発
泡体を製造するに際し、ポリヒドロキシアルカノエート
を押出機で加熱溶融させ、該溶融樹脂に揮発性発泡剤を
圧入した後、該溶融樹脂と該発泡剤を混練し、冷却しな
がら溶融樹脂と発泡剤の高圧混合物を作成し、該混合物
を成形ダイを通して低圧領域に押し出すことでポリヒド
ロキシアルカノエート押出発泡体を得る押出発泡体の製
造方法において、押出機の加熱温度がポリヒドロキシア
ルカノエートの融解温度+40℃以下であるポリヒドロ
キシアルカノエート押出発泡体の製造方法に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の生分解性ポリヒドロキシ
アルカノエート押出発泡体は、式(1)で示される3ヒ
ドロキシアルカノエートよりなる繰り返し構造を有し、
かつ微生物から生産されるポリヒドロキシアルカノエー
トと揮発性発泡剤とを含んでなる生分解性ポリヒドロキ
シアルカノエート押出発泡体である。
【0013】前記ポリヒドロキシアルカノエートは、3
ヒドロキシアルカノエートよりなる繰り返し構造が式
(1)で示されるものであり、微生物から生産されるも
のである。 [−CHR−CH2−CO−O−]・・・・・・・・・・・式(1) ここに、RはCn2n+1で表されるアルキル基で、n=
1〜15であり、これらのホモポリマーまたは2種以上
の組み合わせからなる共重合体、ジ−コポリマー、トリ
−コポリマー、テトラ−コポリマーなど、またはこれら
ホモポリマー、コポリマー等から選ばれる2種以上のブ
レンド物が挙げられる。なかでもn=1のポリ3ヒドロ
キシブチレート、n=2のポリ3ヒドロキシバリレー
ト、n=3のポリ3ヒドロキシヘキサノエート、n=5
のポリ3ヒドロキシオクタノエート、n=15のポリ3
ヒドロキシオクタデカノエートのホモポリマー、または
2種以上の組合わせからなる共重合体、ジ−コポリマ
ー、トリ−コポリマー、またはこれらのブレンド物が、
好ましく使用できる。また、特に好ましくはn=1のポ
リ3ヒドロキシブチレート、n=3のポリ3ヒドロキシ
ヘキサノエートのホモポリマー、ポリ3ヒドロキシブチ
レート−コ−3ヒドロキシヘキサノエート、またはこれ
らのブレンド物が、最も好ましくは、ポリ3ヒドロキシ
ブチレート−コ−3ヒドロキシヘキサノエートが、好適
に使用される。
【0014】前記ポリヒドロキシアルカノエートの重量
平均分子量の下限は、好ましくは5万以上である。重量
平均分子量が5万未満の場合、加工時の溶融粘度変化が
大きく、流動性が高くなり、成形加工性が低下する傾向
がある。更に溶融樹脂が発泡時の張力にも耐えられず、
発泡セルが破泡し、良好な発泡体が得られにくくなる傾
向がある。前記重量平均分子量は、クロロホルム溶離液
を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
PC)測定でのポリスチレン換算分子量分布測定より得
られる重量平均分子量(Mw)を用いた。
【0015】また、前記ポリヒドロキシアルカノエート
は、示差走査熱量測定によって得られる融解温度を基準
として、融解温度+10℃および融解温度+40℃、剪
断速度122sec-1の条件下で測定される溶融粘度の
下限が、好ましくは3×10 2Pa・s以上、上限は、
好ましくは1×105Pa・s以下である。溶融粘度が
3×102Pa・s未満の場合、加工時の溶融粘度変化
が大きく、また加工時の剪断による分子量低下が激しい
傾向にあり、成形加工が困難である傾向がある。また、
溶融粘度が1×104Pa・sを越える場合、高粘度の
ため押出機への負荷が大きく製造安定性に劣る場合があ
る。本発明におけるポリヒドロキシアルカノエートには
得られる発泡体の要求性能を阻害しない範囲において、
各種添加剤を加えても良い。ここで添加剤とは、結晶核
剤、発泡核剤、可塑剤、滑剤、増粘剤、帯電防止剤、顔
料などの着色剤などである。添加剤としては、シリカ、
タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリ
ン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素
等の無機化合物や、ステアリン酸ナトリウム、ステアリ
ン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムやステアリ
ン酸バリウム等の脂肪酸金属塩、流動パラフィン、オレ
フィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などが挙
げられるが、これらに限定されたものではない。
【0016】前記揮発性発泡剤としては、ハロゲンを含
む発泡剤を除く、公知の発泡剤を使用できるが、環境適
合性を有し、ポリヒドロキシアルカノエートへの溶解性
を有し、室温ないしは押出時の成形ダイの温度において
気体状を示すものが好ましい。これらの点から前記揮発
性発泡剤としては、好ましくは、二酸化炭素、水、窒
素、空気などの無機ガス、脂肪族飽和炭化水素、その他
のハロゲンを含まない発泡剤等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いても
よい。前記無機ガスとしては、ポリアルカノエートが二
酸化炭素溶解性が高く保持性に優れる点、また耐加水分
解性優れる点から、特に二酸化炭素または水が好ましく
用いられる。また、前記脂肪族飽和炭化水素としては、
プロパン、ノルマルブタン(以下n−Buと称する)、
イソブタン(以下i−Buと称する)など炭素数3〜4
の飽和炭化水素、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネ
オペンタン等の炭素数5の飽和炭化水素が挙げられる。
中でも発泡性が良好である点からn−Bu、またはi−
Bu、若しくはn−Buとi−Buの混合物がより好ま
しく、特にはi−Buが、好ましく用いられる。
【0017】本発明で用いられる前記の無機ガス、飽和
炭化水素以外の、他の発泡剤としては、ハロゲンを含む
発泡剤(以下、ハロゲン系発泡剤と呼ぶ)以外で有れば
環境保護の観点から特に好ましい。そして、こうした非
ハロゲン系発泡剤で有れば、特に限定されず、好ましい
発泡剤として使用できる。例えば、ジメチルエーテル、
ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピ
ルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエー
テル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テト
ラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどのエーテル
類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケ
トン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケト
ン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケ
トン、エチルn−ブチルケトンなどのケトン類、メタノ
ール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピル
アルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコー
ル、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メ
チルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエス
テル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロ
ピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステル
などのカルボン酸エステル類、アゾ化合物などの化学発
泡剤などを用いることができる。これら他の発泡剤は単
独または2種以上混合して使用することができる。他の
発泡剤の中では、発泡性、発泡体成形性などの点から、
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエ
ーテルがより好ましく、中でもジメチルエーテルが特に
好ましい。
【0018】本発明で好適に使用されるポリヒドロキシ
アルカノエート押出発泡体の製造時に、前記ポリヒドロ
キシアルカノエート中に添加または注入される前記発泡
剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜変
わるものではあるが、通常、前記発泡剤の合計量がポリ
ヒドロキシアルカノエート100重量部に対して0.5
〜20重量部とするのが好ましい。発泡剤の添加量が
0.5重量部未満では発泡体が高密度となり、発泡体と
しての軽量性、コスト的メリットなどが得られにくい場
合がある。一方20重量部を超えると過剰な発泡剤量の
ため発泡体中に巨大なボイドなどの不良や、ポリマーの
可塑化が著しくなり押出機内のポリヒドロキシアルカノ
エートと発泡剤との混練状態が不均一となり、押出機の
圧力制御が難しく製造安定性に劣り、生産性が悪化する
場合がある。
【0019】本発明で好適に使用されるポリヒドロキシ
アルカノエート発泡体を得るために水を発泡剤として使
用する場合は、ポリヒドロキシアルカノエート100重
量部に対して吸水媒体物質0.2〜10重量部添加し、
加熱溶融混練後、水を含む発泡剤を圧入し、ついで低圧
域に押出発泡して得ることができる。ここで使用する吸
水媒体物質とは、ポリヒドロキシアルカノエートへ均一
に分散しにくい水を吸水しポリヒドロキシアルカノエー
ト中に均一に分散させる効果があると考えられる物質で
ある。前記吸水媒体物質としては、ベントナイト、吸水
性高分子化合物、または表面に水酸基を多数有する無機
粉末等が挙げられるが、前記吸水媒体物質と同様の効果
を示す物質で有れば、これらに限定されるものではな
い。
【0020】本発明でいうベントナイトとは、主成分が
モンモリロナイトであり、石英、α―クリストバライ
ト、オパール、長石、雲母等の随伴鉱物を含んだ塩基性
粘土鉱物である。化学成分から言えば、ベントナイトは
酸化珪素が主成分であり、次いで多い化学成分が酸化ア
ルミニウムである。ここに、モンモリロナイトとは、約
1nmの薄いケイ酸塩層からなり、その板状結晶粒子の
層表面はマイナスに帯電し、層間にはナトリウムやカル
シウムのような交換性陽イオンを介在して電荷的に中性
を保っており、水が接触すると層間の交換性陽イオンに
水分子が水和し、層間が膨潤する粘土鉱物であるとされ
ている。代表例としては、天然ベントナイト、精製ベン
トナイトがあげられる。また、有機ベントナイト、アニ
オン系ポリマー変性モンモリロナイト、シラン処理モン
モリロナイト、高極性有機溶剤複合モンモリロナイト等
のモンモリロナイト変性処理生成物もその範疇に含まれ
る。ベントナイトは、例えば、豊順鉱業(株)よりベン
トナイト穂高、ベンゲルなどとして入手しうる。かかる
ベントナイトは単独でまたは2種以上混合して用いるこ
とができる。また、前記吸水性高分子化合物としては、
例えば、(株)日本触媒よりアクアリックCAなどのポ
リアクリル酸塩基樹脂が挙げられる。表面に水酸基を多
数有する無機粉末の代表例としては、たとえば日本アエ
ロジル(株)のAEROSIL200(平均粒径12n
m)、シオノギ(株)のCARPLEX BS304F
(平均粒径6μm)などの表面にシラノール基を有する
シリカなどがあげられる。
【0021】前記吸水媒体物質の配合量は、ポリヒドロ
キシアルカノエート100重量部に対して0.2〜10
重量部、好ましくは1〜5重量部となるように調整する
ことが好ましい。かかる配合量が0.2重量部未満では
水の圧入量に対して吸水媒体物質の水の吸着量が不足
し、押出機内で水の不分散による気孔が発生し成形体不
良になる傾向がある。また10重量部をこえる場合に
は、ポリヒドロキシアルカノエート中に存在する無機物
粉体の量が過剰になる為、ポリヒドロキシアルカノエー
ト中への均一分散が困難になり、気泡むらが発生する傾
向にある。
【0022】本発明のポリヒドロキシアルカノエート押
出発泡体は、ポリヒドロキシアルカノエートを押出機で
加熱溶融させ、該溶融樹脂に揮発性発泡剤を圧入し、溶
融樹脂と発泡剤を混練し、押出発泡に適する温度に冷却
し高圧混合物とした後、該混合物を、ダイを通して低圧
の領域に押出発泡して、ポリヒドロキシアルカノエート
押出発泡体を形成することにより製造される。ポリヒド
ロキシアルカノエートを加熱溶融する際の溶融温度は、
ポリヒドロキシアルカノエートを示差走査熱量測定する
ことによって得られる融解温度を基準として、融解温度
+40℃以下である。溶融温度が融解温度+40℃を越
えると、溶融時間が短時間であっても熱分解による低分
子量化が促進され、発泡適性を有するような粘度を得る
ことが困難になる傾向がある。また、溶融温度が融解温
度+40℃以下の場合、溶融時間が比較的長時間であっ
ても熱分解による低分子量化が抑制され、発泡適性を有
するような粘度が比較的得られやすい。溶融時間は、単
位時間当たりの押出量、溶融手段などによって異なるの
で一概には決定することができないが、該ポリヒドロキ
シアルカノエート、発泡剤、添加剤が均一に分散混合
し、熱分解による低分子量化を著しく受けない範囲の時
間が選ばれる。また、溶融手段としては、例えばスクリ
ュー型押出機など、通常の押出発泡の際に用いられる溶
融、混練装置を適宜選択すればよく、特に制限するもの
ではない。
【0023】本発明の発泡剤の押出機への圧入は公知の
方法で行うことができる。発泡剤を注入する際の圧力
は、特に制限するものではなく、押出機内に圧入するた
めに押出機の内圧力よりも高い圧力であればよい。本発
明のポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体が押出さ
れる相状態、雰囲気の温度、圧力も特に制限されるもの
ではなく、良好な発泡体が得られる温度、圧力を適宜選
択すれば良い。例えば、常温、大気圧雰囲気や、必要に
応じて常温より高い温度あるいは低い温度、また大気圧
未満の減圧雰囲気や若干の加圧雰囲気に調整された、気
相、液相が選択し得る。
【0024】
【実施例】次に本発明のポリヒドロキシアルカノエート
押出発泡体の製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に
説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるも
のではない。なお、特に断らない限り「部」は重量部を
表す。
【0025】以下の記載において、略記号はそれぞれ下
記の物質を表すものである。 DME:ジメチルエーテル CO2:二酸化炭素 前記ポリヒドロキシアルカノエートの特性として、重量
平均分子量(Mw)と、融解温度(Tm)、溶融粘度、
また、実施例1〜13、比較例1〜3、参考例1の方法
で得られた発泡体の特性として、発泡倍率、独立気泡
率、発泡体の外観について下記の方法にしたがって評価
した。 1)重量平均分子量(Mw) GPC測定によりポリスチレン換算Mwを求めた。GP
C装置はCCP&8020システム(東ソー製)のもの
を使用し、カラムはGPC K−805L(昭和電工
製)、カラム温度は40℃とし、ポリヒドロキシアルカ
ノエート20mgをクロロホルム10mlに溶解したも
のを、200μl注入し、Mwを求めた。 2)融解温度(Tm) セイコー電子工業製DSC200を使用して、常温より
10℃/minで200℃まで昇温した後、10℃/m
inで常温まで降温させ、更に常温より10℃/min
で200℃まで昇温させて示差走査熱量測定を行い、得
られた曲線により融解温度(Tm)を求めた。 3)溶融粘度 キャピログラフ(東洋精機製作所製)を用い、1mmφ
×10mmのダイスを使用して上記2)で測定したTm
をもとに、Tm+10℃およびTm+40℃、剪断速度
122sec−1にて前記ポリヒドロキシアルカノエー
トの溶融粘度を測定した。溶融粘度の評価は以下のよう
に判断した。 ○:溶融粘度が3×102〜1×104Pa・sである。 ×:溶融粘度が3×102〜1×104Pa・sでない。 4)発泡倍率 ポリヒドロキシアルカノエートのおおよその密度を1.
2(g/cm3)として、次の式より測定した。 発泡倍率(倍)=1.2/発泡体の密度(g/cm3) 5)独立気泡率 マルチピクノメーター(ベックマン・ジャパン(株)社
製)を用い、ASTMD−2856に準じて発泡体の独
立気泡率を測定した。 6)発泡体の外観 発泡体の外観は以下の評価基準で目視で評価した。 ○:断面に未発泡樹脂塊がない。 ×:断面に未発泡樹脂塊が顕著に存在する。 7)環境適合性 以下の評価基準にて評価を実施した。 ○:発泡体が生分解性を有し、かつ、使用した揮発性発
泡剤が非ハロゲン系発泡剤である。 ×:発泡体が生分解性を有さない、及び/または、使用
した揮発性発泡剤がハロゲン系発泡剤である。 生分解性を有するとは発泡体を10cm×10cm×1
cmの形状に加工し、深さ10cmの土中に埋めて6ヶ
月後、形状変化を観察し、形状が確認できないほど分解
していることをいう。
【0026】表1に実施例、比較例で用いたポリヒドロ
キシアルカノエートの種類、Mw、Tm、溶融温度、溶
融粘度、発泡剤、各種評価結果について示した。また、
実施例、比較例で用いたポリヒドロキシアルカノエート
を以下に示す。 ・PHBH1: 3ヒドロキシブチレート:3ヒドロキシヘキサノエート
=90:10、 Mw=710000、Tm=110℃、 Tm+10℃での溶融粘度=5100Pa・s、 Tm+40℃での溶融粘度=1400Pa・s、である ポリ(3ヒドロキシブチレート−コ−3ヒドロキシヘキ
サノエート) ・PHBH2: 3ヒドロキシブチレート:3ヒドロキシヘキサノエート
=95:5、 Mw=550000、Tm=140℃、 Tm+10℃での溶融粘度=2000Pa・s、 Tm+40℃での溶融粘度=760Pa・s、である ポリ(3ヒドロキシブチレート−コ−3ヒドロキシヘキ
サノエート) ・PHBH3: 3ヒドロキシブチレート:3ヒドロキシヘキサノエート
=90:10、 Mw=240000、Tm=110℃、 Tm+10℃での溶融粘度=4400Pa・s、 Tm+40℃での溶融粘度=610Pa・s、である ポリ(3ヒドロキシブチレート−コ−3ヒドロキシヘキ
サノエート) ・PHBH4: 3ヒドロキシブチレート:3ヒドロキシヘキサノエート
=90:10、 Mw=1300000、Tm=110℃、 Tm+10℃での溶融粘度=5800Pa・s、 Tm+40℃での溶融粘度=2800Pa・s、である ポリ(3ヒドロキシブチレート−コ−3ヒドロキシヘキ
サノエート) ・PHBH5: 3ヒドロキシブチレート:3ヒドロキシヘキサノエート
=90:10、 Mw=10000、Tm=110℃、 Tm+10℃での溶融粘度=290Pa・s、 Tm+40℃での溶融粘度=280Pa・s、である ポリ(3ヒドロキシブチレート−コ−3ヒドロキシヘキ
サノエート) ・PHBO1: 3ヒドロキシブチレート:3ヒドロキシオクタノエート
=92:8、 Mw=530000、Tm=130℃、 Tm+10℃での溶融粘度=2300Pa・s、 Tm+40℃での溶融粘度=790Pa・s、である ポリ(3ヒドロキシブチレート−コ−3ヒドロキシオク
タノエート) ・PHBO2: 3ヒドロキシブチレート:3ヒドロキシオクタノエート
=92:8、 Mw=410000、Tm=130℃、 Tm+10℃での溶融粘度=1900Pa・s、 Tm+40℃での溶融粘度=720Pa・s、である ポリ(3ヒドロキシブチレート−コ−3ヒドロキシオク
タノエート)。
【0027】(実施例1)ポリヒドロキシアルカノエー
トとして、表1に示されるPHBH1100部に対し
て、造核剤としてタルク0.1部、加工助剤としてステ
アリン酸バリウム0.25部をドライブレンドし、得ら
れた樹脂混合物を口径65mmのものと口径90mmの
ものを直列に連結した二段押出機へ約40kg/hrの
割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給した
樹脂混合物を、140℃に加熱して溶融混練し、発泡剤
を添加、これに連結された口径90mmの押出機で樹脂
温度を95℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端に
設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面の
口金より大気中へ押し出し、厚さ約5mm、幅約70m
mの薄板状の押出発泡体を得た。このとき添加した発泡
剤として、ポリヒドロキシアルカノエート100部に対
してCO2を3部、前記口径65mmの押出機の先端付
近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部側に接
続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。得られ
た発泡体は、発泡倍率5倍、独立気泡率は42%で、発
泡体断面には未発泡樹脂塊は観察されなかった。
【0028】(実施例2)ポリヒドロキシアルカノエー
トとして、表1に示されるPHBH2を使用し、150
℃に加熱して溶融混練し、発泡剤を添加、これに連結さ
れた口径90mmの押出機で樹脂温度を115℃に冷却
した以外は、実施例1と同様の方法を使用し、厚さ約
4.5mm、幅約65mmの薄板状の押出発泡体を得
た。得られた発泡体は、発泡倍率4倍、独立気泡率は3
7%で、発泡体断面には未発泡樹脂塊は観察されなかっ
た。
【0029】(実施例3)発泡剤として、ポリヒドロキ
シアルカノエート100部に対してi−Buを3部添加
した以外は、実施例1と同様の方法を使用し、厚さ約5
mm、幅約82mmの薄板状の押出発泡体を得た。得ら
れた発泡体は、発泡倍率8倍、独立気泡率は46%で、
発泡体断面には未発泡樹脂塊は観察されなかった。
【0030】(実施例4)発泡剤として、ポリヒドロキ
シアルカノエート100部に対してDMEを3部添加し
た以外は、実施例1と同様の方法を使用し、厚さ約5.
3mm、幅約80mmの薄板状の押出発泡体を得た。得
られた発泡体は、発泡倍率6倍、独立気泡率は51%
で、発泡体断面には未発泡樹脂塊は観察されなかった。
【0031】(実施例5)発泡剤として、ポリヒドロキ
シアルカノエート100部に対してCO2を2部、DM
Eを1.5部添加した以外は、実施例1と同様の方法を
使用し、厚さ約5.3mm、幅約80mmの薄板状の押
出発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率6.8
倍、独立気泡率は47%で、発泡体断面には未発泡樹脂
塊は観察されなかった。
【0032】(実施例6)発泡剤として、ポリヒドロキ
シアルカノエート100部に対してCO2を2部、i−
Buを1.5部添加した以外は、実施例1と同様の方法
を使用し、厚さ約5.1mm、幅約78mmの薄板状の
押出発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率6.5
倍、独立気泡率は49%で、発泡体断面には未発泡樹脂
塊は観察されなかった。
【0033】(実施例7)ポリヒドロキシアルカノエー
トとして、表1に示されるPHBH1100部に対し
て、ベントナイト(豊順鉱業(株)製、商品名:ベンゲ
ル15)1部、水酸基を多数有する無機粉末として無水
シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:AEROS
IL)0.1部、造核剤としてタルク0.1部、加工助
剤としてステアリン酸バリウム0.25部をドライブレ
ンドし、得られた樹脂混合物を溶融混練し、発泡剤とし
て、ポリヒドロキシアルカノエート100部に対してC
2を2部、水を0.5部をそれぞれ別のラインから、
前記口径65mmの押出機の先端付近(口径90mmの
押出機の口金と反対側の端部側に接続される側の端部)
から前記樹脂中に圧入した以外は、実施例1と同様の方
法を使用し、厚さ約4.3mm、幅約62mmの薄板状
の押出発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率4.
5倍、独立気泡率は38%で、発泡体断面には未発泡樹
脂塊は観察されなかった。
【0034】(実施例8)ポリヒドロキシアルカノエー
トとして、PHBH3を用いた以外は、実施例1と同様
の方法を使用し、厚さ約4.8mm、幅約68mmの薄
板状の押出発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率
4.7倍、独立気泡率は34%で、発泡体断面には未発
泡樹脂塊は観察されなかった。
【0035】(実施例9)ポリヒドロキシアルカノエー
トとして、PHBH4を用いた以外は、実施例1と同様
の方法を使用し、厚さ約5mm、幅約71mmの薄板状
の押出発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率4.
8倍、独立気泡率は39%で、発泡体断面には未発泡樹
脂塊は観察されなかった。
【0036】(実施例10)ポリヒドロキシアルカノエ
ートとして、PHBH4を、発泡剤としてCO22部、
DME1.5部を用いた以外は、実施例1と同様の方法
を使用し、厚さ約5.5mm、幅約83mmの薄板状の
押出発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡倍率6.6
倍、独立気泡率は48%で、発泡体断面には未発泡樹脂
塊は観察されなかった。
【0037】(実施例11)発泡剤としてCO22部、
DME1.5部を用い、樹脂混合物を、150℃に加熱
して溶融混練し、発泡剤を添加、これに連結された口径
90mmの押出機で樹脂温度を95℃に冷却した以外
は、実施例1と同様の方法を使用し、厚さ約5.1m
m、幅約76mmの薄板状の押出発泡体を得た。得られ
た発泡体は、発泡倍率6倍、独立気泡率は38%で、発
泡体断面には未発泡樹脂塊は観察されなかった。
【0038】(実施例12)ポリヒドロキシアルカノエ
ートとして、表1に示されるPHBO1の100部に対
して、造核剤としてタルク0.1部、加工助剤としてス
テアリン酸バリウム0.25部をドライブレンドし、得
られた樹脂混合物を口径65mmのものと口径90mm
のものを直列に連結した二段押出機へ約40kg/hr
の割合で供給した。前記口径65mmの押出機に供給し
た樹脂混合物を、135℃に加熱して溶融混練し、発泡
剤を添加、これに連結された口径90mmの押出機で樹
脂温度を93℃に冷却し、口径90mmの押出機の先端
に設けた厚さ方向2mm、幅方向50mmの長方形断面
の口金より大気中へ押し出し、厚さ約5.2mm、幅約
72mmの薄板状の押出発泡体を得た。このとき添加し
た発泡剤として、ポリヒドロキシアルカノエート100
部に対してCO2を3部、前記口径65mmの押出機の
先端付近(口径90mmの押出機の口金と反対側の端部
側に接続される側の端部)から前記樹脂中に圧入した。
得られた発泡体は、発泡倍率5.3倍、独立気泡率は4
7%で、発泡体断面には未発泡樹脂塊は観察されなかっ
た。
【0039】(実施例13)ポリヒドロキシアルカノエ
ートとして、PHBO2を用いた以外は、実施例12と
同様の方法を使用し、厚さ約4.7mm、幅約70mm
の薄板状の押出発泡体を得た。得られた発泡体は、発泡
倍率4.3倍、独立気泡率は38%で、発泡体断面には
未発泡樹脂塊は観察されなかった。
【0040】(比較例1)ポリヒドロキシアルカノエー
トとして、PHBH5を用いた以外は、実施例1と同様
の方法を使用したところ、厚さ約2.5mm、幅約53
mmの薄板状体となり発泡体は得られなかった。
【0041】(比較例2)ポリヒドロキシアルカノエー
トとして、PHBH5を用い、溶融混練温度を170℃
とした以外は、実施例1と同様の方法を使用したとこ
ろ、厚さ約2.5mm、幅約53mmの薄板状体となり
発泡体は得られなかった。
【0042】(比較例3)ポリヒドロキシアルカノエー
として、PHBH5を、発泡剤としてCO22部、DM
E1.5部を用いた以外は、実施例1と同様の方法を使
用したところ、厚さ約2.8mm、幅約55mmの薄板
状体となり発泡体は得られなかった。
【0043】(比較例4)発泡剤として、ポリヒドロキ
シアルカノエート100部に対してフロン134aを3
部添加した以外は、実施例1と同様の方法を使用し、厚
さ約3.2mm、幅約68mmの薄板状の押出発泡体を
得た。得られた発泡体は、発泡倍率3.5倍、独立気泡
率は29%で、発泡体断面には未発泡樹脂塊は観察され
なかった。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1および2から、実施例1〜13で得ら
れた発泡体は、比較例1〜3と比較して、均質良好で、
かつ、オゾン層など地球環境を破壊しない低環境負荷の
発泡剤を用いた生分解性ポリエステル系樹脂であるのに
加え、発泡剤として、環境負荷の大きいハロゲン系発泡
剤を用いた比較例4と比較しても、良好な押出発泡成形
体が得られることがわかる。比較例1〜3では、環境適
合性には優れるものの、重量平均分子量が低く、特定の
溶融特性を示さず、溶融粘度が低いため、気泡が形成で
きず、良好な発泡体を得ることができない。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、特定の3ヒドロキシア
ルカノエートよりなる繰り返し構造を有するポリヒドロ
キシアルカノエートと揮発性発泡剤とを含むことで、均
質良好、かつ、環境適合性に優れた押出発泡体が得られ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F074 AA68A AB01 AB05 AG02 AG06 AG07 AG11 AG20 BA32 BA34 BA35 BA36 BA37 BA38 BA75 BA95 CA22 CC32 DA43 DA46 DA50 DA59 4J200 AA24 BA03 BA05 BA12 CA01 DA00 DA01 DA12 DA16 DA17 EA01 EA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で示される、3ヒドロキシアル
    カノエートよりなる繰り返し構造を有し、かつ微生物か
    ら生産されるポリヒドロキシアルカノエートとハロゲン
    原子を含まない揮発性発泡剤を溶融混練して混合物を作
    成し、該混合物を成形ダイを通じて低圧領域に押し出す
    ことで得られる生分解性ポリヒドロキシアルカノエート
    押出発泡体。 [−CHR−CH2−CO−O−]・・・・・・・・・・・式(1) ここに、RはCn2n+1で表されるアルキル基で、n=
    1〜15である。
  2. 【請求項2】 前記ポリヒドロキシアルカノエートの重
    量平均分子量が5万以上であり、剪断速度122sec
    -1、融解温度+10℃および融解温度+40℃の条件下
    で測定される溶融粘度が3×102〜1×104Pa・s
    である請求項1記載の生分解性ポリヒドロキシアルカノ
    エート押出発泡体。
  3. 【請求項3】 前記ポリヒドロキシアルカノエートがn
    =1,3のポリ(3ヒドロキシブチレート−コ−3ヒド
    ロキシヘキサノエート)である請求項1または2に記載
    の生分解性ポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体。
  4. 【請求項4】 前記揮発性発泡剤が二酸化炭素、水、炭
    素数3〜4の脂肪族飽和炭化水素、ジメチルエーテルか
    らなる群より選ばれる1以上であることを特徴とする請
    求項1から3のいずれか1項に記載の生分解性ポリヒド
    ロキシアルカノエート押出発泡体。
  5. 【請求項5】請求項1から4のいずれか1項に記載の生
    分解性ポリヒドロキシアルカノエート押出発泡体を製造
    するに際し、ポリヒドロキシアルカノエートを押出機で
    加熱溶融させ、該溶融樹脂に揮発性発泡剤を圧入した
    後、該溶融樹脂と該発泡剤を混練し、冷却しながら溶融
    樹脂と発泡剤の高圧混合物を作成し、該混合物を成形ダ
    イを通して低圧領域に押し出すことでポリヒドロキシア
    ルカノエート押出発泡体を得る押出発泡体の製造方法に
    おいて、押出機の加熱温度がポリヒドロキシアルカノエ
    ートの融解温度+40℃以下であるポリヒドロキシアル
    カノエート押出発泡体の製造方法。
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